JP5626123B2 - Iii族窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、III 族窒化物半導体発光素子の製造方法に関し、特にpクラッド層の形成方法に関する。
従来、III 族窒化物半導体発光素子において発光層に電子を閉じ込めて発光効率を高めるために、pクラッド層が設けられている。電子閉じ込めの効果をより高めるため、pクラッド層としてはバンドギャップエネルギーの大きなp−AlGaNを用いる。しかし、p−AlGaNは発光層への熱ダメージを低減するために低温で成長させる必要があり、その結果、結晶品質が悪化してしまう。そこで、p−AlGaNとp−InGaN、あるいはp−AlGaNとp−GaNの超格子構造とすることで結晶品質の低下を抑制している。p−InGaNは、低温成長での結晶品質がp−GaNよりも良好なため、p−AlGaNとp−InGaNの超格子構造とするのがよい。
特許文献1には、pクラッド層として、p−AlGaNとp−InGaNとを繰り返し積層させた超格子構造を用いることが示されている。また、p−AlGaNの厚さは1〜5nm、p−InGaNの厚さは1〜5nmとすることも示されている。
特許文献2には、pクラッド層として、p−AlGaNとp−GaNとを繰り返し積層させたものを用いることが示されている。また、p−AlGaN、p−GaNの厚さは最低1原子層あればよいことが示されている。
特開2005−51170 特開2007−80996
しかし、pクラッド層としてp−AlGaN/p−InGaNやp−AlGaN/p−GaNの超格子構造を用いると、電子閉じ込めには寄与しないp−InGaNあるいはp−GaNの存在のためにpクラッド層全体としての厚さが増大してしまい、直列抵抗が大きくなって駆動電圧が高くなるという問題があった。
そこで本発明の目的は、駆動電圧の低いIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法を実現することである。
第1の発明は、pクラッド層を有したIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、pクラッド層は、成長温度を800〜950℃として、厚さ0.5〜10nmのp−AlGaN層と、InGaN層とをMOCVD法によって繰り返し成長させて形成し、p−AlGaN層上にInGaN層を形成する際、p−AlGaN層の成長温度を保持したまま、Al源ガスの供給を停止してIn源ガスを供給し、Ga源ガスの供給量を増やし、厚さ1〜2分子層のInGaN層を形成する、ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第4の発明は、pクラッド層を有したIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、pクラッド層は、成長温度を800〜950℃として、厚さ0.5〜10nmのp−AlGaN層を成長させる第1工程と、p−AlGaN層の成長温度を保持したまま、Al源ガスの供給を停止してIn源ガスを供給し、Ga源ガスの供給量を増やし、InGaNの成長が1分子層に達する前の期間だけ、p−AlGaN層表面をInGaNを形成するためのガスによって晒すことによりp−AlGaN層の表面状態を回復させる第2工程と、を繰り返して形成する、ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第1、の発明においてIII 族窒化物半導体とは、一般式Alx Gay Inz N(x+y+z=1、0≦x、y、z≦1)で表される半導体であり、Al、Ga、Inの一部を他の第13族元素(第3B族元素)であるBやTlで置換したもの、Nの一部を他の第15族元素(第5B族元素)であるP、As、Sb、Biで置換したものをも含むものとする。より一般的には、Gaを少なくとも含むGaN、InGaN、AlGaN、AlGaInNを示す。III 族窒化物半導体を形成する際のAl源ガスは、たとえばTMA(トリメチルアルミニウム)であり、In源ガスは、たとえばTMI(トリメチルインジウム)であり、Ga源ガスは、たとえばTMG(トリメチルガリウム)である。
なお、p−InGaNの1分子層は、p−InGaNのc軸の格子定数の1/2であり、Inの組成比などにもよるが、およそ2.5〜2.6Åである。
p−AlGaN層の厚さを0.5〜10nmとするのは、0.5nmよりも薄いとpクラッド層としての機能、すなわち電子閉じ込めの効果が薄くなり望ましくなく、10nmよりも厚いとp−AlGaNの結晶品質が劣化してしまうからである。より望ましいp−AlGaN層の厚さは、1〜5nmであり、さらに望ましいのは1.5〜3.5nmである。
p−AlGaN層およびInGaN層の成長温度は800〜950℃とすることが望ましい。この範囲であれば、p−AlGaN層表面がInGaNを形成するためのガスによって晒されることによるp−AlGaN層の結晶品質の改善効果を十分に発揮させることができる。より望ましいのは830〜920℃であり、さらに望ましいのは850〜900℃である。
p−AlGaN層のAl組成比は、15〜50%であることが望ましい。この範囲であれば、pクラッド層の電子閉じ込め効果を十分に高めることができる。より望ましいのは20〜40%であり、さらに望ましいのは25〜35%である。
また、第1の発明においてInGaN層のIn組成比は、2〜10%であることが望ましい。この範囲であれば、InGaN層によるp−AlGaN層の結晶品質改善効果を十分に高めることができる。より望ましいのは4〜8%であり、さらに望ましいのは6〜8%である。また、InGaN層は、p−AlGaN層を成長させるためのガスへの切り替え中、あるいはp−AlGaN層の成長初期において蒸発して一部ないし全部が消滅していてもよい。また、InGaN層はMgなどがドープされたp−InGaN層であってもよい。
第2の発明は、第1の発明において、p−AlGaN層のAl組成比は15〜50%であることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、InGaN層のIn組成比は2〜10%であることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第5の発明は、第4の発明において、p−AlGaN層のAl組成比は15〜50%であることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第1の発明では、電子閉じ込めに寄与しないInGaN層の厚さを1〜2分子層と薄くすることで、p−AlGaN層の結晶品質を向上させつつ、直列抵抗成分を小さくすることができ、駆動電圧を低下させることができる。また、InGaN層の成長温度をp−AlGaN層と同じくし、InGaN層形成時のGa源ガスの供給量をp−AlGaN層形成時よりも増やすことで、InGaN層によるp−AlGaN層の結晶品質改善効果をより高めることができる。
また、第4の発明では、p−AlGaN表面を繰り返しInGaNを形成するためのガスに晒すことで、p−AlGaN上にInGaNを形成しないにもかかわらず、p−AlGaNの結晶品質を向上させることができる。また、InGaNを形成しないため、直列抵抗成分を小さくすることができ、駆動電圧を低下させることができる。
実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の構成について示した図。 pクラッド層15の構成について示した図。 実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の製造工程について示した図。 実施例2のpクラッド層25の製造工程について示した図。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の構成を示した図である。図1のように、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子は、サファイア基板10上に低温バッファ層(図示しない)を介してIII 族窒化物半導体からなるnコンタクト層11、nESD層12、nクラッド層13、発光層14、pクラッド層15、pコンタクト層16が順に積層されている。pコンタクト層16表面の一部領域には、その表面からnコンタクト層11に達する深さの溝が形成されていて、その溝の底面に露出したnコンタクト層表面にはn電極19が形成されている。また、pコンタクト層16表面の溝が形成されていない領域にはITOからなる透明電極17が設けられ、透明電極17上にはp電極18が設けられている。
pクラッド層15は、図2のように、p−AlGaN層150とp−InGaN層151とが繰り返し積層された超格子構造である。繰り返し数は5〜15である。p−AlGaN層150の厚さは0.5〜10nm、Al組成比は15〜50%、Mg濃度は1×1019〜5×1020/cm3 である。p−InGaN層151の厚さは1〜2分子層、In組成比は2〜10%、Mg濃度は1×1019〜2×1020/cm3 である。InGaNの1分子層は、InGaNのc軸の格子定数の1/2であり、Inの組成比にもよるが、およそ2.5〜2.6Åである。pクラッド層15全体の厚さは10〜90nmである。
pクラッド層15以外については、従来知られた任意の構造を用いてよい。たとえば、以下のような構造である。nコンタクト層11はn−GaNであり、Si濃度の異なる複数の層としてもよい。また、nESD層12は、i−GaN層、n−GaN層の2層からなる構造である。また、nクラッド層13は、i−GaNとi−InGaNが交互に繰り返し形成された超格子構造である。また、発光層14は、ノンドープのInGaNからなる井戸層とGaNからなる障壁層とを交互に繰り返し3回積層させたMQW構造である。また、pコンタクト層16はp−GaNであり、Mg濃度の異なる複数の層としてもよい。
次に、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の製造工程について図3を参照に説明する。なお、p型のIII 族窒化物半導体は、実際にはMgがドープされたIII 族窒化物半導体を後工程において熱処理することにより作製されるが、以下の説明においては、熱処理前であってもp−AlGaNやp−InGaN等と表記して簡略化する。
まず、表面が凹凸加工されたサファイア基板10をMOCVD装置に入れ、水素雰囲気中で熱処理してサーマルクリーニングを行う。
次に、サファイア基板10上に低温バッファ層(図示しない)を形成し、低温バッファ層上にnコンタクト層11、nESD層12、nクラッド層13、発光層14を順にMOCVD法によって形成する(図3(a))。キャリアガスには水素と窒素を用い、窒素源にはアンモニア、Ga源にはTMG(トリメチルガリウム)、Al源にはTMA(トリメチルアルミニウム)、In源にはTMI(トリメチルインジウム)、n型ドーパントガスにはSiH4 (シラン)を用いる。
次に、以下のようにしてpクラッド層15を形成する。
まず、発光層14上に、MOCVD法によって、厚さ0.5〜10nm、Al組成比15〜50%、Mg濃度1×1019〜5×1020/cm3 のp−AlGaN層150を形成する。キャリアガス、原料ガスは同上であり、p型ドーパントガスにはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを用いる。成長温度は、800〜950℃である。
次に、温度を維持したまま、TMAの供給を停止してTMIの供給を開始し、TMGの供給量を増加させて、p−AlGaN層150上に、厚さ1〜2分子層、In組成比2〜10%、Mg濃度1×1019〜2×1020/cm3 のp−InGaN層151を形成する。
このp−AlGaN層150の形成工程と、p−InGaN層151の形成工程とを交互に5〜15回繰り返して積層させることにより、p−AlGaN/p−InGaNの超格子構造であるpクラッド層15を形成する(図3(b))。なお、p−InGaN層151上にp−AlGaN層150を形成する際のガス切り替え中に、もしくはp−AlGaN層150の成長初期段階において、p−InGaN層151の一部ないし全部が蒸発して消滅してしまってもかまわない。
pクラッド層15の形成において、p−AlGaN層150を800〜950℃という低温で成長させるのは、発光層14への熱ダメージを低減させるためである。p−AlGaN層150を低温で成長させると縦方向の成長が強く、表面状態が荒れやすいため結晶品質が悪化する。そこで低温成長でも横方向成長が強く、結晶品質のよいp−InGaN層151を用いて超格子構造としている。また、p−AlGaN層150の厚さを0.5〜10nmとすることで結晶性の悪化を抑えている。また、p−InGaN層151の厚さを1〜2分子層として、発光層14に電子を閉じ込めるクラッドとして機能しないp−InGaN層151を極力薄くしている。また、p−InGaN層151の形成時に、Ga源ガスであるTMGの供給量を増加させることにより、Inの蒸発を抑え、p−InGaN層151によるp−AlGaN層150の結晶品質改善効果をより高めている。このように、p−AlGaN層150の結晶品質が良好に保たれ、p−InGaN層151が薄くなってpクラッド層15全体としての厚さが薄くなる結果、pクラッド層15の直列抵抗成分が低減され、III 族窒化物半導体発光素子の駆動電圧を低下させることができる。
なお、p−AlGaN層150の厚さは1〜5nmとすることがより望ましい。クラッドとしての機能および結晶品質をより高めるためである。さらに望ましくは1.5〜3.5nmである。
また、p−AlGaN層150のAl組成比は、20〜40%とすることがより望ましい。クラッドとしての機能をより高めることができるからである。さらに望ましいのは25〜35%である。
また、p−InGaN層151のIn組成比は、4〜8%とすることがより望ましい。p−InGaN層151によるp−AlGaN層150の結晶品質改善効果がより高まるためである。さらに望ましいのは6〜8%である。また、p−InGaN層151に替えてp型ドーパントがドープされていないInGaN層としてもよい。
また、p−AlGaN層150およびp−InGaN層151の成長温度は830〜920℃とすることがより望ましい。p−InGaN層151によるp−AlGaN層150の結晶品質改善効果がより高まるためである。さらに望ましいのは850〜900℃である。
次に、pクラッド層15上にMOCVD法によってpコンタクト層16を形成する(図3(c))。原料ガス、キャリアガス、ドーパントガスについてはpクラッド層15の形成に用いたものと同様である。そして、pコンタクト層16の一部領域に透明電極17を形成し、pコンタクト層16表面の透明電極17を形成していない領域に、nコンタクト層11に達する深さの溝を形成し、その溝の底面にn電極19、透明電極17上にp電極18を形成する。以上により図1に示した実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子が製造される。
実施例2のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法は、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法におけるpクラッド層15の形成工程を、以下に説明するpクラッド層25の形成工程に替えたものである。
まず、発光層14上に、MOCVD法によって、厚さ0.5〜10nm、Al組成比15〜50%、Mg濃度1×1019〜5×1020/cm3 のp−AlGaN層250を形成する(図4(a))。成長温度は、800〜950℃である。
次に、温度を保持したまま、TMAの供給を停止してTMIを供給し、TMGの供給量を増加させる。これにより、p−AlGaN層250表面をInGaNを形成するためのガスによって晒す。この工程は、p−AlGaN層250上にInGaNが形成される前に終了させ、再びp−AlGaN層250の形成工程を行う(図4(b))。
p−AlGaN層250の形成工程と、InGaN形成ガスに晒す工程とを交互に5〜15回繰り返すことにより、図4(c)に示すpクラッド層25を形成する。
以上のpクラッド層25形成工程によると、p−AlGaN層250の表面状態がInGaNを形成するためのガスによって晒されることによって回復するため、結晶性の悪化を抑制することができる。p−AlGaN層250の結晶品質が良好に保たれ、InGaNを形成しないためpクラッド層25全体としての厚さが薄くなる結果、pクラッド層25の直列抵抗成分が低減され、III 族窒化物半導体発光素子の駆動電圧を低下させることができる。
なお、実施例1、2のIII 族窒化物半導体発光素子はフェイスアップ型の素子であるが、本発明はフリップチップ型の素子などにも適用することができる。
本発明によって製造されるIII 族窒化物半導体発光素子は、照明装置や表示装置などの光源として利用することができる。
10:サファイア基板
11:nコンタクト層
12:nESD層
13:nコンタクト層
14:発光層
15:pクラッド層
16:pコンタクト層
17:透明電極
18:p電極
19:n電極
150、250:p−AlGaN層
151:p−InGaN層

Claims (5)

  1. pクラッド層を有したIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、
    前記pクラッド層は、成長温度を800〜950℃として、厚さ0.5〜10nmのp−AlGaN層と、InGaN層とをMOCVD法によって繰り返し成長させて形成し、
    前記p−AlGaN層上にInGaN層を形成する際、前記p−AlGaN層の前記成長温度を保持したまま、Al源ガスの供給を停止してIn源ガスを供給し、Ga源ガスの供給量を増やし、厚さ1〜2分子層のInGaN層を形成する、
    ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記p−AlGaN層のAl組成比は15〜50%であることを特徴とする請求項1に記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記InGaN層のIn組成比は2〜10%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  4. pクラッド層を有したIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、
    前記pクラッド層は、
    成長温度を800〜950℃として、厚さ0.5〜10nmのp−AlGaN層を成長させる第1工程と、
    前記p−AlGaN層の前記成長温度を保持したまま、Al源ガスの供給を停止してIn源ガスを供給し、Ga源ガスの供給量を増やし、InGaNの成長が1分子層に達する前の期間だけ、前記p−AlGaN層表面をInGaNを形成するためのガスによって晒すことにより前記p−AlGaN層の表面状態を回復させる第2工程と、
    を繰り返して形成する、
    ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記p−AlGaN層のAl組成比は15〜50%であることを特徴とする請求項4に記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
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