JP2010159317A - フェノール誘導型硬化剤、その製造方法、及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 速硬化性のエポキシ樹脂硬化剤として作用し、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物を与えることができ、エポキシ樹脂組成物に添加しても粘度上昇が小さく、組成物の高流動性を維持することができるフェノール誘導型化合物を提供すること。
【解決手段】 式(1)のフェノール化合物において、水酸基が3個以上のとき、水酸基が式(4)又は(5)で20〜100%置換され、水酸基が2個のとき20〜80%未満置換されており、水酸基当量が30〜200g/eq、120℃時の溶融粘度が3000mPa・s以下のフェノール誘導型化合物。(Arは、フェニレン基、ナフタレン基、Rはアルキル基)
【化1】
Figure 2010159317

【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール化合物にオキシラン化合物を反応させて得られる新規なエポキシ樹脂硬化剤とその製法とその用途に関する。さらに詳しくは、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有用な、かかる硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物に関する。特には、上記用途においてエポキシ樹脂組成物の粘度上昇が少なく、高いガラス転移温度のエポキシ樹脂硬化物を与えうるエポキシ樹脂硬化剤とその製法、およびそれとエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂の硬化剤としてこれまでに用いられている化合物には、アミン類、酸無水物類、ポリアミド類、イミダゾール類、メルカプタン類、フェノール類などがあり、中でもフェノール系硬化剤は種類に富み大きな一群を成している。とりわけ近年では、液状封止材、アンダーフィル剤などの用途拡大に伴い、液状または低粘度型のフェノール系硬化剤のニーズも高まっている。
一般に水酸基を多く含むエポキシ樹脂組成物は封止時において低流動性であるため、高流動性のためのアプローチとしてフェノール系硬化剤の水酸基による水素結合を防止あるいは阻害する手段が用いられる。たとえば、フェノール性水酸基を部分的または完全にアシル基またはシリル基で保護したフェノール誘導体(特許文献1〜5参照)や、フェノール性水酸基のオルソ位に置換基を導入する手段などが用いられている(特許文献6参照)。特に後者アプローチによる硬化剤の場合、前述用途において高流動性、低吸水性などの好ましい特性を発揮する一方で、一般に硬化が遅く高いガラス転移温度の硬化物が得られにくいという難点もあった。
特開平7−53675号公報 特開平8−208807号公報 特開平10−168283号公報 特開2001−151783号公報 特開2006−96838号公報 特開2000−169537号公報
本発明の目的は、速硬化性のエポキシ樹脂硬化剤として作用し、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物を与えることができ、エポキシ樹脂組成物に添加しても粘度上昇が小さく、組成物の高流動性を維持することができるフェノール誘導型化合物を提供することにある。
本発明は、液状封止材、アンダーフィル剤用途などの液状エポキシ樹脂組成物において、従来のフェノール系硬化剤の使用では達成が困難であった実用上の難点を補完しうるフェノール誘導型化合物を提供するものである。
本発明は、下記一般式(1)で示されるフェノール化合物において、
Figure 2010159317
(式中、Ar、Arは、それぞれ下記一般式(2)で示されるフェニレン基、または下記一般式(3)で示されるナフタレン基であり、
Figure 2010159317
Figure 2010159317
Xは直接結合、異種原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基、O、S、またはSOであり、R〜Rはそれぞれ炭素数1〜15個の炭化水素基、または水酸基であり、v、w、xはそれぞれ0〜3の整数、nは0以上の整数)、
一般式(1)の中に3個以上の水酸基が存在するとき、その水酸基が下記一般式(4)又は(5)で示される置換基で20〜100%の置換率で置換され、一般式(1)の中に水酸基が2個存在するときは、その水酸基が一般式(4)又は(5)で示される置換基で20〜80%未満の置換率で置換され、
水酸基当量が30〜200g/eq、120℃時の溶融粘度が3000mPa・s以下であるフェノール誘導型化合物を提供する。
Figure 2010159317
(式中、R〜Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜15個の炭化水素基)、
Figure 2010159317
(式中、R〜Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜15個の炭化水素基)、
本発明はまた、前記一般式(1)のフェノール化合物に、下記一般式(6)で示されるオキシラン化合物を反応させる前記のフェノール誘導型化合物の製造方法を提供する。
Figure 2010159317
(式中R〜Rは前記と同じである)
本発明は、さらに前記したフェノール誘導型化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤を提供する。
本発明は、さらにまた前記のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とからなるエポキシ樹脂組成物、およびさらに硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物を提供する。
常温下で液状を呈する前記のエポキシ樹脂組成物である態様は本発明の好ましい態様である。
本発明により、速硬化性のエポキシ樹脂硬化剤として作用し、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物を与え、エポキシ樹脂組成物に添加しても粘度上昇が小さく、組成物の高流動性を維持することができるフェノール誘導型化合物が提供される。
本発明は、前記一般式(1)で示されるフェノール化合物において、一般式(1)の中に3個以上の水酸基が存在するとき、前記一般式(4)又は(5)で示される置換基が20〜100%の置換率で置換され、一般式(1)の中に水酸基が2個存在するときは、一般式(4)又は(5)で示される置換基が20〜80%未満の置換率で置換され、水酸基当量が30〜200g/eq、120℃時の溶融粘度が3000mPa・s以下であるフェノール誘導型化合物を提供するものである。
本発明で用いるフェノール誘導型化合物は、一般式(1)で表わされるフェノール化合物の水酸基が、下記一般式(4)又は(5)で表わされる置換基で、少なくとも一部、好ましくはその水酸基の20〜100%、さらに好ましくは20〜75%置換されたものである。
Figure 2010159317
Figure 2010159317
(式中、R〜Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜15個の炭化水素基)、
Figure 2010159317
(式中、R〜Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜15個の炭化水素基)、
上記一般式(1)において、Ar、Arは、それぞれ下記一般式(2)で表わされるフェニレン基または下記一般式(3)で表わされるナフタレン基である。
Figure 2010159317
Figure 2010159317
一般式(2)または(3)におけるR、RおよびRは、それぞれ1〜15の炭素数で成る炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、2−エトキシエチルなどの置換または非置換のアルキル基、フェニル、2−、3−または4−メチルフェニル、2−、3−または4−エチルフェニル、2−、3−または4−イソプロピルフェニル、2−、3−または4−イソブチルフェニル、2−、3−または4−tert−ブチルフェニル、2−、3−または4−ベンジルフェニル、2−、3−または4−エトキシエチルフェニル、2−、3−または4−フェニルフェニル、α−またはβ−ナフチルなどの置換または非置換のアリール基、または水酸基である。
v、w、およびxは、それぞれ0〜3の整数であり、v個のR、w個のRおよびx個のRは、それぞれ同一のものでも異なるものであってもよい。但し、nが0の場合は、一般式(2)におけるvが1以上でRの少なくとも一つが水酸基であるか、または一般式(3)におけるwまたはxの少なくとも一方が1以上で且つRまたはRの少なくとも一つが水酸基である。
一般式(1)におけるXは、直接結合、酸素、硫黄、ハロゲンなどの異種原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基、O、SまたはSOであり、特に直接結合または異種原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基が好ましい。
一般式(1)におけるnは0以上の整数、通常10以下、好ましくは0〜3であり、フェノール化合物が、nが異なるものの混合物である場合には、nの平均が0.5〜3の範囲のものであることが好ましい。
上記式におけるXが2価の1〜20の炭素数で成る炭化水素の場合、水酸基、アルコキシ基、O、S、SO、フッ素などの異種原子を含んでいてもよく、具体的には以下のようなものを例示することができる。例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、イソプロピリデン、テトラメチレン、イソブチリデン、シクロヘキシレンなどのアルキリデン基や、フェニレン、メチルフェニレンなどのアリーレン基などの他に、下記(7)〜(19)のようなものを例示することができる。
Figure 2010159317
一般式(1)で表わされるフェノール化合物としてより具体的には、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、などのジヒドロキシベンゼン類、o,m’−ビフェノール、o,p’−ビフェノール、m,m’−ビフェノール、m,p’−ビフェノール、p,p’−ビフェノールなどのビフェノール類、フロログルシン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンなどのトリヒドロキシベンゼン類、ビスフェノールF、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類のほか、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールナフチルアラルキル樹脂、フェノールビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂などの公知のフェノール系硬化剤を挙げることができる。これらのなかではジヒドロキシベンゼン類、トリヒドロキシベンゼン類、ビフェノール類、フェノール樹脂系硬化剤を使用するのが好ましいが、中でもトリヒドロキシベンゼン類の使用が特に好ましい。
前記一般式(1)で示されるフェノール化合物に、前記一般式(6)で示されるオキシラン化合物を反応させることによって、本発明のフェノール誘導型化合物を製造することができる。
前記一般式(6)で示されるオキシラン化合物の具体的なとしては、グリシド−ル、3,4-エポキシ-2-ブタノール、2,3-エポキシ-2-エチル-1-プロパノール、2,3-エポキシ-3-フェニル-1-プロパノール、3,4-エポキシ-2-メチル-2-ブタノール、3,4-エポキシ-3-メチル-2-ブタノール、3,4-エポキシ-2-ペンタノール、2,3-エポキシ-2-メチル-1-ブタノール、2,3-エポキシ-3-メチル-1-ブタノールなどを挙げることができ、特にグリシドールが好ましい。
前記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、前記一般式(6)で示されるオキシラン化合物の反応は無溶剤でも溶剤中でも行うことができる。溶剤を使用する場合は水、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどが挙げられる。溶剤を使用する場合、その使用量はフェノール化合物とオキシラン化合物の仕込み重量に対して通常5〜100重量%、好ましくは10〜50重量%である。
また反応に際しては触媒を用いるのが好ましい。使用し得る触媒としてはエポキシ基とフェノール性水酸基の付加反応に用い得るものであれば何れも使用できる。具体的にはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、トリエチルアミン等の塩基、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。触媒の使用量は用いるオキシラン化合物1モルに対して通常0.001〜5g、好ましくは0.005〜2.5gである。
反応時間は通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間である。反応温度は通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。
反応終了後、目的物が結晶性である場合は水などの貧溶媒を系中に加え、冷却することにより析出させ濾過、水洗、乾燥により不純物などを除去することが出来る。また、目的物が樹脂状の場合は加熱減圧下で処理することにより未反応のオキシラン化合物や溶剤などを除去することが出来る。加熱減圧下で精製を行う場合、反応触媒としては揮発しやすいトリエチルアミンなどの有機塩基を用いることが特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び本発明のエポキシ樹脂用硬化剤を含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル−フェノール類縮合型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン・フェノール重縮合型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル重縮合型エポキシ樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらエポキシ樹脂中で軟化点が通常70℃以下、好ましくは60℃以下のものが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物おいて、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は他の硬化剤と併用することができる。本発明のエポキシ樹脂用硬化剤と併用し得る他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有する。用いうる無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填材及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物が固形であれば、溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。エポキシ樹脂組成物が液状のものは、ディスペンス法、注型法、印刷法などの公知の封止方法により、同様の加熱温度で硬化物とすることができる。
また本発明のエポキシ樹脂を、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
本発明のフェノール誘導型化合物は、速硬化性のエポキシ樹脂硬化剤として作用し、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物を与えることができるものである。
また、液状フェノールノボラック樹脂との併用により液状としたエポキシ樹脂組成物の場合においても上記の特徴を維持しており、液状フェノールノボラック樹脂のみを硬化剤とした場合よりもゲル化時間は短く、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度も高い傾向を示すことがわかる。加えて、本発明のフェノール誘導型化合物の添加によるエポキシ樹脂組成物の粘度が、液状フェノールノボラック樹脂のみを硬化剤とした場合に対して粘度の上昇が小さいことがわかる。
常温下で液状を呈するエポキシ樹脂組成物は本発明の好ましい態様である。
前記したような特徴を有する本発明のエポキシ樹脂組成物は、液状封止材、アンダーフィル材、接着剤、積層材料、塗料、レジストなどの用途に好適に使用されるものである。
以下に実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
(参考例)液状フェノールノボラック樹脂の合成
フェノール117.6g(1250ミリモル)、2-アリルフェノール503.2g(3750ミリモル)、37%-ホルマリン81.2g(1000ミリモル)の混合物を60℃に加熱後、蓚酸二水和物2gを添加して2時間かけながら95℃まで昇温した。そのあとさらに蓚酸二水和物2gを添加して95℃で3時間保持した。反応終了後、減圧留去により液状フェノールノボラック樹脂232.9gを得た(水酸基当量:135g/eq)。
(実施例1)フロログルシン誘導型化合物Aの合成[モル比(グリシドール/フロログルシン)=1/1]
フロログルシン18.9g(150ミリモル)、グリシドール11.1g(150ミリモル)をアセトン25.3gに常温下で完全に溶解させた後、トリエチルアミン0.35gを加えて65℃で6時間保持した。反応終了後、減圧留去によりフロログルシン誘導型化合物A25.7gを得た。得られた反応物の水酸基当量は89g/eq、120℃時の溶融粘度は880mPa・sであった。
(実施例2)フロログルシン誘導型化合物Bの合成[モル比(グリシドール/フロログルシン)=1.5/1]
フロログルシン18.9g(150ミリモル)、グリシドール16.7g(150ミリモル)をアセトン25.3gに常温下で完全に溶解させた後、トリエチルアミン0.35gを加えて65℃で12時間保持した。反応終了後、減圧留去によりアセトンおよびトリエチルアミンを除去してフロログルシン誘導型化合物B32.2gを得た。得られた反応物の水酸基当量は89g/eq、120℃時の溶融粘度は720mPa・sであった。
(比較例1)
参考例で得られた液状フェノールノボラック樹脂、N,N-ジグリシジル-4-グリシジロキシアニリン(エポキシ当量:92/g/eq)、2-エチル-4-メチルイミダゾールを表1に示す割合で配合し、充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得た。これを用いて組成物粘度およびゲル化時間を測定した。またエポキシ組成物を120℃下で1時間、150℃下で1時間、さらに180℃下で3時間加熱してガラス転移温度測定用のテストピースを作成した。結果を表1に示す。
本発明における物性の測定は下記の方法によって行った。
(1)組成物粘度
ICI溶融粘度計により硬化剤とエポキシ種を溶融混合物の50℃時の粘度を測定した。
(2)ゲル化時間
150℃熱板上でゲル化が観測されるまでの時間を測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
TMAにより得られる線膨張係数の変曲点をガラス転移温度とした。
(実施例3)
比較例1の液状フェノールノボラック樹脂の代わりに実施例1のフロログルシン誘導型化合物Aを用い、表1のような配合とした以外は、比較例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4〜5)
硬化剤に比較例1の液状フェノールノボラック樹脂、および実施例1のフロログルシン誘導型化合物Aの両方を用い、表1のような配合とした以外は、比較例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例4における硬化剤成分中のフロログルシン誘導型化合物Aの濃度は50%、実施例5における硬化剤成分中のフロログルシン誘導型化合物Aの濃度は25%である。
(実施例6)
比較例1の液状フェノールノボラック樹脂の代わりに実施例2のフロログルシン誘導型化合物Bを用い、表1のような配合とした以外は、比較例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7〜8)
硬化剤に比較例1の液状フェノールノボラック樹脂、および実施例2のフロログルシン誘導型化合物Bの両方を用い、表1のような配合とした以外は、比較例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例7における硬化剤成分中のフロログルシン誘導型化合物Bの濃度は50%、実施例8における硬化剤成分中のフロログルシン誘導型化合物Bの濃度は25%である。
Figure 2010159317
本発明が与えるフェノール誘導型化合物は、速硬化性のエポキシ樹脂硬化剤として作用し、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物を与えることができる。また、液状フェノールノボラック樹脂との併用により液状としたエポキシ樹脂組成物の場合においても上記の特徴を維持しており、液状フェノールノボラック樹脂のみを硬化剤とした場合よりもゲル化時間は短く、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度も高い傾向を示すことがわかる。加えて、本発明のフェノール誘導型化合物の添加によるエポキシ樹脂組成物の粘度が、液状フェノールノボラック樹脂のみを硬化剤とした場合に対して粘度の上昇が小さいことがわかる。
本発明が与えるフェノール誘導型化合物は、速硬化性のエポキシ樹脂硬化剤として作用し、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物を与えることができる。さらに、その添加によりエポキシ樹脂組成物の粘度上昇が小さく、組成物の高流動性を維持する。
本発明は、液状封止材、アンダーフィル剤用途などの液状エポキシ樹脂組成物において、従来のフェノール系硬化剤の使用では達成が困難であった実用上の難点を補完しうるものである。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示されるフェノール化合物において、
    Figure 2010159317
    (式中、Ar、Arは、それぞれ下記一般式(2)で示されるフェニレン基、または下記一般式(3)で示されるナフタレン基であり、
    Figure 2010159317
    Figure 2010159317
    Xは直接結合、異種原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基、O、S、またはSOであり、R〜Rはそれぞれ炭素数1〜15個の炭化水素基、または水酸基であり、v、w、xはそれぞれ0〜3の整数、nは0以上の整数)、
    一般式(1)の中に3個以上の水酸基が存在するとき、下記一般式(4)又は(5)で示される置換基が20〜100%の置換率で置換され、一般式(1)の中に水酸基が2個存在するときは、一般式(4)又は(5)で示される置換基が20〜80%未満の置換率で置換され、
    水酸基当量が30〜200g/eq、120℃時の溶融粘度が3000mPa・s以下であるフェノール誘導型化合物。
    Figure 2010159317
    (式中、R4〜R8はそれぞれ水素原子または炭素数1〜15個の炭化水素基)、
    Figure 2010159317
    (式中、R4〜R8はそれぞれ水素原子または炭素数1〜15個の炭化水素基)、
  2. 水酸基当量が50〜100g/eq、120℃時の溶融粘度が1500mPa・s以下ある請求項1に記載のフェノール誘導型化合物。
  3. 前記一般式(1)のnが0、Rが水酸基、vが2であり、前記一般式(4)又は(5)のR〜Rがそれぞれ水素原子である請求項1または2に記載のフェノール誘導型化合物。
  4. 請求項1に記載の前記一般式(1)のフェノール化合物に、下記一般式(6)で示されるオキシラン化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール誘導型化合物の製造方法。
    Figure 2010159317
    (式中R〜Rは前記と同じである)
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール誘導型化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤。
  6. 請求項5に記載のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とからなるエポキシ樹脂組成物。
  7. 硬化促進剤を含有する請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 常温下で液状を呈する請求項6または7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 液状封止材、アンダーフィル材または接着剤用途である請求項6〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 封止材料、積層材料、塗料、接着剤またはレジスト用途である請求項6〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
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