JP5738175B2 - 水蒸気酸化スケールの除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、火力発電ボイラ等の産業用、事業用の各種ボイラの過熱器や再熱器等に接続されている蒸気管内に発生した水蒸気酸化スケールの除去方法に関する。
ボイラの過熱器や再熱器に接続されている蒸気管は、主としてCr−Mo鋼やSUS鋼等の高温耐圧部材で形成されている。例えば、Cr−Mo鋼から形成された蒸気管の内周面が過熱蒸気により酸化されると、図7に示すように、蒸気管の内周面に水蒸気酸化スケール14が付着した状態となる。水蒸気酸化スケール14は、外層14aと内層14bとから構成された二層構造となっており、外層14aは純度の高い鉄酸化物(マグネタイト(Fe)主体)から形成され、内層14bはFe、Cr、Mo等を含むスピネル型酸化物から形成されている。
蒸気管の内周面に付着した水蒸気酸化スケールが剥離すると蒸気管のUベント部に堆積して過熱器がオーバヒートしたり、剥離したスケールが飛散してタービンのエロージョン等の障害を引き起こしたりするおそれがある。このため、蒸気管を定期的に洗浄して水蒸気酸化スケールを除去する必要がある。
水蒸気酸化スケールの除去方法として、例えば、酸液での溶解洗浄方法が用いられている。この溶解洗浄方法は、80〜150℃程度に昇温した酸液を蒸気管内に数十時間循環させながら水蒸気酸化スケールを表面から溶解するとともに、水蒸気酸化スケールの亀裂から水蒸気酸化スケールの内部に浸透させたり、水蒸気酸化スケールと蒸気管との隙間に浸透させたりして水蒸気酸化スケールを蒸気管の内周面から離脱させることで、水蒸気酸化スケールを除去するものである。
また、特許文献1には、グリコール酸とギ酸からなる酸液を蒸気管内に配置されたノズルから水蒸気酸化スケールへ高圧で噴射する除去装置が開示されている。この除去装置は、酸液を水蒸気酸化スケールへ噴射することにより、水蒸気酸化スケールを脆くするとともに、破壊して蒸気管の内周面から除去するものである。
特開平9−87877号公報
しかしながら、上述した酸液での溶解洗浄方法では、洗浄に100時間程度を要するため、ボイラの定期検査の工程に支障となる場合があった。
また、酸液での溶解洗浄方法及び特許文献1に記載の除去装置を用いた方法では、水蒸気酸化スケールを完全に除去できない場合があった。そして、蒸気管内に水蒸気酸化スケールが残留すると、定期検査後のボイラの再起動時に完全に除去できなかった水蒸気酸化スケールが離脱するおそれがあるという問題点があった。
そこで、本発明は係る従来技術の問題点に鑑み、水蒸気酸化スケールを短時間で、且つ完全に除去可能な水蒸気酸化スケールの除去方法を提供する。
上述した問題を解決する本発明に係る水蒸気酸化スケールの除去方法は、水蒸気に晒されることにより母材金属の表面に形成される水蒸気酸化スケールを酸液で洗浄して前記水蒸気酸化スケールを除去する除去方法であって、
前記酸液による洗浄を実施する前に、前記母材金属及び前記水蒸気酸化スケールの温度を所定の温度範囲内で昇降させる温度昇降を複数回繰り返して、前記母材金属と前記水蒸気酸化スケールとの間に熱膨張差を発生させ、当該熱膨張差で前記母材金属と前記水蒸気酸化スケールとの間に生じるせん断力により前記水蒸気酸化スケールに亀裂又は剥離を発生させることを特徴とする。
上記水蒸気酸化スケールの除去方法によれば、母材金属及び水蒸気酸化スケールの温度を所定の温度範囲内で温度昇降させて、母材金属と水蒸気酸化スケールとの間に熱膨張差を発生させることにより、水蒸気酸化スケールに亀裂又は剥離を発生させることができる。また、温度昇降を複数回繰り返すことで、多数の亀裂や剥離を発生させるとともに、剥離の程度を進行させることができる。
ところで、水蒸気酸化スケールが形成された母材金属の表面を酸液で洗浄すると、酸液が水蒸気酸化スケールに形成された亀裂や剥離箇所から水蒸気酸化スケールの内部に浸透して水蒸気酸化スケールを溶解除去するとともに、水蒸気酸化スケールと母材金属との隙間に浸透して水蒸気酸化スケールと母材金属との界面の密着力を緩和して水蒸気酸化スケールを除去する。この酸液による洗浄を実施する前に、本発明による温度昇降を複数回実施することにより、水蒸気酸化スケールに多数の亀裂や剥離箇所が形成されるため、水蒸気酸化スケールの溶解除去及び界面の密着力の緩和を短時間で実施することができるとともに、確実に水蒸気酸化スケールを除去することができる。
また、前記水蒸気の温度を降下して前記母材金属及び前記水蒸気酸化スケールの温度を降下させる際に、前記水蒸気中に冷却水を供給して前記母材金属及び前記水蒸気酸化スケールの温度の降下速度を増加させてもよい。
このように、水蒸気中に冷却水を供給するため、母材金属及び水蒸気酸化スケールの温度を水蒸気のみで降下させる場合よりも急速に降下させることができる。これにより、水蒸気酸化スケールに亀裂又は剥離を効率良く発生させることができる。
また、前記冷却水は、有機酸を含んでおり、前記冷却水を水蒸気中に噴射した後、所定時間放置してもよい。
有機酸を含む冷却水が、温度昇降によって水蒸気酸化スケールに生じた亀裂を通過して母材金属に接することで、母材金属の表面が腐食し、腐食物質が亀裂内に生成される。その後、母材金属及び水蒸気酸化スケールを昇温した際に、水蒸気酸化スケールの膨張が亀裂内の腐食物質により制限されて、水蒸気酸化スケールに圧縮応力が作用する。そして、昇温とともに水蒸気酸化スケールの圧縮応力が増加すると、水蒸気酸化スケールの剥離が発生する。したがって、有機酸を含む冷却水を供給することにより、水蒸気酸化スケールの剥離を助長することができる。
また、前記有機酸の濃度は、1重量%以下とする。
このように、有機酸の濃度は1重量%以下なので、母材金属の腐食はわずかであり、有機酸の腐食により母材金属の強度が低下することを防止できる。
また、前記母材金属は、2〜12重量%のクロムを含む低合金鋼とする。
このように、2〜12質量%のクロムを含む低合金鋼からなる母材金属と水蒸気酸化スケールとの界面(図7参照)は、例えば、オーステナイトステンレス鋼からなる母材金属と水蒸気酸化スケールとの界面(図5参照)に比べて凹凸がなくてスムーズなので、温度昇降を複数回繰り返すことにより、水蒸気酸化スケールに亀裂や剥離を容易に発生させることができる。また、その界面は、凹凸が無くてスムーズなので、水蒸気酸化スケールと母材金属との隙間に浸透した酸液は、広範囲に拡散して、水蒸気酸化スケールと母材金属との界面の密着力を効率良く緩和して水蒸気酸化スケールを除去することができる。
本発明によれば、水蒸気酸化スケールを短時間で、且つ完全に除去可能な水蒸気酸化スケールの除去方法を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係るボイラの蒸気系統の一例を示す概念図である。 水蒸気酸化スケール及び蒸気管の熱膨張率を示す図である。 (A)は水蒸気酸化スケールに亀裂が発生した状態を示す説明図である。(B)は水蒸気酸化スケールと蒸気管との間にせん断力が作用することを説明する図である。(C)は水蒸気酸化スケールが剥離した状態を示す図である。 本実施形態に係る蒸気管の化学洗浄方法の実施の形態を示す系統図である。 オーステナイトステンレス鋼と水蒸気酸化スケールとの界面を示す模式図である。 (A)は本発明の第三実施形態に係る水蒸気酸化スケールの亀裂を通って有機酸が蒸気管の表面に供給される状態を示す図である。(B)は水蒸気酸化スケールの亀裂内に腐食物質が生成された状態を示す図である。(C)は水蒸気酸化スケールが剥離する状態を示す図である。 Cr−Mo鋼と水蒸気酸化スケールとの界面を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の第一実施形態に係るボイラの蒸気系統の一例を示す概念図である。
図1に示すように、ボイラ1により発生した水蒸気は、過熱器2を通って高圧タービン4に供給される。そして、高圧タービン4で仕事をした水蒸気は、再熱器6に送られて加熱され、中圧タービン8及び低圧タービン9に供給されて仕事を行う。また、中圧タービン8及び低圧タービン9で仕事をした水蒸気は復水器10で復水された後、ボイラ1に供給される。
このようなボイラ1の蒸気系統において、例えば、過熱器2から高圧タービン4までの蒸気管12や再熱器6から中圧タービン8までの蒸気管12の内周面には、長年の運転に伴って水蒸気酸化スケール14(図示しない)が形成されるため、洗浄して除去する必要がある。蒸気管12の洗浄は、以下の要領で実施する。なお、本実施形態では、2〜12重量%のクロムを含む低合金鋼からなる蒸気管12を用いた場合について説明する。
まず、ボイラ1を停止する前に、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を所定の温度範囲内で昇降する温度昇降を複数回、実施する。温度の昇降は、ボイラ1から供給される水蒸気の温度を所定の温度範囲に調整することにより行う。本実施形態では、所定の温度範囲を200℃〜600℃とした。この温度範囲とした理由について以下で説明する。
図2は、水蒸気酸化スケール14及び蒸気管12の熱膨張率を示す図である。
図2に示すように、蒸気管12と水蒸気酸化スケール14とでは、約400℃を超えると熱膨張差が生じ、約550℃ではその差が著しく大きくなる。そこで、膨張率差が著しく大きくなる温度域(約400℃〜約550℃)を含むように所定の温度範囲(200℃〜600℃)を設定した。なお、本実施形態では、所定の温度範囲を200℃〜600℃としたが、所定の温度範囲の下限値及び上限値はこれらの値に限定されるものではなく、下限値は400℃以下で、上限値は550℃以上であればよい。
蒸気管12内を通過する水蒸気の温度を、例えば200℃から徐々に上昇させて、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を約400℃以上にすると、水蒸気酸化スケール14の熱膨張率が急激に上昇するため、水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との間の熱膨張差によって、図3(A)に示すように、水蒸気酸化スケール14を細分割する亀裂14cが発生する。そして、このまま昇温を維持すると、図3(B)に示すように、熱膨張差により水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との間にせん断力が作用するため、図3(C)に示すように、水蒸気酸化スケール14が細分割されたブロックとして剥離する。
そして、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度が、例えば600℃に到達したら、昇温を停止する。その後、水蒸気の温度を徐々に低下させて、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を降温する。降温する際にも水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との間の熱膨張差により水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との間にせん断力が作用するため、水蒸気酸化スケール14が細分割されたブロックとして剥離する。
このまま蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を徐々に降下させて、例えば200℃になったら降温を停止する。その後、再び水蒸気の温度を上昇させて、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を昇温する。
上述したように、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を600℃まで昇温し、その後、200℃まで降温する温度昇降を3回繰り返す。温度昇降を3回繰り返すことにより、多数の亀裂14cや剥離を発生させることができる。温度昇降を3回繰り返した後、ボイラ1を停止する。本実施形態においては、温度昇降を3回繰り返したが、この数に限定されるものではない。温度昇降の回数は、最低でも3回が望ましく、5〜10回程度実施するとより効果的である。
次に、酸液で蒸気管12内を洗浄して水蒸気酸化スケール14を除去する。酸液による蒸気管12の化学洗浄方法の実施形態について説明する。本実施形態では、再熱器6と中圧タービン8とを接続する2本の蒸気管12を洗浄する場合について説明する。
洗浄に使用する酸液は、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTA−2NHという)に、還元剤であるヒドラジン(以下、Nという)及び蒸気管12の腐食を抑制するインヒビターを添加して、例えばPH4〜6に調整されたEDTA洗浄溶液を用いた。
図4は、本実施形態に係る蒸気管12の化学洗浄方法の実施形態を示す系統図である。
図4に示すように、各蒸気管12の上流側端部及び下流側端部は、再熱器6や中圧タービン8に酸液が流入してその健全性を損ねることを防止するために切断されており、それぞれの端部に仮設配管取付用アダプタ20、22が装着されている。また、蒸気管12の下流側の一端にはストップバルブ24が装着され、閉止されている。
蒸気管12に酸液を循環流通させるための仮設循環管路26が設けられている。この仮設循環管路26の上流端は、仮設配管取付用アダプタ22を介して蒸気管12の下流側端部に接続されている。また、仮設循環管路26の下流端は、仮設配管取付用アダプタ20を介して蒸気管12の上流側端部に接続されている。
仮設循環管路26には、上流側から下流側に向って順次にスラッジセパレータ28、テストピース座30、熱交換器32、ミキシングヘッダ34、循環ポンプ36が配置されている。
スラッジセパレータ28は、蒸気管12から剥離した水蒸気酸化スケール14を捕捉して酸液のみを下流側へ排出する。
スラッジセパレータ28よりも下流側の仮設循環管路26にバイパス管38が接続され、バイパス管38にテストピース座30(2箇所)が接続されている。各テストピース座30には、それぞれテストピースが挿入されている。テストピースは、洗浄作業による蒸気管12の腐食量を評価するために用いられる。テストピースは、蒸気管12と同様に、2〜12重量%のクロムを含む低合金鋼を、例えば40mm(縦)×25mm(横)×5mm(厚さ)程度に加工し、全面研磨したものを用いる。そして、テストピースの洗浄工事前後の重量を計測することにより、洗浄による腐食重量の減量を算出する。
スラッジセパレータ28とテストピース座30との間の仮設循環管路26には、純水を貯留する純水タンク40が接続されている。純水タンク40内の純水は純水ポンプ41により、仮設循環管路26内へ供給することができる。
テストピース座30の下流に配置された熱交換器32は、水蒸気の熱を利用して酸液を昇温する。
熱交換器32の下流に配置されたミキシングヘッダ34には、酸液を供給する洗浄液供給装置42が接続されている。洗浄液供給装置42は、酸液を貯留する薬液タンク44と、薬液タンク44内の酸液を仮設循環管路26に供給する薬注ポンプ46とを備えている。
純水タンク40は、薬液タンク44及び薬注ポンプ46にそれぞれ接続されている。これにより、必要に応じて純水を薬液タンク44に供給することができる。
酸液を供給するミキシングヘッダ34の下流に配置された複数の循環ポンプ36が、仮設循環管路26内の酸液を両蒸気管12に供給することにより、酸液を循環させることができる。
化学洗浄に際しては、循環ポンプ36を稼動させて、純水タンク40から純水を供給し、この純水を循環させると共に、熱交換器32に水蒸気を注入して循環系内の水を加熱する。
続いて、薬注ポンプ46を稼動させて、薬液タンク44内の高濃度の酸液をミキシングヘッダ34より所定濃度となるように仮設循環管路26に注入する。
その後、蒸気管12及び仮設循環管路26内が酸液で満たされたら、純水の供給を停止する。また、酸液濃度が所定濃度に達したら、薬注ポンプ46を停止して酸液の供給を停止する。
この状態で蒸気管12及び仮設循環管路26内の酸液を、熱交換器32で加温して80℃〜150℃に維持しつつ、循環ポンプ36により所定時間、蒸気管12内を循環させて、水蒸気酸化スケール14を除去する。
酸液は、水蒸気酸化スケール14を表面から溶解するとともに、水蒸気酸化スケール14の亀裂14cから水蒸気酸化スケール14の内部に浸透したり、水蒸気酸化スケール14と蒸気管12の表面との隙間に浸透したりして水蒸気酸化スケール14を蒸気管12の内周面から離脱させることで、水蒸気酸化スケール14を除去する。
洗浄終了後は、水蒸気管12内の酸液をミキシングヘッダ34から本設排水ピット48へ排出する。本設排水ピット48で処理できない量の酸液が排出された場合は、仮設排水貯槽50へ一時的に貯留する。
酸液を排出したら、蒸気管12内を水洗する。水洗は、純水タンク40から純水を供給し、酸液を注入しないこと以外は上記と同様にして、純水を循環系内に水漲り循環させることにより行うことができる。また、純水タンク40からの純水を仮設循環管路26に供給しながら、一部を本設排水ピット48へ排出する押し出し洗浄により行っても良い。さらに、水洗作業中に中和防錆薬剤を蒸気管12内に供給してもよい。
上述したように、本実施形態に係る水蒸気酸化スケール14の除去方法によれば、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を200℃〜600℃の間で温度昇降を3回繰り返して、蒸気管12と水蒸気酸化スケール14との間に熱膨張差を発生させることにより、水蒸気酸化スケール14に亀裂14c又は剥離を発生させることができる。また、温度昇降を複数回繰り返すことで、多数の亀裂14cや剥離を発生させるとともに、剥離の程度を進行させることができる。
水蒸気酸化スケール14が形成された蒸気管12の内周面を酸液で洗浄すると、酸液が水蒸気酸化スケール14に形成された亀裂14cや剥離箇所から水蒸気酸化スケール14の内部に浸透して水蒸気酸化スケール14を溶解除去するとともに、水蒸気酸化スケール14と蒸気管12の内周面との隙間に浸透して水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との界面の密着力を緩和して水蒸気酸化スケール14を除去する。酸液による洗浄を実施する前に、本発明による温度昇降を複数回実施することにより、水蒸気酸化スケール14に多数の亀裂14cや剥離箇所が形成されているため、水蒸気酸化スケール14の溶解除去及び界面の密着力の緩和を短時間で実施することができるとともに、確実に水蒸気酸化スケール14を除去することができる。
また、2〜12質量%のクロムを含む低合金鋼から形成されている蒸気管12と水蒸気酸化スケール14との界面(図7参照)は、例えば、オーステナイトステンレス鋼と水蒸気酸化スケールとの界面(図5参照)と比べると凹凸が無くてスムーズなので、温度昇降を複数回繰り返すことにより、水蒸気酸化スケール14に亀裂14cや剥離を容易に発生させることができる。また、界面の凹凸が無くてスムーズなので、水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との隙間に浸透した酸液は、広範囲に拡散して、水蒸気酸化スケール14と蒸気管12との界面の密着力を効率良く緩和して水蒸気酸化スケール14を除去することができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。第二実施形態の水蒸気酸化スケール14の除去方法は、降温時の水蒸気中に冷却水を供給するものである。
本発明の第二実施形態に係る水蒸気酸化スケール14の除去方法は、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を、例えば600℃から降下させる際に、水蒸気中に冷却水を噴射する。これにより、短時間で蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を降下させることができる。短時間で温度を降下させることにより、冷却水を噴射しない場合と比べてより多くの亀裂14cや剥離を発生させることができる。
本実施形態では、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を600℃まで昇温し、その後、水蒸気中に冷却水を噴射しながら200℃まで降温させる温度昇降を3回繰り返す。
その後、第一実施形態と同様に、EDTA洗浄液からなる酸液を80℃〜150℃に加熱し、蒸気管12内を酸液で満たし、水蒸気酸化スケール14を除去する。
上述したように、本実施形態に係る水蒸気酸化スケール14の除去方法によれば、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を短時間で降下させるため、冷却水を噴射しない場合と比べて多くの亀裂14cや剥離を発生させることができる。これにより、酸液で洗浄する際に効率良く水蒸気酸化スケール14を除去することができる。
また、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を短時間で降下させるため、水蒸気酸化スケール14の除去作業時間を短縮することができる。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態の水蒸気酸化スケール14の除去方法は、有機酸を含む冷却水を水蒸気中に供給するものである。
本発明の第三実施形態に係る水蒸気酸化スケール14の除去方法は、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を、例えば600℃から降下させる際に、有機酸を含む冷却水を水蒸気中に噴射するものである。
有機酸を含む冷却水を水蒸気中に供給することにより、図6(A)に示すように、有機酸を含む冷却水が水蒸気酸化スケール14の亀裂14cを通って蒸気管12の内周面に接触する。この状態のまま所定時間放置すると、冷却水に含まれる有機酸によって、蒸気管12がわずかに腐食し、図6(B)に示すように、腐食物質16が亀裂14c内に生成される。その後、水蒸気の温度を徐々に上昇させて、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を昇温すると、水蒸気酸化スケール14及び蒸気管12が熱膨張する。そして、450℃以上になると、熱膨張率の大きい水蒸気酸化スケール14が膨張しようとするが、亀裂14cに腐食物質16が存在しているため、水蒸気酸化スケール14に圧縮応力が作用し、図6(C)に示すように、水蒸気酸化スケール14が剥離する。
蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を600℃まで昇温し、その後、水蒸気中に有機酸を含む冷却水を噴射しながら200℃まで降温させる温度昇降を3回繰り返す。
ここで、有機酸の濃度は1重量%以下に調整されている。有機酸の濃度が1重量%を超えると蒸気管12の腐食が進行して蒸気管12の強度を低下させるおそれがあるからである。本実施形態では、有機酸として、EDTA−2NH3を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、クリコール酸、マロン酸、クエン酸等を用いてもよい。なお、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸は蒸気管12を腐食させる能力が高いため、使用しないことが望ましい。
また、本実施形態では、有機酸の濃度を1重量%以下としたが、この値に限定されるものではなく、蒸気管12の材質等に基づいて決定される。
その後、第一実施形態と同様に、EDTA洗浄液からなる酸液を80℃〜150℃に加熱し、蒸気管12内を酸液で満たし、水蒸気酸化スケール14を除去する。
上述したように、本実施形態に係る水蒸気酸化スケール14の除去方法によれば、有機酸を含む冷却水を水蒸気中に供給することにより、水蒸気スケールの亀裂14c内に蒸気管12の腐食物質16を生成することができる。これにより、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14を昇温した際に、腐食物質16が無い場合と比べて水蒸気酸化スケール14に作用する圧縮応力を高めることで、水蒸気酸化スケール14の剥離を助長することができる。これにより、酸液で洗浄する際に効率良く水蒸気酸化スケール14を除去することができる。
また、有機酸の濃度は1重量%以下なので、蒸気管12の腐食はわずかであり、有機酸の腐食により蒸気管12の強度が低下することを防止できる。
なお、上述した各実施形態において、酸液として、EDTA−2NH3にNを添加した酸液を用いた場合について説明したが、これらに限定されるものではなく、例えば、クエン酸にアンモニアを添加した酸液を用いてもよい。
なお、上述した各実施形態において、水蒸気の温度を昇降することにより、蒸気管12及び水蒸気酸化スケール14の温度を昇降する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、コイルヒータ等の加熱装置を用いて昇温したり、冷風機等の冷却装置を用いて降温してもよい。
1 ボイラ
2 過熱器
4 高圧タービン
6 再熱器
8 中圧タービン
9 低圧タービン
10 復水器
12 蒸気管
14 水蒸気酸化スケール
14a 外層
14b 内層
14c 亀裂
16 腐食物質
20 仮設配管取付用アダプタ
22 仮設配管取付用アダプタ
24 ストップバルブ
26 仮設循環管路
28 スラッジセパレータ
30 テストピース座
32 熱交換器
34 ミキシングヘッダ
36 循環ポンプ
38 バイパス管
40 純水タンク
41 純水ポンプ
42 洗浄液供給装置
44 薬液タンク
46 薬注ポンプ
48 本設排水ピット
50 仮設排水貯槽

Claims (3)

  1. 水蒸気に晒されることにより母材金属の表面に形成される水蒸気酸化スケールを酸液で洗浄して前記水蒸気酸化スケールを除去する除去方法であって、
    前記酸液による洗浄を実施する前に、前記母材金属及び前記水蒸気酸化スケールの温度を所定の温度範囲内で昇降させる温度昇降を複数回繰り返して、前記母材金属と前記水蒸気酸化スケールとの間に熱膨張差を発生させることで、前記水蒸気酸化スケールに亀裂又は剥離を発生させ
    前記水蒸気の温度を降下して前記母材金属及び前記水蒸気酸化スケールの温度を降下させる際に、前記水蒸気中に冷却水を供給して前記母材金属及び前記水蒸気酸化スケールの温度の降下速度を増加させるとともに、
    前記冷却水は、有機酸を含んでおり、
    前記冷却水を水蒸気中に噴射した後、所定時間放置することを特徴とする水蒸気酸化スケールの除去方法。
  2. 前記有機酸の濃度は、1重量%以下であることを特徴とする請求項に記載の水蒸気酸化スケールの除去方法。
  3. 前記母材金属は、2〜12重量%のクロムを含む低合金鋼であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水蒸気酸化スケールの除去方法。
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