JP3480366B2 - 熱延鋼板の巻取温度制御方法 - Google Patents

熱延鋼板の巻取温度制御方法

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JP3480366B2
JP3480366B2 JP12774299A JP12774299A JP3480366B2 JP 3480366 B2 JP3480366 B2 JP 3480366B2 JP 12774299 A JP12774299 A JP 12774299A JP 12774299 A JP12774299 A JP 12774299A JP 3480366 B2 JP3480366 B2 JP 3480366B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延される鋼
板をランアウトテーブル上で所望の巻取温度に冷却する
熱延鋼板の巻取温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板の熱間圧延工程において仕上圧延後
の鋼板は、仕上圧延機から巻取機までをランアウトテー
ブルによって搬送される間に、ランアウトテーブルの上
下に設けられている水冷装置によって所定温度まで冷却
された後、巻取機に巻き取られている。鋼板の熱間圧延
においては、この仕上圧延後の冷却の様態が鋼板の機械
的特性を決定する重要な因子となっている。
【0003】この冷却制御は、仕上圧延機の下流に設置
した多数の水冷装置(冷却バンク)による鋼板表面への
注水をバルブの開閉により入り切り(オン/オフ)した
り、流量調節弁にて注水量を増減することで行ってい
る。たとえば、板厚、板幅、鋼板の搬送速度、仕上出口
温度および巻取温度等の時々刻々の実績値を計算機に入
力するとともに、その演算結果に基づいて、目標巻取温
度が実現できるように冷却バンクのオン/オフを制御し
て行われている。
【0004】しかし、熱延ミルにおいては、通常加速圧
延を行うので材料の搬送速度が変化するのに加えて、仕
上出口温度がスキッドマーク等によって常時変動してお
り、また、鋼板の水冷に際しては、表面温度や表面性状
で水冷面の沸騰状態が変動する。従って、これらの外乱
に対して巻取温度を精度良く制御することが、熱延鋼板
の製造にあたって重要な課題である。
【0005】上記外乱に対応して巻取温度を制御する方
法としては、例えば特開昭58−221606号公報に
開示されている制御方法がある。この制御方法では、ま
ず仕上圧延機出口で、材料温度および板厚を一定の時間
間隔または一定の距離間隔でサンプリング測定し、この
サンプリング点が巻取温度計に到達するまでサンプリン
グ点をトラッキングする。そして、現時刻までにサンプ
リングした全サンプリング点について以下の計算を行
う。
【0006】(1) 材料温度を測定して各サンプリング点
が1サンプリング周期で移動する量を求め、各サンプリ
ング点の位置を現在位置に修正する。 (2) サンプリング点の存在する冷却バンクを求め、実績
注水パターンを入力してこのサンプリング点での材料温
度を求め、各サンプリング点での熱伝達率を各式より計
算し、さらにサンプリング点での材料温度を現在温度に
修正する。 (3) 仕上圧延機の加速率、減速率および加減速タイミン
グの設定値より将来の速度変化を予測してこのサンプリ
ング点が巻取温度計に達するまでの各冷却バンクの通過
予測時間を予測する。
【0007】(4) 各冷却バンクの実績注水パターンを入
力し、各冷却バンクの通過予測時間を用いて、予測巻取
温度を計算する。 (5) 予測巻取温度が目標温度に一致していなければ、予
め定められた注水バンクの優先順位に従い、目標巻取温
度になるように、このサンプリング点より下流側にある
冷却バンクの予定注水パターンを変更する。このように
して得られた全サンプリング点についての注水パターン
を必要なタイミングで出力することによって巻取温度を
制御する。
【0008】図1は、上述の巻取温度制御を実行する冷
却設備の概要を示す模式図である。仕上圧延機2から出
た鋼板1は、ランアウトテーブル3上で冷却装置4,5
からの注水により冷却されて巻取機6に巻き取られる。
このとき、冷却前の鋼板温度が温度計7により、また、
冷却後の鋼板温度が温度計8によりそれぞれ測定され
る。巻取温度コントローラ9は基本的にフィードフォワ
ード制御器であって、冷却後の温度(巻取温度)を予測
計算し、その計算値が目標値に一致するように冷却装置
4,5からの注水量を決定する。
【0009】前述のような鋼板の冷却方法では、鋼板の
各サンプリング点の温度をいかに正確に推定できるかが
重要となってくる。この推定を行うための計算には、通
常誤差が発生するが、この誤差の主要因としては、温度
計算に使用する水冷の熱伝達率の見積もり精度が挙げら
れる。
【0010】従来、水冷の熱伝達率に関しては、特開平
9−10822号公報、特開平9−216011号公報
等に開示されているように、鋼板の上面・下面の冷却水
の水量密度Wt 、Wb 〔m3 /m2 min〕、鋼板の搬
送速度V〔m/min〕および冷却水の水温Tw 〔℃〕
から決まる熱流束qwt、qwb〔Kcal/m2 hr〕を
一旦求め、これより計算した熱伝達率hwt、hwb〔Kc
al/m2 hr℃〕が広く利用されてきた。すなわち、
上面・下面の熱流束を表す(1) 式および(2) 式から導か
れる熱伝達率の式、(3) 式および(4) 式が使われてき
た。
【0011】
【数1】
【0012】但し、Tt ,Tb :鋼板(上面・下面)の
表面温度〔℃〕、Zt ,Zb :調整係数、t:上面を表
す添え字、b:下面を表す添え字とする。
【0013】図2は、(1) 式あるいは(2) 式を、鋼板の
表面温度を横軸に、熱流束を縦軸にとってグラフで表現
したものである。図2から明らかなように、熱流束は、
鋼板の表面温度には依らずに一定であるように取り扱わ
れている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高張力熱延鋼
板の製造においては、要求される強度に応じて巻取温度
が、400〜500℃と低温に設定される。しかし、こ
のように鋼板温度が低い温度領域では、冷却過程での沸
騰現象が膜沸騰から核沸騰に移行する遷移沸騰の状態に
あることが知られている。
【0015】図3に、過熱度(=鋼板の表面温度−冷却
水の飽和温度)を横軸に、縦軸に熱流束をとった沸騰曲
線の挙動を示す。冷却過程においては、膜沸騰状態から
遷移沸騰状態へ、さらに、核沸騰状態へと変化していく
が、遷移沸騰状態において熱流束が急激に増加すること
がわかる。なお、膜沸騰状態から遷移沸騰状態へ変わる
点を極小熱流束点(MHF点)と呼び、遷移沸騰状態か
ら核沸騰状態へ変わる点を限界熱流束点(CHF点)と
呼ぶ。
【0016】従来の熱伝達率式は、巻取温度が比較的高
い温度(概ね≧550℃)、すなわち、膜沸騰状態で求
められた実験式をベースとしたものになっており、前述
の高張力熱延鋼板等の製造で要求される巻取温度400
〜500℃に対しては使用困難である。従って、巻取温
度制御自体も精度が低く、自動制御が困難であった。
【0017】このような問題に対応するために、特公平
6−248号公報では、冷却水が膜沸騰する高温域では
上下の冷却ヘッダより注水を行い、遷移沸騰領域では鋼
板の下面のみに注水を行うことにより、安定した状態で
鋼板の冷却を行うことが提案されている。
【0018】また、特開平9−10822号公報では、
図4に示すように、鋼板表面に生成するスケール厚の差
異に関係する元素成分、すなわち、Si重量成分によっ
て冷却曲線の挙動が大幅に異なることに着目し、基本的
に(3) 式、(4) 式の形で与えられる熱伝達率式を冷却バ
ンク毎に補正係数を調節することで対応することを提案
している。
【0019】これは、高Si鋼では、図5に示すよう
に、サブスケール層(FeO−Fe2SiO4 )が発達
する為、鋼板の表面に形成された酸化スケールが仕上圧
延後も残存し、スケール厚も一般材より厚く、また鋼板
の表面粗さも粗いことに起因する冷却速度の増大に対応
する必要があるからである。
【0020】以上のように、鋼板の冷却過程において
は、膜沸騰状態から遷移沸騰状態になる温度、すなわち
極小熱流束点(MHF点)は、冷却水のサブクール度に
応じて変化するが、特開平9−10822号公報にも示
されているように鋼板の表面スケールの厚さや表面粗
さ、すなわち表面性状によっても変化する。
【0021】しかし、特公平6−248号公報に提示さ
れている方法では、具体的に、遷移沸騰状態を推定する
手法がない。また、冷却装置の使用方法を制約している
為に、上下面均一冷却ができない、冷却装置の性能をフ
ルに発揮できない等の不具合がある。
【0022】また、特開平9−10822号公報に開示
されている方法では、冷却バンク毎に補正係数を調節す
る必要がある為、例えば、冷却装置の故障等により、使
用できる冷却バンクの注水パターンが変化した場合には
対応が困難である。
【0023】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであって、その目的とするところは、
ランアウトテーブル上の熱延鋼板への冷却水の注水量を
制御して熱延鋼板の巻取温度を目標温度に一致させるた
めに、ランアウトテーブル上の所定のサンプリング点に
対する熱延鋼板の水冷面の熱伝達率を算出する際、サン
プリング点に対する水冷面の沸騰状態に応じた水冷の熱
伝達率のモデル式を適用してこのサンプリング点に対す
る水冷の熱伝達率を算出することにより、水冷面の沸騰
状態の変化によって急激に変化する水冷面の熱伝達率を
的確に求め、巻取温度が400〜500℃の低い温度領
域であっても、また鋼板のスケール厚が厚い鋼板、又は
スケール厚に関係するSi、Ni等の重量成分が多い鋼
板であっても、目標温度と高精度で一致するように巻取
温度を制御する熱延鋼板の巻取温度制御方法を提供する
ことにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】第1発明の熱延鋼板の巻
取温度制御方法は、ランアウトテーブルによって巻取機
へ搬送される熱延鋼板を冷却水で水冷する際、ランアウ
トテーブル上の所定のサンプリング点に対する該熱延鋼
板の水冷面の熱伝達率を用いて該熱延鋼板の巻取温度の
予測値を計算し、該予測値が目標値と一致するようにラ
ンアウトテーブル上の該熱延鋼板への注水量を制御する
熱延鋼板の巻取温度制御方法において、前記所定のサン
プリング点に対する熱延鋼板の水冷面の温度、及び冷却
水のサブクール度をそれぞれ算出する第1のステップ
と、サブクール度に応じて、膜沸騰状態から遷移沸騰状
態へ変わる極小熱流束点、及び遷移沸騰状態から核沸騰
状態へ変わる限界熱流束点の温度をそれぞれ推定する第
2のステップと、極小熱流束点及び限界熱流束点のそれ
ぞれの温度と熱延鋼板の水冷面の温度との関係から前記
所定のサンプリング点に対する水冷面の沸騰状態が膜沸
騰状態であるか核沸騰状態であるか遷移沸騰状態である
かを推定する第3のステップと、推定した沸騰状態に応
じた水冷の熱伝達率のモデル式から前記所定のサンプリ
ング点に対する水冷面の熱伝達率を算出する第4のステ
ップとを含むことを特徴とする。
【0025】第2発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法
は、ランアウトテーブルによって巻取機へ搬送される熱
延鋼板を冷却水で水冷する際、ランアウトテーブル上の
所定のサンプリング点に対する該熱延鋼板の水冷面の熱
伝達率を用いて該熱延鋼板の巻取温度の予測値を計算
し、該予測値が目標値と一致するようにランアウトテー
ブル上の該熱延鋼板への注水量を制御する熱延鋼板の巻
取温度制御方法において、前記所定のサンプリング点に
対する熱延鋼板の水冷面の温度、及び冷却水のサブクー
ル度をそれぞれ算出する第1のステップと、サブクール
及び熱延鋼板のスケールに関係する条件に応じて、膜
沸騰状態から遷移沸騰状態へ変わる極小熱流束点、及び
遷移沸騰状態から核沸騰状態へ変わる限界熱流束点の温
度をそれぞれ推定する第2のステップと、極小熱流束点
及び限界熱流束点のそれぞれの温度と熱延鋼板の水冷面
の温度との関係から前記所定のサンプリング点に対する
水冷面の沸騰状態が膜沸騰状態であるか核沸騰状態であ
るか遷移沸騰状態であるかを推定する第3のステップ
と、推定した沸騰状態に応じた水冷の熱伝達率のモデル
式から前記所定のサンプリング点に対する水冷面の熱伝
達率を算出する第4のステップとを含むことを特徴とす
る。
【0026】第3発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法
は、第2発明の第2のステップの熱延鋼板のスケールに
関係する条件は、熱延鋼板のスケール厚であることを特
徴とする。
【0027】第4発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法
は、第2発明の第2のステップの熱延鋼板のスケールに
関係する条件は、熱延鋼板のスケール厚に関係する元素
成分の重量成分であることを特徴とする。
【0028】本発明の第1発明では、サンプリング点に
対する熱延鋼板の水冷面の沸騰状態を、冷却水のサブク
ール度に応じて膜沸騰状態から遷移沸騰状態へ変わる極
小熱流束点、遷移沸騰状態から核沸騰状態へ変わる限界
熱流束点のそれぞれの温度を推定し、これらの温度と熱
延鋼板の水冷面の温度とから、水冷面の沸騰状態を推定
し、沸騰状態に応じた水冷の熱伝達率のモデル式を使用
して水冷面の熱伝達率を算出する。また本発明の第2発
明では、サンプリング点に対する熱延鋼板の水冷面の沸
騰状態を、冷却水のサブクール度及び熱延鋼板のスケー
ルに関係する条件に応じて膜沸騰状態から遷移沸騰状態
へ変わる極小熱流束点、遷移沸騰状態から核沸騰状態へ
変わる限界熱流束点のそれぞれの温度を推定し、これら
の温度と熱延鋼板の水冷面の温度とから、水冷面の沸騰
状態を推定し、沸騰状態に応じた水冷の熱伝達率のモデ
ル式を使用して水冷面の熱伝達率を算出する。
【0029】また本発明の第3、4発明では第2発明に
おいて、沸騰状態を推定する際、冷却水のサブクール度
に応じて、又はサブクール度と熱延鋼板のスケール厚と
に応じて、又はサブクール度と熱延鋼板のスケール厚に
関係する元素成分の重量成分とに応じて、膜沸騰状態か
ら遷移沸騰状態へ変わる極小熱流束点、遷移沸騰状態か
ら核沸騰状態へ変わる限界熱流束点のそれぞれの温度
定する。
【0030】これにより、鋼材の水冷面の沸騰状態の変
化に伴って急激に変化する水冷の熱流束を精度良く推定
することで、水冷の熱伝達率を的確に算出して熱延鋼板
の巻取温度の予測を正確に行うことが可能となる。従っ
て、巻取温度が400〜500℃と低い熱延鋼板に対し
ても、巻取温度を高精度に制御することが可能となる。
【0031】第5発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法
は、第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記第4の
ステップは、前記第3のステップにおいて沸騰状態を膜
沸騰状態と推定した場合は、サブクール度、冷却水の水
量密度及び熱延鋼板の搬送速度から前記水冷面の熱伝達
率を算出するステップであり、前記第3のステップにお
いて核沸騰状態と推定した場合は、熱延鋼板の水冷面の
温度、冷却水の水温、冷却水の水量密度及び熱延鋼板の
搬送速度から前記水冷面の熱伝達率を算出するステップ
であり、前記第3のステップにおいて遷移沸騰状態と推
定した場合は、熱延鋼板の表面温度から水冷面の固液接
触面積率を求め、該固液接触面積率に応じて、極小熱流
束点での熱伝達率と限界熱流束点での熱伝達率との間の
値を前記所定のサンプリング点に対する水冷面の熱伝達
率として算出するステップであることを特徴とする。
【0032】第6発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法
は、第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記第4の
ステップは、前記第3のステップにおいて沸騰状態を膜
沸騰状態と推定した場合は、サブクール度、冷却水の水
量密度及び熱延鋼板の搬送速度から前記水冷面の熱伝達
率を算出するステップであり、前記第3のステップにお
いて核沸騰状態と推定した場合は、熱延鋼板の水冷面の
温度、冷却水の水温、冷却水の水量密度及び熱延鋼板の
搬送速度から前記水冷面の熱伝達率を算出するステップ
であり、前記第3のステップにおいて遷移沸騰状態と推
定した場合は、熱延鋼板の表面温度から水冷面の固液接
触面積率を求め、該固液接触面積率に応じて、極小熱流
束点での熱伝達率と限界熱流束点での熱伝達率との加重
平均値を前記所定のサンプリング点に対する水冷面の熱
伝達率として算出するステップであることを特徴とす
る。
【0033】また本発明では、遷移沸騰状態の場合は、
鋼板の表面温度から固液接触面積率を求め、この固液接
触面積率に応じて、極小熱流束点での熱伝達率と限界熱
流束点での熱伝達率との間の値、又は加重平均値を、サ
ンプリング点に対する水冷面の熱伝達率として算出す
る。
【0034】これにより、スケール厚が厚いか、又はス
ケール厚に関係するSi、Ni等の重量成分が多いこと
によって冷却の挙動が一般の鋼板と異なる場合でも、鋼
材の水冷面の沸騰状態の変化に伴って急激に変化する水
冷の熱流束を精度良く推定することで、水冷の熱伝達率
を的確に算出して熱延鋼板の巻取温度の予測を正確に行
うことが可能となる。従って、スケール厚が厚い熱延鋼
板、スケール厚に関係するSi、Ni等の重量成分が多
い熱延鋼板に対しても、巻取温度を高精度に制御するこ
とが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図6に示
す14個の冷却バンクからなるランアウトテーブル冷却
設備において巻取温度を制御する場合について具体的に
説明する。図6に示すランアウトテーブル冷却設備で
は、仕上圧延機2の出側に設けた温度計7により冷却前
の鋼板温度(圧延仕上温度)が測定され、No. 6バンク
とNo. 7バンクの間に設けられた温度計10により冷却
途中の鋼板温度(中間温度)が測定される。また、巻取
機6の入側に設けた温度計8により冷却後の鋼板温度
(巻取温度)が測定される。コントローラ9は、温度計
7から圧延仕上温度の実績値を取り込み、仕上圧延機2
あるいは巻取機6から鋼板の搬送速度の実績値を取り込
む。これらを含む種々の実績値を用いてコントローラ9
は次の処理を行う。
【0036】まず第1に、鋼板1の現在温度を計算す
る。本実施例の巻取温度制御では、鋼板の予測温度計算
が特に重要である。鋼板温度の計算にあたっては、板厚
方向1次元の熱伝導モデルを用いる。鋼板温度は、(5)
式に示す熱伝導方程式によって与えられる。
【0037】
【数2】
【0038】但し、T:鋼板温度〔℃〕、t:時間〔h
r〕、y:鋼板内の板厚方向位置〔m〕、c:比熱〔K
cal/kg℃〕、ρ:密度〔kg/m3 〕、κ:熱伝
導率〔Kcal/mhr℃〕 ここで、鋼板表面の境界条件は、上面は(6) 式、下面は
(7) 式による。
【0039】
【数3】
【0040】但し、qt ,qb :上面・下面における熱
流束〔Kcal/m2 hr〕、d:鋼板の板厚〔m〕 ここで、上面、下面の熱流束qt 、qb は、水冷、輻
射、対流の熱伝達率〔Kcal/m2 hr℃〕を用いて
それぞれ次の(8) 式、(9) 式のように表される。
【0041】
【数4】
【0042】但し、Tw :水温〔℃〕、Ta :雰囲気温
度〔℃〕 ここで、輻射の熱伝達率hrt、hrb、対流の熱伝達率h
at、habは、それぞれ次のように与えられる。
【0043】
【数5】
【0044】但し、σ:Stefan−Boltzma
nnの定数、ε:輻射率、βt ,βb :定数
【0045】水冷の熱伝達率hwt、hwb〔Kcal/m
2 hr℃〕は、鋼板の表面温度に応じて、水冷面の沸騰
状態を判定して決定する。沸騰状態を判定する第1の例
では、冷却水のサブクール度から極小熱流束点(MHF
点)と限界熱流束点(CHF点)とを推定し、鋼板の表
面温度が推定した極小熱流束点以上のときは膜沸騰状態
と判断し、極小熱流束点から限界熱流束点の間にあると
きは遷移沸騰状態と判断する。冷却水のサブクール度Δ
SUB 〔℃〕は、冷却水の飽和温度TSAT 〔℃〕(水の
場合は大気圧下では100 ℃)と冷却水の水温Tw 〔℃〕
とより(14)式で求まる。
【0046】
【数6】
【0047】極小熱流束点の温度TMHF 〔℃〕、限界熱
流束点の温度TCHF 〔℃〕は、冷却水のサブクール度Δ
SUB より、(15-A)式、(16-A)式で推定する。
【0048】
【数7】
【0049】但し、Tm0,Tc0,KM1,Kc1:定数。
【0050】沸騰状態を判定する他の例について以下に
説明する。冷却水のサブクール度とスケール厚又はスケ
ール厚に関係する元素成分の重量成分(Si重量成分あ
るいはNi重量成分等)から極小熱流束点(MHF点)
と限界熱流束点(CHF点)とを推定し、鋼板の表面温
度が推定した極小熱流束点以上のときは膜沸騰状態と判
断し、極小熱流束点から限界熱流束点の間にあるときは
遷移沸騰状態と判断する。
【0051】極小熱流束点の温度TMHF 〔℃〕、限界熱
流束点の温度TCHF 〔℃〕を、冷却水のサブクール度Δ
SUB 及びスケール厚δ〔μm〕から推定する場合は、
(15-B)式、(16-B)式で算出する。
【0052】
【数8】
【0053】但し、KM2、Kc2:定数。また、冷却水の
サブクール度ΔTSUB とスケール厚に関係する元素成分
の重量成分、例えば、Si重量成分wSi〔%〕あるいは
Ni重量成分wNi〔%〕とから推定する場合は、(15-C)
式、(16-C)式で算出する。
【0054】
【数9】
【0055】但し、KM3、KM4、Kc3、Kc4:定数。な
お、上記(15-C)式、(16-C)式においては、Si重量成分
(wSi)とNi重量成分(wNi)との両方を使用してい
るが、どちらか一方を使用しても良い。また、元素成分
については、スケール厚に関係するものであれば他の元
素成分でも同様に取り扱うことができる。
【0056】また、スケール厚δは、鋼種や製造条件に
て変化するため、例えば、鋼種や製造条件毎に鋼板の表
面スケール厚を測定しておき、集約されたテーブル表か
ら、適切な値をセットするようにする。
【0057】以上のようにして沸騰状態を推定した後、
それぞれの沸騰状態に応じて、以下のようにして水冷の
熱伝達率を算出する。
【0058】〔膜沸騰状態〕 上面:Tt ≧TMHF の時、下面:Tb ≧TMHF の時、膜
沸騰状態と推定し、水冷の熱伝達率を(17)式、(18)式か
ら求める。
【0059】
【数10】
【0060】但し、Wt ,Wb :冷却水の水量密度〔m
3 /m2 min〕、V:鋼板速度〔m/min〕、
t ,Bb ,D:定数。(17)式、(18)式で定まる熱伝達
率は、冷却水の水量密度、鋼板の搬送速度、及びサブク
ール度から決まり、鋼板の表面温度には依存しない。特
に、極小熱流束点(Tt =TMHF 、Tb =TMHF )での
熱流束、すなわち極小熱流束qMHF,t 、qMHF,b は、(1
9)式、(20)式で求まる。
【0061】
【数11】
【0062】〔核沸騰状態〕 上面:Tt ≦TCHF の時、下面:Tb ≦TCHF の時、核
沸騰状態と推定し、水冷の熱伝達率を(21)式、(22)式か
ら求める。
【0063】
【数12】
【0064】但し、At ,Ab :定数。特に、限界熱流
束点(Tt =TCHF 、Tb =TCHF )での熱流束、すな
わち限界熱流束qCHF,t 、qCHF,b は、(23) 式、(24)
式で求まる。
【0065】
【数13】
【0066】〔遷移沸騰状態〕 上面:TCHF <Tt <TMHF の時、下面:TCHF <Tb
<TMHF の時、遷移沸騰状態と推定する。遷移沸騰状態
は、膜沸騰状態と核沸騰状態が混在している状態と考
え、核沸騰状態にある水冷面の空間的な割合、すなわ
ち、固液接触による伝熱の空間的な割合(空間平均)を
考える。図7に、固液接触面積率の説明図を示すが、割
合fで固液接触(核沸騰)し、割合(1−f)で蒸気膜
が存在する(膜沸騰)とモデル化する。固液接触面積率
t b 、鋼板の表面温度の関数として、(25)式、
(26)式のように与える。
【0067】
【数14】
【0068】(25)式、(26)式から明らかなように固液接
触面積率は極小熱流束点で0となり、限界熱流束点で1
となる。図8は、Tw =40、TSAT =100 、Tm0=51、
c0=134 、 M1 =8.0 、Kc1=2.71とした場合の固液
接触面積率の変化を示したものである。冷却過程におい
て、極小熱流束点以下で固液接触面積率が増加し、限界
熱流束点で1となる。
【0069】また図9は、Tw =40、TSAT =100 、T
m0=46、Tc0=129 、 M1 =8.0 、Kc1=2.71、KM3
c3=130 、KM4=Kc4=0とした場合の低Si鋼であ
る鋼種A(wSi=0.04%)および高Si鋼である鋼種B
(wSi=0.81%)の固液接触面積率の変化を示したもの
である。鋼種Aの表面スケール厚は約5〜10μm、鋼種
Bの表面スケール厚は約20μmである。冷却過程におい
て、極小熱流束点以下で固液接触面積率が増加し、限界
熱流束点で1となる。また、スケール厚の厚い鋼種Bで
は、極小熱流束点、限界熱流束点が鋼種Aに比較して約
100 ℃高温側に移動している。
【0070】遷移沸騰状態での熱流束qtrans,t 、q
trans,b は、固液接触面積率ft 、f b を用いて以下の
式で与える。
【0071】
【数15】
【0072】図10に、遷移沸騰状態での熱流束の変化
を示す。冷却過程の遷移沸騰領域で、熱流束が極小熱流
束から限界熱流束へと固液接触面積率の変化に従って線
形に変化すると取り扱う。上記の熱流束より、水冷の熱
伝達率は(29)式、(30)式で求まる。
【0073】
【数16】
【0074】上記の式に基づいて有限差分法、または、
解析解の近似式を用いて、鋼板温度を計算する。
【0075】図11は、板厚4.04mm、板幅149
5mmの熱延鋼板を、熱伝達式(3)(4)を使用した従来方
法によって巻取温度制御を行った例である。従来の熱伝
達式(3)(4)は、巻取温度が比較的高い温度域、すなわち
膜沸騰域(概ね≧550℃)での実験式をベースにした
ものなので、この例のように巻取温度が440℃と遷移
沸騰領域に入っている場合には使用困難であり、巻取温
度の計算値と実績値の乖離が激しい。この場合、巻取温
度の自動制御を行うと、巻取温度計算値は、目標巻取温
度を狙っているが、巻取温度計算値と巻取温度実績値が
大幅に異なるため、結果的に巻取温度制御精度は悪く、
全長温度外れになっている。
【0076】図12は、高Si鋼である鋼種B(板厚:
2.6〜2.9mm)に対して、熱伝達式(3)(4)を使用
した従来方法による計算温度と実績温度の相関を示した
ものである。図より明らかなように計算温度が実績温度
と100 ℃以上外れており、自動制御ができない状況にあ
る。従って、このような場合、手動にて注水制御を行わ
ざるを得ない。
【0077】従来の熱伝達式(3)(4)は、巻取温度が比較
的高い温度域、すなわち膜沸騰域(概ね≧550℃)で
の実験式をベースにしたものなので、この例のように巻
取温度が450℃と遷移沸騰領域に入っている場合には
使用困難である。また更に、高Si鋼である鋼種Bで
は、一般材(低Si鋼)に比較して極小熱流束点が高温
側に移動し膜沸騰状態から遷移沸騰状態への変化が早く
おこるので、巻取温度の計算値と実績値の乖離もさらに
拡大する。
【0078】図13に本発明による巻取温度制御例1
を、図14に本発明による巻取温度制御例2を示す。制
御例1は、板厚さ3.52mm、板幅1140mmの熱
延鋼板を目標温度450℃に巻取温度制御したものであ
り、制御例2は、板厚2.65mm、板幅722mmの
熱延鋼板を目標温度420℃に巻取温度制御したもので
ある。
【0079】制御例1のミドル部での温度誤差は4℃で
あり、制御例2のミドル部での温度偏差は−5℃と計算
精度は良好である。従って、巻取温度も全長に渡って±
20℃の精度で制御されており、本発明が、極めて有効
であることが分かる。なお、上記の実施にあたっては、
t =1.4×106 、Ab =0.8×106 、Bt
1.167×103 、Bb =0.667×103 、D=
1.667×10-3、Ta =25なる値を使用してい
る。
【0080】図15に本発明による巻取温度の計算値と
実績値の相関を示す。巻取温度が400〜450℃とい
う温度領域で、低Si鋼である鋼種Aに対しても、高S
i鋼である鋼種Bに対しても±20℃の計算精度があ
り、巻取温度制御を自動制御を行うにあたって充分な精
度を有することが分かる。
【0081】図16に本発明による鋼種Aの巻取温度制
御例を、図17に本発明による鋼種Bの巻取温度制御例
を示す。鋼種Aの制御例は、板厚2.96mm、板幅7
98mmの熱延鋼板を目標温度420℃に巻取温度制御
したものであり、鋼種Bの制御例は、板厚2.94m
m、板幅1008mmの熱延鋼板を目標温度430℃に
巻取温度制御したものである。
【0082】両方の制御例ともミドル部での計算温度の
偏差は小さく、本発明による方法の計算精度は良好であ
り、従って、巻取温度も全長に渡って±20℃の温度で
制御されており、本発明が高Si鋼のように表面スケー
ルの厚い熱延鋼板の巻取温度制御に極めて有効であるこ
とが分かる。なお、上記の実施にあたっては、At
1.4×106 、Ab =0.8×106 、Bt =1.1
67×103 、Bb =0.667×103 、D=1.6
67×10-3、Ta =25なる値を使用している。
【0083】上記実施例では、鋼板温度を予測計算する
際に、上面・下面ともに遷移沸騰領域での熱伝達式を使
用したが、鋼板下面では、吹き付けられた冷却水は、鋼
板の表面に到達した後、重力によって流下し鋼板表面に
滞留することはない、或いは、非常に少ないので、上面
のみ遷移沸騰領域での熱伝達式を使用するようにしても
良い。上面のみ遷移沸騰領域での熱伝達式を使用する場
合も、鋼板温度の計算精度向上に有効であり、本発明に
含まれるものである。
【0084】また、上記の実施例においては、膜沸騰領
域において、熱伝達率一定の取り扱いを行っているが、
このような方法以外に、膜沸騰領域において、熱流束一
定の取り扱いを行っても同様の効果が得られ、本発明に
含まれるものである。更に、上記の実施例においては、
核沸騰領域において、熱流束一定の取り扱いを行ってい
るが、限界熱流束点以下で、熱流束が低下するような取
り扱いを行ってもよい。
【0085】また、遷移沸騰領域での熱伝達式を使用す
る効果は、熱延鋼板の一種である厚板鋼板の冷却設備に
おける冷却制御においても同様の効果を有し、本発明に
含まれるものである。
【0086】上記の実施例の説明では高Si鋼を取り上
げたが、Ni含有鋼においてもNi含有量(Ni重量成
分)の増加にともない極小熱流束点が高温側に移動して
冷却速度が増大することが知られており、このような鋼
種に対しても本発明は有効である。
【0087】
【発明の効果】以上のように、本発明の熱延鋼板の巻取
温度制御方法は、ランアウトテーブル上の熱延鋼板への
冷却水の注水量を制御して熱延鋼板の巻取温度を目標温
度に一致させるために、ランアウトテーブル上の所定の
サンプリング点に対する熱延鋼板の水冷面の熱伝達率を
算出する際、サンプリング点に対する水冷面の沸騰状態
に応じた水冷の熱伝達率のモデル式を適用してこのサン
プリング点に対する熱延鋼板の水冷面の熱伝達率を算出
するので、水冷面の沸騰状態の変化によって急激に変化
する水冷面の熱伝達率を的確に算出し、巻取温度が40
0〜500℃の低い温度領域であっても、また鋼板のス
ケール厚が厚い鋼板、又はスケール厚に関係するSi、
Ni等の重量成分が多い鋼板であっても、目標温度と高
精度で一致するように巻取温度を制御し、所望の機械特
性を有する鋼板を製造することが可能となるという優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ランアウトテーブル上での巻取温度制御を実行
する冷却設備の概要を示す模式図である。
【図2】従来技術における鋼板表面温度と熱流束との関
係を示す図である。
【図3】沸騰曲線を示す図である。
【図4】低Si鋼と高Si鋼との冷却曲線を示す図であ
る。
【図5】高Si鋼における残スケールの説明図である。
【図6】本発明の巻取温度制御を実行するランアウトテ
ーブル冷却設備の概要を示す模式図である。
【図7】固液接触面積率の説明図である。
【図8】固液接触面積率の変化を示す説明図である。
【図9】スケール厚の異なる鋼種Aおよび鋼種Bの固液
接触面積率の変化の説明図である。
【図10】本発明の巻取温度制御方法に用いるモデル化
した熱流束変化の説明図である。
【図11】従来の巻取温度制御による制御結果の説明図
である。
【図12】従来方法による高Si鋼(鋼種B)の巻取温
度の計算値と実績値との相関を示す図である。
【図13】本発明方法による巻取温度制御例1の制御結
果の説明図である。
【図14】本発明方法による巻取温度制御例2の制御結
果の説明図である。
【図15】本発明方法による低Si鋼(鋼種A)及び高
Si鋼(鋼種B)の巻取温度の計算値と実績値との相関
を示す図である。
【図16】本発明方法による鋼種Aの巻取温度制御例の
制御結果の説明図である。
【図17】本発明方法による鋼種Bの巻取温度制御例の
制御結果の説明図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 仕上圧延機 3 ランアウトテーブル 4、5 冷却装置 6 巻取機 7 温度計 8 温度計 9 (巻取温度)コントローラ 10 温度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−118935(JP,A) 特開 昭58−221606(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00 - 37/78 B21B 39/00 - 45/08 B21C 47/00 - 49/00 C21D 9/52

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ランアウトテーブルによって巻取機へ搬
    送される熱延鋼板を冷却水で水冷する際、ランアウトテ
    ーブル上の所定のサンプリング点に対する該熱延鋼板の
    水冷面の熱伝達率を用いて該熱延鋼板の巻取温度の予測
    値を計算し、該予測値が目標値と一致するようにランア
    ウトテーブル上の該熱延鋼板への注水量を制御する熱延
    鋼板の巻取温度制御方法において、 前記所定のサンプリング点に対する熱延鋼板の水冷面の
    温度、及び冷却水のサブクール度をそれぞれ算出する
    1のステップと、サブクール度に応じて、膜沸騰状態から遷移沸騰状態へ
    変わる極小熱流束点、及び遷移沸騰状態から核沸騰状態
    へ変わる限界熱流束点の温度をそれぞれ推定する第2の
    ステップと、 極小熱流束点及び限界熱流束点のそれぞれの温度と熱延
    鋼板の水冷面の温度との関係から前記所定のサンプリン
    グ点に対する水冷面の沸騰状態が膜沸騰状態であるか核
    沸騰状態であるか遷移沸騰状態であるかを推定する第3
    のステップと、 推定した沸騰状態に応じた水冷の熱伝達率のモデル式か
    ら前記所定のサンプリング点に対する水冷面の熱伝達率
    を算出する第4のステップとを含むことを特徴とする熱
    延鋼板の巻取温度制御方法。
  2. 【請求項2】 ランアウトテーブルによって巻取機へ搬
    送される熱延鋼板を冷却水で水冷する際、ランアウトテ
    ーブル上の所定のサンプリング点に対する該熱延鋼板の
    水冷面の熱伝達率を用いて該熱延鋼板の巻取温度の予測
    値を計算し、該予測値が目標値と一致するようにランア
    ウトテーブル上の該熱延鋼板への注水量を制御する熱延
    鋼板の巻取温度制御方法において、 前記所定のサンプリング点に対する熱延鋼板の水冷面の
    温度、及び冷却水のサブクール度をそれぞれ算出する
    1のステップと、 サブクール度及び熱延鋼板のスケールに関係する条件
    応じて、膜沸騰状態から遷移沸騰状態へ変わる極小熱流
    束点、及び遷移沸騰状態から核沸騰状態へ変わる限界熱
    流束点の温度をそれぞれ推定する第2のステップと、 極小熱流束点及び限界熱流束点のそれぞれの温度と熱延
    鋼板の水冷面の温度との関係から前記所定のサンプリン
    グ点に対する水冷面の沸騰状態が膜沸騰状態で あるか核
    沸騰状態であるか遷移沸騰状態であるかを推定する第3
    のステップと、 推定した沸騰状態に応じた水冷の熱伝達率のモデル式か
    ら前記所定のサンプリング点に対する水冷面の熱伝達率
    を算出する第4のステップ とを含むことを特徴とする熱
    延鋼板の巻取温度制御方法。
  3. 【請求項3】 前記第2のステップの熱延鋼板のスケー
    ルに関係する条件は、熱延鋼板のスケール厚であること
    を特徴とする請求項2記載の熱延鋼板の巻取温度制御方
    法。
  4. 【請求項4】 前記第2のステップの熱延鋼板のスケー
    ルに関係する条件は、熱延鋼板のスケール厚に関係する
    元素成分の重量成分であることを特徴とする請求項2
    載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
  5. 【請求項5】 前記第4のステップは、前記第3のステ
    ップにおいて沸騰状態を膜沸騰状態と推定した場合は、
    サブクール度、冷却水の水量密度及び熱延鋼板の搬送速
    度から前記水冷面の熱伝達率を算出するステップであ
    り、前記第3のステップにおいて核沸騰状態と推定した
    場合は、熱延鋼板の水冷面の温度、冷却水の水温、冷却
    水の水量密度及び熱延鋼板の搬送速度から前記水冷面の
    熱伝達率を算出するステップであり、前記第3のステッ
    において遷移沸騰状態と推定した場合は、熱延鋼板の
    表面温度から水冷面の固液接触面積率を求め、該固液接
    触面積率に応じて、極小熱流束点での熱伝達率と限界熱
    流束点での熱伝達率との間の値を前記所定のサンプリン
    グ点に対する水冷面の熱伝達率として算出するステップ
    であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記
    載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
  6. 【請求項6】 前記第4のステップは、前記第3のステ
    ップにおいて沸騰状態を膜沸騰状態と推定した場合は、
    サブクール度、冷却水の水量密度及び熱延鋼板の搬送速
    度から前記水冷面の熱伝達率を算出するステップであ
    り、前記第3のステップにおいて核沸騰状態と推定した
    場合は、熱延鋼板の水冷面の温度、冷却水の水温、冷却
    水の水量密度及び熱延鋼板の搬送速度から前記水冷面の
    熱伝達率を算出するステップであり、前記第3のステッ
    において遷移沸騰状態と推定した場合は、熱延鋼板の
    表面温度から水冷面の固液接触面積率を求め、該固液接
    触面積率に応じて、極小熱流束点での熱伝達率と限界熱
    流束点での熱伝達率との加重平均値を前記所定のサンプ
    リング点に対する水冷面の熱伝達率として算出するステ
    ップであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    に記載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
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