JP2014194379A - 損傷長測定システム及び損傷長測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被測定物に超音波振動を加える振動子(21a,21b)と、振動子から発振され被測定物を伝播する振動波を検知する振動検知センサ(22a,22b)と、振動子の発振を制御し振動検知センサの検知信号を演算処理して各振動検知センサが検出した振動波を解析する演算処理装置(28,29)とを備えた損傷長測定システムにおいて、振動子と振動検知センサは、互いの設置位置を移動させることなく伝播経路の異なる3種類以上の受振結果が得られるように、2以上の振動子または2以上の振動検知センサが振動伝播方向と直交する方向に並んで配置され、演算処理装置は1または2以上の振動検知センサにより検出した3種類以上の振動波の最大ピークの到達時間をそれぞれ算出し、算出された3以上の到達時間に基づいて損傷長さを計算し、出力する損傷長さを決定するようにした。
【選択図】図1
Description
特許文献1の発明においては、図7に示すように、板状の部材1の表面にピエゾ素子等からなる振動子3が設置される。また、部材1の表面に接着剤によって接着された部材2には、振動の伝播方向に沿って複数個のFBG光ファイバセンサ等の振動検知センサ4,5,6が設置される。そして、振動子を加振して母材に振動を与え、振動子から被測定物を介して振動検知センサに伝播する振動の到達時間が計測装置7によって計測される。
特許文献1の測定方法では、図8(b)に示すようにピークが明確でない振動波形が観測された場合、距離の測定が困難であり、誤った計測結果により損傷がないあるいはかなり進展していると判断されてしまうおそれもある。
被測定物に超音波振動を加える振動子と、
前記振動子から発振され前記被測定物を伝播する振動波を検知する振動検知センサと、
前記振動子の発振を制御し、前記振動検知センサの検知信号を演算処理して各振動検知センサが検出した振動波を解析する演算処理装置と、を備えた損傷長測定システムであって、
前記振動子と前記振動検知センサは、互いの設置位置を移動させることなく伝播経路の異なる3種類以上の受振結果が得られるように、2以上の振動子または2以上の振動検知センサが、振動伝播方向と直交する方向に並んで配置され、
前記演算処理装置は、1または2以上の振動検知センサにより検出した3種類以上の振動波の最大ピークの到達時間をそれぞれ算出し、
算出された3以上の到達時間と、損傷の無い被測定物に対する測定で得られた到達時間と、に基づいて損傷長さを算出し、算出された複数の損傷長さに基づいて出力する損傷長さを決定するようにしたものである。
本発明によれば、伝播経路の異なる3種類以上の振動波形に基づいて損傷長を決定するので、例えば平均値を算出することによって高精度な損傷長測定値を得ることができる。
上記のように平均値から所定値以上ずれている損傷長さを破棄することで、ピークが明確でない振動波形を計算に含ませないようにすることができ、より高精度に損傷長を測定することができる。
前記演算処理装置は、
前記2個の振動子を順に駆動制御して前記被測定物に超音波振動を加え、前記被測定物を伝播する振動波を前記2個の振動検知センサによりそれぞれ検知して、各振動波に対応する4つの到達時間を算出するようにする。
2個の振動子及び2個の振動検知センサを振動伝播方向と直交する方向に並んで配置することで伝播経路の異なる4種類の振動波形を計測できるので、3個以上の振動子を設けて3回以上に分けて振動子を振動させる場合よりも短時間で測定結果が得られる。また、1個の振動子及び3個の振動検知センサを設ける場合に比べてより高い精度で損傷長を測定することができる。
前記振動子は前記第1部材の所定部位に第2部材の端面と平行に設置され、前記振動検知センサは前記第2部材の端部に沿って設置されているように構成してもよい。
これにより、第1部材からの第2部材の剥がれ長さを高精度に測定することができる。
被測定物に超音波振動を加える振動子と、前記振動子から発振され前記被測定物を伝播する振動波を検知する振動検知センサとを有し、2以上の振動子が、振動伝播方向と直交する方向に並んで配置され、
前記振動子の発振を制御し、前記振動検知センサの検知信号を演算処理して各振動検知センサが検出した振動波を解析する演算処理装置を備えた損傷長測定システムにおける損傷長測定方法であって、
前記演算処理装置は、
損傷の無い被測定物に対して、前記2以上の振動子を順次振動させて前記被測定物に超音波振動を加え、前記被測定物を伝播する振動波を前記振動検知センサにより検知し、前記振動検知センサにより検出した各振動波の最大ピークの到達時間をそれぞれ算出して初期状態の到達時間として記憶手段に記憶し、
損傷の有無を計測したい被測定物に対して、前記2以上の振動子を順次振動させて前記被測定物に超音波振動を加え、
前記被測定物を伝播する振動波を前記振動検知センサにより検知して、前記振動検知センサにより検出した各振動波の最大ピークの到達時間を算出し、
算出された複数の到達時間から前記記憶手段から読み出した初期状態の到達時間を差し引いた時間に基づいて損傷長さを算出し、算出された複数の損傷長さに基づいて出力する損傷長さを決定するようにしたものである。
なお、本実施形態の損傷長測定システムにおける被測定物は、比較的広い面積の平坦もしくは湾曲した板状の第1部材11の表面に、該第1部材11よりも小さな第2部材12が、接着または一体成型等により結合されたものである。
また、第1部材11の表面に接着または結合された第2部材12には、その端部に2つの振動検知センサ22a,22bがエッジEの方向(図1(B)では上下方向)に沿って同じく横並びに設置され、接着剤により固定されている。振動検知センサ22a,22bは受振素子として機能する。
この実施例では、振動子21a(21b)と振動検知センサ22a(22b)の並びの方向を振動伝播方向、振動検知センサ22aと22bの並びの方向を振動伝播方向に対して直交する方向と称する。なお、第2部材12に設置されている振動検知センサ22a,22bの実質的な検知部Gは、先端すなわち第2部材12のエッジEから数ミリ(例えば1.5mm)の部分である。これにより、センサ部分Sの長さ以上の損傷(剥がれ)を高精度に検出することができる。
一方、振動検知センサ22a,22bには、FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)光ファイバセンサを使用している。なお、FBGセンサは、素線状のものでもテープ状のもので良い。図1にはテープ状のFBGセンサを使用した場合の例が示されている。
また、損傷長測定システムは、振動検知センサ22a,22bであるFBGセンサに、所定の波長のレーザ光を入射する光源25a,25bと、光ファイバの先端から戻ってくる反射光を分離するサーキュレータ26a,26bを備える。
本実施形態の損傷長測定方法は、図2(A)の初期状態測定と図2(B)の実測定処理とからなり、まず、ステップS1〜S5からなる初期状態測定を実行する。初期状態測定は、損傷(剥がれ)の無い健全構造物に対して測定を行い、この健全構造物を伝播する振動波の最大ピークの到達時間を初期状態測定値として記録する処理である。健全構造物は、第1部材11の表面に第2部材12が接着または結合された上述した被測定物と同じ構造で、損傷のない状態のものである。
そして、各振動検知センサ22a,22bが受振した振動により生じた圧力変化に応じて変化した反射光を受光素子27a,27bにより電気信号に変換して解析装置28へ供給して波形解析を行う(処理ステップS2)。
続いて、演算制御装置29は、計測開始時点から受振波の最大ピークを検出した時間を、ラム波到達時間として決定し、内部メモリ等に記録保存する(ステップS4)。
以上により初期状態測定が終了する。
実測定処理では、本実施形態の損傷長測定システムによって、上述のようにして初期状態測定値が測定記録された健全構造物と同じ構造を有し損傷が不明な被測定物の損傷を測定する。
まず、この同一構造物である被測定物に対して、振動子21a,21b及び振動検知センサ22a,22bを上記初期状態測定時と同じ位置に設置し、ステップS6〜S10の処理を行う。
図3(A)〜(C)および図4には、損傷のある被測定物を測定した場合の受振波形の例が示されている。各図には、それぞれ4つのセンサの受振波形が重ねて表示されている。図3(A)〜(C)において、それぞれ波形のピークの位置が、50μs,100μs,150μsとずれているのは、損傷の長さが異なるためである。損傷の長さが異なると、図7に破線Rで示すように、ラム波が損傷部分Dを回り込むことによってセンサへの到達時間も異なることとなる。その結果、損傷の長さに応じて図3(A)〜(C)や図4のような波形が計測される。
なお、例えばセンサ22aが、振動子21aからのラム波を受振した場合と、振動子21bからのラム波を受振した場合とでは、センサまでの伝播距離が異なるので、同じ計算式を使用すると損傷長さの計測値が若干ずれることになる。ただし、そのずれは予測できるので、ステップS11の算出では、振動子21bからのラム波を受振した場合には、ずれを補正する補正項を有する計算式を用いて算出するようにしてもよい。
その後、この多数決処理で決定された損傷長さを実測値として表示器30等へ出力して終了する(ステップS13)。ここで、上記±10mmの判定値は、これに限定されるものでなく、測定対象物のサイズや材質、振動子とセンサとの距離等、諸々の条件を考慮して任意に設定できる値であり、結果的に高い測定精度が得られるように実験的に決定してやればよい。
本発明の損傷長測定方法の有効性を検証するため、本発明者は、被測定物として、CFPR(炭素繊維強化プラスチック)からなる板状の第1部材に、CFPRからなる短冊状の第2部材を接着剤により接着した物を準備し、測定対象とした。また、第1部材の表面にPZTアクチュエータ、第2部材の表面にFBGセンサを接着剤でそれぞれ貼着した。なお、本検証では、テープ状のFBGセンサを用い、センサの表面にシーラント施工を施した。
上記検証試験では、920個中に24個(2.6%)の破棄データがあった。この24個の破棄データはすべて異なる条件のもので、1つの条件で2個の破棄データが生じたものはなかった。図5(A)において、縦軸をy、横軸をxとしたときのy=xの線上から大きくはずれているものが、上記検証試験で破棄された損傷長さの測定値に相当する。
以上の結果より、実施形態の損傷長測定システムは十分な信頼性を持ち、高い精度で安定的に損傷を検知することができると言える。
また、以上の実施形態においては、損傷を接着部あるいは結合部の剥離としたが、被測定物の亀裂等の損傷についても上記と同様にして測定可能である。その場合、被測定物は1枚の部材であってもよい。
12 第2部材(母材に接着される部材)
21a,21b 振動子
22a,22b 振動検知センサ(FBGセンサ)
Claims (5)
- 被測定物に超音波振動を加える振動子と、
前記振動子から発振され前記被測定物を伝播する振動波を検知する振動検知センサと、
前記振動子の発振を制御し、前記振動検知センサの検知信号を演算処理して各振動検知センサが検出した振動波を解析する演算処理装置と、を備えた損傷長測定システムであって、
前記振動子と前記振動検知センサは、互いの設置位置を移動させることなく伝播経路の異なる3種類以上の受振結果が得られるように、2以上の振動子または2以上の振動検知センサが、振動伝播方向と直交する方向に並んで配置され、
前記演算処理装置は、1または2以上の振動検知センサにより検出した3種類以上の振動波の最大ピークの到達時間をそれぞれ算出し、
算出された3以上の到達時間と、損傷の無い被測定物に対する測定で得られた到達時間と、に基づいて損傷長さを算出し、算出された複数の損傷長さに基づいて出力する損傷長さを決定することを特徴とする損傷長測定システム。 - 前記演算処理装置は、算出された前記3以上の到達時間に基づいて算出された3以上の損傷長さの平均値を求め、該平均値から所定値以上ずれている損傷長さを破棄し、残りの損傷長さに基づいて出力する損傷長さを決定することを特徴とする請求項1に記載の損傷長測定システム。
- 2個の振動子および2個の振動検知センサが、それぞれ振動伝播方向と直交する方向に並んで配置され、
前記演算処理装置は、
前記2個の振動子を順に駆動制御して前記被測定物に超音波振動を加え、前記被測定物を伝播する振動波を前記2個の振動検知センサによりそれぞれ検知して、各振動波に対応する4つの到達時間を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の損傷長測定システム。 - 前記被測定物は、平坦もしくは湾曲した面を有する第1部材と該第1部材の表面に接着または結合された第2部材とを備えてなり、
前記振動子は前記第1部材の所定部位に設置され、前記振動検知センサは前記第2部材の端部に沿って設置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の損傷長測定システム。 - 被測定物に超音波振動を加える振動子と、前記振動子から発振され前記被測定物を伝播する振動波を検知する振動検知センサとを有し、2以上の振動子が、振動伝播方向と直交する方向に並んで配置され、
前記振動子の発振を制御し、前記振動検知センサの検知信号を演算処理して各振動検知センサが検出した振動波を解析する演算処理装置を備えた損傷長測定システムにおける損傷長測定方法であって、
前記演算処理装置は、
損傷の無い被測定物に対して、前記2以上の振動子を順次振動させて前記被測定物に超音波振動を加え、前記被測定物を伝播する振動波を前記振動検知センサにより検知し、前記振動検知センサにより検出した各振動波の最大ピークの到達時間をそれぞれ算出して初期状態の到達時間として記憶手段に記憶し、
損傷の有無を計測したい被測定物に対して、前記2以上の振動子を順次振動させて前記被測定物に超音波振動を加え、
前記被測定物を伝播する振動波を前記振動検知センサにより検知して、前記振動検知センサにより検出した各振動波の最大ピークの到達時間を算出し、
算出された複数の到達時間から前記記憶手段から読み出した初期状態の到達時間を差し引いた時間に基づいて損傷長さを算出し、算出された複数の損傷長さに基づいて出力する損傷長さを決定することを特徴とする損傷長測定方法。
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