JP3971158B2 - 電流センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象導体の外周を取り囲むように設置されて、その測定対象導体を流れる電流を検出する電流センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の電流センサとして、図7,8に示す電流センサ51が従来から知られている。この電流センサ51は、図7に示すように、図外の測定器に接続するための接続ケーブル2と、測定対象導体Xの外周を取り囲むように設置されて測定対象導体Xに流れる電流を検出するためのケーブル状のセンサ本体53と、センサ本体53の一端に取り付けられた第1カバー部材54と、センサ本体53の他端に取り付けられた第2カバー部材55とを備えている。
【0003】
センサ本体53は、図8に示すように、芯材6、巻線7および外被8を備えて構成され、ロゴスキーコイルとして用いられる。この場合、芯材6は、可撓性を有する樹脂材を用いて外径が均一の長尺な円柱状に形成されている。巻線7は、被覆電線で形成され、芯材6の外周面において芯材6のほぼ全長に亘って均一(一例として一層巻き)に巻き回されている。また、芯材6の両端部では、図8に示すように、巻線が多層に巻回されることにより、他の部位よりも高い巻線密度となるように巻回されている。したがって、測定対象導体Xを取り囲むように設置されたときには、巻線7の製作精度や各カバー部材54,55の板厚に起因してセンサ本体53の両端部間に生じる巻線7の空隙Y部分での出力低下が補正される。また、巻線7は、芯材6の一方の端部において折り返され、芯材6の中心を通って芯材6の他方の端部から引き出され(いわゆる帰路線、図示せず)、巻始め端部と共に接続ケーブル2に電気的に接続されている。外被8は、巻線7を覆うようにして芯材6の外周に形成され、巻線7の巻き解れを防止する。
【0004】
第1カバー部材54は、樹脂材料を用いて、一端側が開口すると共に他端側がほぼ均一な板厚の壁部54aによって閉塞された円筒状に構成されている。この場合、第1カバー部材54は、その内径がセンサ本体53の外径と同等に設定されている。この第1カバー部材54は、開口する一端側からセンサ本体53の一端が壁部54aの内面に当接するまで挿入されることによってセンサ本体53の一端に取り付けられる。第2カバー部材55は、樹脂材料を用いて円筒状に形成されると共に、その内部には、ほぼ均一な板厚に形成された区画壁55aが軸線と直交するように配設されている。したがって、この区画壁55aによって第2カバー部材55の内部空間は2つの領域A,Bに分割される。この場合、第2カバー部材55における領域Aの内径は、センサ本体53の外径と同等に形成され、第2カバー部材55における領域Bの内径は、第1カバー部材54の外径よりも若干大径に形成されている。これにより、第2カバー部材55は、開口する一端側から領域A内にセンサ本体53の他端が区画壁55aの内面に当接するまで挿入されることによってセンサ本体53の他端に取り付けられる。また、第1カバー部材54と第2カバー部材55とは、第1カバー部材54が第2カバー部材55の開口する他端側から領域B内に第1カバー部材54の先端が区画壁55aの内面に当接するまで挿入されて、図示しないロック機構によって互いに分離可能に連結される。
【0005】
この電流センサ51を用いて測定対象導体Xに流れる電流を測定する際には、第1カバー部材54と第2カバー部材55とを分離した状態で、センサ本体53を測定対象導体Xの外周に巻き回して、図7に示すように、第1カバー部材54と第2カバー部材55とを連結して電流センサ51を環状に形成する。これにより、電流センサ51の設置が完了する。この状態では、図8に示すように、巻線7の各端部同士は、それぞれの軸線が一致し、かつ互いに向き合った状態に維持される。一方、測定対象導体Xに電流が流れた際には、この電流値に応じて、測定対象導体Xの周囲に発生する磁界が変化するため、巻線7を貫通する磁界も変化し、この結果、その磁界の変化に起因する電圧が巻線7の両端に誘起する。この場合、図外の測定器が、接続ケーブル2を介して入力されるこの誘起電圧を測定する。これにより、測定対象導体Xを流れる電流が測定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の電流センサ51には、以下の問題点がある。すなわち、従来の電流センサ51では、第1カバー部材54と第2カバー部材55とを連結した際に、巻線7の両端部、第1カバー部材54の壁部54a、および第2カバー部材55の区画壁55aが、芯材6の軸線に沿って一直線状に並ぶ構造となる。このため、巻線7の両端面間には、少なくとも第1カバー部材54の壁部54aおよび第2カバー部材55の区画壁55aの各板厚の合計以上の空隙Yが生じる。この場合、電流センサ51では、前述したように芯材6の両端部分での巻線7の巻線密度を他の部位よりも高めることにより、空隙Yに起因するコイル出力の低下を補正する構成が採用されている。しかし、比較的広い空隙Yが存在する以上、環状に形成された電流センサ51の内部(有効測定範囲)において測定対象導体Xの位置や傾きが変わることに起因して、測定対象導体Xに流れる電流に基づく磁界がある一定角度をなして空隙Yと鎖交した際に、測定対象導体Xに流れる電流が一定であったとしても、巻線7の誘起電圧が変化して誤差が生じるという現象が発生する。したがって、このような場合には、測定対象導体Xに流れる電流を高い精度で検出するのが困難であるという問題点が存在する。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、高精度で電流を検出し得る電流センサを提供することを主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電流センサは、芯材と当該芯材の外周面に形成された巻線とを有する1つまたは複数のセンサ本体を環状に連結可能に形成され、測定対象導体を取り囲んだ状態で当該測定対象体に流れる電流を前記巻線で検出可能に構成された電流センサであって、前記環状に連結した連結部位の一端側における前記芯材の端部に当該芯材の軸線と同軸に取り付けられて、その外径が当該芯材の外径よりも小径に形成された円柱状の第1巻枠部が先端部側に形成された第1ボビンと、前記連結部位の他端側における前記芯材の端部に当該芯材の軸線と同軸に取り付けられて、その外径が当該芯材の外径よりも大径に形成された円筒状の第2巻枠部が先端部側に形成された第2ボビンとを備え、前記連結部位における前記一端側の前記巻線は、前記第1巻枠部に巻回され、前記連結部位における前記他端側の前記巻線は、前記第2巻枠部に巻回されている。
【0009】
請求項2記載の電流センサは、請求項1記載の電流センサにおいて、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンは、前記芯材の前記端部を挿入可能な円筒状のキャップ部が当該芯材に対向する端面側に形成されて構成されている。
【0010】
請求項3記載の電流センサは、請求項1または2記載の電流センサにおいて、開口した一端側から前記連結部位の前記一端が挿入可能に構成され、かつ、その他端側が壁部で閉塞されると共に前記第1巻枠部が挿入可能な円筒状突起が外方に向けて当該壁部に突設された円筒状の第1カバー部材と、円筒状に形成されると共にその内部に区画壁が形成され、その一端側から前記連結部位の前記他端が挿入可能に構成されると共にその他端側から前記第1カバー部材が挿入可能に構成され、かつ、挿入された当該第1カバー部材の前記円筒状突起が嵌合可能な円形凹部が当該区画壁の中央部位に形成された第2カバー部材とを備え、前記第2カバー部材は、その内周面と前記円形凹部の外周面との間に前記第2ボビンの前記第2巻枠部が嵌め込み可能に構成されている。
【0011】
請求項4記載の電流センサは、請求項1から3のいずれかに記載の電流センサにおいて、前記第1ボビンの前記第1巻枠部に巻回された前記巻線の端部と、前記第2コイルボビンの前記第2巻枠部に巻回された前記巻線の端部とが、環状に連結された状態において同一平面上に配置される。
【0012】
請求項5記載の電流センサは、請求項1から4のいずれかに記載の電流センサにおいて、前記第1巻枠部および前記第2巻枠部は、当該両者の断面積の平均値が前記芯材の断面積と同等となるようにそれぞれ形成されている。
【0013】
請求項6記載の電流センサは、請求項1から5のいずれかに記載の電流センサにおいて、ロゴスキーコイルとして構成されている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る電流センサ1の好適な実施の形態について説明する。なお、従来の電流センサ51と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0015】
最初に、電流センサ1の構成について、図面を参照して説明する。
【0016】
電流センサ1は、図7に示すように、図外の測定器に接続するための接続ケーブル2と、測定対象導体Xの外周を取り囲むように設置されて測定対象導体Xに流れる電流を検出するためのケーブル状のセンサ本体3(一例として1本で構成)と、センサ本体3の一端に取り付けられた第1カバー部材4と、センサ本体3の他端に取り付けられた第2カバー部材5とを備えている。
【0017】
センサ本体3は、図1〜図3に示すように、芯材6、巻線7、外被8、第1ボビン9、および第2ボビン10を備え、ロゴスキーコイルとして使用可能に構成されている。この場合、芯材6は、可撓性を有する樹脂材(一例としてシリコーン樹脂)を用いて均一な外径Cで円柱状(ケーブル状)に形成されている。
【0018】
第1ボビン9は、図4に示すように、例えば樹脂材料を用いて形成され、第1巻枠部9aおよび第1キャップ部9bを備えて構成されている。この場合、第1巻枠部9aは、その外径Dが芯材6の外径Cよりも小径であって長さEの円柱状に形成されている。また、第1巻枠部9aは、一方のフランジ部9cに対して他方のフランジ部9dが大径に形成されている。第1キャップ部9bは、円柱状に形成され、フランジ部9dの側面(芯材6に対向する端面)に第1巻枠部9aと同軸に配設されている。また、第1キャップ部9bは、長さGで、その外径Fが芯材6の外径よりもやや大径であって、その内径が芯材6の外径と同等に形成されている。また、第1ボビン9の中央部分には、後述する帰路線を配線可能な貫通孔9eが形成されている(図1参照)。この構成により、第1ボビン9は、図3に示すように、第1キャップ部9b内に芯材6の一端側が挿入された状態で芯材6の一端側に取り付けられる。
【0019】
一方、第2ボビン10は、図5に示すように、例えば樹脂材料を用いて形成され、第2巻枠部10aおよび第2キャップ部10bを備えて構成されている。この場合、第2巻枠部10aは、その外径Hが芯材6の外径Cよりも大径であって、長さIの円筒状に形成されている。また、第2巻枠部10aは、その外周面の両端部にフランジ部10c,10dが形成されると共に、フランジ部10dが形成された端面側が閉塞されている。第2キャップ部10bは、第1ボビン9の第1キャップ部9bと同形状(長さG、外径F、かつ内径が芯材6の外径と同等の円筒体)に形成されると共に、第2巻枠部10aにおけるフランジ部10d側の閉塞された端面(芯材6に対向する端面)に第2巻枠部10aと同軸に配設されている。この構成により、第2ボビン10は、第2キャップ部10b内に芯材6の他端側が挿入された状態で芯材6の他端側に取り付けられる。
【0020】
巻線7は、被覆電線(エナメル銅線)を、第2ボビン10の第2巻枠部10aから巻き始め、次いで、第2キャップ部10bの外周、芯材6の外周、第1キャップ部9bの外周、および第1巻枠部9aの外周に順次巻回される。さらに、被覆電線は、芯材6の一端部(第1ボビン9側)において折り返され、芯材6の中心を通って芯材6の他端部(第2ボビン10側)から引き出され(いわゆる帰路線)、巻始め端部と共に接続ケーブル2に電気的に接続されている。この場合、被覆電線を第2巻枠部10aから第2キャップ部10bに配線する際、第2キャップ部10bから芯材6に配線する際、芯材6から第1キャップ部9bに配線する際、第1キャップ部9bから第1巻枠部9aに配線する際、および第1巻枠部9aから貫通孔9eに配線する際には、第1ボビン9および第2ボビン10の各フランジ部にそれぞれ形成された切欠部を利用する。外被8は、芯材6に巻回された巻線7全体を覆うようにして芯材6の外周に密着形成されて、巻線7の巻き解れを防止する。
【0021】
また、この電流センサ1では、測定対象導体Xの外周を取り囲むように設置される際に、第1カバー部材4と第2カバー部材5とが連結されるため、第1ボビン9および第2ボビン10に巻回された巻線7は、互いに近接して配置される。一方、測定精度を高めるためには、測定対象導体Xに流れる電流を一定とした場合、環状に形成された電流センサ1の内部(有効測定範囲)での測定対象導体Xの位置や傾きが変化したとしても、測定電流値が変化しないのが好ましい。このためには、第1ボビン9および第2ボビン10に巻回された巻線(コイル)7の単位長当たりのコイル出力(巻線7によって検出される電圧、つまり巻線7を流れる電流を変換した電圧)の平均値が、芯材6に巻回された巻線7における単位長当たりのコイル出力と等しく、かつ電流センサ1における単位長当たりのコイル出力が全周に亘って均一となるのが好ましい。この場合、コイル出力v、巻線の断面積S、および巻線数Nの間には、下記(1)式が成立する。
v=−μo×S×N/L・・・・・(1)
ただし、Lは平均磁路長、μoは真空の透磁率を意味する。
【0022】
一方、この電流センサ1では、巻線7が、芯材6、第1ボビン9および第2ボビン10の外周面に沿って一層で均一に巻回されているため、単位長(単位磁路長)毎の巻線数は一定値となっている(N/Lが一定)。したがって、この電流センサ1では、コイル出力vが、巻線7の断面積Sに比例する。また、この電流センサ1では、第1巻枠部9aに巻回された巻線7の断面積と第2巻枠部10aに巻回された巻線7の断面積との平均値が、芯材6に巻回された巻線7の断面積に可能な限り近づくように設定されている。具体的には、各巻枠部9a,10aに巻回された各巻線7のそれぞれの断面積が、各巻枠部9a,10aの外周面の断面積とほぼ等しく、芯材6に巻回された巻線7の断面積が、芯材6の断面積とほぼ等しい。このため、各巻枠部9a,10aの外周面の各断面積の平均値と芯材6の断面積とが等しくなるように、つまり図3において第1巻枠部9aの左端部から第2巻枠部10aの右端部までの平均断面積が芯材6の断面積とほぼ等しくなるように、巻枠部9a,10aの各外径D,Hが規定されている。したがって、この電流センサ1は、単位長当たりのコイル出力vが第1ボビン9および第2ボビン10を含めて電流センサ1の全周に亘って均一となるように構成されている。なお、この電流センサ1では、第1ボビン9および第2ボビン10における各キャップ部9b,10bに巻回される巻線7の断面積が芯材6に巻回される巻線7の断面積にほぼ等しいため、これらの各断面積の差に基づく各コイル出力vの差を無視しているが、各キャップ部9b,10bの巻線7の断面積も含めて第1ボビン9および第2ボビン10に巻回される巻線7の平均断面積と芯材6に巻回される巻線7の断面積とが等しくなるように巻枠部9a,10aの各外径D,Hを規定することもできる。
【0023】
第1カバー部材4は、図1に示すように、樹脂材料を用いて、一端側が開口されて他端側が閉塞された円筒状に形成されている。また、第1カバー部材4は、開口する一端側から第1ボビン9が取り付けられたセンサ本体3の一端を挿入可能に構成されている。さらに、第1カバー部材4の他端側を閉塞する壁部4aの中央部位には、第1カバー部材4と同軸に、第1ボビン9の第1巻枠部9a全体が挿入可能な円筒状突起4bが外方に向けて突設されている。この場合、第1ボビン9は、図3に示すように、センサ本体3の一端と共に第1カバー部材4内に挿入された際に、フランジ部9dが壁部4aの内面と当接して、第1巻枠部9a全体が円柱状突起4bに挿入される。
【0024】
第2カバー部材5は、図2に示すように、樹脂材料を用いて円筒状に形成されると共に、その内部に区画壁5aが配設されている。したがって、第2カバー部材5の内部空間は、区画壁5aによって2つの領域A,Bに分割される。この場合、第2カバー部材5における領域Aの内径は、センサ本体3の最大外径よりもやや大径に設定され、第2カバー部材5における領域Bの内径は、第1カバー部材4の外径よりもやや大径で、かつ領域Aの内径よりも大径に設定されている。また、区画壁5aの中央部位には、円形凹部5bが、第2カバー部材5と同軸で、かつ領域A側に突出して形成されている。また、円形凹部5bは、その内径が第1カバー部材4の円柱状突起4bの外径よりも若干大径に設定され、かつ、その奥行きが円柱状突起4bの長さと同等に設定されている。また、円形凹部5bは、その外径が第2ボビン10における第2巻枠部10aの内径よりもやや小径に形成され、その外周面と第2カバー部材5の領域Aにおける内周面との間には、第2ボビン10の第2巻枠部10aが嵌め込み可能な空間が形成されている。さらに、円形凹部5bは、区画壁5aから第2巻枠部10aの長さI以上に突出して形成されている。したがって、第2巻枠部10aが円形凹部5bに装着された際には、円形凹部5bの先端面が10bのフランジ部10dと当接する。また、第1カバー部材4および第2カバー部材5には、第2カバー部材5と、第2カバー部材5の領域B内に挿入された第1カバー部材4とを分離可能に連結する図示しないロック機構が設けられている。
【0025】
次に、電流センサ1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0026】
この電流センサ1を用いて測定対象導体Xに流れる電流を測定する際には、第1カバー部材4と第2カバー部材5とを分離した状態で、センサ本体3を測定対象導体Xに巻き回し、その後に第1カバー部材4を第2カバー部材5の領域B内に挿入することにより、図7に示すように、第1カバー部材4と第2カバー部材5とを連結して電流センサ1を環状に形成する。これにより、電流センサ1の設置が完了する。この状態では、図3に示すように、第1カバー部材4の円柱状突起4bが第2カバー部材5の円形凹部5b内に進入し、円柱状突起4bと円形凹部5bとがいわゆる入れ子構造となる。このため、円柱状突起4b内に嵌め込まれた第1ボビン9における第1巻枠部9aの先端が、第2カバー部材5における区画壁5aを越えて第2カバー部材5の領域A側に配置される。この結果、同図に示すように、第1巻枠部9aに巻回された巻線7の先端部と第2巻枠部10aに巻回された巻線7の先端部とは、第1カバー部材4の壁部4aおよび第2カバー部材5の区画壁5aが存在するにも拘わらず、壁部4aや区画壁5aの板厚よりも十分に狭い(例えばゼロ)空隙Zを介して連結される。つまり、電流センサ1は、第1巻枠部9aに巻回された巻線7の先端部と第2巻枠部10aに巻回された巻線7の先端部との間に不連続点が形成されることなく、環状に形成される。
【0027】
電流測定の際には、図外の測定器が、電流センサ1の巻線7に誘起した電圧を接続ケーブル2を介して入力して測定する。この場合、この電流センサ1では、前述したように、不連続点なく環状に連結されている。したがって、この電流センサ1によれば、環状に形成された電流センサ1の内部(有効測定範囲)での測定対象導体Xの位置や傾きが変化したとしても、誘起電圧に誤差分を生じさせることなく、測定対象導体Xに流れる電流値に応じた電圧を高精度でかつ安定して検出することができる。
【0028】
なお、本発明は、上記した発明の実施の形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、上記した電流センサ1は、1つのセンサ本体3の両端を連結して環状に形成されるように構成されているが、図6に示すように、複数のセンサ本体3を連結して環状に形成する構成を採用することもできる。また、本発明の実施の形態では、全体に亘って同一径に形成された芯材6の各端部を各キャップ部9b,10bに嵌め込んで各ボビン9,10を取り付ける構成を採用したが、各キャップ部9b,10bの外径と芯材6の外径とを同一に形成すると共に、各キャップ部9b,10b内に挿入可能に芯材6における各端部の直径をそれぞれ若干小径に形成する構成を採用することもできる。この構成によれば、各キャップ部9b,10bに巻回される巻線の断面積と、芯材6に巻回される巻線の断面積とを同一に設定することができる結果、コイル出力vのバラツキが完全に排除されて一層高精度で測定することができる。
【0029】
また、本発明の実施の形態では、各ボビン9,10にキャップ部9b,10bをそれぞれ配設して、芯材6への取り付けを容易にすると共に、芯材6の軸線に対する各巻枠部9a,10aの軸線の位置決め精度を高められる構成を採用したが、キャップ部9b,10bを配設せずに、各巻枠部9a,9bのみで各ボビン9,10を構成することもできる。この場合、接着等で芯材6に各ボビン9,10を直接取り付けることができる。また、本発明の実施の形態では、電流センサ1としてロゴスキーコイルに適用した例について説明したが、本発明における電流センサは、これに限定されず、各種センシング用のコイルに適用することができる。また、センサ本体3を構成する芯材6の材料として、一例として柔軟性・可撓性を有するシリコーン樹脂を用いた例について説明したが、剛性を有する材料(磁性コア等)を用いて、クランプセンサに適用することもできる。さらに、本発明における第1および第2カバー部材は、両カバー部材4,5の構成に限らず、上記したようにロック機構を設けるなど、その構成を適宜変更することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明における電流センサによれば、第1巻枠部が先端部側に形成された第1ボビンと、第2巻枠部が先端部側に形成された第2ボビンとを備えて、連結部位における一端側の巻線を第1巻枠部に巻回し、連結部位における他端側の巻線を第2巻枠部に巻回したことにより、例えば、センサ本体の一端および第1ボビン、センサ本体の他端および第2ボビンをそれぞれ被覆する一対のカバー部材が巻線の両端間に介在する構成を採用した場合であっても、各カバー部材が当接し合う部分同士を入れ子構造にすることができるため、不連続点なく電流センサを環状に連結できる結果、環状に連結した電流センサの内部(有効測定範囲)での測定対象導体の位置や傾きが変化したとしても、誘起電圧に誤差分を生じさせることなく、測定対象導体に流れる電流値に応じた電圧を高精度でかつ安定して検出することができる。また、巻枠部に巻線を巻回したことにより、外力が加わった場合でも巻線の巻き解れを回避できるため、その耐久性を向上させることができる。
【0031】
また、本発明における電流センサによれば、芯材の端部を挿入可能な円筒状のキャップ部を第1ボビンおよび第2ボビンに形成したことにより、各ボビンの芯材への取付性を高めることができると共に、芯材の軸線に対する各ボビンの軸線の位置決め精度を高めることができる。
【0032】
また、本発明における電流センサによれば、第1ボビンが取り付けられたセンサ本体の一端を第1カバー部材で覆い、第2ボビンが取り付けられたセンサ本体の他端を第2カバー部材で覆うことにより、両カバー同士を連結する際に、各カバー部材が当接し合う部分同士を入れ子構造に構成できる結果、不連続点なく電流センサを環状に形成できる。
【0033】
また、本発明における電流センサによれば、環状に連結した際に、第1ボビンに巻回された巻線の端部および第2コイルボビンに巻回された巻線の端部が同一平面上に配置されることにより、不連続点なく電流センサを確実に環状に形成することができる結果、測定対象導体の電流を一層高精度でかつ安定して検出することができる。
【0034】
また、本発明における電流センサによれば、各々の断面積の平均値が芯材の断面積と同等となるように第1巻枠部および第2巻枠部を形成したことにより、第1巻枠部に巻回した巻線の単位長当たりのコイル出力および第2巻枠部に巻回した巻線の単位長当たりのコイル出力の平均値と、芯材に巻回した巻線の単位長当たりのコイル出力とを等しくすることができる。したがって、センサ本体の長さ方向に沿ったコイル出力のバラツキを低減することができるため、有効測定範囲内での測定対象導体の位置や傾きが変化したとしても、測定対象導体に流れる電流値に応じた電圧を高精度でかつ安定して検出することができる。
【0035】
また、本発明における電流センサをロゴスキーコイルに適用したことにより、測定対象導体を取り囲むように取り付ける際に巻線を中間部位で分離できるのが前提のロゴスキーコイルにおいても、巻線の連続性を十分に確保して、高精度でかつ安定した電流検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電流センサ1の一端側の断面図である。
【図2】電流センサ1の他端側の断面図である。
【図3】電流センサ1の両端を連結した状態の連結部分の断面図である。
【図4】第1ボビン9の斜視図である。
【図5】第2ボビン10の斜視図である。
【図6】電流センサ1を複数本(一例として2本)使用して連結した状態を示す平面図である。
【図7】電流センサ1(51)の使用状態を示す平面図である。
【図8】従来の電流センサ51の両端を連結した状態の連結部分の断面図である。
【符号の説明】
1 電流センサ
2 接続ケーブル
3 センサ本体
4 第1カバー部材
4a 壁部
4b 円柱状突起
5 第2カバー部材
5a 区画壁
5b 円形凹部
6 芯材
7 巻線
9 第1ボビン
9a 第1巻枠部
9b 第1キャップ部
10 第2ボビン
10a 第2巻枠部
10b 第2キャップ部
X 測定対象導体
Claims (6)
- 芯材と当該芯材の外周面に形成された巻線とを有する1つまたは複数のセンサ本体を環状に連結可能に形成され、測定対象導体を取り囲んだ状態で当該測定対象体に流れる電流を前記巻線で検出可能に構成された電流センサであって、
前記環状に連結した連結部位の一端側における前記芯材の端部に当該芯材の軸線と同軸に取り付けられて、その外径が当該芯材の外径よりも小径に形成された円柱状の第1巻枠部が先端部側に形成された第1ボビンと、
前記連結部位の他端側における前記芯材の端部に当該芯材の軸線と同軸に取り付けられて、その外径が当該芯材の外径よりも大径に形成された円筒状の第2巻枠部が先端部側に形成された第2ボビンとを備え、
前記連結部位における前記一端側の前記巻線は、前記第1巻枠部に巻回され、
前記連結部位における前記他端側の前記巻線は、前記第2巻枠部に巻回されている電流センサ。 - 前記第1ボビンおよび前記第2ボビンは、前記芯材の前記端部を挿入可能な円筒状のキャップ部が当該芯材に対向する端面側に形成されて構成されている請求項1記載の電流センサ。
- 開口した一端側から前記連結部位の前記一端が挿入可能に構成され、かつ、その他端側が壁部で閉塞されると共に前記第1巻枠部が挿入可能な円筒状突起が外方に向けて当該壁部に突設された円筒状の第1カバー部材と、円筒状に形成されると共にその内部に区画壁が形成され、その一端側から前記連結部位の前記他端が挿入可能に構成されると共にその他端側から前記第1カバー部材が挿入可能に構成され、かつ、挿入された当該第1カバー部材の前記円筒状突起が嵌合可能な円形凹部が当該区画壁の中央部位に形成された第2カバー部材とを備え、
前記第2カバー部材は、その内周面と前記円形凹部の外周面との間に前記第2ボビンの前記第2巻枠部が嵌め込み可能に構成されている請求項1または2記載の電流センサ。 - 前記第1ボビンの前記第1巻枠部に巻回された前記巻線の端部と、前記第2コイルボビンの前記第2巻枠部に巻回された前記巻線の端部とが、環状に連結された状態において同一平面上に配置される請求項1から3のいずれかに記載の電流センサ。
- 前記第1巻枠部および前記第2巻枠部は、当該両者の断面積の平均値が前記芯材の断面積と同等となるようにそれぞれ形成されている請求項1から4のいずれかに記載の電流センサ。
- ロゴスキーコイルとして構成されている請求項1から5のいずれかに記載の電流センサ。
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