JP5626173B2 - 金属板の温度分布の予測方法及び金属板の製造方法 - Google Patents

金属板の温度分布の予測方法及び金属板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属板の製造工程において、高温の金属板に対し冷却媒体を噴射することで冷却する際の、金属板の温度分布を予測する方法及び当該方法を用いる金属板の製造方法に関する。本発明は、特に、スラブ圧延後の厚鋼板を冷却する際の、厚鋼板の温度分布の予測方法及び当該予測方法を用いる厚鋼板の製造方法に関する。
金属板の製造工程、特に厚鋼板の製造方法では圧延後の冷却工程が重要となる。これは冷却工程により鋼板を一定の組織とすることで必要な特性を付与できるためである。このため、鋼板製造時の冷却工程において、鋼板の温度を予測することは鋼板特性の制御のため重要となる。鋼板温度の予測については、従来から様々な方法が開示されている。
例えば特許文献1には、鋼材に流体を噴射し、流体を噴射する前の鋼材温度と、鋼材に噴射した流体の流量と温度変化から、鋼材の温度を求めることで鋼材の温度を計測する方法が開示されている。
このほか、例えば非特許文献1では、数値流体解析を用いて鋼板上に噴射される冷却水および滞留水の挙動を詳細に予測することで、鋼板の冷却能力予測に結びつけようとする試みが行われている。
特開平11−94647号公報
メタラジカル アンド マテリアルズ トランザクションズ ビー(Metallurgical and Materials Transactions B)、(ドイツ)、2008年、第39巻、第4号、p.593−602
厚鋼板の製造方法における冷却工程では、冷却装置に備えられているノズルから冷却水が噴出されることで鋼板が冷却される。ノズルからの噴流やスプレー流を解像できる程度に詳細な解析格子を用いて熱流動数値解析を行えば、鋼板の冷却過程を詳細に知ることができる。しかし、鋼板全体といった広範囲な領域について、詳細な解析格子を用いた熱流動数値解析を行うことは、解析負荷が過大となるため、現時点では非現実的である。
特許文献1に開示されている技術は、鋼材全体の平均温度を計測する技術であるため、鋼材の温度分布を知得することはできない。また、非特許文献1に開示されている推定方法は、局所領域の解析に100万点程度の解析格子を用いるため、鋼板全体といった広範囲な領域の解析にこの方法を用いると、解析の際の負荷が過大になる。そのため、特許文献1に開示されている技術と非特許文献1に開示されている方法とを組み合わせても、解析負荷を抑制しつつ簡便的に金属板の温度分布を予測することは困難であった。
そこで本発明は、解析負荷を抑制しつつ簡便的に金属板の温度分布の予測することが可能な、金属板の温度分布の予測方法及びこれを用いる金属板の製造方法を提供することを課題とする。
発明者らは、金属板の広範囲な領域における熱流動解析を行うことによる解析負荷の課題を解決するために、以下のように考えた。
1)本発明で扱うような冷却装置では、ノズルからの噴流やスプレー流は噴射圧力が高いため、他のノズルからの噴流やスプレー流による影響を受けにくく、それぞれのノズルからの冷却水はほぼ独立した流動状態を示す。
2)このため、他のノズルから噴射される冷却水から受ける影響を考慮しなくてもよく、ノズル一本分、多くてもせいぜいノズル数本分についての解析を行えば、当該ノズル部分の局所的領域についての冷却能力を知ることができる。
3)ただし、当該局所的領域の状態によりその冷却能力は大きく異なる。よって、同解析を、条件を変更しつつ多数行い各条件における冷却能力を予め解析しておき、解析データを実際の条件に合わせて使用することで、金属板の温度を予測する。
4)局所的領域の冷却能力の解析には、熱流動解析を用いればよい。熱流動解析では、当該局所的領域の各箇所における冷却能力(熱流束)が計算される。計算結果は、ノズル直下では冷却能力が高く、ノズル直下から離れるに従って冷却能力が低くなる傾向を示すが、このような詳細な分布をそのまま金属板の温度の予測に使用した場合、負荷が大きくなり解析が困難である。そこで、得られた計算結果を局所的領域にわたって平均化する。実際の金属板製造ラインにおいて、金属板の温度予測を行う際には、それぞれの噴流やスプレー流がどのような冷却能力分布を持つか、ということまで認識する必要は少なく、その平均的な冷却能力を知ることができれば十分だからである。平均化することにより、温度予測計算の解析負荷を低減することができる。また、局所的領域の平均値を用いるため、金属板温度の予測値が大きくずれることはない。
本発明は、以上の知見に基づいてされたものであって、本発明の趣旨は以下のとおりである。以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の第1の態様は、少なくとも1のノズルから放出された冷媒(3、3、…)が当たる金属板(1)の局所的領域(10)について複数の条件にて熱流動解析を行う第1工程と、局所的領域における、表面熱流束の平均値、金属板の表面温度の平均値、及び、金属板の表面における冷媒温度の平均値を算出する第2工程と、表面熱流束の平均値と、金属板の表面温度の平均値、及び、金属板の表面における冷媒温度の平均値との関係式を導出する第3工程と、金属板の温度分布解析領域を、局所的領域以上の大きさである解析格子(20)に分割する第4工程と、解析格子に分割された金属板の温度分布解析領域について、金属板の表面温度、及び、金属板の表面における冷媒温度を求め、上記関係式から表面熱流束を算出し、伝熱解析を行うことで各解析格子の金属板の温度を決定する第5工程と、を有することを特徴とする、金属板の温度分布の予測方法である。
ここに、「金属板の温度分布解析領域」とは、温度分布を予測したい金属板において温度分布を解析する領域をいう。例えば、金属板の全体について温度分布を予測する場合、金属板の温度分布解析領域は金属板の全領域をいう。また、第5工程で決定される「金属板の温度」とは、金属板内部の温度(温度分布)をいう。
また、上記本発明の第1の態様において、第5工程において、熱流動解析により、金属板(1)の表面温度、及び、金属板の表面における冷媒温度が求められてもよい。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様にかかる金属板の温度分布の予測方法によって、冷却装置により冷却される金属板(1)の温度分布を予測する工程と、予測された金属板の温度分布を用いて冷却装置の動作を制御する工程と、を有することを特徴とする、金属板の製造方法である。
本発明によれば、解析負荷を抑制しつつ簡便的に金属板(1)の温度分布の予測することが可能な、金属板の温度分布の予測方法、及びこれを用いる金属板の製造方法を提供することができる。本発明を用いることにより、多大な解析時間や費用を要さず、冷却される金属板の温度分布の予測が可能になる。この結果、当該金属板について冷却停止温度を推測できるようになり、金属板の特性を制御することが可能になる。
実プロセスにおいては、冷却装置に金属板が装入される段階で、金属板に温度分布が生じている場合がほとんどであるが、本発明により金属板の温度分布を予測し、冷却制御を正確に行うことにより、冷却停止時における金属板の温度を均一にすることも可能であり、金属板の品質の均一化や熱応力等による変形を抑制することも可能となる。
局所的領域10の例を説明する図である。 局所的領域10の詳細な熱流動解析の結果の一例を示す図である。 表面熱流束の平均値と鋼板表面温度の平均値と鋼板表面の平均水温との関係を説明する図である。図3(a)は、鋼板表面の平均水温が37℃の場合の関係を示す図であり、図3(b)は、鋼板表面の平均水温が56℃の場合の関係を示す図である。 本発明による簡易計算により、鋼板冷却装置全体の厚鋼板温度分布を求めた結果を示す図である。図4(a)は厚鋼板1に噴射される冷却水の流動状態を示す図であり、図4(b)は厚鋼板1の表面温度分布を示す図である。 本発明による簡易計算と、本発明以外の方法による計算とを比較するための解析格子20を説明する図である。 本発明により厚鋼板の温度分布を求めた結果を示す図である。図6(a)は、厚鋼板の上面に滞留した滞留水の流動も含めた、計算結果の全体を示す図であり、図6(b)は、厚鋼板の表面温度分布を示す図である。 本発明との比較のため、本発明以外の方法により厚鋼板の温度分布を求めた結果を示す図である。図7(a)は、厚鋼板の上面に滞留した滞留水の流動も含めた、計算結果の全体を示す図であり、図7(b)は、厚鋼板の表面温度分布を示す図である。 本発明により求められた鋼板平均温度と、本発明以外の方法により求められた鋼板平均温度との比較を示す図である。
本発明の金属板の温度分布の予測方法を実施するに当たっては、5つの工程を通して金属板の温度分布予測を行う。そこで、各工程について以下に詳述する。なお、以下の説明では、金属板が鋼板である場合を例示するが、本発明を適用可能な金属板は鋼板に限定されない。
<第1工程>
第1工程は、少なくとも1のノズルから放出された冷媒(例えば、冷却水流。以下において、「水流」という。)が当たる鋼板の局所的領域について複数の条件にて熱流動解析を行う工程、である。
少なくとも1のノズルからの水流が当たる領域を局所的領域とし、この局所的領域について解析を行うのは、上述のようにノズルからの噴射圧力が高く、この領域で冷却水はほぼ独立した流動を示すからである。
ここで、局所的領域は少なくとも1のノズルからの水流が当たるように領域分けすれば、どのように領域分けしてもよい。ただし、局所的領域について多数の解析を行う必要があり解析負荷の観点から、局所的領域に含まれる、冷却水を噴出するノズルの数は100以下とすることが好ましい。また、冷却は通常鋼板を移動しながら行うため、水流は鋼板の移動方向に乱れやすい。このため、鋼板の移動方向に長い長方形領域(直方体領域)を局所的領域として採用することが好ましい。図1に、局所的領域の一例を示した。図1では、繰り返される一部符号の記載を省略している。図1に示した局所的領域10は、鋼板1の移動方向に長い長方形領域を有し、9本のノズルから噴射された柱状噴流3、3、…によって冷却される鋼板1の上面に滞留水2が存在している。
第1工程では、この局所的領域について熱流動解析を行う。熱流動解析とは、支配方程式として少なくとも質量保存方程式、運動量保存方程式、及び、エネルギー保存方程式を含み、それらを離散化し、質量場、圧力場、速度場、及び、温度場等を数値的に求める公知の解析手法である。
鋼板が水冷される状況における熱流動解析では、少なくとも冷却水の運動、及び、鋼板の温度分布の挙動の解析を行えばよい。望ましくは噴射した冷却水が巻き込む空気や発生する蒸気の運動、鋼板上面に滞留する滞留水の高さや温度分布も考慮の上、解析を行うとより正確な解析が可能となる。複数の条件、具体的には冷却媒体噴射量、冷却媒体温度、滞留水の量、滞留水温度、及び、鋼板温度について初期条件を与え、時間ごとに熱流動解析を行うことで、表面熱流束、鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)を算出する。第1工程の熱流動解析には、市販の解析ソフトウエアを用いることができる。
<第2工程>
第2工程は、上記第1工程で算出した、表面熱流束、鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度の平均値を、それぞれ算出する工程、である。
上記第1工程では、局所的領域における各位置での表面熱流束、鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)を算出した。第2工程では、これらを用いて、局所的領域における、表面熱流束の平均値、鋼板表面温度の平均値、及び、鋼板表面の冷却媒体温度の平均値を算出する。具体的には、表面熱流束、及び、鋼板表面温度については面積平均を、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)については体積平均を算出する。上記第1工程で複数の条件についての解析を行っているため、第2工程では、同数の条件における、表面熱流束の平均値、鋼板表面温度の平均値、及び、鋼板表面の冷却媒体温度の平均値が算出される。
<第3工程>
第3工程は、上記第2工程で算出した表面熱流束の平均値を、鋼板表面温度の平均値、及び、鋼板表面の冷却媒体温度の平均値で表した関係式を導出する工程、である。ここで、関係式を導出するとは、いわゆる沸騰曲線を導出することをいう。沸騰曲線は、例えば以下のように導出する。
冷却の際には、例えば、図1に示した局所的領域10の上部から柱状噴流3、3、…を噴射し、底面の高温鋼板1を冷却する。実際の冷却装置内において、鋼板は搬送されつつ冷却されるので、高温鋼板1の移動を考慮し、局所的領域の底面形状は長方形(例えば30mm×120mm)としてもよい。上記第1工程では、この局所的領域に対し、熱流動解析を行う。
図2に、詳細な熱流動解析を用いた鋼板の冷却解析の結果を示した。柱状噴流が衝突した部分は急激に冷却が進み、それ以外の部分よりも鋼板の温度低下が速くなる。このような詳細な解析を、冷却媒体噴射量、鋼板初期温度や滞留水初期温度といった初期条件を変えつつ多数行う。そして、上記第2工程では、各々の解析の各時刻において、表面熱流束の平均値、鋼板表面温度の平均値、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)の平均値を算出し、これら三者の関係式を導出する。関係式は、表面熱流束の平均値、鋼板表面温度の平均値、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)の平均値に関する近似式となっていれば十分であり、多項式等、広く用いられているものでよい。
図3に、表面熱流束の平均値、鋼板表面温度の平均値、及び、鋼板表面の平均水温の関係の一例を示した。図3(a)は、鋼板表面の平均水温が37℃の場合の関係を示す図であり、図3(b)は、鋼板表面の平均水温が56℃の場合の関係を示す図である。図3(a)及び図3(b)の縦軸は、表面熱流束の平均値[MW/m]であり、同横軸は、鋼板表面温度の平均値[℃]である。条件を変えつつ行った多数の解析結果を整理すると、鋼板表面の平均水温が等しければ、鋼板表面温度の平均値に対する表面熱流束の平均値は、ほぼ一本の曲線となる。すなわち、局所的領域の平均値さえ分かっていれば、詳細な熱流動解析を行わずとも、その局所的領域における表面熱流束の平均値の予測が可能となる。なお、この曲線は一般に沸騰曲線と呼ばれ、鋼材の水冷過程における温度変化を追跡するために必要不可欠な線図である。
<第4工程>
第4工程は、鋼板の温度分布解析領域を、局所的領域以上の大きさの解析格子に分割する工程、である。ここで、鋼板の温度分布解析領域とは、温度分布を予測したい鋼板において温度分布を解析する領域である。鋼板の全体を解析する場合は、温度分布解析領域は鋼板の全領域である。第4工程では、後述する第5工程において冷却媒体温度分布や鋼板温度分布などを求めるため、温度分布解析領域を、局所的領域以上の大きさの解析格子に分割する。ここで、「解析格子」とは、数値計算を行う際のいわゆる計算メッシュと呼ばれるものである。第4工程では、第1工程の結果を踏まえ、後述する第5工程で用いる解析格子をどの程度の粗さ(大きさ)にすることが可能かを考えて、温度分布解析領域を解析格子に分割する。
ここで、解析格子を局所的領域以上の大きさとするのは、後述する第5工程で、解析によって算出された表面熱流束、鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)を用いるため、解析格子を局所的領域以上の大きさとしたとしても求める金属板の温度に誤差が生じにくいこと、並びに、解析格子を局所的領域未満の大きさとすることは意味がないためである。
解析格子は大きすぎると、後述する第5工程により算出される温度分布が粗いものとなる。よって、算出される温度分布が過度に粗くならないようにする等の観点から、解析格子の大きさは局所的領域の大きさの50倍程度とすればよい。
<第5工程>
第5工程は、第4工程で分割したすべての解析格子について、鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)を求め、上記第3工程で導出した関係式から、解析格子における表面熱流束を算出し、伝熱解析を行うことで各解析格子における金属板の温度を決定する工程である。
鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)を求めるにあたっては、それぞれの温度の実測値を用いてもよいし、計算により求めてもよい。計算の場合、上記第1工程に用いた熱流動解析により求めてもよいし、冷却水の流動の近似解が判明している場合には、エネルギー保存方程式を解く際に当該近似解を適用してもよい。熱流動解析により求める場合であっても、第5工程で用いられる解析格子は、第1工程で用いられた解析格子よりも大きいため、解析負荷を低減することができる。
鋼板表面温度、及び、鋼板表面の冷却媒体温度(水温)が求まれば、上記第3工程で得られた関係式から容易に表面熱流束を算出することができる。そして算出された表面熱流束を金属板の温度分布解析領域に対する伝熱解析に適用することで、鋼板全体の温度分布を予測することができる。ここで、第5工程で行う伝熱解析とは、具体的には、支配方程式として少なくともエネルギー保存方程式を含み、式を離散化し、温度場等を数値的に求める公知の解析手法である。
以上説明した第1工程乃至第5工程を経ることで、解析負荷を低減しながら簡便的に鋼板の温度分布を予測することが可能になる。こうして鋼板の温度分布を予測することにより、鋼板の冷却工程における冷却停止のタイミングを容易に決定することが可能になる。そして、予測された鋼板の温度分布を用いて、冷却装置による冷却停止のタイミングを適切に制御することにより、均一な品質を有し且つ熱応力等による変形が抑制された鋼板を製造することが可能になる。
ここまで、第1工程乃至第5工程を順に説明したが、実際に金属板の温度分布を予測する際には、一回の温度分布予測をするに当たってすべての工程を行う必要はない。例えば、予め第1工程乃至第3工程を行って上記関係式を求めておき、温度分布予測を行う毎に、第4工程及び第5工程のみを実行する等してもよい。
多数の柱状噴流により厚鋼板を冷却する装置に対して、本発明にかかる金属板の温度分布の予測方法(簡易計算)、及び、本発明以外の金属板の温度分布予測方法(詳細計算)を適用した。
局所的領域は、図1に示した形状とし、局所的領域10には9本のノズルから柱状噴流3、3、…が厚鋼板1に噴射されたと仮定した(第1工程)。この局所的領域10について、表面熱流束、厚鋼板表面温度、及び、厚鋼板表面の冷却媒体温度(水温)を様々に変化させて熱流動解析を行った(第2工程)。そして、表面熱流束の平均値と、厚鋼板表面温度の平均値、及び、厚鋼板表面の冷却媒体温度(水温)の平均値との関係式(沸騰曲線)を導出した(第3工程)。次いで、幅4m程度、長さ20m程度の大きさの冷却装置、すなわち温度分布解析領域を、局所的領域の4倍程度の大きさの解析格子に分割した(第4工程)。続いて、その解析格子を用いて熱流動解析を行い、冷却水の熱流動状態、鋼板表面温度を算出し、第3工程で求められた関係式(沸騰曲線)を用いて熱流束を算出し、厚鋼板の温度を算出した(第5工程)。
図4に、本発明による簡易計算の結果を示す。図4は金属板の温度分布解析領域として冷却装置を対象とした計算結果である。なお、図4は冷却装置幅方向中央までの、幅方向1/2のみを表示している。図4(a)は、厚鋼板1に噴射される冷却水の流動状態を示す図であり、図4(b)は、厚鋼板1の表面温度分布を示す図である。
図4に示したように、本発明を用いることで、冷却装置全体といった広範囲と言える領域についても、その鋼板温度分布を予測することが可能となった。
本発明による簡易計算結果と、本発明以外の方法による計算結果とを比較し、その妥当性、有用性をさらに検証した。その目的のため、図5に示すように、12本のノズルから柱状噴流が厚鋼板に噴射される領域を仮定し、鋼板の温度分布予測結果について比較した。 図6に、本発明による簡易計算を用いて厚鋼板の温度分布を求めた結果を示した。また図7に、図2に示した局所的領域の詳細な解析手法を用いて、厚鋼板の温度分布を求めた結果を示した。
また図8に、本発明による簡易計算、及び、本発明以外の方法である詳細計算によって得られた、冷却開始からの経過時間と厚鋼板の平均温度との関係を示した。図8の縦軸は厚鋼板の平均温度[℃]であり、同横軸は冷却開始からの経過時間[s]である。
図6と図7との比較、および図8より、本発明による簡易計算は、温度分布解析領域の全体について詳細な計算を行う詳細計算と、ほぼ同じ結果を得ることができ、本発明による簡易計算の妥当性が示された。
実際に、詳細計算では、本発明による簡易計算に比較して解析時間が約7000倍であった。そのため、解析負荷を考慮すると、詳細計算は、長さ数十mにおよぶ厚鋼板の冷却プロセスに適用することは現実的に難しい。これに対し、本発明にかかる金属板の温度分布の予測方法を実施することにより、大きな大きさの厚鋼板でも現実的な時間内で十分な解析が可能である。
以上、現時点において実践的であり、且つ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金属板の温度分布の予測方法及び金属板の製造方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1…鋼板(厚鋼板、金属板)
2…滞留水
10…局所的領域
20…解析格子

Claims (3)

  1. 少なくとも1のノズルから放出された冷媒が当たる金属板の局所的領域について複数の条件にて熱流動解析を行う第1工程と、
    前記局所的領域における、表面熱流束の平均値、金属板の表面温度の平均値、及び、金属板の表面における冷媒温度の平均値を算出する第2工程と、
    前記表面熱流束の平均値と、前記金属板の表面温度の平均値、及び、前記金属板の表面における冷媒温度の平均値との関係式を導出する第3工程と、
    金属板の温度分布解析領域を、前記局所的領域以上の大きさである解析格子に分割する第4工程と、
    前記解析格子に分割された前記金属板の温度分布解析領域について、金属板の表面温度、及び、金属板の表面における冷媒温度を求め、前記関係式から表面熱流束を算出し、伝熱解析を行うことで各解析格子の金属板の温度を決定する第5工程と、
    を有することを特徴とする、金属板の温度分布の予測方法。
  2. 前記第5工程において、熱流動解析により、前記金属板の表面温度、及び、前記金属板の表面における冷媒温度が求められることを特徴とする、請求項1に記載の金属板の温度分布の予測方法。
  3. 請求項1又は2に記載の金属板の温度分布の予測方法によって、冷却装置により冷却される金属板の温度分布を予測する温度分布予測工程と、
    予測された金属板の温度分布を用いて前記冷却装置の動作を制御する冷却制御工程と、
    を有することを特徴とする、金属板の製造方法。
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