ところで、濃炎孔と淡炎孔とに対し濃混合気と淡混合気とに分けて供給する方式として、濃混合気用供給口と、淡混合気用供給口とを個別に設け、濃混合気用供給口から濃炎孔に直接に供給させる一方、淡混合気用供給口から淡炎孔に直接に供給させることが考えられる。
しかしながら、特許文献1で提案のものの如く一列の淡炎孔の両側に濃炎孔をそれぞれ配置して淡炎孔を単に両側から挟んだだけの濃淡燃焼バーナであれば、前記の供給方式で濃混合気と淡混合気を供給し得るものの、さらに淡炎孔の中心線上に延びるように一列の濃炎孔を追加することで短手方向(左右幅方向)において例えば濃−淡−濃−淡−濃というような配列で濃炎孔と淡炎孔とが交互に並ぶ構成にすると、特に中央及び左右両側の3位置にある各濃炎孔に対する濃混合気の供給に不都合を生じる場合がある。例えば、混合室から前記3位置の濃炎孔の側に分岐供給させて各位置にある濃炎孔に濃混合気を供給させる場合には、各濃炎孔に対する濃混合気の濃度(一次空気比)や、供給量(供給流量)の不均一化を招き易くなって、特に中央位置の濃炎孔と左右両側位置の濃炎孔との間でのバランスが崩れ易くなると考えられる。係る事態が発生する結果、濃火炎による淡火炎の保炎効果が阻害され燃焼状態の不安定化を招き易くなるおそれもある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の濃炎孔に対する濃混合気の供給について濃度及び/又は供給量の均一化を図り得る濃淡バーナを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、中央位置において長手方向に延びるように配列された中央濃炎孔を短手方向両側から挟むように2列の淡炎孔が配列され、かつ、両側の淡炎孔をさらに外側から挟むように2列の外側濃炎孔が配列されてなる濃淡燃焼バーナを対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記1列の中央濃炎孔及び前記2列の外側濃炎孔に対し、1つの濃混合気導入通路に導入された濃混合気を分流させて供給するように構成し、前記中央濃炎孔に対し濃混合気を供給する第1濃混合気供給通路と、前記2列の外側濃炎孔に対し濃混合気を個別に供給する第2及び第3の濃混合気供給通路と、前記濃混合気導入通路とを互いに区画する。前記第1濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の一部分を前記濃混合気導入通路内に突出するように配設し、この突出した突出部分に対し前記第1濃混合気供給通路に連通する第1連通孔を前記濃混合気導入通路内に臨んで開口するように形成する一方、前記濃混合気導入通路を区画形成するための形成部材に対し前記第2濃混合気供給通路に連通する第2連通孔と前記第3濃混合気供給通路に連通する第3連通孔とをそれぞれ前記濃混合気導入通路に臨んで開口するように形成する。そして、前記第1〜第3連通孔の各開口量として、前記中央濃炎孔と、前記第2濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔と、前記第3濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔との間の開口面積比率に対応した開口面積比率を有するように設定することとした(請求項1)。
本発明の場合、中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔に分流させるための各連通孔の開口面積比率が、対応する中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔の開口面積比率に等しくなるように設定されているため、中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔の開口面積が如何なる状況に設定されていたとしても、それら中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔に対し濃混合気導入通路内から対応する連通孔を通して同じ供給流量,流速や圧力で濃混合気を分流供給し得ることになる。このため、中央濃炎孔や2列の外側濃炎孔において互いに均一な濃火炎を形成することが可能となり、淡炎孔に形成される淡火炎を確実に保炎して濃淡燃焼バーナの燃焼安定性を確実に向上させ得ることになる。
前記発明における濃混合気導入通路として燃料ガスと空気とを混合する混合室を兼ねるように構成し、第2連通孔及び第3連通孔として、それぞれ、濃混合気導入通路の上下流方向に互いに同じ位置でかつ前記上下流方向に離れて並んだ各位置において前記濃混合気導入通路に臨む2つずつのもので構成する一方、前記第1連通孔を、前記2つずつの第2連通孔又は第3連通孔の前記上下流方向の中間位置において前記濃混合気導入通路に臨んで配置させるようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、第1連通孔に分流される濃混合気と、第2連通孔及び第3連通孔に分流される濃混合気とを確実に互いに同じ濃度(空気比)にし得ることになる。すなわち、混合室を兼ねる濃混合気導入通路に導入された燃料ガスと空気とが濃混合気導入通路を下流側に流れるに従い混合度合が進行することになるため、2つずつの第2連通孔又は第3連通孔の上流側には低い混合度合の濃混合気が分流され、下流側には高い混合度合の濃混合気が分流され、両者が第2濃混合気供給通路内又は第3濃混合気供給通路内で混合されて平均化した濃混合気がそれぞれの外側濃炎孔に供給されることになる。一方、第1連通孔には前記の低い混合度合と高い混合度合との中間の混合度合の濃混合気が分流されることになるため、第1連通孔に分流される濃混合気と、第2連通孔及び第3連通孔に分流される濃混合気とは互いに同じ混合度合のものになる。
前記発明における第1連通孔としては前記中央濃炎孔と等しい開口面積を、前記第2連通孔としては前記第2濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔と等しい開口面積を、前記第3連通孔としては前記第3濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔と等しい開口面積を、それぞれ有するように形成することができる(請求項3)。このようにすることにより、第1連通孔と中央濃炎孔とが流路として互いに同じ条件になり、同様に第2連通孔又は第3連通孔も外側濃炎孔と同じ条件となる。このため、中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔に対し濃混合気導入通路内から対応する連通孔を通して確実に同じ供給流量,流速や圧力で濃混合気を分流供給し得ることになる。
あるいは、前記発明における第1連通孔として前記中央濃炎孔の開口面積に所定の低減率を乗じて得られる開口面積を、前記第2連通孔として前記第2濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔の開口面積に前記低減率を乗じて得られる開口面積を、前記第3連通孔として前記第3濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔の開口面積に前記低減率を乗じて得られる開口面積を、それぞれ有するように形成することができる(請求項4)。このようにすることにより、濃混合気を中央濃炎孔や2列の外側濃炎孔に分流供給させる上で、第1〜第3の各連通孔を混合気供給上の最大抵抗部にすることが可能となり、それぞれの濃炎孔に製造バラツキ等がたとえ発生したとしても、第1〜第3の各連通孔に応じた分流供給特性に規制されることになる。つまり、各濃炎孔は複数のプレート部材を互いに接合することにより形成されるため、他の部位の製造バラツキに比して製造時に組立バラツキが生じ易いという事情があるが、前記のようにすることにより、確実に設計仕様通りの濃混合気供給を実現させることが可能となる。
以上、説明したように、本発明の濃淡燃焼バーナによれば、中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔に分流させるための各連通孔の開口面積比率を、対応する中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔の開口面積比率に等しくなるように設定しているため、中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔の開口面積が如何なる状況に設定されていたとしても、それら中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔に対し濃混合気導入通路内から対応する連通孔を通して同じ供給流量,流速や圧力で濃混合気を分流供給することができるようになる。このため、中央濃炎孔や2列の外側濃炎孔において互いに均一な濃火炎を形成することができ、淡炎孔に形成される淡火炎を確実に保炎して濃淡燃焼バーナの燃焼安定性を確実に向上させることができるようになる。
特に、請求項2によれば、濃混合気導入通路として燃料ガスと空気とを混合する混合室を兼ねる場合に、第2連通孔及び第3連通孔としてそれぞれ上下流に並ぶ2つのもので構成する一方、第1連通孔をそれらの中間位置において濃混合気導入通路に臨むようにすることで、第1連通孔に分流される濃混合気と、第2連通孔及び第3連通孔に分流される濃混合気とを、確実に互いに同じ混合度合、つまり濃度(空気比)にすることができるようになる。これにより、中央濃炎孔や2列の外側濃炎孔において互いに均一な濃火炎の形成をより一層確実に確保して、濃淡燃焼バーナの燃焼安定性をより一層確実に向上させることができるようになる。
請求項3によれば、第1連通孔を中央濃炎孔と等しい開口面積に、第2連通孔を第2濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔と等しい開口面積に、第3連通孔を第3濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔と等しい開口面積にそれぞれすることで、第1連通孔と中央濃炎孔とが流路として互いに同じ条件にすることができ、同様に第2連通孔又は第3連通孔も外側濃炎孔と同じ条件にすることができるため、中央濃炎孔及び2列の外側濃炎孔に対し濃混合気導入通路内から対応する連通孔を通して確実に同じ供給流量,流速や圧力で濃混合気を分流供給することができるようになる。
又、請求項4によれば、第1連通孔を中央濃炎孔の開口面積に所定の低減率を乗じて得られる開口面積に、第2連通孔を第2濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔の開口面積に前記低減率を乗じて得られる開口面積に、第3連通孔を第3濃混合気供給通路に連通する外側濃炎孔の開口面積に前記低減率を乗じて得られる開口面積にそれぞれすることで、濃混合気を中央濃炎孔や2列の外側濃炎孔に分流供給させる上で、第1〜第3の各連通孔を混合気供給上の最大抵抗部にすることができ、それぞれの濃炎孔に製造バラツキ等が発生したとしても、第1〜第3の各連通孔に応じた分流供給特性に規制することができる。つまり、各濃炎孔は複数のプレート部材を互いに接合することにより形成されるため、他の部位の製造バラツキに比して製造時に組立バラツキが生じ易いという事情があるが、前記のようにすることにより、確実に設計仕様通りの濃混合気供給を実現させることができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係る濃淡燃焼バーナを適用した燃焼装置2を示す。この燃焼装置2は、缶体21内において、所定数の濃淡燃焼バーナ3,3,…を横に隣接させて並べた状態のバーナセットが固定されたものである。缶体21の上部空間は燃焼空間22とされ、下部空間23に送風ファン24からの燃焼用空気が供給される一方、各濃淡燃焼バーナ3の一側にガスマニホールド25(図1(b)にのみ示す)が配設され、このガスマニホールド25から1つの濃淡燃焼バーナ3に対し2つのガスノズル26,27が突出されている。一方(下段)のガスノズル26は濃淡燃焼バーナ3の第1供給口31に向けて、他方(上段)のガスノズル27は濃淡燃焼バーナ3の第2供給口32に向けて、それぞれ燃料ガスを噴出させ得るようになっている。そして、下部空間23からの空気を各ガスノズル26,27の周囲から送風ファン24の吐出圧により押し込んで、燃料ガス及び空気の双方を第1及び第2供給口31,32に供給し得るようになっている。この際、第1供給口31はかなり大径に設定されて、より多くの空気を押し込むようにされる一方、第2供給口32は比較的小径に設定されて、押し込む空気の量が絞られるようにされている。このようにして、第1供給口31からは供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも大きい所定の空気比となる量の空気が内部に供給される一方、第2供給口32からは同様に供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも小さい所定の空気比となる量の空気が内部に供給されるようになっている。なお、下部空間23と濃淡燃焼バーナ3,3,…とを仕切るように配設された整流板28(図1(b)参照)には多数の小孔が開けられ、この小孔を通して相隣接する濃淡燃焼バーナ3,3間に二次空気が供給されるようになっている。
濃淡燃焼バーナ3は、図2に示すように、金属板素材を用いてプレス加工及び折り曲げ加工を経て所定形状に加工された3種類の各一対のプレート部材4,4、5,5、6,6と、一対の炎孔形成部材7,7とを用い、3種類の各一対のプレート部材4,4、5,5、6,6を後述の如く相対向させて順に接合することで形成されたものである。このような濃淡燃焼バーナ3は、全体として扁平形状に形成されている。図3の左右方向を長手方向(前後方向)、図3の紙面に直交する方向を短手方向(左右幅方向)というとすれば、長手方向一側(図3の左側)において下側位置に第1供給口31が開口し、上側位置に第1供給口31よりも小径の第2供給口32が開口され(図4(c)も併せて参照)、上端面に燃焼火炎が形成される炎孔列が長手方向に延びるように形成されている。炎孔列としては、図2又は図4(a),(b)に示すように、短手方向中央位置において狭幅の濃炎孔列33が長手方向全長に延び、この濃炎孔列33の短手方向両側位置のそれぞれにおいて比較的広幅の淡炎孔列34が長手方向全長に延び、両側の淡炎孔列34,34のさらに外側位置においてそれぞれ狭幅の濃炎孔列35a,35bが長手方向全長に延びている。そして、淡炎孔列34,34の各淡炎孔341には第1供給口31から供給されて混合された淡混合気が導かれ、この淡混合気により淡火炎が形成され、中心位置の濃炎孔列33の各濃炎孔331と、両外側位置の2列の濃炎孔列35a,35bの各濃炎孔351とには第2供給口32から供給されて混合された濃混合気が導かれ、この濃混合気により濃火炎が形成されるようになっている。
このような濃淡燃焼バーナ3は、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、図4(a),(b)及び図5に示すように、3種類の各一対のプレート部材4,4、5,5、6,6と、一対の炎孔形成部材7,7とを用いて構成する。一対の第3プレート部材6,6(図5参照)を相対向させてその両側や下の各縁部を互いに接合させることで、内面間に濃混合気の供給通路が形成されて上端面の濃炎孔列33に濃火炎を形成する中央濃バーナ部3aが形成される。次に、この中央濃バーナ部3aを間に挟み込んだ状態で短手方向両側から一対の第1プレート部材4,4を相対向させてその両側や下の各縁部を互いに接合させる。この際、中央濃バーナ部3aの長手方向の両端部(前後端部)を、一対の第1プレート部材4,4の長手方向の両端部(前後端部)で挟持させることで、中央濃バーナ部3aを濃淡燃焼バーナ3内に確実に固定することができるようになる。そして、両側の第1プレート部材4と中央濃バーナ部3aとの間の2つの上端開口内にそれぞれ淡炎孔形成部材7を介装させる。これにより、中央濃バーナ部3aを短手方向両側から囲んで上端面の2列の淡炎孔列34,34に淡火炎を形成する淡バーナ部3bを形成する。この淡バーナ部3bにおいては、第1供給口31からの淡混合気が第1プレート部材4の内面と中央濃バーナ部3aの第3プレート部材6の外面との間に形成される供給通路を通して淡炎孔列34,34の各淡炎孔341に供給されることになる。そして、淡バーナ部3bの各第1プレート部材4の外側に第2プレート部材5を被せて両側や下の各縁部を各第1プレート部材4の縁部に接合させることで、各第2プレート部材5の内面と相対向する第1プレート部材4の外面との間に形成される供給通路を通して濃混合気が供給されて外側の濃炎孔列35a,35bの各濃炎孔351に濃火炎を形成する外側濃バーナ部3c(図2参照)が形成される。
次に、図6〜図10を参照しつつ混合気の供給構造部分について説明する。前記の淡バーナ部3bの形成により、一側に開口する第1供給口31からの淡混合気が筒部36(図7(a),(b)の点線の矢印を参照)を通して他側に送られ、他側から上側に向きを変え、一対の第1プレート部材4,4間の空間が第3プレート部材6,6によって区画形成(分割)された2つの内部空間37,37(図6及び図7(b)参照)を通して、上端の淡炎孔列34,34まで供給されるようになっている。前記の筒部36と内部空間37,37とにより淡混合気を2列の淡炎孔列34,34に供給する淡混合気供給通路が構成される他、筒部36は第1供給口31から供給される燃料ガスと空気との混合室及び導入通路(淡混合気導入通路)の役割をも果たすようになっている。前記の第3プレート部材6,6が後述の第1供給通路を区画形成するための形成部材を構成し、この第3プレート部材6,6によって、前記の淡混合気導入通路の下流側が二分(2つに分断)されて2つの淡混合気供給通路(内部空間37,37)が区画形成されるようになっている。
又、第2供給口32からの燃料ガスと空気とは、筒部38(図7(a)参照)を通して奥方(後方)の閉塞端側まで導かれる間に混合されて濃混合気となり、この濃混合気が中央濃バーナ部3a及び左右両側の外側濃バーナ部3cのそれぞれに供給されるようになっている。すなわち、筒部38の閉塞端側には、中央濃バーナ部3aの下端部60(図7(a)及び図8(a),(b)参照)が上から差し込まれて筒部38内で宙に浮いた状態(図9も併せて参照)に突出した突出部分として形成され、この下端部60を構成する一対の第3プレート部材6,6のそれぞれに連通孔61,61が形成されている。各連通孔61により筒部38の内部空間である混合室と中央濃バーナ部3aの内部空間62とが連通されており、筒部38内の濃混合気が各連通孔61及び内部空間62を通して濃炎孔列33に供給されるようになっている。この連通孔61,61が第1濃混合気供給通路としての内部空間62に濃混合気を分流供給する第1連通孔を構成する。一方、筒部38を構成する一対の第1プレート部材4,4の双方にもそれぞれ連通孔41,41が形成されており、一側(図6又は図8の右側)の第1プレート部材4の各連通孔41により筒部38内の前記混合室が一側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間51と連通され、他側(図6又は図8の左側)の第1プレート部材4の各連通孔41により筒部38内の前記混合室が他側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間52と連通されている。これにより、筒部38内の濃混合気が一側の各連通孔41及び内部空間51を通して一側の濃炎孔列35bに供給される一方、同様に筒部38内の濃混合気が他側の各連通孔41及び内部空間52を通して他側の濃炎孔列35aに供給されるようになっている。この連通孔41が第2濃混合気供給通路としての内部空間51又は第3濃混合気供給通路としての内部空間52にそれぞれ濃混合気を分流供給する第2連通孔又は第3連通孔を構成する。
なお、前記の内部空間62,51,52は濃混合気の供給通路を構成する他、前記の筒部38は第2供給口32から供給される燃料ガスと空気との混合室及び濃混合気導入通路の役割をも果たすようになっている。つまり、内部空間62が第1濃混合気供給通路を構成し、内部空間51が第2濃混合気供給通路を構成し、内部空間52が第3濃混合気供給通路を構成する。又、前記の下端部60は各連通孔61が筒部38内の空間と連通するよう突出しているだけであり、下端部60の下端縁と筒部38の内底面とは互いに非接触とされ、それらの上下間は短手方向(図6又は図8の左右幅方向)に遮られることなく短手方向に連通した状態に残されている。
前記の連通孔61,61は、相対向して接合される一対の第3プレート部材6,6のそれぞれに貫通して形成され、かつ、両連通孔61,61は実質的に左右幅方向において一直線状に並んで貫通するように配設されている(例えば図8(b),図10参照)。そして、各連通孔61,61は、前端の第2供給口32から後端の閉塞端381まで前後方向に延びる筒部38(濃混合気導入通路)の後半部位(下流側部位)の範囲内でより前方寄り位置(上流寄り位置)に配置されている。つまり、塵埃を溜めるためのポケット部382(図10参照)として、各連通孔61,61よりも後側において閉塞端381までの間の筒部38の内部空間を残すようにしているのである。これにより、筒部38内の濃混合気にたとえ塵埃が含まれていたとしても、その塵埃はポケット部382に溜まり各連通孔61から内部空間62に流入することを回避することができるようになる。
次に、前記の連通孔61,61と、連通孔41,41との互いの開口面積(孔数)や形成位置に係る相互関係について説明する。まず、開口面積については、中央濃炎孔列33を構成する各濃炎孔331と、外側濃炎孔列35a又は35bを構成する各濃炎孔351との開口面積比率に基づいて定められている。すなわち、筒部38内から中央の濃炎孔列33への連通孔61,61(短手方向である左右幅方向の左側と右側)の合計開口面積Atcと、前記筒部38内から他側の外側濃炎孔列35a(図4の左側,図8(a)の左側参照)への連通孔41,41(長手方向に並ぶ2つ;例えば図8の左側,図10の上側参照)の合計開口面積Atlと、前記筒部38内から一側の外側濃炎孔列35b(図4の右側,図8(a)の右側参照)への連通孔41,41(長手方向に並ぶ2つ;例えば図8の右側,図10の下側参照)の合計開口面積Atrとの比率が、次式の如く、前記中央の濃炎孔列33を構成する濃炎孔331の合計開口面積Ahcと、前記外側濃炎孔列35aを構成する濃炎孔351の合計開口面積Ahlと、前記外側濃炎孔列35bを構成する濃炎孔351の合計開口面積Ahrとの比率と対応するように、つまり等しくなるように定められている。
Atc:Atl:Atr=Ahc:Ahl:Ahr
左側及び右側の外側濃炎孔列35a,35bが互いに等しい開口面積に形成されていれば、次のようになる。
Atc:Atl(=Atr)=Ahc:Ahl(=Ahr)
つまり、左側の連通孔41,41と、右側の連通孔41,41とは、互いに等しい開口面積に設定され、円形孔であれば全て同じ孔径の連通孔41に形成される。そして、中央濃炎孔列33の開口面積が片側の外側濃炎孔列35a又は35bのそれの例えば1.3倍であれば、連通孔61,61の開口面積を片側の連通孔41,41のそれの1.3倍にすればよいことになる。さらに、中央濃炎孔列33、左側濃炎孔列35a及び右側外側濃炎孔列35bの全てが互いに等しい開口面積に形成されていれば、次のように設定されることになる。
Atc=Atl=Atr
つまり、連通孔61,61と、左側又は右側の連通孔41,41とは、互いに等しい開口面積に設定され、円形孔であれば全て同じ孔径の連通孔61,41に形成される。
このように、各濃炎孔列33,35a,35bに分流させるための各連通孔61,41の開口面積比率を、複数種類の濃炎孔列33,35a,35bの開口面積比率に等しくなるように設定すれば、各種類の濃炎孔列33,35a,35bの開口面積を如何に設定した場合であっても、各濃炎孔列33,35a,35bに対し筒部38内から同じ供給流量,流速や圧力で濃混合気を分流供給することができるようになる。
以上の如く開口面積比率を維持すれば、各連通孔61,41の数・形状は原則としては問われず、種々の組み合わせを採用し得る。例えば図例の如く左右両側に1つずつの合計2つの連通孔61,61により中央濃炎孔列33に連通させる一方、2つの連通孔41,41により1つの外側濃炎孔列35a又は35bに連通させるようにしてもよいし、中央濃炎孔列33へは前記の通り2つの連通孔61,61で連通させる一方、1つの外側濃炎孔列35a又は35bへは1つの連通孔で連通させるようにしてもよい。あるいは、中央濃炎孔列33へは左右両側に2つずつの合計4つの連通孔で連通させる一方、1つの外側濃炎孔列35a又は35bへは1つ又は2つの連通孔で連通させるようにしてもよい。孔形状のバリエーションについては、長孔形状について第2実施形態として後述する。
又、以上は開口面積比率を同じにする点について説明したが、連通孔61又は41として、それぞれが連通する濃炎孔列33,35a,35bと同じ開口面積を有するように形成してもよい。つまり、次式の如く、第1連通孔を構成する2つの連通孔61,61の合計開口面積Atcを、中央濃炎孔列33を構成する各濃炎孔331の合計開口面積Ahcと等しく、あるいは、第2又は第3連通孔を構成するそれぞれ2つの連通孔41,41の合計開口面積Atl又はAtrを、外側濃炎孔列35a又は35bを構成する各濃炎孔351の合計開口面積Ahl又はAhrと等しく、それぞれ設定するのである。
Atc=Ahc, Atl=Ahl, Atr=Ahr
例えば外側濃炎孔列35a及び35bがいずれも同じ開口面積に設定されていれば(Ahl=Ahr)、左右幅方向の両側の連通孔41,41、41,41は、互いに等しい開口面積になる(Atl=Atr)。設定され、円形孔であれば全て同じ孔径の連通孔41に形成される。
さらに、好ましくは、第1連通孔を構成する2つの連通孔61,61と、第2又は第3連通孔を構成するそれぞれ2つの連通孔41,41との各開口量として、前述の如く中央濃炎孔列33と外側濃炎孔列35a,35bとの開口面積比率に基づいて定めはするものの、それぞれが連通する濃炎孔列33,35a,35bの開口面積又はそれぞれが連通する濃混合気供給通路である内部空間62,52,51の有効通路断面積よりも所定量小さい開口面積を有するように形成することである。例えば、次式の如く、第1連通孔を構成する2つの連通孔61,61の合計開口面積Atcを、中央濃炎孔列33を構成する各濃炎孔331の合計開口面積Ahcに低減率α(α<1.0)を乗じたものに設定し、そして、第2又は第3連通孔を構成するそれぞれ2つの連通孔41,41の合計開口面積Atl又はAtrを、外側濃炎孔列35a又は35bを構成する各濃炎孔351の合計開口面積Ahl又はAhrに前記と同じ値の低減率α(α<1.0)を乗じたものに設定するのである。
Atc=α・Ahc, Atl=α・Ahl, Atr=α・Ahr
このようにすることにより、濃混合気を各濃炎孔331,351に分流供給する上で、第1〜第3の各連通孔61,41を混合気供給上の最大抵抗部にすることができる。このため、各濃炎孔331,351等に製造バラツキ等が発生したとしても、第1〜第3の各連通孔61,41に応じた分流供給特性を実現させることができ、確実に設計仕様通りの濃混合気供給を実現させることができるようになる。つまり、各濃炎孔331,351は複数のプレート部材5,4,6,6,4,5を互いに接合することにより形成されるため、他の部位の製造バラツキに比して製造時に組立バラツキが生じ易いという事情があるが、前記のようにすることにより、確実に設計仕様通りの濃混合気供給を実現させることができるようになる。前記の低減率αとしては例えば0.8〜0.9の値を設定すればよい。
次に、連通孔61,61と、連通孔41,41との互いの形成位置に係る相互関係については、燃料ガスと空気とが導入される第2供給口32の先端開口位置から長手方向(前後方向,上下流方向)に延びる筒部38内に沿って実質的に同等の距離の位置において開口するように形成位置が設定されている。例えば、筒部38内から中央の濃炎孔列33への連通孔が1つであり、前記筒部38内から片側の外側濃炎孔列35a又は35bへの連通孔が1つである場合には、両連通孔を第2供給口32の先端開口位置から長手方向に等距離になる位置において開口するように形成位置を設定すればよい。本実施形態の如く、中央の濃炎孔列33に連通させるために2つの連通孔61,61が共に第2供給口32の先端開口位置から等距離の位置において短手方向に並ぶように貫通配置される一方、それぞれの外側濃炎孔列35a,35bに連通させるために片側ずつ2つの連通孔41,41が長手方向に間隔をおいて並ぶように配置される場合には、次のように設定する。例えば図10に示すように、2つの連通孔41,41の内の一方が第2供給口32の先端開口位置から距離L1の位置に、他方が同様に距離L2(L1<L2)の位置にそれぞれ開口するように形成される場合には、前記の連通孔61,61を距離L1とL2との中間の距離L3(L1<L3<L2)の位置に開口するように形成する。
このような形成位置の設定を行うことで、筒部38内から連通孔61,61及び内部空間62を経て中央濃炎孔列33(図8(a)も併せて参照)に分流供給される濃混合気と、同様に筒部38内から連通孔41,41及び内部空間51を経て外側濃炎孔列35bに分流供給される濃混合気と、同様に筒部38内から連通孔41,41及び内部空間52を経て外側濃炎孔列35aに分流供給される濃混合気とを同等の濃度(同等空気比)にすることができるようになる。すなわち、第2供給口32の先端開口に導入される燃料ガスと空気とは筒部38内を長手方向の奥側(図10の右側)に進むほど互いに混合の度合が進むと考えられる。このため、前記第2供給口32の先端開口に最も近い距離L1にある連通孔41に対しては燃料ガスと空気との混合がまだ余り進んではいない低い混合度合Glの濃混合気が分流し、最も遠い距離L2にある連通孔41に対しては燃料ガスと空気との混合が最も高く進んだ高い混合度合Ghの濃混合気が分流し、これら両混合度合Gl,Ghの濃混合気が内部空間51又は52内で混合されて平均化された混合度合の濃混合気が外側濃炎孔列35a又は35bに供給されることになる。その一方、距離L1とL2との中間の距離L3にある連通孔61に対しては前記の低い混合度合Glと高い混合度合Ghとの中間の混合度合Gmの濃混合気が分流され、これが内部空間62を経て中央濃炎孔列33に供給されることになる。従って、筒部38内から連通孔61,61、41,41、41,41を通して中央濃炎孔列33,外側濃炎孔列35a,外側濃炎孔列35bに対し互いに同じ(同一又は同等)の濃度の濃混合気を分流供給することができるようになる。
ここで、第2供給口32の先端開口に導入された燃料ガスと空気とが筒部38内を長手方向に対し奥側に進む間に混合される混合度合の進度は、前記の先端開口からの距離に必ずしも比例するとは限らず、燃料ガスや空気の流れ状態(乱流等)の影響や、筒部38内の形状変化や存在物(例えば第3プレート部材6,6の下端部60等)の影響を受けることになる。このため、前記の混合度合の進度が前記の先端開口からの距離に比例するとの立場からは前記の距離L3を距離L1とL2との間の中央値(L3=(L1+L2)/2)にすれば、連通孔61,61と連通孔41,41に対し同一濃度の濃混合気を分流供給し得ることになるものの、前記の各種影響を受けるため、前記の距離L3を距離L1とL2との間の中間値に設定すれば、連通孔61,61と連通孔41,41に対し少なくとも同等濃度の濃混合気を分流供給し得ることになる。なお、以上では第2供給口32の先端開口位置を起点としてそこからの距離L1,L2,L3を用いて説明したが、必ずしも第2供給口32の先端開口位置を起点とする必要はない。長手方向(上下流方向)に延びる濃混合気導入通路(筒部38)内において上下流方向に互いに離れた両位置で連通孔41,41が開口していれば、それらの上下流方向の中間位置に連通孔61,61が開口するように配置することと同様の趣旨であり、以上の説明のものと同じ作用効果を得ることができる。
以上の実施形態の場合、2列の淡炎孔列34,34のそれぞれを濃炎孔列35a,33、又は濃炎孔列33,35bによって両側から挟み込んでいるため、両淡炎孔列34,34に形成される各淡火炎を両側から濃火炎により囲むことができるようになる。つまり、短手方向における火炎の構成を、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列順にすることができる。これにより、淡炎孔列34を2列にして淡炎孔列の面積を増大させるようにしても、淡火炎の火炎長が長くなることを回避して燃焼室22(図1参照)の燃焼室高さを低く抑えることができ、燃焼室高さを低く抑えつつも、淡炎孔の面積(比率)を増大させることによりさらなる低NOx化を図ることができ、又、燃焼のより安定化を図ることができるようになる。又、1つの淡炎孔列を両側から濃炎孔列により挟み込んで1つのバーナを構成した場合と比べ、同じ淡炎孔面積を実現する上で効率よくバーナの軽量化を図ることができるようになる。さらに、1つの燃料ガス及び空気の供給口(第2供給口32)から筒部38内に導入されて混合された濃混合気を、筒部38の閉塞端側の領域とそれぞれ連通して開口された中央濃バーナ部3aの連通孔61,61、一側の外側濃バーナ部35bの連通孔41,41、又は、他側の外側濃バーナ35aの連通孔41,41を通して対応する内部空間62,51,52に対し分流させることができる。これにより、中央及び両外側に3つの濃炎孔列35a,33,35bを形成する場合であっても、濃混合気を簡単な構造でスムースかつ確実に分流させてそれぞれの濃炎孔列35a,33,35bに供給させることができる。
しかも、以上の如き前提の効果に加えて、本実施形態によれば、次のような格別な効果を得ることができる。すなわち、連通孔61,61と、連通孔41,41との互いの開口面積(数量)や形成位置に係る相互関係を前述の如く設定することにより、中央濃炎孔列33及び2つの外側濃炎孔列35a,35bの3種類の濃炎孔列に対し、互いに同じ供給流量,流速や圧力の濃混合気であって、互いに同じ濃度(空気比)の濃混合気を分流供給させることができるようになる。このため、中央濃炎孔列33や両外側の濃炎孔列35a,35bにおいて互いに均一な濃火炎を形成することができ、これにより、バランスを欠いた濃火炎形成の発生を確実に回避することができ、淡炎孔列34,34に形成される淡火炎を確実に保炎して濃淡燃焼バーナの燃焼安定性を確実に向上させることができるようになる。
<第2実施形態>
図11は第2実施形態の濃淡燃焼バーナ3で用いる第3プレート部材6aである。この第2実施形態は第1実施形態で用いた第3プレート部材6の代わりに、第3プレート部材6aを用いる点でのみ第1実施形態と異なり、その他の構成は全て第1実施形態で説明したものと同じである。このため、以下では第1実施形態と異なる前記第3プレート部材6aについて主として説明し、その他の構成については重複した説明を省略する。
本実施形態の第3プレート部材6aにおいて、第1実施形態の第3プレート部材6と異なる点は、円形状ではなくて長手方向(前後方向)に長い長孔形状の連通孔61aを形成した点である。連通孔61a,61aの開口面積(孔数)や形成位置の設定については、第1実施形態で説明したものと同じである。
このような連通孔61a,61aを採用することにより、筒部38の側から両側の連通孔61a,61aを通して内部空間62に流入する濃混合気の流れを、第1実施形態の場合よりもスムーズにすることができる。すなわち、各連通孔61aが濃混合気導入通路である筒部38の延びる方向(濃混合気の流れ方向と合致する方向)に長くなるように、つまり濃混合気の流れに沿って長くなるように形成されているため、筒部38から内部空間62への流入をよりスムーズに行うことができることになる。なお、長孔の具体的形状としては長円形状や楕円形状を採用すればよい。
<他の実施形態>
前記の各実施形態において、第1連通孔としての連通孔61,61と、第2連通孔としての一側の連通孔41,41と、第3連通孔としての他側の連通孔41,41との各開口量を、濃炎孔列33,35a,35bの開口面積比率の観点から設定する点を説明したが、かかる技術の前提として濃混合気導入通路である筒部38に対し第2供給口32の先端開口から燃料ガスと空気とが個別に導入される点は必須ではない。すなわち、前記濃混合気導入通路に対し予混合の濃混合気が導入される場合であっても、前記の開口面積比率に基づく設定によって、複数種類の濃炎孔(濃炎孔列33,35a,35b)に対し互いに同じ供給流量,流速や圧力の濃混合気を分流供給させることができる。