JP5640663B2 - クロム含有鋼材料のスケール除去方法 - Google Patents

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Description

本発明はクロム含有鋼材料のスケール除去方法に係り、特に蒸気系に使用されているクロム含有管から水蒸気酸化スケールを除去するのに好適な方法に関する。
ボイラの過熱器や再熱器の管路にはCr−Mo鋼やSUS鋼等の高温耐熱性に優れたクロム含有鋼材料が用いられている。このような管路の内壁がその内部を流通する過熱蒸気により酸化されると、酸化クロムや酸化鉄等からなる水蒸気酸化スケールが形成される。
このように管壁に付着した酸化スケールが剥離すると管路のUベント部に堆積して過熱器管のオーバヒートの原因となったり、或いは剥離スケールが飛散してタービンのエロージョンの原因になる。そこで、かかる水蒸気酸化スケールは定期的に除去する必要がある。
なお、かかる酸化スケールは管路の内壁のみならず、蒸気に晒される壁面には一般に発生する。したがって、管路の外壁に発生する場合もあり、また管路に限らず同等の壁面には発生する可能性がある。
特開2004−211996(特許文献1)の0015段落に記載されているように、クロム含有鋼管内面の水蒸気酸化スケールは、内外層(上下層)からなる二層構造となっている。外層(上層)スケールは酸化鉄(特にマグネタイト(γ−Fe))を主体とし、内層(下層)スケールはFe、Cr、Mo等を含む酸化物である。
通常の鋼管内面のスケールは、酸化鉄を主体とするものであり、酸洗浄により比較的容易に除去することができるが、上記のクロム含有鋼材料に水蒸気酸化により生じる二層構造のスケールは、下層の酸化物が難溶性の酸化クロムを多く含み、通常の酸洗浄では除去が困難である。
特開平9−87877(特許文献2)には、ボイラ主蒸気管の酸化スケールを除去する方法として、ノズルを主蒸気管に挿入し、該ノズルから酸洗液を高圧で噴射することによりスケールを除去することが記載されている。
しかしながら、この場合、酸洗液の高圧噴射装置が必要であり、洗浄設備コストが嵩むと共に、湾曲した配管部分や小口径管には適用が無理又は困難であるという短所がある。
特開平10−259489(特許文献3)には、熱間圧延ステンレス鋼の表面の膜スケール方法として、まず過マンガン酸液に浸漬し、次いで酸に浸漬してスケールを溶解除去する方法が記載されている。
しかしながら、この方法をクロム含有鋼材料の二層スケールの除去に適用した場合、過マンガン酸液浸漬時に過マンガン酸が二層スケールの酸化クロムリッチな下層に殆ど到達せず、その後に酸処理しても十分には下層を除去することができない。
特開2003−193276(特許文献4)には、ガスタービンエンジンの酸化クロムコーティング層を除去する方法として、まずアルカリで処理して表面の炭化水素残留物等よりなる汚染物質層を除去し、次いでアルカリ性過マンガン酸塩処理溶液に浸漬し、その後、酸洗浄することが記載されている。
しかしながら、この方法をクロム含有鋼材料に二層スケールの除去に適用した場合にも、上記特許文献3の場合と同様に、過マンガン酸塩溶液浸漬時に過マンガン酸塩が酸化クロムリッチな下層に殆ど到達しないので、酸処理しても該下層を十分に除去することはできない。
特開2004−211996号公報 特開平9−87877号公報 特開平10−259489号公報 特開2003−193276号公報
本発明は、クロム含有鋼材料の表面に形成された酸化クロム含有量の多い下層と、酸化鉄を主体とする上層とを含んだ二層構造のスケールを簡易な設備で十分に除去することができるクロム含有鋼材料のスケール除去方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)は、クロム含有鋼材料表面のスケールを除去する方法であって、該スケールは、上層及び下層よりなり、かつ下層の酸化クロム含有率が上層よりも高い二層構造を有しているクロム含有鋼材料のスケール除去方法において、酸によって上層を除去する第1の工程と、下層を酸化処理して該下層を可溶化し、次いで酸処理する第2の工程とを有し、前記酸化処理は過マンガン酸塩溶液をスケールに接触させる処理であり、過マンガン酸塩溶液を循環させてスケールに接触させると共に、循環溶液中のクロムイオン濃度を測定し、クロムイオン濃度の上昇速度が所定値以下になるまで酸化処理を行うことを特徴とするものである。
請求項2は、請求項1において、前記第1及び第2の工程の酸処理は、酸溶液を循環させてスケールに接触させる処理であり、循環溶液中の鉄イオン濃度を測定し、鉄イオン濃度の上昇速度が所定値以下になるまで酸処理を行うことを特徴とするものである。
本発明(請求項3)は、クロム含有鋼材料表面のスケールを除去する方法であって、該スケールは、上層及び下層よりなり、かつ下層の酸化クロム含有率が上層よりも高い二層構造を有しているクロム含有鋼材料のスケール除去方法において、酸によって上層を除去する第1の工程と、下層を酸化処理して該下層を可溶化し、次いで酸処理する第2の工程とを有し、前記第1及び第2の工程の酸処理は、酸溶液を循環させてスケールに接触させる処理であり、循環溶液中の鉄イオン濃度を測定し、鉄イオン濃度の上昇速度が所定値以下になるまで酸処理を行うことを特徴とするものである。
請求項は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記第2の工程を複数回行うことを特徴とするものである。
請求項は、請求項1ないしのいずれか1項において、前記クロム含有鋼材料中のクロム含有量が12wt%以下であることを特徴とするものである。
本発明のクロム含有鋼材料のスケール除去方法では、クロム含有鋼材料表面における酸化クロムリッチな下層と酸化鉄を主体とした上層とを有した二層構造のスケールを除去するに際し、まずスケールを酸処理して上層を溶解除去し(第1の工程)、次いで残留する下層を酸化処理して該下層を酸可溶性とし、その後酸処理して下層を除去する(第2の工程)。このように上層を除去してから下層を酸化処理するので下層が十分に酸可溶性となり、酸処理によって下層が十分に除去される。
なお、下層を可溶化するための酸化処理としては、過マンガン酸塩の溶液を接触させるのが簡易かつ効果的であり、好ましい。
下層を酸化処理によって可溶化してから酸処理する第2の工程を複数回繰り返すことにより、下層を十分に除去することができる。
本発明方法を説明するフロー図である。 実施例の通液方法の説明図である。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明方法は、クロム含有鋼材料表面のスケールを除去する方法であって、該スケールは、上層及び下層よりなり、かつ下層の酸化クロム含有率が上層よりも高い層構造を有しているクロム含有鋼材料のスケール除去方法において、酸によって上層を除去する第1の工程と、下層を酸化処理して該下層の酸化クロムを可溶化し、次いで酸処理する第2の工程とを有する。
本発明は特に鋼管とりわけボイラ熱交換器用合金鋼鋼管、ボイラ熱交換器用ステンレス鋼鋼管、ボイラ熱交換器用炭素鋼鋼管などに適用するのに好適であり、例えばSTBA20〜24等のCr−Mo合金鋼管、各種ステンレス鋼管、STB25〜29等の高Cr炭素鋼管が例示される。具体的なボイラ管としては、過熱器管、再熱器管、主蒸気管などが挙げられる。
本発明では、このようなクロム含有鋼材料の表面に水蒸気酸化などにより形成された、酸化クロムリッチな下層と酸化鉄を主体とする上層とを有する二層構造のスケールを除去する。上記のクロム含有鋼材料よりなる過熱器管又は再熱器管等の表面に水蒸気酸化により生じたスケールの下層には、酸化クロムが3wt%以上例えば、5〜15wt%程度含有されることが一般的であり、上層は酸化鉄を90wt%以上例えば、92〜98wt%程度含有し、酸化クロムを0.5wt%以下、例えば0.1〜0.2wt%程度含有することが多い。また、スケールの上層と下層の合計厚みが0.2〜0.6mm程度である場合、下層の厚さが占める割合は通常30〜70%、特に40〜60%程度である。
本発明では、このような二層構造のスケールを有したクロム含有鋼材料からスケールを除去するに際し、まずスケールに酸溶液を接触させて上層を溶解除去する(第1の工程)。
酸処理に用いる酸としては、無機酸、有機酸、キレート剤のいずれでもよい。無機酸としては、塩酸、硫酸、フッ酸などが例示される。有機酸としては、クエン酸、クエン酸アンモニウム、ギ酸、マロン酸、シュウ酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸などが例示される。これらの酸は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。キレート剤としてはEDTA、EDTA−アンモニウム塩などが挙げられる。
酸溶液の濃度は、無機酸の場合、3〜10wt%、特に5〜8wt%程度が好適であり、有機酸又はキレート剤の場合は3〜20wt%特に3〜15wt%程度が好適である。
酸溶液には、下地鋼材の腐食を防止するために、腐食抑制剤、還元剤などを含有させるのが好ましい。腐食抑制剤としては、第1級〜第3級アミン、高分子アミン化合物、イミダゾリン化合物などが例示される。還元剤としては、ヒドラジン、エリソルビン酸、L−アルコスビン酸又はこれらの塩類が例示され、特にエリソルビン酸又はL−アルコスビン酸が好適である。
酸溶液とスケールとを接触させるには、酸の溶液にクロム含有鋼材料を浸漬してもよいが、クロム含有鋼材料が管であり、スケールが管内面に生じている場合には、酸溶液を管内に通液するのが好ましい。
この通液時の液流速は、0.01〜5.0m/sec、特に0.1〜3.0m/sec程度が好適であるが、これに限定されない。通液時の液温は、常温でもよく、加温されていてもよいが、溶解速度を高くするために、40℃以上、無機酸の場合は、特に50℃〜60℃、有機酸又はキレート剤の場合は80〜95℃程度に加温することが好ましい。
この上層除去のための酸処理時間は、上層の好ましくは80%以上、特に95%以上が除去されるように設定されるのが好ましい。
酸によって上層を溶解除去する場合、処理時間は予め設定した所定時間としてもよいが、酸溶液を管に循環通液すると共にこの循環液中のFeイオン濃度を測定し、このFeイオン濃度の経時的な上昇速度が所定値以下になるまで継続するようにしてもよい。この場合、0.5時間あたりのFeイオン濃度の上昇が溶出Feイオン濃度の5%以下となったことを2点確認するまで、この酸処理を行うのが好ましい。
この上層除去のための酸処理(第1の工程)を行った後、第2の工程に移行し、まずクロム含有鋼材料表面に残留する下層を酸化処理して可溶化する。この酸化処理としては、過マンガン酸による処理、オゾン処理、過酸化水素処理等を採用することができるが、取り扱いが容易な過マンガン酸塩による処理が好適である。過マンガン酸塩としては、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムのいずれでもよいが、安価であるところから、過マンガン酸カリウムが好適である。過マンガン酸塩溶液の濃度は0.1〜10wt%、特に0.5〜5.0wt%程度が好適である。
過マンガン酸塩等による酸化処理により、下層中の酸化クロムはCrからCr 2−となり、可溶性となる。
過マンガン酸塩の溶液は、鋼種に応じてpHが調整されることが好ましい。炭素鋼の場合は、pH8以上、例えば10〜14程度のアルカリ性の過マンガン酸塩溶液又は中性の過マンガン酸塩溶液を用いるのが好ましい。
過マンガン酸塩溶液をアルカリ性とするためには、アルカリとして水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。
過マンガン酸塩溶液には、さらに界面活性剤等を含有させてもよい。
過マンガン酸塩溶液と、下層とを接触させるには、該クロム含有鋼材料を溶液に浸漬してもよく、スケールが管内面に生じている場合には、該溶液を管内に通液するのが好ましい。
この通液時の液流速は、0.01〜5.0m/sec、特に0.1〜3.0m/sec程度が好適であるが、これに限定されない。通液時の液温は、常温でもよく、加温されていてもよいが、酸化速度を高くするために、40℃以上、特に70℃〜95℃程度に加温することが好ましい。
過マンガン酸塩溶液で下層の酸化による可溶化処理を行う場合、処理時間は予め設定した所定時間としてもよいが、過マンガン酸塩溶液を管に循環通液すると共にこの循環液中のCrイオン濃度を測定し、このCrイオン濃度の経時的な上昇速度が所定値以下になるまで継続するようにしてもよい。この場合、0.5時間あたりのCrイオン濃度の上昇が溶出クロムイオン濃度の5%以下となったことを2点確認するまで、この可溶化処理を行うのが好ましい。
この下層の酸化処理を行った後、酸による下層の溶解除去処理を行う。
この場合の酸溶液としては、前記第1の工程の酸溶液と同様のものが好適である。この場合の酸溶液の濃度は、前記第1の工程の酸溶液と同等であってもよく、それよりも高くても、また低くてもよい。なお、後述のように、下層の酸化処理と酸処理とを繰り返し複数サイクル行う場合、後のサイクルでは先のサイクルよりも過マンガン酸塩溶液や酸の濃度を低くしてもよい。
酸処理の手法の好適な態様は、上層溶解除去処理時の酸処理と同様に、浸漬処理でもよく、管内に通液してもよい。管に通液する場合の好適な条件は、上層の溶解除去処理時と同様である。
酸によって下層を溶解除去する場合、処理時間は予め設定した所定時間としてもよいが、酸溶液を管に循環通液すると共にこの循環液中のFeイオン濃度を測定し、このFeイオン濃度の経時的な上昇速度が所定値以下になるまで継続するようにしてもよい。この場合、0.5時間あたりのFeイオン濃度の上昇が溶出Feイオン濃度の5%以下となったことを2点確認するまで、この酸溶解処理を行うのが好ましい。
本発明では、上記の下層の酸化処理と酸溶解除去処理とからなる第2の工程を繰り返し行ってもよい。
即ち、第1図(a)のように、上層の除去(第1の工程)の後、下層の酸化処理及び下層の溶解除去(第2の工程)を1回だけ行ってスケールをすべて除去できる場合には、第2の工程は1回だけ行えばよい。第2の工程が1回だけでは鋼材表面の下層が十分に除去されない場合には、第1図(b)のように下層の酸化処理と酸溶解除去処理とからなる第2の工程を2回以上行うのが好ましい。
なお、第2の工程を行った後、ボイラ管等の洗浄対象物の表面を観察し、スケールが十分に除去されていれば、第2の工程を終了とし、スケール除去が不十分な場合にはもう1回第2の工程を行うようにしてもよい。洗浄対象物の表面を観察する代りに、第2の工程の酸処理工程流出液中のCrイオン濃度を測定し、このCrイオン濃度が所定値以下であれば第2の工程を終了とし、所定値を超えるときにはもう1回第2の工程を行うようにしてもよい。
通常の場合、第2の工程を2〜3回程度行えば、クロム含有鋼材料よりなるボイラ管内面の水蒸気酸化スケールを十分に除去することができる。第2の工程を1回又は複数回行ってスケールを十分に除去した後は、ボイラ管等の洗浄対象物を水洗する。
本発明は、ボイラ管以外のクロム含有鋼材料表面の二層構造のスケール除去にも適用できる。なお、スケールはさらに別の層を有していてもよい。
以下、実施例、比較例及び参考例について説明する。
[実施例1]
発電用石炭焚きボイラの、STBA27(Cr9wt%)よりなる3次過熱器管(内径37.6mm、外径50.8mm)をボイラから長さ60mmに切り出してサンプル管とした。
このサンプル管(3次過熱器管)の内面には、平均厚さ0.23mm(150mg/cm)のスケールが付着していた。EPMAで分析したところ、このスケールはクロムを約9〜15wt%、鉄を50〜60wt%含有する平均厚さ0.11mmの下層と、鉄を60〜70wt%含有し、クロムを含有しない平均厚さ0.13mmの上層とからなる二層構造を有していた。
このサンプル管3本を直列に接続し、第2図の通り循環通液できるように接続した。槽1内の液は、ポンプ2、循環往管3、サンプル4,4、循環戻管5、槽1の順に通液される。槽1にはヒータ6が設けられ、液を加温できるようになっている。
実施例1では、第2の工程を3回繰り返した。即ち、第1回目酸処理→第1回目酸化処理→第2回目酸処理→第2回目酸化処理→第3回目酸処理→第3回目酸化処理→第4回目酸処理の処理を行った。
第1回目〜第3回目の酸処理の酸溶液として、下記組成の有機酸溶液を用い、液温度を90±5℃とした。
グリコール酸:4.5wt%
マロン酸:4.5wt%
L−アスコルビン酸:1.0wt%
腐食抑制剤:1.0wt%
また、第4回目の酸処理の酸溶液として、下記組成の有機酸溶液を用い、液温度を90±5℃とした。
グリコール酸:1.5wt%
マロン酸:1.5wt%
L−アスコルビン酸:1.0wt%
腐食抑制剤:1.0wt%
なお、腐食抑制剤としては、朝日化学工業(株)製イビット30ES(「イビット」は、住友化学工業(株)の登録商標)を用いた。
酸化処理のための酸化剤としては、過マンガン酸カリウムの1.5wt%と水酸化カリウム3.5wt%の混合溶液を用い、液温は80±5℃とした。第3回目の酸化処理には、過マンガン酸カリウム1wt%と水酸化カリウム2wt%の混合溶液を用いた。
酸洗浄時には、上記の酸溶液(未使用のもの)1.3Lを槽1に収容し、8L/minにて循環通液すると共に、槽1内の液の全Fe(T−Fe)濃度及び全Cr(T−Cr)濃度を経時的に測定した。そして、槽1内のFeイオン濃度の経時的上昇が停止するまで、具体的には、0.5時間あたりのFeイオン濃度の上昇が溶出Feイオン濃度の5%以下を2点確認するまで、酸洗浄を継続した。酸洗浄の終了後、酸溶液を抜き、純水で水洗し、次の酸化処理を行った。
酸化処理時には、上記の過マンガン酸溶液(未使用のもの)1.3Lを槽1に収容し、8L/minにて循環通液すると共に、槽1内の液の全Fe(T−Fe)濃度及び全Cr(T−Cr)濃度を経時的に測定した。そして、槽1内のCrイオン濃度の経時的上昇が停止するまで、具体的には、0.5時間あたりのCrイオン濃度の上昇が溶出Crイオン濃度の5%以下を2点確認するまで、酸化処理を継続した。この結果を表1、第3図及び第4図に示す。
表1及び第4図に示す通り、上層除去のための第1回目の酸洗浄工程では、25時間が経過するとFeイオン濃度の上昇が11,100mg/Lでほぼ停止したので、次の第1回目の過マンガン酸カリウムによる下層酸化処理工程に移行した。
この第1回目の下層酸化処理工程では、24時間が経過するとCrイオン濃度の上昇が216mg/Lでほぼ停止したので、次の第2回目の酸処理に移行した。
この第2回目の酸処理工程では12時間が経過するとFeイオン濃度の上昇が1,000mg/Lでほぼ停止したので、次の第2回目の過マンガン酸カリウムによる下層酸化処理工程に移行した。この第2回目の下層酸化処理工程では、11時間が経過するとCrイオン濃度の上昇が260mg/Lでほぼ停止したので、次の第3回目の酸処理に移行した。この第3回目の酸処理工程では21時間が経過するとFeイオン濃度の上昇が500mg/Lでほぼ停止したので、次の第3回目の過マンガン酸カリウムによる下層酸化処理工程に移行した。
この第3回目の下層酸化処理工程では、8時間が経過するとCrイオン濃度の上昇が114mg/Lでほぼ停止したので、次の第4回目の酸処理に移行した。この第4回目の酸処理工程では8時間が経過すると、Feイオン濃度の上昇が250mg/Lでほぼ停止すると共にCrイオン濃度の上昇が13mg/Lでほぼ停止した。これをもってスケール除去処理を終了することとし、配管内に残留する酸溶液を排出し、純水で水洗した。サンプル管内面を観察したところ、スケールはほぼ完全に除去されていた。
Figure 0005640663
[比較例1]
実施例1で用いたものと同じサンプル管を同様に4本直列に接続し、第2図の通りセットした。槽1に実施例1と第1回目〜第3回目酸処理時と同一の未使用の酸溶液を1.3L収容し、液温90℃にて30時間通液すると共に槽1内の液中のT−Fe濃度及びT−Cr濃度を測定した。
次いで、槽1及びサンプル4内の残留液をすべて排出し、槽1に再び同じ未使用の酸溶液を1.3L収容し、液温90℃にて30時間通液すると共に槽1内の液中のT−Fe濃度及びT−Cr濃度を測定した。結果を表2、第5図及び第6図に示す。第5,6図の通り、10時間特に20時間を経過すると、Fe及びCrの溶出は極めて緩慢となる。
その後、サンプルの内面を観察したが、茶色を帯びたスケールが平均厚さ0.15mmにて残留していた。合計の酸洗浄時間は、実施例1では65時間、比較例1では60時間とほぼ同等であるにもかかわらず、比較例1ではスケール下層が殆ど除去されていないことが認められた。
Figure 0005640663
実施例1の通り、クロム含有鋼材料の場合でも、スケール上層を除去してから過マンガン酸塩で下層を可溶化させて酸処理を行うことにより下層を溶解させることができ、この可溶化処理及び酸処理を複数回繰り返すことにより、下層を十分に除去することができる。
1 槽
4 サンプル管
6 ヒータ

Claims (5)

  1. クロム含有鋼材料表面のスケールを除去する方法であって、
    該スケールは、上層及び下層よりなり、かつ下層の酸化クロム含有率が上層よりも高い二層構造を有しているクロム含有鋼材料のスケール除去方法において、
    酸によって上層を除去する第1の工程と、
    下層を酸化処理して該下層を可溶化し、次いで酸処理する第2の工程とを有し、
    前記酸化処理は過マンガン酸塩溶液をスケールに接触させる処理であり、過マンガン酸塩溶液を循環させてスケールに接触させると共に、循環溶液中のクロムイオン濃度を測定し、クロムイオン濃度の上昇速度が所定値以下になるまで酸化処理を行うことを特徴とするクロム含有鋼材料のスケール除去方法。
  2. 請求項1において、前記第1及び第2の工程の酸処理は、酸溶液を循環させてスケールに接触させる処理であり、
    循環溶液中の鉄イオン濃度を測定し、鉄イオン濃度の上昇速度が所定値以下になるまで酸処理を行うことを特徴とするクロム含有鋼材料のスケール除去方法。
  3. クロム含有鋼材料表面のスケールを除去する方法であって、
    該スケールは、上層及び下層よりなり、かつ下層の酸化クロム含有率が上層よりも高い二層構造を有しているクロム含有鋼材料のスケール除去方法において、
    酸によって上層を除去する第1の工程と、
    下層を酸化処理して該下層を可溶化し、次いで酸処理する第2の工程とを有し、
    前記第1及び第2の工程の酸処理は、酸溶液を循環させてスケールに接触させる処理であり、循環溶液中の鉄イオン濃度を測定し、鉄イオン濃度の上昇速度が所定値以下になるまで酸処理を行うことを特徴とするクロム含有鋼材料のスケール除去方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記第2の工程を複数回行うことを特徴とするクロム含有鋼材料のスケール除去方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項において、前記クロム含有鋼材料中のクロム含有量が12wt%以下であることを特徴とするクロム含有鋼材料のスケール除去方法。
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