JP5638352B2 - 階段状コンクリートブロック付きマット - Google Patents

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Description

本発明は、湖や河川の護岸等に使用する複数のコンクリートブロックを敷き詰めて一括してマットに固着したコンクリートブロック付きマットであって、特に階段コンクリートブロックを配置したコンクリートブロック付きマットに関する。
近時、湖や河川の護岸等に多数のコンクリートブロックを敷き詰めたマットが、施行の簡便さや短時間で施工が完了する等の利点から多用されている。
従来のコンクリートブロック付きマットは、本発明者が特許文献1乃至5に開示されているように、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリスチレン繊維の透水性の不織布マット、或いは、これらを複合した透水性の不織布マットを敷いて、複数の擬石等のコンクリートブロックの底面に接着剤(例えば、エポキシ樹脂接着剤)を塗りマットに固着し、固着後に型枠から擬石をマットごと一緒に脱形するコンクリート擬石ブロック付きマットを提供している。
これらのコンクリートブロックは、一度に一括して施工時の配列どおりに作成でき、また、合成樹脂繊維の透水性の不織布マットとしたことで、ブロック間で水の出入りが可能となり植物が育成され護岸の緑化を促進できる。
前述した特許文献1乃至4のコンクリート擬石ブロック付きマットは、土等の層がほとんど無いため護岸に魚や水生動物等が住むには適さなかった。また、コンクリートブロックの上面がほぼ平らで施工すると斜面となることから、人が護岸に立つと滑りやすく、子供が水面まで下りることは危険であった。
そこで、本発明者は、特許文献6において、魚や水生動物等が住む魚巣を有する自然環境に適したコンクリートブロック付きマットを提供するものであり、更に、施工しても水平面の面積が大きな階段状のコンクリートブロックを配置したブロック付きマットを提案している。
特開2004-255765号公報 特開2006-112156号公報 特開2007-231526号公報 特開2008-265172号公報 特許第3980616号公報 特願2009-136394号
ところで、マット上の階段状コンクリートブロックは、マットに強固に固着されているものの、階段状コンクリートブロックの自重で下方に移動したり、階段に人が乗降した場合にその荷重や振動で下方に移動することがあった。
本発明はこのような不都合に鑑みてなされたもので、階段状コンクリートブロック付きマットでの階段ブロックが重くても下方にずれることがなく、階段ブロックの上面壁に人が乗降した場合や、階段ブロック上に魚巣ブロック等の重量物を積載した場合でもその振動や荷重で下方にずれないようようにした階段状コンクリートブロック付きマットであり、かつ、階段ブロックのコンクーリトの脱形が簡単で制作容易な階段状コンクリートブロック付きマットを提供しようとするものである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、マット上に断面三角状の階段ブロックを上下方向に並べて配置して階段を形成する階段状コンクリートブロック付きマットであって、
前記断面三角状の階段ブロックは、上面施工後にはほぼ水平で表面を自然石に模した上面壁を形成し、底面壁はマットに固着されると同時に基盤と平行となって底面壁の後端は上面壁の後端と連なり、上面壁の前端と底面の前端とは施行後にほぼ垂直となる前面壁の上下端にそれぞれ連なっており、
前面壁の下端近傍と上面壁及び底面壁の後端との両側面壁の近傍に、水平方向に一対の縦溝部を設け、該縦溝部は底面壁及びマットに対して直角方向にそれぞれに設けるとともに、前記前面壁の下端近傍の縦溝部と前記上面壁及び底面壁の後端との縦溝部とは所定位置で一致するように設けてアンカーピンが打ち込める円径の貫通孔を形成し、該記貫通孔を前面壁に一対設け、門形アンカーピンをマット及び基盤に打ち込んで階段ブロックの降下を止めることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の階段状コンクリートブロック付きマットにおいて、前記前面壁の下端近傍の縦溝部は上方に径が広がるようなテーパを付したことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、階段状コンクリートブロック付きマットにおいて、アンカーピンを階段ブロックの前面壁の下端部に打ち込んで、アンカーピンの上端部を階段ブロックの前面壁の下端部231に係止して滑り止にするとともに、マットをアンカーピンで貫通するのでマット自体も強固に基盤に固定したので、コンクリートの階段ブロックが重くても下方にずれることがなく、階段ブロックの上面壁に人が乗降した場合や、階段ブロック上に魚巣ブロック等の重量物を積載した場合でもその振動や荷重で下方にずれことがなく、永年の使用に耐えることができる。
また、アンカーピンの為の縦溝部及び貫通孔は底面に対して直角なので、型枠から階段ブロックのコンクリートの脱形が簡単であり、階段ブロックを固着後に型枠から階段ブロックごとマットと一緒に脱形することができ、さらに、前面壁の下端近傍(下端部)の縦溝部は上方に径が広がるようなテーパを付せば、さらに脱形が容易なりなるもので、一括して大きな面積も階段状コンクリートブロック付きマットが簡単に制作できる。
さらに、階段ブロックの上面壁は自然石を模し、また、門型アンカーピンを前面壁の下端近傍と上面壁及び底面壁の後端との両側面壁の近傍の水平方向に一対の縦溝部をで形成する貫通孔に打ち込むので、当然のことながら、外部から目立つこともなく、自然に溶け込み周囲の景観に調和したものになる。
本発明の実施例のコンクリートブロック付きマットの全体図で、図1(a)は平面図、図1(b)は左側面図、図1(c)は前面図、 図1のコンクリートブロック付きマットの複数枚を護岸に施工した状態の説明図、 広幅の階段ブロック2の図で、図3(a)は左側面図、図3(b)は平面図、図3(c)は上方からの平面図、 マット1に広幅の階段ブロック2を固着し、施工時にアンカーピン28で基盤(護岸)Gに固定した状態の側断面図、 アンカーピンの説明図で、図5(a)は、門形アンカーピンの外観面図、b」マット1に広幅の階段ブロック2を固着し、施工時にアンカーピン28で基盤(護岸)Gに固定した状態の側断面図、 細幅の階段ブロック3と平板ブロック4とを組み合わせた状態の図で、図6(a)は上方からの平面図、図6(b)は側面図、 階段ブロック2,3に、平板ブロック4及び蓋状ブロック6を掛け渡し、細幅の階段ブロック3と平板ブロック4をアンカーピンで固定した状態の縦断面図である。 蓋状ブロック6の図で、図8(a)は上方からの平面図、図8(b)は図8(a)の(b)−(b)線での断面図である。 蓋状ブロック6の前面図である。 蓋状ブロック6の空洞部Z1を説明する図で、図10(a)は底面図、図10(b)は後端からの背面図である。 階段ブロック2,3に、平板ブロック4及び蓋状ブロック6を掛け渡した状態の前面図である。 階段ブロック2,3に、蓋状ブロック6を掛け渡した状態の斜視前面図である。
本発明の最も特徴とするところは、断面三角状の階段ブロックを縦列に配置したコンクリートブロック付きマットであって、アンカーピンを階段ブロックの前面壁の下端部に打ち込んで滑り止にするとともに、マット自体も強固に固定するものである。
以下、本発明の広幅と細幅の断面三角状の階段ブロックを使用し、魚巣ブロックを備えた階段状コンクリートブロック付きマットの実施例を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の魚巣ブロックを備えたコンクリートブロック付きマットの全体の図で、図1(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は前面図である。
マット1は、通常は、図1(a)に示すように、幅1.9mで長さ6.665mの面積で、本実施例のマット素材は、合成樹脂繊維の透水性の不織布マットで、合成樹脂繊維としてはコンクリート製のブロックに接する上面がセメント素材などのアルカリの化学反応に強いポリプロピレン繊維の不織布で、間隔を置いて縦或いは横方向に補強のためにポリプロピレン或いはポリエステル製フィラメントの束を撚ったロープが組み込まれている。
このマット1は、全体の平均厚さは3mm以上であり、本実施例の1マット当たりのコンクリート擬石ブロックの全体は1.3トンであることから、施工時にマット1を吊り上げた時にこれに耐える強度を有しなければならず、縦方向の引張強度は2.94Kgf/5cmであり、引張伸度は15%以下である。透水性は1×10-2cm/secの物性値のものを使用した。
なお、透水性のものとするのは、コンクリートブロック2乃至5が自然景観にマッチさせた擬石を表面に配置したもので、マット1を通じて水や空気の出入りが可能となり、護岸のマット1の間に植物が育成し緑化を促進できるからである。また、マット1の適所に、水や空気の出入りが可能となるように、パンチ等で人為的に貫通孔を設けても良い。
また、別の実施例として、ポリプロピレン繊維とポリエステル繊維との混紡の不織布や、施行時に上面となる表面側にはポリプロピレン繊維を配し、下側には強度あるポリエステル繊維を配した複合素材の不織布を使用しても良い。
このマット1上に、コンクリートの断面がほぼ三角形状の広幅の階段ブロック2が中央に2列と、同じように断面がほぼ三角形状の細幅の階段ブロック3とが両側に1列、上下方向に連続して配置されている。
この階段ブロック2と3とは断面形状は同じ三角形状であるが、中央部の階段ブロック2の左右の幅は30cmであるのに対して、ブロック集合体Xの両側の階段ブロック3は半分の幅の15cmとしてある。そして、断面三角形状の階段ブロック2と3の間には15cm四方の平板ブロック4が上下方向に連続して敷き詰めてあり、更に、階段ブロック3の外方には隣り合うマットのブロックと嵌合するように、接続ブロック5が配置されている。また、各ブロックの表面は不規則な模様で自然石を模したコンクリート製の擬石としている。
このように、個々のブロックを現場で配列施行する作業は厄介なものであるが、本実施例のような集合ブロック付きのマットでの施行は、単位マットを並べて固定すればよく、作業効率は飛躍的に向上し、マットの劣化も少なく強度が永年維持され耐久性は飛躍的に向上する。
この図1に示すように、マット1上に所定間隔を離して中央部に一対の断面三角状の広幅の階段ブロック2と、両側に細幅の階段ブロック3を上下方向に平行に配置し、階段ブロックの間には高さの低い平板ブロック4を配置し、更に両端に接続ブロック5を配列した基礎となる単位マット1を構成し、図2に示すように、左から右へのマット1の端を重ね合わせて施工していく。
図2において、施工方法を説明すると、複数のコンクリート製の各種ブロック2乃至5をマット1ごとに一括して、クレーンによって運搬車に積載し、現場に運搬してから、先ず、クレーンなどでマット1のブロックのない両把持部A,Bをクレーンに備えた把持具(図示せず)で把持し、図2に示すように、施工現場である護岸に直接マット1を敷き、マット1の両把持部A,Bを堤E側と河川F側とに固定する。更に、次のマット1を敷き詰める場合は、既に施工されているマット1だけの右側端部分の把持部Cの上に、把持部がない接合部分Dの接合ブロック5を、施工されている接合ブロック5に密接させて敷き詰める。
その後は、同様に次のマット1を直接敷き詰めるだけで放置すればよく、二つのマット1の接合部分は複雑な外形を有する接合ブロック5に紛れて、接合部分が目立たないようにして、全体として自然環境にマッチした護岸が形成される。
勿論、マット1の大きさや把持部の形や大きさは、施工現場の状況に合わせて適宜変更すればよい。
このように、従来の単純な形状のブロックを使用した場合と異なり、本実施例のマットを使用したことにより、自然に溶け込み周囲の景観に調和し、溝となる接合線などに直線がないことから、客土の流失が阻止でき、隣り合うマットが多少ずれても目立つことがない。
このようにマット1を敷き詰めながら、後述する図11に示すように、所定間隔を離して配置した断面三角状の階段ブロック2,3の水平状の上面に、魚巣ブロックとなる蓋状ブロック6を掛け渡して貫通孔66,67に固定棒68を挿入して固定し、それ自体が階段を形成する。そして、後述するように、蓋状ブロックの空洞部Z1と前記平板ブロックとから上下方向に連続する空間を形成し、また、蓋状ブロック6の前壁及び上面壁の一部に魚が出入りする切欠部64、65を設けて魚巣ブロックを形成している。
以下に、各ブロックを詳細に説明する。
蓋状ブロック6以外は、前掲の特許文献に開示されているように、マット1上にコンクリート製の各種ブロック2乃至5を一括して製造する。
[階段ブロック2(3)]
先ず、中央部に上下方向に連続して2列に配置する広幅の階段ブロック2を、図3を参照して説明する。
図3(a)に示すように、施工後に底面壁21の傾斜角αをほぼ20度とした斜行面で平滑であり、護岸の斜面角度αが20度の場合の施工では、上面壁22がほぼ水平面で30cmの正方形であり、前面壁23はほぼ垂直で幅30cm、高さ(h)は15cm程度であり、前面壁22の後端は高さ(h1)が1〜2cm程度の背面壁25である。左右の側壁面24は直角三角形状であり、上面壁22、前面壁23、側面壁24、背面壁25とは自然石を模した擬石模様を有している。上面壁22の蓋状ブロック6の貫通孔66や67に対応する固定棒68を挿入する固定孔221が設けられ、この固定孔221は脱形後にドリル等で作成する。
階段ブロック2の断面三角状の上面は施工後にはほぼ水平の上面壁22を形成し、底面壁21はマットに固着されると同時に護岸等の基盤Gと平行となっている。底面壁21の後端は上面壁22の後端と連なり、上面壁22の前端と底面壁21の前端とは施行後にほぼ垂直の前面壁23の上下端にそれぞれ連なっている。
ここで本発明の特徴部分である階段ブロック2.3の滑り止めの構成について説明する。
図3(a)(b)において、前面壁23の下端近傍には底面壁21及びマット1(護岸面)に対して直角方向に一対の縦溝部26が設けられ底面壁21に対しては角度αを有する。また、上面壁22及び底面壁21の後端の背面壁25にも底面壁21及びマット1に対して直角方向の一対の縦溝部27が設けられている。
図3(c)に示すように、前面壁23の下端近傍の縦溝部26と隣り合う階段ブロック2の背面壁25との縦溝部27とが所定位置で一致するように設けてあって、これらが合わさると、アンカーピン28(29)(図4、5参照)が打ち込める円径の貫通孔Yを形成する。なお、図3(b)に示すように、前面壁23の下端近傍の縦溝部26は上方に径が広がるようなテーパを付しているが、図3(a)の2点鎖線に示される型枠を矢印方向Pに抜く場合に、容易に脱形ができるようにするためである。
図4に示すように、施工現場においては、この縦溝部26、27からなる貫通孔Yには図5(a)に示すような門形の長さ60cm程度のアンカーピン28を、一対に形成された貫通孔Yに打ち込むが、このアンカーピン28は太さが13〜16mmの鉄やステンレスであって、アンカーピン28のピン部282をマット1及び基盤Gに打ち込んでも、一対の貫通孔Yの距離に対応する繋ぎ部分281で必ずピンの太さ部分13〜16mmがマット1から突出しているので、この頭部の繋ぎ部分281主にが階段ブロック2.3の前面壁23の下端部231を所定幅で係止して、階段ブロック2.3が下に滑るのを阻止する。また、縦溝部28,27にピン部282の先端部が係止して水平方向の左右動を阻止するので、階段ブロック2.3はより強固にマット1及び基盤に対して固定される。この際、マット1もアンカーピン28によって基盤(護岸)固定されるので、マット1に固着した階段ブロック2.3自体も強固に固定される。
本実施例で使用した、アンカーピン28は門形であるが、基盤Gが硬い岩盤の場合には、門形の両方のピンが打ち込めないこともあるので、この場合には図5(b)にあるような1本のアンカーピン29を使用し、頭部291が階段ブロック2.3の下端部231に係止して下方向及び左右にずれるのを阻止する。なお、鉄製のアンカーピンの場合の耐用年数は約50年とされているが、階段ブロック2.3も永年の設置で座りが安定してアンカーピンが朽ちても移動が阻止される。勿論、より耐用年数を長くしたいのであれば、ステンレス製のアンカーピンにすれば良く、この場合の耐用年数は100年とされている。また、各ブロックの間の目地部にはモルタルモルタル等を施しておけば良い。
この広幅の階段ブロック2、或いは、後述する細幅の階段ブロック3だけでも、階段を形成することができる。
なお、本実施例では、底面壁21の傾斜角αをほぼ20度とした斜行面としたが、勿論、施工現場に合わせて傾斜角度は適宜変更すればよく、施工後の階段ブロック2,3の上面壁22がほぼ水平になるように設計すればよい。
また、マット1上のブロック集合体Xの両側に配置した細幅の階段ブロック3は、広幅の階段ブロック2の幅の約半分にしただけで、その他は同じである。ブロック集合体Xの両側に細幅の階段ブロック3を配置したのは、マット1の積層して輸送する場合に、マット1の全面の高さhを同じにするためでもある。
[細幅の階段ブロック3、平板ブロック4]
前記の階段ブロック2と3の間には、図1及び図6に示すように、側面壁41の高さが低い平板ブロック4が敷き詰められる。この実施例では図6(a)の示すように、上面壁42は15cm正方形で平らである。尤も階段ブロック2と3の間には敷き詰めればよいので、正方形とは限らないし、個数も限定されない。平板4の高さを低くすれば、後述する蓋状ブロック6の空洞部Z1と平板ブロック4とで構成される上下方向に連続する空間を大きくすることができる。
ここで、前述した細幅の階段ブロック3は、広幅の階段ブロック2の幅の約半分にしただけで、その他は同じであるが、前面壁23の幅が狭いので、アンカーピン28の為の縦溝部26は1箇所しか設けられず、上面壁22の後端の縦溝部27も1箇所しか設けられない。そこで、細幅の階段ブロック3の場合は、図6に示すように、平板ブロック4の四隅内の1隅の隅空間43を門形のアンカーピン28の一方のピン部282の貫通孔Yとし、階段ブロック3の縦溝部26と縦溝部27からなる貫通孔Yの位置も、アンカーピン28の繋ぎ部分281に合わせた位置にすればよい。こうすることによって、同一のアンカーピン28だけを用意すればよい。
こうして、図6、図7に示すように、広幅の階段ブロック2の場合と同様に、繋ぎ部分281で必ずピンの太さ部分13〜16mmがマット1から突出しているので、この繋ぎ部分281が階段ブロック3の前面壁23の下端部231を所定幅で係止して、階段ブロック2.3が下に滑るのを阻止する。
[接合ブロック5]
階段ブロック3の外方には隣り合うマットのブロックと嵌合するように、接続ブロック5が配置され、接続ブロック5の外側形状は、図1(a)に示されるように、密接に接合して噛み合って、マット1の地が露出しないようにしてある。
更に、この結合ブロック5の接合部分は複雑な外形を有しており、接合部分が目立たないようにして、全体として自然環境にマッチした護岸が形成される。
なお、ブロック集合体Xの上下端も図1(a)に示されるように、上下方向にマット1を敷き詰める場合に、階段ブロック2及び3の端部、平板ブロック4の端部は、接合ブロック5と同様に、接合部分は複雑な外形を有しており、接合部分が目立たないようにして、全体として自然環境にマッチした護岸が形成される。
[ブロック2乃至5の製造方法]
前述したブロック2乃至5は型枠で一括成型されるが、長方形の型枠の外枠はFRP樹脂で、内側の擬石を形成する擬石型枠はポリウレタン樹脂で構成され、図1に示すような擬石の全ての型枠であって、先ず、型枠にセメントを打設し、コンクリートブロックを一度に一括して作成する。
この型枠にはブロック2の底部の表面が上向きに露出しており、コンクリートが固まった時点で接着材料であるレジンモルタル(ポリマーセメント)をモルタルガンで全てのブロック2乃至5の底部に塗布する。
本実施例で使用した接着材料としては、強度、環境対策、マットの劣化防止の観点から次の[表1]の組成のレジンモルタル(ポリマーセメント)が有効であった。

[表1]レジンモルタルの組成
1.砂 (35〜50)40重量%
2.セメント (35〜50)40重量%
3.酢酸ビニル (15〜40)20重量%

小計 100重量%

4.水 適量(砂+セメントと同重量)

なお、紫外線を遮断するためにレジンモルタル層を有る程度厚く(0.3〜1.5mm)しなければならないが、砂はそのための増量剤である。多すぎると相対的にセメントや酢酸ビニルが少なくなり強度不足が生じ、少なすぎるとセメントや酢酸ビニルを多く費やしてコスト高になることから35〜50重量%程度が良く、好ましくは40重量%である。また、セメントは多すぎると相対的に酢酸ビニルの量が減りコンクリートからしみ出るアルカリ成分を中和して遮断する機能が低下し、少なすぎると強度不足が生じることから35〜50重量%程度が良く、好ましくは40重量%である。
更に、重要なのは酢酸ビニルを使用することであるが、砂やセメントとともに、特に、酢酸ビニル樹脂層が形成されているので、効率良く紫外線Rを遮断するのであるが、酢酸ビニルは多すぎると、コスト高になるとともに、運搬や施行作業中に水の出入りのためのひび割れを生じさせる必要があるが、ひび割れが生じ難くなり、又、パンチにより通水孔を作成する場合にも作成が困難になる。逆に、酢酸ビニルが少なすぎると、紫外線Rを遮断する機能が低下するとともに、アルカリ成分を中和して遮断する機能も低下するから、15〜40重量%程度が良く、好ましくは20重量%である。なお、酢酸ビニルは60重量%程度でもよいが、コスト高となり無駄であり、前述の組成比が適当である。
更に、水は適度の粘度を有する程度混入するが、一般には(本実施例)、加えた砂とセメントの合算した重量と同程度の重量を加えるのが良い。
なお、上記レジンモルタルの組成において、冬場のような、コンクリートブロックのセメントの硬化に時間を要する場合は、必要に応じて、セメント硬化促進剤として塩化カルシュームを2〜6重量%を混入しても良く、この場合には早期に接着が完了し、製品の脱型時期を早めることができる。
組成がレジンモルタルである接着材料を、モルタルガンで型枠とブロック2乃至5の底部に一括して塗布するが、コンクリートを流し込んだ際にはブロック2乃至5の底面が型枠の上部の表面に露出し、露出したブロックの底面にレジンモルタルを塗布し、ブロック2乃至5にマット1に固着する作業を行うが、不織布のマット1を、型枠の上面に押し当てながら敷き詰める。その結果、ロック2乃至5とマット1とはレジンモルタルの接着材料によって接着固定されることになり、硬化終了した時点で、ブロック2乃至5とマット1が強固に一体になったコンクリート擬石ブロック付きマット1を型枠から脱型する。
[蓋状ブロック6]
蓋状ブロック6は、図11,図12に示すように、階段ブロック2,3の水平状の上面に掛け渡すもので、ブロック2乃至5とは別個の型枠で製造するが、図8乃至10に示すような、平面長方形で高さがほぼ一定の形状である。
蓋状ブロック6の上面壁61は、図8(a)に示すように、長方形で自然石を模した凹凸の擬石であるが、ほぼ平面で階段の踏み石を形成する。蓋状ブロック6の前壁62と両側の側壁63の高さh2は、階段ブロック2,3の前面壁23(h)と背面壁25の高さ(h1)との差(h−h1=h2)にほぼ等しくしている。また、蓋状ブロック6の内部を底面を廃して天井部69を設けて空洞にした空洞部Z1を形成しいる。
そして、蓋状ブロック6の内部を空洞部Z1と平板ブロック4上の空間Z2で上下方向に連続する連続空間通路Z3(図7参照)を形成し、また、蓋状ブロック6の上面壁61の後端の中央部に魚が出入りする切欠部64が設けられ、蓋状ブロック6の前面壁62の下端の中央部にも魚が出入りする切欠部65が設けられ、図12に示すように、上下に蓋状ブロック6を積んだ場合に、前記切欠部64と切欠部65が連続した孔を形成し、魚が出入りする孔を形成している。
また、蓋状ブロック6の両側の側面壁63近傍の上面壁61には、上下方向に貫通する貫通孔66,67を設け、階段ブロック2,3の上面壁22には貫通孔66,67に対応する位置に固定孔221(図3参照)を設け、これらの貫通孔66,67と固定孔221に固定棒68を挿入して蓋状ブロック6を固定する。なお、階段ブロック2,3と蓋状ブロック6との固定を更に強固にするために、孔に接着材又はコンクリートを挿入して固めている。
[魚巣機能・階段機能]
以上のように 対象となる護岸にマット1を施工し、一対の階段ブロック2,3の水平状の上面壁に魚巣ブロックとなる蓋状ブロック6を掛け渡して固定する施工を完了した状態、図2に示す状態での魚巣ブロックを備えたコンクリートブロック付きマットの機能・作用を説明する。
図2の状態の蓋状ブロック6を中心とした部分の拡大図である図7、図11、図12で魚巣機能及び階段機能を説明する。図11に示すように、中央の2列の広幅の階段ブロック2の一方と、ブロック集合体Xの側方の細幅の階段ブロック3の一対の階段ブロック2、3の水平状の上面壁22に魚巣ブロックとなる蓋状ブロック6を掛け渡し、平板ブロック4の上部に空間Z2を形成する。この場合に蓋状ブロック6も底面及び背面が無いから、図7に示すように、階段ブロック2,3の奥も天井が蓋状ブロック6の空洞部Z1と前記空間部Z2が大きな上下方向の連続空間通路Z3を形成する。
一方、上下に蓋状ブロック6を積んだ場合に、切欠部64と切欠部65が連続した孔を形成し、前記の連続空間通路Z3と外部とを所々で連通する。
従って、湖水や河川の水は、切欠部64と切欠部65を介して、自由にこの連続空間通路Z3の空洞部Z1や空間部Z2に出入りすることができ、当然のことなながら、魚や水生動物も出入りすることができる。
また、階段ブロック2,3を連続して上下方向に配列しているので、その上面壁22,42は擬石模様の凸凹はあるがほぼ水平となり、階段を形成している。更に、蓋状ブロック6も階段ブロック2,3にそれぞれ1枚ずつ積層するので、階段を形成する。なお、前記の蓋状ブロック6の切欠部64は上面壁61の後端に、切欠部65は前面壁62の下端に設けてあるので、人が足先を引っ掛けることも少なく、階段機能の支障にはならない。
この階段機能を有することにより、従来のマット式の集合コンクリートブロックよりも滑り難く、子供が水面まで下りて水中を観察することができ、自然に馴染むことが容易となる。
また、蓋状ブロック6は各階ごとに、切欠部64と切欠部65が配置されることになるので、湖水や河川の水位が変動しても、その変動した水位に応じて、連続空間通路Z3内の水位も変動する。このため、この連続空間通路Z3の空胴部Z1,空間部Z2は魚のための絶好の魚巣になり、水生動物の住みかとなることから、自然豊かな環境が形成可能となる。
以上説明したように、本発明の実施例の階段状コンクリートブロック付きマットは、アンカーピン28を階段ブロック2.3の前面壁の下端部231に打ち込んで、アンカーピン28の上端部の幅広い部分である繋ぎ部分281を階段ブロックの前面壁23の下端部231に係止して滑り止にするしているので、面接触での阻止機能を有することになり強度や耐久性が増すとともに、縦溝部28,27にピン部282の先端部が係止して水平方向の左右動を阻止するので、階段ブロック2.3はより強固にマット1及び基盤に対して固定される。さらに、マット1をアンカーピン28で貫通するのでマット1自体も強固に基盤Gに固定したので、コンクリートの階段ブロック2.3が重くても下方にずれることがなく、階段ブロック2.3の上面壁22に人が乗降した場合や、階段ブロック2.3上に魚巣ブロック6等の重量物を積載した場合でもその振動や荷重で下方にずれことがなく、強度も十分に有し、耐久性も増し永年の使用に耐えることができる。
また、アンカーピン28(29)の為の縦溝部26,27及び貫通孔Yは底面に対して直角なので、型枠から階段ブロック2.3の脱形が簡単であり、階段ブロックを固着後に型枠から階段ブロック2.3ごとマット1と一緒に脱形することができ、さらに、前面壁23の下端部231の縦溝部26は上方に径が広がるようなテーパを付せば、さらに脱形が容易なりなるもので、一括して大きな面積も階段状コンクリートブロック付きマットが簡単に制作できる。
さらに、コンクリートの護岸での施工を簡単にできる魚巣ブロックを備えることができ、魚や水生動物等が住む魚巣を有し、水辺に魚や水生動物が多く住むことができる自然環境に適したコンクリート擬石ブロック付きマットとなり、更に、階段状のブロックを配置することから施工後に水平面の面積が大きな階段状のコンクリートブロックとすることができるので、従来よりも滑り難く、子供が水面まで下りて、水中を観察することができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことも勿論である。
A,B,C・・把持部、D・・接合部分、E・・堤、
F・・河川、G・・基盤(護岸)、X・・ブロック集合体、
Y・・貫通孔、
Z1・・空洞部、Z2・・空間部、Z3・・連続空間通路、
1・・マット、
2・・広幅の階段ブロック、
21・・底面壁、22・・上面壁、221・・固定孔、23・・前面壁、
24・・側面壁、25・・背面壁、26,27・・縦溝部、
28・・門形アンカーピン、281・・繋ぎ部分(頭部)、282・・ピン部、
29・・釘形アンカーピン、291・・頭部
3・・細幅の階段ブロック、
4・・平板ブロック、41・・側面壁、42・・上面壁、43・・隅空間、
5・・接続ブロック
6・・蓋状ブロック、61・・上面壁、62・・前面壁、
63・・側面壁、64,65・・切欠部、
66,67・・貫通孔、68・・固定棒、69・・天井部、
h・・階段ブロックの前面壁の高さ、h1・・階段ブロックの背面壁の高さ
h2・・蓋状ブロックの高さ

Claims (2)

  1. マット上に断面三角状の階段ブロックを上下方向に並べて配置して階段を形成する階段状コンクリートブロック付きマットであって、
    前記断面三角状の階段ブロックは、上面施工後にはほぼ水平で表面を自然石に模した上面壁を形成し、底面壁はマットに固着されると同時に基盤と平行となって底面壁の後端は上面壁の後端と連なり、上面壁の前端と底面の前端とは施行後にほぼ垂直となる前面壁の上下端にそれぞれ連なっており、
    前面壁の下端近傍と上面壁及び底面壁の後端との両側面壁の近傍に、水平方向に一対の縦溝部を設け、該縦溝部は底面壁及びマットに対して直角方向にそれぞれに設けるとともに、前記前面壁の下端近傍の縦溝部と前記上面壁及び底面壁の後端との縦溝部とは所定位置で一致するように設けてアンカーピンが打ち込める円径の貫通孔を形成し、該記貫通孔を前面壁に一対設け、門形アンカーピンをマット及び基盤に打ち込んで階段ブロックの降下を止めることを特徴とする階段状コンクリートブロック付きマット。
  2. 前記前面壁の下端近傍の縦溝部は上方に径が広がるようなテーパを付したことを特徴とする請求項1に記載の階段状コンクリートブロック付きマット。
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