JP5640170B1 - ビールテイスト飲料 - Google Patents

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【課題】 本発明は、プリン体の含有量を抑えた上で、泡立ち性及び泡持ち性を向上させたビールテイスト飲料を提供することを目的とする。【解決手段】 プリン体が0.05mg/100ml未満であり、泡立ち量が300ml以上であり、泡持ち量が200ml以上であることを特徴とするビールテイスト飲料である。アルコールを実質的に含まないことが好ましい。エキス分が0.01質量%超2.0質量%未満であることが好ましい。麦由来のエキス分を実質的に含まないことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、プリン体の含有量を抑えた上で、泡立ち性及び泡持ち性を向上させたビールテイスト飲料に関する。
近年、消費者の健康意識・健康志向の向上に伴い、アルコール含有量が低いあるいはアルコールを含まないビールテイスト飲料の需要が高まっている。このビールテイスト飲料に、ビール様の風味、泡立ち及び泡持ちを付与するために、麦由来の材料が使用されることが多く行われている。
特許文献1は、ビール様の泡立ち及び泡持ちを付与した、ノンアルコールビールテイスト飲料に係る発明である。当該発明は、麦由来のエキス分の総量を0.1〜2重量%にしたこと、及び糖質量を0.2〜2.0g/100mlにしたことを特徴とする。 当該特許文献の段落0009には、麦由来のエキス分の量を調節することが泡の安定性に対して与える影響が大きいことが記載されている。麦由来のタンパク質や炭水化物等がビール様の泡立ちや泡持ちに寄与することは当業者の技術常識である。
特許文献1に開示された技術によって、泡の安定性が向上することが期待される。しかしながら、当該技術では麦由来のエキス分の存在を前提とするところ、消費者の健康意識・健康志向に必ずしも応えることができないものであった。その理由は、麦由来のエキス分には、プリン体が相当量含まれるからである。
特許第5006991号
上記の従来の技術に鑑み、本発明はプリン体の含有量を抑えた上で、泡立ち性及び泡持ち性を向上させたビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
本発明は以下の技術的構成を有することにより、本発明の課題を解決したものである。
(1)プリン体が0.05mg/100ml未満であり、泡立ち量が300ml以上であり、泡持ち量が200ml以上であることを特徴とするビールテイスト飲料。
(2)アルコールを実質的に含まないことを特徴とする前記(1)に記載のビールテイスト飲料。
(3)エキス分が0.01質量%超2.0質量%未満であることを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のビールテイスト飲料。
(4)麦由来のエキス分を実質的に含まないことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(5)pHが2.8〜3.9の範囲内にあることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(6)カロリーが5kcal/100ml未満であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(7)製造過程において発酵処理を伴わないことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(8)大豆多糖類を0.01質量%超0.12質量%未満含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(9)サポニンを0.0001質量%以上含有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(10)食物繊維を0.01質量%〜2.0質量%含有することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
本発明によれば、プリン体の含有量を抑えた上で、泡立ち性及び泡持ち性を向上させたビールテイスト飲料を提供することができる。
<ビールテイスト飲料>
本発明に係るビールテイスト飲料は、プリン体が0.05mg/100ml未満である。プリン体の含有量を0.05mg/100mlとしたのは、先行技術文献等と差別化できるからであるからである。例えば、ある麦由来エキス分0.1%を使用したビールテイスト飲料ではプリン体が0.05mg/100ml程度となるため、上記特許文献におけるビールテイスト飲料に含まれるプリン体量と、本発明におけるビールテイスト飲料に含まれるプリン体量は重複しない。
本発明におけるプリン体とは、アデニン、キサンチン、グアニン及びヒポキサンチンの総和を意味する。すなわち、ビールテイスト飲料に含まれるアデニン、キサンチン、グアニン及びヒポキサンチンをそれぞれ定量し、得られた4つの定量結果を合算したものである。
プリン体の含有量は低いほど好ましい。プリン体は0.03mg/100ml未満とすることが好ましく、0.02mg/100ml未満とすることがさらに好ましい。0.02mg/100mlとしたのは、後述するプリン体の測定方法における検出下限値であるからである。
本発明に係るビールテイスト飲料は後述する方法で測定した時の泡立ち量が300ml以上であることを特徴とする。
泡立ち量が300ml未満であると、消費者がビールテイスト飲料をグラス等に注いだときの泡立ち量が不十分であるため好ましくない。
泡立ち量の上限値は特に限定されないが、例えば400mlである。
本発明に係るビールテイスト飲料は後述する方法で測定した時の泡持ち量が200ml以上であることを特徴とする。
泡持ち量が200ml未満であると、消費者がビールテイスト飲料をグラス等に注いだ後に泡が消失しやすいことから好ましくない。
泡持ち量の上限値は泡立ち量と等しいことが理想であるが、泡立ち量が大きいほど泡持ち量が減少しやすい傾向にあることを鑑みると、300mlを目安にすることが好ましい。
泡持ち量と泡立ち量の比は0.4〜0.9の範囲にあることが好ましく、0.5〜0.8の範囲にあることがさらに好ましい。泡持ち量と泡立ち量の比が0.4未満では泡持ち量が不十分であり、0.9超では泡立ち量が不十分になりやすい傾向にある。
本発明に係るビールテイスト飲料はアルコールを実質的に含まないことが好ましい。アルコールを含むと消費者の健康意識・健康志向の要請に応えられないからである。
本発明においてアルコールを実質的に含まないとは、ビールテイスト飲料に含まれるアルコールが1%未満であることを意味する。健康意識・健康志向の要請に応えるためには、アルコールが低いほど好ましい。すなわち、ビールテイスト飲料に含まれるアルコールが0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることがさらに好ましい。アルコールは酵母等の発酵工程によって生じるため、ビールテイスト飲料の製造工程が発酵工程を伴うものでなければアルコールを含有しない。すなわち、0.00%とすることができるため好ましい。
ビールテイスト飲料のアルコール度数は、飲料中のアルコール分の含有量(v/v%)を意味する。
本発明に係るビールテイスト飲料に含まれる全エキス分は、0.01質量%超2.0質量%未満であることが好ましい。全エキス分とは、ビールテイスト飲料を構成する各材料に基づくエキス分の総和をいう。エキス分は各材料あるいはその由来によって異なる。
全エキス分が0.01質量%以下では泡立ち及び泡持ちが不十分である。
全エキス分が2.0質量%以上になると、糖質、カロリーおよびプリン体が多く含まれやすくなるため、消費者の健康意識・健康志向の要請に応えにくく好ましくない。
本発明に係るビールテイスト飲料は、麦由来のエキス分を実質的に含まないことが好ましい。麦由来のエキス分を含むあるいは使用すると、プリン体が多くなってしまうからである。
麦由来のエキス分を実質的に含まないとは、ビールテイスト飲料に含まれるプリン体量(0.05mg/100ml未満)に影響を与えない範囲で、麦由来のエキス分を含んでも良いという趣旨である。
本発明に係るビールテイスト飲料のpHは2.8〜3.9の範囲内にあることが好ましい。
pHが2.8未満になると、ビールテイスト飲料を充填する容器の腐食・劣化が生じやすくなり好ましくない。
pHが3.9超になると、ビール様の風味を得にくくなり好ましくない。
本発明に係るビールテイスト飲料のカロリーは5kcal/100ml未満であることが好ましい。カロリーが少なくなるほど、ビールテイスト飲料に含まれるタンパク質や炭水化物等の量が少なくなるため、泡立ちや泡持ちを向上することが難しい傾向にある。
5kcal/100ml以上では、消費者の健康意識・健康志向の要請に応えることができないため好ましくない。
ビールテイスト飲料のカロリーの下限値は特に限定されないが、消費者の健康意識・健康志向の要請に応える観点からは0kcal/100mlであることが好ましい。消費者の健康意識・健康志向の要請に加え、泡立ちや泡持ちを考慮すると、0kcal/100ml以上1kcal/100ml以下とすることが好ましい。
本発明に係るビールテイスト飲料を製造するには、以下に示すように、例えば大豆多糖類とサポニンの組み合わせ、及び大豆多糖類とサポニンと食物繊維を組み合わせることで製造することができる。
(大豆多糖類)
本発明に係るビールテイスト飲料に、大豆多糖類を0.01質量%超0.12質量%未満含有させることによって、プリン体0.05mg/100ml未満を維持した上で、泡立ち、泡持ち及び泡質が向上する効果を得ることができる。泡立ち、泡持ち及び泡質は、大豆多糖類とサポニンあるいは食物繊維を併用することによって、更に効果が向上する。
大豆多糖類の含有量が0.01質量%以下では、プリン体0.05mg/100ml未満を維持することはできるものの、泡立ち、泡持ち及び泡質は向上しない。
大豆多糖類の含有量が0.12質量%以上では、泡立ち、泡持ち及び泡質は向上するものの、プリン体0.05mg/100ml未満を維持することはできない。
大豆多糖類は市販されているものを使用すればよい。具体的には、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ社製のSM−700、不二製油社製のソヤファイブ等が挙げられる。これらの製品は水溶性に優れているため、本発明にかかるビールテイスト飲料に好ましく使用することができる。
(サポニン)
大豆多糖類0.01質量%超0.12質量%未満を含むビールテイスト飲料に、サポニンを0.0001質量%以上含ませることによって、プリン体0.05mg/100ml未満を維持した上で、泡立ち及び泡持ちが向上する効果を得ることができる。
サポニンの含有量が0.0001質量%未満では、泡立ち及び泡持ちが向上する効果を得ることはできない。
サポニンの含有量の上限値は特に限定されないが、例えば、0.01%である。0.01%超含有させても泡立ち及び泡持ちが向上する効果は得られにくく、不経済である。サポニンの含有量の上限値は0.0030質量%であることがより好ましい。サポニンの含有量が0.0030質量%超では、泡立ち及び泡持ちは向上するものの、泡質が悪くなる(洗剤様のきめの細かい泡)ことに加え、香味が悪くなるため、ビール様のビールテイスト飲料を得ることが難しいからである。
なお、ビールテイスト飲料に大豆多糖類を含有させず、サポニンを単独で含有させた場合、泡立ちは向上するものの泡持ちが向上する効果は得られない。すなわち、大豆多糖類とサポニンを併用することによる相乗効果を見出してなされたものが本発明である。
サポニンとしては、トリテルペンやステロイドに糖が結合した配糖体であれば特に限定されるものではないが、例えば、バラ科キラヤの樹皮から抽出されたキラヤサポニンや大豆サポニンが挙げられる。キラヤサポニンとして具体的には、丸善製薬社製のキラヤニンが挙げられる。
(食物繊維)
大豆多糖類を0.01質量%超0.20質量%未満と、サポニンを0.0001質量%〜0.0030質量%含ませたビールテイスト飲料に、更に食物繊維を0.01質量%〜2.0質量%含有させることによって泡質及び香味を向上させることができる。
食物繊維の含有量が0.01質量%未満であると、泡質及び香味が向上する効果を得ることはできない。
食物繊維の含有量が2.0質量%超であると、泡質及び香味の効果はほとんど向上せず非経済的である。
食物繊維は難消化性食物繊維であることが好ましい。例えば、食物繊維を接触還元すること等により、食物繊維を構成する分子に水素を添加し、糖アルコールとしたものである。難消化性食物繊維は消化管で吸収されにくく、低カロリーのビールテイスト飲料を得やすくなるため好ましい。
難消化性の食物繊維として具体的には、ダニスコ社製ライテスIIIが挙げられる。当該製品は水に溶けた状態で市販されているものであり、水溶性に優れている。
(その他の原料)
本発明の構成及び作用効果を妨げない範囲で、本発明に係るビールテイスト飲料には、その他の原料を配合することができる。その他の原料としては、例えば、カラメル色素等の着色料、コーンや大豆などの植物タンパク質およびペプチド含有物、牛血清アルブミン等の動物系タンパク質およびペプチド含有物、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤、酸味料、苦味料、甘味料、香料、炭酸等を挙げることができる。
本発明におけるビールテイスト飲料は、炭酸ガスを含むものである。本発明における炭酸ガス圧は、約20℃において測定される炭酸ガス圧をいう。炭酸ガス圧は、0.1〜0.3MPaの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.3MPaである。炭酸ガス圧は、国税庁所定分析法に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定した値を意味する。
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
<実施例>
(評価1)泡立ち、泡持ち、泡質、香味
各製造例のビールテイスト飲料をそれぞれ5℃で3時間冷却した。冷却後の各ビールテイスト飲料の全量を漏斗を用いて500ml容ガラス製メスシリンダー(柴田化学社製)に35cmの高さから5秒間かけて一気に注ぎ入れた。注入直後、上昇した泡の最上部の目盛りを記録し、泡立ち量とした。また、泡立ち量について、目視で観察し、表1に記載の基準により評価した。次いで、そのまま5分静置後、泡の高さを測定し、泡持ち量とした。また、5分経過後の泡持ち性について、目視で観察し、表1に記載の基準により評価した。あわせて、泡質および香味についても、表1に記載の基準により評価した。
(評価2)プリン体の分析

各製造例のビールテイスト飲料をそれぞれ5g秤量し、1−プロパノールを2ml加えたのち、濃縮処理を行った。1mlになるまで濃縮処理を行った後、60%過塩素酸を5ml添加し、105℃で30分間加水分解を行った。各処理物を50mlになるように蒸留水で定容し、ろ紙(アドバンテック社製 No.6)で濾過を行った。濾液を5ml分取し、0.5mol/lの酢酸アンモニウム水溶液にてpHを2.5〜2.6に調整した。pH調整後、0.5mol/l酢酸水溶液で50mlに定容し、さらに0.5mol/l酢酸水溶液にて10倍希釈した後、液体クロマトグラフにてアデニン、キサンチン、グアニン及びヒポキサンチンの質量分析を行った。液体クロマトグラフは下記の測定条件で行った。

(測定条件)

機種(LC部):Agilent Technologies社製 1290 infinityシリーズ;

検出器(MS部):Agilent Technologies社製 6490;

カラム:Supelco社製 Discovery HS F5 2.1×150mm、3μm;

移動相:(A液)水:酢酸=1000:1

(B液)メタノール:酢酸=1000:1;
グラジエント:A液及びB液の混液(100:0)0min A液及びB液の混液(100:0)0min→7min
A液及びB液の混液(90:10)7min→14.5min;

カラム温度:40℃;

流量:0.2ml/min;

イオン化法:ESI(正イオン検出モード);

設定質量数(m/z):(アデニン)136→119

(キサンチン)153→110

(グアニン)152→135

(ヒポキサンチン)137→110;

フラグメント電圧:380V;

コリジョンガス:窒素;

コリジョンエネルギー:(アデニン)21eV

(キサンチン)17eV

(グアニン)17eV
(ヒポキサンチン)21eV
(評価3)アルコール分及びエキス分の測定
本発明におけるアルコール分及びエキス分の測定は、第四回改正国税庁所定分析法注解(平成5年2月20日、第四回改正版、財団法人日本醸造協会発行)を用いて行った。
(評価4)カロリーの測定
カロリーは、健康増進法に関連して公表されている「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」に基づいて測定した値である。当該測定方法は各種の分析機関においても測定することが可能であり、例えば、日本食品分析センターに依頼すれば、ビールテイスト飲料に含まれるカロリーを知ることができる。
(大豆多糖類水溶液原液の調製)
蒸留水を撹拌しながら大豆多糖類(不二製油社製、商品名ソヤファイブS−LN)を投入した。室温で10分間撹拌して大豆多糖類を溶解した後、大豆多糖類の濃度が2%(w/v)水溶液になるように蒸留水を加え、大豆多糖類水溶液原液を得た。
(サポニン水溶液原液の調製)
蒸留水を撹拌しながらサポニン(丸善製薬社製、商品名キラヤニンP−20)を投入した。室温で10分間撹拌してサポニンを溶解した後、サポニンの濃度が0.5%(w/v)水溶液になるように蒸留水を加え、サポニン水溶液原液を得た。
(食物繊維水溶液の調製) 食物繊維として、ダニスコジャパン社製のライテスIIIシロップを使用した。当該製品は水に食物繊維が溶解した水溶液として市販されている。後述する表2〜4においては、当該製品に含まれるエキス分を記載した。
(ビールテイスト飲料の調製1:製造例1〜5)

大豆多糖類の効果を検討した。

大豆多糖類水溶液原液に蒸留水を加え、大豆多糖類の濃度が0.02%(w/v)の水溶液を得た。当該水溶液80mlを160ml容量のアルミ缶(無地缶:ユニバーサル製缶株式会社製)に分注し、続けて当該アルミ缶に炭酸水(野中食品工業有限会社製 商品名Kagetsu)を80ml添加した後、蓋(200径炭酸蓋:ユニバーサル製缶株式会社製)をして製造例1に示す大豆多糖類の濃度が0.01%(w/v)のビールテイスト飲料を作成した。
なお、製造例1のビールテイスト飲料のガス圧は0.18MPaであった。ガス圧については、後述する他の製造例においても同様に0.18MPaであった。
大豆多糖類水溶液原液の希釈倍率を変更した以外は製造例1と同様にして、表2に示す終濃度を有する製造例1〜5のビールテイスト飲料を作成した。
製造例1〜5から、大豆多糖類の濃度を高めるにつれて、泡立ち、泡持ち、泡質ともに良好となる傾向が認められた。しかしながら、大豆多糖類の添加量が0.12%以上になると、ビールテイスト100mlあたりのプリン体が0.05mg以上となることを確認した(表2〜4におけるプリン体の欄において、◎はプリン体が0.02mg/100ml以下であるもの、○はプリン体が0.02mg/100ml超0.05mg/100ml未満であるもの、×はプリン体が0.05mg/100ml以上であるものを示す)。上記の結果から、大豆多糖類単独ではプリン体の含有量を抑えた上で、十分な泡立ち性及び泡持ち性を得ることは難しいことを確認した。
(ビールテイスト飲料の調製2:製造例6〜15)
次に、サポニンの効果を確認した。 サポニン水溶液原液に蒸留水を加え、サポニンの濃度が0.0018%(w/v)の水溶液を得た。当該水溶液80mlを160ml容量のアルミ缶(無地缶:ユニバーサル製缶株式会社製)に分注し、続けて当該アルミ缶に炭酸水(野中食品工業有限会社製 商品名Kagetsu)を80ml添加した後、蓋(200径炭酸蓋:ユニバーサル製缶株式会社製)をして製造例6に示すサポニンの濃度が0.00090%(w/v)のビールテイスト飲料を作成した。
サポニン水溶液原液の希釈倍率を変更したことと、表3に示す大豆多糖類の終濃度になるように大豆多糖類水溶液原液を添加した以外は製造例6と同様にして、表3に示す終濃度を有する製造例6〜15のビールテイスト飲料を作成した。
製造例6及び7から、サポニンを添加することによって泡立ち効果は認められるが、サポニン単独では泡持ち、泡質に効果がないことを確認した。 次に製造例8〜15から、大豆多糖類とサポニンを併用した場合の効果を検証した。 製造例8及び9から、大豆多糖類濃度が0.01質量%の場合、泡持ちが若干良くなるものの、泡立ち及び泡持ちが十分ではないことを確認した。すなわち、サポニン単独では泡持ちに効果が見られなかったものの、サポニンと大豆多糖類を併用することによって、泡持ちが向上することを確認した。 製造例10〜12から、大豆多糖類濃度が0.05質量%の場合、サポニンを多く添加すると泡立ち、泡持ちが良くなるが、泡質が悪くなる傾向が認められた。特に、製造例12においてはプリン体の含有量を抑えた上で、十分な泡立ち性及び泡持ち性が得られることを確認した。 製造例13〜15から、大豆多糖類を多く添加することで、泡立ち、泡持ちが良くなるが、サポニンが多すぎると泡質が悪くなること(洗剤様のきめの粗い泡)を確認した。 製造例6〜15から、プリン体の含有量を抑えた上で、十分な泡立ち性及び泡持ち性が得られる配合量を確認した。他方、当該製造例におけるビールテイスト飲料の泡質及び香味については改善の余地があるものであった。 なお、サポニンの添加量はごくわずかであるため、プリン体の検出に影響を与えるものではないことを確認した。
(ビールテイスト飲料の調製3:製造例16〜31)
次に、食物繊維を併用した場合の効果を確認した。 大豆多糖類水溶液原液、サポニン水溶液原液及び食物繊維水溶液を終濃度が表4に示す2倍量となるように混合した後、この混合液80mlを160ml容量のアルミ缶(無地缶:ユニバーサル製缶株式会社製)に分注し、続けて当該アルミ缶に炭酸水(野中食品工業有限会社製 商品名Kagetsu)を80ml添加した後、蓋(200径炭酸蓋:ユニバーサル製缶株式会社製)をして製造例16〜31に示すビールテイスト飲料を作成した。
製造例11に示す配合に食物繊維を添加したものが製造例16、17である。製造例16は製造例11に比べ泡立ち及び泡持ちが向上した。製造例11と製造例17を比較すると、食物繊維を加えることで、プリン体0.05mg/100ml以下を維持した上で、泡立ち、泡持ち、泡質ともに良好となった。あわせて、コクが増し香味が改善された。この傾向は製造例27(製造例10に食物繊維を添加したもの)でも認められた。大豆多糖類とサポニンに食物繊維を併用したことによる効果であると推測されるが、製造例22(製造例8に食物繊維を添加したもの)では効果に差は認められなかったことから、大豆多糖類を0.01質量%超含ませることが必要であると考えられる。 製造例17〜21、23〜26及び28〜30のビールテイスト飲料は、プリン体の含有量を抑えた上で、十分な泡立ち性及び泡持ち性を有し、かつ十分な泡質及び香味が得られるものであった。 他方、サポニンを添加すると泡立ち、泡持ちが良くなるが、製造例31のようにサポニンの含有量が多くなると泡質が悪くなり(洗剤様のきめの粗い泡)、香味も悪くなる傾向が認められた。 なお、製造例1〜31のビールテイスト飲料は、発酵処理を伴わないことから、当該飲料に含まれるアルコールは0.00質量%であった。

Claims (9)

  1. 大豆多糖類を0.01質量%超0.12質量%未満含有し、サポニンを0.0001質量%以上0.0030質量%以下含有するビールテイスト飲料であって、
    プリン体が0.05mg/100ml未満であり、泡立ち量が300ml以上であり、泡持ち量が200ml以上であることを特徴とするビールテイスト飲料。
  2. アルコールを実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. エキス分が0.01質量%超2.0質量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 麦由来のエキス分を実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  5. pHが2.8〜3.9の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  6. カロリーが5kcal/100ml未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  7. 製造過程において発酵処理を伴わないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  8. 炭酸ガス圧が0.1〜0.3MPaの範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  9. 食物繊維を0.01質量%〜2.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
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