JP5646323B2 - 溶血させた全血を用いる血中成分の測定方法及びそのキット - Google Patents

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Description

本発明は、溶血剤と全血を混合して溶血させた検体中の測定対象物を、該測定対象物を酸化する酸化酵素を作用させ生成する過酸化水素を検出することにより全血を用い血球分離することなく該測定対象物の全血中の濃度の測定方法に関する。更に、本発明には、全血を用いる方法で測定した該測定対象物の測定値の血清又は血漿中での濃度への換算方法も含まれる。
疾患の診断、治療、予防に使用する客観的な情報を得るために生化学検査は欠かせない。その代表的な検査項目としては、クレアチニン、尿酸、グルコース、ヘモグロビンA1c、1,5−アンヒドログルシトール、コレステロール、中性脂肪、リン脂質等が挙げられる。従来、このような検査項目の大部分は血清や血漿を用いて行われている(非特許文献1等)。
これらの血清や血漿を用いて行う臨床化学検査には、各々の測定対象物に特異的な酸化酵素を利用し、該酵素による酸化の際に生成する過酸化水素を測定して定量する方法が知られている。
又、その過酸化水素の検出にはペルオキシダーゼを用いる方法、カタラーゼを用いる方法、過酸化水素電極や酸素電極を用いる方法等がある。
ペルオキシダーゼを用いる方法では色原体を用い、生成した色素を比色定量する方法が迅速且つ簡便であるために広く用いられている。
しかしながら、血清や血漿中の測定の場合でも、測定操作中に発生する溶血による微量のヘモグロビンのために発色阻害や比色測定時の妨害がある。
又、特許文献1及び動物用1,5AGキット(日本化薬(株)製)の添付文書に記載の1,5−アンヒドログルシトールの測定法では、全血に精製水又は10mMのEDTA水溶液を加えて溶血し、この溶血液を遠心分離してから、その上清液をカラムに通搭した処理液を用いて1,5−アンヒドログルシトールの測定を行っている。即ち、溶血した全血をそのまま用いた1,5−アンヒドログルシトールの測定法ではない。
特許文献2では溶血液を用いた試験ストリップによる測定対象物の測定法が記載されているが、これも溶血した全血をそのまま用いた測定法ではない。
特開平8−70893号公報 特表2003−521246号公報
金原出版 臨床検査法提要(改定第30版) 第7章 臨床化学検査
全血を用いる血液中の測定対象物の比色測定では、血色素による発色阻害や測定時の妨害を回避することができず、全血を血球分離操作して得られる血清又は血漿を使用しなければならなかった。血液中の測定対象物の測定前に血球分離操作を行うことは、大規模検査施設や検査室を持ち検査技師のいる総合病院のような施設では可能だが、そのような検査設備を持たない個人医師のクリニックや家庭での測定では行えない。
そこで、家庭や個人医師のクリニック、患者のベッドサイドで生化学検査を行うために、血球分離操作等を必要としない全血による測定方法が求められていた。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、全血を溶血させてから該測定対象物の酸化酵素を作用させ生成する過酸化水素を検出する方法、特に、過酸化水素を検出する際に使用する色原体や測定波長を検討する事により血液中の測定対象物を血球分離することなく全血を用いて測定する方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は
(1)赤血球内のみに存在する成分以外の血液中の成分であって酸化酵素を反応させると過酸化水素を生成する成分を測定対象物とする全血を用いる測定方法であって、全血を溶血させる工程と、該測定対象物の酸化酵素を反応させて生成する過酸化水素を検出する工程とを含む該測定対象物の全血中の濃度の測定方法;
(2)全血を溶血させる工程が、溶血剤と全血との混合を含む上記(1)に記載の測定方法;
(3)溶血剤が界面活性剤である上記(2)に記載の測定方法;
(4)過酸化水素を検出する工程が、ペルオキシダーゼと色原体を用い、色原体から生成する色素の発色の検出を含む上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の測定方法;
(5)色原体が酸化カップリング発色型色原体である上記(4)に記載の測定方法;
(6)酸化カップリング発色型色原体が、4−アミノアンチピリン、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン又は2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸と、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン又はN−エチル−N−スルホプロピルアニリンとからなる色原体である上記(5)に記載の測定方法;
(7)色素の発色の検出を測定波長580nm〜900nmの吸光度にて行う上記(4)から(6)のいずれか一項に記載の測定方法;
(8)測定対象物がクレアチニン、尿酸、グルコース、1,5−アンヒドログルシトール、コレステロール、中性脂肪又はリン脂質である上記(1)から(7)のいずれか一項に記載の測定方法;
(9)測定対象物が1,5−アンヒドログルシトールである上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の測定方法;
(10)酸化酵素がピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼである上記(9)に記載の測定方法;
(11)過酸化水素を検出する工程の前に、測定対象物の測定の妨害になる成分を消去する工程を含む上記(1)から(10)のいずれか一項に記載の測定方法;
(12)上記(1)から(11)のいずれか一項に記載の測定方法に使用するキットであって、全血を溶血させる試薬と過酸化水素を検出する試薬を含有する測定対象物の測定用キット;
(13)全血を溶血させる試薬が溶血剤であり、過酸化水素を検出する試薬がペルオキシダーゼと色原体である上記(12)に記載の測定用キット;
(14)溶血剤が界面活性剤であり、色原体が酸化カップリング発色型色原体である上記(13)に記載の測定用キット;
(15)酸化カップリング発色型色原体が、4−アミノアンチピリン、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン又は2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸と、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン又はN−エチル−N−スルホプロピルアニリンとからなる色原体である上記(14)に記載の測定用キット;
(16)更に、測定対象物の酸化酵素を含有する上記(12)から(15)のいずれか一項に記載の測定用キット;
(17)測定対象物が1,5−アンヒドログルシトールである上記(12)から(16)のいずれか一項に記載の測定用キット;
(18)酸化酵素がピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼである上記(16)又は(17)に記載の測定用キット;
(19)予め求めておいた上記(1)から(11)のいずれか一項に記載の測定方法で得られた全血を用いた測定対象物の測定値と、血漿又は血清を用いた該測定対象物の測定値との比である全血測定回収率の平均値で、上記(1)から(11)のいずれか一項に記載の測定方法で求めた全血を用いた該測定対象物の測定値を除することによる全血における該測定対象物の測定値の血清又は血漿における該測定対象物の濃度への換算方法;
(20)全血を溶血させた検体中のヘモグロビン濃度に関連する数値を測定し、該数値の関数として得られる全血測定回収率を用いて上記(1)から(11)のいずれか一項に記載の測定方法で求めた全血を用いた該測定対象物の測定値を除することによる全血における該測定対象物の測定値の血清又は血漿における該測定対象物の濃度への換算方法;
(21)検体中のヘモグロビン濃度に関連する数値が吸光度である上記(20)に記載の換算方法;
に関する。
本発明の測定方法によれば、血球分離することなく全血を用いて血液中の測定対象物、例えば、1,5−アンヒドログルシトール等を酸化酵素によって酸化し、生成する過酸化水素を検出して該測定対象物の定量が可能となり、血球分離のための装置がない家庭や個人医師のクリニック、患者のベッドサイドにおいて簡便・迅速に且つ正確に該測定対象物の測定が可能となる。
血漿サンプルを測定する従来法(参考例1)と全血サンプルを溶血させて測定する実施例2の測定値の相関性 血漿サンプルを測定する従来法(参考例1)と全血サンプルを溶血させないで測定する比較例2の測定値の相関性 全血測定回収率(a/b)と24ポイント吸光度との相関を示す図 全血測定値から求めた血漿換算値と血漿の実測値との相関を示す図
本発明は、赤血球内のみに存在する成分以外の血液中の成分であって酸化酵素を反応させると過酸化水素を生成する成分を測定対象物とする全血を用いる測定方法であって、全血を溶血させる工程と、該測定対象物の酸化酵素を作用をさせて生成する過酸化水素を検出する工程とを含む該測定対象物の全血中の濃度を測定する方法である。
本発明の方法が適用される全血とは、血球を分離していない採血した状態のままの血液であり、採血用の採血管等に含まれるエチレンジアミン四酢酸・2カリウム塩(EDTA・2K)、エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヘパリン、フッ化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、モノヨード酢酸等の抗凝固剤や解糖阻止剤等を含んでいてもよい。保存した血液の場合には、フッ化ナトリウムとヘパリンを含有する採血管で採血したものが好ましい。
又、採血管等を使用せずに、自己血糖測定等に用いられる穿刺器具等により採血した血液でもよい。穿刺による採血部位は、指先の他、前腕外側や腹壁又は上腕外側等特に制限はない。その採血量は、例えば、200μL以下、好ましくは0.1μLから50μL程度、より好ましくは3μLから20μL程度である。
本発明の方法が適用される測定対象物としては、赤血球内のみに存在する成分以外の血液中の成分であって、酸化酵素を反応させると過酸化水素を生成する物質である。例えば、クレアチニン、尿酸、グルコース、1,5−アンヒドログルシトール、コレステロール、中性脂肪、リン脂質等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、1,5−アンヒドログルシトールが好ましい。
赤血球内のみに存在する成分としては、例えば、ヘモグロビンA1cやヘモグロビンがある。
本発明の測定方法において全血を溶血させる工程とは、血球を溶解、即ち、細胞膜を破壊する工程を意味し、例えば、界面活性剤を含む溶液、サポニン類溶液又は低張液等の溶血剤の混合や、凍結融解、超音波処理又は加圧処理等の物理的処理を含む工程である。中でも、界面活性剤を含む溶血剤と全血との混合を含む工程が好ましい。
該界面活性剤としては、測定対象物の測定に影響せず血液を溶血できれば特に限定されず、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤が挙げられるが、中でも、非イオン性界面活性剤が好ましい。
該非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤等があげられるが、中でも、ポリオキシエチレン系界面活性剤が好ましい。
該ポリオキシエチレン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられるが、中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが好ましい。
該ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルにおけるアルキル基としては、オクチル基、ノニル基等の(C7〜C10)アルキル基が好ましく、例えば、ノニオンHS210(日本油脂(株)製)、トリトンX−100(和光純薬工業(株)製)、トリトンX−405(和光純薬工業(株)製)、エマルゲン920(花王(株)製)等が挙げられる。
上記溶血剤中の界面活性剤の濃度としては、0.0001重量%から10重量%程度、好ましくは0.01重量%から2重量%程度である。
本発明の測定方法における測定対象物の酸化酵素としては、該測定対象物を酸化する能力を有し、酸化反応により過酸化水素を生成すれば特に限定されず、公知の酸化酵素を使用することができる。
該酸化酵素としては、例えば、グルコースを測定する場合にはグルコースオキシダーゼ、尿酸を測定する場合には尿酸オキシダーゼ、コレステロールを測定する場合にはコレステロールオキシダーゼ、1,5−アンヒドログルシトールを測定する場合にはピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼが挙げられる。
該ピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼとしては、例えば、特開平5−304997号公報に記載のバシジオマイセタウス フンギ(Basidiomycetous fungi)No.52((独)産業技術総合研究所 特許生物寄託センター;受託番号 FERM BP10106)や特開昭63−185397号公報に記載のポリポラス オブツサス(Polyporus obtusus)ATCC26733等の産生するピラノースオキシダーゼ、トラメテス サングイネア(Trametes sanguinea)IFO4923の産生するL−ソルボースオキシダーゼ、これらの酵素遺伝子を特定し、通常の遺伝子操作技術により改良・改変した後に組換え大腸菌等を用いて製造した酵素等が挙げられる。
特に好ましくは、バシジオマイセタウス フンギ(Basidiomycetous fungi)No.52由来のピラノースオキシダーゼが挙げられる。
本発明の測定方法において、測定時の酸化酵素の濃度としては1KU/Lから200KU/L程度、好ましくは20KU/Lから100KU/L程度である。なお、1Uとは、37℃で該酵素の基質を用いた酵素反応において1分間に1μmolの過酸化水素を発生する酵素量である。
本発明の測定方法において酸化酵素を作用させて生成する過酸化水素を検出する工程としては、ペルオキシダーゼと色原体を用い、色原体から生成する色素の発色の検出を含む工程が好ましい。色原体から生成する色素の吸収波長が560nmから900nmである色原体が好ましく、560nmから900nmにおけるどこかの波長において分子吸光係数が1万以上である色素を生成する色原体が更に好ましい。
該色原体としては酸化発色型色原体又は酸化カップリング発色型色原体が挙げられるが、酸化カップリング発色型色原体が好ましい。
該酸化発色型色原体としては、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン・ナトリウム塩(DA64)、10−カルボキシメチルアミノカルボニル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム塩(DA67)、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル]アミン(BCMA)、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−カルボキシエチルアミノフェニル]アミン、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(MCDP)、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(CCAP)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMBZ)、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン・ヘキサナトリウム塩(TPM−PS)等が挙げられる。
該酸化カップリング発色型色原体とは、過酸化水素及びペルオキシダーゼの存在下で酸化的にカップリングし色素を生成する2種の化合物であり、2種の化合物の組み合わせとしてはカプラーとアニリン類(トリンダー試薬)との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせ等が挙げられる。
該カプラーとしては、例えば、4−アミノアンチピリン(4AAP)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸(SMBTH)、N−メチル−3−メトキシ―4’−アミノ−ジフェニルアミン(NCP−06)、N−メチル−4−アミノ―ジフェニルアミン(NCP−04)等がある。
カプラーと酸化縮合する該アニリン類(トリンダー試薬)又は該フェノール類としては、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(TOOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピルアニリン(HALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)等が挙げられる。
中でも好ましい色原体としての酸化カップリング発色型色原体としては、カプラーとしての4AAP、MBTH又はSMBTH、これらのカプラーと縮合する該アニリン類(トリンダー試薬)又は該フェノール類としてのDAPS,HTIB、TOOS、HALPS、ADPS又はALPSが挙げられる。特に好ましくはSMBTHとDAPS、SMBTHとHTIB、SMBTHとTOOS、SMBTHとHALPS、SMBTHとADPS、SMBTHとALPS、4AAPとALPSが挙げられる。
本発明の測定方法において色原体の測定時の使用濃度は0.1mMから100mM、好ましくは1mMから50mMである。測定時のpHは5.5から9.5、好ましくは6.0から8.0である。
本発明の測定方法において、前記色原体から生成する色素の発色を吸光度を用いて検出する場合、分光光度計で測定してもよく、その測定波長としては、ヘモグロビンの吸収ピークが540nm及び575nm付近にあるので、その影響の少ない580から900nmが好ましく、600から800nmが特に好ましい。
本発明の測定方法において、酸化酵素を作用させて過酸化水素を検出する工程の前に、測定対象物の測定の妨害になる成分を消去する工程を行ってもよい。測定の妨害になる成分の消去には、妨害成分を該測定対象物の酸化酵素と反応しない物質へと変換する前処理工程が含まれる。
本発明の測定方法の一例として、実際の生化学検査に使用される汎用の自動分析装置を用いる測定について説明する。
汎用の自動分析装置としては、例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ製の7150形自動分析装置、7020形自動分析装置や9000形自動分析装置、日本電子(株)製の自動分析装置バイオマジェスティ等がある。
汎用の自動分析装置のサンプルポートに測定する全血をセットし、第一反応試薬として全血を溶血させる工程に使用する試薬を含む溶液をセットし、第二反応試薬として測定対象物に酸化酵素を作用させて生成する過酸化水素を検出する工程に使用する試薬を含む溶液をセットし、検体、第一反応試薬及び第二反応試薬の分注量、反応時間、反応温度、測定波長を入力し測定を行う。
第一反応試薬には、全血を溶血させる工程に使用する試薬に加えて、測定対象物の測定の妨害になる成分を消去する前処理試薬、例えば、アスコルビン酸による発色阻害を防止するためのアスコルビン酸オキシダーゼ(ASOD)や尿酸による発色阻害を防止するための尿酸オキシダーゼを含んでいてもよい。特に、ピラノースオキシダーゼ(PROD)を使用して1,5−アンヒドログルシトールを測定する場合には、ピラノースオキシダーゼが血液中の1,5−アンヒドログルシトール以外の糖類とも反応するため、後記の実施例にも示すようにグルコースやガラクトース等を消去する試薬を第一反応試薬に添加することが好ましい。又、グルコースをピラノースオキシダーゼと反応しない物質に変換する方法としては、例えば、特許第2983015号公報記載のグルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化、ヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼによるリン酸化、特開2001−78797号公報記載のグルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼによるグルコースの酸化、特許第3170320号公報または特許第3217180号公報記載のヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼ及び6−ホスホフルクトキナーゼ、あるいは、グルコースイソメラーゼ、フルクトキナーゼ及び6−ホスホフルクトキナーゼによるフルクトース−1,6−二リン酸への変換等も使用することができる。
過酸化水素を検出するために、前記のカプラーとアニリン類(トリンダー試薬)又はカプラーとフェノール類とを組み合わせて用いる酸化カップリング発色型色原体を使用する場合には、第一反応試薬と第二反応試薬に分けてそれぞれを添加することが好ましく、測定対象物質の酸化酵素は第二反応試薬に添加することが好ましい。又、過酸化水素を検出するために使用するペルオキシダーゼやロイコ色素は、第一反応試薬、第二反応試薬のどちらに添加してもよいが、ロイコ色素とペルオキシダーゼの両者を使用する場合にはそれぞれを第一反応試薬、第二反応試薬に分けて添加するのが好ましい。
又、第一反応試薬、第二反応試薬はpH6からpH10が好ましく、緩衝剤として2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPES)や2−モルフォリノエタンスルホン酸(MES)等の使用が好ましい。
更に、酵素類を安定化するための牛血清アルブミンのような蛋白質やトレハロース等の糖類、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の金属塩、塩濃度を調整するための塩化ナトリウム、重金属イオンのコンタミによる発色阻害を防止するためのEDTA・2Na、EDTA・2K等のキレート剤の添加が好ましい。
検体量は1μLから40μL程度、好ましくは2μLから10μL程度でよい。この程度の検体量の場合、第一反応試薬は50μLから500μL程度、好ましくは50μLから300μL程度、第二反応試薬は50μLから500μL程度、好ましくは50μLから250μL程度使用する。検体量と第一反応試薬の混合容量比は、1:9〜1:500、好ましくは、1:20〜1:200、更に好ましくは、1:20〜1:140である。第二反応における反応容器中の全容量に検体の占める割合は0.5%から10%程度、好ましくは1%から5%程度である。
反応時間は、検体と第一反応試薬の反応が5分間、その反応終了後に第二反応試薬を加えて更に5分間が好ましい。
反応温度としては20℃から37℃、好ましくは37℃である。
測定波長は580から900nmの範囲で、過酸化水素の検出のための色素の発色の吸収波長に応じて選択すればよい。
本発明の測定方法の他の実施態様としては、全血と溶血剤を含む溶液、測定対象物の酸化酵素を含む溶液、該酸化酵素を作用させて生成する過酸化水素を検出する工程に使用する試薬を含む溶液を順次、分光光度計のキュベット内で混合しその吸光度を測定する方法がある。
更に、他の実施態様としては、全血に、溶血剤を含む乾燥試薬、測定対象物の酸化酵素を含む溶液、該酸化酵素を作用させて生成する過酸化水素を検出する工程に使用する試薬を含む溶液を順次、分光光度計のキュベット内で混合しその吸光度を測定する方法がある。
本発明には前記の測定方法に使用し、全血を溶血させる試薬と過酸化水素を検出する試薬を含有する測定対象物の測定用キットも含まれる。測定用キットでは、全血を溶血させる試薬が乾燥試薬であり、該乾燥試薬を復元する溶液を含み、過酸化水素を検出する試薬が乾燥試薬であり、該乾燥試薬を復元する試薬を含むキットでもよい。又、どちらかが乾燥試薬と復元液で、他方が液状試薬でもよい。
本発明の測定用キットの構成は2以上に分かれていてもよい。
全血を溶血させる試薬としては前記の溶血剤が挙げられ、前記の界面活性剤が好ましい。
過酸化水素を検出する試薬としては前記のペルオキシダーゼと色原体が挙げられ、酸化カップリング発色型色原体が好ましい。酸化カップリング発色型色原体としては前記の例示が挙げられ、特に好ましい組み合わせも前記と同様である。
更に、本発明の測定対象物の測定用キットには測定対象物の酸化酵素を含有していてもよく、該酸化酵素としては前記の酸化酵素が挙げられる。
本発明の測定キットの測定対象物としては1,5−アンヒドログルシトールが好ましく、酸化酵素としては前記のピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼが挙げられる。
本発明には前記の測定方法で求めた全血を用いた該測定対象物の測定値を血清又は血漿における該測定対象物の濃度への換算方法も含まれる。血清又は血漿における該測定対象物の濃度とは、該全血を血球分離して得られる血清又は血漿中の該測定対象物を従来の方法で測定した場合に得られる値である。従来の測定法で求めた血漿や血清中の測定対象物の濃度は、疾病の診断、経過観察、治療効果の評価等の臨床現場で実際に使用されており、既にその臨床的意義が確立しているので本発明の換算方法は有用である。
本発明の換算方法は、前記本発明の測定方法で求めた全血を用いた測定対象物の測定値と、この同一検体について血球分離をして得られる血漿又は血清を用いた該測定対象物の測定値との比である全血測定回収率の平均値を、予め多数検体から求めておき、新たに本発明の測定方法で測定した全血を用いた該測定対象物の測定値を該全血測定回収率の平均値で除することによって血清又は血漿における該測定対象物の濃度を求めるものである。
この方法は、溶血して測定した全血における測定値が血球成分による影響を受けず、且つ、血球による測定値への影響に個人差が少ない場合に、より有効である。
又、本発明の換算方法には、血清又は血漿における該測定対象物の濃度を求めるために、全血を溶血させた検体中のヘモグロビン濃度に関連する数値を測定し、該数値と全血測定回収率の相関式から求められる全血測定回収率で本発明の測定方法で求めた全血を用いた測定対象物の測定値を除することによる方法も含まれる。
相関式としては相関係数が高いものであれば特に制限はないが、好ましくは線形近似式、累乗近似式、対数近似式等があげられる。特に、予め多数の検体を用いて精度の高い相関式を作っておけば、より正確な換算を行うことができる。
本方法により、特に個体差による血球成分の分量の影響や溶血液中の血球成分に由来する測定への影響を補正することができ、より正確な換算をすることができる。更に、本発明の換算方法によって測定対象物の測定に使用する試薬のロット間差も補正できる可能性を有している。
ヘモグロビン濃度に関する数値としては、検体間の相対的なヘモグロビン濃度を反映することができるものであれば特に限定されないが、検体の吸光度、例えば、溶血剤を含む第一反応試薬を全血検体に添加して溶血した溶液の吸光度が好ましい。この場合、吸光度の測定波長としてはヘモグロビンの吸光スペクトルのどの部分の吸収波長で測定してもよく、必ずしも吸収ピークの波長で測定する必要はない。
例えば、前記の汎用機等を用いて測定する場合、過酸化水素を検出するための測定波長がヘモグロビンの吸光スペクトルのショルダーにかかっていればその波長で測定することができる。又、検体の固有の吸収、即ち、検体ブランクの影響をキャンセルするための副波長としてヘモグロビンの吸収スペクトルのショルダー部位の波長を設定すれば、最も合理的にヘモグロビン濃度に関する数値として測定することが可能である。
以下の実施例、参考例および比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下のR1試薬,R2試薬に示す各構成成分については、各試薬中における各構成成分の濃度にて記載する。又、酵素量1Uは文献公知の方法により求められ、例えば、ピラノースオキシダーゼ(PROD)は37℃において1,5−アンヒドログルシトールを基質として、1分間に1μmolのWST−1を還元する酵素量である。
実施例1
本発明の測定方法による全血試料の1,5−アンヒドログルシトールの測定
溶血剤である界面活性剤を含む以下の組成の1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)測定試薬(第一反応試薬(R1試薬)、第二反応試薬(R2試薬))を調整し、7150形自動分析装置((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて21人の全血試料21検体について1,5−AG濃度を測定した。
R1試薬(前処理液:pH7.5)
4−(2−ヒドロキシエチル)
−1−ピペラジンエタンスル
フォン酸(HEPES) 50mM
ノニオンHS210 0.5%
KCl 50mM
NaCl 100mM
MgCl・6HO 7.5mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.1mM
ホスホエノールピルビン酸(PEP) 2mM
アデノシン−5’−三リン酸(ATP) 1mM
ピルビン酸キナーゼ(PK) 1KU/L
グルコキナーゼ(GK) 1KU/L
アスコルビン酸オキシダーゼ(ASOD) 2KU/L
SMBTH 1.5mM
R2試薬(発色液:pH7.5)
HEPES 50mM
NaCl 100mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.5mM
西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP) 5KU/L
ピラノースオキシダーゼ(PROD) 80KU/L
DAPS 6mM
HS210:非イオン性界面活性剤(日本油脂(株)製)
HEPES、EDTA・2Na、SMBTH、DAPS:(株)同仁化学研究所製
KCl、NaCl、MgCl・6HO、NaN:和光純薬工業(株)製
PEP、ATP:オリエンタル酵母工業(株)製
PK、ASOD、HRP:東洋紡(株)製
GK:ユニチカ(株)製
PROD:バシジオマイセタウス フンギNo.52由来
上記試薬を用い、以下のパラメータにて7150形自動分析装置を用いて全血試料21検体の1,5−AG濃度を測定し、その結果を表1に示す。
測定パラメータ
分析法 2ポイントエンド
測定ポイント 24−50
検体量 2μL
R1試薬 280μL
R2試薬 140μL
温度 37℃
測定波長(正) 750nm
キャリブレーション方法 直線法
標準試料(1) 生理食塩液(ブランク液)
標準試料(2) 1,5−AG(50μg/mL)生理
食塩液溶液
参考例1
全血の遠心分離後の血漿試料の従来法による1,5−AGの測定
実施例1で測定した全血試料と同じ全血試料21検体を3000rpmで5分間遠心分離後、その上清を常法である1,5−アンヒドロ−D−グルシトール測定用試薬(ラナ1,5AGオートリキッド;日本化薬(株)製)と7150形自動分析装置を用いて、以下のパラメータで1,5−AGを定量測定し、その結果を表1に示す。
測定パラメータ
分析方法 2ポイントエンド
測定ポイント 24−50
検体量 8μL
ラナ1,5−AGオートリキッドの
R1試薬 240μL
ラナ1,5−AGオートリキッドの
R2試薬 120μL
温度 37℃
測定波長(副/正) 700/546nm
キャリブレーション方法 直線法
標準試料(1) 生理食塩液(ブランク液)
標準試料(2) 1,5−AG(50μg/m
L)生理食塩液溶液
参考例2
全血の遠心分離後の血漿試料の実施例1と同様の方法による1,5−AGの測定
実施例1で測定した全血試料と同じ全血試料21検体を3000rpmで5分間遠心分離後、その上清を実施例1と同じ試薬、同じパラメータで1,5−AGを定量測定し、その結果を表1に示す。
比較例1
溶血処理を行わない全血試料の1,5−AGの測定
実施例1で測定した全血試料と同じ全血試料21検体を参考例1と同じ1,5−アンヒドロ−D−グルシトール測定用試薬(ラナ1,5AGオートリキッド;日本化薬(株)製)と7150形自動分析装置を使用し、参考例1と同じパラメータで1,5−AGを定量測定し、その結果を表1に示す。
表1:1,5−AGの測定値(単位:μg/mL)
Figure 0005646323
表1の結果から、参考例1の測定値と比較例1の測定値との相関係数Rは0.106であり、この結果は比較例1の試薬と方法で全血試料中の1,5−AGの測定はできないことを示している。一方、参考例1の測定値と参考例2の測定値との相関係数Rは0.976であり、この結果は溶血剤を含む試薬を用いて血漿試料中の1,5−AGの測定が可能であることを示している。参考例1の測定値と実施例1の測定値との相関係数Rは0.957であり、溶血剤を含む試薬を用いて、全血試料の1,5−AGの測定が可能であることを示している。
本発明により全血試料を用いる1,5−AG濃度の吸光光度法による正確な測定が可能となった。
実施例2および比較例2
溶血剤の有無の比較
溶血剤である界面活性剤HS210の濃度0%(比較例2)と0.5%(実施例2)のR1試薬を調製し、7150形自動分析装置にて以下のパラメータで、実施例1と同じ全血試料21検体中の1,5−AGを定量測定した。実施例2では試料とR1試薬との反応である第一反応が溶血を含む工程である。一方、比較例2では溶血剤を含まないので溶血していない。
各検体について実施例2又は比較例2の測定値と参考例1の測定値をプロットして図1、図2に示す。
実施例2の測定試薬
R1試薬(前処理液:pH7.5)
HEPES 50mM
ノニオンHS210 0.5%
KCl 50mM
NaCl 100mM
MgCl・6HO 7.5mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.1mM
PEP 2mM
ATP 1mM
PK 1KU/L
GK 1KU/L
ASOD 2KU/L
DAPS 3mM
R2試薬(発色液:pH7.5)
HEPES 50mM
NaCl 100mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.5mM
HRP 5KU/L
PROD 80KU/L
SMBTH 3mM
比較例2の測定試薬
R1試薬(前処理液:pH7.5)
HEPES 50mM
ノニオンHS210 0.0%
KCl 50mM
NaCl 100mM
MgCl・6HO 7.5mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.1mM
PEP 2mM
ATP 1mM
PK 1KU/L
GK 1KU/L
ASOD 2KU/L
DAPS 3mM
R2試薬(発色液:pH7.5)
HEPES 50mM
NaCl 100mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.5mM
HRP 5KU/L
PROD 80KU/L
SMBTH 3mM
実施例2および比較例2の測定パラメータ
分析方法 2ポイントエンド
測定ポイント 24−50
検体量 7μL
R1試薬 240μL
R2試薬 120μL
温度 37℃
測定波長(正) 750nm
キャリブレーション方法 直線法
標準試料(1) 生理食塩液(ブランク液)
標準試料(2) 1,5−AG(50μg/mL
)生理食塩液溶液
図1に示すように、溶血剤を含むR1試薬を用い、全血を溶血させて測定した実施例2の測定値と参考例1の測定値との相関係数Rは0.989で良好な相関であった。一方、図2に示すように、溶血剤を含まないR1試薬を用い、全血を溶血せずに測定した比較例2の測定値と参考例1の測定値との相関係数Rは0.499であり、全く相関がなく1,5−AGの測定ができないことが明らかである。
この結果は、全血中の測定対象物の測定には全血の溶血が有効であることを示している。
実施例3から6
種々の酸化カップリング発色型色原体を用いた1,5−AGの測定
酸化カップリング発色型色原体としてSMBTH−HTIB(実施例3)、SMBTH−HALPS(実施例4)、SMBTH−ADPS(実施例5)又は4AAP−ALPS(実施例6)を使用し、7150形自動分析装置にて以下のパラメータで実施例1と同じ全血試料21検体の1,5−AGを定量測定し、参考例1の測定値との相関係数を表2に示す。
実施例3の測定試薬
R1試薬(前処理液:pH7.5)
HEPES 50mM
ノニオンHS210 0.5%
KCl 50mM
NaCl 100mM
MgCl・6HO 7.5mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.1mM
PEP 2mM
ATP 1mM
PK 1KU/L
GK 1KU/L
ASOD 2KU/L
SMBTH 1.5mM
R2試薬(発色液:pH7.5)
HEPES 50mM
NaCl 100mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.5mM
HRP 5KU/L
PROD 80KU/L
HTIB 6mM
実施例3の測定パラメータ
分析方法 2ポイントエンド
測定ポイント 27−50
検体量 7μL
R1試薬 240μL
R2試薬 120μL
温度 37℃
測定波長(正) 750nm
キャリブレーション方法 直線法
標準試料(1) 生理食塩液(ブランク液)
標準試料(2) 1,5−AG(50μg/m
L)生理食塩液溶液
得られた測定値と参考例1の測定値との相関係数を表2に示す。
実施例4の測定試薬
実施例3のR2試薬(発色液:pH7.5)のHTIB 6mMをHALPS 6mMに替えて、実施例3と同じ測定パラメータで全血試料21検体中の1,5−AGを測定し、得られた測定値と参考例1の測定値との相関係数を表2に示す。
実施例5の測定試薬
実施例3のR2試薬(発色液:pH7.5)のHTIB 6mMをADPS 6mMに替えて、実施例3と同じ測定パラメータで全血試料21検体中の1,5−AGを測定し、得られた測定値と参考例1の測定値との相関係数を表2に示す。
実施例6の測定試薬
実施例3のR1試薬(前処理液:pH7.5)のSMBTH 1.5mMを4AAP 1.5mMに替え、R2試薬(発色液:pH7.5)のHTIB 6mMをALPS 6mMに替えて、実施例3と同じ測定パラメータで全血試料21検体中の1,5−AGを測定し、得られた測定値と参考例1の測定値との相関係数を表2に示す。
表2:得られた測定値と参考例1の測定値との相関係数
Figure 0005646323
表2の結果から、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6の測定値と参考例1の測定値との相関係数は0.92以上と高い相関を示し、これらの酸化カップリング発色型色原体を使用した本発明の測定方法が正確な測定結果を与えることが明らかである。
実施例7
本発明の測定方法によるグルコースの測定
以下のR1試薬、R2試薬を用い、7150形自動分析装置にて、以下のパラメータで全血試料3検体中のグルコースを定量測定し、結果を表3に示す。
R1試薬(前処理液:pH7.5)
HEPES 50mM
ノニオンHS210 0.5%
KCl 50mM
NaCl 100mM
MgCl・6HO 7.5mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.1mM
ウシ血清アルブミン 0.06%
ASOD 5KU/L
DAPS 3mM
R2試薬(発色液:pH7.5)
HEPES 50mM
NaCl 100mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.5mM
フェロシアン化カリウム 0.1mM
HRP 5KU/L
グルコースオキシダーゼ 20KU/L
SMBTH 3mM
実施例7の測定パラメータ
分析方法 2ポイントエンド
測定ポイント 24−50
検体量 2μL
R1試薬 280μL
R2試薬 140μL
温度 37℃
測定波長(正) 750nm
キャリブレーション方法 直線法
標準試料(1) 生理食塩液(ブランク液)
標準試料(2) グルコース(200mg/d
L)水溶液
参考例3
常法による血清中のグルコースの測定
血清中のグルコース測定試薬であるGL−5カイノス((株)カイノス製)を用いて7150形自動分析装置により、実施例7で測定した血液と同時に採取して得た血清中のグルコース濃度を測定し、得られた結果を表3に示す。
Figure 0005646323
表3の結果から、血漿中のグルコース濃度の測定値である参考例3の測定値と全血を用い本発明の方法の測定値である実施例7の測定値とがよい一致を示すことから、本発明の測定方法により全血を用いるグルコースの測定が可能であることが明らかである。
参考例4
R1試薬中の溶血剤濃度と溶血の関係
R1試薬中の溶血剤の濃度と溶血の関係を調べるために、R1試薬として血球と等張液の生理食塩水を用い、溶血剤として非イオン性界面活性剤HS210を用いた。生理食塩は血球と等張液なので全血と生理食塩液を混合しても溶血しないので、血球の存在により光の透過が妨げられて、7150形自動分析装置にて、以下のパラメータで測定した25ポイント(全血試料と以下のR1試薬を混合し5分後)の吸光度(ABS)は、3万9千以上と高くなっている。25ポイントの吸光度がこのように高いと、吸光度計の測定範囲外となったり、ばらつきの原因となり、第一反応に続く検出反応である第二反応において生成する色素の吸収を正確に測定することができない。
一方、生理食塩液の代わりに精製水を用いると、血球は精製水との混合による浸透圧変化で溶血するので、25ポイントの吸光度は生理食塩液の時の十分の一以下になる。
7150形自動分析装置にて、以下のパラメータで25ポイント(全血試料とR1試薬(各濃度のHS210を含む生理食塩液)を混合し5分後)の吸光度(ABS)を測定しその結果を表4に示す。
又、全血試料14μLとR1試薬560μLをマイクロチューブ中で混合し、室温で1時間放置して血球の沈降の有無を観察しその結果を表4に示す。
参考例4の測定パラメータ
測定ポイント 25
検体量 7μL
R1試薬 280μL
R2試薬 0μL
温度 37℃
測定波長(正) 600nm
表4:R1試薬中の溶血剤濃度と溶血の関係
Figure 0005646323
表4の結果から、R1試薬中のHS210濃度が0.05%以上では精製水での試験と同様に600nmのABSは著しく低下し血球の沈降もないことから、検体は溶血していることがわかる。溶血させるために至適の溶血剤の濃度は、溶血剤の種類やR1試薬組成、検体とR1試薬混合比に依存するので、それぞれに至適濃度を求めて使用するのが望ましい。
実施例8
全血試料を用いた1,5−AG測定値の血漿中の1,5−AG濃度への換算方法(1)
「動物用1,5AGキット」(日本化薬(株)製)を用いて1,5−AGを測定し、全血試料の1,5−AG測定値を血漿中の1,5−AG濃度に補正する方法を検討した。
EDTAの入った採血管を用いて7人の全血試料を2mLずつ採取し、各試料を全血測定用試料検体と血漿測定用試料検体に分けた。又、全血測定用試料検体の一部を用いてヘマトクリット値を測定した。
各試料検体25μLを夫々精製水100μLに加え強く攪拌して5倍希釈した。全血試料検体の場合は光の透過性をチェックし完全に溶血したことを確認した。
予め精製水でコンディショニングした「動物用1,5AGキット」の前処理カラムに、1,5−AGを含まない標準液(精製水)、1,5−AG濃度5μg/mLの標準液又は上記の5倍に希釈した各試料検体100μLを加え、その溶出液を別々の試験管にプールした。次に、各前処理カラムに300μLの精製水を加えて1,5−AGを溶出し、完全に1,5−AGを回収するため、300μLの精製水を加える操作を更に2回繰り返した。夫々の試験管にプールされた液量は1.0mLとなった。
各試験管に「動物用1,5AGキット」の発色試薬100μLと酵素試薬100μLを加えて攪拌後、20℃の恒温槽に漬けて30分間反応させた。反応後、各試験管に「動物用1,5AGキット」の反応停止液100μLを加えて攪拌し酵素反応を停止させた。
光路長1cmのマイクロセルを用いて、各反応液の727nmにおける吸光度を、精製水を対照にして測定した。1,5−AGを含まない標準液と5μg/mLの標準液の吸光度から2点検量線を作成し、それを用いて各反応液の吸光度から各試料検体中の1,5−AG濃度を求めてその結果を表5に示す。なお、標準液及び各試料検体については全て2重測定しその平均値を示している。
次いで、全血試料検体中の1,5−AGの測定値(a)を血漿試料検体中の1,5−AGの測定値(b)で割った測定値の比、即ち、全血測定回収率(a/b)を求めて表5に示し、その平均値を算出した。
本実施例の場合、平均値は0.85となり、これは全血試料検体中の1,5−AGの測定値が血漿試料検体中の1,5−AG測定値より15%程度低い値になっていることを示している。
そこで、全血試料検体の1,5−AGの測定値を上記の比(a/b)の平均値で除して求めた1,5−AG測定値の換算値を表5に示す。この換算値は、血漿試料検体中の1,5−AG濃度とよい一致を示した。
本実施例の結果からはヘマトクリット値と上記の比(a/b)の間には相関性(相関係数Rは0.067)は認められず、したがって、ヘマトクリット値をそのまま用いて補正することはできない。
なお、本実施例の試験では、わずか7例の試料検体の結果から検討したものであり、試料検体を多数用いて同様の検討をすれば、更に正確な換算値を導き出すことができるようになることは明らかである。
表5:カラム法による1,5−AGの測定値
Figure 0005646323
実施例9
全血試料を用いた1,5−AG測定値の血漿中の1,5−AG濃度への換算方法(2)
生化学検査用の汎用測定装置7150形自動分析装置を用いて全血試料で測定した1,5−AG測定値を血漿中の1,5−AG濃度に換算する方法を検討した。
EDTAの入った採血管を用いて21人の全血試料を2mLずつ採取し、各試料を全血測定用試料検体と血漿測定用試料検体に分けた。
血漿測定用試料検体は全血試料を遠心分離して得られる血漿を用いて、参考例1の方法で1,5−AGの測定値を求め、得られた測定値を表6に示す。
全血測定用試料検体は、以下の組成で調製したR1試薬とR2試薬を用い、以下のパラメータで1,5−AG濃度の測定を行い、得られた測定値を表6に示す。
R1試薬(前処理液:pH7.5)
HEPES 50mM
ノニオンHS210 0.5%
KCl 50mM
NaCl 100mM
MgCl・6HO 7.5mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.1mM
PEP 2mM
ATP 1mM
PK 1KU/L
GK 1KU/L
ASOD 2KU/L
SMBTH 1.5mM
R2試薬(発色液:pH7.5)
HEPES 50mM
NaCl 100mM
NaN 0.1%
EDTA・2Na 0.5mM
HRP 5KU/L
PROD 80KU/L
TOOS 6mM
測定パラメータ
分析方法 2ポイントエンド
測定ポイント 27−50
検体量 7μL
R1試薬 280μL
R2試薬 140μL
温度 37℃
測定波長(正) 600nm
キャリブレーション方法 直線法
標準試料(1) 生理食塩液(ブランク液)
標準試料(2) 1,5−AG(50μg/m
L)生理食塩液溶液
全血試料中の1,5−AG測定値(a)と血漿試料中の1,5−AG測定値(b)の比である全血測定回収率(a/b)を求め、この値と相関するヘモグロビンに由来する因子を検討した。その結果、図3に示すように全血試料を測定する際の24ポイントの吸光度(mABS)、即ち、R2試薬添加前の吸光度が全血測定回収率(a/b)とよい相関(相関係数Rが0.67)を示すことを見出した。ここから全血測定回収率(a/b;%)=−0.0127×(24ポイントの吸光度;mABS)+125.65の線形近似式の相関式が導かれる。これを用いると、全血試料中の1,5−AGの測定値をR2試薬添加前の吸光度から計算した全血測定回収率(a/b)で除することにより血漿中の1,5−AG濃度に換算できる。
前記の全血試料中の1,5−AG測定における24ポイントでの吸光度を表6に示す。この吸光度を用い、前記の相関式により求めた全血測定回収率(a/b)の値で全血試料中の1,5−AG測定値を除して求めた換算値を表6に示す。
図4に示すように、この換算値は対応する血漿試料中の1,5−AG測定値と極めて近似(相関式:換算値=0.9521(血漿測定値)+1.0472)しており、高い相関性(相関係数R=0.9937)を有し、本発明の換算方法が有用であることは明らかである。
表6:生化学検査用汎用測定機による1,5−AGの測定値
Figure 0005646323
同様に、累乗近似式と対数近似式でも検討した。それぞれ、全血測定回収率(a/b;%)=6942.4×(24ポイントの吸光度;mABS)-0.5456、全血測定回収率(a/b;%)=−44.558×ln(24ポイントの吸光度;mABS)+444.63の相関式(ln:自然対数)となり、これらの相関式を用いて全血測定値から求めた換算値と、これに対応する血漿試料中の1,5−AG測定値とは、極めて近似しており高い相関性を示した。それぞれの相関式と相関係数は、累乗近似式の相関式:換算値=0.9542×(血漿測定値)+1.0403、相関係数=0.9936、対数近似式の相関式:換算値=0.9536×(血漿測定値)+1.0362、相関係数=0.9937であった。
本発明の測定方法によれば、血球分離することなく全血を用いて血液中の測定対象物、例えば、1,5−アンヒドログルシトール等を酸化酵素によって酸化し、生成する過酸化水素を検出して該測定対象物の定量が可能となり、血球分離のための装置がない家庭や個人医師のクリニック、患者のベッドサイドにおいて簡便・迅速に且つ正確に該測定対象物の測定が可能となる。
又、全血試料を用いて本発明の測定方法により測定した該測定対象物の測定値を、血清又は血漿中での濃度への本発明の換算方法により換算することにより従前の検査値との対比や血清又は血漿での基準値との比較が容易に可能となる。

Claims (13)

  1. 液中の1,5−アンヒドログルシトールを測定対象物とする全血を用いる測定方法であって、全血を溶血させる工程と、該溶血1,5−アンヒドログルシトールの酸化酵素を反応させて生成する過酸化水素をペルオキシダーゼと色原体を用いて色素の発色に変換し、測定波長580nmから900nmの透過光の吸光度を検出する工程とを含む全血中の1,5−アンヒドログルシトールの濃度の測定方法。
  2. 全血を溶血させる工程が、溶血剤と全血との混合を含む請求項1に記載の測定方法。
  3. 溶血剤が界面活性剤である請求項2に記載の測定方法。
  4. 色原体が酸化カップリング発色型色原体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定方法。
  5. 酸化カップリング発色型色原体が、カプラーとして4−アミノアンチピリン、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン又は2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸と、アニリン類又はフェノール類としてN−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン又はN−エチル−N−スルホプロピルアニリンとからなる色原体である請求項に記載の測定方法。
  6. 1,5−アンヒドログルシトールを酸化して過酸化水素を発生させる酸化酵素がピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼである請求項1〜5のいずれか一項に記載の測定方法。
  7. 酸化酵素を作用させて過酸化水素を検出する工程の前に、1,5−アンヒドログルシトールの測定の妨害になる成分を消去する工程を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の測定方法。
  8. 請求項のいずれか一項に記載の測定方法に使用するキットであって、全血を溶血させる溶血剤および測定の妨害になる成分を消去する前処理試薬を含む試薬と1,5−アンヒドログルシトールを酸化して過酸化水素を発生させる酸化酵素を含む試薬を含有し、酸化カップリング発色型色原体のアニリン類又はフェノール類とカプラーが溶血剤および測定の妨害になる成分を消去する前処理試薬を含む試薬と1,5−アンヒドログルシトールを酸化して過酸化水素を発生させる酸化酵素を含む試薬に分けて含まれる1,5−アンヒドログルシトールの測定用キット。
  9. 溶血剤が界面活性剤である請求項に記載の測定用キット。
  10. 酸化カップリング発色型色原体のカプラーが4−アミノアンチピリン、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン又は2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸であり、アニリン類又はフェノール類がN−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン又はN−エチル−N−スルホプロピルアニリンである請求項8又は9に記載の測定用キット。
  11. 1,5−アンヒドログルシトールを酸化して過酸化水素を発生させる酸化酵素がピラノースオキシダーゼ又はL−ソルボースオキシダーゼである請求項8〜10のいずれか一項に記載の測定用キット。
  12. 予め求めておいた請求項1〜のいずれか一項に記載の測定方法で得られた全血中の1,5−アンヒドログルシトールの測定値と、該全血から血球分離して得られる血清又は血漿中の1,5−アンヒドログルシトールの測定値との比である全血測定回収率の平均値を予め多数検体から求めておき、請求項1〜のいずれか一項に記載の測定方法で求めた全血中の1,5−アンヒドログルシトールの測定値を該全血測定回収率の平均値で除することにより血清又は血漿中の1,5−アンヒドログルシトール濃度へ換算することを特徴とする全血中の1,5−アンヒドログルシトール濃度の血清又は血漿中の1,5−アンヒドログルシトール濃度への換算方法。
  13. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の測定方法で、測定波長が全血を溶血させた検体中のヘモグロビンが吸収を有する波長を用い、酸化酵素を作用させる前にヘモグロビン濃度に関連する吸光度を測定し、酸化酵素を作用させた後の吸光度変化から全血中の1,5−アンヒドログルシトールの測定値を得る測定方法において、該測定方法で得られた全血中の1,5−アンヒドログルシトールの測定値と該全血から分離した血清又は血漿中の1,5−アンヒドログルシトールの測定値との比である全血測定回収率およびヘモグロビン濃度に関連する吸光度を多数検体で予め採取し、該吸光度から全血測定回収率を推測する相関式ならびにその定数を決定し、測定対象である全血試料に対して該測定方法により全血中の1,5−アンヒドログルシトールの濃度とヘモグロビン濃度に関連する吸光度を測定し、該全血中の1,5−アンヒドログルシトールの濃度を該吸光度と該相関式から求められる全血測定回収率で除することにより血清又は血漿中の1,5−アンヒドログルシトール濃度に換算する、全血中の1,5−アンヒドログルシトール濃度の血清又は血漿中の1,5−アンヒドログルシトール濃度への換算方法。
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