JP6989925B2 - コンクリート構造物の応力測定方法、およびコンクリート構造物の応力測定システム - Google Patents
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Description
本発明は、
コンクリート構造物の応力測定方法であって、
コンクリート構造物の表面に沿った第1の方向に伝播する第1の振動の第1の伝播速度、および上記第1の方向とは異なる第2の方向に伝播する第2の振動の第2の伝播速度の何れか一方に対する、上記第1の伝播速度と第2の伝播速度との速度差の比に基づいて、上記コンクリート構造物の応力を求めることを特徴とする。
この応力測定システムでは、超音波振動をコンクリート構造物101に与える1つのAEセンサ201(振動印加部)(AE:Acoustic Emission)と、上記超音波振動が伝播した振動を検出する2つのAEセンサ202・203(振動検出部)とが用いられる。上記AEセンサ202は、AEセンサ201に対して、圧縮力Pと同じ方向に配置される。一方、AEセンサ203は、AEセンサ201に対して、圧縮力Pと90°の角度を成す方向に配置される。
AEセンサ201によってコンクリート構造物101に与えられた振動の伝播速度は、例えば図2に示すように、コンクリート構造物101に作用する応力の大きさによって異なる。ただし、伝播速度自体は、一般に、種々の条件に応じて変動するため、伝播速度から、直接、応力を求めることは通常は容易でない。ところが、AEセンサ201によってコンクリート構造物101に与えられコンクリート構造物101を伝播した後、AEセンサ202によって検出される振動は上記応力の影響を受ける一方、AEセンサ203によって検出される振動は、コンクリート構造物101に作用する圧縮力Pに対して直角方向なので、上記圧縮力Pによる応力の影響を受けにくいと考えられる。そこで、AEセンサ202・203によって検出される振動の伝播速度を対比することにより、比較的精度よく応力を求めることができる。より詳しくは、例えば、応力方向の振動の伝播速度をV0、応力方向の振動の伝播速度と応力に直角方向の振動の伝播速度との差をΔVとすると、ΔV/V0は、比較的精度よく応力の大きさに対応する。そこで、あらかじめΔV/V0と応力との関係を求めておけば、コンクリート構造物101に作用する応力を比較的容易に求めることができる。以下、より詳細に説明する。
上記応力方向と直角方向との伝播速度差は、AEセンサ202・203に振動が伝播する時間差τに基づいて求めることができる。上記時間差τは、例えばAEセンサ202・203によって検出される波形のずれ量τに対応する。そこで、AEセンサ202・203で検出される波形をそれぞれh1、h0とし、所定の算出開始、終了時刻t1、t2間で(数1)に示す相互相関係数が最大となるずれ量τを求めることによって、振動が伝播する時間差τとすることができる。
上記の例は一例であり、種々の等価の演算が可能である。
201 AEセンサ
202 AEセンサ
203 AEセンサ
211 ファンクションジェネレータ
212 スタートスイッチ
213 波形収録ロガー
214 波形記録用PC
215 プリアンプ
Claims (11)
- コンクリート構造物の応力測定方法であって、
コンクリート構造物の表面に沿った第1の方向に伝播する第1の振動の第1の伝播速度、および上記第1の方向とは異なる第2の方向に伝播する第2の振動の第2の伝播速度の何れか一方に対する、上記第1の伝播速度と第2の伝播速度との速度差の比に基づいて、上記コンクリート構造物の応力を求めることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項1のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記応力は、あらかじめ求められた、上記コンクリート構造物に作用する応力と、上記比との関係に基づいて求められることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項1および請求項2のうち何れか1項のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記第1の方向と第2の方向とは90°の角度を成す方向であることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項1から請求項3のうち何れか1項のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記比は、上記コンクリート構造物に第1または第2の振動が与えられる箇所から、
上記第1の方向に伝播した第1の振動が検出される箇所までの距離と、
上記第2の方向に伝播した第2の信号が検出される箇所までの距離とが等しい場合における、
上記第1または第2の振動が与えられてから、
上記第1の方向に伝播して検出されるまでの第1の伝播時間と、
上記第2の方向に伝播して検出されるまでの第2の伝播時間との時間差に基づいて求められることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項4のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記第1の伝播時間と第2の伝播時間との時間差は、上記第1の方向に伝播して検出される第1の振動波形と、上記第2の方向に伝播して検出される第2の振動波形との相互相関係数が最大となる時間差であることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項5のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記相互相関係数の算出が開始される算出開始時刻は、上記第1の方向または第2の方向に伝播して検出される振動の振幅が最大になるまでの振動波形に対して、赤池情報量基準AICを適用した場合のAICが最小となる時刻であることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項5のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記相互相関係数の算出が開始される算出開始時刻は、上記第1の方向または第2の方向に伝播して検出される振動の振幅が最大になるまでの振動波形に対して、赤池情報量基準AICを適用した場合のAICが最小となる時刻に所定の時間を加算した時刻までの振動波形に対して、さらに、赤池情報量基準AICを適用した場合のAICが最小となる時刻であることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項6および請求項7のうち何れか1項のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記相互相関係数の算出が終了される算出終了時刻は、上記コンクリート構造物に振動が与えられてから上記算出開始時刻までの時間を0.7で除した時間だけ、上記コンクリート構造物に振動が与えられてから経過した時刻であることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項1から請求項8のうち何れか1項のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記振動は、AEセンサによって上記コンクリート構造物に与えられるとともに、AEセンサによって検出されることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項1から請求項9のうち何れか1項のコンクリート構造物の応力測定方法であって、
上記振動の周波数は200kHz以下であることを特徴とするコンクリート構造物の応力測定方法。 - 請求項1のコンクリート構造物の応力測定方法によって応力を測定するコンクリート構造物の応力測定システムであって、
上記コンクリート構造物に上記第1の振動または第2の振動を与える振動印加部と、
上記振動印加部により与えられて伝播した第1または第2の振動を検出する振動検出部と、
上記コンクリート構造物の表面に沿った第1の方向に伝播する第1の振動の第1の伝播速度、および上記第1の方向とは異なる第2の方向に伝播する第2の振動の第2の伝播速度の何れか一方に対する、上記第1の伝播速度と第2の伝播速度との速度差の比に基づいて、上記コンクリート構造物の応力を求める応力算出部と、
を備えたことを特徴とするコンクリート構造物の応力測定システム。
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