JP5658484B2 - 反射型波長板 - Google Patents

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本発明は液晶プロジェクタなどの画像投影装置、光ディスク装置の書込み読出しのための光ピックアップ装置、その他の光学装置において、直線偏光を円偏光に変換するための波長板(位相差板)に関するものである。
波長板には透過型と反射型がある。反射型波長板は、光源光の偏光状態を変換するとともにその光路を変更することができることから、波長板を使用した光学装置の光学系、例えば光ピックアップ光学系など、の薄型化と小型化が実現できる。
反射型波長板は透過型波長板と反射板を一体化させたものに相当するので、部品点数の削減が可能となり、この点からも省スペース、小型化及び軽量化が実現できる。例として、光ピックアップ光学系では、対物レンズを搭載したアクチュエータには対物レンズに入射光を導くとともに対物レンズからの出射光を受光するために反射板と波長板が別個のものとして搭載されているが、反射型波長板では反射板と波長板の機能を1つの素子として複合させることができるので、アクチュエータの小型化と軽量化が実現する(特許文献1参照。)。
さらに、透過型波長板は光透過機能部品であるため、光透過性材料(具体的には透過率が95%の材料)が必須であったが、反射型波長板の反射板は反射光学素子であるため、高価な透過性材料を使用する必要がなく、安価な材料で製作することができる。
また波長板機能を、水晶などの光学結晶に代えて、使用光の波長以下の周期をもつサブ波長凹凸構造体により実現することも行われている。サブ波長凹凸構造体であれば材料選択の幅が大幅に広がる。
特許第3545008号公報
金属膜による反射膜は反射面で位相差が発生しないため設計が容易である。しかし、高いレーザーパワーで使用する場合、反射面での光吸収による発熱や劣化が問題となる。
また、反射型波長板の新しい構造として、ガラス基板の上に金属膜からなる反射膜を介して使用波長以下の周期をもつサブ波長凹凸構造体を積層した反射型波長板を考えると、サブ波長凹凸構造体は一般に誘電体により構成されるので、サブ波長凹凸構造体と金属反射膜との間の密着強度が弱く、耐久性に問題が生じる。
本発明は、反射膜での吸収が少なく、反射膜とサブ波長凹凸構造体との密着強度が強くて耐久性にも優れた反射型波長板を提供することを目的とするものである。
本発明は基板上に反射膜を介してサブ波長凹凸構造体が配置されてなり、入射光の波長λに対して略λ/4の位相差を付加して出射する反射型波長板である。そして、反射膜は誘電体多層膜からなり、入射光の波長λに対して略λ/2の位相差を発生させる膜構成をもち、サブ波長凹凸構造体は入射光の波長λに対して略λ/8の位相差を発生させるようにフィリングファクタと凹凸の溝の深さが設定されていることを特徴とするものである。
ここで、位相差に関して「略λ/2」、「略λ/4」及び「略λ/8」というように「略」をつけているのは、それぞれがちょうどλ/2、λ/4及びλ/8であるときに反射型波長板としては直線偏光を完全な円偏光に変換できる最も優れた光学特性を得ることができるが、実際の設計と製作では最もよい条件からいくらか外れることがある。それでも実用上、差し支えのない程度の円偏光が得られるのであれば、そのような反射型波長板も本発明の範囲内に含まれることを意図して「略」と称している。
サブ波長凹凸構造体において略λ/8の位相差を発生させるフィリングファクタと凹凸の溝の深さは、特に限定されるものではないが、その一例はフィリングファクタが0.6、凹凸の溝の深さが176nmである。
反射率が96%以上で略λ/2の位相差を発生させる反射膜の構成は次のようなものである。基板上に下から順に厚さが75nmのSiO2層と厚さが51nmのTa25層を交互に形成して25層に積層したものを反射膜とする。さらにその上に位相差を発生させるサブ波長構造を形成するために厚さが130nmのTa25膜と全反射機能をもつ厚さが60nmのSiO2膜を形成する。上記の深さが176nmの凹凸の溝は、厚さが130nmのTa25膜と厚さが60nmのSiO2膜からなる合計膜厚が190nmの積層膜に形成したものである。
誘電体多層膜を反射膜に使用すると金属反射膜に比べて入射光の吸収が少ない。また、サブ波長凹凸構造体は一般に誘電体で構成されるので、誘電体多層膜は金属反射膜に比べてサブ波長凹凸構造体との密着強度が強い。
一方、誘電体多層膜を反射膜として使用した反射型波長板では反射膜でも位相差が発生し、主として位相差を発生させるサブ波長凹凸構造体の光学軸(進相軸)に対して反射膜の光学軸方向が異なることから、サブ波長凹凸構造体で発生する位相差を調整しても直線偏光から円偏光への変換が十分でないことがある。それを避けるためには誘電体多層膜の位相差がちょうど180度(λ/2)になるように設計し製作すればよいが、その場合には位相差を特定の値に固定した上で光学特性(反射率)と位相差を両立させることが必要になる。
そこで、光学特性と位相差を両立させる上での好ましい形態の反射型波長板は、反射膜とサブ波長凹凸構造体の間にサブ波長凹凸構造体の底部を構成する位相差調整層が存在し、その位相差調整層と反射膜との積層膜が入射光の波長λに対して略λ/2の位相差を発生させるようにしたものである。すなわち、その位相差調整層により反射膜における位相差調整の機能をもたせるものであり、誘電体多層膜の設計と製作においては、誘電体多層膜自体で光学特性と位相差を両立させる必要がなくなり、誘電体多層膜の設計と製作は反射率等の光学特性や分光特性に特化することが可能となるため、容易な設計と安定した製作が可能となる。
本発明では、主として位相差を発生させる部分がサブ波長凹凸構造体であり、反射型であるため位相差発生層を光が2回通過することでλ/4の位相差を発生すればよいことから、サブ波長凹凸構造体の溝深さがλ/8相当でよいことになり、サブ波長凹凸構造体の加工が容易である。
そして、反射型波長板の利点を活かしつつ、反射膜が誘電体多層膜であることから金属反射膜に比べて入射光の吸収が少なく、サブ波長凹凸構造体との密着強度が強くて耐久性に優れる。
本発明の反射型波長板の光学モデルを示す概略断面図である。 本発明の反射型波長板を光学シミュレーションするための便宜上のモデルを示す概略斜視図である。 本モデルを基に各層それぞれの位相差を変化させたときの素子全体の位相差を楕円率(β/α)として示すグラフである。 一実施例の反射型波長板を示す断面図である。 位相差調整膜の厚さを横軸にとり、反射膜と位相差調整膜の2つの膜で発生する位相差を縦軸にとったグラフである。 石英型を製造する方法を示す工程断面図である。 シリコン型を製造する方法を示す工程断面図である。 一実施例の反射型波長板を製造する第1の方法を示す工程断面図である。 同実施例の反射型波長板を製造する第2の方法を示す工程断面図である。
本発明の反射型波長板によって直線偏光が円偏光に変換される原理を示す。図1は、本発明の反射型波長板の光学モデルを示し、偏光方向11をもつ直線偏光が入射側(λ/8)板12を透過し、反射膜13で反射し、出射側(λ/8)板14を透過したのち、円偏光15となって出射する。
本光学モデルを光学シミュレーションするための便宜上のモデルを図2に示す。図2のモデルでは、本来は同一である(λ/8)板を入射側(λ/8)板21と出射側(λ/8)板23に分割し、更に反射膜13を透過膜22に置き換えた。入射側(λ/8)板21の光学軸方向21a、透過膜22の光学軸方向22a及び出射側(λ/8)板23の光学軸方向23aとともに、直線偏光である入射光の偏光方向24と、出射光の円偏光25も図2に示した。(λ/8)板の光学軸方向21a、23aはサブ波長凹凸構造体の形成方向により決められるのに対し、反射膜の光学軸方向は反射面に対する光の入射方向によって決められる。
本モデルを基に各層21、22、23それぞれの位相差を変化させたときの素子全体の位相差を楕円率(β/α)として図3に示す。出射光を楕円偏光とみたとき、βは楕円の短軸長さ、αは長軸長さであり、楕円率が1になると円偏光となる。構造上、(λ/8)層21と23は同一位相差となるため、(λ/8)層21と23は同一位相差となるよう計算した。
図3より、所望の円偏光を得るためには、(λ/8)層21,23と反射層22がともに所定の位相差をもつように調整する必要があることがわかる。
本実施例では、(λ/8)板の位相差を45±3度(反射による往復で90±6度)、反射層の位相差を180±3度に設定し製作した。製作した(λ/8)板の反射による往復の実測位相差は85度〜95度であり、楕円率0.91〜1.0の円偏光を得ることができた。この実施例における(λ/8)板と反射層の設定位相差の「±3度」は本発明における「略」の1つの目安を示すものである。
本発明における実施の形態を詳細に説明する。
図4は、一実施例の反射型波長板を断面図として示したものである。
この反射型波長板は、ガラス基板41の上に形成された誘電体多層膜からなる反射膜42と、その上に配置された単層膜からなる位相差調整膜43と、さらにその上のサブ波長凹凸構造体44で構成されている。位相差調整膜43はサブ波長凹凸構造体44と同一物質からなるものであり、具体的にはサブ波長凹凸構造体44の底部を構成するものである。サブ波長凹凸構造体44は入射波長より短い一定の周期もち、その凹凸構造の凸部と凹部が紙面垂直方向に延びた構造である。その凹凸構造の凸部44bは主として狙いの位相差を発生させる部分であり、その表面に反射防止膜44aを備えている。
ここで、本実施例のそれぞれの構造について説明する。ガラス基板41は本発明において光を通過させないため、特定の光学特性は不要である。しかし反射光の反射波面の維持を目的として平面度が良好な基板が望ましい。本実施例では両面研磨で平面度及び平行度を確保したガラス基板を採用した。
また反射膜42は、SiO2とTa25の膜を交互に積層した膜で構成した。使用するレーザ光の波長を405nmとしたときに反射率96%が得られるように多層膜を設計した。この膜に対し、使用する入射角45°において発生する位相差も同時に計算した結果177度であった。反射特性を満たす多層膜の位相差が180度ではないことから、位相差の調整が必要となるが、この調整を受け持つのが位相差調整膜43である。図5に位相差調整膜43の厚さを横軸にとり、反射膜42と位相差調整膜43の2つの膜で発生する位相差を縦軸にとったグラフを示す。このグラフより、位相差調整膜43の厚さが5nmのときと50nmのときに位相差180度が得られることが分かる。そこで、本実施例では位相差調整膜43の厚さを5nmに設定した。
続いてサブ波長凹凸構造体44は、波長405nmに対してλ/8の位相差が発生するように設計した。サブ波長凹凸構造体は使用する波長より短い周期の凹凸構造によって入射光に対して複屈折特性を得ることができる特性を利用し、構造寸法(フィリングファクタと凹凸の溝の深さ)をパラメータとして調整することによって位相差を任意に設定することができる。
より詳しく述べると、図4に示されるように、サブ波長凹凸構造体44の凹凸は断面形状が図示の矩形波形状であり、このような矩形波状の凹凸が、紙面垂直方向に延びている。したがって、サブ波長凹凸構造体における凸部44bは紙面垂直方向に延びた長い凸条をなし、凹部も紙面垂直方向に延びた長い凹条をなす。凸条をなす凸部を「ランド」と呼び、凹条をなす凹部を「スペース」と呼ぶ。
断面矩形波状のサブ波長凹凸構造体のピッチPは、図4に示すように、一対をなすランドとスペースのランド幅aとスペース幅bの和(a+b)である。また、スペース底部に対するランドの高さを溝深さdとする。
このとき、フィリングファクタ(FF)はa/P、アスペクト比はd/bである。すなわち、フィリングファクタが大きいことは、ピッチPに占めるランド幅aが大きい(スペース幅bが小さい)ことを意味し、アスペクト比が大きいほど、スペース幅bに対する溝深さdが大きいことを意味する。アスペクト比が大きいほどサブ波長凹凸構造体形成が難しくなる。
サブ波長凹凸構造体の凹凸のピッチは波長以下であるので、そのピッチよりも大きい波長の光は回折せず、0次光としてそのまま透過するが、入射光に対して複屈折性を示す。すなわち、サブ波長凹凸構造体へ空気領域から入射する入射光において、サブ波長凹凸構造体の周期方向(図4の左右方向)に平行に振動する偏光成分TM、ランド長手方向(紙面垂直方向)に平行に振動する偏光成分TEに対し、サブ波長凹凸構造体は屈折率が異なる媒質のように作用する。
サブ波長凹凸構造体の部分における有効屈折率を、偏光成分TMにつきn(TM)、偏光成分TEについてn(TE)とすると、これらの有効屈折率は、サブ波長凹凸構造体が形成された薄層材料の屈折率n、サブ波長凹凸構造体のフィリングファクタfを用いて以下のように表される。
n(TE)={fn2+(1−f)}1/2
n(TM)=[n2/{f+(1−f)n2}]1/2
このため、透過光における偏光成分TMに対し、偏光成分TEは位相が「δ」だけ遅れることになる。すなわち、溝深さdを用いると、サブ波長凹凸構造体の光学的厚さは、偏光成分TMに対して「d・n(TM)」、偏光成分TEに対して「d・n(TE)」であるので、これら光学的厚さの差d{n(TE)−n(TM)}に応じて位相遅れδが生ずる。この位相遅れδがリタデーション(Reterdation)である。
光学的厚さの差であるd{n(TE)−n(TM)}をDとし、波長をλとすると、δ=2πD/λであるが、サブ波長凹凸構造体においては、波長λの広い領域にわたって、略一定のリタデーションが得られる。
n(TE)、n(TM)は、サブ波長凹凸構造体を構成する凸部44bの材料の屈折率nと、フィリングファクタfにより決定され、リタデーションδは、屈折率n、フィリングファクタf及び溝深さdにより定まるから、結局、リタデーションはサブ波長凹凸構造体が形成された薄層材料(nが定まる。)とサブ波長凹凸構造体の構造寸法(フィリングファクタfと溝深さd)を調整することにより所望のものを得ることができる。
位相差の計算は、公知のFDTD(時間領域差分)法を用いて計算した。
次に、本実施例の波長板の作成手順を説明する。
ここで、素子作成の説明に先立って、型の作成方法を説明する。
図6(A)〜(D)は石英を基材とした型の作成方法を説明するための図である。
(A)石英材料の基板30の表面に電子線描画用のレジスト32を所定の厚さに塗布し、プリベークする。予め設計されたプログラムにより、電子線34により波長板の諸元に対応したピッチ(周期)と線幅に描画する。
(B)レジストに対し、現像およびリンスを行うことにより、サブ波長凹凸構造のレジストパターン32aが形成される。レジストパターン32aの凹凸の溝の底には石英基板30が露出している。
(C)サブ波長凹凸構造のレジストパターン32aをマスクとして、石英基板30のドライエッチングを行い、石英のサブ波長凹凸構造体36を得る。エッチングにはRIE(反応性イオンエッチング)、NLD(磁気中性子放電プラズマエッチング)、TCP(誘導結合型プラズマエッチング)等のエッチング装置にて、反応ガスとしてCF4ガスとCF3ガスを用いて行う。基板にバイアスをかけることで、面に垂直にエッチングを進行させる。
(D)レジストパターン32aを剥離する。剥離の方法はドライエッチング装置内で酸素ガスを導入し、酸素ガスプラズマ中でレジスト除去を行う方法と、基板を装置から取り出してCAROS洗浄(硫酸と過酸化水素水の混合液による洗浄)で除去する方法とがある。完成した石英のサブ波長凹凸構造体36を石英型として用いる。
図7(A)〜(D)はシリコンを基材とした型の作製方法を説明するための図である。以下に説明する方法は、必ずしもシリコン基板に限定されることはなく、石英基板上にスパッタリング法やCVD式等で形成されたシリコン膜に対しても同様の方法で型の製作が可能である。
(A)シリコン基板38の表面に電子線描画用のレジスト32を所定の厚さに塗布し、プリベークする。予め設計されたプログラムにより、電子線34で波長板の諸元に対応したピッチ(周期)と線幅に描画する。
(B)レジスト32に対し、現像およびリンスを行うことにより、サブ波長凹凸構造のレジストパターン32aを形成する。凹凸構造の溝の底にはシリコン基板38が露出している。
(C)サブ波長凹凸構造のレジストパターン32aをマスクとしてシリコン基板38のアルカリウェットエッチング(KOH溶液使用)を行い、シリコンのサブ波長凹凸構造39を得る。シリコン基板38はシリコン面を壁として、ピッチを維持したまま深さ方向にエッチングされる。なお、前述した石英基板上にスパッタリング法やCVD式等と同様の方法で形成されたシリコン膜に対しても型の製作が可能である。この場合、ボッシュプロセス用いたドライエッチングでも同様の構造を制作できる。
(D)レジストパターン32aを剥離する。完成したシリコンのサブ波長凹凸構造39をシリコン型として用いる。
このようにして作られた石英型又はシリコン型を便宜上、金型と呼ぶことがある。
図8(A)〜(G)はガラス基板上にSiO2膜とTa25膜による多層膜によって反射膜を形成し、その上に位相差を発現するサブ波長凹凸構造体を形成するためのTa25膜及びさらにその上に反射防止機能を発現するためのSiO2膜を成膜し、最上層のSiO2膜とその下のTa25膜にサブ波長凹凸構造体を形成する手順を示す図である。以下に、図8(A)から(G)に沿って説明する。
(A)ガラス基板50の表面にSiO2膜とTa25膜からなる多層膜51を形成する。その多層膜51は反射膜52となる多層膜とサブ波長凹凸構造体用のTa25膜54からなる。Ta25膜54はその表面に反射防止機能を発現するためのSiO2膜をもつ。Ta25膜54の厚さは、シミュレーションにより求められたサブ波長凹凸構造体の溝の深さと位相差調整層を合計した厚さで成膜する。これらの膜の形成方法としては、スパッタリング法を用いて次のような条件で製作する。
膜構成:(ガラス材料50)/SiO2膜/(Ta25膜+SiO2膜)×14回+Ta25膜。
膜厚の例:SiO2膜75nm、Ta25膜51nm、最上層のTa25膜54は130nm。
成膜時圧力:0.13Pa。
成膜速度:SiO2膜0.347nm/sec、Ta25膜0.350nm/sec。
成膜時間:140min(排気20min)
(B)Ta25膜54上のSiO2膜上にUV硬化樹脂56を塗布し、上からモールド型58で押圧する。モールド型58としてはシリコン型、石英型ともに使用しうるが、サブ波長凹凸構造体を形成するナノインプリントにおいては、石英型の方が光透過性なので適している。UV硬化樹脂はPAC−01(東洋合成(株)の製品)を用いる。また、UV硬化樹脂に代えて熱硬化性転写材料を使用する場合は、シリコン型も利用できる。
(C)モールド型58の背面からUV(紫外線)59を照射し、樹脂56を固める。
また、モールド型としてシリコン型を用いる場合は、UVをガラス基板50側から与える。
(D)モールド型58を離型する。UV硬化樹脂に凸状のサブ波長凹凸構造体のマスクパターン56aが形成されている。
(E)Ta25膜54上のSiO2膜が露出するまでUV硬化樹脂をドライエッチングする。この工程は、最下部に樹脂層がない状態、すなわち転写された樹脂の凹凸パターンの凹部の底に樹脂層がない状態、までマスクパターンの型形状を転写できれば、省くことが可能である。
このときのドライエッチングは以下の条件で行う。
ガス種:酸素ガス(O2)。
ガス流入量:20scccm。
圧力:0.4Pa。
樹脂エッチング速度:30nm/sec。
上部バイアス電力:lKW。
下部バイアス電力:100W。
(F)Ta25膜54上のSiO2膜を貫通し、Ta25膜54の溝が所望の深さになるまでドライエッチングしてサブ波長凹凸構造体54aを形成する。
このときのドライエッチングは以下の条件で行う。
エッチング装置:RIE(住友金属社製 RaLinbow4500機 平行平板RF印加 SpritPower方式)。
稼働条件:
上部電極パワー:200W。
下部電極パワー:200W。
電極間隔:9.5mm、
上部電極温度:10℃。
下部電極温度:10℃。
ガス種:
CF4=30sccm。
CHF3=60sccm。
Ar=100sccm。
He=5sccm。
反応室内圧力:30Pa。
Ta25膜54のエッチング速度:8nm/sec。
このとき、Ta25膜54のパターン(サブ波長凹凸構造体54a)の谷部を完全にエッチングせずに設計厚さでエッチングを止める。すなわち、位相差調整層となるTa25膜を残す。Ta25膜の残膜量、Ta25膜の屈折率、フィリングファクタ、ピッチ(周期)、深さ等を最適化することによって、目的とする波長板の位相差を確保する。
この実施例では、サブ波長凹凸構造体と位相差調整層となるTa25膜の厚さは130nm、Ta25膜の残膜量は5nm、Ta25膜の屈折率は2.3217、フィリングファクタは0.6、ピッチ(周期)は125nm、最上層の反射防止機能をもつSiO 2 膜表面からの深さは176nmとした。その結果、サブ波長凹凸構造体の位相差は90°、位相差調整層と反射膜を合わせた位相差は180°、反射膜の反射率は98%であった。次の実施例でも同様である。
(G)最後に、最上部に残った樹脂マスクを酸素ガスプラズマ中でドライエッチングによる剥離処理により除去する。この状態で波長板が完成する。
図9(A)〜(G)は金型を使用しない波長板の作製方法を説明するための図であり、ガラス基板上に反射膜としてのTa25膜とSiO2膜からなる多層膜を形成し、その上に位相差を発現するためのTa25膜及び反射防止機能を発現するためのSiO2膜を成膜し、Ta25膜にサブ波長凹凸構造体を形成する手順を示す図である。以下に、図9(A)から(G)に沿って説明する。
(A)ガラス基板50の表面にSiO2膜とTa25膜からなる多層膜51を形成する。その多層膜51は反射膜52となる多層膜とサブ波長凹凸構造体用のTa25膜54からなる。Ta25膜54はその表面に反射防止機能を発現するためのSiO2膜をもつ。Ta25膜54の厚さは、シミュレーションにより求められたサブ波長凹凸構造体の溝の深さと位相差調整層を合計した厚さで成膜する。これらの膜の形成方法としては、スパッタリング法を用いて次のような条件で製作する。
膜構成:(ガラス材料50)/SiO2膜/(Ta25膜+SiO2膜)×14回+Ta25膜。
膜厚の例:SiO2膜75nm、Ta25膜51nm、Ta25膜54は130nm。
成膜時圧力:0.13Pa。
成膜速度:SiO2膜0.347nm/sec、Ta25膜0.350nm/sec。
成膜時間:140min(排気20min)
さらに、Ta25膜54上のSiO2膜上にCr(クロム)膜60を形成する。Cr膜60の形成方法としては、スパッタリング法を用い次のような条件で行う。
基板温度:70〜100℃。
製膜時圧力:7〜8×10-4Torr。
成膜速度:0.5〜1.0Å/sec。
RFパワー:100〜200W。
(B)Cr膜60上に電子線描画用のレジスト62を塗布する。
(C)「高精度微細幅露光装置」によりI線ステッパを使用して露光する。露光後、現像工程を経て部分的にレジストを除去してレジストパターン62aを形成する。Cr膜60はレジストが除去された部分に露出する。レジストパターン62aは以後のCr膜エッチング用マスクパターンとなる。
(D)レジストパターン62aをマスクとしてTa25膜54上のSiO2膜が露出するまでCr膜60をドライエッチングしてCrマスク62aを形成する。Cr膜60のドライエッチングはエッチング装置:RIE(住友金属社製 Rainbow4720機 平行平板RF印加 Plasmamode方式)を使用して以下の条件で行う。
稼働条件:
上部電極パワー:400W。
下部電極パワー:80W。
電極間隔:12mm。
上部電極温度:0℃。
下部電極温度:20℃。
ガス種:
Ar=50sccm。
2=20sccm。
C12=80sccm。
反応室内圧力:35Pa。
(E)残ったレジストパターン62aを酸素ガスプラズマ中でドライエッチングによる剥離処理により除去する。
(F)Crマスク62aをマスクとして、Ta25膜54上のSiO2膜を貫通し、Ta25膜54の溝が所望の深さになるまでドライエッチングしてサブ波長凹凸構造体54aを形成する。
このときのドライエッチングは以下の条件で行う。
エッチング装置:RIE(住友金属社製 RaLinbow4500機 平行平板RF印加 SpritPower方式)。
稼働条件:
上部電極パワー:200W。
下部電極パワー:200W。
電極間隔:9.5mm、
上部電極温度:10℃。
下部電極温度:10℃。
ガス種:
CF4=30sccm。
CHF3=60sccm。
Ar=100sccm。
He=5sccm。
反応室内圧力:30Pa。
Ta25膜54のエッチング速度:8nm/sec。
このとき、Ta25膜54のパターン(サブ波長凹凸構造体54a)の谷部を完全にエッチングせずに設計厚さでエッチングを止める。すなわち、位相差調整層となるTa25膜を残す。Ta25膜の残膜量、Ta25膜の屈折率、フィリングファクタ、ピッチ(周期)、深さ等を最適化することによって、目的とする波長板の位相差を確保する。
(F)最後に最上部に残ったCrマスク60aをCr剥離液中でウェットエッチングにより除去する。
(G)この状態で波長板が完成する。ガラス基板の片面がTa25膜とSiO2膜によって構成される反射膜及び波長板になっている。
41 ガラス基板
42 反射膜
43 位相差調整膜
44 サブ波長凹凸構造体

Claims (1)

  1. 基板上に反射膜を介してサブ波長凹凸構造体が配置されてなり、入射光の波長λに対して略λ/4の位相差を付加して出射する反射型波長板において、
    前記反射膜は所定の反射率をもち、前記入射光の波長λに対して位相差を発生させる誘電体多層膜からなり、
    前記サブ波長凹凸構造体は、前記入射光の波長λに対して略λ/8の位相差を発生させるようにフィリングファクタと凹凸の溝の深さが設定されており、
    前記反射膜と前記サブ波長凹凸構造体の間には、前記サブ波長凹凸構造体と同一物質からなり、前記サブ波長凹凸構造体と一体成形され、前記サブ波長凹凸構造体の底部を構成する位相差調整層が存在しており、前記位相差調整層と前記反射膜との積層膜が前記入射光の波長λに対して略λ/2の位相差を発生させる膜構成となっていることを特徴とする反射型波長板。
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