JP2003130829A - 定常的に流動する物質を含む系の温度分布解析方法 - Google Patents
定常的に流動する物質を含む系の温度分布解析方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】一定の通路の中を、液体または固体、あるいは
液体が凝固しながら、あるいは固体が融解しながら定常
的に流動する時の、温度分布の解析を行なう上で、熱流
体解析の方法を使用せず、静止系に対する定常状態の温
度分布解析の方法を拡張し、公知のコンピュータプログ
ラムや市販の温度解析用ソフトウェアを適用して比較的
簡単に温度分布を得ることを可能とする温度分布解析方
法を提供する。 【構成】解析したい全体系の中に、一定の通路を、液体
または固体、あるいは液体が凝固しながら、あるいは固
体が融解しながら定常的に流動する物質を含む系の温度
分布の解析方法において、流動する物質により運ばれる
熱を、静止した物質内の各点において発生または吸収さ
れる熱に置き換えて解析する。
液体が凝固しながら、あるいは固体が融解しながら定常
的に流動する時の、温度分布の解析を行なう上で、熱流
体解析の方法を使用せず、静止系に対する定常状態の温
度分布解析の方法を拡張し、公知のコンピュータプログ
ラムや市販の温度解析用ソフトウェアを適用して比較的
簡単に温度分布を得ることを可能とする温度分布解析方
法を提供する。 【構成】解析したい全体系の中に、一定の通路を、液体
または固体、あるいは液体が凝固しながら、あるいは固
体が融解しながら定常的に流動する物質を含む系の温度
分布の解析方法において、流動する物質により運ばれる
熱を、静止した物質内の各点において発生または吸収さ
れる熱に置き換えて解析する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度分布解析方法
に関し、特に、金属板の連続鋳造などにおいて、液体が
ダイス内で一定の通路を流れながら凝固する時の温度分
布解析、あるいは生成した金属板が連続的に移動しなが
ら徐々に冷えていく時の温度分布解析、また、熱間圧延
された金属板など熱を持った物質が冷却されながら定常
的に移動する時、あるいは逆に金属板が加熱されながら
定常的に移動する時の温度分布解析、上記状態で相転移
を伴なうような場合など、定常的に流動する物質を含む
系の好適な温度分布解析方法に関するものである。
に関し、特に、金属板の連続鋳造などにおいて、液体が
ダイス内で一定の通路を流れながら凝固する時の温度分
布解析、あるいは生成した金属板が連続的に移動しなが
ら徐々に冷えていく時の温度分布解析、また、熱間圧延
された金属板など熱を持った物質が冷却されながら定常
的に移動する時、あるいは逆に金属板が加熱されながら
定常的に移動する時の温度分布解析、上記状態で相転移
を伴なうような場合など、定常的に流動する物質を含む
系の好適な温度分布解析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に温度分布解析では、熱伝導に関す
る次の方程式を解くことにより行われる。 ρc(∂T/∂t)=(∂Q/∂t)+(∂/∂x){λx(∂T/∂x) }+(∂/∂y){λy(∂T/∂y)}+(∂/∂z){λz(∂T/∂z)} ・・・(式1) ここで、ρは質量密度、cは比熱、∂Q/∂tは発熱密
度、λx λy λzはそれぞれx,y.z方向の熱伝導率
である。特に、定常状態では左辺が0となるが、種々の
境界条件の下でこの微分方程式を解析的に解くことは困
難であるので、近似的な数値解法である差分法や有限要
素法などが一般に用いられている。
る次の方程式を解くことにより行われる。 ρc(∂T/∂t)=(∂Q/∂t)+(∂/∂x){λx(∂T/∂x) }+(∂/∂y){λy(∂T/∂y)}+(∂/∂z){λz(∂T/∂z)} ・・・(式1) ここで、ρは質量密度、cは比熱、∂Q/∂tは発熱密
度、λx λy λzはそれぞれx,y.z方向の熱伝導率
である。特に、定常状態では左辺が0となるが、種々の
境界条件の下でこの微分方程式を解析的に解くことは困
難であるので、近似的な数値解法である差分法や有限要
素法などが一般に用いられている。
【0003】しかし、(式1)はあくまで静止している
系にしか適用できず、流動する物質を含む系や固体の一
部が移動している系には適用することができない。物質
が流動する場合には、さらに一般的な非圧縮性流体に対
する熱伝導方程式があり、(式1)の左辺に流動に関す
る項が付け加わった次式が用いられる。 ρc(∂T/∂t)+ρc{vx(∂T/∂x)+vy(∂T/∂y)+vz( ∂T/∂z)}=(∂Q/∂t)+(∂/∂x){λx(∂T/∂x)}+(∂ /∂y){λy(∂T/∂y)}+(∂/∂z){λz(∂T/∂z)} ・・・ (式2) ただし、vx vy vz はそれぞれ流体の速度のx,
y,z成分である。
系にしか適用できず、流動する物質を含む系や固体の一
部が移動している系には適用することができない。物質
が流動する場合には、さらに一般的な非圧縮性流体に対
する熱伝導方程式があり、(式1)の左辺に流動に関す
る項が付け加わった次式が用いられる。 ρc(∂T/∂t)+ρc{vx(∂T/∂x)+vy(∂T/∂y)+vz( ∂T/∂z)}=(∂Q/∂t)+(∂/∂x){λx(∂T/∂x)}+(∂ /∂y){λy(∂T/∂y)}+(∂/∂z){λz(∂T/∂z)} ・・・ (式2) ただし、vx vy vz はそれぞれ流体の速度のx,
y,z成分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが市販の熱伝導
解析用ソフトウェアは静止系を対象としているので、
(式2)を解く手順は含まれていないのが通常であり、
別途、この手順を含む熱流動解析用ソフトウェアを導入
しなければならず、温度解析のためだけに、流動解析用
ソフトウェアを導入することになり効率が悪い。さら
に、液体の凝固などの相転移を伴なう時は、(式2)さ
えも適用できないため、通常の流動解析用ソフトでは、
温度分布が解析できない。
解析用ソフトウェアは静止系を対象としているので、
(式2)を解く手順は含まれていないのが通常であり、
別途、この手順を含む熱流動解析用ソフトウェアを導入
しなければならず、温度解析のためだけに、流動解析用
ソフトウェアを導入することになり効率が悪い。さら
に、液体の凝固などの相転移を伴なう時は、(式2)さ
えも適用できないため、通常の流動解析用ソフトでは、
温度分布が解析できない。
【0005】そこで、相転移を伴なうような場合にも適
用でき、例えば一定の通路の中を、液体または固体、あ
るいは液体が凝固しながら、定常的に流動するような比
較的単純な系を扱うための、より低コストで効率的な解
析法が望まれていた。
用でき、例えば一定の通路の中を、液体または固体、あ
るいは液体が凝固しながら、定常的に流動するような比
較的単純な系を扱うための、より低コストで効率的な解
析法が望まれていた。
【0006】したがって、本発明は、一定の通路の中
を、液体または固体、あるいは液体が凝固しながら、あ
るいは固体が融解しながら定常的に流動する時の、温度
分布の解析を行なう上で、熱流体解析の方法を使用せ
ず、静止系に対する定常状態の温度分布解析の方法を拡
張し、公知のコンピュータプログラムや市販の温度解析
用ソフトウェアを適用して比較的簡単に温度分布を得る
ことを可能とする温度分布解析方法を提供する。
を、液体または固体、あるいは液体が凝固しながら、あ
るいは固体が融解しながら定常的に流動する時の、温度
分布の解析を行なう上で、熱流体解析の方法を使用せ
ず、静止系に対する定常状態の温度分布解析の方法を拡
張し、公知のコンピュータプログラムや市販の温度解析
用ソフトウェアを適用して比較的簡単に温度分布を得る
ことを可能とする温度分布解析方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては、熱を
持った物質が定常的に流動することに等価なモデルとし
て、該物質内の各点が流れ方向に対する温度勾配に応じ
た熱を発生または吸収するとするモデルで解析するもの
である。
持った物質が定常的に流動することに等価なモデルとし
て、該物質内の各点が流れ方向に対する温度勾配に応じ
た熱を発生または吸収するとするモデルで解析するもの
である。
【0008】例えば、流動する物質の中の一点におい
て、流れ方向に対し負の温度勾配がある時、もしも熱伝
導が無ければ、流動によりその空間上の一点の温度が上
昇することになる。これは、仮に物質が静止していると
して、該点に温度上昇を生じるための発熱があることと
等価である。逆に、流れ方向に正の温度勾配があれば、
流動により温度が下降することになるが、これば静止し
た物質内で熱が消失することと等価である。実際は発生
した熱は熱伝導により周囲に奪われ、あるいは消失した
熱は周囲から供給されて、その結果、温度は時間的に変
化しないで定常状態にある。その仮想的な発熱あるいは
吸熱が熱伝導により奪われ、あるいは供給され、実際の
温度が時間的に変化しないような温度分布を求めればよ
い訳である。以下、吸熱は負の発熱と考えて、すべて発
熱という言葉で説明する。
て、流れ方向に対し負の温度勾配がある時、もしも熱伝
導が無ければ、流動によりその空間上の一点の温度が上
昇することになる。これは、仮に物質が静止していると
して、該点に温度上昇を生じるための発熱があることと
等価である。逆に、流れ方向に正の温度勾配があれば、
流動により温度が下降することになるが、これば静止し
た物質内で熱が消失することと等価である。実際は発生
した熱は熱伝導により周囲に奪われ、あるいは消失した
熱は周囲から供給されて、その結果、温度は時間的に変
化しないで定常状態にある。その仮想的な発熱あるいは
吸熱が熱伝導により奪われ、あるいは供給され、実際の
温度が時間的に変化しないような温度分布を求めればよ
い訳である。以下、吸熱は負の発熱と考えて、すべて発
熱という言葉で説明する。
【0009】すなわち、本発明の第1の発明は、 解析
したい全体系の中に、一定の通路を、液体または固体、
あるいは液体が凝固しながら、あるいは固体が融解しな
がら定常的に流動する物質を含む系の温度分布の解析方
法において、流動する物質により運ばれる熱を、静止し
た物質内の各点において発生または吸収される熱に置き
換えて解析することを特徴とする定常的に流動する物質
を含む系の温度分布解析方法を提供する。
したい全体系の中に、一定の通路を、液体または固体、
あるいは液体が凝固しながら、あるいは固体が融解しな
がら定常的に流動する物質を含む系の温度分布の解析方
法において、流動する物質により運ばれる熱を、静止し
た物質内の各点において発生または吸収される熱に置き
換えて解析することを特徴とする定常的に流動する物質
を含む系の温度分布解析方法を提供する。
【0010】さらに、第2の発明は、仮定した温度分布
を基に計算された発熱密度を条件として、仮想的に静止
系として定常状態の温度解析を行い、その結果得られた
温度分布と前記仮定した温度分布の加重平均を取り、得
られる温度分布を基に再び計算される発熱密度を条件と
して、さらに前記温度解析を行なうという操作を繰り返
し行い、得られた温度分布とその前の回の操作で得られ
た温度分布の差が必要とされる値以下になるまで繰り返
し行なうことにより、最終的な温度分布の解析結果を得
ることを特徴とする第1の発明記載の定常的に流動する
物質を含む系の温度分布解析方法を提供する。
を基に計算された発熱密度を条件として、仮想的に静止
系として定常状態の温度解析を行い、その結果得られた
温度分布と前記仮定した温度分布の加重平均を取り、得
られる温度分布を基に再び計算される発熱密度を条件と
して、さらに前記温度解析を行なうという操作を繰り返
し行い、得られた温度分布とその前の回の操作で得られ
た温度分布の差が必要とされる値以下になるまで繰り返
し行なうことにより、最終的な温度分布の解析結果を得
ることを特徴とする第1の発明記載の定常的に流動する
物質を含む系の温度分布解析方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付された図面を参照して
本発明を詳述する。本発明の定常的に流動する物質を含
む系の温度分布解析を行なうための手順は次の通りであ
る。すなわち、流動する物質中の温度分布を最初に仮定
し、その流れ方向に対するエンタルピー勾配に、流れ速
度と物質の密度をかけて得られた各部分の仮想的な発熱
を条件に繰り入れて、流動している熔湯などが仮に静止
しているとした静止系の定常状態の温度解析を行う。そ
の結果得られた温度分布と前記仮定した温度分布の加重
平均を取り、得られる温度分布を基に再び計算される発
熱密度を条件として、さらに前記温度解析を行なうとい
う操作を繰り返し行い、得られた温度分布とその前の回
の操作で得られた温度分布の差が必要とされる値以下に
なるまで繰り返し行なうことにより、最終的な温度分布
の解析結果を得るという手順で行われる。
本発明を詳述する。本発明の定常的に流動する物質を含
む系の温度分布解析を行なうための手順は次の通りであ
る。すなわち、流動する物質中の温度分布を最初に仮定
し、その流れ方向に対するエンタルピー勾配に、流れ速
度と物質の密度をかけて得られた各部分の仮想的な発熱
を条件に繰り入れて、流動している熔湯などが仮に静止
しているとした静止系の定常状態の温度解析を行う。そ
の結果得られた温度分布と前記仮定した温度分布の加重
平均を取り、得られる温度分布を基に再び計算される発
熱密度を条件として、さらに前記温度解析を行なうとい
う操作を繰り返し行い、得られた温度分布とその前の回
の操作で得られた温度分布の差が必要とされる値以下に
なるまで繰り返し行なうことにより、最終的な温度分布
の解析結果を得るという手順で行われる。
【0012】この操作は、コンピュータプログラム化し
て自動的に処理することが効率的である。静止した系の
中の所定の通路を、液体または固体がゆっくり流れてい
る場合の温度分布の解析について、その理論と解析方法
を数式を使って説明する。
て自動的に処理することが効率的である。静止した系の
中の所定の通路を、液体または固体がゆっくり流れてい
る場合の温度分布の解析について、その理論と解析方法
を数式を使って説明する。
【0013】(理論)デカルト座標系において、流動す
る物質内の地点P(x,y,z)における流れ方向をX
軸の正の方向とし速度をvx(x,y,z)とする。地
点Pの温度をT(x,y,z)とすると、熱伝導が無け
れば短い時間Δt後の地点Pの温度上昇およびPにおけ
る物質のエンタルピー変化はそれぞれ(式3)および
(式4)で与えられる。 ΔT=T(x−vxΔt,y,z)−T(x,y,z)=vxΔt×(−dT/ dx) ・・・(式3) ΔH=H(x−vxΔt,y,z)−H(x,y,z)=vxΔt×(−dH/ dx) ・・・(式4)
る物質内の地点P(x,y,z)における流れ方向をX
軸の正の方向とし速度をvx(x,y,z)とする。地
点Pの温度をT(x,y,z)とすると、熱伝導が無け
れば短い時間Δt後の地点Pの温度上昇およびPにおけ
る物質のエンタルピー変化はそれぞれ(式3)および
(式4)で与えられる。 ΔT=T(x−vxΔt,y,z)−T(x,y,z)=vxΔt×(−dT/ dx) ・・・(式3) ΔH=H(x−vxΔt,y,z)−H(x,y,z)=vxΔt×(−dH/ dx) ・・・(式4)
【0014】この温度上昇ΔTおよびエンタルピー変化
ΔHは、静止した物質の中に、仮想的に熱が発生した結
果生じたと考える事と等価である。この時、物質の密度
をρとすると単位時間の発熱密度qは(式5)となる。 q=(ρ×ΔH)/Δt=ρvx(−dH/dx) ・・・(式5) エンタルピーの温度変化∂H/∂Tが有限の時、す
なわち相転移温度以外では、 −dH/dx=(−dT/dx)(∂H/∂T)=−c
p(dT/dx)であるので、単位時間の発熱密度は、 q=−ρvxcp(dT/dx)・・・(式6)とすると
(式2)と一致する。ただし、定圧比熱cpは一般に温
度に依存する。 エンタルピーの温度変化∂H/∂Tが非常に大きい
時、すなわち相転移温度TPTでは、TPTでのエンタルピ
ー差(潜熱)をLとし、地点Pを含む区間x1〜x2で
温度がTPTで一定、すなわち地点Pが2相共存領域中に
あるとすると、区間x1〜x2内ではvxが一定で一様
に発熱があると近似することで発熱密度は近似的に q=ρvxL/(x2−x1) ・・・(式7) となる。
ΔHは、静止した物質の中に、仮想的に熱が発生した結
果生じたと考える事と等価である。この時、物質の密度
をρとすると単位時間の発熱密度qは(式5)となる。 q=(ρ×ΔH)/Δt=ρvx(−dH/dx) ・・・(式5) エンタルピーの温度変化∂H/∂Tが有限の時、す
なわち相転移温度以外では、 −dH/dx=(−dT/dx)(∂H/∂T)=−c
p(dT/dx)であるので、単位時間の発熱密度は、 q=−ρvxcp(dT/dx)・・・(式6)とすると
(式2)と一致する。ただし、定圧比熱cpは一般に温
度に依存する。 エンタルピーの温度変化∂H/∂Tが非常に大きい
時、すなわち相転移温度TPTでは、TPTでのエンタルピ
ー差(潜熱)をLとし、地点Pを含む区間x1〜x2で
温度がTPTで一定、すなわち地点Pが2相共存領域中に
あるとすると、区間x1〜x2内ではvxが一定で一様
に発熱があると近似することで発熱密度は近似的に q=ρvxL/(x2−x1) ・・・(式7) となる。
【0015】(解析方法)近似的に温度分布解析を行な
うための普及している方法の一つである有限要素法の適
用を念頭に置いて説明するが、他の近似解析方法に拡張
する事は容易である。流動する物質を細かな6面体型の
ブロックに分割したとする。このブロックの1つ1つを
要素としても、ブロックがさらに細かい要素に分割され
ていても構わない。また、以下の方法をブロックの形状
が6面体でない場合に拡張する事も可能である。
うための普及している方法の一つである有限要素法の適
用を念頭に置いて説明するが、他の近似解析方法に拡張
する事は容易である。流動する物質を細かな6面体型の
ブロックに分割したとする。このブロックの1つ1つを
要素としても、ブロックがさらに細かい要素に分割され
ていても構わない。また、以下の方法をブロックの形状
が6面体でない場合に拡張する事も可能である。
【0016】物質の流れによる上記の仮想的な発熱密度
として、各ブロックにおける次の発熱密度を条件に付加
する。 ブロック内の温度で∂H/∂Tが有限の場合 これはブロック内の温度領域に相転移温度が含まれない
か、または相転移温度に幅がある場合である。地点
(x,y,z)の小さなブロックΔx×Δy×Δzの発
熱密度はdH/dxをΔHav/Δxと近似すると、 q=ρvx(−ΔHav/Δx) ・・・(式8) ただし、ΔHavはブロックの流れ方向に対する前後端の
エンタルピー差の平均であり、例えばブロックの8頂点
の温度におけるエンタルピー値から計算できる。 ブ
ロック内の温度領域に相転移温度TPTが含まれる場合 ブロックが完全に2相共存領域x1〜x2に含まれ、温
度がTPT(一定)である時、 q=ρvxL/(x2−x1) ・・・(式9) ブロックの一部が2相共存領域に含まれる時 q=ρvx{L/(x2−x1)}×2相共存領域(温度一定領域)の体積比 率 +ρvx(−ΔHav/Δx) ・・・(式10) ただし、ΔHavはブロックの流れ方向に対する両端のエ
ンタルピー差から潜熱を除いた値の平均でありと同様
に計算できる。ブロックの流れ方向の前後端の温度領域
が2相共存領域を完全に含む場合はと同様に、 q=ρvx(−ΔHav/Δx) ・・・(式11) とする。
として、各ブロックにおける次の発熱密度を条件に付加
する。 ブロック内の温度で∂H/∂Tが有限の場合 これはブロック内の温度領域に相転移温度が含まれない
か、または相転移温度に幅がある場合である。地点
(x,y,z)の小さなブロックΔx×Δy×Δzの発
熱密度はdH/dxをΔHav/Δxと近似すると、 q=ρvx(−ΔHav/Δx) ・・・(式8) ただし、ΔHavはブロックの流れ方向に対する前後端の
エンタルピー差の平均であり、例えばブロックの8頂点
の温度におけるエンタルピー値から計算できる。 ブ
ロック内の温度領域に相転移温度TPTが含まれる場合 ブロックが完全に2相共存領域x1〜x2に含まれ、温
度がTPT(一定)である時、 q=ρvxL/(x2−x1) ・・・(式9) ブロックの一部が2相共存領域に含まれる時 q=ρvx{L/(x2−x1)}×2相共存領域(温度一定領域)の体積比 率 +ρvx(−ΔHav/Δx) ・・・(式10) ただし、ΔHavはブロックの流れ方向に対する両端のエ
ンタルピー差から潜熱を除いた値の平均でありと同様
に計算できる。ブロックの流れ方向の前後端の温度領域
が2相共存領域を完全に含む場合はと同様に、 q=ρvx(−ΔHav/Δx) ・・・(式11) とする。
【0017】(解析手順)解析は、公知の静止系に対す
る熱解析プログラムあるいは市販の熱解析ソフトウェア
を使用して次の手順で行なうことができる。 流動する物質内の温度分布を予想し、各節点の温度
を仮定する。 流動する物質内の各有限要素の仮想発熱を上記
(6)式から(11)式のいずれかを用いて計算し、熱
荷重条件に付加して熱解析を行なう。 解析の結果得られた流動物質の各節点の温度とで
仮定した温度とを所定の比率で加重平均して求めた温度
を新たな仮定温度とする。比率は最終結果ができるだけ
早く得られるような数値を用いる。 で得た仮定温度からの手順で発熱を計算し、再
び熱荷重条件に付加して熱解析を行なう。 の手順でさらに新たな仮定温度を求め、以下、
、の手順を繰り返し、得られた温度分布とその前の
回の操作で得られた温度分布との差が、必要とされる精
度以下に収束すれば繰り返しを終了する。
る熱解析プログラムあるいは市販の熱解析ソフトウェア
を使用して次の手順で行なうことができる。 流動する物質内の温度分布を予想し、各節点の温度
を仮定する。 流動する物質内の各有限要素の仮想発熱を上記
(6)式から(11)式のいずれかを用いて計算し、熱
荷重条件に付加して熱解析を行なう。 解析の結果得られた流動物質の各節点の温度とで
仮定した温度とを所定の比率で加重平均して求めた温度
を新たな仮定温度とする。比率は最終結果ができるだけ
早く得られるような数値を用いる。 で得た仮定温度からの手順で発熱を計算し、再
び熱荷重条件に付加して熱解析を行なう。 の手順でさらに新たな仮定温度を求め、以下、
、の手順を繰り返し、得られた温度分布とその前の
回の操作で得られた温度分布との差が、必要とされる精
度以下に収束すれば繰り返しを終了する。
【0018】これらの手順は既存の熱解析プログラムと
組み合わせて、コンピュータプログラム化して、自動的
に進行されるようにできる。 また市販の熱解析ソフト
ウェアと組み合わせて、入力データの編集、熱解析ソフ
トの実行、解析結果からの温度データの取り出しと収束
の判定、新たな入力データの編集を順次行なうようなマ
クロプログラムで実施することもできる。
組み合わせて、コンピュータプログラム化して、自動的
に進行されるようにできる。 また市販の熱解析ソフト
ウェアと組み合わせて、入力データの編集、熱解析ソフ
トの実行、解析結果からの温度データの取り出しと収束
の判定、新たな入力データの編集を順次行なうようなマ
クロプログラムで実施することもできる。
【0019】
【実施例】(実施例1)簡単な例として、高温で圧延さ
れた厚み1mmの金属板が空冷されながら、100mm
/secの速度で進んで行く時の温度分布を有限要素法
で解析した。有限要素モデルは幅100mm、長さ10
00mmの平面を100mm×100mmのシェル要素
に分割し、シェル厚みは1mmとした。空冷条件として
面の熱伝達係数5W/m2K、環境温度20℃とした。
また進行方向に対し後側の端の温度を500℃に拘束し
た。材料として構造用鋼材を想定し、密度を7860k
g/m3、熱伝導率を45W/mK、比熱を400℃で
561J/kgK、800℃で1192J/kgKとし
た。
れた厚み1mmの金属板が空冷されながら、100mm
/secの速度で進んで行く時の温度分布を有限要素法
で解析した。有限要素モデルは幅100mm、長さ10
00mmの平面を100mm×100mmのシェル要素
に分割し、シェル厚みは1mmとした。空冷条件として
面の熱伝達係数5W/m2K、環境温度20℃とした。
また進行方向に対し後側の端の温度を500℃に拘束し
た。材料として構造用鋼材を想定し、密度を7860k
g/m3、熱伝導率を45W/mK、比熱を400℃で
561J/kgK、800℃で1192J/kgKとし
た。
【0020】解析の結果、図1に示したような温度分布
が得られた。たとえば進行方向に対し前側の端の温度は
435℃となった。
が得られた。たとえば進行方向に対し前側の端の温度は
435℃となった。
【0021】(比較例)実施例1と同一のモデル、温度
拘束で仮想的な発熱を含めなかった場合、温度分布は図
2のように500℃に拘束した端の付近を除いて、環境
温度20℃と一致し現実とは異なる結果となった。
拘束で仮想的な発熱を含めなかった場合、温度分布は図
2のように500℃に拘束した端の付近を除いて、環境
温度20℃と一致し現実とは異なる結果となった。
【0022】(実施例2)相転移を伴う例として、溶解
炉から液体金属がダイスの中を凝固しながら出口方向に
秒速3.5mmで移動してゆく場合の温度分布の解析を
述べる。厚み32mm長さ300mmの2枚のダイス間
の16mmの隙間に液体金属が流れ途中で凝固するとし
て、有限要素モデルは図3のように上半分の2次元ソリ
ッドとし、厚み方向にはダイスを4分割、金属部を2分
割、進行方向には100分割した。ダイス入り口部の温
度を950に拘束し、ダイス上部を水冷していることを
想定し、熱伝達係数1000W/m2K、環境温度50
℃とした。ダイスや金属の物性値については、解析結果
そのものを述べることが目的でないので詳しくは割愛す
る。
炉から液体金属がダイスの中を凝固しながら出口方向に
秒速3.5mmで移動してゆく場合の温度分布の解析を
述べる。厚み32mm長さ300mmの2枚のダイス間
の16mmの隙間に液体金属が流れ途中で凝固するとし
て、有限要素モデルは図3のように上半分の2次元ソリ
ッドとし、厚み方向にはダイスを4分割、金属部を2分
割、進行方向には100分割した。ダイス入り口部の温
度を950に拘束し、ダイス上部を水冷していることを
想定し、熱伝達係数1000W/m2K、環境温度50
℃とした。ダイスや金属の物性値については、解析結果
そのものを述べることが目的でないので詳しくは割愛す
る。
【0023】前記の解析手順により、金属の温度分布は
図4のグラフのように、ダイス入り口からの距離60〜
70mmのところで凝固し、ダイス出口では300℃と
なるというような結果が得られた。
図4のグラフのように、ダイス入り口からの距離60〜
70mmのところで凝固し、ダイス出口では300℃と
なるというような結果が得られた。
【0024】
【発明の効果】本発明により、一定の通路の中を、液体
または固体、あるいは液体が凝固しながら、あるいは固
体が融解しながら定常的に流動する時の、温度分布の解
析を行なう上で、熱流体解析の方法を使用せず、静止系
に対する定常状態の温度分布解析の方法を拡張し、公知
のコンピュータプログラムや市販の温度解析用ソフトウ
ェアを適用して比較的簡単に温度分布を得ることが可能
となる。
または固体、あるいは液体が凝固しながら、あるいは固
体が融解しながら定常的に流動する時の、温度分布の解
析を行なう上で、熱流体解析の方法を使用せず、静止系
に対する定常状態の温度分布解析の方法を拡張し、公知
のコンピュータプログラムや市販の温度解析用ソフトウ
ェアを適用して比較的簡単に温度分布を得ることが可能
となる。
【図1】図1は、本発明の温度分布解析方法により解析
した金属板の温度分布を示すグラフである。
した金属板の温度分布を示すグラフである。
【図2】図2は、温度拘束の条件で仮想的な発熱を除い
て解析した金属板の温度分布を示すグラフである。
て解析した金属板の温度分布を示すグラフである。
【図3】図3は、相転移を伴う場合の金属板の温度分布
の解析に用いたダイスと金属板の分割モデルを示す図で
ある。
の解析に用いたダイスと金属板の分割モデルを示す図で
ある。
【図4】図4は相転移を伴う場合の本発明の温度分布解
析方法により解析した金属板の温度分布を示すグラフで
ある。
析方法により解析した金属板の温度分布を示すグラフで
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】解析したい全体系の中に、一定の通路を、
液体または固体、あるいは液体が凝固しながら、あるい
は固体が融解しながら定常的に流動する物質を含む系の
温度分布の解析方法において、流動する物質により運ば
れる熱を、静止した物質内の各点において発生または吸
収される熱に置き換えて解析することを特徴とする定常
的に流動する物質を含む系の温度分布解析方法。 - 【請求項2】仮定した温度分布を基に計算された発熱密
度を条件として、仮想的に静止系として定常状態の温度
解析を行い、その結果得られた温度分布と前記仮定した
温度分布の加重平均を取り得られる温度分布を基に再び
計算される発熱密度を条件として、さらに前記温度解析
を行なうという操作を繰り返し行い、得られた温度分布
とその前の回の操作で得られた温度分布の差が必要とさ
れる値以下になるまで繰り返し行なうことにより、最終
的な温度分布の解析結果を得ることを特徴とする請求項
1記載の定常的に流動する物質を含む系の温度分布解析
方法。 - 【請求項3】請求項1,2の手順により計算するための
コンピュータプログラム、プログラムを記録した媒体、
およびインターネットによりプログラムが配信されるこ
とを特徴とする請求項1,2記載の定常的に流動する物
質を含む系の温度分布解析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001322962A JP2003130829A (ja) | 2001-10-22 | 2001-10-22 | 定常的に流動する物質を含む系の温度分布解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001322962A JP2003130829A (ja) | 2001-10-22 | 2001-10-22 | 定常的に流動する物質を含む系の温度分布解析方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003130829A true JP2003130829A (ja) | 2003-05-08 |
Family
ID=19139921
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001322962A Pending JP2003130829A (ja) | 2001-10-22 | 2001-10-22 | 定常的に流動する物質を含む系の温度分布解析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003130829A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013076593A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 金属板の温度分布の予測方法及び金属板の製造方法 |
JP2020012654A (ja) * | 2018-07-13 | 2020-01-23 | 日本軽金属株式会社 | ダイスの温度計算方法及びダイスの温度計算システム |
JP2021109207A (ja) * | 2020-01-10 | 2021-08-02 | 日本軽金属株式会社 | ダイスの温度計算方法及びダイスの温度計算装置 |
-
2001
- 2001-10-22 JP JP2001322962A patent/JP2003130829A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013076593A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 金属板の温度分布の予測方法及び金属板の製造方法 |
JP2020012654A (ja) * | 2018-07-13 | 2020-01-23 | 日本軽金属株式会社 | ダイスの温度計算方法及びダイスの温度計算システム |
JP6996440B2 (ja) | 2018-07-13 | 2022-01-17 | 日本軽金属株式会社 | ダイスの温度計算方法及びダイスの温度計算システム |
JP2021109207A (ja) * | 2020-01-10 | 2021-08-02 | 日本軽金属株式会社 | ダイスの温度計算方法及びダイスの温度計算装置 |
JP7342708B2 (ja) | 2020-01-10 | 2023-09-12 | 日本軽金属株式会社 | ダイスの温度計算方法及びダイスの温度計算装置 |
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