JP5646203B2 - 電流センサ - Google Patents

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Description

本発明は、弾性変形可能に形成された巻芯の周囲に本体部用導線が巻回されたコイル部本体を備えて測定対象体に対する着脱が可能に構成された電流センサに関するものである。
この種の電流センサとして、出願人は、ケーブル状のセンサ本体を有する電流センサを特開2003−139802号公報に開示している。この電流センサでは、可撓性を有する樹脂材で形成された芯材、芯材の一端側に取り付けられた第1ボビン、および芯材の他端側に取り付けられた第2ボビンを備え、これらに導線(巻線)が巻回されて上記のセンサ本体が構成されている。この場合、第1ボビンは、その内径が芯材の外径と同等の第1キャップ部と、その外径が芯材の外径よりも小径の第1巻枠部とが樹脂材料で一体成形されている。また、第2ボビンは、その内径が芯材の外径と同等の第2キャップ部と、その外径が芯材の外径よりも大径の第2巻枠部とが樹脂材料で一体成形されている。さらに、この電流センサでは、第1ボビンにおける第1巻枠部の外径が第2ボビンにおける第2巻枠部の内径よりも小径となるように両ボビンが形成されている。これにより、この電流センサでは、第2ボビンにおける第2巻枠部の内側に第1ボビンにおける第1巻枠部を挿入するようにしてセンサ本体の一端部および他端部を互いに接合させることによって、環状の電流検出部が形成されるように構成されている。
また、出願人が開示している電流センサでは、一例として、導線(巻線)が第2ボビンにおける第2巻枠部から巻き始められて、第2キャップ部の外周、芯材の外周、第1ボビンにおける第1キャップ部の外周、および第1巻枠部の外周にこの順で巻回されると共に、第1ボビンにおいて折り返されて芯材の中心を挿通させられて、第2ボビンから外部に引き出されている。この場合、この電流センサでは、第1ボビンおよび第2ボビンに巻回された導線の単位長当たりのコイル出力(導線によって検出される電圧、つまり導線を流れる電流を変換した電圧)の平均値が、芯材に巻回された導線における単位長当たりのコイル出力と等しくなるように導線が巻回されている。これにより、出願人が開示している電流センサでは、環状の電流センサにおける内側において測定対象導体の位置や傾きが変化した際の測定電流値の変化量が小さくなっている。
特開2003−139802号公報(第4−6頁、第1−5図)
ところが、出願人が開示している電流センサには、以下の解決すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開示している電流センサでは、センサ本体の一端部および他端部を確実かつ容易に接合することができるように、第1ボビンにおける第1巻枠部の外径が第2ボビンにおける第2巻枠部の内径よりも小径となるように両ボビンが形成されている。この場合、前述したように、出願人が開示している電流センサでは、第1ボビンおよび第2ボビンに巻回された導線の単位長当たりのコイル出力の平均値が、芯材に巻回された導線における単位長当たりのコイル出力と等しくなるように、第1ボビン(小径の第1巻枠部)および第2ボビン(大径の第2巻枠部)に対する導線の巻回数がそれぞれ規定されている。これにより、出願人が開示している電流センサでは、第1ボビンおよび第2ボビンにおける電流検出の感度の平均値と、芯材の周囲に導線が巻回された部位の電流検出の感度の平均値とが等しくなっている。
しかしながら、出願人が開示している電流センサにおいて、第1ボビンおよび第2ボビンの双方に対して互いに等しい巻きピッチ(巻き密度)で導線を巻回した場合には、両ボビンにおける巻枠部の外径が互いに相違する(すなわち、導線を巻回した巻線部の断面積が互いに相違する)ことに起因して、第1ボビンにおける電流検出の感度と第2ボビンにおける電流検出の感度とが互いに相違した状態となる。具体的には、出願人が開示している電流センサでは、その外径が芯材の外径よりも大径の第2巻枠部に導線が巻回されている部位(以下、「第2の巻線部」ともいう)の近傍よりも、その外径が芯材の外径よりも小径の第1巻枠部に導線が巻回されている部位(以下、「第1の巻線部」ともいう)の近傍の方が電流検出の感度が低下する傾向がある。このため、両ボビンに対して互いに等しい巻きピッチで導線を巻回した状態においては、測定対象体が第2の巻線部の近傍に位置している状態よりも、測定対象体が第1の巻線部の近傍に位置している状態の方が低感度となる傾向がある。
また、出願人が開示している電流センサでは、センサ本体の長手方向中央部においては、巻芯の周囲に導線が隙間無く巻回されているのに対し、センサ本体の一端部および他端部においては、上記の両ボビンにフランジ部(鍔部)が存在することに起因して導線が巻回されていない部位が存在する状態となっている。このため、出願人が開示している電流センサでは測定対象体がセンサ本体における接合部位の近傍(両ボビンの近傍)に位置している状態において、測定対象体がセンサ本体の長手方向中央部の近傍に位置している状態よりも低感度となるおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、測定対象体の位置の相違に起因して電流検出の感度にばらつきが生じる事態を回避し得る電流センサを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の電流センサは、弾性変形可能に形成された巻芯の周囲に本体部用導線が巻回されたコイル部本体と、第1巻枠の周囲に第1導線が巻回された第1コイル部と、第2巻枠の周囲に第2導線が巻回された第2コイル部とを備え、前記コイル部本体の一端部に前記第1コイル部が取り付けられて前記本体部用導線に前記第1導線が接続されると共に、当該コイル部本体の他端部に前記第2コイル部が取り付けられて当該本体部用導線に前記第2導線が接続され、かつ、前記コイル部本体を弾性変形させて前記第1コイル部における当該コイル部本体の側とは反対側の端部と前記第2コイル部における当該コイル部本体の側とは反対側の端部とを互いに近接させることで環状の電流検出用環状部を形成可能に構成された電流センサであって、前記第1コイル部において前記第1導線が巻回されている第1巻線部の第1の断面積と前記第2コイル部において前記第2導線が巻回されている第2巻線部の第2の断面積とが互いに等しく、かつ、前記第1巻枠に対する前記第1導線の第1の巻回数と前記第2巻枠に対する前記第2導線の第2の巻回数とが互いに等しくなると共に、前記電流検出用環状部において、前記コイル部本体における当該本体部用導線が巻回されている本体側巻線部の前記一端部側の端部と前記第1巻線部の当該コイル部本体側の端部とが当該電流検出用環状部の周方向に沿って当該本体部用導線が巻回されていない部分を挟んで離間し、前記本体側巻線部の前記他端部側の端部と前記第2巻線部の前記コイル部本体側の端部とが前記周方向に沿って前記本体部用導線が巻回されていない部分を挟んで離間し、前記第1巻線部の前記第2コイル部側の端部と前記第2巻線部の前記第1コイル部側の端部とが前記周方向に沿って前記本体部用導線が巻回されていない部分を挟んで離間し、前記本体部用導線が巻回されていない範囲であって前記コイル部本体における前記本体側巻線部の前記一端部側と前記他端部側との間の前記第1コイル部および前記第2コイル部を含む範囲の前記周方向に沿った長さを第1の長さとしたときに、前記第1の断面積に前記第1の巻回数を乗じた第1の値と、前記第2の断面積に前記第2の巻回数を乗じた第2の値との和が、前記本体側巻線部の第3の断面積に当該本体側巻線部における前記第1の長さの範囲内の前記本体部用導線の第3の巻回数を乗じた第3の値と等しくなり、前記本体側巻線部における前記一端部側の端部と前記第1巻線部における前記コイル部本体側の端部との間の前記周方向に沿った第2の長さと、前記本体側巻線部における前記他端部側の端部と前記第2巻線部における前記コイル部本体側の端部との間の前記周方向に沿った第3の長さとが互いに等しく、かつ、当該第2の長さと当該第3の長さの和が、前記第1巻線部における前記第2コイル部側の端部と前記第2巻線部における前記第1コイル部側の端部との間の前記周方向に沿った第4の長さと等しくなるように構成されている。
また、請求項2記載の電流センサは、請求項1記載の電流センサにおいて、前記第1導線および前記第2導線として前記本体部用導線と同種の導線を巻回すると共に、前記第1の断面積、および前記第2の断面積が、前記第3の断面積よりも広くなるように前記第1コイル部および前記第2コイル部が構成されている。なお、「本体部用導線と同種の導線」とは、「本体部用導線と太さが等しく、かつ、線構造や材質等が本体部用導線と同じ導線」を意味する。
また、請求項3記載の電流センサは、請求項1記載の電流センサにおいて、前記第1導線および前記第2導線として前記本体部用導線よりも細い導線を巻回すると共に、前記第1の巻回数、および前記第2の巻回数が、前記第3の巻回数よりも多くなるように前記第1コイル部および前記第2コイル部が構成されている。
請求項1記載の電流センサによれば、第1コイル部における第1巻線部の第1の断面積と第2コイル部における第2巻線部の第2の断面積とが互いに等しく、かつ、第1巻枠に対する第1導線の第1の巻回数と第2巻枠に対する第2導線の第2の巻回数とが互いに等しくなると共に、電流検出用環状部において本体部用導線が巻回されていない範囲であってコイル部本体において本体部用導線が巻回されている本体側巻線部の一端部側と他端部側との間の第1コイル部および第2コイル部を含む範囲の電流検出用環状部の周方向に沿った長さを第1の長さとしたときに、第1の断面積に第1の巻回数を乗じた第1の値と、第2の断面積に第2の巻回数を乗じた第2の値との和が、本体側巻線部の第3の断面積に本体側巻線部における第1の長さの範囲内の本体部用導線の第3の巻回数を乗じた第3の値と等しくなるように構成されている。
したがって、請求項1記載の電流センサ1によれば、測定対象体が第1コイル部や第2コイル部の近傍に位置する状態における電流検出の感度と、測定対象体がコイル部本体における一端部や他端部から離れた部位の近傍に位置する状態における電流検出の感度とをほぼ等しくすることができるため、電流検出用環状部の内側における測定対象体の位置や傾きなどに起因して測定値にばらつきが生じる事態を回避することができる。また、この電流センサによれば、本体側巻線部における一端部側の端部と第1巻線部におけるコイル部本体側の端部との間の電流検出用環状部の周方向に沿った第2の長さと、本体側巻線部における他端部側の端部と第2巻線部におけるコイル部本体側の端部との間の電流検出用環状部の周方向に沿った第3の長さとが互いに等しく、かつ、第2の長さと第3の長さとの和が、第1巻線部における第2コイル部側の端部と第2巻線部における第1コイル部側の端部との間の電流検出用環状部の周方向に沿った第4の長さと等しくなるように構成したことにより、測定対象体が第1コイル部の近傍に位置する状態における電流検出の感度、測定対象体が第2コイル部の近傍に位置する状態における電流検出の感度、および測定対象体がコイル部本体における一端部や他端部から離れた部位の近傍に位置する状態における電流検出の感度のすべてをほぼ等しくすることができるため、電流検出用環状部の内側における測定対象体の位置や傾きなどに起因して測定値にばらつきが生じる事態を確実に回避することができる。
請求項2記載の電流センサによれば、第1導線および第2導線として本体部用導線と同種の導線を巻回すると共に、第1の断面積、および第2の断面積が、第3の断面積よりも広くなるように第1コイル部および第2コイル部を構成したことにより、本体部用導線と、第1導線および第2導線とを別個に用意する必要がない分だけ、電流センサの製造コストを十分に低減することができるだけでなく、巻芯から第1巻枠に亘って(または、第1巻枠から巻芯に亘って)導線を連続して巻回することができると共に巻芯から第2巻枠に亘って(または、第2巻枠から巻芯に亘って)導線を連続して巻回することができるため、巻芯と第1巻枠との間、および巻芯と第2巻枠との間における導線の結線作業が不要となる分だけ、電流センサの製造コストを一層低減することができる。
請求項3記載の電流センサによれば、第1導線および第2導線として本体部用導線よりも細い導線を巻回すると共に、第1の巻回数、および第2の巻回数が、第3の巻回数よりも多くなるように第1コイル部および第2コイル部を構成したことにより、第1巻枠の直径や第2巻枠の直径を巻芯の直径よりも大径とすることなく、電流検出用環状部の内側における測定対象体の位置や傾きに起因する検出感度のばらつきの発生を回避することができるため、第1巻枠の直径や第2巻枠の直径を十分に小さくすることができる結果、電流検出用環状部の一端部や他端部の直径だけが過剰に大径化する事態を回避して、取り扱いの容易な電流センサを提供することができる。
電流センサ1の外観斜視図である。 電流センサ1における一端部Paおよび他端部Pbの近傍の断面図である。 図2におけるA−A線断面図である。 図2におけるB−B線断面図である。 電流センサ1における一端部Paおよび他端部Pbの接合方法について説明するための断面図である。
以下、電流センサの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す電流センサ1は、測定対象体Z(信号ケーブルや電源ケーブル等)に流れている電流を検出するためのセンサの一例であって、電流検出用環状部2と、図示しない電流検出器に電流検出用環状部2を接続するための信号ケーブル7とを備えている。電流検出用環状部2は、図2に示すように、コイル部本体3、第1コイル部4a、第2コイル部4b、端部カバー部材5,5および連結用部材6を備え、図1に示すように、その一端部Pa(「第1コイル部におけるコイル部本体の側とは反対側の端部」の一例)、および他端部Pb(「第2コイル部におけるコイル部本体の側とは反対側の端部」の一例)を互いに近接させるようにしてコイル部本体3を弾性変形させることで、全体として円環状となるように構成されている。
コイル部本体3は、図2,3に示すように、巻芯11の周囲に導線12が巻回されると共に、巻回された導線12を覆うようにして絶縁被覆13が施されて、全体としてチューブ状に形成されている。この場合、巻芯11は、可撓性を有する樹脂材料(一例として、シリコーンゴム)によって中空構造に形成されている(「弾性変形可能に形成された巻芯」の一例)。なお、シリコーンゴムに代えて、エラストマおよび塩化ビニルなどの各種弾性樹脂や、ウレタンゴムおよびフッ素ゴムなどのゴムによって巻芯11を形成することもできる。また、導線12は、本体部用導線に相当し、一例として、被覆電線(エナメル銅線)で構成されている。この場合、図2に示すように、この電流センサ1では、巻芯11に対する導線12の巻き回し開始位置(一例として、コイル部本体3の一端部P3a側)、および巻芯11に対する導線12の巻き回し終了位置(一例として、コイル部本体3の他端部P3b側)に樹脂材料によって巻線留め14が施されて、巻芯11からの導線12の巻き解れが阻止されている。この場合、この例では、巻芯11に対して導線12が巻回されている部位が「本体側巻線部」に相当する。
第1コイル部4aおよび第2コイル部4bは、図2,4に示すように、導線22を巻回するための巻枠21a(「第1巻枠」の一例)および巻枠21b(「第2巻枠」の一例)と、第1コイル部4aおよび第2コイル部4bをコイル部本体3(巻芯11)の一端部P3aおよび他端部P3bにそれぞれ取り付けるための挿入用凸部23とが樹脂材料でそれぞれ一体成形されている。また、巻枠21a,21bには、第1コイル部4aおよび第2コイル部4bからの導線22の巻き解れを阻止するための一対のフランジ25がそれぞれ設けられている。この場合、導線22は、その太さや材質等が上記の導線12と同じ導線(「本体部用導線と同種の導線」の一例:この例では、被覆電線(エナメル銅線))で構成されている。なお、この例では、第1コイル部4aの巻枠21aに巻回されている導線22が「第1導線」に相当し、コイル部本体3の一端部P3aにおいて導線12の一端部に接続されている。また、この例では、第2コイル部4bの巻枠21bに巻回されている導線22が「第2導線」に相当し、コイル部本体3の他端部P3bにおいて導線12の他端部に接続されている。さらに、この例においては、第1コイル部4a(巻枠21a)に対して導線22が巻回されている部位が「第1巻線部」に相当し、第2コイル部4b(巻枠21b)に対して導線22が巻回されている部位が「第2巻線部」に相当する。
端部カバー部材5は、図2に示すように、樹脂材料でキャップ状に形成されている。この端部カバー部材5は、コイル部本体3の一端部P3aおよび第1コイル部4aと、コイル部本体3の他端部P3bおよび第2コイル部4bとをそれぞれ覆うようにして取り付けられている。連結用部材6は、電流検出用環状部2の一端部Paおよび他端部Pbを互いに近接させた状態に維持するように連結するための部材であって、その内径が電流検出用環状部2の一端部Paや他端部Pbよりも大径となるように円筒状に形成されている。この場合、この電流センサ1では、連結用部材6における円筒状の本体部の長手方向中央部に仕切板31が設けられると共に、図5に示すように、一例として、電流検出用環状部2の他端部Pbに仕切板31を当接させるようにして連結用部材6が電流検出用環状部2の他端部Pbに取り付けられている。なお、この連結用部材6については、電流検出用環状部2の一端部Pa側に取り付ける構成を採用することもできるし、一端部Paおよび他端部Pbのいずれにも固定的に取り付けずに電流センサ1を使用するときだけ一端部Paおよび他端部Pbを連結用部材6の両端部に挿入する構成を採用することもできる。
この電流センサ1の使用に際しては、図1に示すように、まず、測定対象体Zに電流センサ1を取り付ける。具体的には、電流検出用環状部2の一端部Paを連結用部材6から引き抜いて一端部Paおよび他端部Pbを互いに離間させる。次いで、測定対象体Zが電流検出用環状部2の内側を挿通するように測定対象体Zの周囲に電流検出用環状部2を配設する。続いて、図5に示す矢印Cの向きで一端部Paを連結用部材6内に挿入して一端部Paおよび他端部Pbを連結用部材6内において互いに近接対向させる。これにより、電流検出用環状部2が環状に変形させられた状態が維持される。次いで、信号ケーブル7を図示しない電流検出器に接続する。これにより、測定対象体Zを流れる電流が電流センサ1によって検出されると共に電流検出器によってその値が測定される。
この場合、この電流センサ1では、巻枠21a,21bの外径(直径)が巻芯11の外径(直径)よりも太くなるように第1コイル部4aおよび第2コイル部4bが形成されている。したがって、この電流センサ1では、巻枠21a,21bに対する導線22の巻き径Lb(導線22の中心間距離:図4参照)が巻芯11に対する導線12の巻き径La(導線12の中心間距離:図3参照)よりも大径となっている。これにより、この電流センサ1では、第1コイル部4aにおける上記の「第1巻線部」の断面積(「第1の断面積」の一例:この例では、巻き径Lbを直径とする円の面積)や、第2コイル部4bにおける上記の「第2巻線部」の断面積(「第2の断面積」の一例:この例では、巻き径Lbを直径とする円の面積)が、コイル部本体3における上記の「本体側巻線部」の断面積(「第3の断面積」の一例:この例では、巻き径Laを直径とする円の面積)よりも広くなっている。
また、この電流センサ1では、第1コイル部4aにおける上記の「第1の断面積」と、第2コイル部4bにおける上記の「第2の断面積」とが互いに等しく、かつ、第1コイル部4a(巻枠21a)に対する導線22の巻数(「第1の巻回数」の一例)と、第2コイル部4b(巻枠21b)に対する導線22の巻数(「第2の巻回数」の一例)とが互いに等しくなるように構成されている。この場合、この種の電流センサ1においては、導線(この例では、導線12や導線22)を巻回した巻線部の断面積に対して導線の巻回数を乗じた値と、電流検出の感度とが比例関係を有していることが知られている。したがって、上記の「第1の断面積」に対して「第1の巻回数」を乗じた値(「第1の値」の一例)と、上記の「第2の断面積」に対して「第2の巻回数」を乗じた値(「第2の値」の一例)とが互いに等しいこの電流センサ1では、測定対象体Zが第1コイル部4aの近傍に位置する状態における電流検出の感度と、測定対象体Zが第2コイル部4bの近傍に位置する状態における電流検出の感度とがほぼ等しくなっている。
さらに、この電流センサ1では、一端部Paおよび他端部Pbを互いに接合させた状態の電流検出用環状部2において導線12が巻回されていない範囲の電流検出用環状部2の周方向に沿った長さL10(図2参照)を「第1の長さ」としたときに、前述した「第1の値」および「第2の値」の和が、前述した「第3の断面積」に対して「本体側巻線部」における「第1の長さ」の範囲内(この例では、長さL10と等しい長さの任意の部位の範囲内)への導線12の巻回数(「第3の巻回数」の一例)を乗じた値(「第3の値」の一例)と等しくなるように構成されている。したがって、この電流センサ1では、測定対象体Zが一端部Paや他端部Pbの近傍(第1コイル部4aや第2コイル部4bの近傍)に位置する状態における電流検出の感度と、測定対象体Zがコイル部本体3における一端部P3aや他端部P3bから離れた部位の近傍に位置する状態における電流検出の感度とがほぼ等しくなっている。
また、この電流センサ1では、コイル部本体3の「本体側巻線部」における一端部P3a側の端部と第1コイル部4aの「第1巻線部」におけるコイル部本体3側の端部との間の電流検出用環状部2の周方向に沿った長さ(この例では、図2に示す長さL1a:「第2の長さ」の一例)と、上記の「本体側巻線部」における他端部P3b側の端部と第2コイル部4bの「第2巻線部」におけるコイル部本体3側の端部との間の電流検出用環状部2の周方向に沿った長さ(この例では、図2に示す長さL1b:「第3の長さ」の一例)とが互いに等しく、かつ、上記の長さL1aと上記の長さL1bとの和が、上記の「第1巻線部」における第2コイル部4b側の端部と上記の「第2巻線部」における第1コイル部4a側の端部との間の電流検出用環状部2の周方向に沿った長さ(この例では、図2に示す長さL2:「第4の長さ」の一例)と等しくなるように構成されている。
より具体的には、巻芯11の周囲に施した巻線留め14の電流検出用環状部2に沿った長さL3、および第1コイル部4aにおけるフランジ25の電流検出用環状部2に沿った長さLta(フランジ25の厚み)の和である長さL1aと、上記の長さL3、および第2コイル部4bにおけるフランジ25の電流検出用環状部2に沿った長さLtaの和である長さL1bとが互いに等しく、かつ、長さL1a,L1bの和が、長さLtaの2倍の長さ、端部カバー部材5における端面側板部の電流検出用環状部2に沿った長さLtb(端部カバー部材5における端面側板部の厚み)の2倍の長さ、および連結用部材6における仕切板31の電流検出用環状部2に沿った長さLtc(仕切板31の厚み)の和である長さL2と等しくなるように構成されている。
言い換えれば、この電流センサ1では、上記の「第1巻線部」および「第2巻線部」の間において導線12,22が巻回されていない非巻線部の電流検出用環状部2に沿った長さL2の1/2の長さ(図2における長さL11a,L11bに対応する長さ)と、上記の「本体側巻線部」および「第1巻線部」の間において導線12,22が巻回されていない非巻線部の電流検出用環状部2に沿った長さL1aと、上記の「本体側巻線部」および「第2巻線部」の間において導線12,22が巻回されていない非巻線部の電流検出用環状部2に沿った長さL1bとが互いに等しくなっている。このため、この電流センサ1では、第1コイル部4aにおけるコイル部本体3側、および第1コイル部4aにおける第2コイル部4b側に互いに等しい長さL1a,L11aの非巻線部が存在すると共に、第2コイル部4bにおけるコイル部本体3側、および第2コイル部4bにおける第1コイル部4a側に互いに等しい長さL1b,L11bの非巻線部が存在した状態となっている。
したがって、この電流センサ1では、例えば、第1コイル部4aの「第1巻線部」がコイル部本体3寄りに位置するような設計(長さL1aが長さL11aよりも短くなるような設計)や、第1コイル部4aの「第1巻線部」が第2コイル部4b寄りに位置するような設計(長さL11aが長さL1aよりも短くなるような設計)、または、第2コイル部4bの「第2巻線部」がコイル部本体3寄りに位置するような設計(長さL1bが長さL11bよりも短くなるような設計)や、第2コイル部4bの「第2巻線部」が第1コイル部4a寄りに位置するような設計(長さL11bが長さL1bよりも短くなるような設計)とは異なり、測定対象体Zが一端部Pa(第1コイル部4a)の近傍に位置する状態における電流検出の感度、測定対象体Zが他端部Pb(第2コイル部4b)の近傍に位置する状態における電流検出の感度、および測定対象体Zがコイル部本体3における一端部P3aや他端部P3bから離れた部位の近傍に位置する状態における電流検出の感度のすべてがほぼ等しくなっている。
このように、この電流センサ1では、第1コイル部4aにおける第1巻線部の第1の断面積と第2コイル部4bにおける第2巻線部の第2の断面積とが互いに等しく、かつ、巻枠21aに対する導線22の第1の巻回数と巻枠21bに対する導線22の第2の巻回数とが互いに等しくなると共に、電流検出用環状部2において導線12が巻回されていない範囲であってコイル部本体3において導線12が巻回されている本体側巻線部の一端部P3a側と他端部P3b側との間の第1コイル部4aおよび第2コイル部4bを含む範囲の電流検出用環状部2に沿った長さ(この例では、長さL10)を第1の長さとしたときに、上記の第1の断面積に第1の巻回数を乗じた第1の値と、上記の第2の断面積に第2の巻回数を乗じた第2の値との和が、本体側巻線部の第3の断面積に本体側巻線部における上記の第1の長さの範囲内の導線12の第3の巻回数を乗じた第3の値と等しくなるように構成されている。
したがって、この電流センサ1によれば、測定対象体Zが一端部Paや他端部Pbの近傍(第1コイル部4aや第2コイル部4bの近傍)に位置する状態における電流検出の感度と、測定対象体Zがコイル部本体3における一端部P3aや他端部P3bから離れた部位の近傍に位置する状態における電流検出の感度とをほぼ等しくすることができるため、電流検出用環状部2の内側における測定対象体Zの位置や傾きなどに起因して測定値にばらつきが生じる事態を回避することができる。
また、この電流センサ1によれば、第1導線および第2導線(この例では、導線22)として本体部用導線(この例では、導線12)と同種の導線を巻回すると共に、上記の第1の断面積、および第2の断面積が、第3の断面積よりも広くなるように第1コイル部4aおよび第2コイル部4bを構成したことにより、本体部用導線と、第1導線および第2導線とを別個に用意する必要がない分だけ、電流センサ1の製造コストを十分に低減することができるだけでなく、巻芯11から巻枠21a,21bに亘って(または、巻枠21a,21bから巻芯11に亘って)導線12(22)を連続して巻回することができるため、巻芯11と巻枠21a,21bとの間における導線12(22)の結線作業が不要となる分だけ、電流センサ1の製造コストを一層低減することができる。
また、この電流センサ1によれば、上記の本体側巻線部における一端部P3a側の端部と上記の第1巻線部におけるコイル部本体3側の端部との間の電流検出用環状部2に沿った第2の長さ(この例では、長さL1a)と、本体側巻線部における他端部P3b側の端部と第2巻線部におけるコイル部本体3側の端部との間の電流検出用環状部2に沿った第3の長さ(この例では、長さL1b)とが互いに等しく、かつ、第2の長さと第3の長さとの和が、第1巻線部における第2コイル部4b側の端部と第2巻線部における第1コイル部4a側の端部との間の電流検出用環状部2に沿った第4の長さ(この例では、長さL2)と等しくなるように構成したことにより、測定対象体Zが一端部Pa(第1コイル部4a)の近傍に位置する状態における電流検出の感度、測定対象体Zが他端部Pb(第2コイル部4b)の近傍に位置する状態における電流検出の感度、および測定対象体Zがコイル部本体3における一端部P3aや他端部P3bから離れた部位の近傍に位置する状態における電流検出の感度のすべてをほぼ等しくすることができるため、電流検出用環状部2の内側における測定対象体Zの位置や傾きなどに起因して測定値にばらつきが生じる事態を確実に回避することができる。
なお、第1導線および第2導線として本体部用導線と同種の導線を第1コイル部4aおよび第2コイル部4bに巻回した電流センサ1を例に挙げて説明したが、第1導線および第2導線として本体部用導線よりも細い導線を第1コイル部(第1巻枠)および第2コイル部(第2巻枠)に巻回する構成(図示せず)を採用することもできる。この場合、第1導線および第2導線として本体部用導線よりも細い導線を巻回することで、第1コイル部(第1巻枠)に対する第1導線の巻きピッチや、第2コイル部(第2巻枠)に対する第1導線の巻きピッチが、巻芯11に対する本体部用導線(導線12)の巻きピッチよりも小さくなる。このため、第1コイル部(第1巻枠)や第2コイル部(第2巻枠)における所定長当りの導線の巻回数を巻芯11における所定長当りの導線の巻回数よりも多くすることができる。このため、第1巻枠の直径や、第2巻枠の直径を上記の第1コイル部4aおよび第2コイル部4bにおける巻枠21a,21bの直径よりも小さくして、上記の電流センサ1よりも第1巻線部の第1の断面積や第2巻線部の第2の巻線部を小さくしたとしても、第1コイル部や第2コイル部の近傍における電流検出の感度と、コイル部本体の近傍における電流検出の感度とを等しくすることができる。
このように、第1導線および第2導線として本体部用導線(この例では、導線12)よりも細い導線を巻回すると共に、上記の第1の巻回数および第2の巻回数が、上記の第3の巻回数よりも多くなるように第1コイル部および第2コイル部を構成したことにより、巻枠21aの直径や巻枠21bの直径を巻芯11の直径よりも大径とすることなく、電流検出用環状部2の内側における測定対象体Zの位置や傾きに起因する検出感度のばらつきの発生を回避することができるため、第1巻枠の直径や第2巻枠の直径を十分に小さくすることができる結果、電流検出用環状部2の一端部や他端部の直径だけが過剰に大径化する事態を回避して、取り扱いの容易な電流センサを提供することができる。
1 電流センサ
2 電流検出用環状部
3 コイル部本体
4a 第1コイル部
4b 第2コイル部
5 端部カバー部材
6 連結用部材
7 信号ケーブル
11 巻芯
12,22 導線
13 絶縁被覆
14 巻線留め
21a,21b 巻枠
23 挿入用凸部
25 フランジ
31 仕切板
L1a,L1b,L2,L3,L10,L11a,L11b,Lta〜Ltc 長さ
La,Lb 巻き径
Pa,P3a 一端部
Pb,P3b 他端部
Z 測定対象体

Claims (3)

  1. 弾性変形可能に形成された巻芯の周囲に本体部用導線が巻回されたコイル部本体と、第1巻枠の周囲に第1導線が巻回された第1コイル部と、第2巻枠の周囲に第2導線が巻回された第2コイル部とを備え、前記コイル部本体の一端部に前記第1コイル部が取り付けられて前記本体部用導線に前記第1導線が接続されると共に、当該コイル部本体の他端部に前記第2コイル部が取り付けられて当該本体部用導線に前記第2導線が接続され、かつ、前記コイル部本体を弾性変形させて前記第1コイル部における当該コイル部本体の側とは反対側の端部と前記第2コイル部における当該コイル部本体の側とは反対側の端部とを互いに近接させることで環状の電流検出用環状部を形成可能に構成された電流センサであって、
    前記第1コイル部において前記第1導線が巻回されている第1巻線部の第1の断面積と前記第2コイル部において前記第2導線が巻回されている第2巻線部の第2の断面積とが互いに等しく、かつ、前記第1巻枠に対する前記第1導線の第1の巻回数と前記第2巻枠に対する前記第2導線の第2の巻回数とが互いに等しくなると共に、
    前記電流検出用環状部において、前記コイル部本体における当該本体部用導線が巻回されている本体側巻線部の前記一端部側の端部と前記第1巻線部の当該コイル部本体側の端部とが当該電流検出用環状部の周方向に沿って当該本体部用導線が巻回されていない部分を挟んで離間し、前記本体側巻線部の前記他端部側の端部と前記第2巻線部の前記コイル部本体側の端部とが前記周方向に沿って前記本体部用導線が巻回されていない部分を挟んで離間し、前記第1巻線部の前記第2コイル部側の端部と前記第2巻線部の前記第1コイル部側の端部とが前記周方向に沿って前記本体部用導線が巻回されていない部分を挟んで離間し、
    前記本体部用導線が巻回されていない範囲であって前記コイル部本体における前記本体側巻線部の前記一端部側と前記他端部側との間の前記第1コイル部および前記第2コイル部を含む範囲の前記周方向に沿った長さを第1の長さとしたときに、前記第1の断面積に前記第1の巻回数を乗じた第1の値と、前記第2の断面積に前記第2の巻回数を乗じた第2の値との和が、前記本体側巻線部の第3の断面積に当該本体側巻線部における前記第1の長さの範囲内の前記本体部用導線の第3の巻回数を乗じた第3の値と等しくなり、
    前記本体側巻線部における前記一端部側の端部と前記第1巻線部における前記コイル部本体側の端部との間の前記周方向に沿った第2の長さと、前記本体側巻線部における前記他端部側の端部と前記第2巻線部における前記コイル部本体側の端部との間の前記周方向に沿った第3の長さとが互いに等しく、かつ、当該第2の長さと当該第3の長さの和が、前記第1巻線部における前記第2コイル部側の端部と前記第2巻線部における前記第1コイル部側の端部との間の前記周方向に沿った第4の長さと等しくなるように構成されている電流センサ。
  2. 前記第1導線および前記第2導線として前記本体部用導線と同種の導線を巻回すると共に、前記第1の断面積、および前記第2の断面積が、前記第3の断面積よりも広くなるように前記第1コイル部および前記第2コイル部が構成されている請求項1記載の電流センサ。
  3. 前記第1導線および前記第2導線として前記本体部用導線よりも細い導線を巻回すると共に、前記第1の巻回数、および前記第2の巻回数が、前記第3の巻回数よりも多くなるように前記第1コイル部および前記第2コイル部が構成されている請求項1記載の電流センサ。
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