JP7120338B2 - ガラス基板 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス基板に関する。
フォトリソグラフィ法の代替技術として、インプリント法が注目されている(例えば特許文献1、2参照)。インプリント法は、モールドと基板との間に転写材を挟み、モールドの凹凸パターンを転写材に転写する技術である。フォトリソグラフィ法では露光に使用する光の波長により分解能が制限されるが、インプリント法ではモールドに刻まれたパターン通りにパターンを形成することができ、非常に微細なパターン形成が可能となる。またフォトリソグラフィ法と比較し高価な光学系装置が不要になり、低コストの装置で超高分解能のリソグラフィを行うことが期待できる。インプリント法は、半導体素子だけでなく、反射防止シート、バイオチップ、磁気記録媒体など様々な製品の製造に適用できる。
インプリント法は特に半導体集積回路用への展開が期待される。近年、半導体集積回路は微細化、集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン転写技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかし、パターンの微細化が進むにつれて装置を大型化せざるを得ないほか、高精度に制御する必要になるなど、装置価格が非常に高くなる課題があった。
これに対し、インプリント法では、微細パターンを低コストで行うことができる。例えば、インプリント法では、10ナノメートル程度のパターンの転写が可能であるとされている。インプリント法は大容量記録媒体の記録ビット形成、半導体集積回路パターン形成等への応用が検討され、量産化に向けて検討が進められている。
インプリント法に使用されるモールドは、一般的に、ガラス基板を用いて製造される。ガラス基板を用いてモールドを製造する場合、ガラス基板に非貫通穴を加工する前後において、表面の平坦度などが大きく変化することがある。表面の平坦度などが大きく変化したモールドをそのまま使用すると、転写時のパターンずれが生じ、生産性が低下するおそれがある。
そのため、非貫通穴を有するインプリントモールド用のガラス基板において、非貫通穴加工を施す前後の形状変化を抑える方法として、複屈折量の最大値が3nm以下のガラス基板を用いることが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
複屈折量を低減させる方法としては、ガラス基板面内の熱膨張率(CTE)を均一化する方法や、精密除冷処理によってガラス基板の残留応力を低減する方法が一般的である。例えば、精密除冷処理では、ガラス基板を、ガラス中の残留応力を開放するのに十分な時間で高温に保持し、その後、新たな残留応力を発生させないように冷却速度を低くして冷却する。これにより、複屈折量の小さいガラス基板が得られるが、冷却速度が低いため、生産性が著しく低下したり、冷却時の環境からの不純物によってガラス基板が汚染され、ガラス基板表面に結晶が析出したりするという問題がある。
特表2009-536591号公報 特開2010-080714号公報 特開2012-32786号公報
ガラス基板で作製されるモールドは、ガラス基板の一方の主表面(第1主表面)の中央部に凹凸パターンが形成され、当該主表面の反対側の主表面(第2主表面)の中央部に非貫通穴が形成されて製造される。
モールドは、例えば、第1主表面を下に向け、第2主表面を上に向けた状態で、上方のチャックに保持される。このとき、第2主表面がチャックの保持面に倣って変形し、その結果、第1主表面の凹凸パターンが歪む。この凹凸パターンの歪は、チャック後ガラス基板の外周面を挟圧することで矯正している。したがって、モールドを成形する際に、加工前のガラス基板の平坦性が重要視されていた。
しかし、平坦性のよいガラス基板を用いて、凹凸パターンと非貫通穴を形成しても、第2主表面の平坦性が悪化し、不均一なうねり形状が発生するようになっていた。不均一なうねり形状が発生したモールドは、第2主表面をチャックしたとき、凹凸パターンの位置ずれが生じる。この不均一なうねり形状に起因する凹凸パターンの矯正は、モールドごとに調節が必要になり煩雑になる。一方で、矯正不能な位置ずれが生じる可能性も考えられるため、ガラス基板のみならず、凹凸パターンと非貫通穴を形成した後のモールドの平坦性も重要視されるようになっている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、加工変形の小さいガラス基板の提供を主な目的とする。
実施形態のガラス基板は、主表面を備えるガラス基板であって、前記主表面の測定領域内を所定の間隔で格子状に区切った交点を測定点として、前記主表面に対し垂直に波長633nmの光を照射することで測定した、前記測定点における複屈折の進相軸と、前記測定点と前記主表面の中心点とを結ぶ直線とのなす角の平均値が20°以上80°以下であり、前記測定点における厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値が15nm/cm以下であり、前記ガラス基板の中心線を対象軸とする、回転対称性の残留応力を有し、前記中心線からの距離が近いほど熱膨張率が大きくなる熱膨張率分布を有する。

本発明によれば、加工変形の小さいガラス基板を提供できる。
実施形態のガラス基板を用いて作製されるモールドの一例を表わす平面図である。 図1に示すモールドのII-II線に沿った断面図である。 ガラス基板の複屈折の測定部位に作用する応力と、進相軸との関係の一例を表わす図である。 ガラス基板の複屈折の測定点と、進相軸との関係の一例を表わす図である。
ガラス基板の熱膨張率分布の一例を表わす図である。 ガラス基板のTiO濃度分布の一例を表わす図である。 ガラス基板のOH基濃度分布の一例を表わす図である。 ガラス基板の非貫通穴形成前の残留応力を模式的に表わす断面図である。 図5のガラス基板の平面図である。 図5のガラス基板に非貫通穴を形成した状態を模式的に表わす断面図である。
実施形態のガラス基板を用いたモールドの製造方法の一例を表わすフローチャートである。 図11の非貫通穴形成工程のフローチャートである。 図11の非貫通穴形成工程の完了後のガラス基板の断面図である。 図11の突出面形成工程の完了後のガラス基板の断面図である。 図2に示すモールドの変形状態の断面図である。 図3に示すモールドの変形解除状態の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して重複する説明を省略する。本明細書において、インプリントモールドを単にモールドとも呼ぶ。また、本明細書において、平面視とは、主表面に対し垂直な方向から見たことを意味する。
(ガラス基板)
本実施形態のガラス基板は、一方の主表面に非貫通穴が形成されて、例えば、インプリントモールド等の半導体製造用途に使用されるガラス基板である。本実施形態のガラス基板は、ガラス基板の主表面の測定領域において、前記主表面に対し垂直に波長633nmの光を照射することで測定した、測定点における複屈折の進相軸と、測定点と前記主表面の中心点とを結ぶ直線とのなす角の平均値(以下「進相軸の平均角」という。)が20°以上80°以下である。また、前記測定点における厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値が15nm/cm以下である。
図1は、本実施形態のガラス基板を用いて作製される半導体製造用のモールド10の平面図である。図2は、図1のII-II線に沿ったモールド10の断面図である。モールド10は、一方の主表面(第1主表面)の中央部に突出面13を有している。突出面13には、凹凸パターン11が形成されている。また、モールド10は、第1主表面の反対側の主表面(第2主表面)12の中央部に非貫通穴14を有している。図1に示すように、平面視において、突出面13は、非貫通穴14の開口縁14aの内側に配される。モールド10は、本実施形態のガラス基板に上記のように非貫通穴及び凹凸パターンが形成されて作製される。
図2に示すように、モールド10は、第1主表面と、第2主表面12とを有する。外力が作用していない自然状態で、第1主表面と第2主表面12とは略平行とされる。
第1主表面の中央部には、周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出するメサ(mesa)と呼ばれる突出面13が形成されている。平面視において、突出面13の形状は、例えば図1に示すように矩形である。突出面13には、転写材に転写する凹凸パターン11が形成されている。平面視において、突出面13の形状は、円形、楕円形、五角形以上の多角形などでもよい。
一方、第2主表面12の中央部には、非貫通穴14が形成されている。非貫通穴14の形状は、例えば図1及び図2に示すように円柱である。また、非貫通穴14の形状は、円錐台、角柱、角錐台などでもよい。非貫通穴14の形成方法は後に詳述する。
図1に示すように、平面視において、非貫通穴14の開口縁14aの内側に、突出面13が配される。また、平面視において、突出面13の中心及び非貫通穴14の中心は、モールド10の中心と一致している。
測定点における進相軸の方向は、測定点における応力方向と相関する。また、前記測定点において、ガラス基板の厚さ方向に測定される1cm当たりのリタデーションは、ガラス基板内の応力の異方性に相関する。これは、応力の残留したガラス基板は、内部に残留する応力が異方性を有するために光の偏光方向によってガラスの屈折率が異なり、複屈折を示すためである。そのため、ガラス基板の主表面内に設けられた複数の測定点で、所定の波長を用いて以下の方法で複屈折を測定し、測定結果に基づき、進相軸の平均角及び、上記測定点において測定されたリタデーションのうち、厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値を求めることで、これらの値からガラス基板の所望の応力分布を確認することができる。
本実施形態のガラス基板は、上記のように、複屈折の測定から得られる進相軸の平均角が20°以上80°以下であり、厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値が15nm/cm以下である。本実施形態のガラス基板は、上記進相軸の平均角及び厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値となる応力分布を有することで、非貫通穴の形成による加工変形が抑制される。そのため、本実施形態のガラス基板によれば、主表面の平坦度を低下させずに、モールド10を作製することができる。本実施形態のガラス基板において、非貫通穴の形成による加工変形を抑制し、インプリント特性を向上させる点で、進相軸の平均角は好ましくは30°以上70°以下である。
(進相軸の平均角及びリタデーションの測定方法)
進相軸とは、ガラス基板中の光の進む速さが最も速い軸であり、屈折率が最も小さい軸である。一方、遅相軸は、ガラス基板中の光の進む速さが最も遅い軸であり、屈折率が最も大きい軸である。通常、進相軸と遅相軸とは直交する。リタデーションは、進相軸と遅相軸との光路差(nm)である。リタデーション(nm)をガラス基板の板厚(cm)で割ることで、厚さ1cm当たりのリタデーションを算出できる。
図3は、ガラス基板20の複屈折の測定部位20Sに作用する応力と、進相軸との関係の一例を示す図である。図3に示すように、ガラス基板20の複屈折の測定部位20Sに対し、縦方向には引張応力が作用し、横方向には圧縮応力が作用している場合、進相軸FAは、圧縮応力に対し平行となり、引張応力に対し垂直となる。応力の異方性はリタデーションによって表され、応力の異方性が大きいほどリタデーションが大きい。
進相軸及びリタデーションは、市販の複屈折測定装置によって測定することができる。複屈折測定装置は、ガラス基板の主表面に対し垂直に光を照射し、直交する2つの直線偏波の位相差を検出することにより、進相軸とリタデーションとを測定する。測定に用いる光の波長は、例えば633nmである。光源としては例えばHe-Neレーザが、測定法としては例えば光ヘテロダイン干渉法が用いられる。
図4は、第1主表面と、第2主表面12を有するガラス基板20の複屈折の測定点と、進相軸との関係の一例を示す図である。図4では、第2主表面12に対し垂直に光を照射して、ガラス基板20の主平面内に設けられた複数の測定点において複屈折を測定する。ガラス基板20上の、複屈折の測定点SPにおける進相軸FAと、測定点SPと第2主表面12の中心点CPとを結ぶ直線SLとのなす角の鋭角部を「θ」とする。角θは、進相軸FAが直線SLに対し平行な場合を0°、進相軸FAが直線SLに対し垂直な場合を90°とする。なす角θは、測定点SPを中心とする直線SLに対する進相軸FAの回転の大きさを表し、回転の方向を表さない。よって、なす角θの最小値は0°、角θの最大値は90°である。上記角θの測定値は、測定に用いる光の波長には略依存しない。進相軸の平均角は、ガラス基板上の所定の測定領域SA内の複数の測定点SPにおける進相軸のなす角θの相加平均として求められる。
測定領域SAは、例えば、第2主表面12の外周縁12aから5mm以上内側、好ましくは10mm以上内側の領域である。第2主表面12の外周縁12a近傍は、加工歪の影響を受けやすいので、測定領域SAから除く。また、測定領域SAは、非貫通穴の形成される領域を含むように設定されることが好ましい。ガラス基板の大きさは、通常、一辺が150mm~154mm程度、例えば、152mm×152mmである。
測定点SPは、上記測定領域SAをX軸方向及びY軸方向を1mm間隔~20mm間隔に区切って得られる点を座標に置き換える。ガラス基板20の大きさが、152mm×152mm程度で、第2主表面12の外周縁12aから10mm以上内側を測定領域SAとして設定する場合、1mm間隔の場合には、X軸方向に最大で143点、Y軸方向に最大で143点の座標点が形成され、10mm間隔の場合には、X軸方向に最大で14点、Y軸方向で最大で14点の座標点が形成される。20mm間隔の場合には、X軸方向に最大で7点、Y軸方向で最大で7点の座標点が形成される。測定点SPは、好ましくは3mm間隔~10mm間隔である。測定点SPは3mmより狭い間隔であると、測定点が多くなり、モールドに加工できるガラス基板の生産性が悪くなるおそれがある。測定点SPは10mmより広い間隔であると、測定点が少なくなり、測定結果の精度が悪くなるおそれがある。
上記測定点SPの間隔は、中心点CPを基準として設定しても、ガラス基板20の外縁を基準と設定してもよいが、中心点CPを挟んで、測定点がX軸方向及びY軸方向でともに同数となるようにする。すなわち、外周縁12aから10mm以上内側を測定領域SAとした上記のガラス基板の測定では、測定点SPは、中心点CPを原点(0、0)として、1mm間隔では(X座標、Y座標)が(-142mm、-142mm)を始点とし、1mm間隔でX方向に143点(測定幅142mm)、Y方向に143点(測定幅142mm)の合計20449点となる。10mm間隔では、(X座標、Y座標)が(-65mm、-65mm)を始点とし、10mm間隔でX方向に14点(測定幅130mm)、Y方向に14点(測定幅130mm)の合計256点となる。20mm間隔では、(X座標、Y座標)が(-60mm、-60mm)を始点とし、20mm間隔でX方向に7点(測定幅120mm)、Y方向に7点(測定幅120mm)測定の合計49点となる。
本実施形態のガラス基板は、加工変形を抑制する点で、測定領域SAにおいて厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値が、例えば1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上である。また、測定領域SAにおいて厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値は15nm以下、好ましくは11nm以下である。
(ガラス組成)
本実施形態のガラス基板に用いられるガラスとしては、SiOを90質量%以上含む石英ガラスが好ましい。石英ガラスに占めるSiO含有量の上限値は、100質量%である。石英ガラスは、一般的なソーダライムガラスに比べて、紫外線の透過率が高い。また、石英ガラスは、一般的なソーダライムガラスに比べて、熱膨張率が小さく、温度変化による凹凸パターンの寸法変化が小さい。
石英ガラスは、SiO以外にも、TiOを含むことが好ましい。石英ガラスにおけるTiOの含有量が多いほど、ガラス基板表面のOH基の密度が大きい。これにより、ガラス基板表面と、転写材との親和性が高くなり、モールド10と基板との間に巻き込まれた気泡の消失時間が短縮できる。
石英ガラスは、SiOを90~95質量%、TiOを5~10質量%含んでよい。TiOの含有量が5~10質量%であると、室温付近での熱膨張率が略ゼロであり、室温付近での寸法変化がほとんど生じない。
石英ガラスは、SiO及びTiO以外の微量成分を含んでもよいが、微量成分を含まないことが好ましい。上記微量成分は、ガラス形成酸化物である網目形成酸化物と修飾酸化物のことを指す。網目形成酸化物としては例えば、BやGeO、P等が挙げられる。修飾酸化物としては、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物などが挙げられる。
(進相軸の平均角及びリタデーションの制御方法)
上記実施形態の進相軸の平均角及び厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値を有するガラス基板を得る方法としては、ガラス基板の熱膨張率分布を調節する方法が挙げられる。ガラス基板の応力は、ガラス基板の熱膨張率分布と相関する。そのため、ガラス基板の熱膨張率分布を調整することで、所望の進相軸の平均角及びリタデーションとなる応力分布を有するガラス基板を得ることができる。
図5~図10を用いて、ガラス基板の応力分布と熱膨張率分布の相関について説明する。図8は、ガラス基板の熱膨張率分布の一例を表わすグラフである。図5において、縦軸は熱膨張率、横軸はガラス基板の中心線CLからの距離を表わす。図5(a)では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、熱膨張率が大きくなっている。図5(b)では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、熱膨張率が小さくなっている。
ガラス基板の熱膨張率分布は、ガラスの組成によって調節することができる。例えば、TiOを含有する石英ガラスからなるガラス基板を使用する場合、ガラス基板中のTiO濃度分布を調整することで所望の熱膨張率分布のガラス基板を得ることができる。
は、ガラス基板のTiO濃度分布の一例を表わすグラフである。図6において、縦軸はTiO濃度、横軸は中心線CLからの距離を表す。図6(a)では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、TiO濃度が低く、その分、SiO濃度が高い。図6(a)に示すTiO濃度分布の場合、図5(a)に示す熱膨張率分布が得られる。一方、図6(b)では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、TiO濃度が高く、その分、SiO濃度が低いので、図5(b)に示す熱膨張率分布が得られる。TiO濃度は、非貫通穴の形成の前後で略変化しない。
TiOを含有する石英ガラスは、例えばVAD(Vapor‐phase Axial Depositon)法によって作製される。VAD法は、回転する石英棒の下方から珪素塩化物やチタン塩化物を酸素ガスや水素ガスと一緒に吹き付け、ガスバーナの火炎によって加水分解反応を生じさせることで、石英棒の下方に多孔質プリフォームを形成する方法である。多孔質プリフォームは、石英棒と共に引き上げられ、焼成炉で透明ガラス化された後、金型で成形される。VAD法では、珪素塩化物の濃度やチタン塩化物の濃度を制御することにより、TiO濃度分布を制御できる。なお、TiOを含有する石英ガラスの製法は、VAD法に限定されず、例えば直接法、プラズマ法などでもよい。
また、例えば、OH基を含有するガラスからなるガラス基板を使用する場合、ガラス基板中のOH基濃度分布を調整することで所望の熱膨張率分布のガラス基板を得ることができる。
図7は、ガラス基板のOH基濃度分布の一例を表わすグラフである。図7において、縦軸はOH基濃度、横軸は中心線CLからの距離を表す。図7(a)では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、OH基濃度が大きい。本発明者の知見によれば、図7(a)に示すOH基濃度分布の場合、図5(a)に示す熱膨張率分布が得られる。一方、図7(b)では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、OH基濃度が小さい。図7(b)に示すOH基濃度分布の場合、図5(b)に示す熱膨張率分布が得られる。OH基濃度は、非貫通穴の形成の前後で略変化しない。
OH基を含有する石英ガラスは、例えばVAD法によって作製される。VAD法では、多孔質プリフォームを透明ガラス化させる際に、その雰囲気や温度、時間などを制御することで、OH基濃度分布を制御できる。OH基は、石英ガラスからの脱水によって減少する。
本実施形態のガラス基板として、OH基を含有する石英ガラスを用いる場合、加工変形量を小さくする点で、ガラス基板内部におけるOH基濃度が、1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましい。また、ガラス基板内部においてOH基濃度は分布が小さく均一である方が、加工変形量を小さくできるため好ましい。OH基濃度は、例えばフーリエ変換赤外分光計によって測定できる。
図8(a)及び図8(b)は、残留応力を有するガラス基板20A、20Bの非貫通穴形成前の状態を示す断面図である。図8(a)及び図8(b)において、矢印はガラス基板に残留する応力の向きを示す。図9(a)及び図9(b)は、図8(a)及び図8(b)のガラス基板を第1主表面側又は第2主表面側から見たときの状態を示す平面図である。図10(a)及び図10(b)は、図8(a)及び図8(b)のガラス基板に非貫通穴を形成した後の自然状態を示す断面図である。図10(a)及び図10(b)ではガラス基板の撓みを誇張して示す。
図8(a)及び図8(b)に示すように、ガラス基板20A、20Bは、いずれも中心線CLに直交する方向に、中心線CLを中心に対称性を有する残留応力を有する。図8(a)に示すガラス基板20Aには、中心線CLに直交する方向に、中心線CLを対称軸とする線対称性の引張応力が残存している。図8(b)に示すガラス基板20Bには、中心線CLに直交する方向に、中心線CLを対称軸とする線対称性の圧縮応力が残存している。中心線CLは、ガラス基板20の板厚方向に対し平行とされる。図8(a)及び図8(b)に示すガラス基板20A、ガラス基板20Bは、平坦な第1主表面11と、同じく平坦な第2主表面12とを有する。また、図9(a)及び図9(b)に示すように、ガラス基板20A、ガラス基板20Bは、中心線CLを対象軸とする、回転対称性の残留応力を有するガラス基板である。
ガラス基板はガラスの歪点よりも高温で成形されるため、成形時には応力が生じていない。成形後、室温までの冷却過程で、応力分布が生じる。図5(a)に示す熱膨張率分布を有するガラス基板では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、熱膨張率が大きく、冷却収縮が大きくなり、例えば、図8(a)及び図9(a)に示す応力分布を有するガラス基板が得られる。一方、図5(b)に示す熱膨張率分布を有するガラス基板では、ガラス基板の中心線CLからの距離が近い位置ほど、熱膨張率が小さく、冷却収縮が小さくなり、例えば、図8(b)及び図9(b)に示す応力分布を有するガラス基板が得られる。
図10(a)に示すように、内部に引張応力を有している第2主表面12の中央部に非貫通穴14を形成すると、外力のない自然状態で、第2主表面12が第1主表面11とは反対側に凸(図10(a)において上に凸)に変形する。一方、図10(b)に示すように、内部に圧縮応力を有している第2主表面12の中央部に非貫通穴14を形成すると、外力のない自然状態で、第1主表面11が第2主表面12とは反対側に凸(図10(b)において下に凸)に変形する。これは、第2主表面12の外周部の外方への変位を制限していた第2主表面12の中央部のガラスが、非貫通穴14の形成によって消滅するためである。残留応力の大きいガラス基板ほど、非貫通穴14の形成時の変形量(加工変形量)は、大きくなる傾向である。
上記非貫通穴14の形成時の変形量(加工変形量)は例えば、非貫通穴14を形成した領域の略中央部の例えば、30mm×30mmの測定エリアにおいて、非貫通穴14形成前のガラス基板の平坦度と非貫通穴14形成後のガラス基板の平坦度の差で評価することができる。上記測定エリアにおける非貫通穴14形成前後におけるガラス基板の平坦度の差が大きいほど加工変形が大きい。上記加工変形量として、上記測定エリアにおける非貫通穴14形成後のガラス基板の平坦度と非貫通穴14形成前の平坦度の差の絶対値が好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下であると、非貫通穴を有するガラス基板をインプリントモールドの用途に使用した際に、良好なインプリント特性が得易い。

上記実施形態のガラス基板20に非貫通穴を形成して得られる非貫通穴を有するガラス基板20は、非貫通穴14の形成された第2主表面12の外周縁12aの近傍を除き、かつ、非貫通穴14の開口縁14aの近傍を除く領域を測定領域SBとして、測定領域SBにおいて、進相軸の平均角が、20°~80°である。また、測定領域SBにおける上記厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上であり、また、15nm/cm以下であることが好ましい。
上記実施形態のガラス基板に、例えば、直径64mm、深さ5mm程度の非貫通穴を形成すると、測定領域SBにおける進相軸の平均角及び厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値はおおよそ上記の範囲となる。なお、非貫通穴24およびその近傍は、加工歪の影響を受けやすいので、これらを除いた範囲を測定領域SBとしている。測定領域SBは、例えば、非貫通穴14の形成された第2主表面12の外周縁12aから好ましくは5mm以上内側、より好ましくは10mm以上内側、かつ、非貫通穴14の開口縁14aから好ましくは5mm以上外側の領域である。
(モールドの製造方法)
図11は、上記実施形態のガラス基板を用いたモールドの製造方法の一例を表わすフローチャートである。図12は、図11の非貫通穴形成工程のフローチャートである。図13は、図11の非貫通穴形成工程の完了後のガラス基板20の断面図である。図14は、図11の突出面形成工程の完了後のガラス基板20の断面図である。図14において、二点鎖線は突出面形成工程の開始前のガラス基板20の状態を示す。
本実施形態のモールドの製造方法は、図11に示すように、非貫通穴形成工程S11と、突出面形成工程S12と、パターン形成工程S13を有する。なお、図11では、非貫通穴形成工程S11の後に突出面形成工程S12が行われるが、その順序は逆でもよく、突出面形成工程S12の後に非貫通穴形成工程S11が行われてもよい。また、非貫通穴形成工程S11の途中で、突出面形成工程S12が行われてもよい。
非貫通穴形成工程S11は、図13に示すようにガラス基板20の第2主表面12の中央部に非貫通穴14を形成する。非貫通穴形成工程S11は、図12に示すように、研削工程S111と、内側面研磨工程S112と、内底面研磨工程S113とを有する。なお、図12では、内側面研磨工程S112の後に内底面研磨工程S113が行われるが、その順序は逆でもよく、内底面研磨工程S113の後に内側面研磨工程S112が行われてもよい。また、内側面研磨工程S112と内底面研磨工程S113とが同時に行われてもよい。
研削工程S111は、第2主表面12を研削する。内側面研磨工程S112は、研削工程S111によって得られる非貫通穴14の内側面を研磨する。内底面研磨工程S113は、研削工程S111によって得られる非貫通穴14の内底面を研磨する。これにより、非貫通穴14を有するガラス基板20が得られる。
上記製造方法により得られる非貫通穴14を有するガラス基板20は、その第1主表面11に突出面13が形成され(突出面形成工程S12)、さらに、突出面13にパターンが形成されて(パターン形成工程S13)、図2に示すモールド10が作成される。
図11に示す突出面形成工程S12は、図14に示すようにガラス基板20の第1主表面11の外周部を掘り下げることで、第1主表面11の中央部に周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出したメサと呼ばれる突出面13を形成する。第1主表面11の外周部を掘り下げる方法としては、エッチングなどが用いられる。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでもよい。
突出面形成工程S12の後、第1主表面11は、突出面13と、突出面13との間に段差を有する周辺面とを含む。周辺面は、突出面13に対し平行とされる。
図11に示すパターン形成工程S13は、突出面13に凹凸パターンを形成する。突出面13に凹凸パターンを形成する方法としては、例えばエッチング法などが用いられる。エッチングのマスクパターンは、インプリント法、フォトリソグラフィ法のいずれによって作製されてもよい。
なお、本実施形態では、第1主表面11に段差を形成し突出面13を形成するが、第1主表面11に段差を形成しなくてもよい。段差のない第1主表面11の中央部に凹凸パターンが形成されてもよい。
モールド10においては、上記実施形態のガラス基板を用いるため、非貫通穴14の形成による加工変形が抑制される。そのため、主表面の平坦度の高いガラス基板20を用いることで、主表面の平坦度の優れたモールド10を作製することができ、インプリント特性に優れたモールド10が得られる。
(インプリント法)
次に、図15及び図16を参照して、上記構成のモールド10を用いたインプリント法について説明する。
モールド10の突出面13を基板15に向けて凸に曲げ変形させた状態で、モールド10と基板15とを接近させ、基板15に予め塗布された液状の転写材17に対しモールド10の突出面13を接触させる。
モールド10の非貫通穴14が形成された部分は、その周辺部分に比べ薄いため、外力によって曲げ変形し易い。よって、図15に示すように、非貫通穴14の中心線を中心に、突出面13を基板15に向けて凸に曲げ変形させることが可能である。この曲げ変形は、例えば、モールド10の外周面や非貫通穴14の内底面を押圧することにより実施される。非貫通穴14の内底面は、非貫通穴14内に形成されるガス室の気圧で押圧されてよい。
その後、転写材17の固化前に、突出面13を図15に示す変形状態から図16に示す変形解除状態に戻す。これにより、突出面13は、その中央部から外周部に向けて徐々に転写材17と接触する。モールド10と基板15との間の気体が逃げやすく、気体の閉じ込めが抑制できる。
転写材17の固化後、転写材17とモールド10とが分離される。転写材17を固化してなる凹凸層と基板15とで構成される製品が得られる。製品の凹凸パターンは、モールド10の凹凸パターンが略反転したものである。
上記インプリント法では、上記実施形態のガラス基板を用いて作製され、非貫通穴14の形成による加工変形が抑制されたモールドが使用される。そのため、上記インプリント法は、製品の凹凸パターンにおける凸部の幅の均一性が良好であり、インプリント特性に優れる。
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。例1~13は実施例、例14~16は比較例である。
(ガラス基板の製造方法)
TiOがドープされた石英ガラス基板において、ガラス基板面内のTiO濃度分布が異なるガラス基板16枚を準備した。ガラス基板の第1主表面とその反対側の主表面(第2主表面)とを両面研磨機を用い、スエードタイプの研磨布、酸化セリウム研磨材を使用して順に研磨したのち、研磨材をコロイダルシリカに変更してさらに研磨し、大きさ152mm×152mm×厚み6.35mmの平板状のインプリント用ガラス基板を得た。
得られたガラス基板を精密洗浄し、その後、次のように、平坦度測定、欠点検査、複屈折測定を行った。平坦度は、斜入射方式による平坦度測定機(コーニングトロペル社製、フラットマスター200)を用いて、パターンが形成されるエリアに該当する第1主表面の略中央部の、30mm×30mmエリアの平坦度(TIR=Total Indicator Reading)を測定した。
欠点検査(表面欠陥検査)においては、レーザーテック社製の欠点検査装置Magics6640Sを用い、欠点サイズ100nm以上に相当する欠点がないことを確認した。
複屈折測定においては、ガラス基板の外周縁から10mm内側の全領域を測定評価エリアとし、波長633nmのHe-Neレーザを光源とする光ヘテロダイン法で10mmの評価間隔で複屈折率を測定した。装置は、ユニオプト社製の複屈折測定装置(商品名ABR10A)を用いた。これらの複屈折率の測定結果に基づき、進相軸のなす角θの平均化した値(進相軸の平均角:θ-Ave.)と厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値(Remax)を算出した。進相軸の平均角の値とRemax値を表1に示す。
(進相軸の平均角の算出方法)
上記進相軸のなす角θは、進相軸FAが直線SLに対し平行な場合を0°、進相軸FAが直線SLに対し垂直な場合を90°とする。なす角θは、測定点SPを中心とする直線SLに対する進相軸FAの回転の大きさを表し、回転の方向を表さない。よって、なす角θの最小値は0°、なす角θの最大値は90°である。なお、上記なす角θの測定値は、測定に用いる光の波長には略依存しない。
(非貫通穴の形成)
ガラス平板基板の第2主表面の中央部に円柱状の非貫通穴を、研削加工により形成した。非貫通穴の大きさは直径64mm、深さ5mmとした。非貫通穴を形成した後、フェルトバフ、酸化セリウム研磨材を使用して順に研磨し、非貫通穴を有するガラス基板を得た。
続いて上記で得られた非貫通穴を有するガラス基板に対して精密洗浄を行い、20万ルクスの高輝度光源下で非貫通穴部の欠点(表面欠陥)の有無を目視で評価した。その結果、目視で確認できる欠点は存在しなかった。そのため、研削加工による残留応力は除去できたと判断した。
続いて、非貫通穴の形成されたガラス基板の平坦度を測定した。平坦度は、上記同様の斜入射方式による平坦度測定機(コーニングトロペル社製、製品名:フラットマスター200)を用いて、第1主表面の略中央部、30mm×30mmの測定エリアの平坦度(TIR)を測定した。
非貫通穴加工後のTIRから非貫通穴加工前のTIRを引いた値の絶対値を加工変形量として算出した。加工変形量の算出結果を表1に示した。
(突出面の形成)
前記で得られた非貫通穴を有するガラス基板の第1主表面に、主表面側(ガラス面側)からCrO層、CrN層が積層する構造を有するCr系薄膜を100nmの厚みで形成した。続いて、Cr系薄膜の上にレジストをスピンコートにより塗布し、第1主表面の略中央部の35mm×35mmの大きさの突出面形成領域の外側エリアに対して紫外光による露光と現像を行い、突出面用のレジストパターンを形成した。
次に、上記突出面用のレジストパターンを形成したガラス基板について、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、突出面用のCr系薄膜パターンとレジストパターンから成るエッチングマスク膜パターンを形成した。
次に、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合液でウェットエッチングを行い、周囲からの高さが30μm程度の突出面を作製した。硫酸過水により上記レジストパターンを除去、さらに硝酸第2セリウムアンモニウム液で上記Cr系薄膜パターンを除去した。
(パターン作成方法)
ラインアンドスペースと呼ばれる凹凸パターンを前記突出面上に形成した。ラインアンドスペースのラインは、X方向に対し垂直、Y方向に対し平行とした。
突出面上の凹凸パターンは、(1)エッチング保護膜の成膜、(2)レジスト膜の成膜、露光、現像、(3)塩素系ガスによるドライエッチング、及び(4)CF系ガスによるドライエッチングによって形成した。
(1)エッチング保護膜は、スパッタ法によって、突出面上に成膜した。エッチング保護膜の厚さは3nm、エッチング保護膜の材料はCr窒化物であった。
(2)レジスト膜は、エッチング保護膜の上にレジスト材料をスピンコート法によって塗布し、塗布したレジスト材料をベーク処理することで成膜した。レジスト膜は、電子線描画装置によって部分的に露光し、現像した。これにより、開口パターンを有するレジスト膜が得られた。
(3)塩素系ガスによるドライエッチングは、レジスト膜で部分的に保護されたエッチング保護膜の加工に用いた。これにより、レジスト膜の開口パターンと同じ開口パターンを有するエッチング保護膜が得られた。その後、不要になったレジスト膜は除去した。
(4)CF系ガスによるドライエッチングは、エッチング保護膜で部分的に保護されたガラス基板の突出面の加工に用いた。これにより、凹凸パターンがガラス基板の突出面に形成された。その後、不要になったエッチング保護膜は除去した。
得られた凹凸パターンは、凸部の幅が15nm、凸部のX方向のピッチが30nm、凸部の高さが25nmであった。
(インプリント特性)
次のように凹凸パターン転写試験を行い、インプリント特性を評価した。突出面上の凹凸パターンをSiウエハ上に塗布した光硬化性樹脂に転写し、その後、突出面上の凹凸パターンの凸部とSiウエハとの間に形成された残膜を除去した。
Siウエハにおける光硬化性樹脂の塗布面には、光硬化性樹脂の密着性を向上するため、予め表面改質処理を施した。表面改質処理には、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-5103)を用いた。
光硬化性樹脂は、Siウエハにおける表面改質処理済みの表面に、スピンコート法によって塗布した。光硬化性樹脂としては、フッ素系紫外線硬化樹脂(旭硝子株式会社製、商品名:NIF-A-2)を用いた。
残膜の除去は、酸素プラズマに光硬化性樹脂の膜の全体を曝すドライエッチングによって行った。これにより、ラインアンドスペースと呼ばれる開口パターンを有する光硬化性樹脂の膜と、Siウエハとからなる試験片が得られた。
光硬化性樹脂の膜の線幅(凸部の幅)は、試験片の破断面をCD-SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)によって観察することで求めた。破断面には、予めTaの膜を成膜した。
インプリント特性は、エッチング後の凸部の幅の均一性(CDU)により、「○」、「△」、「×」の3段階で評価した。CDUは、30個の凸部の幅を測定し、その測定値の標準偏差σの3倍の値として算出した。CDU評価において「○」はCDUが2.0以下であることを、「△」はCDUが2.0よりも大きく2.3以下であることを、「×」はCDUが2.3よりも大きいことを意味する。評価結果を表1に記した。CDUは値が小さいほど、エッチング後の凸部の幅の均一性が良好であり、インプリント特性に優れることを表わす。
Figure 0007120338000001
表1によれば、進相軸の平均角が20°以上80°以下、厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値が15nm/cm以下の実施例のガラス基板では、非貫通穴の形成による加工変形が比較例のガラス基板に比べて極めて小さいことが分かる。
10…モールド、11…凹凸パターン、11…第1主表面、12…第2主表面、12a…外周縁、13…突出面、14…非貫通穴、14a…開口縁、15…基板、17…転写材、20,20A,20B…ガラス基板、20S…測定部位、CL…中心線、CP…中心点、FA…進相軸、SA…測定領域、SL…直線、SP…測定点、S11…非貫通穴形成工程、S12…突出面形成工程、S13…パターン形成工程、S111…研削工程、S112…内側面研磨工程、S113…内底面研磨工程。

Claims (4)

  1. 主表面を備えるガラス基板であって、
    前記主表面の測定領域内を所定の間隔で格子状に区切った交点を測定点として、前記主表面に対し垂直に波長633nmの光を照射することで測定した、前記測定点における複屈折の進相軸と、前記測定点と前記主表面の中心点とを結ぶ直線とのなす角の平均値が20°以上80°以下であり、
    前記測定点における厚さ1cm当たりのリタデーションの最大値が15nm/cm以下であり、
    前記ガラス基板の中心線を対象軸とする、回転対称性の残留応力を有し、
    前記中心線からの距離が近いほど熱膨張率が大きくなる熱膨張率分布を有することを特徴とするガラス基板。
  2. 前記ガラス基板は、SiOを90質量%以上含む石英ガラスからなることを特徴とする請求項に記載のガラス基板。
  3. 前記石英ガラスは、OH基を含有し、その濃度が1000ppm以下である請求項に記載のガラス基板。
  4. 前記ガラス基板を半導体用として使用する請求項1ないしのいずれかに記載のガラス基板。
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