JP5640744B2 - 反射型マスク用低膨張ガラス基板およびその加工方法 - Google Patents
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Description
露光光源は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)から更に進んでArFエキシマレーザ(波長193nm)が用いられようとしている。
EUVLに用いられる反射型マスクは、(1)基板、(2)基板上に形成された反射多層膜、(3)反射多層膜上に形成された吸収体層、から基本的に構成される。反射多層膜としては、露光光の波長に対して屈折率の異なる複数の材料がnmオーダーで周期的に積層された構造のものが用いられ、代表的な材料としてMoとSiが知られている。また、吸収体層にはTaやCrが検討されている。
基板はこれら低膨張ガラスや超低膨張ガラス材料を、所定の形状および寸法に切断した後、該基板の反射多層膜を形成する面、すなわち、基板の主面をきわめて平坦度が小さい面となるように、具体的には、平坦度50nm以下の面となるように加工することにより製造される。このため、基板の主面の平坦度を測定する際には、誤差±10nm以内という非常に高い精度で測定する必要があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、主面の平坦度を誤差±10nm以内という非常に高い精度で測定することができる反射型マスク用低膨張ガラス基板、および、該反射型マスク用低膨張ガラス基板を得るためのガラス基板の加工方法、ならびに該反射型マスク用低膨張ガラス基板を具備する反射型マスクを提供することを目的とする。
該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面の予備研磨後の平坦度を測定し、該2つの側面の平坦度に基づいて、該2つの側面の加工条件を部位ごとに設定する、低膨張ガラス基板の加工方法を提供する。
本発明の低膨張ガラス基板の加工方法によれば、該低膨張ガラス基板の側面を平坦度に優れた側面にすることができるため、本発明の反射型マスク用低膨張ガラス基板を得るのに好適である。
図1、2に示すように、低膨張ガラス基板10は、平面形状が正方形または矩形であり、互いに対向する位置関係にある2つの主面1,1´と、低膨張ガラス基板10の外周に沿って形成される4つの側面2,2´,3,3´と、を有する。主面1,1´と、側面2,2´,3,3´と、の間の角部には、面取部4,4´が面取り加工により形成されている。また、低膨張ガラス基板10の表裏面を判別するために、ノッチ部5および面取部6が、面取り加工により通常形成されている。
なお、側面2,2´の平坦度が各々25μm以下とは、側面2,2´のそれぞれについて、側面全体における平坦度が25μm以下、すなわち、各々の側面全体における高低差が25μm以下であることを意味する(側面3,3´の平坦度が各々25μm以下である場合についても同様)。
側面の平坦度は、平坦度測定装置、例えば、Corning Tropel社製FM200を用いて測定することができる。
基板の主面の平坦度の測定は、図3に示すように、例えば、主面1を直立させた状態で基板10の側面(被保持面)2,2´を保持具20で保持して通常実施される。この状態において、基板10はその自重と側面2,2´に印加される保持力によって変形する。但し、この変形量はきわめて小さく、かつ、基板全体についてみた場合、変形が均等であるため、主面の平坦度の測定には影響することがないと考えられていた。
しかしながら、EUVL用の反射型マスクに用いられる低膨張ガラス基板では、主面の平坦度を高精度で測定することが要求されるため、従来は問題とされていなかった側面の表面性状、具体的には、側面の平坦度が、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすことを本願発明者らは見出した。すなわち、被保持面となる側面2,2´のうち少なくとも一方の平坦度が大きいと、主面を直立させた状態で基板の側面を保持した際に、基板に局所的な変形が生じるようになり、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすようになる。
側面(被保持面)2,2´の平坦度が各々25μm以下であれば、主面を直立させた状態で基板の側面を保持した際に、基板に局所的な変形が生じることがなく、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすことがない。したがって、主面の平坦度を誤差±10nm以内という非常に高い精度で測定することができる。
但し、被保持面の選択に制限がなくなる、被保持面の変更が可能になる等の理由から、被保持面として用いない側面についても被保持面と同等の平坦度であることがより好ましい。したがって、被保持面として用いない側面についても、平坦度が各々25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
この場合、被保持面として用いない側面2,2´の平坦度は、各々25μm以下とする必要はなく、通常要求されるレベルの平坦度、例えば、各々500μm以下であればよく、好ましくは、100μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以下である。
但し、上述したように、被保持面として用いない側面についても、平坦度が各々25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
ここで、側面の平行度とは、被保持面をなす側面2,2´の平行からの狂いの大きさであって、一方の側面の代表平面からの他の側面までの距離を少なくとも2方向で測定したときの、指定された長さに対する最大差と、指定された長さとの比で定義されるものである。例えば、側面2´を定盤上におき、側面2´を基準として側面2までの距離を測定するとき、側面2´を代表平面といい、1インチスキャンさせた際に計測される、各点における距離の最大差を「指定された長さに対する最大差」という。側面の平行度は、接触式表面粗さ・輪郭形状測定機、例えば、株式会社東京精密製サーフコム1400Dを用いて測定することができる。
なお、側面3,3´を被保持面とする場合、側面3,3´の平行度が、0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.002mm/インチ以下であることがさらに好ましく、0.001mm/インチ以下であることが特に好ましい。
ここで、主面1(あるいは主面1´)と側面2(あるいは側面2´)との直角度とは、側面2(あるいは側面2´)の代表平面に垂直な直線と主面1(あるいは主面1´)との平行度の値で定義され、接触式表面粗さ・輪郭形状測定機、例えば、株式会社東京精密製サーフコム1400Dを用いて測定することができる。
なお、側面3,3´を被保持面とする場合、主面1(あるいは主面1´)と側面3,3´との直角度が、各々0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.003mm/インチ以下であることがさらに好ましい。
なお、面取部4,4´の平坦度が各々25μm以下とは、面取部4,4´のそれぞれについて、各々の面取部全体における平坦度が25μm以下、すなわち、各々の面取部全体における高低差が25μm以下であることを意味する。
面取部の平坦度は、平坦度測定装置、例えば、Corning Tropel社製FM200を用いて測定することができる。
側面2,2´の側を被保持面とする場合であっても、保持具の形状によっては、側面2,2´が保持具と接することなく、該側面2,2´、と、主面1,1´と、の間の角部に設けられた面取部4,4´が保持具と接する場合もある。この場合、面取部4,4´が被保持面となる。
被保持面となる面取部4,4´のうち少なくとも一つの平坦度が大きいと、主面を直立させた状態で基板を保持した際に、基板に局所的な変形が生じるようになり、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすようになる。
面取部4,4´の平坦度が各々25μm以下であれば、主面を直立させた状態で基板の側面を保持した際に、基板に局所的な変形が生じることがなく、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすことがない。したがって、主面の平坦度を誤差±10nm以内という非常に高い精度で測定することができる。
面取部4,4´の平坦度は、各々10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
但し、被保持面の選択に制限がなくなる、被保持面の変更が可能になる等の理由から、被保持面として用いない面取部についても被保持面と同等の平坦度であることがより好ましい。したがって、被保持面として用いない面取部についても、平坦度が各々25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
この場合、被保持面として用いない側の面取部(側面2,2´と主面1,1´との間の角部に設けられた面取部4,4´)の平坦度は、各々25μm以下とする必要はなく、通常要求されるレベルの平坦度、例えば、各々500μm以下であればよく、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以下である。
但し、上述したように、被保持面として用いない面取部についても平坦度が各々25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
同様の理由から主面1(あるいは主面1´)と側面2,2´と、の直角度が、各々0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.003mm/インチ以下であることがさらに好ましい。
なお、側面3,3´と主面1,1´との間の角部に設けられた面取部を被保持面とする場合、側面3,3´の平行度が、0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.002mm/インチであることがさらに好ましく、0.001mm/インチ以下であることが特に好ましい。また、主面1(あるいは主面1´)と側面3,3´との直角度が、各々0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.003mm/インチ以下であることがさらに好ましい。
側面2,2´の側を被保持面とする場合、保持具の形状によっては、側面2,2´、および、該側面2,2´と主面1,1´との間の角部に設けられた面取部4,4´の両方が保持具と接する場合もある。この場合、側面2,2´、および、面取部4,4´が被保持面となる。
この場合、被保持面となる側面2,2´、および、面取部4,4´のうち、少なくとも一つの平坦度が大きいと、主面を直立させた状態で基板を保持した際に、基板に局所的な変形が生じるようになり、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすようになる。
側面2,2´、および、面取部4,4´の平坦度が各々25μm以下であれば、主面を直立させた状態で基板の側面を保持した際に、基板に局所的な変形が生じることがなく、主面の平坦度の測定に影響をおよぼすことがない。したがって、主面の平坦度を誤差±10nm以内という非常に高い精度で測定することができる。
但し、上述したように、被保持面として用いない側面、あるいは、面取部についても平坦度が各々25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
この場合、被保持面として用いない側の側面2,2´、および、側面2,2´と主面1,1´との間の角部に設けられた面取部4,4´の平坦度は、各々25μm以下とする必要はなく、通常要求されるレベルの平坦度、例えば、各々500μm以下であればよく、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以下である。
但し、上述したように、被保持面として用いない側面、あるいは、面取部についても平坦度が各々25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
同様の理由から主面1(あるいは主面1´)と側面2,2´との直角度が、各々0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.003mm/インチ以下であることがさらに好ましい。
なお、側面3,3´、および、側面3,3´と主面1,1´との間の角部に設けられた面取部を被保持面とする場合、側面3,3´の平行度が、0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.002mm/インチ以下であることがさらに好ましく、0.001mm/インチ以下であることが特に好ましい。また、主面1(あるいは主面1´)と側面3,3´との直角度が、各々0.01mm/インチ以下であることが好ましく、0.005mm/インチ以下であることがより好ましく、0.003mm/インチ以下であることがさらに好ましい。
なお、被保持面となる側の側面の平行度、および/または、基板の主面と被保持面となる側の側面との直角度についても、上記の精密研磨方法を用いて、側面の平行度が0.01mm/インチ以下となるように、および/または、主面と側面との直角度が各々0.01mm/インチ以下となるように精密研磨することができる。
ここで、予備研磨としては、金属または樹脂に砥粒を含浸させたものでの研磨等が挙げられる。
T(x,y)=S(x,y)/Y
したがって、側面の平坦度の測定から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、上記式にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
加工方法としては、上記した精密研磨方法を用いることが好ましい。
また、被保持面となる側の側面の平行度、および/または、基板の主面と被保持面となる側の側面との直角度を測定することで、精密研磨後の被保持面となる側の側面の平行度、および/または基板の主面と被保持面となる側の側面との直角度の傾向を知ることができる。
反射型マスク用低膨張ガラス基板を新たに製造する際、これらの傾向に基づいて、側面および/または面取部の加工条件を部位ごとに設定することにより、被保持面となる側面および/または面取部を平坦度が各々25μm以下となるように加工することもできる。同様に、これらの傾向に基づいて、側面の加工条件を部位ごとに設定することにより、被保持面となる側の側面を平行度が0.01mm/インチ以下となるように、および/または基板の主面と被保持面となる側の側面との直角度が各々0.01mm/インチ以下となるように加工することもできる。
なお、先に製造した反射型マスク用低膨張ガラス基板の測定から得られた傾向に基づいて、側面および/または面取部の加工条件を部位ごとに設定して側面および/または面取部を加工する手順は、予備研磨後のガラス基板の側面の平坦度に基づいて、側面の加工条件を部位ごとに設定する手順と同様の考え方で行うことができる。
2,2´:側面
3,3´:側面
4,4´:面取部
5 :ノッチ部
6 :面取部
10 :低膨張ガラス基板
20 :保持具
Claims (10)
- 半導体製造工程のリソグラフィ工程に使用される反射型マスクの基材である低膨張ガラス基板であって、該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面の平坦度が各々25μm以下であり、
前記2つの側面の平行度が0.01mm/インチ以下である、反射型マスク用低膨張ガラス基板。 - 半導体製造工程のリソグラフィ工程に使用される反射型マスクの基材である低膨張ガラス基板であって、該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面と、該低膨張ガラス基板の主面との間の角部に設けられた面取部の平坦度が各々25μm以下であり、
前記2つの側面の平行度が0.01mm/インチ以下である、反射型マスク用低膨張ガラス基板。 - 半導体製造工程のリソグラフィ工程に使用される反射型マスクの基材である低膨張ガラス基板であって、該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面の平坦度、および、該2つの側面と該低膨張ガラス基板の主面との間の角部に設けられた面取部の平坦度が各々25μm以下であり、
前記2つの側面の平行度が0.01mm/インチ以下である、反射型マスク用低膨張ガラス基板。 - 半導体製造工程のリソグラフィ工程に使用される反射型マスクの基材である低膨張ガラス基板であって、該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面の平坦度が各々25μm以下であり、
前記低膨張ガラス基板の主面と前記2つの側面との直角度が各々0.01mm/インチ以下である、反射型マスク用低膨張ガラス基板。 - 半導体製造工程のリソグラフィ工程に使用される反射型マスクの基材である低膨張ガラス基板であって、該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面と、該低膨張ガラス基板の主面との間の角部に設けられた面取部の平坦度が各々25μm以下であり、
前記低膨張ガラス基板の主面と前記2つの側面との直角度が各々0.01mm/インチ以下である、反射型マスク用低膨張ガラス基板。 - 半導体製造工程のリソグラフィ工程に使用される反射型マスクの基材である低膨張ガラス基板であって、該低膨張ガラス基板の外周に沿って形成される側面のうち、互いに対向する位置関係にある2つの側面の平坦度、および、該2つの側面と該低膨張ガラス基板の主面との間の角部に設けられた面取部の平坦度が各々25μm以下であり、
前記低膨張ガラス基板の主面と前記2つの側面との直角度が各々0.01mm/インチ以下である、反射型マスク用低膨張ガラス基板。 - 前記低膨張ガラス基板の主面と前記2つの側面との直角度が各々0.01mm/インチ以下である請求項1〜3のいずれかに記載の反射型マスク用低膨張ガラス基板。
- 低膨張ガラス基板が、20℃もしくは60℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス基板である請求項1〜7のいずれかに記載の反射型マスク用低膨張ガラス基板。
- 前記低膨張ガラス基板の主面の平坦度が50nm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の反射型マスク用低膨張ガラス基板。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の反射型マスク用低膨張ガラス基板を具備する反射型マスク。
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