JP2018054490A - 電流センサおよび電流検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数の増加を回避しつつ、電流路への取り付け時におけるロゴスキーコイルの端部同士の連結作業を不要にする。
【解決手段】第1端部P1および第2端部P2を有する支持体21と、支持体21の第1端部P1から第2端部P2に亘って形成されたロゴスキーコイル22とを備え、平面視状態において第1端部P1と第2端部P2とが近接して支持体21の平面視形状が環状となる初期形状においてロゴスキーコイル22の内側を貫通する電流路11に流れる検出対象電流Iを検出可能に構成され、支持体21は、弾性復元力を有して、外力が加わっているときにはこの弾性復元力に抗して上記の初期形状から弾性変形して電流路をロゴスキーコイル22の内側に貫通可能であると共に、外力が加わっていないときには弾性復元力によってこの初期形状に復帰する。
【選択図】図1
【解決手段】第1端部P1および第2端部P2を有する支持体21と、支持体21の第1端部P1から第2端部P2に亘って形成されたロゴスキーコイル22とを備え、平面視状態において第1端部P1と第2端部P2とが近接して支持体21の平面視形状が環状となる初期形状においてロゴスキーコイル22の内側を貫通する電流路11に流れる検出対象電流Iを検出可能に構成され、支持体21は、弾性復元力を有して、外力が加わっているときにはこの弾性復元力に抗して上記の初期形状から弾性変形して電流路をロゴスキーコイル22の内側に貫通可能であると共に、外力が加わっていないときには弾性復元力によってこの初期形状に復帰する。
【選択図】図1
Description
本発明は、可撓性を有する支持体と、この支持体の一方の端部から他方の端部に亘って形成されたロゴスキーコイルを備えて、支持体の平面視形状が一方の端部と他方の端部とが近接する環状形状となる状態において支持体の内側を貫通する電流路に流れる検出対象電流を検出する電流センサ、およびこの電流センサを備えた電流検出装置に関するものである。
この種の電流センサの一例として、下記の特許文献1において本願出願人が開示した電流センサ(フレキシブルセンサ)が知られている。この電流センサは、可撓性を有するコイル支持体の周囲に絶縁導線(絶縁被覆が形成された導線)を巻回して形成したロゴスキーコイルと、ロゴスキーコイルにおける各端部同士の連結および連結解除を行うための連結機構(相手との連結および連結解除が可能な2つの連結部)とを備えている。
この電流センサは、連結機構の連結解除状態(この状態では、ロゴスキーコイルは環状ではなく弧状の形状となっている)において、ロゴスキーコイルの一方の端部に固定された一方の連結部(ロゴスキーコイルの基端部側)を一方の手で持ちながら、ロゴスキーコイルを移動させて、ロゴスキーコイルの他方の端部に固定された他方の連結部(ロゴスキーコイルの自由端部側)を電流路の一方の側方側から電流路の背面側に差し込み、他方の手を電流路の他方の側方から電流路の背面側に差し込んでこの他方の連結部を掴み、この他方の連結部を引っ張り出して、ロゴスキーコイルを弧状から環状に移行させつつ一方の連結部に連結する。これにより、ロゴスキーコイルは、電流路(測定対象体)を取り囲む環状形状(環状形状のロゴスキーコイルを平面視した状態において、ロゴスキーコイルの一方の端部と他方の端部とが近接する状態での環状形状)に構成されて、電流路を流れる検出対象電流を検出可能な状態となる。
ところが、上記した従来の電流センサには、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、この電流センサでは、上記したように、ロゴスキーコイルの電流路への取り付けに際して、ロゴスキーコイルの一方の端部と他方の端部とを近接させてロゴスキーコイルを環状形状にするためには、ロゴスキーコイルの一方の端部に固定された一方の連結部と、ロゴスキーコイルの他方の端部に固定された他方の連結部とを連結する作業が必要になる。したがって、この電流センサには、ロゴスキーコイルの各端部に連結部を配設する分だけ部品点数が増加すると共に、電流路への取り付け時に各連結部を連結する作業が必要になってその分だけ取り付けに手間がかかるという改善すべき課題が存在している。
本発明は、かかる課題を改善するためになされたものであり、部品点数の増加を回避しつつ、電流路への取り付け時におけるロゴスキーコイルの端部同士の連結作業を不要にし得る電流センサ、およびこの電流センサを備えた電流検出装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の電流センサは、第1端部および第2端部を有する支持体と、当該支持体の前記第1端部から前記第2端部に亘って形成されたロゴスキーコイルとを備え、平面視状態において前記第1端部と前記第2端部とが近接して前記支持体の平面視形状が環状となる初期形状において前記ロゴスキーコイルの内側を貫通する電流路に流れる検出対象電流を検出する電流センサであって、前記支持体は、弾性復元力を有して、外力が加わっているときには当該弾性復元力に抗して前記初期形状から弾性変形して前記電流路を前記ロゴスキーコイルの内側に貫通可能であると共に、外力が加わっていないときには当該弾性復元力によって前記初期形状に復帰する。
請求項2記載の電流センサは、請求項1記載の電流センサにおいて、前記ロゴスキーコイルは、前記支持体を巻芯として形成されている。
請求項3記載の電流センサは、請求項2記載の電流センサにおいて、前記支持体は、導電性を有して前記ロゴスキーコイルにおける巻き戻し線として機能する。
請求項4記載の電流センサは、請求項1記載の電流センサにおいて、前記ロゴスキーコイルは、前記支持体とは異なる部材を巻芯として形成されている。
請求項5記載の電流検出装置は、請求項1から4のいずれかに記載の電流センサと、前記ロゴスキーコイルに接続されると共に、当該接続されたロゴスキーコイルの両端間に発生する誘導起電圧に基づいて前記検出対象電流の振幅に応じた振幅の検出電圧を出力する検出回路とを備えている。
請求項1記載の電流センサおよび請求項5記載の電流検出装置によれば、ロゴスキーコイルの各端部に連結部をそれぞれ配設すると共に電流路への取り付け時にはこれらの連結部同士(つまり、ロゴスキーコイルの端部同士)を連結させるという構成の従来の電流センサおよびこの電流センサを備えた電流検出装置とは異なり、ロゴスキーコイルの各端部への連結部の配設を不要にできる分だけ部品点数を削減できると共に、ロゴスキーコイルの電流路への取り付け時におけるロゴスキーコイルの端部同士の連結作業を不要にすることができる。また、この電流センサおよびこの電流検出装置によれば、ロゴスキーコイルを電流路に取り付けた後は、ロゴスキーコイルは支持体の一部または全体的な弾性復元力によって自動的に初期形状(Nターンに巻回されたスパイラル形状)に復帰する構成のため、特にNが2以上(複数)のとき(ロゴスキーコイルを電流路に2回巻回して取り付けようとするとき)には、ロゴスキーコイルを電流路にN回(2ターン以上)巻回して取り付ける作業を容易にすることができる。
請求項2記載の電流センサおよびこの電流センサを備えた請求項5記載の電流検出装置によれば、支持体を巻芯としてロゴスキーコイルを形成したことにより、支持体と巻芯とを別体とする構成と比較して、ロゴスキーコイルの構成を簡略化することができる。
請求項3記載の電流センサおよびこの電流センサを備えた請求項5記載の電流検出装置によれば、導電性を有する材料を用いて支持体を構成して、支持体がロゴスキーコイルにおける巻き戻し線として機能するようにしたことにより、巻芯として機能する支持体と、巻き戻し線とを別体とする構成と比較して、ロゴスキーコイルの構成を一層簡略化することができる。
請求項4記載の電流センサおよびこの電流センサを備えた請求項5記載の電流検出装置によれば、支持体とは異なる部材を巻芯としてロゴスキーコイルを形成したことにより、例えば、支持体をケース体としてその内部にロゴスキーコイルを配設したり、支持体としていわゆるスパイラルチューブを使用してその表面にロゴスキーコイルを配設したりすることができるため、電流センサをより簡易に製造することができる。
以下、電流センサおよび電流検出装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、電流センサを備えた電流検出装置の構成について、図面を参照して説明する。
まず、図1に示す電流検出装置としての電流検出装置1Aの構成について説明する。
電流検出装置1Aは、図1に示すように、電流センサ2Aおよび検出回路3を備え、電流路11に流れている検出対象電流Iを検出する。具体的には、電流検出装置1Aは、検出対象電流Iの振幅に応じた(比例した)振幅の検出電圧Viを出力する。
電流センサ2Aは、図1,2に示すように、第1端部P1および第2端部P2を有する支持体21(例えば、可撓性を有する長尺な支持体21)と、この支持体21の第1端部P1(以下、一方の端部P1ともいう)から第2端部P2(以下、他方の端部P2ともいう)に亘って形成されたロゴスキーコイル22とを備え、図3に示すように、平面視状態(同図において電流路11の長さ方向と平行な方向(矢印Z)から見た状態)において一方の端部P1と他方の端部P2とが近接して支持体21の平面視形状(上記の矢印Z方向から見た一点鎖線で示す形状)が環状となる初期形状において、支持体21の内側(つまり、ロゴスキーコイル22の内側)を貫通する電流路11に流れる検出対象電流Iを検出する。
なお、ロゴスキーコイル22は、上記したように、支持体21の一方の端部P1から他方の端部P2に亘って形成されているため、ロゴスキーコイル22における支持体21の一方の端部P1側の端部について以下では一方の端部P1ともいい、またロゴスキーコイル22における支持体21の他方の端部P2側の端部について以下では他方の端部P2ともいう。また、図3では、初期形状が環状の一例としての円環形状なる例を一点鎖線で示しており、またこの一点鎖線上における点P1aは平面視状態における支持体21およびロゴスキーコイル22のそれぞれの一方の端部P1の位置を示し、この一点鎖線上における点P2aは平面視状態における支持体21およびロゴスキーコイル22のそれぞれの他方の端部P2の位置を示している。また、初期形状としての環状は、この円環形状以外に、図示はしないが、楕円形状や、三角形および四角形などの多角形状であってもよい。
ロゴスキーコイル22は、図1,2に示すように、一例として、巻芯22a、巻線22b、巻き戻し線22c、および1組の出力電線22d,22eを備えて構成されている。
巻芯22aは、可撓性を有する長尺な線状または棒状の部材(断面形状が均一(よって、断面積も均一)な部材)がスパイラル(螺旋)形状(本例では、直径L1がほぼ均一で、かつピッチL2がほぼ一定のN(Nは自然数)ターンのコイルスプリング形状。本例での初期形状)に巻回されて、弾性復元力を有する部材に構成されている。本例では一例として、巻芯22aは、導電性の金属材料で形成されて弾性復元力を有する複数ターン(Nが2以上。本例では一例として10ターン程度)のコイルスプリングで構成されて、支持体21としても機能すると共に巻き戻し線22cとしても機能するように構成されている。また、巻芯22aは、図2に示すように、電気的絶縁性および可撓性を有する非磁性材料(例えば、シリコーンゴムなどの合成樹脂材料)で形成された絶縁被覆22fで外周面全体が覆われている。また、巻芯22aの断面形状は、円形、四角形などの多角形、または楕円形などの種々の形状とすることができる。また、本例では巻芯22aは支持体21としても機能するため、以下では、巻芯22aにおける支持体21の一方の端部P1側の端部を一方の端部P1ともいい、巻芯22aにおける支持体21の他方の端部P2側の端部を他方の端部P2ともいうものとする。
巻線22bは、例えば表面が絶縁被覆で覆われた導線(例えばエナメル銅線など)で構成されて、巻芯22aの外周面に絶縁被覆22fを介してほぼ均等なピッチ(隙間)で、巻芯22aの一方の端部P1から他方の端部P2に亘って螺旋状に巻回(巻回数は複数回)されて形成されている。これにより、巻線22bは、全体としての初期形状が巻芯22aと同様のスパイラル形状(具体的には、本例ではコイルスプリング形状)に構成されている。また、巻線22bを構成する導線における巻芯22aの一方の端部P1側の端部は、出力電線22dに接続されている。また、本例では一例として、このようにして形成された巻線22bの表面全体に亘って保護用の絶縁被覆22gが形成されている。
巻き戻し線22cは、本例では上記したように支持体21としても機能する巻芯22aで代用されている。これにより、本例のロゴスキーコイル22は、簡易な構成となっている。また、巻き戻し線22cについても、巻き戻し線22cにおける支持体21の一方の端部P1側の端部を一方の端部P1ともいい、巻き戻し線22cにおける支持体21の他方の端部P2側の端部を他方の端部P2ともいうものとする。また、巻き戻し線22c(本例では巻芯22a)は、その一方の端部P1が出力電線22eに接続され、その他方の端部P2が巻線22bを構成する導線におけるこの他方の端部P2側の端部と接続されている。なお、図1,3においては、電流センサ2Aの構成の理解を容易にするため、ロゴスキーコイル22については、各絶縁被覆22f,22gの図示を省略している。
また、ロゴスキーコイル22は、この構成(巻芯22aが支持体21および巻き戻し線22として機能する構成)に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、巻芯22aを支持体21としてのみ機能させる構成(巻き戻し線22としては機能させない構成)を採用することもできる。具体的には、電気的絶縁性および可撓性を有する非磁性材料(例えば、シリコーンゴムなどの合成樹脂材料)で形成されて弾性復元力を有する初期形状がコイルスプリング(スパイラル)形状の合成樹脂体で巻芯22aを構成し、この巻芯22aを支持体21としてのみ機能させるようにすることもできる。この場合、巻き戻し線22cは、例えば導線で構成されて、この巻芯22aの中心部分に巻芯22aを貫通した状態(巻芯22aの一方の端部P1の端面から他方の端部P2の端面に亘る状態)で配設される。また、巻き戻し線22cは、巻芯22aの一方の端部P1の端面から突出する一端部が出力電線22eに接続され、巻芯22aの他方の端部P2の端面から突出する他端部が巻線22bを構成する導線におけるこの他方の端部P2側の端部と接続される。
上記のようにして構成されたロゴスキーコイル22(つまり、電流センサ2A)は、支持体21の弾性復元力に基づいて、コイル全体としても弾性復元力を有して、外力が加わっているときにはこの弾性復元力に抗して弾性変形して電流路11をロゴスキーコイル22(つまり、電流センサ2A)の内側に貫通可能であると共に、外力が加わっていないときにはこの弾性復元力によって元の初期形状に復帰することが可能となっている。
検出回路3は、一例として図1に示すように、積分回路31、アンプ32およびフィルタ33を備え、電流センサ2Aの一対の出力電線22d,22e間から出力される電圧V1(ロゴスキーコイル22の両端間に発生する誘導起電圧V1)を入力すると共に、この電圧V1に含まれる各周波数成分を抽出して、検出電圧Viとして出力する。
ロゴスキーコイル22で構成された電流センサ2Aは、その検出周波数帯域に周波数成分が含まれる検出対象電流Iについて、その時間的変化に比例した電圧V1を出力する構成(つまり、微分回路として機能する構成)である。このため、検出回路3では、微分回路と逆の周波数特性を有する積分回路31がこの電圧V1を入力すると共に、電圧V1に含まれている各周波数成分のレベルを均一に揃えて電圧V1aとして出力する。
アンプ32は、電圧V1aを入力すると共に予め調整されたゲインで増幅して電圧V1bとして出力する。フィルタ33は、電流センサ2Aの検出周波数帯域に含まれる周波数成分(電圧V1を構成する主たる周波数成分)を通過させると共に、電流センサ2Aの検出周波数帯域以外の周波数域に含まれる周波数成分(電圧V1にとってノイズとなる成分)を除去して、検出電圧Viとして出力する。
次に、電流検出装置1Aの動作について説明する。なお、スパイラル(螺旋)形状の電流センサ2Aの内径(巻線22bを構成する導線の線径や、各絶縁被覆22f,22gの厚みや、巻芯22aの半径の影響により、上記した巻芯22aの直径L1よりも若干小径)は、電流路11の直径よりも大径であるものとする。
まず、検出対象電流Iが流れる電流路11に電流センサ2Aのロゴスキーコイル22を取り付ける。この取り付けにおいては、ロゴスキーコイル22が弾性変形可能に構成されていることを利用する。具体的には、例えば、ロゴスキーコイル22に外力を加えることで、出力電線22d,22eが接続されている一方の端部P1側からスパイラル形状のロゴスキーコイル22を部分的に弾性変形させて巻きほどきながら、電流路11に少しずつ巻き付ける作業を他方の端部P2側まで手作業で実施する。これにより、ロゴスキーコイル22全体が電流路11に取り付けられる(結果として、電流センサ2Aが電流路11に取り付けられる)。この場合、上記したように、スパイラル形状のロゴスキーコイル22の内径は電流路11の直径よりも大径であるため、ロゴスキーコイル22は、自身(ロゴスキーコイル22の支持体21として機能する巻芯22a)の弾性復元力により、初期形状に復帰する。つまり、電流センサ2Aは、ロゴスキーコイル22の平面視状態においてロゴスキーコイル22の一方の端部P1と他方の端部P2とが近接し、かつ電流路11にN(Nは自然数)ターンに巻回された状態(さらに本例では直径がほぼ均一なスパイラル形状に巻回された状態)で電流路11に取り付けられる。
このようにしてロゴスキーコイル22(つまり、電流センサ2A)が電流路11に取り付けられた状態(スパイラル形状に形成されたロゴスキーコイル22の内側を電流路11が貫通する状態)において、ロゴスキーコイル22では、巻線22bが、電流路11に検出対象電流Iが流れることに起因して電流路11の周囲に発生する磁界(不図示)を検出して、電圧V1を発生させると共に、一対の出力電線22d,22eを介して検出回路3に出力する。この場合、ロゴスキーコイル22は、電流路11に初期形状(つまり、Nターンに巻回されたスパイラル形状)で取り付けられているため、1ターンのときのN倍のレベル(振幅)で電圧V1を出力する。
検出回路3は、ロゴスキーコイル22から出力される電圧V1に基づいて、電流センサ2Aの検出周波数帯域に含まれる周波数成分で構成され、かつこの検出周波数帯域以外の周波数成分については十分に低減された電圧であって、検出対象電流Iの振幅に応じた(比例した)振幅の検出電圧Viを出力する。
このように、この電流センサ2A、およびこの電流センサ2Aを備えた電流検出装置1Aでは、電流センサ2Aのロゴスキーコイル22を電流路11に取り付けた状態では、スパイラル形状のロゴスキーコイル22の内径が電流路11の直径よりも大径である限りにおいて(別の言い方をすれば、ロゴスキーコイル22が電流路11と接触して電流路11から外力を受けない限りにおいて)、ロゴスキーコイル22は自身の弾性復元力によって自動的に初期形状(平面視状態においてその一方の端部P1とその他方の端部P2とが近接して、このときの形状(平面視形状)が環状となる初期形状)に復帰することができる。
したがって、この電流センサ2Aおよびこの電流検出装置1Aによれば、ロゴスキーコイルの一方の端部と他方の端部とに連結部をそれぞれ配設すると共に電流路への取り付け時にはこれらの連結部同士を連結させるという構成の従来の電流センサおよびこの電流センサを備えた電流検出装置とは異なり、ロゴスキーコイル22の各端部P1,P2への連結部の配設を不要にできる分だけ部品点数を削減できると共に、ロゴスキーコイル22の電流路11への取り付け時におけるロゴスキーコイル22の端部P1,P2同士の連結作業を不要にすることができる。
また、この電流センサ2Aおよびこの電流検出装置1Aによれば、上記したように、ロゴスキーコイル22を電流路11に取り付けた後は、ロゴスキーコイル22は支持体21の弾性復元力によって自動的に初期形状(Nターンに巻回されたスパイラル形状)に復帰する構成のため、特にNが2以上(複数)のとき(ロゴスキーコイル22を電流路11に2回巻回して取り付けようとするとき)には、ロゴスキーコイル22を電流路11にN回(2ターン以上)巻回して取り付ける作業を容易にすることができる。
また、この電流センサ2Aおよびこの電流検出装置1Aによれば、支持体21を巻芯22aとしてロゴスキーコイル22を形成したこと(言い換えれば、巻芯22aが支持体21としても機能するようにロゴスキーコイル22を形成したこと)により、支持体21と巻芯22aとを別体とする構成と比較して、ロゴスキーコイル22の構成を簡略化することができる。
さらに、この電流センサ2Aおよびこの電流検出装置1Aによれば、導電性を有する材料を用いて支持体21を構成して、ロゴスキーコイル22における巻き戻し線22cとして機能するようにしたことにより、巻芯22aとして機能する支持体21と、巻き戻し線22cとを別体とする構成と比較して、ロゴスキーコイル22の構成を一層簡略化することができる。
なお、ロゴスキーコイルについては、上記したロゴスキーコイル22の構成(支持体21を巻芯22aとしてロゴスキーコイルを形成する構成)に限定されるものではなく、支持体とは異なる部材を巻芯22aとしてロゴスキーコイルを形成する構成)を採用することもできる。
例えば、図示はしないが、支持体をコイルスプリング(スパイラル)形状のケース体として構成し、このケース体内にロゴスキーコイルを配設する構成を採用することもできる。具体的には、電気的絶縁性および可撓性を有する非磁性材料(例えば、シリコーンゴムなどの合成樹脂材料)で巻芯22aを棒状に形成すると共に、この巻芯22aの中心部分に巻き戻し線22cを上記の例と同様にして配設する。また、この巻芯22aの外周面に巻線22bを上記の例と同様にして形成する。また、巻線22b、巻き戻し線22cおよび各出力電線22d,22eについても、上記の例と同様にして結線する。そして、このようにして一体的に構成されて可撓性を有する巻芯22a、巻線22bおよび巻き戻し線22c(つまり、可撓性を有するロゴスキーコイル22)を、別途用意した支持体としてのケース体(電気的絶縁性および可撓性を有する非磁性材料(例えば、シリコーンゴムなどの合成樹脂材料)で形成されて弾性復元力を有する初期形状がコイルスプリング(スパイラル)形状の中空の合成樹脂体)の内部に、ケース体の一方の端部から他方の端部に亘る状態で配設する。これにより、支持体とは異なる部材を巻芯22aとしてロゴスキーコイルを形成して、電流センサを構成することができる。
また、図4,5に示す電流センサ2Bのロゴスキーコイル42のように、長さ方向と交差(ほぼ直交)する方向に沿った断面形状が均一で、かつ長尺な柱状体がスパイラル状に巻回されて構成された部材(例えば、複数のケーブルを1つにまとめる際(結束する際)に使用されている樹脂製のスパイラル状の部材(いわゆるスパイラルチューブ))を支持体41として使用すると共に、巻芯22aをこの支持体41とは異なる部材で形成するという構成を採用することもできる。以下、この電流センサ2B、および電流センサ2Bを備えた電流検出装置1Bについて説明する。なお、上記した電流検出装置1Aおよび電流センサ2Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
電流検出装置1Bは、図4に示すように、電流センサ2Bおよび検出回路3を備え、電流路11に流れている検出対象電流Iを検出して、検出電圧Viを出力する。
電流センサ2Bは、図4,5に示すように、第1端部P1および第2端部P2を有する支持体41(例えば、可撓性を有する長尺な支持体41)と、この支持体41の第1端部P1(以下、一方の端部P1ともいう)から第2端部P2(以下、他方の端部P2ともいう)に亘って形成されたロゴスキーコイル42とを備え、図示はしないが、電流センサ2Aのロゴスキーコイル22と同様にして、平面視状態(電流路11の長さ方向と平行な方向から見た状態)において一方の端部P1と他方の端部P2とが近接して支持体41の平面視形状(上記の電流路11の長さ方向と平行な方向から見た形状)が環状となる初期形状において、支持体41の内側を貫通する電流路11に流れる検出対象電流Iを検出する。
支持体41は、可撓性を有する長尺な柱状体に形成された部材(断面形状が均一(よって、断面積も均一)な部材)がスパイラル形状(本例では、直径L1がほぼ均一で、かつピッチL2がほぼ一定のN(Nは自然数)ターンのスパイラル形状。本例での初期形状)に巻回されて、弾性復元力を有する部材に構成されている。例えば、支持体41は、電気的絶縁性および可撓性を有する非磁性材料(例えば、シリコーンゴムなどの合成樹脂材料)で構成されている。また、本例では一例として、支持体41は、断面形状が図4,5に示すように、幅方向(図5中の左右方向)に沿った中央部分が肉厚(本例では一例として円形であるが、四角形や楕円形であってもよい)に形成されると共に、この中央部分を挟んで両側が中央部分よりも肉薄(本例では一例として四角形)に形成されて構成されている。また、本例の支持体41は、柱状の部材の幅L3が上記のピッチL2と同等に規定されているため、隣接する巻回部位の側面同士が接触する構成となっているが、図示はしないが、柱状の部材の幅L3よりもピッチL2を大きくする構成(つまり、隣接する巻回部位の側面同士の間に一定の長さの隙間が空く構成)を採用することもできる。
ロゴスキーコイル42は、図4,5に示すように、一例として、巻芯22a、巻線22b、巻き戻し線22c、および1組の出力電線22d,22eを備えて構成されている。また、ロゴスキーコイル42は、同図に示すように、支持体41の幅方向に沿った中央部分(肉厚の部分)に、支持体41の一方の端部P1から他方の端部P2に亘って配設(埋設)されている。これにより、ロゴスキーコイル42も、支持体41と同様にして、全体として、スパイラル形状(直径がほぼ均一で、かつピッチが一定(L2)のNターンのスパイラル形状。本例での初期形状)に形成されている。
なお、ロゴスキーコイル42は、上記したように支持体41に埋設する構成に限定されず、例えば、図6に示すように、断面形状を幅方向に沿って厚みが均一の四角形とした支持体41(例えば、上記したスパイラルチューブで構成された支持体41)の外面に、支持体41の一方の端部P1から他方の端部P2に亘って一体的に配設する構成や、図示はしないが、逆に、この支持体41の内面に一体的に配設する構成を採用することもできる。また、図6に示す電流センサ2Bは、図5に示す電流センサ2Bと比較して、ロゴスキーコイル42自体の構成はほぼ同じで、このロゴスキーコイル42の支持体41への配置構造において主として相違(一方が支持体41に埋設して配設するのに対して、他方が支持体41の表面に一体的に配設するという点で相違)するだけである。このため、図6で示す電流センサ2Bについては、図5に示す電流センサ2Bの構成と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この電流センサ2B、およびこの電流センサ2Bを備えた電流検出装置1Bでも、上記した電流センサ2Aおよび電流検出装置1Aと同様にして、電流センサ2Bのロゴスキーコイル42を電流路11に取り付けた状態では、スパイラル形状のロゴスキーコイル42の内径が電流路11の直径よりも大径である限りにおいて、ロゴスキーコイル42は支持体41の弾性復元力によって自動的に初期形状(平面視状態において一方の端部P1と他方の端部P2とが近接した状態でこのときの形状(平面視形状)が環状となる初期形状)に復帰することができる。
したがって、この電流センサ2Bのように、支持体(上記のケース体や支持体41)とは異なる部材を巻芯22aとして形成したロゴスキーコイルを有する電流センサ、およびこの電流センサを備えた電流検出装置1Bによっても、ロゴスキーコイルの一方の端部と他方の端部とに連結部をそれぞれ配設すると共に電流路への取り付け時にはこれらの連結部同士を連結させるという構成の従来の電流センサおよびこの電流センサを備えた電流検出装置とは異なり、ロゴスキーコイル42の各端部P1,P2への連結部の配設を不要にできる分だけ部品点数を削減できると共に、ロゴスキーコイル42の電流路11への取り付け時におけるロゴスキーコイル42の端部P1,P2同士の連結作業を不要にすることができる。また、特に、図6に示す電流センサ2Bのように、スパイラルチューブを使用して支持体41を構成し、かつその表面(外面または内面)にロゴスキーコイル42を一体的に配設する構成や、図示はしないが上記したように支持体をケース体として形成してその内部にロゴスキーコイルを配設する構成を採用したときには、電流センサ2Bをより簡易に製造することができる。
また、各電流センサ2A,2Bを平面視形状が環状となる上記の初期形状に戻すために、上記の支持体が備える弾性復元力については、支持体が全体的に弾性復元力を備える構成であってもよいし、支持体の一部のみが弾性復元力を備える構成であってもよい。
1A,1B 電流検出装置
2A,2B 電流センサ
3 検出回路
11 電流路
21,41 支持体
22,42 ロゴスキーコイル
22a 巻芯
22c 巻き戻し線
31,32 検出回路
P1 一方の端部(第1端部)
P2 他方の端部(第2端部)
V1 電圧
Vi 検出電圧
2A,2B 電流センサ
3 検出回路
11 電流路
21,41 支持体
22,42 ロゴスキーコイル
22a 巻芯
22c 巻き戻し線
31,32 検出回路
P1 一方の端部(第1端部)
P2 他方の端部(第2端部)
V1 電圧
Vi 検出電圧
Claims (5)
- 第1端部および第2端部を有する支持体と、当該支持体の前記第1端部から前記第2端部に亘って形成されたロゴスキーコイルとを備え、平面視状態において前記第1端部と前記第2端部とが近接して前記支持体の平面視形状が環状となる初期形状において前記ロゴスキーコイルの内側を貫通する電流路に流れる検出対象電流を検出する電流センサであって、
前記支持体は、弾性復元力を有して、外力が加わっているときには当該弾性復元力に抗して前記初期形状から弾性変形して前記電流路を前記ロゴスキーコイルの内側に貫通可能であると共に、外力が加わっていないときには当該弾性復元力によって前記初期形状に復帰する電流センサ。 - 前記ロゴスキーコイルは、前記支持体を巻芯として形成されている請求項1記載の電流センサ。
- 前記支持体は、導電性を有して前記ロゴスキーコイルにおける巻き戻し線として機能する請求項2記載の電流センサ。
- 前記ロゴスキーコイルは、前記支持体とは異なる部材を巻芯として形成されている請求項1記載の電流センサ。
- 請求項1から4のいずれかに記載の電流センサと、
前記ロゴスキーコイルに接続されると共に、当該接続されたロゴスキーコイルの両端間に発生する誘導起電圧に基づいて前記検出対象電流の振幅に応じた振幅の検出電圧を出力する検出回路とを備えている電流検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016191571A JP2018054490A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | 電流センサおよび電流検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016191571A JP2018054490A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | 電流センサおよび電流検出装置 |
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JP (1) | JP2018054490A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020067434A (ja) * | 2018-10-26 | 2020-04-30 | スミダコーポレーション株式会社 | コイル線材、電流センサ部材及び電流センサ |
-
2016
- 2016-09-29 JP JP2016191571A patent/JP2018054490A/ja active Pending
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