ところで、濃炎孔と淡炎孔とに対し濃混合気と淡混合気とに分けて供給する方式として、濃混合気用供給口と、淡混合気用供給口とを個別に設け、濃混合気用供給口から濃炎孔に直接に供給させる一方、淡混合気用供給口から淡炎孔に直接に供給させることが考えられる。
しかしながら、特許文献1で提案のものの如く一列の淡炎孔の両側に濃炎孔をそれぞれ配置して淡炎孔を単に両側から挟んだだけの濃淡燃焼バーナであれば、前記の供給方式で濃混合気と淡混合気を供給し得るものの、さらに淡炎孔の中心線上に延びるように一列の濃炎孔を追加することで短手方向(左右幅方向)において例えば濃−淡−濃−淡−濃というような配列で濃炎孔と淡炎孔とが交互に並ぶ構成にすると、それぞれの濃炎孔及び淡炎孔に対し濃混合気及び淡混合気を供給させる場合に、特に中央位置にある濃炎孔に対する濃混合気の供給に不都合が生じる場合がある。すなわち、このような場合、中央位置の濃炎孔は新たに追加するものであるため、バーナ全体のコンパクト化の要請により、短手方向に対し余り幅広にすることはできす、濃混合気の供給通路として狭いものにせざるを得なくなる。そうすると、濃混合気を生成するために混合される空気に含まれる塵埃が濃混合気の流れ状態の如何によっては濃混合気の供給通路に部分的に付着して、濃混合気供給の妨げになるおそれも考えられる。
例えば、図12に一例を示す如く、混合室100から中央位置及び左右両側の3位置の濃炎孔に連通する供給通路101,102,103に分岐供給させて各位置にある濃炎孔に濃混合気を供給させる場合に、特に中央位置の濃炎孔への供給通路101に供給するための連通孔104から流入した濃混合気が濃炎孔の供給通路101を構成する壁面であって前記連通孔104の対面壁105に衝突する際に前記の如き塵埃が付着・堆積し、供給通路101の通路断面を狭めてしまう事態が発生するおそれも考えられる。つまり、塵埃が付着するというリンティングが発生し、濃混合気の流入を妨げ、これに起因して着火不良や燃焼状態の不安定化を招き易くなるおそれもある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、濃混合気を連通孔を通して濃炎孔に供給する際に、濃混合気を構成する空気に含まれているかもしれない塵埃の付着・堆積の発生を回避して耐リンティング性能を向上させ、これにより、燃焼安定性の向上を図り得る濃淡燃焼バーナを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、中央位置において長手方向に延びるように配列された中央濃炎孔を短手方向両側から挟むように2列の淡炎孔が配列され、かつ、両側の淡炎孔をさらに外側から挟むように2列の外側濃炎孔が配列されてなる濃淡燃焼バーナを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、長手方向に延びて下流端が閉塞端とされた濃混合気導入通路と、前記中央濃炎孔に連通する濃混合気供給通路とを互いに区画し、かつ、前記濃混合気導入通路から前記濃混合気供給通路に対し連通孔を通して濃混合気が分流供給されるように構成する。そして、前記濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の一部分を前記濃混合気導入通路内に突出するように配設し、この突出した突出部分に対し前記連通孔を前記濃混合気導入通路内に臨んで開口するように形成する一方、前記突出部分内において前記濃混合気供給通路として短手方向に所定の内幅を開けて相対向させた一対の壁間に区画形成するようにし、前記連通孔として前記一対の壁のそれぞれに形成し、かつ、両側の連通孔を短手方向に一直線状に並んで貫通するように形成することとした(請求項1)。
本発明の場合、一対の壁に形成された両側の連通孔は短手方向に一直線状に並んで貫通しているため、前記濃混合気導入通路と短手方向に対しては遮るものなく連通した状態になる。これにより、濃混合気導入通路から各連通孔を通して濃混合気供給通路側に流入する濃混合気が、壁面等の障害物に衝突することなく、濃混合気供給通路内にスムーズに流入することになる。このため、壁面等の障害物に衝突することに起因して、濃混合気を構成する空気に含まれているかもしれない塵埃が付着・堆積するおそれを回避し得ることとなる。以上より、耐リンティング性能が向上して、燃焼安定性の向上が図られることになる。
前記発明における各連通孔として、連通孔形成部位における前記一対の壁間の内幅と同等以上の大きさの開口になるように形成することができる(請求項2)。このようにすることにより、塵埃の付着・堆積の発生をより確実に回避し得るようになる。すなわち、両側の連通孔が単に一直線状に並んでいるだけではなくて大開口とされているため、流入する濃混合気の流れの全体が前記の壁面等の障害物に衝突することを回避し得るようになる。
又、前記発明における各連通孔として、連通孔形成部位よりも前記濃混合気導入通路の閉塞端側に内部空間が残るように、前記突出部分に対し、前記濃混合気導入通路の上流寄り位置に形成することができる(請求項3)。このようにすることにより、濃混合気導入通路内の濃混合気にたとえ塵埃が含まれていたとしても、その塵埃を各連通孔よりも下流側の内部空間に溜めて各連通孔から濃混合気供給通路に流入することを回避し得ることになる。
さらに、前記発明における各連通孔として、前記突出部分に対し、前記濃混合気導入通路の上側位置に形成することができる(請求項4)。このようにすることにより、濃混合気導入通路を流れる濃混合気の流れに合致させて、よりスムーズに連通孔に流入させ得るようになる。すなわち、濃混合気導入通路に導入されて下流端側に流れる濃混合気は下流端側に向かう程、やや斜め上向きに流れるようになることから、より流入し易くなる。又、濃混合気を構成する空気とともに侵入した塵・埃が濃混合気導入通路内に残留し堆積したとしても、濃混合気導入通路の上側位置に連通孔を形成することにより、連通孔が閉塞されてしまう可能性は低くなる。さらに、燃焼停止状態において、上端の濃炎孔から空気中の塵・埃の類が入り込み、濃混合気供給通路内を落下してきたとしても、その塵埃等を各連通孔よりも下側位置に溜めて、各連通孔を通した濃混合気の流入を阻害せずに濃混合気の流入を確保し得ることにもなる。
加えて、前記発明における各連通孔として、前記濃混合気導入通路が延びる方向に長い長孔形状に形成することができる(請求項5)。このようにすることにより、各連通孔が濃混合気導入通路の延びる方向、つまり濃混合気の流れ方向と合致する方向に長く形成されているため、濃混合気導入通路から連通孔を通しての濃混合気供給通路への流入をよりスムーズに行い得ることになる。これにより、両側の連通孔を通して濃混合気供給通路に流入する濃混合気の流れを、壁面衝突等の塵埃の付着・堆積の要因となる事態の発生を確実に回避した状態で、よりスムーズにすることが可能となる。
以上、説明したように、本発明の濃淡燃焼バーナによれば、一対の壁に形成された両側の連通孔を短手方向に一直線状に並んで貫通するようにしているため、短手方向において濃混合気導入通路と遮るものなく連通した状態にすることができる。これにより、濃混合気導入通路から各連通孔を通して濃混合気供給通路側に流入する濃混合気を、壁面等の障害物に衝突させることなく、濃混合気供給通路内にスムーズに流入させることができる。これにより、壁面等の障害物に衝突することに起因して、濃混合気を構成する空気に含まれているかもしれない塵埃が付着・堆積するおそれを回避することができ、耐リンティング性能を向上させて、燃焼安定性の向上を図ることができるようになる。
特に、請求項2によれば、各連通孔として、連通孔形成部位における一対の壁間の内幅と同等以上の大きさの開口になるように形成することで、塵埃の付着・堆積の発生をより確実に回避することができるようになる。すなわち、両側の連通孔が単に一直線状に並んでいるだけでなくて大開口に形成しているため、流入する濃混合気の流れの全体が前記の壁面等の障害物に衝突することを回避することができるようになる。
請求項3によれば、各連通孔を、前記突出部分に対し、連通孔形成部位よりも前記濃混合気導入通路の閉塞端側に、塵埃を溜める内部空間が前記濃混合気導入通路内に残るように、前記濃混合気導入通路の上流寄り位置に形成することで、濃混合気導入通路内の濃混合気にたとえ塵埃が含まれていたとしても、その塵埃を各連通孔よりも下流側の内部空間に溜めて各連通孔から濃混合気供給通路に流入することを回避することができるようになる。
請求項4によれば、各連通孔を、前記突出部分に対し、前記濃混合気導入通路の上側位置に形成することで、濃混合気導入通路を流れる濃混合気の流れに合致させて、よりスムーズに連通孔に流入させることができるようになる。又、濃混合気を構成する空気とともに侵入した塵・埃が濃混合気導入通路内に残留し堆積したとしても、濃混合気導入通路の上側位置に連通孔を形成することにより、連通孔が閉塞されてしまう可能性を低くすることができる。併せて、燃焼停止状態において、上端の濃炎孔から空気中の塵・埃の類が入り込み、濃混合気供給通路内を落下してきたとしても、その塵埃等を各連通孔よりも下側位置に溜めて、各連通孔を通した濃混合気の流入を阻害せずに濃混合気の流入を確保することができるようにもなる。
請求項5によれば、各連通孔を、前記濃混合気導入通路が延びる方向に長い長孔形状に形成することで、各連通孔が濃混合気の流れ方向と合致する方向に長くなって、濃混合気導入通路から連通孔を通しての濃混合気供給通路への流入をよりスムーズに行うことができるようになる。これにより、両側の連通孔を通して濃混合気供給通路に流入する濃混合気の流れを、壁面衝突等の塵埃の付着・堆積の要因となる事態の発生を確実に回避した状態で、よりスムーズに行うことができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係る濃淡燃焼バーナを適用した燃焼装置2を示す。この燃焼装置2は、缶体21内において、所定数の濃淡燃焼バーナ3,3,…を横に隣接させて並べた状態のバーナセットが固定されたものである。缶体21の上部空間は燃焼空間22とされ、下部空間23に送風ファン24からの燃焼用空気が供給される一方、各濃淡燃焼バーナ3の一側にガスマニホールド25(図1(b)にのみ示す)が配設され、このガスマニホールド25から1つの濃淡燃焼バーナ3に対し2つのガスノズル26,27が突出されている。一方(下段)のガスノズル26は濃淡燃焼バーナ3の第1供給口31に向けて、他方(上段)のガスノズル27は濃淡燃焼バーナ3の第2供給口32に向けて、それぞれ燃料ガスを噴出させ得るようになっている。そして、下部空間23からの空気を各ガスノズル26,27の周囲から送風ファン24の吐出圧により押し込んで、燃料ガス及び空気の双方を第1及び第2供給口31,32に供給し得るようになっている。この際、第1供給口31はかなり大径に設定されて、より多くの空気を押し込むようにされる一方、第2供給口32は比較的小径に設定されて、押し込む空気の量が絞られるようにされている。このようにして、第1供給口31からは供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも大きい所定の空気比となる量の空気が内部に供給される一方、第2供給口32からは同様に供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも小さい所定の空気比となる量の空気が内部に供給されるようになっている。なお、下部空間23と濃淡燃焼バーナ3,3,…とを仕切るように配設された整流板28(図1(b)参照)には多数の小孔が開けられ、この小孔を通して相隣接する濃淡燃焼バーナ3,3間に二次空気が供給されるようになっている。
濃淡燃焼バーナ3は、図2に示すように、金属板素材を用いてプレス加工及び折り曲げ加工を経て所定形状に加工された3種類の各一対のプレート部材4,4、5,5、6,6と、一対の炎孔形成部材7,7とを用い、3種類の各一対のプレート部材4,4、5,5、6,6を後述の如く相対向させて順に接合することで形成されたものである。このような濃淡燃焼バーナ3は、全体として扁平形状に形成されている。図3の左右方向を長手方向(前後方向)、図3の紙面に直交する方向を短手方向(左右幅方向)というとすれば、長手方向一側(図3の左側)において下側位置に第1供給口31が開口し、上側位置に第1供給口31よりも小径の第2供給口32が開口され(図4(c)も併せて参照)、上端面に燃焼火炎が形成される炎孔列が長手方向に延びるように形成されている。炎孔列としては、図2又は図4(a),(b)に示すように、短手方向中央位置において狭幅の濃炎孔列33が長手方向全長に延び、この濃炎孔列33の短手方向両側位置のそれぞれにおいて比較的広幅の淡炎孔列34が長手方向全長に延び、両側の淡炎孔列34,34のさらに外側位置においてそれぞれ狭幅の濃炎孔列35が長手方向全長に延びている。そして、淡炎孔列34,34の各淡炎孔341には第1供給口31から供給されて混合された淡混合気が導かれ、この淡混合気により淡火炎が形成され、中心位置の濃炎孔列33の各濃炎孔331と、両外側位置の2列の濃炎孔列35,35の各濃炎孔351とには第2供給口32から供給されて混合された濃混合気が導かれ、この濃混合気により濃火炎が形成されるようになっている。
このような濃淡燃焼バーナ3は、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、図4(a),(b)及び図5に示すように、3種類の各一対のプレート部材4,4、5,5、6,6と、一対の炎孔形成部材7,7とを用いて構成する。一対の第3プレート部材6,6(図5参照)を相対向させてその両側や下の各縁部を互いに接合させることで、内面間に濃混合気の供給通路が形成されて上端面の濃炎孔列33に濃火炎を形成する中央濃バーナ部3aが形成される。次に、この中央濃バーナ部3aを間に挟み込んだ状態で短手方向両側から一対の第1プレート部材4,4を相対向させてその両側や下の各縁部を互いに接合させる。この際、中央濃バーナ部3aの長手方向の両端部(前後端部)を、一対の第1プレート部材4,4の長手方向の両端部(前後端部)で挟持させることで、中央濃バーナ部3aを濃淡燃焼バーナ3内に確実に固定することができるようになる。そして、両側の第1プレート部材4と中央濃バーナ部3aとの間の2つの上端開口内にそれぞれ淡炎孔形成部材7を介装させる。これにより、中央濃バーナ部3aを短手方向両側から囲んで上端面の2列の淡炎孔列34,34に淡火炎を形成する淡バーナ部3bを形成する。この淡バーナ部3bにおいては、第1供給口31からの淡混合気が第1プレート部材4の内面と中央濃バーナ部3aの第3プレート部材6の外面との間に形成される供給通路を通して淡炎孔列34,34の各淡炎孔341に供給されることになる。そして、淡バーナ部3bの各第1プレート部材4の外側に第2プレート部材5を被せて両側や下の各縁部を各第1プレート部材4の縁部に接合させることで、各第2プレート部材5の内面と相対向する第1プレート部材4の外面との間に形成される供給通路を通して濃混合気が供給されて外側の濃炎孔列35,35の各濃炎孔351に濃火炎を形成する外側濃バーナ部3c(図2参照)が形成される。
次に、図6〜図10を参照しつつ混合気の供給構造部分について説明する。前記の淡バーナ部3bの形成により、一側に開口する第1供給口31からの淡混合気が筒部36(図7(a),(b)の点線の矢印を参照)を通して他側に送られ、他側から上側に向きを変え、一対の第1プレート部材4,4間の空間が第3プレート部材6,6によって区画形成(分割)された2つの内部空間37,37(図6及び図7(b)参照)を通して、上端の淡炎孔列34,34まで供給されるようになっている。前記の筒部36と内部空間37,37とにより淡混合気を2列の淡炎孔列34,34に供給する淡混合気供給通路が構成される他、筒部36は第1供給口31から供給される燃料ガスと空気との混合室及び導入通路(淡混合気導入通路)の役割をも果たすようになっている。前記の第3プレート部材6,6が後述の第1供給通路を区画形成するための形成部材を構成し、この第3プレート部材6,6によって、前記の淡混合気導入通路の下流側が二分(2つに分断)されて2つの淡混合気供給通路(内部空間37,37)が区画形成されるようになっている。
又、第2供給口32からの燃料ガスと空気とは、筒部38(図7(a)参照)を通して奥方(後方)の閉塞端側まで導かれる間に混合されて濃混合気となり、この濃混合気が中央濃バーナ部3a及び左右両側の外側濃バーナ部3cのそれぞれに供給されるようになっている。すなわち、筒部38の閉塞端側には、中央濃バーナ部3aの下端部60(図7(a)及び図8(a),(b)参照)が上から差し込まれて筒部38内で宙に浮いた状態(図9も併せて参照)に突出した突出部分として形成され、この下端部60を構成する一対の第3プレート部材6,6のそれぞれに連通孔61,61が形成され、この各連通孔61により筒部38の内部空間である混合室と中央濃バーナ部3aの内部空間62とが連通されており、筒部38内の濃混合気が各連通孔61及び内部空間62を通して濃炎孔列33に供給されるようになっている。一方、筒部38を構成する一対の第1プレート部材4,4の双方にも連通孔41,41,…が形成されており、一側(図6又は図8の右側)の第1プレート部材4の各連通孔41により筒部38内の前記混合室が一側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間51と連通され、他側(図6又は図8の左側)の第1プレート部材4の各連通孔41により筒部38内の前記混合室が他側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間52と連通されている。これにより、筒部38内の濃混合気が一側の各連通孔41及び内部空間51を通して一側の濃炎孔列35に供給される一方、同様に筒部38内の濃混合気が他側の各連通孔41及び内部空間52を通して他側の濃炎孔列35に供給されるようになっている。
なお、前記の内部空間51,52,62は筒部38と共に濃混合気の供給通路を構成する他、前記の筒部38は第2供給口32から供給される燃料ガスと空気との混合室及び導入通路(濃混合気導入通路)の役割をも果たすようになっている。つまり内部空間51が第2供給通路を構成し、内部空間52が第3供給通路を構成し、内部空間62が第1供給通路を構成する。そして、前記の下端部60は各連通孔61が筒部38内の空間と連通するよう突出しているだけであり、下端部60の下端縁と筒部38の内底面とは互いに非接触とされ、それらの上下間は短手方向(図6又は図8の左右幅方向)に遮られることなく短手方向に連通した状態に残されている。
前記の連通孔61,61は、相対向して接合される一対の第3プレート部材6,6のそれぞれに貫通して形成され、かつ、両連通孔61,61は実質的に左右幅方向において一直線状に並んで貫通するように配設されている(例えば図8(b),図10参照)。つまり、第3プレート部材6,6はその壁面が筒部38内の混合室に対し左右幅方向に臨んで位置しているものの、その第3プレート部材6,6に形成される連通孔61,61は、一直線状に並んで貫通しているため、いずれも、筒部38により構成される前記濃混合気導入通路と左右幅方向(図10の上下方向)に対して遮るものなく連通した状態にすることができる。このため、筒部38内から各連通孔61を通して内部空間62側に流入する濃混合気を、例えば対面壁105(図12参照)等の壁面に衝突させることなく、内部空間62内にスムーズに流入させることができるようになる。これにより、壁面等の障害物に衝突することに起因して、濃混合気を構成する空気に含まれているかもしれない塵埃が付着・堆積するおそれを回避することができる。なお、壁面衝突による付着・堆積を回避する趣旨であるため、厳密に一直線に貫通している必要はなく一直線状であればよく、又、その配向も左右幅方向に厳密に合致する必要もなく、ほぼ左右幅方向に向いていればよい。
又、各連通孔61の開口径は、両連通孔61,61が形成される部位における内部空間62(一対の第3プレート部材6,6間)の内幅P(図8(b),図10参照)と同じか大きくなるように形成されている。これにより、両連通孔61,61を単に一直線状に並んで貫通しているだけでなく、流入する濃混合気の流れの全体が前記の壁面等の障害物に衝突することを回避することができるようにして、塵埃の付着・堆積の発生をより確実に回避することができるようになる。従って、各連通孔61は中央濃炎孔に対する濃混合気の供給調整又は供給制御等の観点からの開口量設定を満足させた上で、できる限り大きい開口量(開口径)に形成することが好ましい。
さらに、例えば図8(b)に示すように、各連通孔61は筒部38(濃混合気導入通路)の空間において上方寄り位置(上側位置)で開口するように形成されている。つまり、筒部38内に突出している下端部60の部分の上側位置で開口するように各連通孔61は形成されている。これは、前端の第2供給口32から筒部38内を後端の閉塞端381に向けて後方に流れる濃混合気が奥に向かう程、やや斜め上向きに流れるようになることから、より流入し易くなるように位置設定されたものである。又、濃混合気を構成する空気とともに侵入した塵・埃が濃混合気導入通路内に残留し堆積したとしても、濃混合気導入通路である筒部38の上方寄り位置に各連通孔61を形成することにより、各連通孔61が閉塞されてしまう可能性を低くすることができる。さらに、このことは、燃焼停止状態において、上端の濃炎孔列33の各開口から空気中の塵・埃の類が入り込み、内部空間62を落下してきたとしても、前記下端部60の各連通孔61よりも下側位置に溜まり、各連通孔61を通した濃混合気の流入を阻害せずに濃混合気の流入を確保し得ることにも寄与することになる。又、各連通孔61,61は、第2供給口32から閉塞端381まで前後方向に延びる筒部38(濃混合気導入通路)の後半部位(下流側部位)の範囲内でより前方寄り位置(上流寄り位置)に配置されている。つまり、塵埃を溜めるためのポケット部382(図10参照)として、各連通孔61,61よりも後側において閉塞端381までの間の筒部38の内部空間を残すようにしているのである。これにより、筒部38内の濃混合気にたとえ塵埃が含まれていたとしても、その塵埃をポケット部382に溜めて各連通孔61から内部空間62に流入することを回避することができるようになる。
次に、前記の連通孔61,61と連通孔41,41,…との関係について付言しておくと、連通孔61,61と、両側の連通孔41,41とは短手方向において相対向する位置で開口するように形成してもよいし、本実施形態(例えば図10参照)の如く長手方向に対し互いにずれた位置で開口するように形成してもよい。つまり、連通孔61,61が濃混合気導入通路を構成する筒部38の閉塞端381側(後側)の領域において開口し、この連通孔61,61が開口されている前記筒部38の閉塞端381側と対応して同じ領域である前記筒部38の閉塞端側の領域において連通孔41,41,…も開口するように形成されていればよい。
以上の実施形態の場合、2列の淡炎孔列34,34のそれぞれを濃炎孔列35,33、又は濃炎孔列33,35によって両側から挟み込んでいるため、両淡炎孔列34,34に形成される各淡火炎を両側から濃火炎により囲むことができるようになる。つまり、短手方向における火炎の構成を、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列順にすることができる。これにより、淡炎孔列34を2列にして淡炎孔列の面積を増大させるようにしても、淡火炎の火炎長が長くなることを回避して燃焼室22(図1参照)の燃焼室高さを低く抑えることができ、燃焼室高さを低く抑えつつも、淡炎孔の面積(比率)を増大させることによりさらなる低NOx化を図ることができ、又、燃焼のより安定化を図ることができるようになる。又、1つの淡炎孔列を両側から濃炎孔列により挟み込んで1つのバーナを構成した場合と比べ、同じ淡炎孔面積を実現する上で効率よくバーナの軽量化を図ることができるようになる。さらに、1つの燃料ガス及び空気の供給口(第2供給口32)から筒部38内に導入されて混合された濃混合気を、筒部38の閉塞端側の領域とそれぞれ連通して開口された中央濃バーナ部3aの連通孔61,61、一側の外側濃バーナ部35の連通孔41,41、又は、他側の外側濃バーナ35の連通孔41,41を通して対応する内部空間62,51,52に対し分流させることができる。これにより、中央及び両外側に3つの濃炎孔列35,33,35を形成する場合であっても、濃混合気を簡単な構造でスムースかつ確実に分流させてそれぞれの濃炎孔列35,33,35に供給させることができる。
しかも、以上の如き前提の効果に加えて、次のような格別な効果を得ることができる。すなわち、中央濃淡バーナ3aを構成する一対の第3プレート部材6,6の左右幅方向の厚みを分厚くすることなく、比較的薄い幅に設定したとしても、濃混合気生成用の空気に含まれることのある塵埃の付着・堆積に起因する濃混合気供給の妨げの発生を確実に回避することができるようになる。特に、筒部38から一対の第3プレート部材6,6内の内部空間62に濃混合気を流入させるための連通孔61,61の近傍に塵埃の付着・堆積するような事態の発生を確実に回避することができ、耐リンティング性能を向上させることができるようになる。このため、筒部38内で混合された濃混合気を中央濃淡バーナ3aの濃炎孔列33に対し支障なくスムーズに供給することができるようになる。これにより、そのような濃混合気供給の妨げの発生に起因する燃焼状態の悪化や不安定化あるいは着火不良等の発生等を回避して、燃焼安定性の向上を図ることができるようになる。このことは、中央濃淡バーナ3aとして短手方向の厚みを比較的薄いもので実現して、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列を実現する濃淡燃焼バーナとしてコンパクトなもので実現することができるようにもなる。
<第2実施形態>
図11は第2実施形態の濃淡燃焼バーナ3で用いる第3プレート部材6aである。この第2実施形態は第1実施形態で用いた第3プレート部材6の代わりに、第3プレート部材6aを用いる点でのみ第1実施形態と異なり、その他の構成は全て第1実施形態で説明したものと同じである。このため、以下では第1実施形態と異なる前記第3プレート部材6aについて主として説明し、その他の構成については重複した説明を省略する。
本実施形態の第3プレート部材6aにおいて、第1実施形態の第3プレート部材6と異なる点は、円形状ではなくて長手方向(前後方向)に長い長孔形状の連通孔61aを形成した点である。連通孔61a,61aの形成位置(左右幅方向に一直線状に並んで貫通する点、下端部60の上方寄り位置の点、背後にポケット部382が存在するように前方寄り位置の点)については、第1実施形態で説明したものと同じである。又、連通孔61aの長孔形状の長手方向長さを少なくとも第1実施形態における内幅Pよりも大きくなるように形成すればよい。
このような連通孔61a,61aを採用することにより、筒部38の側から両側の連通孔61a,61aを通して内部空間62に流入する濃混合気の流れを、壁面衝突等の塵埃の付着・堆積の要因となる事態の発生を確実に回避した状態で、第1実施形態の場合よりもスムーズにすることができる。すなわち、各連通孔61aが濃混合気導入通路である筒部38の延びる方向(濃混合気の流れ方向と合致する方向)に長くなるように、つまり濃混合気の流れに沿って長くなるように形成されているため、筒部38から内部空間62への流入をよりスムーズに行うことができることになる。なお、長孔の具体的形状としては長円形状や楕円形状を採用すればよい。
<他の実施形態>
前記の各実施形態では短手方向両側にそれぞれ1つずつの連通孔61又は61aを形成した例を示したが、これに限らず、2つずつ又は3つずつなどの複数個ずつを形成するようにしてもよい。