JP2004077292A - 応力腐食割れ検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査装置を提供する。
【解決手段】5〜20MHzの周波数範囲のSH波を構造体10の表面から入射させて、SH波を構造体10の表面の検査対象部位kに向けて伝播させ、検査対象部位kで反射されたSH波の反射波を受信する超音波探触子1と、超音波探触子1を発信させるための駆動信号を出力するとともに、超音波探触子1が受信したSH波の反射波信号を入力する入出力信号処理部2と、入出力信号処理部2の情報に基づいて、構造体10の表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部3とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】5〜20MHzの周波数範囲のSH波を構造体10の表面から入射させて、SH波を構造体10の表面の検査対象部位kに向けて伝播させ、検査対象部位kで反射されたSH波の反射波を受信する超音波探触子1と、超音波探触子1を発信させるための駆動信号を出力するとともに、超音波探触子1が受信したSH波の反射波信号を入力する入出力信号処理部2と、入出力信号処理部2の情報に基づいて、構造体10の表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部3とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材料からなる構造体の表面(例えば化学プラント等の配管外面の溶接部付近)に発生する応力腐食割れを超音波によって検査する応力腐食割れ検査方法、及び、その応力腐食割れ検査方法に用いる検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学プラント等の配管に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼は、海塩粒子が付着した場合など塩化物イオン等のハロゲンイオンが存在する環境で応力(溶接時の残留応力など)が加わると、応力腐食割れが発生することが知られている。また、溶接時の入熱によりクロム炭化物が粒界に析出(鋭敏化)した場合にも、粒界において応力腐食割れが発生しやすくなる。応力腐食割れの発生部位は、例えば、材質がSUS304の配管の溶接部近傍の熱影響部(周溶接部や、ボス等の隅肉溶接部など)である。なお、代表的な割れの寸法は、深さが1mm以下であって、長さは2〜3mm程度から小さいものでは1mm以下であり、割れの方向は、溶接部に対して垂直方向のものや水平方向のものなどがありランダムである。
上記応力腐食割れが進行すると、やがて配管壁に腐食孔が貫通し、管内部の流体が漏洩することになるので、このような事態を避けるため、応力腐食割れを発生初期に検知できる技術が望まれる。配管等の外面の応力腐食割れを検知する技術としては、従来から、浸透探傷試験、渦流探傷試験、超音波探傷試験などが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記浸透探傷試験では腐食部の表面が閉じている場合にはグラインダ等により表面を削る必要があるが、前述のように微少な割れの寸法のため、応力腐食割れの状態は点状にしか見えず、また、渦流探傷試験では、溶接部付近の盛り上がり部分からの信号が雑音となり、いずれも、配管等の表面に発生する微小な応力腐食割れに対して十分な感度を有していないため、応力腐食割れの検査には使用できない。
一方、超音波探傷試験では、現在まで主としてSV波(超音波の振動方向が探傷面に垂直な横波)を発生する超音波探触子が用いられ、SV波の場合には投射角度を表面に対して45度斜め方向にすると内部の微小な割れを検知できる可能性はあるが、投射角度が表面に対して0度程度になる配管等の表面の応力腐食割れの検知には感度が十分ではなかった。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査方法、及びその応力腐食割れ検査方法に用いる応力腐食割れ検査装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る応力腐食割れ検査方法の第一の特徴構成は、請求項1に記載した如く、超音波探触子によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を前記構造体の表面から入射させて、前記SH波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する点にある。
【0006】
同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記構造体の表面から入射したSH波の屈折角が、85〜90度の範囲にある点にある。
【0007】
同第三の特徴構成は、請求項3に記載した如く、上記第二の特徴構成に加えて、前記構造体が管体であり、前記SH波を前記管体の周方向に伝播させるために、前記管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触配置したときに、前記超音波探触子から前記管体の周面に入射する前記SH波の入射角を、前記SH波が前記屈折角で屈折するための適正角度範囲内に入るようにする点にある。
【0008】
同第四の特徴構成は、請求項4に記載した如く、超音波探触子によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を前記構造体の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する点にある。
【0009】
同第五の特徴構成は、請求項5に記載した如く、上記第四の特徴構成に加えて、前記構造体が管体であり、前記表面波を前記管体の周方向に伝播させるために、前記管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触配置したときに、前記超音波探触子から前記管体の周面に入射する前記超音波の入射角を、入射した超音波から発生する前記表面波が前記管体の周面に沿って伝播するための適正角度になるようにする点にある。
【0010】
同第六の特徴構成は、請求項6に記載した如く、上記第一から第五のいずれかの特徴構成に加えて、前記検査対象部位からの前記反射波の振幅計測値を、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて測定した相関データと比較して、前記検査対象部位の応力腐食割れの深さを求める点にある。
【0011】
同第七の特徴構成は、請求項7に記載した如く、上記第一から第六のいずれかの特徴構成に加えて、前記構造体の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行う点にある。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る応力腐食割れ検査装置の第一の特徴構成は、請求項8に記載した如く、上記第一から第七のいずれかの特徴構成の応力腐食割れ検査方法に用いるものであって、前記周波数範囲のSH波もしくは超音波を前記構造体の表面から入射させるとともに、前記構造体の表面の検査対象部位で反射された前記SH波もしくは前記表面波の反射波を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子を発信させるための駆動信号を出力するとともに、前記超音波探触子が受信した前記SH波もしくは表面波の反射波信号を入力する入出力信号処理部と、前記入出力信号処理部の情報に基づいて、前記構造体の表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部とを備えた点にある。
【0013】
同第二の特徴構成は、請求項9に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記超音波探触子を前記構造体の表面に所定の押し付け圧で押し付ける押圧機構を備えている点にある。
【0014】
同第三の特徴構成は、請求項10に記載した如く、上記第二の特徴構成に加えて、前記押圧機構により前記構造体の表面に押し付けられた前記超音波探触子を保持する保持体と、前記保持体を前記構造体の表面上を移動させる移動機構とを備えている点にある。
【0015】
同第四の特徴構成は、請求項11に記載した如く、上記第一から第三のいずれかの特徴構成に加えて、前記構造体の表面における前記超音波探触子の位置を検出する位置検出部を備え、前記判定処理部が、前記位置検出部で検出した前記超音波探触子の位置情報と前記入出力信号処理部に入力した前記SH波もしくは表面波の反射波信号とに基づいて、前記構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析する点にある。
【0016】
以下に作用並びに効果を説明する。
本発明に係る応力腐食割れ検査方法の第一の特徴構成によれば、超音波探触子によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を金属材料からなる構造体の表面から入射させて、前記SH波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する。すなわち、超音波の一種であるSH波が金属材料からなる構造体の表面の検査対象部位で反射された反射波信号に基づいて応力腐食割れの状態を判定する。
【0017】
上記SH波は振動方向が伝播方向に直角で且つ超音波の入射面(超音波探触子の接触面、つまり構造体の表面)に平行な横波であり、振動方向が伝播方向に直角で超音波の入射面(超音波探触子の接触面、つまり構造体の表面)に直角な横波であるSV波と異なり、反射時に横波から縦波へのモード変換が起こらない、表面粗さの影響を受けにくいなどの特性を有している。又、上記SH波は周波数が高いほど検出性能(分解能)が高くなるので、微小な応力腐食割れが検出できるようにSH波の周波数範囲を5〜20MHzと高くしている。一方、SH波の周波数が高いと到達距離が短くなるが、これについては、構造体表面の検査対象部位に極力近い位置に超音波探触子を配置することで対応できる。
従って、金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを、SH波を用いた超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査方法が提供される。
【0018】
同第二の特徴構成によれば、前記構造体の表面から入射したSH波が、85〜90度の範囲の屈折角で屈折して、前記検査対象部位に向けて伝播される。
すなわち、検査対象部位は前記構造体の表面にあり、SH波を構造体の表面近傍に指向させるように屈折角は90度に近いことが望ましいので、85〜90度の範囲にしている。なお、屈折角が90度になると、表面SH波となる。
従って、構造体の表面に発生した応力腐食割れを確実に検出できるようにSH波に指向性を持たせた応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0019】
同第三の特徴構成によれば、前記構造体としての管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触させて配置したとき、その超音波探触子から前記管体の周面に入射するSH波の入射角が、前記屈折角で屈折するための適正角度範囲内に入り、SH波が前記管体の周面に沿って伝播する。
すなわち、上記SH波の入射角が上記適正角度範囲を外れると、前記SH波が前記管体の周面に沿って適正角度で伝播しなくなり、前記検査対象部位からのSH波の反射波信号を得ることができないので、これを避けるために、超音波探触子を管体の周面に接触配置した状態で、管体の周面に入射するSH波の入射角を上記適正角度範囲内に入るように超音波探触子を形成している。
従って、前記構造体が曲率を持った管体である場合に、超音波探触子を管体の周面に接触配置させるだけで、前記SH波を管体の周面に沿って伝播させて、前記検査対象部位からのSH波の反射波信号を得ることができるので、SH波を用いた計測操作が容易であるとともに、適切な検査が可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0020】
同第四の特徴構成によれば、超音波探触子によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を金属材料からなる構造体の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する。すなわち、超音波の一種である表面波が金属材料からなる構造体の表面の検査対象部位で反射された反射波信号に基づいて応力腐食割れの状態を判定する。
【0021】
上記表面波は、レーリー波とも呼ばれ、構造体の表面に沿って伝播して構造体の内部にはほとんど侵入しない波であり、振動成分として縦波成分と構造体の表面に垂直な横波成分を含み、表面欠陥に対する感度が非常に高いなどの特性を有している。また、上記表面波も周波数が高いほど検出性能(分解能)が高くなるので、微小な応力腐食割れが検出できるように上記表面波の周波数範囲は2〜15MHzと高くしている。一方、表面波も周波数が高いと到達距離が短くなるが、これについても、SH波と同様に、構造体表面の検査対象部位に極力近い位置に超音波探触子を配置することで対応できる。
従って、金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを、表面波を用いた超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査方法が提供される。
【0022】
同第五の特徴構成によれば、前記構造体としての管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触させて配置したとき、その超音波探触子から前記管体の周面に入射する超音波の入射角が、入射した超音波から発生する表面波が前記管体の周面に沿って伝播するための適正角度になり、表面波が前記管体の周面に沿って伝播する。
すなわち、上記超音波の入射角が上記適正角度を外れると、前記表面波が前記管体の周面に沿って伝播しなくなり、前記検査対象部位からの表面波の反射波信号を得ることができないので、これを避けるために、超音波探触子を管体の周面に接触配置した状態で、管体の周面に入射する超音波の入射角を上記適正角度になるように超音波探触子を形成している。
従って、前記構造体が曲率を持った管体である場合に、超音波探触子を管体の周面に接触配置させるだけで、前記表面波を管体の周面に沿って適正角度で伝播させて、前記検査対象部位からの表面波の反射波信号を得ることができるので、表面波を用いた計測操作が容易であるとともに、適切な検査が可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0023】
同第六の特徴構成によれば、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて相関データを測定し、前記検査対象部位からの前記反射波の振幅計測値を上記相関データと比較して、前記検査対象部位の応力腐食割れの深さを求める。
すなわち、応力腐食割れを実際に発生させた標準試験物や、応力腐食割れを模擬した欠陥を形成した標準試験物を用意して、その標準試験物の応力腐食割れ又は模擬欠陥の深さと、前記SH波もしくは表面波の反射波の振幅値との相関データを予め測定しておき、その相関データを参照して実際の検査時に得られる反射波の振幅計測値から応力腐食割れの深さを求める。
従って、前記SH波もしくは表面波の反射波の振幅計測値から応力腐食割れの深さを適切に求めることが可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0024】
同第七の特徴構成によれば、前記構造体の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行う。
すなわち、塗膜を通して構造体の表面から前記SH波もしくは前記超音波を入射させ、塗膜を通して前記SH波もしくは前記表面波を受信する。
従って、構造体の表面に塗膜が形成されている場合でも、塗膜が形成されていない場合と同様に応力腐食割れの検査が可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0025】
本発明に係る応力腐食割れ検査装置の第一の特徴構成によれば、入出力信号処理部が超音波探触子に駆動信号を出力すると、超音波探触子から前記周波数範囲のSH波もしくは超音波が発信して前記構造体の表面から入射し、そのSH波もしくは超音波の入射に伴い伝播して、前記構造体の表面の検査対象部位で反射された前記SH波もしくは前記表面波の反射波を超音波探触子が受信する。そして、前記超音波探触子が受信した前記SH波もしくは表面波の反射波信号を入出力信号処理部が入力し、判定処理部が前記入出力信号処理部の情報に基づいて前記構造体の表面の応力腐食割れの状態を判定する。
すなわち、1つの超音波探触子によって前記SH波もしくは超音波の発信と前記SH波もしくは表面波の反射波の受信を行うことで、超音波探触子の数を減らして装置構成を簡素化しながら、超音波探触子の駆動信号の出力と受信信号の入力を行う入出力信号処理部の情報に基づいて、金属材料からなる構造体の外表面に発生した応力腐食割れの状態が自動的に判定される。
従って、前記第一から第七のいずれかの特徴構成の応力腐食割れ検査方法の実施に好適に用いることができる応力腐食割れ検査装置が提供される。
【0026】
同第二の特徴構成によれば、前記超音波探触子が押圧機構によって前記構造体の表面に所定の押し付け圧で押し付けられる。
すなわち、超音波探触子を所定の押し付け圧で前記構造体の表面に押し付けることにより、超音波探触子から発信した超音波を前記構造体の表面から入射させる入射動作と、前記構造体の表面から反射波を受信する受信動作を安定した状態で行うことができる。特に、SH波では、超音波探触子と構造体の表面との間に粘性の高い媒質を介在させる場合があり、超音波探触子の押し付け圧により媒質厚さが変化することから、媒質厚さの変化を発生させないようにするために上記押圧機構は必須となる。
従って、検査の信頼性を確保することが可能となる応力腐食割れ検査装置の好適な実施形態が提供される。
【0027】
同第三の特徴構成によれば、前記押圧機構により前記構造体の表面に押し付けられた超音波探触子を保持する保持体が移動機構によって前記構造体の表面上を移動される。
すなわち、保持体を移動させることにより、超音波探触子を所定の押し付け圧で前記構造体の表面に押し付けた状態で前記構造体の表面上を移動させることができる。
従って、超音波探触子を前記構造体の表面上の異なる位置に移動させて検査を行う場合においても、検査の信頼性を確保することが可能となる応力腐食割れ検査装置の好適な実施形態が提供される。
【0028】
同第四の特徴構成によれば、前記構造体の表面上における前記超音波探触子の位置が位置検出部で検出され、前記判定処理部が、前記位置検出部で検出した前記超音波探触子の位置情報と前記入出力信号処理部に入力した前記SH波もしくは表面波の反射波信号とに基づいて、前記構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析する。
すなわち、構造体の表面上における前記超音波探触子の検出位置情報と、その超音波探触子の位置において得られる前記SH波もしくは表面波の反射波信号から判定した応力腐食割れの状態の情報とを対応させることにより、構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析することができる。
従って、構造体の表面上において応力腐食割れが発生している範囲の情報が得られる応力腐食割れ検査装置の好適な実施形態が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係る応力腐食割れ検査方法、及び、この応力腐食割れ検査方法に用いる応力腐食割れ検査装置の実施形態について、超音波探触子がSH波用の超音波探触子であり、金属材料からなる構造体がSUS304製の管体、具体的には化学プラント等における配管である場合を例に説明する。
【0030】
応力腐食割れ検査装置は、図1に示すように、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を配管10の表面から入射させるとともに、配管10の表面の検査対象部位kで反射されたSH波の反射波を受信する超音波探触子1と、超音波探触子1を発信させるための駆動信号を出力するとともに、超音波探触子1が受信したSH波の反射波信号を入力する入出力信号処理部2と、前記入出力信号処理部2の情報に基づいて、前記配管10表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部3とを備えている。
【0031】
なお、上記SH波の周波数範囲は、微小な応力腐食割れ(欠陥)でも確実に検出できるようにするために、下限周波数を5MHzとしている。一方、上限周波数を20MHzとしたのは、超音波探触子1の製作限界のためであるが、超音波が通過する探触子1の部材及び検査対象部材(配管10)中での超音波の減衰を考慮すれば、実用的な上限周波数は15MHz程度である。
【0032】
上記検査対象部位kは、共にSUS304製の配管10と別部材13を溶接によって固着した箇所であり(図2参照)、配管10の表面から入射したSH波は、上記検査対象部位kに向けて配管10の軸方向に伝播され、検査対象部位kで反射される。そして、良好な反射波信号を得るために、超音波探触子1は検査対象部位k(割れの発生部位)の直近位置まで近接させている。
【0033】
なお、超音波探触子1は、例えば、ジャパンプローブ社製SH波探触子(型式2Z5×5A90−SH)であり、図2に示すように、探触子1内に備えた振動素子1aの振動により、SH波を入射させる。振動素子1aの振動方向は、管の外表面に沿った方向(探触子1の接触面に沿った方向)である。さらに、振動素子1aは管内を伝播してきた反射波を受け取り、電気信号を発生させる。また、SH波を配管10内に効率よく入射できるように、超音波探触子1と配管10の外周面の間には、日合アセチレン社製ソニコートSHN−B25等の粘性の高い媒質12が介挿されている。
【0034】
円筒状のレール5が前記配管10の外周面に対して一定距離を隔てた状態で磁石6によって固定されるとともに、走査部7が周方向に移動自在で且つ位置決め自在な状態でレール5に支持されている。なお、上記レール5は磁石以外にネジ等によって配管10の外周面上に固定してもよい。また、走査部7は、手動操作で移動させるようにするか、あるいは、図示しない電動モータ及びギア等の駆動機構によって駆動されて移動するようにしてもよい。
【0035】
上記走査部7の周方向における基準位置からの移動距離がエンコーダ11によって計測され、このエンコーダ11の情報は前記判定処理部3に入力されている。従って、エンコーダ11によって、前記配管10の表面における超音波探触子1の位置を検出する位置検出部が構成される。具体的には、超音波探触子1の配管10の周方向での位置が検出される。さらに、走査部7から管軸方向に縦アーム8aが伸びるとともに、縦アーム8aの先端部に横アーム8bが配管10の周面に向かう方向に移動自在で且つバネ9によって周面側に押し付けられた状態で支持されている。そして、その横アーム8bの先端部に前記超音波探触子1が取り付けられている。
【0036】
以上より、超音波探触子1を配管10の表面に所定の押し付け圧で押し付ける押圧機構が上記バネ9にて構成され、前記バネ9により前記配管10の表面に押し付けられた前記超音波探触子1を保持する保持体Hが前記縦アーム8aと横アーム8bとによって構成され、前記保持体Hを前記配管10の表面上を移動させる移動機構IKが前記走査部7にて構成される。なお、上記バネ以外の手段で押圧機構を構成してもよい。
【0037】
前記入出力信号処理部2の動作について説明する。先ず、超音波探触子1に対して発信用の駆動信号を出力すると超音波探触子1からSH波が発信し、所定時間経過後に超音波探触子1がSH波の反射波を受信して電気信号を発生するので、その電気信号を反射波信号として入力する。
【0038】
次に、応力腐食割れ検査方法は、超音波探触子1によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を前記配管10の表面から入射させて、前記SH波を前記配管10の表面の検査対象部位kに向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位kで反射した反射波を超音波探触子1によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位kの応力腐食割れの状態を判定するものである。また、上記配管10の表面からから入射したSH波の屈折角α(探触子1の接触面の法線方向とSH波のなす角)が、85〜90度の範囲にあるように、SH波の入射角が設定されている(図2参照)。
【0039】
上記応力腐食割れの状態の判定では、前記判定処理部3が、前記検査対象部位kからの前記反射波の振幅計測値を、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて測定した相関データと比較して、前記検査対象部位kの応力腐食割れの深さを求める。すなわち、標準試験物として、配管10と同じ金属材料について種々の深さの応力腐食割れが発生したサンプルを用意し、この各サンプルに対して実際にSH波を入射させたときの反射波の振幅値(反射エコーの高さ)を測定して、応力腐食割れの深さと反射波の振幅値との相関データを収集し、前記判定処理部3に記憶させておく。このとき、反射波の振幅値を、入射波の振幅値、及び、SH波の入射位置から検査対象部位kまでの距離で正規化しておくことが望ましい。なお、応力腐食割れが発生したサンプルの代わりに、機械加工等によって応力腐食割れと類似の形状を形成したサンプルを用いてもよい。
【0040】
さらに、前記判定処理部3が、前記エンコーダ11で検出した前記超音波探触子1の位置情報と前記入出力信号処理部2に入力した前記SH波の反射波信号とに基づいて、配管10の表面における応力腐食割れの分布状態を解析するように構成されている。すなわち、実際の配管10の検査においては、超音波探触子1で得られた反射波の振幅値から前記相関データを用いて応力腐食割れの深さを求めるとともに、そのときの超音波探触子1の周方向での位置をエンコーダ11によって検出する。そして、上記超音波探触子1の周方向での位置と応力腐食割れの深さの解析結果は、モニター14の画面上に表示され、そのモニター画面を見て、応力腐食割れが発生している範囲、即ち配管10の周方向のどの位置にどの程度の深さの応力腐食割れ深さが発生しているかが判る。なお、上記反射波信号により、SH波の入射位置から応力腐食割れ発生位置までの距離が計測できれば、配管10の周方向及び軸方向の2次元座標での応力腐食割れ深さ分布が判定できる。また、上記解析結果は、必要に応じて、各種記録媒体に記録させる(例えば、プリンタによってハードコピーとして出力する)ことができる。
【0041】
図3に、応力腐食割れ箇所からの表面SH波の反射波(エコー)の波形例を示す。割れの発生箇所は溶接止端部直近箇所で、割れのサイズは、長さ約0.1mm、深さ約1mmであり、周波数を5MHz,10MHz、15MHzと変化させて測定した。縦軸が反射波の振幅(エコーの高さ)、横軸がビーム路程(フルスケール50mm)を表わし、欠陥(割れ箇所)と超音波探触子との距離は20mmである。なお、測定装置はパナメトリクス社製EPOCH4を使用し、反射波のエコー位置を画面上で見易くするために増幅度を適宜調整している。
上記表面SH波の反射波形において、周波数5MHz、10MHz及び15MHzの何れにおいても、欠陥からの反射エコー(矢印で指示している)が明確に検出できていることが判る。
【0042】
〔別実施形態〕
上記実施形態では、管体としての配管10の軸方向にSH波を伝播させて応力腐食割れを検査したが、配管10の周方向にSH波を伝播させて応力腐食割れを検査するようにしてもよい。そして、この場合の応力腐食割れ検査方法では、図4に示すように、前記SH波を前記配管10の周方向に伝播させるために、前記配管10の周面の曲率に合わせた形状の接触面19bを有する前記超音波探触子19を配管10の周面に接触配置したときに、超音波探触子19(実際は振動子19a)から配管10の周面に入射するSH波の入射角γを、SH波が前記屈折角(即ち屈折角αが85〜90度の範囲)で屈折するための適正角度範囲Δγ内に入るようにしている。なお、超音波探触子19は、振動子19aを内蔵した本体部19cにアクリル樹脂製のくさび部19dを接合させた構造であり、図4は接触面19bを配管10の断面形状に合わせて曲率加工した超音波探触子19を横向き姿勢の配管10の頂部tに配置する場合を示す。
【0043】
上記適正角度範囲Δγについて具体的に説明すると、図4(イ)は、SH波の入射点が配管10の頂部tに一致するとともに、SH波の入射角γが適正角度範囲Δγ内に入っている場合で、入射したSH波が適正屈折角(屈折角αが85〜90度の範囲)で屈折して配管10の周面に沿って伝播する状態を示す。図4(ロ)は、SH波の入射点が配管10の頂部tよりも手前側(図の左側)に位置して、SH波の入射角γが適正角度範囲Δγを小側に外れている場合で、入射したSH波が上記適正屈折角よりも小さい屈折角αで屈折して、SH波が配管10の周面から離れて伝播する状態を示す。図4(ハ)は、SH波の入射点が配管10の頂部tよりも奥側(図の右側)に位置して、SH波の入射角γが適正角度範囲Δγを大側に外れている場合で、SH波が配管10の表面で反射されるため、配管10内に伝播するSH波の伝播効率が悪い状態を示す。
【0044】
そして、上記超音波探触子19を図1に示す検査装置に、超音波探触子1の代わりに取り付けて検査を行う。これにより、SH波を配管10の軸方向に伝播させる状態での検査に加えて、SH波を配管10の周方向に伝播させる状態での検査を行うので、配管表面の応力腐食割れをその割れの方向にかかわらず確実に検出することが可能となる。
【0045】
上記実施形態では、SH波を構造体(配管10)の表面に沿って伝播させて、検査対象部位kからの反射波を受信するように構成したが、SH波の代わりに表面波を用いるようにしてもよい。
表面波を用いる場合の応力腐食割れ検査方法では、図5に示すように、超音波探触子20によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波(縦波)を前記配管10の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記配管10の表面の検査対象部位kに向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位kで反射した反射波を超音波探触子20によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位kの応力腐食割れの状態を判定する。
【0046】
また、表面波を用いる場合の応力腐食割れ検査装置は、図1に示したSH波用の検査装置と同様のものであり、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を配管10の表面から入射させて表面波を伝播させるとともに、配管10の表面の検査対象部位kで反射された2〜15MHzの表面波の反射波を受信する超音波探触子20と、超音波探触子20を発信させるための駆動信号を出力するとともに、超音波探触子20が受信した表面波の反射波信号を入力する入出力信号処理部と、前記入出力信号処理部の情報に基づいて、前記配管10表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部を備えている。
【0047】
上記表面波は構造体(配管10)の表面に沿って伝播し、伝播方向に平行な縦波振動成分と構造体(配管10)の表面に垂直な横波振動成分を含んでいる。そして、表面波を発生させるためには、図5に示すように、超音波探触子20に備えた振動素子20aから所定の臨界角βで超音波を入射させる必要がある。
なお、表面波を配管10の周方向に伝播させて応力腐食割れを検査する場合は、図4に示したSH波の場合と類似の構成にする。即ち、表面波を配管10の周方向に伝播させるために、配管10の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する超音波探触子を配管10の周面に接触配置したときに、超音波探触子から配管10の周面に入射する超音波の入射角を、入射した超音波から発生する表面波が配管10の周面に沿って伝播するための適正角度(上記臨界角β)になるように超音波探触子を形成する。
【0048】
また、上記表面波の周波数範囲は、微小な応力腐食割れ(欠陥)でも確実に検出できるようにするために、好ましくは、下限周波数が5MHz程度である。なお、表面波は、前記SH波(表面SH波)よりも表面欠陥に対する感度が高く、低い周波数で検査できる利点がある。一方、上限周波数を15MHzとしたのは、超音波探触子20の製作限界のためであるが、SH波(表面SH波)と比較して表面の荒れの影響を受けやすく、周波数が高いほど影響は顕著になる(表面の荒れによる擬似反射波が大きくなる)ので、実用的な上限周波数は10MHz程度である。
【0049】
図6に、応力腐食割れ箇所からの表面波の反射波(エコー)の波形例を示す。周波数を2MHz,5MHz、10MHzと変化させて測定した。尚、割れの発生箇所、割れのサイズ、グラフの縦軸、横軸等の測定条件は、前記SH波の場合(図3)と同様である。
上記表面波の反射波形において、周波数2MHzでは、溶接部の形状(盛り上がり部分)の影響による擬似エコーのため欠陥が検出できていないが、5MHz及び10MHzでは、欠陥からの反射エコー(矢印で指示している)が明確に検出できていることが判る。
【0050】
上記実施形態では、構造体(配管10)の表面に形成される塗膜については特に説明しなかったが、構造体(配管10)の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行うことが可能である。この場合には、塗膜を通過するときの超音波(SH波、表面波)の減衰率を考慮することで、同様に検査することが可能である。
なお、上記塗膜を除去した状態で検査してもよいが、この場合は、構造体の表面が極力荒れないように塗膜を除去する必要がある。また、構造体の表面を断熱材等が覆っている場合には、断熱材を取り除いて測定する必要がある。
【0051】
上記実施形態では、構造体が管体(配管10)であり、管体の溶接部に残留した応力が原因となる応力腐食割れの検査について説明したが、構造体は管体以外の形状のものであってもよく、また、溶接以外の他の要因による応力腐食割れの検査にも同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る応力腐食割れ検査装置の全体構成図
【図2】入射したSH波の屈折状態を示す断面図
【図3】表面SH波による応力腐食割れの測定結果を示す図
【図4】別実施形態に係る応力腐食割れ検査装置の一部を示す断面図
【図5】別実施形態に係る応力腐食割れ検査用の表面波の伝播状態を示す断面図
【図6】表面波による応力腐食割れの測定結果を示す図
【符号の説明】
1 超音波探触子
2 入出力信号処理部
3 判定処理部
9 押圧機構
10 構造体(管体)
11 位置検出部
19 超音波探触子
20 超音波探触子
H 保持体
IK 移動機構
k 検査対象部位
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材料からなる構造体の表面(例えば化学プラント等の配管外面の溶接部付近)に発生する応力腐食割れを超音波によって検査する応力腐食割れ検査方法、及び、その応力腐食割れ検査方法に用いる検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学プラント等の配管に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼は、海塩粒子が付着した場合など塩化物イオン等のハロゲンイオンが存在する環境で応力(溶接時の残留応力など)が加わると、応力腐食割れが発生することが知られている。また、溶接時の入熱によりクロム炭化物が粒界に析出(鋭敏化)した場合にも、粒界において応力腐食割れが発生しやすくなる。応力腐食割れの発生部位は、例えば、材質がSUS304の配管の溶接部近傍の熱影響部(周溶接部や、ボス等の隅肉溶接部など)である。なお、代表的な割れの寸法は、深さが1mm以下であって、長さは2〜3mm程度から小さいものでは1mm以下であり、割れの方向は、溶接部に対して垂直方向のものや水平方向のものなどがありランダムである。
上記応力腐食割れが進行すると、やがて配管壁に腐食孔が貫通し、管内部の流体が漏洩することになるので、このような事態を避けるため、応力腐食割れを発生初期に検知できる技術が望まれる。配管等の外面の応力腐食割れを検知する技術としては、従来から、浸透探傷試験、渦流探傷試験、超音波探傷試験などが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記浸透探傷試験では腐食部の表面が閉じている場合にはグラインダ等により表面を削る必要があるが、前述のように微少な割れの寸法のため、応力腐食割れの状態は点状にしか見えず、また、渦流探傷試験では、溶接部付近の盛り上がり部分からの信号が雑音となり、いずれも、配管等の表面に発生する微小な応力腐食割れに対して十分な感度を有していないため、応力腐食割れの検査には使用できない。
一方、超音波探傷試験では、現在まで主としてSV波(超音波の振動方向が探傷面に垂直な横波)を発生する超音波探触子が用いられ、SV波の場合には投射角度を表面に対して45度斜め方向にすると内部の微小な割れを検知できる可能性はあるが、投射角度が表面に対して0度程度になる配管等の表面の応力腐食割れの検知には感度が十分ではなかった。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査方法、及びその応力腐食割れ検査方法に用いる応力腐食割れ検査装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る応力腐食割れ検査方法の第一の特徴構成は、請求項1に記載した如く、超音波探触子によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を前記構造体の表面から入射させて、前記SH波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する点にある。
【0006】
同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記構造体の表面から入射したSH波の屈折角が、85〜90度の範囲にある点にある。
【0007】
同第三の特徴構成は、請求項3に記載した如く、上記第二の特徴構成に加えて、前記構造体が管体であり、前記SH波を前記管体の周方向に伝播させるために、前記管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触配置したときに、前記超音波探触子から前記管体の周面に入射する前記SH波の入射角を、前記SH波が前記屈折角で屈折するための適正角度範囲内に入るようにする点にある。
【0008】
同第四の特徴構成は、請求項4に記載した如く、超音波探触子によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を前記構造体の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する点にある。
【0009】
同第五の特徴構成は、請求項5に記載した如く、上記第四の特徴構成に加えて、前記構造体が管体であり、前記表面波を前記管体の周方向に伝播させるために、前記管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触配置したときに、前記超音波探触子から前記管体の周面に入射する前記超音波の入射角を、入射した超音波から発生する前記表面波が前記管体の周面に沿って伝播するための適正角度になるようにする点にある。
【0010】
同第六の特徴構成は、請求項6に記載した如く、上記第一から第五のいずれかの特徴構成に加えて、前記検査対象部位からの前記反射波の振幅計測値を、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて測定した相関データと比較して、前記検査対象部位の応力腐食割れの深さを求める点にある。
【0011】
同第七の特徴構成は、請求項7に記載した如く、上記第一から第六のいずれかの特徴構成に加えて、前記構造体の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行う点にある。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る応力腐食割れ検査装置の第一の特徴構成は、請求項8に記載した如く、上記第一から第七のいずれかの特徴構成の応力腐食割れ検査方法に用いるものであって、前記周波数範囲のSH波もしくは超音波を前記構造体の表面から入射させるとともに、前記構造体の表面の検査対象部位で反射された前記SH波もしくは前記表面波の反射波を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子を発信させるための駆動信号を出力するとともに、前記超音波探触子が受信した前記SH波もしくは表面波の反射波信号を入力する入出力信号処理部と、前記入出力信号処理部の情報に基づいて、前記構造体の表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部とを備えた点にある。
【0013】
同第二の特徴構成は、請求項9に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記超音波探触子を前記構造体の表面に所定の押し付け圧で押し付ける押圧機構を備えている点にある。
【0014】
同第三の特徴構成は、請求項10に記載した如く、上記第二の特徴構成に加えて、前記押圧機構により前記構造体の表面に押し付けられた前記超音波探触子を保持する保持体と、前記保持体を前記構造体の表面上を移動させる移動機構とを備えている点にある。
【0015】
同第四の特徴構成は、請求項11に記載した如く、上記第一から第三のいずれかの特徴構成に加えて、前記構造体の表面における前記超音波探触子の位置を検出する位置検出部を備え、前記判定処理部が、前記位置検出部で検出した前記超音波探触子の位置情報と前記入出力信号処理部に入力した前記SH波もしくは表面波の反射波信号とに基づいて、前記構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析する点にある。
【0016】
以下に作用並びに効果を説明する。
本発明に係る応力腐食割れ検査方法の第一の特徴構成によれば、超音波探触子によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を金属材料からなる構造体の表面から入射させて、前記SH波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する。すなわち、超音波の一種であるSH波が金属材料からなる構造体の表面の検査対象部位で反射された反射波信号に基づいて応力腐食割れの状態を判定する。
【0017】
上記SH波は振動方向が伝播方向に直角で且つ超音波の入射面(超音波探触子の接触面、つまり構造体の表面)に平行な横波であり、振動方向が伝播方向に直角で超音波の入射面(超音波探触子の接触面、つまり構造体の表面)に直角な横波であるSV波と異なり、反射時に横波から縦波へのモード変換が起こらない、表面粗さの影響を受けにくいなどの特性を有している。又、上記SH波は周波数が高いほど検出性能(分解能)が高くなるので、微小な応力腐食割れが検出できるようにSH波の周波数範囲を5〜20MHzと高くしている。一方、SH波の周波数が高いと到達距離が短くなるが、これについては、構造体表面の検査対象部位に極力近い位置に超音波探触子を配置することで対応できる。
従って、金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを、SH波を用いた超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査方法が提供される。
【0018】
同第二の特徴構成によれば、前記構造体の表面から入射したSH波が、85〜90度の範囲の屈折角で屈折して、前記検査対象部位に向けて伝播される。
すなわち、検査対象部位は前記構造体の表面にあり、SH波を構造体の表面近傍に指向させるように屈折角は90度に近いことが望ましいので、85〜90度の範囲にしている。なお、屈折角が90度になると、表面SH波となる。
従って、構造体の表面に発生した応力腐食割れを確実に検出できるようにSH波に指向性を持たせた応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0019】
同第三の特徴構成によれば、前記構造体としての管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触させて配置したとき、その超音波探触子から前記管体の周面に入射するSH波の入射角が、前記屈折角で屈折するための適正角度範囲内に入り、SH波が前記管体の周面に沿って伝播する。
すなわち、上記SH波の入射角が上記適正角度範囲を外れると、前記SH波が前記管体の周面に沿って適正角度で伝播しなくなり、前記検査対象部位からのSH波の反射波信号を得ることができないので、これを避けるために、超音波探触子を管体の周面に接触配置した状態で、管体の周面に入射するSH波の入射角を上記適正角度範囲内に入るように超音波探触子を形成している。
従って、前記構造体が曲率を持った管体である場合に、超音波探触子を管体の周面に接触配置させるだけで、前記SH波を管体の周面に沿って伝播させて、前記検査対象部位からのSH波の反射波信号を得ることができるので、SH波を用いた計測操作が容易であるとともに、適切な検査が可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0020】
同第四の特徴構成によれば、超音波探触子によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を金属材料からなる構造体の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する。すなわち、超音波の一種である表面波が金属材料からなる構造体の表面の検査対象部位で反射された反射波信号に基づいて応力腐食割れの状態を判定する。
【0021】
上記表面波は、レーリー波とも呼ばれ、構造体の表面に沿って伝播して構造体の内部にはほとんど侵入しない波であり、振動成分として縦波成分と構造体の表面に垂直な横波成分を含み、表面欠陥に対する感度が非常に高いなどの特性を有している。また、上記表面波も周波数が高いほど検出性能(分解能)が高くなるので、微小な応力腐食割れが検出できるように上記表面波の周波数範囲は2〜15MHzと高くしている。一方、表面波も周波数が高いと到達距離が短くなるが、これについても、SH波と同様に、構造体表面の検査対象部位に極力近い位置に超音波探触子を配置することで対応できる。
従って、金属材料からなる構造体の外表面に発生した微小な応力腐食割れを、表面波を用いた超音波探傷法によって高感度に検知することが可能となる応力腐食割れ検査方法が提供される。
【0022】
同第五の特徴構成によれば、前記構造体としての管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触させて配置したとき、その超音波探触子から前記管体の周面に入射する超音波の入射角が、入射した超音波から発生する表面波が前記管体の周面に沿って伝播するための適正角度になり、表面波が前記管体の周面に沿って伝播する。
すなわち、上記超音波の入射角が上記適正角度を外れると、前記表面波が前記管体の周面に沿って伝播しなくなり、前記検査対象部位からの表面波の反射波信号を得ることができないので、これを避けるために、超音波探触子を管体の周面に接触配置した状態で、管体の周面に入射する超音波の入射角を上記適正角度になるように超音波探触子を形成している。
従って、前記構造体が曲率を持った管体である場合に、超音波探触子を管体の周面に接触配置させるだけで、前記表面波を管体の周面に沿って適正角度で伝播させて、前記検査対象部位からの表面波の反射波信号を得ることができるので、表面波を用いた計測操作が容易であるとともに、適切な検査が可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0023】
同第六の特徴構成によれば、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて相関データを測定し、前記検査対象部位からの前記反射波の振幅計測値を上記相関データと比較して、前記検査対象部位の応力腐食割れの深さを求める。
すなわち、応力腐食割れを実際に発生させた標準試験物や、応力腐食割れを模擬した欠陥を形成した標準試験物を用意して、その標準試験物の応力腐食割れ又は模擬欠陥の深さと、前記SH波もしくは表面波の反射波の振幅値との相関データを予め測定しておき、その相関データを参照して実際の検査時に得られる反射波の振幅計測値から応力腐食割れの深さを求める。
従って、前記SH波もしくは表面波の反射波の振幅計測値から応力腐食割れの深さを適切に求めることが可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0024】
同第七の特徴構成によれば、前記構造体の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行う。
すなわち、塗膜を通して構造体の表面から前記SH波もしくは前記超音波を入射させ、塗膜を通して前記SH波もしくは前記表面波を受信する。
従って、構造体の表面に塗膜が形成されている場合でも、塗膜が形成されていない場合と同様に応力腐食割れの検査が可能となる応力腐食割れ検査方法の好適な実施形態が提供される。
【0025】
本発明に係る応力腐食割れ検査装置の第一の特徴構成によれば、入出力信号処理部が超音波探触子に駆動信号を出力すると、超音波探触子から前記周波数範囲のSH波もしくは超音波が発信して前記構造体の表面から入射し、そのSH波もしくは超音波の入射に伴い伝播して、前記構造体の表面の検査対象部位で反射された前記SH波もしくは前記表面波の反射波を超音波探触子が受信する。そして、前記超音波探触子が受信した前記SH波もしくは表面波の反射波信号を入出力信号処理部が入力し、判定処理部が前記入出力信号処理部の情報に基づいて前記構造体の表面の応力腐食割れの状態を判定する。
すなわち、1つの超音波探触子によって前記SH波もしくは超音波の発信と前記SH波もしくは表面波の反射波の受信を行うことで、超音波探触子の数を減らして装置構成を簡素化しながら、超音波探触子の駆動信号の出力と受信信号の入力を行う入出力信号処理部の情報に基づいて、金属材料からなる構造体の外表面に発生した応力腐食割れの状態が自動的に判定される。
従って、前記第一から第七のいずれかの特徴構成の応力腐食割れ検査方法の実施に好適に用いることができる応力腐食割れ検査装置が提供される。
【0026】
同第二の特徴構成によれば、前記超音波探触子が押圧機構によって前記構造体の表面に所定の押し付け圧で押し付けられる。
すなわち、超音波探触子を所定の押し付け圧で前記構造体の表面に押し付けることにより、超音波探触子から発信した超音波を前記構造体の表面から入射させる入射動作と、前記構造体の表面から反射波を受信する受信動作を安定した状態で行うことができる。特に、SH波では、超音波探触子と構造体の表面との間に粘性の高い媒質を介在させる場合があり、超音波探触子の押し付け圧により媒質厚さが変化することから、媒質厚さの変化を発生させないようにするために上記押圧機構は必須となる。
従って、検査の信頼性を確保することが可能となる応力腐食割れ検査装置の好適な実施形態が提供される。
【0027】
同第三の特徴構成によれば、前記押圧機構により前記構造体の表面に押し付けられた超音波探触子を保持する保持体が移動機構によって前記構造体の表面上を移動される。
すなわち、保持体を移動させることにより、超音波探触子を所定の押し付け圧で前記構造体の表面に押し付けた状態で前記構造体の表面上を移動させることができる。
従って、超音波探触子を前記構造体の表面上の異なる位置に移動させて検査を行う場合においても、検査の信頼性を確保することが可能となる応力腐食割れ検査装置の好適な実施形態が提供される。
【0028】
同第四の特徴構成によれば、前記構造体の表面上における前記超音波探触子の位置が位置検出部で検出され、前記判定処理部が、前記位置検出部で検出した前記超音波探触子の位置情報と前記入出力信号処理部に入力した前記SH波もしくは表面波の反射波信号とに基づいて、前記構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析する。
すなわち、構造体の表面上における前記超音波探触子の検出位置情報と、その超音波探触子の位置において得られる前記SH波もしくは表面波の反射波信号から判定した応力腐食割れの状態の情報とを対応させることにより、構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析することができる。
従って、構造体の表面上において応力腐食割れが発生している範囲の情報が得られる応力腐食割れ検査装置の好適な実施形態が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係る応力腐食割れ検査方法、及び、この応力腐食割れ検査方法に用いる応力腐食割れ検査装置の実施形態について、超音波探触子がSH波用の超音波探触子であり、金属材料からなる構造体がSUS304製の管体、具体的には化学プラント等における配管である場合を例に説明する。
【0030】
応力腐食割れ検査装置は、図1に示すように、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を配管10の表面から入射させるとともに、配管10の表面の検査対象部位kで反射されたSH波の反射波を受信する超音波探触子1と、超音波探触子1を発信させるための駆動信号を出力するとともに、超音波探触子1が受信したSH波の反射波信号を入力する入出力信号処理部2と、前記入出力信号処理部2の情報に基づいて、前記配管10表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部3とを備えている。
【0031】
なお、上記SH波の周波数範囲は、微小な応力腐食割れ(欠陥)でも確実に検出できるようにするために、下限周波数を5MHzとしている。一方、上限周波数を20MHzとしたのは、超音波探触子1の製作限界のためであるが、超音波が通過する探触子1の部材及び検査対象部材(配管10)中での超音波の減衰を考慮すれば、実用的な上限周波数は15MHz程度である。
【0032】
上記検査対象部位kは、共にSUS304製の配管10と別部材13を溶接によって固着した箇所であり(図2参照)、配管10の表面から入射したSH波は、上記検査対象部位kに向けて配管10の軸方向に伝播され、検査対象部位kで反射される。そして、良好な反射波信号を得るために、超音波探触子1は検査対象部位k(割れの発生部位)の直近位置まで近接させている。
【0033】
なお、超音波探触子1は、例えば、ジャパンプローブ社製SH波探触子(型式2Z5×5A90−SH)であり、図2に示すように、探触子1内に備えた振動素子1aの振動により、SH波を入射させる。振動素子1aの振動方向は、管の外表面に沿った方向(探触子1の接触面に沿った方向)である。さらに、振動素子1aは管内を伝播してきた反射波を受け取り、電気信号を発生させる。また、SH波を配管10内に効率よく入射できるように、超音波探触子1と配管10の外周面の間には、日合アセチレン社製ソニコートSHN−B25等の粘性の高い媒質12が介挿されている。
【0034】
円筒状のレール5が前記配管10の外周面に対して一定距離を隔てた状態で磁石6によって固定されるとともに、走査部7が周方向に移動自在で且つ位置決め自在な状態でレール5に支持されている。なお、上記レール5は磁石以外にネジ等によって配管10の外周面上に固定してもよい。また、走査部7は、手動操作で移動させるようにするか、あるいは、図示しない電動モータ及びギア等の駆動機構によって駆動されて移動するようにしてもよい。
【0035】
上記走査部7の周方向における基準位置からの移動距離がエンコーダ11によって計測され、このエンコーダ11の情報は前記判定処理部3に入力されている。従って、エンコーダ11によって、前記配管10の表面における超音波探触子1の位置を検出する位置検出部が構成される。具体的には、超音波探触子1の配管10の周方向での位置が検出される。さらに、走査部7から管軸方向に縦アーム8aが伸びるとともに、縦アーム8aの先端部に横アーム8bが配管10の周面に向かう方向に移動自在で且つバネ9によって周面側に押し付けられた状態で支持されている。そして、その横アーム8bの先端部に前記超音波探触子1が取り付けられている。
【0036】
以上より、超音波探触子1を配管10の表面に所定の押し付け圧で押し付ける押圧機構が上記バネ9にて構成され、前記バネ9により前記配管10の表面に押し付けられた前記超音波探触子1を保持する保持体Hが前記縦アーム8aと横アーム8bとによって構成され、前記保持体Hを前記配管10の表面上を移動させる移動機構IKが前記走査部7にて構成される。なお、上記バネ以外の手段で押圧機構を構成してもよい。
【0037】
前記入出力信号処理部2の動作について説明する。先ず、超音波探触子1に対して発信用の駆動信号を出力すると超音波探触子1からSH波が発信し、所定時間経過後に超音波探触子1がSH波の反射波を受信して電気信号を発生するので、その電気信号を反射波信号として入力する。
【0038】
次に、応力腐食割れ検査方法は、超音波探触子1によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を前記配管10の表面から入射させて、前記SH波を前記配管10の表面の検査対象部位kに向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位kで反射した反射波を超音波探触子1によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位kの応力腐食割れの状態を判定するものである。また、上記配管10の表面からから入射したSH波の屈折角α(探触子1の接触面の法線方向とSH波のなす角)が、85〜90度の範囲にあるように、SH波の入射角が設定されている(図2参照)。
【0039】
上記応力腐食割れの状態の判定では、前記判定処理部3が、前記検査対象部位kからの前記反射波の振幅計測値を、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて測定した相関データと比較して、前記検査対象部位kの応力腐食割れの深さを求める。すなわち、標準試験物として、配管10と同じ金属材料について種々の深さの応力腐食割れが発生したサンプルを用意し、この各サンプルに対して実際にSH波を入射させたときの反射波の振幅値(反射エコーの高さ)を測定して、応力腐食割れの深さと反射波の振幅値との相関データを収集し、前記判定処理部3に記憶させておく。このとき、反射波の振幅値を、入射波の振幅値、及び、SH波の入射位置から検査対象部位kまでの距離で正規化しておくことが望ましい。なお、応力腐食割れが発生したサンプルの代わりに、機械加工等によって応力腐食割れと類似の形状を形成したサンプルを用いてもよい。
【0040】
さらに、前記判定処理部3が、前記エンコーダ11で検出した前記超音波探触子1の位置情報と前記入出力信号処理部2に入力した前記SH波の反射波信号とに基づいて、配管10の表面における応力腐食割れの分布状態を解析するように構成されている。すなわち、実際の配管10の検査においては、超音波探触子1で得られた反射波の振幅値から前記相関データを用いて応力腐食割れの深さを求めるとともに、そのときの超音波探触子1の周方向での位置をエンコーダ11によって検出する。そして、上記超音波探触子1の周方向での位置と応力腐食割れの深さの解析結果は、モニター14の画面上に表示され、そのモニター画面を見て、応力腐食割れが発生している範囲、即ち配管10の周方向のどの位置にどの程度の深さの応力腐食割れ深さが発生しているかが判る。なお、上記反射波信号により、SH波の入射位置から応力腐食割れ発生位置までの距離が計測できれば、配管10の周方向及び軸方向の2次元座標での応力腐食割れ深さ分布が判定できる。また、上記解析結果は、必要に応じて、各種記録媒体に記録させる(例えば、プリンタによってハードコピーとして出力する)ことができる。
【0041】
図3に、応力腐食割れ箇所からの表面SH波の反射波(エコー)の波形例を示す。割れの発生箇所は溶接止端部直近箇所で、割れのサイズは、長さ約0.1mm、深さ約1mmであり、周波数を5MHz,10MHz、15MHzと変化させて測定した。縦軸が反射波の振幅(エコーの高さ)、横軸がビーム路程(フルスケール50mm)を表わし、欠陥(割れ箇所)と超音波探触子との距離は20mmである。なお、測定装置はパナメトリクス社製EPOCH4を使用し、反射波のエコー位置を画面上で見易くするために増幅度を適宜調整している。
上記表面SH波の反射波形において、周波数5MHz、10MHz及び15MHzの何れにおいても、欠陥からの反射エコー(矢印で指示している)が明確に検出できていることが判る。
【0042】
〔別実施形態〕
上記実施形態では、管体としての配管10の軸方向にSH波を伝播させて応力腐食割れを検査したが、配管10の周方向にSH波を伝播させて応力腐食割れを検査するようにしてもよい。そして、この場合の応力腐食割れ検査方法では、図4に示すように、前記SH波を前記配管10の周方向に伝播させるために、前記配管10の周面の曲率に合わせた形状の接触面19bを有する前記超音波探触子19を配管10の周面に接触配置したときに、超音波探触子19(実際は振動子19a)から配管10の周面に入射するSH波の入射角γを、SH波が前記屈折角(即ち屈折角αが85〜90度の範囲)で屈折するための適正角度範囲Δγ内に入るようにしている。なお、超音波探触子19は、振動子19aを内蔵した本体部19cにアクリル樹脂製のくさび部19dを接合させた構造であり、図4は接触面19bを配管10の断面形状に合わせて曲率加工した超音波探触子19を横向き姿勢の配管10の頂部tに配置する場合を示す。
【0043】
上記適正角度範囲Δγについて具体的に説明すると、図4(イ)は、SH波の入射点が配管10の頂部tに一致するとともに、SH波の入射角γが適正角度範囲Δγ内に入っている場合で、入射したSH波が適正屈折角(屈折角αが85〜90度の範囲)で屈折して配管10の周面に沿って伝播する状態を示す。図4(ロ)は、SH波の入射点が配管10の頂部tよりも手前側(図の左側)に位置して、SH波の入射角γが適正角度範囲Δγを小側に外れている場合で、入射したSH波が上記適正屈折角よりも小さい屈折角αで屈折して、SH波が配管10の周面から離れて伝播する状態を示す。図4(ハ)は、SH波の入射点が配管10の頂部tよりも奥側(図の右側)に位置して、SH波の入射角γが適正角度範囲Δγを大側に外れている場合で、SH波が配管10の表面で反射されるため、配管10内に伝播するSH波の伝播効率が悪い状態を示す。
【0044】
そして、上記超音波探触子19を図1に示す検査装置に、超音波探触子1の代わりに取り付けて検査を行う。これにより、SH波を配管10の軸方向に伝播させる状態での検査に加えて、SH波を配管10の周方向に伝播させる状態での検査を行うので、配管表面の応力腐食割れをその割れの方向にかかわらず確実に検出することが可能となる。
【0045】
上記実施形態では、SH波を構造体(配管10)の表面に沿って伝播させて、検査対象部位kからの反射波を受信するように構成したが、SH波の代わりに表面波を用いるようにしてもよい。
表面波を用いる場合の応力腐食割れ検査方法では、図5に示すように、超音波探触子20によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波(縦波)を前記配管10の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記配管10の表面の検査対象部位kに向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位kで反射した反射波を超音波探触子20によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位kの応力腐食割れの状態を判定する。
【0046】
また、表面波を用いる場合の応力腐食割れ検査装置は、図1に示したSH波用の検査装置と同様のものであり、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を配管10の表面から入射させて表面波を伝播させるとともに、配管10の表面の検査対象部位kで反射された2〜15MHzの表面波の反射波を受信する超音波探触子20と、超音波探触子20を発信させるための駆動信号を出力するとともに、超音波探触子20が受信した表面波の反射波信号を入力する入出力信号処理部と、前記入出力信号処理部の情報に基づいて、前記配管10表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部を備えている。
【0047】
上記表面波は構造体(配管10)の表面に沿って伝播し、伝播方向に平行な縦波振動成分と構造体(配管10)の表面に垂直な横波振動成分を含んでいる。そして、表面波を発生させるためには、図5に示すように、超音波探触子20に備えた振動素子20aから所定の臨界角βで超音波を入射させる必要がある。
なお、表面波を配管10の周方向に伝播させて応力腐食割れを検査する場合は、図4に示したSH波の場合と類似の構成にする。即ち、表面波を配管10の周方向に伝播させるために、配管10の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する超音波探触子を配管10の周面に接触配置したときに、超音波探触子から配管10の周面に入射する超音波の入射角を、入射した超音波から発生する表面波が配管10の周面に沿って伝播するための適正角度(上記臨界角β)になるように超音波探触子を形成する。
【0048】
また、上記表面波の周波数範囲は、微小な応力腐食割れ(欠陥)でも確実に検出できるようにするために、好ましくは、下限周波数が5MHz程度である。なお、表面波は、前記SH波(表面SH波)よりも表面欠陥に対する感度が高く、低い周波数で検査できる利点がある。一方、上限周波数を15MHzとしたのは、超音波探触子20の製作限界のためであるが、SH波(表面SH波)と比較して表面の荒れの影響を受けやすく、周波数が高いほど影響は顕著になる(表面の荒れによる擬似反射波が大きくなる)ので、実用的な上限周波数は10MHz程度である。
【0049】
図6に、応力腐食割れ箇所からの表面波の反射波(エコー)の波形例を示す。周波数を2MHz,5MHz、10MHzと変化させて測定した。尚、割れの発生箇所、割れのサイズ、グラフの縦軸、横軸等の測定条件は、前記SH波の場合(図3)と同様である。
上記表面波の反射波形において、周波数2MHzでは、溶接部の形状(盛り上がり部分)の影響による擬似エコーのため欠陥が検出できていないが、5MHz及び10MHzでは、欠陥からの反射エコー(矢印で指示している)が明確に検出できていることが判る。
【0050】
上記実施形態では、構造体(配管10)の表面に形成される塗膜については特に説明しなかったが、構造体(配管10)の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行うことが可能である。この場合には、塗膜を通過するときの超音波(SH波、表面波)の減衰率を考慮することで、同様に検査することが可能である。
なお、上記塗膜を除去した状態で検査してもよいが、この場合は、構造体の表面が極力荒れないように塗膜を除去する必要がある。また、構造体の表面を断熱材等が覆っている場合には、断熱材を取り除いて測定する必要がある。
【0051】
上記実施形態では、構造体が管体(配管10)であり、管体の溶接部に残留した応力が原因となる応力腐食割れの検査について説明したが、構造体は管体以外の形状のものであってもよく、また、溶接以外の他の要因による応力腐食割れの検査にも同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る応力腐食割れ検査装置の全体構成図
【図2】入射したSH波の屈折状態を示す断面図
【図3】表面SH波による応力腐食割れの測定結果を示す図
【図4】別実施形態に係る応力腐食割れ検査装置の一部を示す断面図
【図5】別実施形態に係る応力腐食割れ検査用の表面波の伝播状態を示す断面図
【図6】表面波による応力腐食割れの測定結果を示す図
【符号の説明】
1 超音波探触子
2 入出力信号処理部
3 判定処理部
9 押圧機構
10 構造体(管体)
11 位置検出部
19 超音波探触子
20 超音波探触子
H 保持体
IK 移動機構
k 検査対象部位
Claims (11)
- 金属材料からなる構造体の表面に発生する応力腐食割れを超音波によって検査する応力腐食割れ検査方法であって、
超音波探触子によって、5〜20MHzの周波数範囲のSH波を前記構造体の表面から入射させて、前記SH波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記SH波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記SH波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する応力腐食割れ検査方法。 - 前記構造体の表面から入射したSH波の屈折角が、85〜90度の範囲にある請求項1記載の応力腐食割れ検査方法。
- 前記構造体が管体であり、前記SH波を前記管体の周方向に伝播させるために、前記管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触配置したときに、前記超音波探触子から前記管体の周面に入射する前記SH波の入射角を、前記SH波が前記屈折角で屈折するための適正角度範囲内に入るようにする請求項2記載の応力腐食割れ検査方法。
- 金属材料からなる構造体の表面に発生する応力腐食割れを超音波によって検査する応力腐食割れ検査方法であって、
超音波探触子によって、2〜15MHzの周波数範囲の超音波を前記構造体の表面から入射させて、2〜15MHzの周波数範囲の表面波を前記構造体の表面の検査対象部位に向けて伝播させ、前記表面波が前記検査対象部位で反射した反射波を超音波探触子によって受信して、前記表面波の反射波信号に基づいて前記検査対象部位の応力腐食割れの状態を判定する応力腐食割れ検査方法。 - 前記構造体が管体であり、前記表面波を前記管体の周方向に伝播させるために、前記管体の周面の曲率に合わせた形状の接触面を有する前記超音波探触子を前記管体の周面に接触配置したときに、前記超音波探触子から前記管体の周面に入射する前記超音波の入射角を、入射した超音波から発生する前記表面波が前記管体の周面に沿って伝播するための適正角度になるようにする請求項4記載の応力腐食割れ検査方法。
- 前記検査対象部位からの前記反射波の振幅計測値を、応力腐食割れの深さとその応力腐食割れからの前記反射波の振幅値との対応関係について予め標準試験物を用いて測定した相関データと比較して、前記検査対象部位の応力腐食割れの深さを求める請求項1〜5のいずれかに記載の応力腐食割れ検査方法。
- 前記構造体の表面に塗膜が形成されている場合に、その塗膜形成状態で前記応力腐食割れの検査を行う請求項1〜6のいずれかに記載の応力腐食割れ検査方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の応力腐食割れ検査方法に用いる応力腐食割れ検査装置であって、
前記周波数範囲のSH波もしくは超音波を前記構造体の表面から入射させるとともに、前記構造体の表面の検査対象部位で反射された前記SH波もしくは前記表面波の反射波を受信する超音波探触子と、
前記超音波探触子を発信させるための駆動信号を出力するとともに、前記超音波探触子が受信した前記SH波もしくは表面波の反射波信号を入力する入出力信号処理部と、
前記入出力信号処理部の情報に基づいて、前記構造体の表面の応力腐食割れの状態を判定する判定処理部とを備えた応力腐食割れ検査装置。 - 前記超音波探触子を前記構造体の表面に所定の押し付け圧で押し付ける押圧機構を備えている請求項8記載の応力腐食割れ検査装置。
- 前記押圧機構により前記構造体の表面に押し付けられた前記超音波探触子を保持する保持体と、前記保持体を前記構造体の表面上を移動させる移動機構とを備えている請求項9記載の応力腐食割れ検査装置。
- 前記構造体の表面における前記超音波探触子の位置を検出する位置検出部を備え、
前記判定処理部が、前記位置検出部で検出した前記超音波探触子の位置情報と前記入出力信号処理部に入力した前記SH波もしくは表面波の反射波信号とに基づいて、前記構造体の表面における応力腐食割れの分布状態を解析する請求項8〜10のいずれかに記載の応力腐食割れ検査装置。
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