JP5638470B2 - 半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 - Google Patents

半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、I−III−VI族化合物を含む半導体層の製造方法およびそれを用いた光電変
換装置の製造方法に関するものである。
太陽電池として、CIGS等のカルコパライト系のI−III−VI族化合物を含む光吸収層を具備する光電変換装置を用いたものがある。このような光電変換装置は、ソーダライムガラスを含む基板を有している。この基板上には、裏面電極となる、例えば、Moを含む第1の電極層が形成されている。そして、この第1の電極層上に、光吸収層としてI−III−VI族化合物を含む第1の半導体層が形成されている。さらに、その第1の半導体層上には、バッファ層としてZnSおよびCdS等から選ばれる第2の半導体層が形成されている。さらに、この第2の半導体層上には、ZnO等を含む透明の第2の電極層が形成されている。
このような第1の半導体層を形成するための製法としては、以下のような方法が開示されている。
特許文献1には、1つの有機化合物内にCuと、Seと、InもしくはGaとを存在させた化合物である単一源前駆体(Single Source Precursor)を用いて、Cu(In,Ga)Se半導体層を形成することが記載されている。
米国特許第6992202号明細書
しかしながら、上記単一源前駆体を用いた製法では、第1の半導体層の組成、すなわちCu/(In+Ga)のモル比の制御が困難であり、光電変換効率の向上には限界がある。そこで本発明の目的は、光電変換装置の光電変換効率をさらに向上させることを目的とする。
本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法は、第1のカルコゲン元素含有有機化合物、ルイス塩基、I−B族元素および第1のIII−B族元素を含む第1化合物を準備する工程と、第2のカルコゲン元素含有有機化合物、第2のIII−B族元素およびアンモニウムイオンを含む第2化合物を準備する工程と、前記第1化合物、前記第2化合物および有機溶媒を含む半導体層形成用溶液を作製する工程と、該半導体層形成用溶液を用いてI−III−VI族化合物を含む半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、上記の半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明によれば、光電変換装置の光電変換効率を向上させることが可能となる。
光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1の光電変換装置の断面図である。
以下に本発明の実施形態に係る半導体層の製造方法、光電変換装置の製造方法および半導体形成用溶液について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る半導体層の製造方法を用いて作製した光電変換装置の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。光電変換装置11は、基板1と、第1の電極層2と、I−III−VI族化合物を含む半導体層である第1の半導体層3と、第2の半導体層4と、第2の電極層5とを具備している。なお、これに限定されず、第2の半導体層4がI−III−VI族化合物を含む半導体層であってもよい。
第1の半導体層3と第2の半導体層4とは導電型が異なっており、これらが電気的に接続されている。これにより、電荷を良好に取り出すことが可能な光電変換体が形成される。例えば、第1の半導体層3がp型であれば、第2の半導体層4はn型である。なお、第1の半導体層3と第2の半導体層4との間に高抵抗のバッファ層が介在していてもよい。本実施形態では、第1の半導体層3が一方導電型の光吸収層であり、第2の半導体層4がバッファ層と他方導電型半導体層とを兼ねている例を示している。
また、本実施形態における光電変換装置11は、第2の電極層5側から光が入射されるものを想定しているが、これに限定されず、基板1側から光が入射されるものであってもよい。
図1、図2において、複数の光電変換セル10が並べられて互いに電気的に接続され、光電変換装置11が構成されている。光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。図1、図2においては、この第3の電極層6は、隣接する光電変換セル10の第1の電極層2が延伸されたものである。この構成により、隣接する光電変換セル10同士が直列接続されている。なお、一つの光電変換セル10内において、接続導体7は第1の半導体層3および第2の半導体層4を貫通するように設けられており、第1の電極層2と第2の電極層5とで挟まれた第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光電変換が行なわれる。
基板1は、光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。
第1の電極層2および第3の電極層6は、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体が用いられ、基板1上にスパッタリング法または蒸着法等で形成される。
第1の半導体層3はI−III−VI族化合物を含んでいる。I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素(13族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物であり、カルコパイライト構造を有し、カルコパイライト系化合物と呼ばれる(CIS系化合物ともいう)。I−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSSともいう)、およびCuInSe(CISともいう)が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、CuとInとGaとSeとを主に含んだ化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、CuとInとGaとSeとSとを主に含んだ化合物をいう。このようなI−III−VI族化合物は光電変換効率が高く、10μm以下の薄層として用いても有効な起電力を得ることができる。
このような第1の半導体層3は、次のようにして作製される。先ず、第1の半導体層3を形成するための半導体層形成用溶液が準備される。そして、この半導体層形成用溶液を用いて皮膜が形成され、この皮膜が熱処理されることにより、第1の半導体層3となる。このような半導体層形成用溶液は、第1化合物を準備する工程と、第2化合物を準備する工程と、半導体層形成用溶液を作製する工程とにより作製される。以下にそれぞれの工程を詳細に説明する。
<<第1化合物を準備する工程>>
第1化合物は、第1のカルコゲン元素含有有機化合物とルイス塩基とI−B族元素と第1のIII−B族元素とを1つの錯体分子内に含んでいる。すなわち、第1化合物は、I−III−VI族化合物を構成する元素である、I−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素をすべて含んでいる。そして、これらの元素の化学反応でI−III−VI族化合物を形成し得る。よって、第1化合物を単一源前駆体ということもある。
カルコゲン元素含有有機化合物は、カルコゲン元素(カルコゲン元素とはVI−B族元素のうちのS、Se、Teをいう)を有する有機化合物であり、炭素元素とカルコゲン元素との共有結合を有する有機化合物である。カルコゲン元素含有有機化合物は、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、スルホキシド、スルホン、チオケトン、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸アミド、セレノール、セレニド、ジセレニド、セレノキシド、セレノン、テルロール、テルリド、ジテルリド等がある。特に、配位力が高く金属元素と安定な錯体を形成しやすいという観点からは、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニド、ジセレニド、テルロール、テルリド、ジテルリドが用いられてもよい。
ルイス塩基は、非共有電子対を有する化合物である。ルイス塩基としては、非共有電子対を有するV−B族元素(15族元素ともいう)を具備した官能基や非共有電子対を有するVI−B族元素を具備した官能基を有する有機化合物が用いられる。
第1化合物の一例を構造式1に示す。式中、R’−E’は第1のカルコゲン元素含有有機化合物(R’は有機化合物、E’はカルコゲン元素である)である。また、Lは第1のルイス塩基である。また、MはI−B族元素である。また、MIII’は第1のIII−B族元素である。
Figure 0005638470
このような第1化合物は以下のようにして作製される。第1化合物の作製方法は、第1錯体溶液の作製工程と、第2錯体溶液の作製工程と、第1化合物を有する沈殿物の作製工程とを具備している。以下にそれぞれの工程を詳細に説明する。
<第1錯体溶液の作製工程>
まず、ルイス塩基と、I−B族元素とを含む第1錯体が存在する第1錯体溶液が作製される。ルイス塩基としては、P(C、As(C、N(C等のV−B族元素(15族元素ともいう)を含む有機化合物が用いられてもよい。また、I−B族元素の原料としては、Cu(CHCN)・PF等の有機金属錯体が挙げられる。この有機金属錯体に用いられる有機配位子としては上記ルイス塩基よりも塩基性が弱いものがよい。また、第1錯体溶液の有機溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
ルイス塩基をLとし、I−B族元素の有機金属錯体を[M ](X)とし、第1錯体を[L (m−n)(X)としたときに、上記第1錯体を形成する反応は、反応式1のように表される。このとき、MはI−B族元素、Rは任意の有機配位子、(X)は任意の陰イオンを示す。
Figure 0005638470
反応式1の具体例として、例えば、ルイス塩基LがP(C、I−B族元素の有機金属錯体[M’R’](X’)がCu(CHCN)・PFの場合は、第1錯体[LM’R’(m−n)(X’)が{P(CCu(CHCN)・PFとして生成する。
<第2錯体溶液の作製工程>
第1のカルコゲン元素含有有機化合物と第1のIII−B族元素とを含む第2錯体が存在する第2錯体溶液が作製される。第1のカルコゲン元素含有有機化合物としては、フェニルセレノール、ジフェニルジセレニド等が用いられてもよい。また、第1のIII−B族元素の原料としては、InCl、GaCl等の金属塩が挙げられる。また、第2錯体溶液の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
カルコゲン元素をE'とし、第1のカルコゲン元素含有有機化合物の金属塩をA(E'R’)とし、第1のIII−B族元素の金属塩をMIII’(X)とし、第2錯体をA[MIII’(E’R’)としたときに、上記第2錯体を形成する反応は、反応式2のように表される。このとき、R’は有機化合物、Aは任意の陽イオン、MIII’は第1のIII−B族元素、Xは任意の陰イオンを示す。なお、第1のカルコゲン元素含有有機化合物の金属塩A(E’R’)は、NaOCHのような金属アルコキシドとフェニルセレノール(HSeC)のような第1のカルコゲン元素含有有機化合物とを反応させることによって得られる。
Figure 0005638470
反応式2の具体例として、例えば、第1のカルコゲン元素含有有機化合物の金属塩A(E’R’)がNaSeC、第1のIII−B族元素の金属塩MIII’(X)がInClまたはGaCl、の場合は、第2錯体A[MIII’(E’R’)]が、Na[In(SeC)]またはNa[Ga(SeC)]として生成する。
なお、第2錯体溶液に含まれる第1のIII−B族元素は、1種類に限らず、複数種類が含まれていてもよい。例えば、InとGaの両方が第2錯体溶液中に含まれてもよい。そのような第2錯体溶液は、第2錯体溶液の原料として複数種の第1のIII−B族元素の金属塩の混合体が用いられることによって作製される。あるいは、1種類の第1のIII−B族元素を含む第2錯体溶液が、各第1のIII−B族元素ごとに作製され、これらが混合されることによって作製されてもよい。
<第1化合物を有する沈殿物の作製工程>
上記のようにして作製された第1錯体溶液と第2錯体溶液とが混合されることにより、第1錯体と第2錯体とが反応し、Cu等のI−B族元素、InやGa等の第1のIII−B族元素、および、Se等のカルコゲン元素を含有する第1化合物を含む沈殿物が生じる。このような第1化合物[L(E’R’)III’(E’R’)]を形成する反応は、反応式3のように表される。
Figure 0005638470
反応式3の具体例として、第1錯体が{P(CCu(CHCN)・PF、第2錯体がNa[MIII’(SeC)](MIII’はInおよび/またはGaである)の場合は、第1化合物は{P(CCu(SeC)III’(SeC)として生成する。
そして、この第1化合物を含む沈殿物と沈殿物の上方の溶液とが分離され、溶液部分が排出され、乾燥されることにより、第1化合物を含む沈殿物が取り出される。
第1錯体と第2錯体との反応の際に設定される温度は、例えば0〜30℃である。また、この反応の時間は、例えば1〜5時間である。反応によって生じた沈殿物は、NaやClなどの不純物の除去のために、遠心分離もしくは濾過などの手法を用いて洗浄されてもよい。
<<第2化合物を準備する工程>>
次に、第2化合物を準備する工程を示す。第2化合物は、第2のカルコゲン元素含有有機化合物と第2のIII−B族元素とアンモニウムイオンとを含んでいる。つまり、第2化合物は、第2のカルコゲン元素含有有機化合物が第2のIII−B族元素に配位した錯体のアンモニウム塩であり、例えば、構造式2のように表わされる。構造式2において、MIII’’は第2のIII−B族元素であり、R''−E''はカルコゲン元素含有有機化合物(R''は有機化合物、E''はカルコゲン元素である)である。第2錯体の具体例としては、MIII’’がInまたはGaであり、R''−E''がフェニルセレノールまたはジフェニルジセレニドであるものが挙げられる。
Figure 0005638470
なお、第2のカルコゲン元素含有有機化合物は、上記第1のカルコゲン元素含有有機化合物と同じであってもよく、異なるものであってもよい。また、第2のIII−B族元素は、上記第1のIII−B族元素と同じであってもよく、異なるものであってもよい。
このような第2化合物は、カルコゲン元素含有有機化合物のアンモニウム塩を含む溶媒に、III−B族元素が溶解されることによって作製される。上記溶媒としては、カルコゲン元素含有有機化合物のアンモニウム塩を溶解可能な有機溶媒が用いられ、例えば、メタノールが挙げられる。III−B族元素は、金属の状態、金属塩の状態、または有機配位子が配位した有機金属錯体の状態で、上記カルコゲン元素含有有機化合物のアンモニウム塩が溶解した溶媒に溶解される。そして、この溶液に非極性溶媒や低極性溶媒が添加されることによって第2化合物が析出する。この第2化合物の析出に用いられる非極性溶媒や低極性溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、四塩化炭素、ベンゼン等の非極性溶媒が用いられてもよく、または、第2化合物を溶解する溶媒よりも極性が低い低極性溶媒が用いられてもよい。
第2化合物はアンモニウム塩となっているため、この第2化合物を原料として半導体層を形成した場合でも、アンモニウムイオンはアンモニア等となって気化しやすく、半導体層中に不純物が残存するのを有効に低減できる。
<<半導体層形成用溶液を作製する工程>>
上述した第1化合物と、上述した第2化合物とが有機溶媒に溶解されることにより、半導体層形成用溶液が作製される。このように第1化合物と第2化合物とを混合することにより、I−B族元素とIII−B族元素とのモル比を容易に調整することが可能となり、光電変換効率の高い第1の半導体層3の作製が容易となる。
また、第2化合物は、第2のIII−B族元素を取り囲むように第2のカルコゲン元素含有有機化合物が存在することによって、第1化合物との親和性が高くなる。そのため、このような半導体層形成用溶液を用いて皮膜が形成された際には、第1化合物と第2化合物とが良好に近づきあい、第1化合物と第2化合物とが相分離することなく、良好に分散した状態となる。さらに、第2のIII−B族元素を取り囲むように第2のカルコゲン元素含有有機化合物が存在することによって、第2のIII−B族元素のカルコゲン化が起こりやすくなる。その結果、皮膜が熱処理された際に、第1化合物に含まれるI−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素と、第2化合物に含まれるIII−B族元素およびVI−B族元素とが良好に反応して、I−III−VI族化合物が良好に生成する。
半導体層形成用溶液の作製に用いられる有機溶媒としては、第1化合物および第2化合物が溶解可能なものが用いられる。このような有機溶媒としては、例えば、ピリジン、アセトン等が用いられる。
上記のようにして作製された半導体層形成用溶液が、第1の電極2を有する基板1の表面に、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレーまたはダイコータなどを用いて塗布され、乾燥されることによって、皮膜が形成される。乾燥は、還元雰囲気下で行なわれてもよい。乾燥時の温度は、例えば、50〜300℃であってもよい。
そして、上記皮膜が熱処理されて、1〜2.5μmの厚みの第1の半導体層3が作製される。熱処理は、酸化を防止して良好な第1の半導体層3とするために、還元雰囲気で熱処理されてもよい。熱処理における還元雰囲気としては、窒素雰囲気、フォーミングガス雰囲気および水素雰囲気等のいずれであってもよい。熱処理温度は、例えば、400℃〜600℃であってもよい。
上記熱処理において、皮膜中の金属元素は、皮膜中にカルコゲン元素含有有機化合物として含まれているカルコゲン元素と反応し、I−III−VI族化合物を形成可能である。なお、金属元素のカルコゲン化をより促進するため、半導体層形成用溶液に上記第1化合物および第2化合物以外にカルコゲン元素が別途溶解されていてもよい。また、皮膜が熱処理される際に、雰囲気中にカルコゲン元素が含まれていてもよい。これにより蒸発等によって不足しやすいカルコゲン元素が十分に供給され、所望の組成比の第1の半導体層3が良好に形成されやすくなる。
以上のような半導体層形成用溶液を用いることにより、所望の組成比の第1の半導体層3を容易に形成することができ、この第1の半導体層3を具備する光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
光電変換装置10では、第1の半導体層3上に第1の半導体層3とは異なる導電型の第2の半導体層4が形成される。第1半導体層3および第2半導体層4は、一方がn型で他方がp型の異なる導電型を有しており、これらがpn接合している。または、第1半導体層3がp型であり第2半導体層4がn型であってもよく、逆の関係であってもよい。なお、第1半導体層3および第2半導体層4によるpn接合は、第1半導体層3と第2半導体層4とが直接接合しているものに限らない。例えば、これらの間に第1半導体層3と同じ導電型の他の半導体層かまたは第2半導体層4と同じ導電型の他の半導体層をさらに有していてもよい。また、第1半導体層3と第2半導体層4との間に、i型の半導体層を有するpin接合であってもよい。
第2半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。この場合、第2半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で10〜200nmの厚みで形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとを主に含む化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとを主に含む化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとを主に含む化合物をいう。
第2の電極層5は、ITO、ZnO等の0.05〜3μmの透明導電膜である。透光性および導電性を高めるため、第2の電極層5は第2の半導体層4と同じ導電型の半導体で構成されてもよい。第2の電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。第2の電極層5は、第2の半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、第1の半導体層3で生じた電荷を取り出すためのものである。電荷を良好に取り出すという観点からは、第2の電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であってもよい。
第2の電極層5は第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3の吸収光に対して光透過性を有していてもよい。光透過性を高めるとともに光電変換によって生じた電流を良好に伝送するという観点から、第2の電極層5は0.05〜0.5μmの厚さであってもよい。また、第2の電極層5と第2の半導体層4との界面での光反射を低減するという観点から、第2の電極層5と第2の半導体層4の屈折率差は小さくてもよい。
光電変換セル10は、複数個が並べられて電気的に接続され、光電変換装置11と成る。隣接する光電変換セル10同士を容易に直列接続するために、図1に示すように、光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
図1において、接続導体7は、第1の半導体層3、第2の半導体層4および第2の電極層5を貫通する溝内に、導電性ペースト等の導体が充填されて形成されている。接続導体7はこれに限定されず、第2の電極層5が延長されて形成されていてもよい。
また、図1、図2に示すように、第2の電極層5上に集電電極8が形成されていてもよい。集電電極8は、第2の電極層5の電気抵抗を小さくするためのものである。集電電極8は、例えば、図1に示すように、光電変換セル10の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3の光電変換によって生じた電流が第2の電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル10に良好に導電される。よって、集電電極8が設けられていることにより、第1の半導体層3への光透過率を高めるために第2電極層5を薄くした場合でも、第1の半導体層3で発生した電流を効率よく取り出すことができる。その結果、光電変換効率を高めることができる。
集電電極8は、第1の半導体層3への光透過率を高めるとともに良好な導電性を有するという観点から、50〜400μmの幅を有していてもよい。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
1:基板
2:第1の電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
11:光電変換装置

Claims (3)

  1. 第1のカルコゲン元素含有有機化合物、ルイス塩基、I−B族元素および第1のIIIB
    族元素を含む第1化合物を準備する工程と、
    第2のカルコゲン元素含有有機化合物、第2のIII−B族元素およびアンモニウムイオン
    を含む第2化合物を準備する工程と、
    前記第1化合物、前記第2化合物および有機溶媒を含む半導体層形成用溶液を作製する工程と、
    該半導体層形成用溶液を用いてI−III−VI族化合物を含む半導体層を作製する工程とを
    具備することを特徴とする半導体層の製造方法。
  2. 前記第2化合物を準備する工程は、アンモニウムイオン、前記第2のカルコゲン元素含有有機化合物および前記第2のIII−B族元素を含む溶液に低極性溶媒を添加して析出し
    た前記第2化合物を取り出す工程である、請求項1に記載の半導体層の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、
    該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程と
    を具備することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
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