JP5658657B2 - シリルイミダゾリウム塩錯体 - Google Patents

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Description

本発明は、シリルイミダゾリウム塩錯体およびエポキシ樹脂を硬化させるための潜在性触媒としてのその使用に関する。
シリルイミダゾリウムがエポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤または促進剤として使用されていることは当技術分野では周知である。日本特許第58194918号には、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としての中性のシリルおよびスタンニルイミダゾール錯体の使用が記載されている。特開2003292646号には、トリメトキシシリルイミダゾール化合物が調節剤として使用されるSiまたはTiカップリング剤を含有する熱可塑性樹脂が記載されている。日本特許第08245762号には、架橋促進剤として1−(トリアルキルシリル)イミダゾールを含有する半導体デバイス用のエポキシ樹脂組成物が記載されている。
また、従来技術の幾つかの参考文献には、硬化剤または触媒としてのイミダゾリウム塩の使用が開示されている。例えば、日本特許第11286536号には、硬化促進剤および硬化剤としての、四置換ホウ酸塩の1,2−ジメチル−3−R−置換イミダゾール塩の使用が記載されている。日本特許第10120690号には、架橋触媒として塩化イミダゾリウム塩を含有するエポキシ樹脂組成物が記載されている。米国特許第3,635,894号には、ビスフェノールA−エピクロルヒドリンコポリマーを硬化させるためのイミダゾリウム塩硬化剤の使用が記載されている。
また、エポキシ樹脂を硬化させるための潜在性触媒として2−メチルイミダゾール−ホウ酸を使用することが当技術分野で知られている。国際公開第96/12752号には、電気積層板用途に有用な2−メチルイミダゾール−ホウ酸潜在性触媒によって硬化されたエポキシ樹脂が開示されている。しかし、2−メチルイミダゾール−ホウ酸によって触媒されたエポキシ樹脂の硬化温度は調節可能ではない。
しかし、従来技術には、シリルイミダゾリウム塩錯体およびエポキシ樹脂を硬化させるための潜在性触媒としてのその使用を教示する開示も提案も存在しない。また、従来技術には、様々な高い硬化温度でエポキシ樹脂を硬化させるための調節可能な潜在性触媒としてのシリルイミダゾリウム塩錯体の使用を教示する開示も提案も存在しない。
Zarudnitskii,E.V.ら(Synthesis 2006、8、1279〜1282頁)に、1−メチル−3−(トリメチルシリル)イミダゾリウムブロミドの合成方法が記載されている。しかし、Zarudnitskiiらは、エポキシを硬化させる用途の触媒としての1−メチル−3−(トリメチルシリル)イミダゾリウムブロミドの使用は教示していない。
したがって、より高い温度(例えば、120℃より高い温度)でエポキシ樹脂を硬化させ、様々な高い硬化温度で調節も可能な新規な潜在性触媒の開発の要求が存在する。
本発明の一態様は、以下の式I
Figure 0005658657
(式中、
〜Rは、イミダゾール環の置換基であり、R〜Rのそれぞれは独立して、シリルイミダゾリウム塩錯体内で安定なイミダゾール環を形成する有機基を表し、
R’、R’’およびR’’’は、シリル官能基の置換基であり、R’、R’’およびR’’’のそれぞれは独立して、シリルイミダゾリウム錯体内で安定なシリル官能基を形成する有機基を表し、
は、シリルイミダゾリウム塩錯体内でシリルイミダゾリウム陽イオンと安定な塩錯体を形成する陰イオンである)
で表されるシリルイミダゾリウム塩錯体に関する。
本発明の別の態様は、少なくとも1つのシリルイミダゾリウム塩錯体を含有する調節可能な潜在性触媒であって、シリルイミダゾリウム塩錯体は、シリル官能基がイミダゾール環の1つの窒素原子に付いた当該イミダゾール環を含む、触媒に関する。
本発明の別の態様は、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、および(c)触媒を含有するエポキシ樹脂組成物であって、触媒が、上記のシリルイミダゾリウム塩錯体を含有する、組成物に関する。
本発明のさらに別の態様は、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、および(c)触媒を含有するエポキシ樹脂組成物であって、触媒が、上記の調節可能な潜在性触媒を含有する、組成物に関する。
本発明の別の態様は、上記の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を含む物品に関する。
本発明のさらに別の態様は、以下の式II
Figure 0005658657
(式中、
Zは、例えば、スタンニル官能基を含む金属官能部分、または、例えば、ホスフィノイル官能基もしくはスルホニル官能基などを含む非金属部分であり、
〜Rは、イミダゾール環の置換基であり、R〜Rのそれぞれは独立して、イミダゾリウム塩錯体内で安定なイミダゾール環を形成する有機基を表し、
R’、R’’およびR’’’は、シリル官能基の置換基であり、R’、R’’およびR’’’のそれぞれは独立して、イミダゾリウム錯体内で安定な{−ZR’R’’R’’’}官能基を形成する有機基を表し、
は、イミダゾリウム塩錯体内でイミダゾリウム陽イオンと安定な塩錯体を形成する陰イオンである)
で表されるイミダゾリウム塩錯体に関する。
潜在性触媒としてシリルイミダゾリウム塩錯体を用いたエポキシ樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC)硬化プロフィールにおける、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の様々な陰イオンXの効果を示すグラフである。 潜在性触媒としてシリルイミダゾリウム塩錯体を用いたエポキシ樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC)硬化プロフィールにおける、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の様々なシリル置換基R’、R’’およびR’’’の効果を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の特定の実施形態を、本発明の好適な実施形態を用いて説明する。しかし、以下の説明が本技術の特定の実施形態または特定の使用に特有である範囲内において、例示的であることのみを意図するものであり、例示的な実施形態の簡潔な説明を単に行う。したがって、本発明は、以下に説明する特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、本発明は、添付の特許請求の真の範囲内であるすべての代替、変更、および均等物を包含する。
別途記載がない限り、化合物、成分、もしくは物質と呼ぶものは、化合物自体、成分自体、もしくは物質自体、または化合物同士の混合物や組合せなどの他の化合物、成分、もしくは物質と組み合わせた化合物、成分、もしくは物質を含む。
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかに矛盾しない限り複数形も含む。
本発明は、エポキシ樹脂を硬化させるための潜在性触媒として特に有用なシリルイミダゾリウム塩錯体を提供する。本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体は、イミダゾール環の窒素原子の1つがシリル官能基によって保護された当該イミダゾール環を含む。このシリル官能基が、イミダゾール環を不活性化するため、シリルイミダゾリウム塩錯体は、室温(例えば、約25℃)で不活性であり、高温(例えば、>120℃)で活性化される。高温では、シリルイミダゾリウム塩錯体は、熱的に活性化されて、エポキシ樹脂を硬化させるための触媒(潜在性触媒)として有用な活性イミダゾール錯体を形成する。
シリルイミダゾリウム塩錯体
本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体は、イミダゾール環の窒素原子の1つにシリル官能基が付いた当該イミダゾール環を含む。
本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体は、安定な塩錯体、すなわち固体として単離することができ、室温(例えば、約25℃)でイミダゾールとシリル官能基成分に戻らない。
本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体を高温で活性化させて、エポキシ樹脂の硬化におけるエポキシド開環反応に対して触媒的に活性な錯体を形成することができる。
本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の好適な例は、以下の式Iによって表される。
Figure 0005658657
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおける陰イオンX、イミダゾール環の置換基R〜R、ならびにシリル官能基の置換基R’、R’’およびR’’’は、安定なシリルイミダゾリウム塩錯体を形成する任意の可変基とすることができる。
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおける陰イオンXは、シリルイミダゾリウム塩錯体内でシリルイミダゾリウム陽イオンと安定な塩錯体を形成する任意の陰イオンとすることができる。
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおける陰イオンXの例には、ハロゲン化物、R−SO 、PF 、またはBRが含まれ得、Rは、ハロゲン化物、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、置換もしくは非置換アリール基、またはCF を表す。
ハロゲン化物の好適な例には、BrおよびIが含まれ、アルキル基の好適な例には、C〜Cアルキル基が含まれ、アリール基の好適な例には、C〜C10アリール基が含まれる。
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおけるイミダゾール環の置換基R〜Rのそれぞれは独立して、シリルイミダゾリウム錯体内で安定なイミダゾール環を形成する任意の有機基を表すことができる。
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおけるイミダゾール環の置換基R〜Rの例には、水素原子、ハロゲン化物(例えば、BrおよびI)、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または置換もしくは非置換アリール基が含まれ得る。アルキル基の好適な例には、C〜Cアルキルが含まれ、アリール基の好適な例には、C〜C10アリールが含まれる。
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおけるシリル官能基の置換基R’、R’’およびR’’’のそれぞれは独立して、シリルイミダゾリウム錯体内で安定なシリル官能基を形成する任意の有機基を表すことができる。
シリルイミダゾリウム塩錯体の上の式Iにおけるシリル官能基の置換基R’、R’’およびR’’’の例には、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または置換もしくは非置換アリール基が含まれ得る。アルキル基の好適な例には、C〜Cアルキルが含まれ、アリール基の好適な例には、C〜C10アリールが含まれる。
本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体は、(a)高い活性温度(例えば、120℃よりも高い温度)および(b)潜在性触媒の様々な用途の要求に応える調節可能な活性温度をもつ、エポキシ樹脂を硬化させるための潜在性触媒として使用することができる。
本明細書で用いる場合、用語「潜在性触媒」は、室温(例えば、約25℃)で不活性であり、高温(「活性温度」)で活性な触媒を指す。
樹脂(例えばエポキシ樹脂)を硬化させるために使用される潜在性触媒に用いられる用語「活性温度」は、本明細書では、潜在性触媒が活性になる温度または硬化が始まる温度(「硬化開始温度」)を指す。
用語「活性温度範囲」は、本明細書では、潜在性触媒が樹脂を硬化させるために使用されるときの開始温度と最大硬化温度との間の温度範囲を指す。
用語「調節可能な潜在性触媒」は、本明細書では、潜在性触媒の特性(例えば、活性温度)が、様々な触媒の用途の要求を満たすように調節できる(例えば、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の置換基のアイデンティティーを変更することによって)ことを指す。
一般に、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の活性温度は、約120℃よりも高い。好ましくは、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の活性温度範囲は、約120℃〜約230℃、より好ましくは約150℃〜約230℃、最も好ましくは約180℃〜約220℃である。
加えて、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の活性温度は、図1および図2に示されているように、シリルイミダゾリウム塩錯体中の陰イオンX、イミダゾール環の置換基R〜R、ならびにシリル官能基の置換基R’、R’’およびR’’の様々なアイデンティティーで調節することができる。
本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の活性温度範囲または硬化の開始温度および最大温度は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定することができる。
DSC分析は、ポリマー(例えば、エポキシ樹脂)の硬化プロフィールを研究するために使用される熱分析法である。硬化プロセス中に、ポリマーは熱転移する。DSCを用いて、このような熱転移中に吸収された熱(吸熱プロセス)または放出された熱(発熱プロセス)の量を測定する。DSC分析の結果は、通常は、温度または時間に対する熱の流れのDSC曲線である。ポリマーの硬化プロフィールは、例えば、DSCから得られるポリマーの硬化開始温度および最大硬化温度、発熱ピークを含み得るDSC曲線の分析によって得ることができる。
図1および図2は、潜在性触媒として本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の特定の好適な例を用いたエポキシ樹脂組成物のDSC硬化プロフィールを例示している。図1および図2におけるDSC分析に用いたエポキシ樹脂組成物は、ビスフェノールAとビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)との混合物および潜在性触媒としてのシリルイミダゾリウム塩錯体を含有する。図1および図2に示されている例に用いられるエポキシ樹脂組成物のビスフェノールAとDGEBAとのモル比は、約0.6〜約1である。エポキシ樹脂組成物に用いられるシリルイミダゾリウム塩錯体は、エポキシ樹脂組成物の総重量に対して約1モル%である。
図1は、陰イオンXのアイデンティティーが異なるシリルイミダゾリウム塩錯体を含有するエポキシ樹脂組成物が、DSC硬化プロフィールにおいて異なる発熱ピーク(「最大硬化温度」とも呼ぶ)を有することを示している。例えば、陰イオンXとしてハロゲン化物(例えば、BrまたはI)を有するシリルイミダゾリウム塩錯体を含有するエポキシ樹脂組成物は、約130℃〜約140℃の発熱ピークを示している。上の式Iにおける陰イオンXとしてBPh(Ph=フェニル)、PhSOまたはMeSO(Me=メチル)、PF、およびCFSOなどの他の陰イオンを有するシリルイミダゾリウム塩錯体を含有するエポキシ樹脂組成物は、以下の表に示されているように、約130℃〜約220℃の範囲の異なる発熱ピークも示す。
Figure 0005658657
図2は、シリル官能基における置換基R’、R’’およびR’’’のアイデンティティーが異なるシリルイミダゾリウム塩錯体を含有するエポキシ樹脂組成物が、異なる温度で発熱ピークを示すことを示している。例えば、CFSOなどの陰イオンXを有するシリルイミダゾリウム塩錯体を含有するエポキシ樹脂組成物は、シリルイミダゾリウム塩錯体のシリル官能基の置換基R’、R’’およびR’’’を、−Pr、−Meから−Me Bu(Pr=イソプロピル、Me=メチル、およびBu=t−ブチル)に変更すると、エポキシ樹脂組成物の発熱ピークの高い温度範囲へのそれぞれのシフトを示している。
他のイミダゾリウム塩錯体
本発明によると、シリルイミダゾリウム塩錯体のシリル保護基は、N−Z相互作用/結合が室温で安定であるが、エポキシ樹脂組成物の硬化における熱処理中に十分に切断されやすい以下の式IIに示されている{−ZR’R’’R’’’}基などの他の保護基で置換することができる。Zは、例えばスタンニル官能基を含む金属官能部分、または、例えばホスフィノイル官能基もしくはスルホニル官能基を含む非金属部分である。
Figure 0005658657
上の式Iによって表されるシリルイミダゾリウム塩錯体と同様に、イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおける陰イオンX、イミダゾール環の置換基R〜R、ならびに{−ZR’R’’R’’’}官能基の置換基R’、R’’およびR’’’は、安定なイミダゾリウム塩錯体を形成する任意の可変基とすることができる。
イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおける陰イオンXは、イミダゾリウム塩錯体内でイミダゾリウム陽イオンと安定な塩錯体を形成する任意の陰イオンを含むことができる。
イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおける陰イオンXの例には、ハロゲン化物(F、Cl、Br、およびIを含む)、R−SO 、PF 、またはBR が含まれ得、Rは、ハロゲン化物(F、Cl、Br、およびIを含む)、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、置換もしくは非費置換アリール基、またはCF を表す。ハロゲン化物の好適な例には、BrおよびIが含まれ、アルキル基の好適な例には、C〜Cアルキル基が含まれ、アリール基の好適な例には、C〜C10アリール基が含まれる。
イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおけるイミダゾール環の置換基R〜Rのそれぞれは独立して、イミダゾリウム錯体内で安定なイミダゾール環を形成する任意の有機基を表すことができる。
イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおけるイミダゾール環の置換基R〜Rの例には、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または置換もしくは非置換アリール基が含まれ得る。アルキル基の好適な例には、C〜Cアルキルが含まれ、アリール基の好適な例には、C〜C10アリールが含まれる。
イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおける{−ZR’R’’R’’’}官能基の置換基R’、R’’およびR’’’のそれぞれは独立して、イミダゾリウム錯体内で安定な{−ZR’R’’R’’’}官能基を形成する任意の有機基を表すことができる。
イミダゾリウム塩錯体の上の式IIにおける{−ZR’R’’R’’’}官能基の置換基R’、R’’およびR’’’の例には、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または置換もしくは非置換アリール基が含まれ得る。アルキル基の好適な例には、C〜Cアルキルが含まれ、アリール基の好適な例には、C〜C10アリールが含まれる。
上記した本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体と同様に、本発明のイミダゾリウム塩錯体は、安定なイミダゾリウム塩錯体である。本発明のイミダゾリウム塩錯体を高温で活性化させて、エポキシ樹脂の硬化におけるエポキシド開環反応に対して触媒的に活性な錯体を形成することができる。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、および(c)潜在性触媒を含有し、潜在性触媒は、1つまたは複数の本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体を含有する。潜在性触媒の好適な例には、上の式Iによって表されるシリルイミダゾリウム塩錯体が含まれ得る。また、本発明の上の式Iによって表される潜在性触媒は、様々な高い硬化温度のために、シリルイミダゾリウム塩錯体の陰イオインX、イミダゾール環置換基R〜R、ならびにシリル官能基の置換基R’、R’’およびR’’’を変更することによって調節することもできる。
潜在性触媒は、1つまたは複数の本発明のイミダゾリウム塩錯体を含有する。潜在性触媒の好適な例には、上の式IIによって表されるイミダゾリウム塩錯体が含まれ得る。また、本発明の上の式IIによって表される潜在性触媒は、様々な高い硬化温度のために、イミダゾリウム塩錯体の陰イオインX、イミダゾール環置換基R〜R、ならびに{−ZR’R’’R’’’}官能基の置換基R’、R’’およびR’’’を変更することによって調節することもできる。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に用いられる潜在性触媒の量は、主に潜在性触媒の所望の活性温度およびエポキシ樹脂の変換率(%)によって決まる。潜在性触媒の濃度の上昇は、典型的には、DSC曲線の発熱ピークまたは潜在性触媒の活性温度の低温への移行を引き起こす。したがって、高い温度での硬化のためには、低い触媒濃度が好ましい。しかし、触媒濃度の上昇は、得られるエポキシ樹脂のガラス転移温度(T)の上昇をもたらし得る。
一般に、潜在性触媒は、この潜在性触媒を活性にするために熱硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の総モルに対して約0.1〜約10モル%、好ましくは約0.1〜約5モル%、より好ましくは約0.1〜約1モル%とすることができる。DSCによって得られるエポキシ樹脂組成物の発熱ピークは、熱硬化性エポキシ樹脂組成物中の潜在性触媒の濃度の上昇によって低い温度に移行し得る。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に適したエポキシ樹脂は、1分子当たり平均2つ以上のエポキシド基を含有する任意の化合物または化合物の混合物とすることができる。エポキシ樹脂の例には、低分子量または高分子量の先進エポキシ樹脂(advanced epoxy resin)および液体エポキシ樹脂または固体エポキシ樹脂が含まれ得る。エポキシ樹脂は、好ましくは少なくとも約100、より好ましくは少なくとも約170のエポキシ当量(EEW)を有する。エポキシ樹脂のEEWは、好ましくは約10,000以下、より好ましくは約3,000以下である。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に適したエポキシ樹脂の特定の例には、ビスフェノール化合物に由来するポリ(グリシジルエーテル)、ビスフェノール化合物、トリスフェノール化合物、ノボラック、脂肪族ジオール、またはこれらの化合物のハロゲン化変異体を含む、1つまたは複数のポリ(グリシジルエーテル)またはポリ(グリシジルエステル)化合物が含まれ得る。エポキシ樹脂には、最も好ましくはビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF、またはビスフェノールAのハロゲン化ジグリシジルエーテルもしくはハロゲン化ビスフェノールFが含まれる。
本発明に用いることができる既知のエポキシ樹脂の例には、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロムビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン置換フェノール樹脂テトラメチルビフェノール、テトラメチル−テトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールA、およびこれらの任意の組合せが含まれ得る。
本発明に有用なエポキシ樹脂は、当技術分野で周知である。本発明の実施に有用な例示的なエポキシ樹脂が、それぞれが参照により本明細書に組み入れられる、Wiley‐Interscience、Hoboken,NJによって2005年に発行されたH.Q.PhamおよびM.J.MarksによるKirk‐Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(347〜471頁)、McGraw‐Hill、New Yorkによって1967年に発行されたH.E.LeeおよびK.NevilleによるHandbook of Epoxy Resins、および米国特許第4,066,628号に記載されている。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に適した硬化剤は、エポキシ樹脂系コーティング組成物を硬化させるのに有用であることが知られている任意の共反応性硬化剤材料とすることができる。このような硬化剤材料には、例えば、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ジシアンジアミド、ポリフェノール、高分子チオール、ポリカルボン酸および無水物、ならびにこれらの任意の組合せが含まれる。硬化剤の他の特定の例には、フェノールノボラック、ビスフェノール−Aノボラック、ジシクロペンタジエンのフェノールノボラック、スチレン−マレイン酸無水物(SMA)コポリマー、およびこれらの任意の組合せが含まれる。
硬化剤のエポキシ樹脂に対する比率は、選択される硬化剤および熱硬化性エポキシ樹脂組成物の意図する使用に応じて変更することができる。一般に、硬化剤のエポキシ樹脂に対する当量比は、約0.01〜約100、好ましくは約0.1〜約10、より好ましくは約0.2〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
用途
エポキシ樹脂を硬化させるための本発明の潜在性触媒が、エポキシ樹脂を硬化させるために現在使用されている2−メチルイミダゾール−ホウ酸触媒よりも改善された潜在性を有することが本発明で見出された。
例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物中に1モル%の潜在性触媒が存在すると、2−メチルイミダゾール−ホウ酸触媒は、約140℃の活性温度を有するが、本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体の殆どのものは、約180℃〜約230℃もの高温に達する活性温度を有する。さらに、2−メチルイミダゾール−ホウ酸触媒の硬化開始温度は、約100℃〜約150℃の範囲の硬化開始温度を有する本発明のシリルイミダゾリウム塩錯体よりも低い約80℃である。
潜在性触媒としてシリルイミダゾリウム塩錯体またはイミダゾリウム塩錯体を含有する本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、多くの用途に用いることができる。特に、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、高温耐熱性および良好な保存安定性(例えば、エポキシ樹脂が通常の保存条件で不活性であること、および最大約230℃の高温で硬化することを可能にする)を必要とする用途に有用である。例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、電気積層板の用途などの電気用途に用いることができる。
また、本発明の潜在性触媒を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、例えば、パイプラインの建設に使用される鋼管、コンクリート補強鉄筋、ならびに腐食による劣化から様々な管継手および弁を保護することを含め、粉体塗料の用途にも用いることができる。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、大気温度(例えば、760mmHg、25℃)で粉体塗料形態に調製することができる。粉体塗料中のエポキシ樹脂および硬化剤は、通常の保存条件で不活性のままである。典型的な粉体塗料塗装温度(例えば、約180℃〜250℃)で、粉体塗料を融解して、基板(例えば、鉄基板)表面に塗布または流すことができる液体の形態に変換し、次いで塗装した粉体塗料を化学架橋および/または加熱によって固体塗料に変えることができる。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の他の用途には、例えば、コーティング剤、構造積層板、電気用もしくは構造用複合材、成形品、鋳造物、封入成形品などが含まれ得る。
以下の実施例は、本発明を詳細にさらに例示するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
以下の標準的な分析機器および方法が、実施例および比較実験に用いられる。
Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)分光法
典型的なNMR実験では、固体シリルイミダゾリウム錯体5〜10mgを、CDClまたはCDCNなどの重水素化溶媒0.5mLに溶解した。H、13C NMRスペクトルを、動作周波数300および75.4MHzのそれぞれでVarian Inova NMR分光計を用いて記録した。Hおよび13C NMRスペクトルは、重水素化溶媒の残存プロトン信号を用いてSiMeを基準とした。
示差走査熱量測定法(DSC)
DSC実験を、以下のようにATSM D3418/E1356に従って行った。
DSC試料を秤量し、アルミニウム密封DSC皿(P/N 900793.901皿および900794.901蓋)の中に密封した。各DSC試料の重量は約10mgであった。試料を、オートサンプラー、50ml/分の窒素パージ、および機械的冷却補助具を用いてTA(Thermal Analysis)Instrumetns Q2000 DSC(P/N 970001.901)(S/N 2000.0884)でスキャンした。
DSC実験は、加熱−冷却−加熱サイクルの動的条件下で行った。まず、DSC試料を、2℃/分の加熱速度で20℃から280℃まで加熱した。DSC試料を10℃/分で20℃まで冷却し、次いで10℃/分で25℃から280℃まで再スキャンした。スキャンを、Universal Analysis V4.3Aソフトウエアを用いて分析した。DSC試料の重量減少を、DSC試料の初期重量とスキャン後のDSC試料の最終重量との差から計算した。
以下の反応物Aおよび反応物Bを用いてシリルイミダゾリウム塩錯体を合成した。
反応物A(イミダゾール):
N−メチルイミダゾール、
1,2−ジメチルイミダゾール、または
1−メチル−2−フェニルイミダゾール
反応物B(シリル化試薬):
R’R’’R’’’SiX試薬であり、R’、R’’およびR’’’はそれぞれ、Me、Et、Pr、またはBu(Me=メチル、Et=エチル、Pr=イソプロピル、およびBu=t−ブチル)を表し、Xは、ハロゲン化物(例えば、BrまたはI)またはR−SOを表し、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはCF を表す。
ジエチルエーテル(EtO)(6mL)に溶解した反応物A(12.5ミリモル)の溶液を、室温(約25℃)でEtO(4mL)に溶解した反応物B(12.5ミリモル)の溶液と反応させた。反応物AとBの溶液を、室温(約25℃)で30分間連続して撹拌した。反応は、白色固体生成物の即座の沈殿を伴った発熱反応である。次いで、白色固体生成物をろ過によって収集し、EtOで洗浄し、真空下で乾燥させてシリルイミダゾリウム塩錯体最終生成物を得た。収率は、典型的には約80%〜約95%の範囲である。白色固体生成物を、上記したHおよび13C NMR分光法によって特徴付けた。
対応する反応物B(R’R’’R’’’SiX試薬)が利用可能でない陰イオンXを有するシリルイミダゾリウム塩錯体では、このシリルイミダゾリウム塩錯体は、以下の例によって例示されるように塩メタセシス反応から調製することができる。
1−メチル‐3(トリメチルシリル)イミダゾリウムブロミド(1ミリモル)およびカリウムヘキサフルオロフォスフェートKPF(1ミリモル)を、溶媒として使用されるアセトニトリル(CHCN)(5mL)と一緒に添加した。臭化カリウム(KBr)の沈殿物が即座に形成され、これを、ろ過によって反応混合物から除去した。次いで、溶媒を、得られた生成物から真空下で除去した。次いで、生成物をEtOで洗浄し、真空下で乾燥させた。定量的収率で1−メチル−3(トリメチルシリル)イミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェートになるように生成物を上記したHおよび13C NMR分光法によって特徴付けた。
実施例2の上記の手順を用いて、様々な陰イオンを有する本発明の他のシリルイミダゾリウム錯体を調製することができる。
上記の実施例1または実施例2から得られるシリルイミダゾリウム塩錯体を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の試料を、以下の2つの方法のいずれか一方によって1〜5モル%の範囲に調製した。
1.ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)(50g、0.15モル)とビスフェノールA(20g、0.9モル)の混合物を130℃に加熱して均一溶液を得た。次いで、DGEBAとビスフェノールAの均一溶液を、室温まで急速に冷却した。冷却中にビスフェノールAが均一溶液から結晶化する場合は、加熱プロセスと冷却プロセスを繰り返すことができる。次いで、一定量(約1g)のDGEBAとビスフェノールAの均一溶液を、固体シリルイミダゾリウム塩錯体触媒に添加した。得られた液体混合物および固体シリルイミダゾリウム塩錯体触媒を、均一混合物が得られるまで手動で撹拌した。または、
2.DGEBA(1.0g、2.9ミリモル)とビスフェノールA(0.4g、1.7ミリモル)の混合物を約3mLの3:1 CHCl:EtOに溶解して溶液を作製した。次いで、DGEBAとビスフェノールAの溶液を、室温で、撹拌しながら固体シリルイミダゾリウム塩錯体触媒に添加して均一混合物を作製した。試料を真空下に4時間放置して、CHCl:EtO溶媒を均一混合物から除去した。
得られた均一混合物(シリルイミダゾリウム塩錯体を含有するエポキシ樹脂組成物)の活性温度を、上記したDSC法を用いたDSCによって測定し、結果を図1および図2に示す。
実施例1の方法に従って23の錯体を調製した。R、RおよびSiR’R’’R’’’官能基のアイデンティティーを、以下の表1に示す(各化合物に対して、RおよびR=H)。1〜5モル%触媒(DGEBAに対して)を用いるフェノール(0.6:1 ビスフェノールA:ジグリシジルエーテルビスフェノールA(DGEBA))エポキシ系の動的硬化プロセスの熱解析を、DSCを用いて行った。各試料に対して、2℃/分のスキャン速度で、反応を25℃から280℃まで監視し、室温まで冷却し、次いで再スキャンを行ってTを決定した。一連のシリルイミダゾリウム錯体のデータを表Iに要約する。
Figure 0005658657
当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、上記した化合物、組成物、およびプロセスの一定の変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、本明細書に開示したすべての内容は、単なる例示であって、保護すべき範囲を限定するものではないと解釈することを意図している。さらに、本発明の化合物、組成物、およびプロセスは、参照した表を含む上記説明した特定の例によって限定されるものではない。むしろ、参照したこれらの例および表は、本発明の化合物、組成物、およびプロセスの例示である。

Claims (18)

  1. 少なくとも1つのシリルイミダゾリウム塩錯体を含むエポキシ樹脂を硬化させるための調節可能な潜在性触媒であって、前記シリルイミダゾリウム塩錯体は、以下の式I
    Figure 0005658657

    式I
    (式中、
    〜Rは、イミダゾール環の置換基であり、R〜Rのそれぞれは独立して、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基を表し、
    R’、R’’およびR’’’は、シリル官能基の置換基であり、R’、R’’およびR’’’のそれぞれは独立して、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基を表し、
    は、前記シリルイミダゾリウム塩錯体内でシリルイミダゾリウム陽イオンと安定な塩錯体を形成する陰イオンである)
    で表される、触媒。
  2. 前記陰イオンXが、ハロゲン化物イオン、R−SO 、PF またはBR を表し、Rが、ハロゲン化物、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、置換もしくは非費置換アリール基、またはCF を表す、請求項1に記載の触媒。
  3. 前記置換基R〜Rのそれぞれが独立して、水素原子、 〜C 置換もしくは非置換アルキル基、または 〜C 10 置換もしくは非置換アリール基を表す、請求項1または2に記載の触媒。
  4. 前記置換基R’、R’’およびR’’’のそれぞれが独立して、 〜C 置換もしくは非置換アルキル基、または 〜C 10 置換もしくは非置換アリール基を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒。
  5. 前記シリルイミダゾリウム塩錯体が、活性温度を有し、前記活性温度は、前記シリルイミダゾリウム塩錯体の前記陰イオン 変更することによって調節可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒。
  6. 前記シリルイミダゾリウム塩錯体が、活性温度を有し、前記活性温度は、前記シリルイミダゾリウム塩錯体の前記イミダゾール環の前記置換基R 変更することによって調節可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒。
  7. 前記シリルイミダゾリウム塩錯体が、活性温度を有し、前記活性温度は、前記シリルイミダゾリウム塩錯体の前記シリル官能基の前記置換基R’、R’’およびR’’’を変更することによって調節可能である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒。
  8. 前記触媒が、室温で不活性であり、20℃よりも高い温度で活性である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒。
  9. 前記触媒の前記活性温度が、20℃〜30℃である、請求項に記載の触媒。
  10. 前記触媒の前記活性温度が、50℃〜30℃である、請求項に記載の触媒。
  11. 前記触媒の前記活性温度が、80℃〜20℃である、請求項に記載の触媒。
  12. (a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、および(c)触媒を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、前記触媒は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の触媒を含む、組成物。
  13. 前記触媒が、前記組成物中に存在する前記エポキシ樹脂の総モル%に対して.1〜0モル%の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記触媒が、前記組成物中に存在する前記エポキシ樹脂の総モル%に対して.1〜モル%の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
  15. 前記触媒が、前記組成物中に存在する前記エポキシ樹脂の総モル%に対して.1〜モル%の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
  16. 請求項12〜15のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を含む物品。
  17. 前記物品が、コーティング剤、電気もしくは構造積層板、電気用もしくは構造用複合材、フィラメントワインディング、成形品、鋳造物、または封入成形品の少なくとも1つである、請求項16に記載の物品。
  18. 前記物品が、粉体塗料である、請求項17に記載の物品。
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