JPH0519778Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、口径が小さい被測定流体の流路を備
えてなるタイプの電磁流量計に関する。

〔従来の技術〕

従来、この種の電磁流量計にあつては、測定管
の外周部に一対をなす略鞍形状のコイルボビンに
巻回した励磁コイルを配設するとともに、これら
の励磁コイルを内包する断面略中空Ｈ字状を呈す
るコアを設け、かつ前記励磁コイルによる磁束の
方向と流体の流れ方向との双方に対して直交する
位置に、一対の電極を設けた構造のものが一般的
であつた。

そして、このような構成において、前記励磁コ
イルを励磁すると、測定管内の流体を横切つてそ
の流れと直交する磁界が、前記コアに沿つて形成
され、これにより流れ方向と励磁コイルによる磁
束の方向との双方に直交するように設けられた一
対の電極間に、フアラデイの法則により平均流速
に比例した起電力を生じさせ、これを増幅器で増
幅することにより流体の流量を測定したり流量の
定値制御を行なつたりするものであつた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述した従来の電磁流量計で
は、励磁コイルとして鞍形状のものを用いている
ために、測定管の口径に限界があり、一方プロセ
スの容量等によつては測定管の径寸法が種々異な
つているものであり、特に極小径の測定管による
流量計では、励磁コイルやコアの配設スペースの
面で問題があつた。

さらに、上述した従来の電磁流量計では、鞍形
状のコイルボビン、これに巻回される励磁コイ
ル、これを内包するコア等によつて構造が複雑化
し、それぞれの加工、組立て等も面倒であり、コ
スト的にも高価となるもので、これらの問題点を
一掃し得る何らかの対策を講じることが望まれて
いる。

また、この種の電磁流量計にあつては、各電極
から引き出される電極リード線が、励磁コイルお
よびコアからなる励磁装置による磁界に対し、測
定管の側方から見て傾斜して取付けられると、両
電極を結ぶ線および両電極リード線によつて形成
される面積に二次的に比例した、いわゆる90°位
相のずれによる雑音起電力が生じ、発信器側に雑
音として送られることが知られている。

そして、このような雑音問題を防止するため
に、この種の電磁流量計にあつては、従来から励
磁コイルによつて形成される磁界が正しく被制御
流体の流路に向かうように、励磁コイルおよびコ
アを測定管に対し適正な位置関係でもつて配設す
るとともに、電極から引き出される電極リード線
を、上述した磁界による面内に位置して取付ける
とともに、その引き回し長さを最短とすることが
望まれており、このような点にも配慮し、上述し
たように口径の小さい測定管流路をもつ電磁流量
計の出現が求められている。

〔課題を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本考案に係
る電磁流量計は、被測定流体用の極小径流路を軸
線上に有し電磁流量計用ケース内に装着される筒
状の基部材と、この基部材の外周面中央で相対向
する径方向から流路に臨ませられる一対の電極
と、基部材の外周面中央で流路内での流れの方向
およびこれらの電極の付設方向の双方に直交する
方向に相対向して配設される一対のコイルボビン
およびこれらに巻回された一対の励磁コイルから
なる一対の励磁装置を備えてなり、前記基部材外
周面でコイルボビン配設位置に対向する部分に、
各コイルボビン先端が嵌合する凹部を開口させて
設けるとともに、これらの凹部に先端を嵌合させ
るコイルボビンの一方に、流路内での流れに直交
する軸線方向に延在する案内孔と、このコイルボ
ビンの先端で案内孔に連通するように軸線を横切
る方向に延在して形成された案内部とからなる電
極リード線案内部を設けたものである。

〔作用〕

本考案によれば、極小径の流路を有する電磁流
量計を、必要最小限の構成部品によつて組み立て
て、所要の流量測定を行なえる。さらに、流路内
に相対向して臨む基部材の外周面に設けられてい
る一対の電極から引き出される電極リード線を、
基部材の外周側で電極とは直交する方向に配設さ
れている励磁装置を構成する励磁コイルが巻回さ
れているコイルボビンの先端に形成した軸線を横
切る案内部、軸線方向に延在する案内孔による電
極リード線案内部を経由した最短長さをもち、し
かも90°位相のずれによる雑音を可能な限り小さ
くして、付設し得るものである。

〔実施例〕

第１図および第２図は本考案に係る電磁流量計
を示す断面図である。これらの図において、符号
１で示すものは、一部が磁界形成経路を兼ねる電
磁流量計用のケースで、その内部には、それぞれ
が互いに直交する三つの貫通孔２，３および４が
設けられている。

５は両端が開口されている被測定流体用の流路
６を軸線上に形成するライニング管７が内部に設
けられ測定管を構成する略筒状を呈する基部材
で、前記ケース１において第１貫通孔２内の中央
部に装着されている。そして、この基部材５の軸
線方向中央部外周で前記流路６と相互に直交し
て、一対のコア組付け用の凹部８と後述する一対
の電極取付け部とが、それぞれ径方向において相
対向する位置に形成されている。ここで、これら
コア組付け用の凹部８、電極取付け部は、前記流
路６内での被測定流体の流れの方向との関係にお
いて、それぞれが直交する関係をもつて構成され
ている。

９は前記ケース１において第２貫通孔３内に配
設された一対の励磁装置であり、それぞれがコイ
ルボビン１０とこれに巻回された励磁コイル１１
とによつて構成され、かつコイルボビン１０の先
端が、ボス状コア１２を介して前記凹部８に嵌合
されている。

１３は前記コイルボビン１０に形成され電極リ
ード線１４が挿通される電極リード案内部で、コ
イルボビン１０の軸線方向に延在して形成されて
いる案内孔１３ａと、この案内孔１３ａに連通す
るようにして前記流路６側の先端に軸線を横切る
方向に延在して形成されている案内部としての溝
１３ｂとから構成されている。

１５は鍔部１５ａを有する一対の電極で、前記
第３貫通孔４内に位置し前記ライニング管７の管
壁７ａに、前記励磁コイル１１で形成される磁界
の方向および流路６内での流れの方向との双方に
直交した状態で、相対向して設けられている。そ
して、これらの電極１５の被測定流体側端には前
記電極リード線１４が張架固定され、前記被測定
流体の各点に発生した起電力を検出するように構
成されている。

さらに、１６は端子箱または発信器等の筐体１
７を取付けるための取付け台で、押圧部１６ａを
有し前記第２貫通孔３の一方の開口周縁にねじ１
８によつて固定されている。また、１９は押圧部
１９ａを有する蓋部材で、前記貫通孔３の他方の
開口周縁にねじ２０により固定されている。ここ
で、この蓋部材１９の押圧部１９および前記取付
台１６の押圧部１６ａにより前記一対の励磁装置
９が、前記基部材５に押圧して固定されている。

なお、２１はコイルボビン１０の鍔部１０ａと
取付台１６の押圧部１６ａ間および蓋部材１９の
押圧部１９ａ間に介在されたスペーサ、２２は前
記基部材５に設けられ前記電極リード線１４を案
内するための案内部である。

そして、このような構成によれば、測定管とな
る基部材５の外側に、一対の電極１５と一対の励
磁装置９とをそれぞれ配設し、これらをケース１
内に内設してなる構成であり、比較的簡単な構成
にもかかわらず、極小径の流路６を有する測定管
での流量測定を、適切に行なえ、しかも全体の組
立て等も容易である等の利点を奏するものであ
る。

また、このように構成されている電磁流量計に
おいては、測定管となる基部材５外側の径方向に
相対向する位置に配設された一対のコイルボビン
１０のうちの一方に、その軸線方向に延在する案
内孔１３ａと、流路６側で軸線を横切る方向に延
在する溝１３ｂとからなる電極リード線案内部１
３を設けているので、コア１２を流路６近傍の基
部材５に埋設した場合にあつても、雑音起電力が
発生しないように電極リード線１４を最短長さ
で、しかも磁界の方向と同一面内に取付けること
ができる。

なお、上述した実施例では、案内孔１３ａの軸
線を横切る案内部として溝１３ｂを、励磁コイル
１１が巻回されて励磁装置９を構成するコイルボ
ビン１０の先端に設けた場合を例示したが、本考
案はこれに限定されず、第３図ａ，ｂに示したよ
うに、案内孔１３ａに連通するようにしてこの案
内孔１３ａの軸線を横切る方向に開口する孔１２
ａをコア側に設けても、同様の作用効果を奏する
ことは容易に理解されよう。

また、第４図、第５図ａ，ｂに示したように、
コイルボビン１０の流路側の先端を、分割可能に
形成し、この分割部分２３に案内孔１３ａに連通
する孔２３ａおよび流路側に開口する溝２３ｂを
設けてもよいことも勿論である。この場合、溝２
３ｂを、コイルボビン１０側に開口させ、両部材
で協働して溝を形成してもよいことも、容易に理
解されよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、被測定流
体用の極小径流路を軸線上に有し電磁流量計用ケ
ース内に装着される筒状の基部材と、この基部材
の外周面中央で相対向する径方向から流路に臨ま
せられる一対の電極と、基部材の外周面中央で流
路内での流れの方向およびこれらの電極の付設方
向の双方に直交する方向に相対向して配設される
一対のコイルボビンおよびこれらに巻回された一
対の励磁コイルからなる一対の励磁装置を備えて
なり、前記基部材外周面でコイルボビン配設位置
に対向する部分に、各コイルボビン先端が嵌合す
る凹部を開口させて設けるとともに、これらの凹
部に先端を嵌合させるコイルボビンの一方に、流
路内での流れに直交する軸線方向に延在する案内
孔と、このコイルボビンの先端で案内孔に連通す
るように軸線を横切る方向に延在して形成された
案内部とからなる電極リード線案内部を設けるよ
うにしたので、簡単な構成にもかかわらず、微小
径の流路での流量測定を行える電磁流量計を、必
要最小限の構成部品による簡単でしかも組立て容
易な構成によつて得ることができるものである。

また、本考案によれば、励磁コイルが巻回され
ている励磁装置を構成するコイルボビンの一方
に、軸線方向に延在する案内孔と、この案内孔に
連通し流路側で軸線を横切る方向に延在する案内
部とからなる電極リード線案内部を設けているの
で、簡単な構造にもかかわらず、最短長さで電極
リード線を、簡単にしかも適正な状態で取付ける
ことができ、90°位相ずれによる雑音を可能な限
り小さくすることができるという利点を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る電磁流量計
の一実施例を示す断面図、第３図ａ，ｂは本考案
の他の実施例を示す一部断面図、第４図は本考案
のさらに別の実施例を示す一部断面図、第５図
ａ，ｂは第４図での実施例に用いたコイルボビン
先端の分割部分を示す断面図およびその底面図で
ある。 １……電磁流量計用ケース、５……測定管を構
成する基部材、６……被測定流体の流路、７……
ライニング管、８……凹部、９……励磁装置、１
０……コイルボビン、１２……コア、１３……電
極リード線案内部、１３ａ……案内孔、１３ｂ…
…溝、１４……電極リード線、１５……電極、２
３……分割部分、２３ａ……孔、２３ｂ……溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 被測定流体の流路が極小径とされている電磁
   流量計において、電磁流量計用ケース内に装着
   され軸線上に被測定流体用の流路が形成されて
   いる筒状の基部材と、この基部材の外周面中央
   部分で相対向する径方向から前記流路に臨んで
   設けられている一対の電極と、前記基部材の外
   周面中央部分で前記流路内での流れの方向およ
   びこれらの電極の付設方向の双方に直交する方
   向に相対向して配設した一対のコイルボビンお
   よびこれらに巻回されている一対の励磁コイル
   からなる一対の励磁装置とを備えてなり、前記
   基部材の外周面で前記コイルボビンの配設位置
   に対向する部分に、各コイルボビンの先端が嵌
   合する凹部を、それぞれ開口させて設けるとと
   もに、これらの凹部に先端を嵌合させる前記一
   方の励磁装置を構成するコイルボビンに、この
   コイルボビンの前記流路の流れに直交している
   軸線方向に延在する案内孔と、このコイルボビ
   ンの流路側の先端で前記案内孔に連通するよう
   にその軸線を横切る方向に延在して形成された
   案内部とからなる電極リード線案内部を設けた
   ことを特徴とする電磁流量計。 (2) 基部材の被測定流体用流路に対し流路内での
   流れに直交する方向から臨んで配設されている
   励磁コイルが巻回されたコイルボビンの先端
   を、分割可能に形成し、このコイルボビンの先
   端に、電極リード線案内部を構成する軸線を横
   切る案内部を形成したことを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の電磁流量計。