JP2005220205A - エポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度で液状組成物として扱うことが可能であり、しかもその硬化物は耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物を与える水酸基含有化合物を提供することを目的とする。
【解決の手段】ジヒドロキシベンゼン類のフェノール性水酸基にグリシドールを付加反応させて得られるエポキシ樹脂用硬化剤、並びにエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
【解決の手段】ジヒドロキシベンゼン類のフェノール性水酸基にグリシドールを付加反応させて得られるエポキシ樹脂用硬化剤、並びにエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
Description
本発明はエポキシ樹脂の硬化剤として有用な水酸基含有化合物に関する。
エポキシ樹脂の硬化剤としては一般に、フェノールノボラック型樹脂、アミン化合物、酸無水物などが知られている。
このうちフェノールノボラック型樹脂は硬化時にエーテル結合を形成するため信頼性の面では最も優れている。しかしながら、一般にフェノールノボラック型樹脂は比較的高軟化点の固形樹脂であり、低粘度が要求される分野には適していない。これに対し液状のアリル基含有ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤に用いる例(特許文献1)が知られているが、この場合、水酸基に対してオルソ位に位置するアリル基がエポキシ基との反応を妨害するため硬化速度が遅く耐熱性などでも不十分であることが指摘されている。一方、アミン化合物や酸無水物は液状や粉末状での使用が可能であり、エポキシ樹脂組成物の低粘度化という面では適している。しかしながら、アミン化合物は一般に低温から硬化反応が始まるためエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性の面で問題がある。また、酸無水物は硬化時にエステル結合を形成するため、加水分解されやすく信頼性の面で問題がある。
このうちフェノールノボラック型樹脂は硬化時にエーテル結合を形成するため信頼性の面では最も優れている。しかしながら、一般にフェノールノボラック型樹脂は比較的高軟化点の固形樹脂であり、低粘度が要求される分野には適していない。これに対し液状のアリル基含有ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤に用いる例(特許文献1)が知られているが、この場合、水酸基に対してオルソ位に位置するアリル基がエポキシ基との反応を妨害するため硬化速度が遅く耐熱性などでも不十分であることが指摘されている。一方、アミン化合物や酸無水物は液状や粉末状での使用が可能であり、エポキシ樹脂組成物の低粘度化という面では適している。しかしながら、アミン化合物は一般に低温から硬化反応が始まるためエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性の面で問題がある。また、酸無水物は硬化時にエステル結合を形成するため、加水分解されやすく信頼性の面で問題がある。
本発明は、低粘度で液状組成物として扱うことが可能であり、しかもその硬化物は耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物を与えるエポキシ樹脂用硬化剤を提供することを目的とする。
本発明者らはこうした実状に鑑み、液状もしくは粉末状で容易に液状エポキシ樹脂に溶解し、耐熱性、信頼性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂組成物を求めて鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
(1)下記式(1)
(式中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
で表されるエポキシ樹脂用硬化剤、
(2)Rが全て水素原子であって、1,3位に−OCH2CH(OH)CH2OH基を有する上記(1)記載のエポキシ樹脂用硬化剤、
(3)エポキシ樹脂及び上記(1)または(2)記載のエポキシ樹脂用硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(4)硬化促進剤を含有する上記(3)記載のエポキシ樹脂組成物
を提供するものである。
で表されるエポキシ樹脂用硬化剤、
(2)Rが全て水素原子であって、1,3位に−OCH2CH(OH)CH2OH基を有する上記(1)記載のエポキシ樹脂用硬化剤、
(3)エポキシ樹脂及び上記(1)または(2)記載のエポキシ樹脂用硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(4)硬化促進剤を含有する上記(3)記載のエポキシ樹脂組成物
を提供するものである。
本発明の水酸基含有化合物は通常常温において液状であり、これと液状エポキシ樹脂と混合して得られる組成物は液状であるため作業性に優れる。またその硬化物は耐熱性に優れ信頼性に優れているため、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用である。
本発明において前記式(1)で表される化合物は通常、下記式(2)
(式中、R、nは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表されるジヒドロキシベンゼン類とグリシドールとを反応させることにより得ることが出来る。反応における仕込み比率は、ジヒドロキシベンゼン類の水酸基1当量に対してグリシドールが通常1〜2モル、好ましくは1.05〜1.5モルである。
で表されるジヒドロキシベンゼン類とグリシドールとを反応させることにより得ることが出来る。反応における仕込み比率は、ジヒドロキシベンゼン類の水酸基1当量に対してグリシドールが通常1〜2モル、好ましくは1.05〜1.5モルである。
使用し得るジヒドロキシベンゼン類の具体例としては、レゾルシン、ハイドロキノン、カテコール、メチルレゾルシン、エチルレゾルシン、プロピルレゾルシン、ブチルレゾルシン、メチルハイドロキノン等が挙げられる。これらジヒドロキシベンゼン類の水酸基の結合位置は、1,2、1,3、1,4位の何れでもいいが、1,3位、即ちレゾルシン骨格を有する化合物が好ましい。
反応は無溶剤でも溶剤中でも行うことが出来る。溶剤を使用する場合は水、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。溶剤を使用する場合、その使用量はジヒドロキシベンゼン類とグリシドールの仕込み重量に対して通常5〜100重量%、好ましくは10〜50重量%である。
また反応に際しては触媒を用いるのが好ましい。使用し得る触媒としてはエポキシ基とフェノール性水酸基の付加反応に用い得るものであれば何れも使用できる。具体的にはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、トリエチルアミン等の塩基、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。触媒の使用量は用いるグリシドール1モルに対して通常0.001〜5g、好ましくは0.005〜2.5gである。
反応時間は通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間である。反応温度は通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。
反応時間は通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間である。反応温度は通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。
反応終了後、目的物が結晶性である場合は水などの貧溶媒を系中に加え、冷却することにより析出させ濾過、水洗、乾燥により不純物などを除去することが出来る。また、目的物が樹脂状の場合は加熱減圧下で処理することにより未反応のグリシドールや溶剤などを除去することが出来る。加熱減圧下で精製を行う場合、反応触媒としては揮発しやすいトリエチルアミンなどの有機塩基を用いることが特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び本発明のエポキシ樹脂用硬化剤を含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル−フェノール類縮合型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン・フェノール重縮合型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル重縮合型エポキシ樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらエポキシ樹脂中で軟化点が通常70℃以下、好ましくは60℃以下のものが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル−フェノール類縮合型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン・フェノール重縮合型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル重縮合型エポキシ樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらエポキシ樹脂中で軟化点が通常70℃以下、好ましくは60℃以下のものが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物おいて、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は他の硬化剤と併用することができる。本発明のエポキシ樹脂用硬化剤と併用し得る他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有する。用いうる無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填材及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂を、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
次に本発明を更に実施例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
実施例1
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、レゾルシン55部に対しグリシドール74部、アセトン33部を仕込み常温下で撹拌し、完全に溶解せしめた後、トリエチルアミン1部を加え、65℃まで昇温し還流下で6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用い加熱減圧下でアセトンやトリエチルアミンなどを除去し、下記式(3)
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、レゾルシン55部に対しグリシドール74部、アセトン33部を仕込み常温下で撹拌し、完全に溶解せしめた後、トリエチルアミン1部を加え、65℃まで昇温し還流下で6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用い加熱減圧下でアセトンやトリエチルアミンなどを除去し、下記式(3)
で表される化合物(A)133部を得た。得られた化合物は常温において液状であった。
エポキシ樹脂として常温液状のRE−304S(日本化薬株式会社製、エポキシ当量170g/eq)85部に対し硬化剤として上記で得られた化合物(A)42.3部を、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)0.85部を配合し、均一に混合した。これを金型に注型し80℃で2時間、120℃で2時間、180℃で4時間硬化せしめて試験片を作成し、下記の条件でガラス転移温度を測定したところ191℃であった。
ガラス転移点
熱機械測定装置(TMA):真空理工(株)製 TM−7000
昇温速度:2℃/min.
熱機械測定装置(TMA):真空理工(株)製 TM−7000
昇温速度:2℃/min.
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022138343A1 (ja) * | 2020-12-22 | 2022-06-30 | 旭化成株式会社 | エポキシ樹脂組成物、接着フィルム、プリント配線板、半導体チップパッケージ、半導体装置、及び接着フィルムの使用方法 |
-
2004
- 2004-02-05 JP JP2004028729A patent/JP2005220205A/ja active Pending
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WO2022138343A1 (ja) * | 2020-12-22 | 2022-06-30 | 旭化成株式会社 | エポキシ樹脂組成物、接着フィルム、プリント配線板、半導体チップパッケージ、半導体装置、及び接着フィルムの使用方法 |
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