JP4761147B2 - 超音波探傷方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、供用中の発電プラントや化学プラント、圧力容器、橋梁等の大型構造物や鉄鋼を始めとする金属製品(板材及び棒材、管材、車軸、レール等)、あるいは電気装置や機械装置、化学装置を構成している部品や部材等の固体表面に発生した表面き裂の傾き角を迅速かつ高精度に評価するための超音波探傷方法及び装置に関するものである。
従来、対となる送波用探触子と受波用探触子を用いて、送波用探触子から送波された超音波が欠陥の端部に入射して生じる回折波を受波用探触子で受波し、その際の回折波の放射指向性に基づいて、欠陥の傾き角を推定する超音波探傷方法及び装置は公知である(特許文献1参照)。
図1に同文献1の概略図を示す。欠陥1の傾き角γは(1)式で求めることができる。
(1) γ={tan−1(Ymax/Z)} − α
ただし、Zは欠陥1の端部から送波用探触子2と受波用探触子3のそれぞれの入射点を結ぶ直線への距離である。Ymaxは、回折波の受信信号が最大となる受波位置から、送波用探触子2と受波用探触子3のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ欠陥1の端部から引いた法線までの距離である。αは欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度であり、約60度である。
同文献1記載の発明では、受波用探触子を前後に走査して回折波の受信信号が極大になる位置Ymaxを検出する。しかし、受波位置の変化に伴う受波信号の振幅変化は緩やかであるため、受波信号が極大になる位置の検出は必ずしも容易ではなく、それに要する作業量も無視できない。
また、傾き角γが30度を超えると(1)式の第一項tan−1(Ymax/Z)は90度を超えてしまい、受波信号が極大になる位置を検出することが困難になる。この場合には、送波用探触子2と受波用探触子3との位置を入れ替えて再度走査することになり、さらに作業量が増加する。
固体の面状欠陥に対して探触子を前後走査しながら超音波を入射させ、その超音波の各ビーム路程と、該各ビーム路程に対応して受信される、前記固体の面状欠陥から反射する反射波のエコー高さと、から得られるエコー包絡線の傾きを評価指標として、面状欠陥の傾き角を測定する方法は公知である(特許文献2参照)。
この方法では、あらかじめ測定しておいた面状欠陥の傾き角αとエコー包絡線の傾きとの関係式を利用して傾き角を推定する。このためには傾き角の異なる複数の試験片を準備し、各々の試験片についてビーム路程とエコー高さとの関係式を求めた後に、関係式と傾き角αとの調べる必要があり、多くの作業が必要になる。
しかも、このようにして求めた面状欠陥の傾き角αとエコー包絡線の傾きとの関係式は普遍的なものではなく、測定に使用する超音波周波数や探触子の直径あるいは試験対象の材料が異なると改めて関係式を求める必要がある。
Time-of-flight diffraction法(TOFD法)によって欠陥の傾き角を測定する手段は公知である(非特許文献1参照)。
図2に同文献1の概略図を示す。送波用探触子2及び受波用探触子3を一定の距離を隔てて配置し、送波用探触子2から試験対象に超音波(通常は縦波)を放射する。放射された超音波は、試験対象内を複数の経路で伝搬した後に、受波用探触子3で観測される。試験対象内に欠陥1がある場合には、表面近傍を伝搬したラテラル波が観測された後に、上端回折波、下端回折波、底面反射波の順で超音波が観測される。試験対象の音速と超音波の伝搬時間との積から各波(ラテラル波及び上端回折波、下端回折波)の伝搬経路長さを求めることができる。
本手法を用いた欠陥の傾き角の計測では、欠陥上端及び下端の位置(水平及び深さ)を知る必要がある。そのために、送波用探触子2と受波用探触子3との距離を一定に保ちながら探触子を走査し、上端(あるいは下端)回折波の伝搬時間が極小になる位置を検出する。この時、欠陥上端(あるいは下端)は送波用探触子及び受波用探触子の中央に位置することになり、水平方向の位置を求めることができる。
ここで求めた欠陥上端(あるいは下端)の水平方向の位置と上端(あるいは下端)回折波の伝搬経路長さとから、き裂上端(あるいは下端)の深さ方向の位置を求めることができる。このようにして求めたき裂上端及び下端の位置から欠陥の傾き角を求めることができる。
表面き裂の傾き角の測定では、上記の方法で求めたき裂下端の位置と目視や表面波超音波の反射法を用いて求めたき裂開口部(き裂上端)の位置とからき裂の傾き角を求める。
この方法を用いて表面き裂の傾き角を求めるには、送波用探触子と受波用探触子との距離を一定に保ちながら走査し、下端回折波の伝搬時間が極小になる位置を決定する必要があり、その作業量を無視することはできない。また従来のTOFD法には、試験体の表面近くにある欠陥の測定が困難になるという問題点がある。
特開2005−345217号公報 特公平5−18380号公報 平成13年度千葉県機械金属試験場研究報告18〜20頁、"超音波探傷試験TOFD法に関する研究(きずの傾き測定)"
供用中の大型構造物やプラント、電気装置、機械装置を安全に長期間稼働させるためには、それらの製造過程や運転中に発生した欠陥を早期に検出し、これらの欠陥の大きさや長さ、高さ等の定量的なデータから破壊力学に基づいてリスクや余寿命を定量的に評価し、必要に応じて欠陥の除去や補修、部材の交換を行うことが必要である。
超音波探傷法は、垂直探傷法や斜角探傷法によって検出した欠陥の大きさや長さ、高さをDGS線図法やDeデシベルドロップ法、評価レベル法、端部エコー法等を用いて評価する非破壊検査法の一種であり、かなりの定量性を有する手段として多くの分野で採用されている。
しかし近年では、より定量的な検査結果が求められるようになってきた。その一つがき裂の傾き角測定である。従来の垂直探傷法や斜角探傷法によるき裂の測定では、き裂の傾き角の影響を受けて、その大きさを過小評価しうることが問題となっている。この問題を解決するために、いくつかのき裂の傾き角測定法及び装置が開発されてきた。
しかし、これらのき裂の傾き角測定法は、多くの予備測定、あるいは信号振幅の極大点や伝搬時間の極小点の決定に多くの作業を必要とするなど、迅速な測定に課題を残している。
本発明は、探触子の走査を不要として迅速な測定を可能とし、しかも超音波パルスの伝搬時間のみによって傾き角を求め、信号振幅の影響を受けにくく高精度な測定を実現しようとするものであり、そのために、本発明では、表面き裂の先端を経由する複数モードの超音波パルスを検出し、それらの超音波パルスの伝搬時間から表面き裂の傾き角を推定する超音波探傷方法及び装置を実現することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、固体の表面き裂の開口縁の第1のカ所から該固体表面に沿って検出点まで直接伝搬する超音波である直接波を発生させて、該直接波を前記検出点で検出するとともに、前記開口縁の前記第1のカ所に対向する第2のカ所から前記表面き裂の表面に沿ってき裂先端を迂回してから該固体表面に沿って検出点まで伝搬する超音波である迂回波を発生させて、該迂回波を前記検出点で検出し、さらに、前記第1のカ所及び第2のカ所から伝搬し、き裂先端で縦波及び横波にそれぞれモード変換した超音波である縦波モード変換波及び横波モード変換波の少なくとも一つを前記検出点で検出し、前記直接波と、迂回波と、縦波モード変換波又は横波モード変換波と、についての、それぞれの発生カ所から前記検出点までの伝搬時間、及び超音波の音速に基づいて、表面き裂の傾き角を得ることを特徴とする超音波探傷方法及び装置を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、固体の表面き裂の開口縁に超音波を送波する超音波送波器と、前記開口縁から離れた箇所において超音波を受波する超音波受波器と、該超音波受波器に接続された信号処理部と、該信号処理部に接続された表示部と、制御部とを備えた超音波探傷装置であって、前記超音波送波器は、前記開口縁に超音波を送波し、前記固体の表面き裂の開口縁の第1のカ所から該固体表面に沿って検出点まで直接伝搬する表面波超音波である直接波を発生させるとともに、前記開口縁の前記第1のカ所に対向する第2のカ所から前記表面き裂の表面に沿ってき裂先端を迂回してから該固体表面に沿って検出点まで伝搬する表面波超音波である迂回波を発生させるものであり、前記超音波受波器は、前記検出点で、前記直接波及び前記迂回波を検出するとともに、前記第1のカ所及び第2のカ所から伝搬し、き裂先端で縦波及び横波にそれぞれモード変換した超音波である縦波モード変換波及び横波モード変換波の少なくとも一つを検出するものであり、
前記信号処理部は、前記直接波と、迂回波と、縦波モード変換波又は横波モード変換波と、についての、それぞれの発生カ所から前記検出点までの伝搬時間、及び超音波の音速に基づいて、表面き裂の傾き角を得る処理を行うものであることを特徴とする超音波探傷装置を提供する。
以上のような構成の本発明に係る超音波探傷方法及び装置によれば、次のような効果が生じる。
(1)従来のき裂の傾き角測定法は、多くの予備測定、あるいは信号振幅の極大点や伝搬時間の極小点の決定に多くの作業時間を必要とするなど、迅速な測定に課題を残していた。しかし本発明によれば、表面き裂の先端を経由する複数モードの超音波パルスを検出し、それら複数の超音波パルスの伝搬時間から表面き裂の傾き角を推定することができる。
(2)探触子の走査が不要なため迅速な測定が可能であり、しかも超音波パルスの伝搬時間のみによって傾き角を求めているため信号振幅の影響を受けにくい測定を実現できる。
(3)表面き裂の傾き角度を測定することにより、超音波非破壊検査におけるき裂の大きさや長さ、高さの測定精度、すなわち検査の信頼性や定量性が向上する。このことによって、発電プラントや化学プラント、圧力容器、橋梁等の大型構造物や鉄鋼を始めとする金属製品(板材及び棒材、管材、車軸、レール等)、あるいは電気装置や機械装置、化学装置をより安全に運用することが可能となる。
本発明に係る超音波探傷方法及び装置を実施するための最良の形態、及び実施例を図面を参照して、以下に説明する。
本発明に係る超音波探傷方法及び装置は、表面き裂の両エッジ近傍で発生させた二つの表面波(直接波と迂回波)に加えて、二つの表面波がき裂先端で縦波や横波にモード変換した超音波を少なくとも一つは検出し、これら三つ以上の超音波の音速と検出点への伝搬時間から表面き裂の傾き角を推定する方法及び装置である。
ここで、表面き裂開口部の位置は、目視による表面観測や表面波超音波の反射法等によって明らかになっているものとする。また、試験対象の縦波音速V及び横波音速V、表面波音速Vも既知とする。
図3に本発明の方法及び装置を説明する概略図を示す。表面き裂4の開口部5の両エッジEn、Ef近傍に急激な応力を加えることによって両エッジEn、Efから発生させた超音波パルスを検出点Oで観測する。検出点Oで観測されうる超音波パルスは、表面波及び表面波がき裂4の先端6で縦波及び横波に変換されたモード変換波、モード変換波の底面反射波、バルク波の底面反射波の四グループに分類することができる。
第一のグループは、表面波であり、直接波R1及び迂回波R2がある。直接波R1は、検出点Oから近いエッジEnで発生した超音波が表面波音速Vで伝搬し、検出されたものである。迂回波R2は、検出点Oから遠いエッジEfで発生した超音波が表面波音速Vで伝搬し、検出されたものである。迂回波R2はき裂表面を往復した後に、直接波R1と同じ経路で検出点Oに向かう。このため、直接波R1及び迂回波R2には表面き裂深さの2倍に相当する伝搬経路長差がある。
第二のグループは、両エッジEn、Efで発生した表面波がき裂4の表面に沿って伝搬した後にき裂4の先端6で縦波及び横波に変換されたモード変換波であり、表面波が縦波に変換されたR−L1及び表面波が横波に変換されたR−S1がある。これらのモード変換波R−L1及びR−S1の伝搬時間は、き裂深さ及びき裂傾き角の情報を含んでいる。
第三のグループは、両エッジEn、Efで発生した表面波がき裂4の先端6で縦波及び横波に変換されたモード変換波の底面反射波であり、表面波が縦波に変換されたモード変換波の底面反射波R−L2及び表面波が横波に変換されたモード変換波の底面反射波R−S2がある。これらのモード変換波の底面反射波R−L2及びR−S2の伝搬時間は、き裂深さ及びき裂傾き角、試験対象の厚さの情報を含んでいる。
第四のグループは、バルク波の底面反射波であり、縦波Lの底面反射波2L及び横波Sの底面反射波2S、縦波Lが底面反射するときに横波Sに変換された波L−S、横波Sが底面反射するときに縦波Lに変換された波S−Lがある。これらのバルク波の底面反射波2L及び2S、L−S、S−Lの伝搬時間は、試験対象の厚さの情報を含んでいる。
これらのことから、直接波R1及び迂回波R2の伝搬時間に加えて、モード変換波R−L1またはR−S1の伝搬時間を計測することにより、検出点Oからき裂4までの距離及びき裂4の深さ、き裂4の傾き角を推定することが可能となる。
直接波R1及び迂回波R2に加えて、モード変換波R−L1及びR−S1の伝搬時間を計測できた場合には、最小自乗法等によりき裂4までの距離やき裂4の深さ、き裂4の傾き角の推定値の信頼性を高めることができる。
試験対象の厚さが分かっている場合には、直接波R1及び迂回波R2の伝搬時間に加えて、モード変換波の底面反射波R−L2またはR−S2の伝搬時間を計測することにより、検出点Oからき裂までの距離及びき裂の深さ、き裂の傾き角を推定することが可能である。
図4に傾いた表面き裂4の概略図を示す。発生させた超音波パルスを観測する検出点Oを座標の原点(0,0)とする。検出点Oからき裂4までの距離をdとする。検出点に近いき裂エッジをEnとし、遠いき裂エッジをEfとする。Ctipはき裂4の先端を表しており、その座標は(Xtip, Ytip)である。表面き裂4の深さ及び傾き角をそれぞれL及びθとする。
ここで傾き角θは、き裂先端Ctipが検出点Oから離れる方向を正とする。き裂4の幅は、検出点Oからき裂までの距離d及びき裂深さLよりも十分に小さい。き裂先端Ctipから検出点Oまでの伝搬距離をDとする。き裂先端Ctipから放射された超音波が底面で反射し検出点Oに向かう伝搬距離をDとする。試験対象の厚さをhとする。
このとき、表面波及びモード変換波、モード変換波の底面反射波、バルク波の底面反射波の伝搬時間は以下の(2)〜(13)式を用いて表される。先に述べたように、これらの伝搬時間の関係式を解くことによって、表面き裂の傾き角を推定することができる。
(2)表面波(直接波)R1の伝搬時間 TR1=d/V
(3)表面波(迂回波)R2の伝搬時間 TR2=(d+2L)/V
(4)モード変換波R−L1の伝搬時間 TR−L1=L/V+D/V
(5)モード変換波R−S1の伝搬時間 TR−S1=L/V+D/V
(6)モード変換波の底面反射波R−L2の伝搬時間 TR−L2=L/V+D/V
(7)モード変換波の底面反射波R−S2の伝搬時間 TR−S2=L/V+D/V
(8)バルク波Lの底面反射波の伝搬時間 T2L=(d+4h1/2/V
(9)バルク波Sの底面反射波の伝搬時間 T2S=(d+4h1/2/V
(10)バルク波L−Sの底面反射波の伝搬時間 TL−S=0.5×(T2L+T2S
(11)バルク波S−Lの底面反射波の伝搬時間 TS−L=TL−S
(12)伝搬距離 D=(d+2dLsinθ+L1/2
(13)伝搬距離 D=(d+2dLsinθ+L+4h−4hLcosθ)1/2
直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1が観測された場合には、(2)及び(3)、(5)の三つの式が成立する。以下に示すように、これらの三つの式を解くことによって検出点Oからき裂4までの距離d及びき裂4の深さL、き裂4の傾き角θを求めることができる。
(14)検出点Oからき裂4までの距離 d=TR1
(15)き裂4の深さ L=0.5×Δt×V
(16)き裂4の傾き角
Figure 0004761147
(17)Δt=TR2−TR1
図5は、本発明に係る超音波探傷装置7の概略図を示す。この装置7は、表面き裂4の傾き角を測定できる装置であり、固体8の表面き裂4の開口縁9に超音波を送波する超音波送波器10と、前記開口縁9から離れた箇所において超音波を受波する超音波受波器11と、該超音波受波器11に接続された信号処理部12と、該信号処理部12に接続された表示部13と、制御部14とを備えている。
超音波送波器10を用いて表面き裂4の開口縁9に超音波を送波し、開口縁9の互いに対向する両エッジEn、Ef近傍に応力を加えることによって表面波を発生させる。即ち、超音波送波器10は、固体8の表面き裂4の開口縁9の第1のカ所(エッジEn)から固体表面に沿って検出点(超音波受波器11の設置点)まで直接伝搬する表面波超音波である直接波を発生させるとともに、開口縁9の第1のカ所(エッジEn)に対向する第2のカ所(エッジEf)から表面き裂4の表面に沿ってき裂先端を迂回してから固体表面に沿って検出点まで伝搬する表面波超音波である迂回波を発生させる。
なお、超音波を発生させる位置は厳密に表面き裂4のエッジEn、Efである必要はなく、発生位置と表面き裂4のエッジとの距離が明らかであれば、伝搬時間を補正することが可能である。
このようにして発生した表面波は、先に述べた複数の経路を伝搬した後に、超音波受波器11によって検出される。即ち、超音波受波器11は、検出点(超音波受波器11の設置点)で、直接波及び迂回波を検出するとともに、第1のカ所En及び第2のカ所Efから伝搬し、き裂4の先端で縦波及び横波にそれぞれモード変換した超音波である縦波モード変換波及び横波モード変換波の少なくとも一つを検出する。
制御部14は、超音波送波器10や超音波受波器11の位置(超音波送波器10、超音波受波器11は位置可変に設定可能である。)の及び超音波信号の発生・検出等のタイミングを制御する。信号処理部12では、受波信号から直接波及び迂回波、モード変換波、モード変換波の底面反射波、バルク波を抽出し、ここから得られる各波の伝搬時間に加えて音速、超音波送受波点の位置情報から表面き裂4の傾き角を算出する。
即ち、信号処理部12は、前記直接波と、迂回波と、縦波モード変換波又は横波モード変換波と、についての、それぞれの発生カ所から前記検出点までの伝搬時間、及び超音波の音速に基づいて、表面き裂4の傾き角を得る処理を行う。
そして、表示部13では、算出された表面き裂4の傾き角を表示する。
本発明の実施例1を説明する。この実施例1では本発明に係る超音波探傷装置7を使用し、上記試験対象は、直径65mm、厚さhが15mmの鉄系合金であり、その直径に沿ってき裂幅0.2mm、き裂深さL=5mmのスリット加工を施した。スリットの傾き角θは0度に設定した。
試験対象の縦波音速V及び横波音速Vの実測値は、V=5910m/s及びV =3160m/sであった。試験対象を等方体と仮定し、縦波及び横波の実測値から表面波音速VをV=2931m/sと算出した。検出点Oからき裂までの距離dは、d=5mmである。
超音波パルスの発生には、パルス幅4ns、出力2mJ/パルスのYAGレーザをスリットに線状に集光した。照射面でのパルスYAGレーザの強度は熱弾性領域にあり、試験対象を損傷させることなく計測を行うことができる。超音波の検出には光干渉計を使用した。ここでは超音波を発生させるパルスレーザ光の一部を高速のフォトダイオードに入射し、その出力信号を超音波波形記録のトリガー信号としている。
図6に観測された超音波波形を示す。直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1が1.77μs及び5.26μs、4.02μsに明瞭に観測されている。
直接波R1の伝搬時間から、(14)式を用いて検出点Oからき裂の距離dを5.2mmと算出した。直接波R1及び迂回波R2の伝搬時間から、(15)及び(17)式を用いてき裂の深さLを5.1mmと算出した。また直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1の伝搬時間から、(16)及び(17)式を用いてき裂の傾き角θを−1.5度と算出した。
き裂の傾き角θ及び検出点Oからき裂までの距離d、き裂の深さLの推定値は設定値と良く一致している。これらの波以外にも、バルク波の底面反射波L−S(S−L)やモード変換波の底面反射波R−S2もしくはバルク波の底面反射波2Sと見られる超音波パルスが検出されている。
本発明の実施例2を示す。この実施例2では本発明に係る超音波探傷装置を使用し、試験対象は実施例1と同ロットで同サイズの鉄系合金であり、その直径に沿ってき裂幅0.2mm、き裂深さL=3mmのスリット加工を施した。ここではスリットの傾き角θを0度に設定した。検出点Oからき裂までの距離dは、d=5mmである。
図7に観測された超音波波形を示す。直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1が1.73μs及び3.79μs、2.92μsに明瞭に観測されている。
直接波R1の伝搬時間から、(14)式を用いて検出点Oからき裂の距離dを5.1mmと算出した。直接波R1及び迂回波R2の伝搬時間から、(15)及び(17)式を用いてき裂の深さLを3.2mmと算出した。また直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1の伝搬時間から、(16)及び(17)式を用いてき裂の傾き角θを1.6度と算出した。
き裂の傾き角θ及び検出点Oからき裂までの距離d、き裂の深さLの推定値は設定値と良く一致している。この実施例においてもバルク波の底面反射波L−S(S−L)やモード変換波の底面反射波R−S2もしくはバルク波の底面反射波2Sと見られる超音波パルスが検出されている。
本発明のもう一つの実施例を示す。試験対象は先の実施例と同ロットで同サイズの鉄系合金であり、その直径に沿ってき裂幅0.2mm、き裂深さL=5mmのスリット加工を施した。ここでは傾き角θを45度に設定した。検出点Oからき裂までの距離dは、d=5mmである。
図8に観測された超音波波形を示す。直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1が1.79μs及び5.19μs、4.73μsに明瞭に観測されている。直接波R1の伝搬時間から、(14)式を用いて検出点Oからき裂の距離dを5.2mmと算出した。直接波R1及び迂回波R2の伝搬時間から、(15)及び(17)式を用いてき裂の深さLを5.1mmと算出した。
また、直接波R1及び迂回波R2、モード変換波R−S1の伝搬時間から、(16)及び(17)式を用いてき裂の傾き角θを48.7度と算出した。検出点Oからき裂までの距離d、き裂の深さLの推定値は設定値と良く一致している。き裂の傾き角θの推定値と設定値には3.7度の差が見られるが、音速の測定精度や傾いたスリットの加工精度を考慮すると両者は良く一致していると考えられる。
ここでは、平板に存在する表面き裂の傾き角の推定法について述べてきたが、試験対象が段差を有する場合や曲面を有する場合においても、試験対象の形状が既知であれば本発明の方法及び装置によって表面き裂の先端の位置を決定し、その傾き角を推定することが可能である。
また、実施例1及び2、3ではパルスレーザを照射することによってき裂開口部近傍に超音波を発生させたが、超音波の発生には小型の超音波探触子を使用することが可能である。超音波の検出についても同様であり、光干渉計だけでなく小型の超音波探触子を使用することが可能である。
以上、本発明に係る超音波探傷方法及び装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は、このような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施例があることは言うまでもない。
産業上の利用の可能性
本発明に係る超音波探傷は、以上のような構成であるから、供用中の発電プラントや化学プラント、圧力容器、橋梁等の大型構造物の定期的な非破壊検査や鉄鋼を始めとする金属製品(板材及び棒材、管材、車軸、レール等)及び固体材料一般の製造時におけるオンライン品質管理等に利用できると考えられる。
従来例(特許文献1)の概略図である。 従来例(非特許文献1)の概略図である。 本発明の概略図(発生させる超音波パルス)である。 測定対象である傾いた表面き裂の概略図である。 本発明に係る超音波探傷装置の概略図を示す。 本発明の実施例1における超音波波形(き裂深さL=5mm、傾き角θ=0度)を示す図である。 本発明の実施例2における超音波波形(き裂深さL=3mm、傾き角θ=0度)を示す図である。 本発明の実施例3における超音波波形(き裂深さL=5mm、傾き角θ=45度)を示す図である。
符号の説明
1 欠陥
2 送波用探触子
3 受波用探触子
4 表面き裂
5 表面き裂の開口部
6 表面き裂の先端
7 超音波探傷装置
8 固体
9 開口縁
10 超音波送波器
11 超音波受波器
12 信号処理部
13 表示部
14 制御部
En、Ef き裂開口部のエッジ

Claims (2)

  1. 固体の表面き裂の開口縁に応力を加えて
    前記開口縁の互いに対向するエッジのうちの検出点に近い第1のカ所から該固体表面に沿って検出点まで直接伝搬する表面波超音波である直接波を、前記応力により発生させて、該直接波を前記検出点で検出するとともに、
    前記開口縁の前記第1のカ所に対向する第2のカ所から前記表面き裂の表面に沿ってき裂先端を迂回してから該固体表面に沿って検出点まで伝搬する表面波超音波である迂回波を、前記応力により発生させて、該迂回波を前記検出点で検出し、
    さらに、前記第1のカ所及び第2のカ所から伝搬し、き裂先端で縦波及び横波にそれぞれモード変換した超音波である縦波モード変換波及び横波モード変換波の少なくとも一つを前記検出点で検出し、
    前記直接波と、迂回波と、縦波モード変換波又は横波モード変換波と、についての、それぞれの発生カ所から前記検出点までの伝搬時間、及び超音波の音速に基づいて、表面き裂の傾き角を得ることを特徴とする超音波探傷方法。
  2. 固体の表面き裂の開口縁に超音波を送波する超音波送波器と、前記開口縁から離れた箇所において超音波を受波する超音波受波器と、該超音波受波器に接続された信号処理部と、該信号処理部に接続された表示部と、制御部とを備えた超音波探傷装置であって、
    前記超音波送波器は、前記開口縁に応力を加えて超音波を送波し、前記開口縁の互いに対向するエッジのうちの検出点に近い第1のカ所から該固体表面に沿って検出点まで直接伝搬する表面波超音波である直接波を発生させるとともに、前記開口縁の前記第1のカ所に対向する第2のカ所から前記表面き裂の表面に沿ってき裂先端を迂回してから該固体表面に沿って検出点まで伝搬する表面波超音波である迂回波を発生させるものであり、
    前記超音波受波器は、前記検出点で、前記直接波及び前記迂回波を検出するとともに、前記第1のカ所及び第2のカ所から伝搬し、き裂先端で縦波及び横波にそれぞれモード変換した超音波である縦波モード変換波及び横波モード変換波の少なくとも一つを検出するものであり、
    前記信号処理部は、前記直接波と、迂回波と、縦波モード変換波又は横波モード変換波と、についての、それぞれの発生カ所から前記検出点までの伝搬時間、及び超音波の音速に基づいて、表面き裂の傾き角を得る処理を行うものであることを特徴とする超音波探傷装置。
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