JP5636670B2 - 便座装置 - Google Patents

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Description

本発明は便座装置の光電機器の設置方法に関するものである。
従来、この種の便座装置は、本体の表面部に発光機器である表示部や赤外線機器である人体検知センサを配置し、閉じた状態で本体と便座を覆う便蓋は、表示部と人体検知センサと重合する部分は、便蓋の他の部分とは異なる光透過性の材料で形成した光透過部を構成している(例えば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1に記載された従来の便座装置を示すものである。図12に示すように、本体1の上面の中央部に表示部2と、上面の後部にリモコン受光センサ3を配置し、本体1の前面には人体検知センサ4と着座検知センサ5が配置されている。便蓋6は本体1と便座7の略全体を覆っており、中央部には光透過部6aが配置されており、光透過部6aを介して表示部の視認が可能で、人体検知センサと着座センサの赤外線が透過可能な構成となっている。また、便蓋6の後部には光透過部6b配置されており、光透過部6bを介してリモコン受光センサ3の赤外線の透過が可能な構成となっている。
特開2003−235761号公報
しかしながら、前記従来の構成では、便蓋は光透過部とそれ以外の部分を素材の異なる別部材として構成することが必須であり、構造が複雑になるため清掃等の手入れがやり難いことや、便蓋の設計および生産における手間とコストが増加する傾向がある。
また、便蓋は本体や便座等を隠蔽することを主たる目的とする部材であるが、その一部に光透過部を設けることは、その目的の一部を実施できないこととなり、便蓋の機能として必ずしも望ましいものではない。
また、便蓋を複数の部材で構成することにより、複雑な外観になるため、シンプルを指向するデザインに対応することが難しく、生産の効率およびデザインの面で改善の余地があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、便蓋を所定の条件を備えた素材で一体的に形成することにより、本体に設置した光電機器の機能を発揮させることを可能とし、かつ本体および便座を隠蔽することができるシンプルなデザインの便座装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、便器上に設置した本体と、本
体に回動可能に枢支し、着座面を加熱する発熱体を内蔵した便座と、本体に回動可能に枢支し、閉じた状態で本体と便座とを覆う便蓋と、本体に設置し、少なくとも発光機器を含む光電式機器を備え、便蓋は、閉じた状態で本体と便座の覆った部分を視認不可能に隠蔽し、かつ所定の赤外線の透過が可能な素材で形成し、発光機器が発光した光は、便蓋の裏面に投影し、便蓋に形成される投影像が、便蓋の表面側から視認可能としたものである。
これにより、本体と便座は便蓋により確実に隠蔽されることにより、シンプルで美しい外観を維持することができるとともに、本体に設けた発光機器による光学的な表示を便蓋に投影された投影像として便蓋の表面側の広い範囲から視認でき、便蓋を閉じた状態で便座装置の運転状況を認知することが可能となるため、高い表示機能を備え、かつシンプルで美しい外観の便座装置を提供することができるものである。
また、本体に赤外線機器を設置した場合も、便蓋を閉じた状態で、赤外線の受発光が可能であり、赤外線機器の設置位置の自由度を高めることができるものである。
本発明の便座装置は、光学式機器の設置の自由度を高め、かつシンプルで美しい外観を提供することができる。
本発明の実施の形態1における便座装置の便蓋を開放した状態の斜視図 本発明の実施の形態1における便座装置の便蓋を閉成した状態の斜視図 本発明の実施の形態1における便座装置の便蓋を閉成した状態の断面図 本発明の実施の形態1における便座装置の制御系の構成を示す模式図 本発明の実施の形態1における表示部の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における人体検知センサの構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における着座センサの構成を示す断面図 本発明の実施の形態1におけるリモコン受光センサの構成を示す断面図 便蓋の実施例1〜実施例3の赤外線透過率及び可視光透過率を示す図 (a)は本発明の実施の形態2における表示部の構成を示す断面図、(b)は便蓋の平面図 (a)は本発明の実施の形態3における表示部の構成を示す断面図、(b)は便蓋の平面図 従来の便座装置の外観を示す斜視図
第1の発明は、便器上に設置した本体と、前記本体に回動可能に枢支し、着座面を加熱する発熱体を内蔵した便座と、前記本体に回動可能に枢支し、閉じた状態で前記本体と前記便座とを覆う便蓋と、前記本体に設置し、少なくとも発光機器を含む光電式機器を備え、前記便蓋は顔料を含む樹脂材料で、赤外線透過率が35%以上、かつ可視光透過率が10%以下になるように一体に形成し、前記便座が閉じた状態で、前記本体と前記便座の覆った部分を、可視光が前記樹脂材料の内部で散乱することにより視認不可能に隠蔽し、かつ所定の赤外線の透過が可能とし、前記発光機器が発光した光は、前記便蓋の裏面に投影し、前記便蓋を形成する前記樹脂材料の内部で散乱することにより形成される投影像が、前記便蓋の表面側から視認可能としたものである。
これにより、本体と便座は便蓋により確実に隠蔽されることにより、シンプルで美しい外観を維持することができるとともに、本体に設けた発光機器による光学的な表示を便蓋に投影された投影像として便蓋の表面側の広い範囲から視認でき、便蓋を閉じた状態で便座装置の運転状況を認知することが可能となるため、高い表示機能を備え、かつシンプル
で美しい外観の便座装置を提供することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記光電式機器は、赤外線の受発光を行う赤外線機器を含む構成としたものである。
これにより、本体に設置した光電機器の赤外線の受発光が便蓋を閉じた状態で可能となり、赤外線機器を含む光電機器の設置位置の自由度を向上することができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、前記赤外線機器は、便座装置に近づいた人体を検知する人体検知センサと、前記本体と別に設置したリモートコントローラと交信を行うリモコン受光センサとの、少なくともどちらかを含む構成としたものである。
これにより、便蓋を閉じた状態で、人体検知およびリモートコントローラの操作が可能となり、使い勝手の向上と、人体検知センサおよびリモコン受光センサの設置位置の自由度を向上することができる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記便蓋の前記発光機器の光を投影する部分と、前記赤外線機器の赤外線が透過する部分は、便蓋の他の部分より肉厚を薄く形成したものである。
これにより、光を投影する部分と赤外線を透過する部分の肉厚を厚く形成することが可能となるため、便蓋の強度を確保しつつ、外観形状をシンプルに形成することができる。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、前記便蓋の前記発光機器の光を投影する部分に、周囲の肉厚より厚い凸部と、周囲の肉厚より薄い凹部との、少なくとも一方を形成したものである。
これにより、発光機器の光による投影像は、凸部および凹部と他の部分で明るさが変化し、明暗のある表示となるので視認性を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における便座装置の便蓋を開放した状態の外観の斜視図を示し、図2は便蓋を閉成した状態の外観の斜視図を示し、図3は便蓋を閉成した状態の断面図を示し、図4は便座装置の制御系の構成を示す模式図である。
<便座装置の構成>
図1に示すように、便座装置100は、本体200、便蓋300、便座400、リモートコントローラ500により構成され、本体200、便蓋300、便座400は一体で構成され便器700の上面に設置される。
以下、本実施の形態においては便座装置100の本体200を配置した方を後方とし、便座400の配置側を前方として説明を行う。
本体200には、便蓋300および便座400が便座便蓋回動機構(図示せず)を介して電動で開閉可能に取り付けられている。図1に示すように便蓋300を開放した状態においては、便蓋300は便座装置100の最後部に位置するように起立する。
また、図2、図3に示すように、便蓋300を閉成した状態においては、便蓋300は
本体200と便座400の上面と側面と前面の殆どを隠蔽する構成となっている。特に、便座装置100の前方からは、本体200と便座400は殆ど見えず、便蓋300のみが見えるシンプルなデザインとなっている。
また、本体200には、洗浄水供給機構(図示せず)、熱交換器(図示せず)、洗浄ノズル(図示せず)等からなる洗浄機構と、乾燥ユニット(図示せず)と、制御部260等が内蔵される。
本体200の前面コーナー部には、光電式機器である人体検知センサ610と、着座センサ620が設置してある。
人体検知センサ610と着座センサ620は、反射型の赤外線センサであり、人体検知センサ610と着座センサ620から赤外線を照射し、人体で反射された赤外線を検出することにより、トイレ室に入室した人体や、便座400に着座した人体を検知する。
また、本体200の上面には発光機器である表示装置640と、リモコン受光センサ630が設置してある。
表示装置640は、便座装置100の電源の入切を表示する電源表示部640と、便座の昇温状態を表示する便座昇温表示部650を備えている。
リモコン受光センサ630は、リモートコントローラ500から送信された赤外線による操作信号を受信して本体内に設置した制御部260に送信する。
また、本体200の側部には操作部210が設けてあり、電源スイッチと漏電遮断装置のテストスイッチが設けてあり、便座装置100の電源部の操作を行うようになっている。
また、洗浄水供給機構と熱交換器は洗浄ノズルに接続されており、水道配管から供給される洗浄水を熱交換器で加熱した温水を洗浄ノズルに供給し、洗浄ノズルから使用者の局部に向けて洗浄水を噴出し、使用者の局部を洗浄するものである。洗浄ノズルはお尻を洗浄するお尻洗浄ノズル部と女性の局部を洗浄するビデノズル部を備えている。
また、乾燥ユニットは洗浄水により濡れた局部に向けて温風を噴出し、局部を乾燥することができる。
なお、洗浄機構と乾燥ユニットは便座装置の必須構成要素ではなく、これらの構成要素を具備しない便座装置でもよい。
リモートコントローラ500には、複数の操作スイッチが設けられている。リモートコントローラ500は便座400上に着座した使用者が操作可能なトイレ室の壁面等の場所に取り付けられ、便座装置100の各機能の操作を行う。
図4に示すように、本体200の制御部260は、リモコン受光センサ630を介して受信したリモートコントローラ500からの操作データと、人体検知センサ610および着座センサ620から送信される検知データと、温度測定部410を介して受信した便座400に設置した温度検知素子411の温度データに基づいて、便座ヒータ450の駆動や、温調ランプ652や電源ランプ642の点灯等の便座装置100の各部の動作を制御する。
<便座の温度設定>
本発明の便座装置100においては、便座400の温度制御に使用する温度として、待機温度と、限界温度と、設定温度との3種類の温度を設定している。待機温度は、便座装置100が使用されていない状態において維持される温度であり、予め制御部に記憶されて設定されている。本実施例の場合、待機温度は18℃に設定されており、室温が18℃以下の場合便座ヒータに通電して18℃を維持し、室温が18℃以上の場合は便座ヒータ450への通電は行わない。
限界温度は、使用者が冷たさを感じない温度であり、待機温度から設定温度までの便座400の昇温駆動中に通過する温度であり、本実施の形態においては、29℃に設定されている。
設定温度は、便座400に使用者が着座して使用する時の温度であり、40℃前後のであり、リモートコントローラ500の操作スイッチにより、使用者の好みにより設定が変更できるようになっている。
本発明の便座装置100はトイレ室に使用者が存在しない場合は、便座ヒータ450への通電を停止、もしくは低い温度の待機温度で待機している。トイレ室に使用者が入室すると、人体検知センサ600からの信号を受け、制御部260は便座ヒータ450の昇温駆動を開始する。昇温駆動の開始直後は便座ヒータ450の最大容量である1200W程度の高出力で約6秒間通電し、その後容量を600Wに低下し設定温度に向けて昇温する。便座400の着座面の温度は約6秒間通電した時点で限界温度に到達し、その時点で着座しても冷たさを感じない状態となっており、使用者がトイレ室に入室してから約6秒で着座可能となる。
600W通電に移行してからの通電制御は便座400内に設置した温度検知素子411による温度データに基づいて行われ、便座の着座面の温度が設定温度に到達すると、制御部260は便座ヒータ450への通電を50W程度の低容量に下げ、設定温度を保つ。使用者がトイレ室内から出ると、便座ヒータ450への通電を停止、もしくは待機温度を維持する。つまり、トイレルームに使用者がいないときの電力を大幅に削減した便座装置である。
<表示部の構成>
図5は表示部の断面を示すものであり、本図は電源表示部の断面図であるが、便座昇温表示部も同じ構成である。
図5に示すように、電源表示部640は、本体200の上面の裏側に円筒状のガイド641を一体設け、ガイド641の奥に発光機器であるLEDからなる電源ランプ642が設置してある。ガイド641の本体200の表面側には透明な樹脂で形成したランプカバー643が設置されている。
円筒状のガイド641の設置方向は、その軸が便蓋300の裏面に対して略垂直となるように設置されており、電源ランプ642から照射される可視光の光軸も便蓋300の裏面に対して略垂直となっている。電源ランプ642から照射された可視光はガイドの内部を通過して、周辺への拡散はガイド641により遮断される。電源ランプ642から照射された可視光はランプカバー643を透過して便蓋300の裏面にガイド641の断面形状である円形に照射される。
便蓋300に照射された可視光は、一部は便蓋300を透過するとともに、一部は便蓋300内で散乱される。これにより、不透明な便蓋300に明るく光る円形の投影像が発
生し、この投影像は便座の表面側から明瞭に視認することができる。
なおガイド641の断面形状は円形に限るものではなく、多角形や星型など自由に選択することが可能であり、その形状により投影像の形状も変わる。
電源表示部640の電源ランプ642は、便座装置100の電源が「入」の場合点灯し、「切」の場合消灯する。
また、便座昇温表示部650の構成は電源表示部640の構成と同様であり、説明は省略する。便座昇温表示部650は便座400の着座部における昇温状態を表示するために設けたものであり、便座昇温表示部650の温調ランプ652は、便座装置100の電源が「切」の場合と、便座400の着座面の温度が20℃の待機温度で待機しているときは消灯している。すなわち、便座昇温表示部650が消灯している便座400の温度が低く着座するのには適していない状態であることを表示している。
人体検知センサ610が人体を検知し、便座ヒータ450の駆動が開始し、待機温度から着座可能な設定温度までの昇温中は、便座昇温表示部650の温調ランプ652は点滅表示を行う。
そして、便座400の着座面の温度が設定温度に到達したら、便座昇温表示部650の温調ランプ652は連続的に点灯する。
なお、電源ランプ642と温調ランプ652は異なる色を採用することにより認知度を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、電源ランプ642と温調ランプ652にLEDを採用したが、これに限るものではなく、白熱電球等の他の発光素子を採用してもよい。
<赤外線機器の構成>
図6は本発明の人体検知センサの構成を示す断面図であり、図7は着座センサの構成を示す断面図であり、図8はリモコン受光センサの構成を示す断面図である。
図6に示すように、本体200の前面と上面とのコーナー部は局面で形成されており、コーナー部の内方に人体検知センサ610が設置してある。人体検知センサ610は赤外線センサであり、赤外線を照射する発光部と反射した赤外線を受光する受光部から構成されている。本体200の裏面には赤外線を外部に導く断面が長方形の筒状のガイド611形成されており、本体200の表面にはスモーク色のカバー612が設置されている。
筒状のガイド611の軸は水平に対して上方に約30℃向いており、トイレ室に入室した使用者の上半身に向けて赤外線を照射するようになっている。
便蓋300は赤外線を透過する素材で形成されており、人体検知センサ610の発光部から照射された赤外線は、便蓋300を透過してトイレ室に入室した使用者の身体で反射し、便蓋300を透過して人体検知センサ610の受光部で受光され、その信号が制御部260に送信されることにより人体が検知される。
便蓋300は赤外線を透過する素材で形成されているが、100%透過できるものではないので、透過度と感度についての配慮は重要である。
図7に示すように、着座センサ620は人体検知センサ610と同様に、本体200の
コーナー部の内方に設置してある。着座センサ620も人体検知センサ610と同様に赤外線センサである。本体200の裏面には赤外線を外部に導く断面が長方形の筒状のガイド621形成されており、本体200の表面にはスモーク色のカバー622が設置されている。
着座センサ620の構成が人体検知センサ610と異なるのは、筒状のガイド621の軸は水平に対して上方に約15℃向いている点であり、便座400に着座した使用者の腰に向けて赤外線を照射するようになっている。
着座センサ620が作動するのは使用者が便座に着座しているときであり、その場合必ず便蓋300は開放状態であり、着座センサ620の赤外線に関しては便蓋300の透過を配慮する必要はない。
図8に示すように、本体200の上面の裏側にリモコン受光センサ630が設置してある。リモコン受光センサ630は赤外線受光センサである。本体200の裏面には赤外線を外部に導く断面が長方形の筒状のガイド631形成されており、本体200の表面にはスモーク色のカバー632が設置されている。
筒状のガイド631の軸は略鉛直方向を向いており、トイレ室の壁面に設置されたリモートコントローラ500からの赤外線信号がいずれの方向から照射されても受光できる構成となっている。受光した信号は制御部260に送信され、制御部260は便座装置100の各機能の駆動を行う。リモートコントローラ500からの操作信号は、便蓋の開放状態と閉成状態の両方の状態でも送信されるので、閉成状態の場合は、赤外線信号は便蓋300を透過してリモコン受光センサ630に受光されるため、便蓋300の透過における減衰を配慮することが重要である。
<便蓋の構成>
図1に示すように便蓋300は高密度ポリエチレン(以下HDPEで表示)を主成分とする樹脂で一体に成型されている。図1および図2に示すように便蓋300の両側面の後部は本体200の側面に設置した便蓋回動機構(図示せず)に支持され、電動で開閉される。
図2に示すように、便蓋300は閉成した状態で、本体200と便座400の上面と側面のほとんどを覆う形状となっており、この状態では本体200および便座400はもちろん、本体の表面に設置した人体検知センサ610、着座センサ620、リモコン受光センサ630、および消灯状態の電源表示部640と便座昇温表示部650は視認することはできない。
便蓋300は、赤外線を透過すること、強い可視光を照射するとスポット形状の光る領域による投影像が形成されること、および便蓋300の内部(便蓋300で覆われた部分)が見えないことの3つの条件を満たすことが必要とされる。
上記条件を満たすためには、便蓋300の可視光透過率は2%以上で10%以下であることが好ましく、このとき便蓋300の赤外線透過率は30%以上であることが好ましく、35%以上であることが、より好ましいことを本発明者が行った実験で確認した。
本発明者は、実施例1〜3の3つの便蓋を作成して、この3つの条件が満たされる便蓋300の構成を検討した。
図9は便蓋300の厚み及び組成をパラメータとして変化させた実施例1〜実施例3の
赤外線透過率及び可視光透過率を示す表である。
図9に示すように、実施例1の便蓋300の構成は、厚みが0.8mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料〔図9にはαと記載〕:含有率=0.24質量%)である。
上記構成の場合、赤外線透過率が35%であり、可視光透過率が2%以上10%以下であり、可視光が後述の実施例3よりもより良好に散乱された。そして、実施例1の便蓋は、赤外線を透過し、便蓋の内部(便蓋で覆われた本体および便座)は見えなかった。そして、実施例1の便蓋にLEDの可視光を照射すると、照射部分に明るく光る投影像が後述の実施例2よりもより明瞭に形成された。
それ故、実施例1の便蓋は、便座装置100の便蓋として、実施例1〜実施例3の便蓋中で最も好適なものであることが確認された。
実施例2の便蓋においては、厚みが1.2mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料:含有率=0.24質量%)であり、赤外線透過率が20%であり、内部が殆ど見えない程度の可視光透過率であり、可視光が散乱された。また、実施例2の便蓋にLEDの可視光を照射すると、照射された可視光が僅かに透過し、照射部分に明るく光る領域が僅かに形成された。
実施例3の便蓋においては、厚みが0.8mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料:含有率=0.1質量%以下)であり、赤外線透過率が35%であり、内部が良く見える程度の可視光透過率であり、可視光が僅かに散乱された。そして、実施例3の便蓋にLEDの可視光を照射すると、照射された可視光が殆んど透過し、照射部分に明るく光る投影像が僅かに形成された。
<便座装置の動作、作用>
便座装置100が使用されない状態では、便蓋300が閉じており、電源表示部640の電源ランプ642が点灯し便蓋300の表面側から視認することができる。制御部260は、便座ヒータ450への通電を停止もしくは便座400の着座面を待機温度に維持するように制御する。
使用者がトイレ室に入室して便座装置100に近づくと、人体検知センサ610が人体を検知し、便座ヒータ450の最大容量の1200Wで昇温駆動を開始するとともに、便座昇温表示部650の温調ランプ652が点滅表示を開始し、この点滅表示は便蓋300の表面から視認することができる。
便座ヒータ450を最大容量で約6秒間通電した時点で、出力を600Wに低下するとともに、便蓋開閉機構を駆動して便蓋300を開放する。この時点で便座400の着座面は限界温度に達しており、着座が可能な状態となる。
600W通電を継続し、便座400裏面に設けた温度検知素子411が着座面の温度が設定温度に到達したことを検知すると、便座ヒータ450への通電は低容量に移行し、設定温度を維持する。そして、便座昇温表示部650の温調ランプ652は連続した点灯に移行する。
使用者が便座400に着座すると、着座検知センサ620が着座した人体を検知し、便座装置100の各機能の使用が可能となり、使用者がリモートコントローラ500の操作スイッチを操作すると、リモートコントローラ500の操作信号は、リモートコントローラ500に設けた赤外線の送信素子から送信され、本体200に設けたリモコン受光セン
サ630で受信し制御部260に送信され、制御部260は便座装置100の各機能の制御を実施する。
使用者がトイレ室から退出し、人体検知センサ620が人体の検知を行わなくなってから所定時間経過すると、制御部260は便蓋開閉機構を駆動して便蓋300を閉じるとともに、便座ヒータ450への通電を停止し、便座ヒータ450を待機状態に維持する。
(実施の形態2)
図10(a)は本発明の実施の形態2における表示部の構成を示す断面図であり、(b)は表示部を覆う便蓋の要部を示す平面図である。
本実施の形態2が実施の形態1と異なる点は、図に示すように、便蓋300の電源表示部640と対向する投影部310の肉厚に対し、他の部分の肉厚を厚くした点である。本実施の形態においては投影部310の肉厚を0.8mmとし、他の部分を3mmで成型している。
このような構成を採用することにより、便座400全体の強度および剛性を向上することができるとともに、電源表示部640の表示機能を発揮することができる。
なお、上記説明では電源表示部640について説明したが、便座昇温表示部650、人体検知センサ610、リモコン受光センサ630と対向する部分も同様に成型することにより、便蓋300の強度および剛性を確保し、かつ光電式機器の所定の性能を発揮させることができる。
(実施の形態3)
図11(a)は本発明の実施の形態3における表示部の構成を示す断面図であり、(b)は表示部を覆う便蓋の要部を示す平面図である。
本実施の形態3が実施の形態1および実施の形態2と異なる構成は、図に示すように、便蓋300の電源表示部640と対向する部分に周囲より肉厚の薄い円形状の凹部320を成型した点である。
このような構成を採用することにより、電源表示640からの照射により便蓋300に形成される投影像は、凹部320によって明るさに明暗の差が発生し、円形の縞状の投影像を発生させることができ、表示部の視認性をより向上することができる。
なお、上記説明では電源表示部640について説明したが、便座昇温表示部650と対向する部分も同様に成型することにより、同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、対向する部分に周囲より肉厚の薄い円形状の凹部320を成型したが、これに限るものではなく、周囲より肉厚の厚い円形状の凸部を成型したり、凹部と凸部の両方を成型しても同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては凹部および凸部の形状を円形としたが、これに限るものではなく、多角形や星型あるいは縞模様等の他の形状を採用することにより、別の効果や印象を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる便座装置は便蓋を閉じた状態で各種光学式機器の使用が可能となるので、表示機器や各種センサを備えた家電機器等の用途にも適用できる。
100 便座装置
200 本体
300 便蓋
310 投影部
320 凹部
400 便座
450 便座ヒータ(発熱体)
610 人体検知センサ(赤外線機器、光学式機器)
620 着座センサ(赤外線機器、光学式機器)
630 リモコン受光センサ(赤外線機器、光学式機器)
642 電源ランプ(発光機器、光学式機器)
652 温調ランプ(発光機器、光学式機器)
700 便器

Claims (5)

  1. 便器上に設置した本体と、
    前記本体に回動可能に枢支し、着座面を加熱する発熱体を内蔵した便座と、
    前記本体に回動可能に枢支し、閉じた状態で前記本体と前記便座とを覆う便蓋と、
    前記本体に設置し、少なくとも発光機器を含む光電式機器を備え、
    前記便蓋は顔料を含む樹脂材料で、赤外線透過率が35%以上、かつ可視光透過率が10%以下になるように一体に形成し、
    前記便座が閉じた状態で、前記本体と前記便座の覆った部分を、可視光が前記樹脂材料の内部で散乱することにより視認不可能に隠蔽し、かつ所定の赤外線の透過が可能とし、
    前記発光機器が発光した光は、前記便蓋の裏面に投影し、前記便蓋を形成する前記樹脂材料の内部で散乱することにより形成される投影像が、前記便蓋の表面側から視認可能なことを特徴とする便座装置。
  2. 前記光電式機器は、赤外線の受発光を行う赤外線機器を含む請求項1に記載の便座装置。
  3. 前記赤外線機器は、
    便座装置に近づいた人体を検知する人体検知センサと、
    前記本体と別に設置したリモートコントローラと交信を行うリモコン受光センサとの、少なくともどちらかを含む請求項2に記載の便座装置。
  4. 前記便蓋の前記発光機器の光を投影する部分と、
    前記赤外線機器の赤外線が透過する部分は、
    便蓋の他の部分より肉厚を薄く形成した請求項1から3のいずれか1項に記載の便座装置。
  5. 前記便蓋の前記発光機器の光を投影する部分に、
    周囲の肉厚より厚い凸部と、
    周囲の肉厚より薄い凹部との、
    少なくとも一方を形成した請求項1から4のいずれか1項に記載の便座装置。
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