以下、本発明の衛生洗浄装置の一実施形態について図面を参照にしながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態における衛生洗浄装置が設置されているトイレ室内を示す外観斜視図である。
図1に示すように、トイレ室10内には、衛生洗浄装置1と、手洗い場11がそれぞれ設置されている。衛生洗浄装置1は、トイレ室10内の奥側の床面上に、手洗い場11は、トイレ室10内の手前側にそれぞれ設置されている。
この衛生洗浄装置1は、陶器からなる便器2と、ケーシング3と、合成樹脂などからなる便座4および便蓋5と、照明装置6などから構成されている。
ケーシング3は、便器2の後方に設けられ、ケーシング3には、局部洗浄用のノズル装置(図示略)、局部乾燥装置(図示略)、制御装置(図示略)などの電装品が内蔵されている。また、便座4および便蓋5は、後述するケーシング3に設けられた便座回転軸および便蓋回転軸により軸支され、いずれもケーシング3の上部に回転自在に取り付けられている。また、照明装置6は、ケーシング3の上部で、後述する便座回転軸と便蓋回転軸の間(特に便蓋回転軸の近傍)に設けられ、上向きの方向に投光するように設置されている。この照明装置6は、低(Low)レベル、中(Middle)レベル、高(High)レベルの3段階で、照明装置6の光量を設定することができる。
また、リモコン装置20は、衛生洗浄装置1横のトイレ室10壁面に設置されている。このリモコン装置20は、使用者(以下、「人」ともいう)が便座4に座った状態で操作することができ、かつ邪魔にならない位置に設置する必要があるため、衛生洗浄装置1横のトイレ室10の壁面(左右いずれかの壁面)で、使用者の肩の高さ付近に着脱自在に設置されている。リモコン装置20には、肛門洗浄、ビデ洗浄、温風乾燥の機能などを行なうために、使用者により操作される操作ボタン21が備えられている。本実施形態では、リモコン装置20は、電池を電源としており、操作ボタン21の操作信号を赤外線により衛生洗浄装置1へ送信する。
次に、衛生洗浄装置1の便座4および便蓋5が開閉した状態について、図2(a)〜図2(c)を用いて説明する。まず、衛生洗浄装置1の便蓋5および便座4のいずれもが閉止状態の場合について、図2(a)を参照にしながら説明する。図2(a)は、便蓋および便座のいずれもが閉止状態である衛生洗浄装置の外観斜視図である。
図2(a)に示すように、便蓋5には、半透明白色の受光窓17が設けられている。この受光窓17は、赤外線を通す性質を有している。受光窓17の下部には、後述する第1の人体検知センサ(焦電型の赤外線センサ)が設けられている(図2(b)参照)。そして、トイレ室10に使用者が入室すると、この受光窓17を介し、後述する第1の人体検知センサにより、人が発する赤外線が検知される。これにより、トイレ室10に人が入室したことを検知することができる。
また、照明装置6は、便蓋5が閉止した状態で、便蓋5の後方に設けられており、便蓋5が閉止した状態でも、外部から視認できる状態にある。これにより、便蓋5が閉止した状態でも、照明装置6により、衛生洗浄装置1付近の上部を照らすことができる。詳細は後述する。
ケーシング3の上部後端左右端部には、リモコン装置20からの赤外線を受光するためのリモコン受光窓13が設けられている。このリモコン受光窓13は、リモコン装置20がトイレ室10の左右のいずれの壁に設けられていても、リモコン装置20からの赤外線を受光できるように、ケーシング3の左右両端部に設けられている(リモコン受光窓13(左端部)図示略)。なお、便蓋回転軸15は、便蓋5を軸支するものである。詳細は後述する。なお、本実施形態では、トイレ室10手前側(入口方向)を「前」、トイレ室10奥側を「後」、トイレ室10入口から便器2に向かって左側を「左」、右側を「右」としている。
次に、衛生洗浄装置1の便蓋5が開放状態で便座4が閉止状態の場合について、図2(b)を参照にしながら説明する。図2(b)は、便蓋が開放状態で便座が閉止状態である衛生洗浄装置の外観斜視図である。
図2(b)に示すように、ケーシング3の上部前端近傍に便座回転軸14が設けられ、ケーシング3の上部後端近傍に便蓋回転軸15が設けられている。この便蓋回転軸15は、上述したように便蓋5を軸支するものであり、便座回転軸14は、便座4を軸支するものである。便座回転軸14および便蓋回転軸15は、ケーシング3の左右方向に沿って、互いに平行に設置されている。また、図2(b)に示すように、ケーシング3上部の便座回転軸14と便蓋回転軸15の間には、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されているリモコン装置20を照明することができる程度の空間が設けられている。
照明装置6は、ケーシング3の便蓋回転軸15の近傍に設けられている。このため、便蓋5が閉止した状態だけでなく開放した状態でも、照明装置6は、便蓋5に遮蔽されることなく、衛生洗浄装置1近傍の上部を照らすことができる。また、照明装置6は、ケーシング3の左右方向の中央部近傍に設けられている。これにより、便器2横の左右いずれのトイレ室10壁面も照らすことができ、便器2横の左右いずれの壁面にリモコン装置20を設置した場合でも、リモコン装置20を照らすことができる。
また、ケーシング3には、第1の人体検知センサ7、第2の人体検知センサ8、および着座検知センサ9がそれぞれ設けられている。
第1の人体検知センサ7(焦電型の赤外線センサ)は、トイレ室10に入室した人を検知するためのセンサであり、ケーシング3の上部後方に設けられている。具体的には、第1の人体検知センサ7は、受光部(図示略)を有している。そして、人体から発せられる赤外線を受光部(図示略)により受光することにより、トイレ室10内で動いている人を検知することができる。なお、図2(b)に示すように、便蓋5が開放された状態では、第1の人体検知センサ7が便蓋5の裏面側に位置することとなるが、この状態においても、外部から視認でき、トイレ室10に入室した人を検知することができる。
なお、この第1の人体検知センサ7は、焦電型の赤外線センサであるので、トイレ室10内で動いている人を検知することができるが、トイレ室10内で停止している人は検知することができない。
第2の人体検知センサ8(光電型の赤外線センサ)は、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人を検知するためのセンサであり、ケーシング3の上部前端近傍に設けられている。具体的には、第2の人体検知センサ8は、投光部(図示略)と受光部(図示略)を有している。そして、投光部(図示略)により前方斜め上向きに投光された赤外線が衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人に当たって反射され、その反射光が受光部(図示略)に受光されることにより、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人を検知することができる。
なお、この第2の人体検知センサ8は、上述したように衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人を検知するためのセンサであり、この第2の人体検知センサ8の検知可能範囲は、衛生洗浄装置1の前方近傍の範囲とあらかじめ設定されている。
着座検知センサ9(光電型の赤外線センサ)は、使用者が便座4に着座しているかを検知するセンサであり、第2の人体検知センサ8と同じくケーシング3の上部前端近傍に設けられている。具体的には、着座センサ9は、投光部(図示略)と受光部(図示略)を有している。そして、投光部(図示略)により前方斜め下向きに投光された赤外線が便座4に着座している人に当たって反射され、その反射光が受光部(図示略)に受光されることにより、便座4に着座している人を検知することができる。
なお、この着座検知センサ9は、上述したように便座4に着座している人を検知するためのセンサであり、この着座検知センサ9の検知可能範囲は、人が着座する便座4近傍の範囲とあらかじめ設定されている。
次に、衛生洗浄装置1の便蓋5および便座4のいずれもが開放状態の場合について、図2(c)を参照にしながら説明する。図2(c)は、便蓋および便座のいずれもが開放状態である衛生洗浄装置の外観斜視図である。
図2(c)に示すように、便蓋5および便座4のいずれもが開放状態の場合には、第2の人体検知センサ8は、外部から視認できる状態にある。これにより、便座4が閉止している状態のみならず、便座4が開放している状態でも、第2の人体検知センサ8により、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人を検知することができる。
なお、第2の人体検知センサ8は、便蓋5が閉止した状態(図2(a)の状態)では、外部から視認できる状態でない(便蓋5で覆われている)ので、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人を検知することができない。
次に、図2に示した照明装置6の構造について図3および図4を用いて詳細に説明する。
図3は、図2に示す照明装置近傍の縦断面図であり、図4は、図2に示す照明装置の分解構成図である。
図3に示すように、LED(Light Emitting Diode)61は、照明装置6の発光源であり、便蓋回転軸15の上部近傍に設けられている。本実施形態では、LED61として、白色のLED(Light Emitting Diode)を用いられている。このLED61は、LED基板62の上に3個配設されている(図4参照)。
そして、図4に示すように、LED61が配設されたLED基板62の上部にプラスチック製のホルダー63が配置され、その上部にプラスチック製の透過板65がさらに配置され、そのLED基板62とホルダー63と透過板65がそれぞれ組み立てられた状態で、ホルダー63の固定部63aを介し、図3に示すケーシング3にネジ64により固着されている。なお、ホルダー63と透過板65の間に、光を拡散させるレンズを配置してもよい。また、LED基板62には、コネクタ67が設けられ、そのコネクタ67にプラグ68が接続される。そして、そのプラグ68に接続された配線を介して、後述する制御装置からの信号がLED基板62に送信される。
開口部70は、ケーシング3後方に形成された横長の長方形状にした切欠きであり、この開口部70を介し、照明装置6から発せられた光が外部に放出される。また、透過板65は、LED61から発せられた光を透過させる性質を有するもので、LED61およびホルダー63を外包するように形成されている(図4参照)。また、透過板65の上部は、透過板65の上部に形成された凸状部分に亘ってケーシング3の開口部70に嵌合されている。なお、ケーシング3と透過板65の間に設けられたパッキン66は、開口部70からケーシング3の内部に液体などが侵入しないようにするものである。
上述したように、LED61から発せられた光は、透過板65を介し、開口部70から上向きに放出される。このLED61から発せられた光は、その光軸をトイレ室の天井に向かわせながら矢線P(衛生洗浄装置1の最も前方向に放出される光)から矢印Q(衛生洗浄装置1の最も後方向に放出される光)の前後方向に広がりをもった範囲(直接光の縦方向照射範囲)で、開口部70を介し放出される。これにより、照明装置6は、ケーシング3の上方を幅広く明るくすることができる。
また、便蓋5が開放された状態(5B)では、このLED61から発せられた光(矢印Qの光)は、便蓋5の裏面で反射されるので、その反射光(矢印R)により上述した矢印Pの光より、より前方を照らすことができる。これにより、反射光(間接光)により、上述した直接光の照射範囲より広い範囲を照射することができる(間接光の縦方向照射範囲)。
このように、便蓋5が開放された状態(5B)では、照明装置6からの直接光と便蓋5で反射した間接光の双方によってトイレ室10内が照らされる。なお、便蓋5が開放された状態(5B)でも、便蓋5が閉止した状態(5A)でも、LED61は外部から視認できる状態(便蓋5で覆われない)にあるので、いずれの場合でも、LED61から発せられた光は、透過板65を介し、開口部70から衛生洗浄装置1の外部に放出される。
次に、照明装置6の左右方向(横方向)の照射範囲について図5を参照にしながら説明する。図5は、図3に示すA−A断面の断面図である。
開口部70は、上述したように横長の長方形状をしている。LED61は、上述したように、この開口部70の長手方向に沿って一列に3個配設されている。そして、LED61から発せられた光は、透過板65を介し、開口部70から上向きに放出される。このLED61から発せられた光は、矢線S(最も左方向に放出される光)から矢印T(最も右方向に放出される光)の左右方向に広がりをもった範囲(直接光の横方向照射範囲)で、開口部70を介し放出される。このように3個のLED61が左右に並べて配設されているので、照明装置6は、ケーシング3の上方を左右方向においても幅広く明るくすることができる。
これにより、照明装置6は、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されているリモコン装置20を、より効果的に照明することができる。
次に、本発明の一実施形態の衛生洗浄装置の電気的構成について図6を参照にしながら説明する。図6は、本発明の一実施形態の衛生洗浄装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6に示すように、衛生洗浄装置1は、制御装置30を備えている。制御装置30は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理部)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェース等(何れも図示略)を含むマイクロコンピュータを有している。RAM(図示略)、ROM(図示略)などの記憶手段には、マイクロコンピュータを制御するためプログラムが記憶されている。
制御装置30には、上述した第1の人体検知センサ7、第2の人体検知センサ8、着座検知センサ9の他に、便蓋5の開閉状態を検知する便蓋開閉センサ31、便座4の開閉状態を検知する便座開閉センサ32、リモコン受信部33のそれぞれの機器からの出力信号が与えられるようになっている。そして、これらの出力信号に基づいて、制御手段30は、照明装置6、便蓋開閉装置34、および便座開閉装置35を制御するようになっている。
便蓋開閉センサ31は、便蓋5の開閉とともに「オン」、「オフ」する機械的センサが用いられている。また便座開閉センサ32も、便座4の開閉とともに「オン」、「オフ」する機械的センサが用いられている。なお、本実施形態では、便蓋開閉センサ31および便座開閉センサ32として機械的に検出するセンサを用いたが。これに限らず、たとえば、光電センサなどの非接触で検出するセンサでもよく、またマイクロスイッチ、ホールIC、測距センサ等などで検出するセンサであってもよい。
リモコン受信部33は、リモコン装置20からのリモコン操作信号(赤外線)を、リモコン受光窓13を介して、受信するものである。このリモコン操作信号(赤外線)の操作情報は、リモコン受信部33から制御装置30に出力される。
便蓋開閉装置34は、便蓋回転軸15を回転駆動させることにより、便蓋5を開放させたり閉止させたりする装置である。具体的には、便蓋開閉装置34は、便蓋回転軸15をそれぞれ正逆方向に回転させる直流モータ(図示略)と、この直流モータを駆動させる駆動回路(図示略)と、この直流モータの駆動力を便蓋回転軸15に伝達して便蓋5を開閉させる伝達機構(図示略)から構成されている。また、便座開閉装置35は、便座回転軸14を回転駆動させることにより、便座4を開放させたり閉止させたりする装置である。具体的には、便座開閉装置35も、便座回転軸14をそれぞれ正逆方向に回転させる直流モータ(図示略)と、この直流モータを駆動させる駆動回路(図示略)と、この直流モータの駆動力を便座回転軸14に伝達して便座4を開閉させる伝達機構(図示略)から構成されている。
リモコン装置20には、衛生洗浄機能の操作ボタン21のほかに、オートライトスイッチ22、オート開閉スイッチ23のスイッチボタンも備えられている。
オートライトスイッチ22は、自動点灯の動作モード(オートライトモード)にするか否かの操作ボタン21である。使用者が、オートライトスイッチ22の操作ボタン21を操作することにより、オートライトスイッチ22が「オン」(オートライトモードの「入」状態)になる。具体的には、使用者により、リモコン装置20のオートライトスイッチ22の操作ボタン21が操作されると、そのリモコン操作信号(赤外線)がリモコン装置20からリモコン受信部33に送信され、そして、リモコン受信部33から制御装置30に送信されたリモコン操作信号(赤外線)の操作情報が、制御装置30のRAM(図示略)に記憶される(オートライトモードの「入」状態が記憶)。これにより、リモコン装置20のオートライトスイッチ22の操作ボタン21が使用者により操作され、オートライトスイッチ22を「オフ」にされるまで、オートライトスイッチ22の「オン」(オートライトモードの「入」状態)が制御手段30に記憶される。そして、後述するように、オートライトモードの「入」状態では、第1の人体検知センサ7、第2の人体検知センサ8、着座検知センサ9のいずれかのセンサにより人体または着座が検知されると、照明装置6が自動点灯する。
オート開閉スイッチ23は、自動開閉の動作モード(オート開閉モード)にするか否かの操作ボタン21である。使用者が、オート開閉スイッチ23の操作ボタン21を操作することにより、オート開閉スイッチ23が「オン」(オート開閉モードの「入」状態)になる。具体的には、使用者により、リモコン装置20のオート開閉スイッチ23の操作ボタン21が操作されると、そのリモコン操作信号(赤外線)がリモコン装置20からリモコン受信部33に送信され、そして、リモコン受信部33から制御装置30に送信されたリモコン操作信号(赤外線)の操作情報が、制御装置30のRAM(図示略)に記憶される(オート開閉モードの「入」状態が記憶)。これにより、リモコン装置20のオート開閉スイッチ23の操作ボタン21が使用者により操作され、オート開閉スイッチ23が「オフ」にされるまで、オート開閉スイッチ23の「オン」(オート開閉モードの「入」状態)が制御手段30に記憶される。そして、後述するように、オート開閉モードの「入」状態では、第1の人体検知センサ7により人体が検知されると便蓋5が緩やかに開放され、第1の人体検知センサ7、第2の人体検知センサ8により人体が検出されなくなると、所定時間後に便蓋5が緩やかに閉止(便座4が開放されていれば便座4とともに閉止)される。詳細は後述する。
次に、図2に示す照明装置6の切換動作について図7を参照にしながら説明する。図7は、図2に示す照明装置の切換動作の状態遷移図である。
図7では、使用者がトイレ室10に入室する前の状態(待機状態)から、トイレ室10に入室し、便座4に着座して、トイレ室10から退室するまでの一連の動作について説明している。図7では、各種プログラムおよび各種センサからの情報が制御装置30に送信され、そして、制御装置30により照明装置6の光量を、「消灯」の状態から、「低(Low)レベル」「中(Middle)レベル」、「高(High)レベル」の3段階で点灯状態を切り換えられている。
なお、本実施形態では、「消灯」の状態から、照明装置6の光量を「低(Low)レベル」「中(Middle)レベル」、「高(High)レベル」の3段階で点灯状態が切り換えられているが、これに限らず、「低(Low)レベル」「中(Middle)レベル」「高(High)レベル」の他に「最低(bottom)レベル」を設けてもよく、さらに、それぞれの「低(Low)レベル」「中(Middle)レベル」、「高(High)レベル」などに段階(たとえば「低1レベル」「低2レベル」「低3レベル」など)を設けてもよい。つまり、中間の光量(S2の光量(本実施形態では「中(Middle)レベル」))が、トイレ室10の使用者にまぶしさを感じさせず、夜間の使用でも覚醒させることがない光量で、後述するようにS3→S2→S5の順で光量が大きくなるものであれば、それぞれの光量の大きさは問わない。
(S1の状態)
まずS1の状態は、トイレ室10に人が入室する前の状態(待機状態)を示している。この待機状態では、トイレ室10内に使用者がいない状態なので、トイレ室10内の照明装置6は消灯している。
また、待機状態では、オートライトモードが「入」に設定されている。すなわち、この待機状態で、第1の人体検知センサ7(焦電型の赤外線センサ)、第2の人体検知センサ8(光電型の赤外線センサ)、着座検知センサ9(光電型の赤外線センサ)のいずれかのセンサにより人体または着座が検知されると、照明装置6が自動点灯する。
このS1の状態で、トイレ室10に使用者が入室し、その入室した人が第1の人体検知センサ7により検知されると、また、第2の人体検知センサ8により衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人が検知(人体検知センサ(第1または第2):検知)されると、S2の状態(M点灯状態)に移行する。
ここで、第2の人体検知センサ8により衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人が検知された場合にも、S2の状態に移行するとしたのは、使用者が、衛生洗浄装置1の前方近傍で、リモコン装置20のオートライトスイッチ22の操作ボタン21を操作して、オートライトスイッチ22を「オフ」から「オン」にした場合などを想定している。しかし、本実施形態では、待機状態でオートライトスイッチ22が「オン」であるので、使用者がトイレ室10内に入室した場合に、第1の人体検知センサ7によりその人が検知され、S2に移行する。
なお、上述したように、使用者がリモコン装置20のオートライトスイッチ22の操作ボタン21を操作して、オートライトスイッチ22を「オフ」にしない限り、オートライトモードの「入」状態が継続する。
また、S1の状態で、オート開閉モードが「入」状態になっている場合は、トイレ室10に使用者が入室し、その入室した人が第1の人体検知センサ7により検知されると、便蓋5が自動開放する。これにより、使用者は、手動で便蓋5を開ける必要はなく、使用の簡便化を図ることができる。また、便蓋2が開放されることにより、第2の人体検知センサ8が視認できる状態になり、第2の人体検知センサ8が検知可能状態になる。
(S1の状態→S2の状態)
S1の状態から第2の状態へは、上述したように、トイレ室10に使用者が入室し、その入室した人が第1の人体検知センサ7により検知された場合に移行する。このように、トイレ室10に入室すれば、照明装置6が自動的に点灯されるので、使用者は、手動で照明装置6を点灯させる必要がなく(トイレ室10の使用の簡便化)、また、常時点灯の場合を比較して、照明装置6の電気代も節約することができる。
S2の状態は、照明装置6が中(Middle)レベルで点灯している状態(M点灯状態)を示している。このS2の状態では、トイレ室10の照明として十分役立つ程度に、ぼんやり照らす程度(M点灯)にトイレ室10内が照らされている。換言すると、このM点灯状態では、便座4の先端に立った人が、その位置から照明装置6を見た時でも、その使用者にまぶしさを感じさせない輝度に設定(輝度(まぶしさ)を350cd/m2以下に設定)されている。具体的には、3個のLED61に10mAの電流を通電することにより、便座4の先端に立った人が、その位置から照明装置6を見た時の輝度が350cd/m2以下になるように設定されている。
これにより、便座4の先端に立った人が、その位置から照明装置6を見たときに、照明装置6の輝度が350cd/m2以下になるように設定されているので、夜間にトイレ室10に入室した人のみならず、男子小便時のように衛生洗浄装置1の前に立った場合でも、トイレ室10の使用者にまぶしさを感じさせず、夜間のトイレ室10の使用者に覚醒させることもない。
なお、上述したように、トイレ室10に使用者が入室すると、第1の人体検知センサ7により、そのトイレ室10に入室した人が検知される。そして、その使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍に来れば、さらに第2の人体検知センサ8でも衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人が検知される。このように、使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍に来れば、第1の人体検知センサ7により検知されながら、さらに、第2の人体検知センサ8でもその人が検知される状態となる。そこで、本実施形態では、第1の人体検知センサ7により人体が検知されている状態で、第2の人体検知センサ8により人体が検知されれば、第1の人体検知センサ7の検知信号を制御手段30に送信しないこととしている。これにより、照明装置6を制御するための制御信号が単一化され、システム構成の簡略化を図ることができる。
(S2の状態→S5の状態)
S2の状態で、使用者が便座4に着座し、その便座4への着座が着座検知センサ9により検知されると、S5(H点灯状態)に移行する。すなわち、女子使用時あるいは男子大便使用時のように、使用者が便座4に着座すると、その便座4への着座が着座検知センサ9により検知され、S5(H点灯状態)に移行される。
S5の状態は、照明装置6が高(High)レベルで点灯している状態(H点灯状態)を示している。このS5の状態では、使用者が便座4に着座した状態で、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されるリモコン装置20の操作ボタン21が認識できる程度に、リモコン装置20が照明装置6により照らされている。換言すれば、H点灯状態では、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されるリモコン装置20の操作ボタン21が認識できる程度の照度に設定(照度(明るさ)を0.1Lx以上に設定)されている。具体的には、3個のLED61に20mAの電流を通電することにより、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されるリモコン装置20の照度が0.1Lx以上になるように設定されている。
なお、本実施形態では、H点灯状態で、3個のLED61に20mAの電流を通電することにより、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されるリモコン装置20の照度が0.1Lx以上になるように設定されているが、これに限らず、3個のLED61に20mA以上(たとえば、30mA、40mA、50mAなど)の電流を通電することにより、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されるリモコン装置20の照度が0.1Lx以上になるように設定してもよい。
この照明装置6は、ケーシング3の上部で、便座回転軸14と便蓋回転軸15の間に設けられているので、着座した使用者の背面と便蓋5との間に空間が確保される。このため、照明装置6は、着座した使用者の背面と便蓋6との間に確保された空間を利用して、便器2横のトイレ室10壁面を照らすことができる。しかも、使用者が便座4に着座しているときには、照明装置6をH点灯状態にしているので、使用者は、着座しているときに、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されているリモコン装置20の操作ボタン21を認識でき、確実に操作ボタン21を操作することができる。特に、照明装置6はケーシング3の上部で、便蓋回転軸14の近傍に設けられているので、着座した使用者の背面と照明装置6との間に広い空間が確保される。このため、照明装置6は、着座した使用者の背面と照明装置6との間に確保された空間を利用して、より前方の便器2横のトイレ室10壁面を照らすことができる。また、使用者が便座4に着座しているときには、照明装置6が便座4に着座している使用者の背後に位置することとなるので、照明装置6がH点灯状態であっても、照明装置6の光が直接目に入ることなく、使用者は覚醒することもない。
このように、夜中にトイレ室10を利用する場合でも、使用者に覚醒を促すことがなく、また、便器2横のトイレ室10の壁面に設置されているリモコン装置20の操作ボタン21を確実に操作することができるとともに、その照明装置6を一つの照明装置6により実現することができる。
また、S1の状態(待機状態)で、使用者が便座4に着座し、その便座4への着座が着座検知センサ9により検知されると、S5(H点灯状態)に移行する。
ここで、S1の状態(待機状態)で、使用者が便座4に着座し、その便座4への着座が着座検知センサ9により検知されると、S5の状態に移行するとしたのは、使用者が、便座4に着座した状態で、リモコン装置20のオートライトスイッチ22の操作ボタン21を操作して、オートライトスイッチ22を「オフ」から「オン」にした場合などを想定したものであるが、本実施形態では、待機状態でオートライトスイッチ22が「オン」であるので、S1からS5に移行することはない。
(S5の状態→S2の状態)
S5の状態で、使用者が便座4から離座し、便座4への着座が着座検知センサ9により検知されなくなると、S2(M点灯状態)に移行する。すなわち、使用者が便座4から離座したときには、使用者は衛生洗浄装置1の前方近傍にいるので、その衛生洗浄装置1の近傍にいる人が第2の人体検知センサ8により検知され、S2(M点灯状態)に移行する。
これにより、照明装置6の光量がH点灯状態からM点灯状態に移行されるので、便座4から離座した使用者が、その離座した位置から照明装置6を見た場合でも、まぶしさを感じさせず、夜間のトイレ室10の使用者に覚醒させることもない。
(S2の状態→S3の状態)
S2の状態で、使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍にいなくなる(第2の人体検知センサ8非検知)と、S3(L点灯待ち状態)に移行する。
S3の状態は、M点灯状態を継続しつつ、使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍から離れてから、所定の時間(90秒)経過後にS3からS4に移行させる状態を示している(L点灯状態)。すなわち、S3の状態では、使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍から離れて(衛生洗浄装置1を使用しなくなって)から、所定の時間(90秒)経過すると、使用者がトイレ室10から退室するだろうと考え、その時間(90秒)経過後にS3からS4に移行させる。具体的には、このS3の状態では、S2の状態で衛生洗浄装置1の前方近傍の人が第2の人体検知センサ8により検知されなくなり、制御手段30が第2の人体検出センサ8からの検知信号を受信しなくなれば、制御装置30により、タイマー(図示略)がセットされる。そして、タイマーがセットされてから所定の時間(90秒)以内に、衛生洗浄装置1の前方近傍の人が第2の人体検知センサ8により検知されない場合に、S4の状態に移行される。これにより、照明装置6は、M点灯からL点灯(照明装置6が低(Low)レベルで点灯)になる。この所定の時間(90秒)は、使用者が衛生洗浄装置1を使用してから、見繕いをしたり、手を洗ったりするのに十分な時間が設定されている。本実施形態では、90秒が設定されている。
また、タイマーがセットされてから所定の時間(90秒)経過する前に、衛生洗浄装置1の前方近傍の人が第2の人体検知センサ8により検知されれば、S2の状態に移行される。そして、S2に移行されると、制御装置30により、90秒のタイマーがリセットされる。そして、衛生洗浄装置1の前方近傍へ戻った使用者が、再び衛生洗浄装置1の前方近傍から離れた場合に、照明装置6の状態は再びS2からS3に移行され、90秒のタイマーが制御手段30により再びセットされる。
これにより、M点灯状態からL点灯状態に移行させるタイミングを、衛生洗浄装置1の前方近傍の人がいなくなったとき、すなわち、使用者が衛生洗浄装置1を使用しなくなったときを起算点としているので、使用者が衛生洗浄装置1を使用しなくなったときから、何分後に退室するかをあらかじめ求め(通常値など)、その時間経過後に、M点灯状態からL点灯状態に移行させれば、実情にあった時間経過後に、M点灯状態からL点灯状態に移行させることができる。
(S3状態→S4の状態)
S3の状態で、衛生洗浄装置1の前方近傍の人が第2の人体検知センサ8により検知されない状態が、所定の時間(90秒)継続することにより、S4の状態に移行する。
S4の状態は、照明装置6がM点灯からL点灯になり、衛生洗浄装置1の前方近傍の人が第2の人体検知センサ8により検知されない状態が、さらに所定の時間(5秒)継続後にS4からS1に移行させる状態を示している(消灯待ち状態)。すなわち、照明装置6がL点灯になってから、所定の時間(5秒)経過すると、トイレ室10内に人がいないだろうと考え、その時間(5秒)経過後にS4からS1に移行させる。具体的には、このS4の状態では、S3の状態で衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人が、第2の人体検知センサ8により継続して90秒間検知されなくなり、制御手段30が第2の人体検出センサ8からの検知信号を継続して90秒間受信しなくなれば、制御装置30により、タイマー(図示略)がセットされる。そして、タイマーがセットされてから所定の時間(5秒)以内に、第1の人体検知センサ7により、また第2の人体検知センサ8により使用者が検知されない場合に、S1の状態に移行される。これにより、照明装置6がL点灯から消灯する。この所定の時間(5秒)は、M点灯からL点灯に光量が一段と小さくされること(消灯予告)により、使用者がもうすぐ照明装置6が消灯されることに気づき、使用者が、第1の人体検知センサ7により、また、第2の人体検知センサ8により検知されるための行動を取るための時間として十分な時間が設定されている。本実施形態では、5秒が設定されている。
また、タイマーがセットされてから所定の時間(5秒)が経過する前に、第1の人体検知センサ7により、また第2の人体検知センサ8により使用者が検知されれば、S2の状態に移行される。これにより、照明装置6はM点灯状態になる。そして、S2に移行されると、制御装置30により、5秒のタイマーがリセットされる。
また、S4の状態で、オート開閉モードが「入」状態になっている場合も、照明装置6と同様に、タイマーがセットされてから所定の時間(5秒)以内に、第1の人体検知センサ7により、また第2の人体検知センサ8により使用者が検知されない場合に、緩やかに便蓋5が閉止される。これにより、使用者は、手動で便蓋5を閉じる必要はなく、使用の簡便化を図ることができる。
上述したS2(M点灯状態)、S5(H点灯状態)、S3(L点灯状態)、S4(消灯待ち状態)のいずれにおいても、リモコン装置20のオートライトスイッチ22の操作ボタン21を操作して、オートライトスイッチ22を「オフ」にすれば、S6(停止状態)に移行する。停止状態では、第1の人体検知センサ7、第2の人体検知センサ8、着座検知センサ9が検知しているか否かに拘らず、照明装置6が消灯する。すなわち、停止状態では、照明装置6を自動点灯させるのではなく、照明装置6の動作スイッチ(図示略)を手動で操作することにより、照明装置6を点灯させる。
なお、照明装置6がS1(待機状態)、S2(M点灯状態)にあるときだけでなく、S3の状態、S4の状態のいずれか状態にあるときでも、着座検知センサ9により使用者の着座が検知されると、S5(H点灯状態)に移行する。すなわち、オートライトモードが「入」になっているときは、便座4への着座が検知されると、S5の状態に移行し、照明装置6がH点灯状態となる。
以上のように、本実施形態の衛生洗浄装置1では、夜間にトイレ室10へ入室した使用者に、まぶしく感じさせることのない程度の光量でトイレ室10を照らし(S2の状態およびS3の状態)、使用者が照明装置6の光を直接目にする恐れのない姿勢(着座)をとったときには、照明装置6の光量を大きくして、便座4に着座している使用者によりリモコン装置20が操作可能な程度の明るさで照らされる(S5の状態)ように構成されている。すなわち、本実施形態の衛生洗浄装置1では、夜中にトイレ室10を利用する場合でも、照明装置6の光により使用者に覚醒を促すことがなく、また、便器2の近傍のトイレ室10の壁面(左右いずれかの壁面)に設置されているリモコン装置20の操作性を高めるように構成されている。
また、使用者がトイレ室10に入室すると、第1の人体検知センサ7によって使用者が検知されることにより、照明装置6が自動的に点灯されるので、手動で照明装置6を点灯させる必要がなく、トイレ室10の利用の簡便化を図ることができる。
また、使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍から離れた後も、手洗い等に要する時間を見込んで、一定時間にわたってトイレ室10が照らされる(S3の状態)ので、使用者は衛生洗浄装置1を使用した後の手洗い等を、照明されたトイレ室10の中で行うことができるとともに、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人がいなくなった(第2の人体検知センサ8が検知しなくなった)ときから、所定の時間経過後に照明装置6を消灯させるので、あらかじめ使用者の手洗い等に要する時間(通常値など)を求め、その時間経過後に照明装置6が消灯することになり、実情にあった時間経過後に照明装置6を消灯させることができる。さらに、照明装置6が消灯する前に、照明装置6の光量を一段と小さくして、照明装置6が消灯されることを使用者に知らせる(予告)ので(S4の状態)、手洗い等に長い時間を要した場合であっても、使用者は、照明装置6がまもなく消灯することを事前に知ることができ、その時点で再び照明装置6をM点灯させることができる(S4の状態→S2の状態)。
次に、トイレ室10のそれぞれの使用態様に対応する照明装置6の動作について図8から図11を用いて説明する。図8〜図11は、トイレ室10の使用態様に対応する照明装置6のタイミングチャートである。なお、本タイムチャートも、図7の状態遷移図と同様に、待機状態において、オートライトモードが「入」に設定されている。また、照明装置6のそれぞれの状態(S1〜S6)は、図7の状態遷移図の照明装置6の状態を示している。
(女子使用時もしくは男子大便時)
まず、トイレ室10に入室後、使用者が便座4に着座する場合の照明装置6の照明状態について図8を参照にしながら説明する。図8は、トイレ室に入室した後に、使用者が便座に着座する場合の照明装置の状態を示すタイムチャートである。
使用者がトイレ室10へ入室すると、第1の人体検知センサ7により入室者したことが検知される(時刻ta1)。そうすると、照明装置6の状態は、S1の状態からS2の状態へ移行する。これにより、照明装置6はM点灯する。それと同時に、オート開閉モードが「入」になっている場合は、便蓋5がゆっくりと開き始める。そして、使用者が衛生洗浄装置1(便器2)の近傍に進めば、第2の人体検知センサ8がオン状態(検知状態)となる(時刻ta2)。第2の人体検知センサ8がオン状態(検知状態)になれば、第1の人体検知センサ7がオフ状態(非検知状態)になる。この状態では、第2の人体検知センサ8がオン状態(検知状態)であるので、M点灯状態(S2)が維持される。
その後、使用者が便座4に着座すると、着座検知センサ9がこれを検知することにより、照明装置6の状態が、S2からS5へ移行する。それにより、M点灯していた照明装置6はH点灯となる(時刻ta3)。使用者が衛生洗浄装置1を使用し終わって、便座4から離座すると、着座検知センサ9は着座を検知しなくなる。その結果、照明装置6の状態はS5からS2に移行し、H点灯していた照明装置6はM点灯になる(時刻ta4)。
そして、その後、離座した使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍から離れると、第2の人体検知センサ8は使用者を検知しなくなる(時刻ta5)。その結果、照明装置6の状態は、S2からS3へ移り、90秒のタイマーがセットされることとなる。使用者は手洗い場11へ移動し(時刻ta6)、手洗いを済ませた後に、トイレ室10を退室する(時刻ta7)。
図8に示すように、タイマーが90秒の経過を制御装置30に通知するまでに使用者が退室する場合には、使用者が退室した(時刻ta7)後に、照明装置6の状態がS3からS4へ移行し、M点灯していた照明装置6はL点灯に変わることとなる(時刻ta8)。
その後、5秒の経過を待って、照明装置6の状態がS4からS1に移行し、それにより照明装置6は消灯することとなる(時刻ta9)。それと同時に、オート開閉モードの機能により、便蓋5がゆっくりと閉止し始める。
(男子小便時など)
次に、トイレ室10に入室後、使用者が便座4に着座することなく使用(男子小便時など)する場合の照明装置6の照明状態について図9を参照にしながら説明する。図9は、トイレ室に入室した後に、使用者が便座に着座することなく使用(男子小便時)する場合の照明装置の状態を示すタイムチャートである。なお、使用者がトイレ室10へ入室したときから、衛生洗浄装置1の前方近傍に到着するまで(時刻tb1〜時刻tb2)は、図8と同様であるので、ここでは、使用者が衛生洗浄装置1の近傍に到着したときから説明する。衛生洗浄装置1の前方近傍に到着した状態では、第2の人体検知センサ8がオン状態(検知状態)で、照明装置8はM点灯している。
衛生洗浄装置1の近傍に到着した使用者は、直接手動で、あるいはリモコン装置20を操作して自動で、便座4を開放して(時刻tb21)、衛生洗浄装置1を使用する。
使用者が、衛生洗浄装置1の使用を終えた後に衛生洗浄装置1の前方近傍から離れると、第2の人体検知センサ8により使用者が検知されなくなる(時刻tb5)。その後、図8と同様の動作(時刻tb5〜時刻tb9)が行われた後、照明装置6が消灯する(時刻tb9)。そして、照明装置6が消灯すると同時に、オート開閉モードの機能により、開放されていた便蓋5が便座4とともに、ゆっくりと閉止し始める。
(90秒を超える使用(女子使用時もしくは男子大便使用時))
次に、衛生洗浄装置1の使用後に、90秒を超えてトイレ室10にいる場合の照明装置6の照明状態について図10を参照にしながら説明する。図10は、衛生洗浄装置の使用後に、90秒を超えてトイレ室にいる場合の照明装置の状態を示すタイムチャートである。なお、使用者がトイレ室10へ入室したときから、衛生洗浄装置1の前方近傍から離れるまで(時刻tc1〜時刻tc6)は、図8と同様であるので、ここでは、使用者が衛生洗浄装置1の近傍から離れたときから説明する。衛生洗浄装置1の前方近傍から離れた状態では、第2の人体検知センサ8がオン状態(検知状態)で、照明装置8がM点灯している。
使用者が便座4から離座し、使用者が衛生洗浄装置1の前方近傍から離れると、第2の人体検知センサ8は使用者を検知しなくなる(時刻tc5)。その結果、照明装置6の状態は、S2からS3へ移行し、90秒のタイマーがセットされる。使用者は手洗い場11へ移動し(時刻tc6)、長い時間にわたって手洗い場11で手洗い等を行っているうちに、タイマーが90秒の経過を制御装置30に通知すると、照明装置6の状態はS3からS4へ移行する。それにともない、M点灯していた照明装置6はL点灯になる(時刻tc8)。その後、トイレ室10にいる使用者が足を動かして立っている位置を変えるなどの動作を行うと、その使用者の動きが第1の人体検知センサ7により検知される(時刻tc10)。この結果、照明装置6の状態は、S4からS2に移行する。それにともない、照明装置6はM点灯を開始する。また、S2に移行した状態では、使用者が衛生洗浄装置1の近傍にいないので、第2の人体検知センサ8により検知されず、第2の人体検知センサ8はオフ状態(非検知状態)となって、S2からS3に移行するとともに、90秒のタイマーが再びセットされる。
そして、タイマーが90秒の経過する前に、使用者が手洗い場11を去ってトイレ室10から退室する(時刻tc11)。その後、タイマーが90秒の経過時点で、90秒経過したことを制御装置30に通知されれば、S3からS4へ移行し(時刻tc12)、さらに5秒の経過を待って、S4からS1へ移行し、照明装置6が消灯する(時刻tc13)。
(便蓋手動閉止)
次に、使用者が便座4から離座し、便蓋5を手動で閉止した場合の照明装置6の照明状態について説明する。図11は、衛生洗浄装置の使用後に、便蓋5を手動で閉止した場合の照明装置の状態を示すタイムチャートである。なお、使用者がトイレ室10へ入室したときから、便座4から離座するまで(時刻td1〜時刻td4)は、図8と同様であるので、ここでは、使用者が便座4から離座したときから説明する。便座4から離座した状態では、第2の人体検知センサ8がオン状態(検知状態)で、照明装置8がM点灯している。
使用者が便座4から離座し、手動により便蓋5が閉止される(時刻td22)と、第2の人体検知センサ8が視認できない状態になるので、第2の人体検知センサ8がオフ状態(非検知状態)になる。これにより、第2の人体検知センサ8が人体を検知しなくなるので、照明装置6の状態はS2からS3へ移行する。そして、90秒のタイマーがセットされる(時刻td22)。
その後、使用者が手洗い場11を経て(時刻td6)、タイマーが90秒経過する前に、使用者は手洗い場11を去ってトイレ室10を退室する(時刻td7)。その後、タイマーが90秒の経過を制御装置30に通知すると、照明装置6の状態がS3からS4に移行し(時刻td8)、さらに5秒の経過を待ってS4からS1に移行する(時刻td9)。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下、本発明の変形例について説明する。
(1) 本実施形態では、照明装置6を、ケーシング3の上部で便蓋回転軸15の近傍に設けたが、これに限らず、照明装置6を、便蓋回転軸15の近傍から離れて、便座回転軸14と便蓋回転軸15との間に設けてもよい。この場合、たとえば、便蓋5が閉止したときにも、照明装置6が外部から視認できる状態(たとえば、照明装置6の上部に切欠きを設けたり、窓を設けるなど)にすることにより、便蓋5が開放、閉止のいずれの状態でも、トイレ室10内を照らすことができる。そして、照明装置6を、便蓋回転軸15の近傍から離れて、便座回転軸14と便蓋回転軸15との間に設けた場合でも、便座4に使用者が着座した状態で、便座4に着座した使用者の背面と便蓋5の間の空間を利用してリモコン装置20を照らすことができる。
(2) 本実施形態では、照明装置6の光量をL点灯、M点灯、H点灯の3段階としたが、これに限らず、このL点灯、M点灯、H点灯の3段階の光量からなるグループを複数設け、そして、L点灯、M点灯、H点灯の3段階の光量からなるグループの中から、たとえば、リモコン装置20を用いて、使用者が希望するグループを選択できるようにしてもよい。これにより、使用者自身の好みによって光量を変えることができる。例えば、減光モード、通常モード、増光モードの3種類のグループを設け、リモコン装置20の操作ボタン21を操作することにより、それぞれ、増光モード、通常モード、減光モードのいずれのモードにするかを選択できるようにしてもよい(デフォルト値(初期設定値)は通常モード)。そして、減光モードのときには、例えば、L点灯時、M点灯時、H点灯時のLED61に通電する電流を、それぞれ4mA、8mA、18mAとし、通常モードのときには、例えば、5mA、10mA、20mAとし、また、増光モードのときには、例えば、6mA、12mA、25mAに設定するようにしてもよい。
(3) 本実施形態の図7のS4(消灯待ち状態)では、5秒後に消灯することを使用者に知らせる(予告する)ために、照明装置6をM点灯からL点灯にしたが、これに限らず、照明装置6を点滅(点灯、消灯の繰返し)させて予告してもよい。これにより、M点灯からL点灯に光量が小さくなったことに気づかない場合でも、点滅であれば確実に5秒後に消灯することを使用者に知らせる(予告する)ことができる。
(4) 本実施形態では、第1の人体検知センサ7によりトイレ室10に入室した使用者を検知し、第2の人体検知センサ8により衛生洗浄装置1の前方近傍にいる使用者を検知したが、これに限らず、第2の人体検知センサ8のみを設けるものであってもよい。この場合、図7のS1において、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる使用者が第2の人体検知センサ8により検知されると、S1からS2に移行し、また、S4において、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる使用者が第2の人体検知センサ8により検知されると、S4からS2に移行する。そして、また、S4において、衛生洗浄装置1の前方近傍にいる使用者が第2の人体検知センサ8により5秒間検知されない場合には、S4からS1に移行することとなる。
これにより、第2の人体検知センサ8により衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人が検知されたときに、照明装置6が点灯されるので、使用者は、夜間に衛生洗浄装置1を使用するときでも、手動で照明装置6を点灯させることなく、衛生洗浄装置1の位置を認識し、衛生洗浄装置1を使用することができる。特に、第2の人体検知センサ8により衛生洗浄装置1の前方近傍にいる人が検知されたときに、光量が大きくない照明が点灯されるので、たとえば、使用者が夜間衛生洗浄装置1の前方に立ったとき(男子小用時など)でも、まぶしさが感じられず、覚醒することもない。さらに、使用者が便座4に着座しているときには、照明装置6が便座4に着座している使用者の背後に位置することとなるので、照明装置6の光が目に入ることなく、使用者は覚醒することもない。しかも、着座検知センサ9により便座4への着座が検知されたときには、照明装置6の光量が大きくされるので、使用者は、着座しているときに、便器2横のトイレ室10壁面に設置されているリモコン装置20の操作ボタン21を認識でき、確実に操作ボタン21を操作することができる。
また、第1の人体検知センサ7のみを設けるものであってもよい。この場合、図7のS1において、トイレ室10に入室した使用者が第1の人体検知センサ7により検知されると、S1からS2に移行し、また、S2において、トイレ室10に入室した使用者が第1の人体検知センサ7により検知されない場合には、S2からS4に移行する(図7のS3を削除)。そして、また、S4において、トイレ室10に入室した使用者が第1の人体検知センサ7により検知されると、S4からS2に移行し、また、S4において、トイレ室10に入室した使用者が第1の人体検知センサ7により5秒間検知されない場合には、S4からS1に移行することとなる。
これにより、第1の人体検知センサ7によりトイレ室10に入室した人が検知されたときに、照明装置6が点灯されるので、使用者は、夜間にトイレ室10内を使用するときでも、手動で照明装置6を点灯させることなく、トイレ室10内を使用することができる。特に、第1の人体検知センサ7によりトイレ室10に入室した人が検知されたときに、光量が大きくない照明が点灯されるので、使用者が夜間トイレ室10内を使用するときでも、まぶしさが感じられず、覚醒することもない。さらに、使用者が便座4に着座しているときには、照明装置6が便座4に着座している使用者の背後に位置することとなるので、照明装置6の光が目に入ることなく、使用者は覚醒することもない。しかも、着座検知センサ9により便座4への着座が検知されたときには、照明装置6の光量が大きくされるので、使用者は、着座しているときに、便器2横のトイレ室10壁面に設置されているリモコン装置20の操作ボタン21を認識でき、確実に操作ボタン21を操作することができる。
また、第1の人体検知センサ7と第2の人体検知センサ8のいずれも有しないものであってもよい。この場合、図7のS1において、使用者の便座4への着座を着座検知センサ9により検知されると、S1からS5に移行し、また、S5において、使用者の便座4への着座が着座検知センサ9により検知されない場合には、S5からS1に移行する(図7のS2からS4を削除)。この場合においても、着座検知センサ9により便座4への着座が検知されたときには、照明装置6の光量が大きくされるので、使用者は、着座しているときに、便器2横のトイレ室10壁面に設置されているリモコン装置20の操作ボタン21を認識でき、確実に操作ボタン21を操作することができる。
(5) また、S3(L点灯状態)からS4(消灯待ち状態)に移行する時間、S4(消灯待ち状態)からS1(待機状態)に移行する時間を、それぞれ衛生洗浄装置を設置した環境や使用者の状態によって変更可能な、点灯状態遷移時間調節スイッチを設けてもよい。点灯状態遷移時間調節スイッチは、例えば、リモコン20のスイッチを特殊操作して設定可能にすることができる。
(6) 本実施形態では、オート開閉モードが「入」状態の場合について説明したが、これに限らず、待機状態(図7のS1)において、オート開閉モードが「切」状態で、衛生洗浄装置1の便蓋5が開放している場合についても適用される。