ところで、特許文献1で提案のものの如く一列の淡炎孔の両側に濃炎孔をそれぞれ配置して淡炎孔を単に両側から挟んだだけの濃淡燃焼バーナではなくて、さらに淡炎孔の中心線上に延びるように一列の濃炎孔を追加することで短手方向(左右幅方向)において例えば濃−淡−濃−淡−濃というような配列で濃炎孔と淡炎孔とが交互に並ぶ構成の濃淡燃焼バーナの開発を本出願人において進めている。これまでのところ、本出願人の出願に係る例えば特願2011−99410で提案した如く、共通の熱交換器導入通路から濃混合気を中央位置及び左右両外側位置の3位置に対し分流させて供給するために、熱交換器導入通路内に、中央位置の濃炎孔の形成部材の下端部を突出させ、この突出部に濃混合気を中央濃炎孔に分流させるための第1連通孔を設ける一方、前記熱交換器導入通路を構成する壁であって前記突出部に相対向する壁に、両外側の濃炎孔に分流させるための第2,第3の連通孔を形成することが考えられている。又、さらに、本出願人の出願に係る特願2011−121113では、前記の中央位置の濃炎孔の形成部材として予めプレス成形した1枚物のプレート部材をVの字状に折り曲げた状態で接合させることで、シール性を高めることも提案している。
しかしながら、一端から燃料ガスと空気とを供給して濃混合気導入通路内において混合させた上で第1〜第3の各連通孔に分流させる構成であると、特に濃混合気導入通路から前記の第2,第3連通孔に分流される濃混合気の混合状態が不均一化したり、組み付け誤差等の影響で左右での偏りが発生したりするおそれが考えられる。そして、これらの不都合発生に起因して、両外側の濃炎孔での保炎性の悪化や、燃焼状態の不安定化を招くおそれも考えられ、これらの対策に係る技術開発が必要となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、共通の濃混合気導入通路から中央位置及び両外側の3位置の濃炎孔に濃混合気を分流供給させる場合に、特に両外側位置の濃炎孔に供給される濃混合気の混合状態及び供給量を共に均一化し得る濃淡燃焼バーナを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、中央位置において長手方向に延びるように配列された中央濃炎孔と、この中央濃炎孔を短手方向両側から挟むように配列された2列の淡炎孔と、この両側の淡炎孔をさらに外側から挟むように配列された2列の外側濃炎孔とを備え、前記中央濃炎孔及び2例の外側濃炎孔に対し共通の濃混合気導入通路から濃混合気を分流供給するように構成されてなる濃淡燃焼バーナを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記中央濃炎孔に濃混合気を供給する濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の下端部を前記濃混合気導入通路内に突出するように配設し、この突出した突出部に対し、前記濃混合気導入通路から前記濃混合気供給通路に濃混合気を分流供給するための第1連通孔を前記濃混合気導入通路内に臨んで開口するように形成する。そして、前記濃混合気導入通路を区画形成するための形成部材に対し、前記濃混合気導入通路から前記2列の外側濃炎孔に濃混合気を分流供給するための第2連通孔及び第3連通孔が前記濃混合気導入通路内に臨んで開口するように形成する。加えて、前記第2連通孔と第3連通孔とを、両者間に遮るものなく前記濃混合気導入通路内の空間のみを介して互いに対面した状態に配置することとした(請求項1)。
本発明の場合、第2連通孔と第3連通孔との両者間に遮るものなく前記濃混合気導入通路内の空間のみを介して第2連通孔と第3連通孔とを互いに対面した状態に配置しているため、第2連通孔と第3連通孔との両者間に遮るものが存在する場合に生じるおそれのある不都合発生を回避し得るようになる。すなわち、第2連通孔と第3連通孔との両者間に遮るものが存在すると、濃混合気導入通路の通路空間が第2連通孔と第3連通孔との間で略仕切られた状態となるため、濃混合気導入通路を通して流れてくる濃混合気が十分に混合される前の段階で分断された状態で第2,第3連通孔まで至り、分断されて混合が不十分なままの濃混合気がそれぞれ第2,第3連通孔に流入してしまうおそれがある。混合が不十分なままであると、外側の両濃炎孔に供給される濃混合気濃度が左右で不均一になったり、あるいは、濃混合気量が左右で不均一になったり、するという不都合発生を招くことに繋がる。かかる不都合発生のおそれを本発明では回避し得ることになり、第2連通孔及び第3連通孔の間に存在する濃混合気導入通路の共通空間に存する共通の濃混合気、つまり同一の混合状態の濃混合気を第2,第3連通孔の双方に分流させ得るようになる。これにより、両外側位置の濃炎孔に供給される濃混合気の混合状態及び供給量を共に均一化し得ることになる。
本発明の濃淡燃焼バーナにおいて、前記濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の下端部に、前記第1連通孔が形成された突出部以外の部位であって、前記第2連通孔及び第3連通孔が対面状態で配置される部位に切欠凹部を形成することができる(請求項2)。このようにすることにより、濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の配置等の如何に拘わらず、前記切欠凹部によって、第2連通孔及び第3連通孔の両者間に遮るものなく濃混合気導入通路内の空間のみを介して第2連通孔と第3連通孔とを互いに対面した状態に確実に配置し得ることになる。
又、本発明の濃淡燃焼バーナにおいて、前記濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材として、展開状態において折り曲げ線位置を間に挟んで両側位置に濃混合気供給通路を区画形成するためのプレート部がそれぞれ配置されてなる1枚物のプレート素材が、前記折り曲げ線位置に折り曲げられて前記一対のプレート部が相対向するように形成されたものとし、かつ、折り曲げ後の前記折り曲げ線位置に沿った下端部の前端側部分を前記濃混合気導入通路内に突出する突出部として設定するとともに、その突出部に隣接した部分に前記切欠凹部が形成されるように前記展開状態において前記折り曲げ線を挟んで切欠開口を予め形成してなるようにすることができる(請求項3)。このようにすることにより、前記形成部材の下端部として、前記折り曲げ線位置に沿った折り曲げ後の下端部により構成して、確実にシール性を担保した状態にすることが可能となると同時に、前記の切欠開口に基づく切欠凹部の形成によって、第2連通孔及び第3連通孔を間に空間のみを介して対面した状態に確実に配置し得ることになる。
さらに、本発明の濃淡燃焼バーナにおいて、前記2列の淡炎孔に対し共通の淡混合気導入通路から導入された淡混合気が分流されて供給されるように構成し、前記1枚物のプレート素材が折り曲げられて形成されてなる形成部材の下端部の後端側部分を、前記淡混合気導入通路の前記分流位置の通路空間を横切るように配設させ、かつ、淡混合気の下流側に向けて斜め上向きに傾斜するように配設させることができる(請求項4)。このようにすることにより、前記形成部材の内部に区画形成されることになる濃混合気供給通路と、外部の淡混合気導入通路との間が確実に遮断されて高度のシール性を発揮した状態に維持し得るとともに、特に、前記形成部材の下端部の後端側部分を淡混合気の下流側に向けて斜め上向きに傾斜するように配設させることで、淡混合気導入通路内で淡混合気が混合される距離をより長くして淡混合気の混合度合を高めることが可能になる。これにより、混合度合を高めた状態の淡混合気を淡炎孔に供給することが可能となる。
以上、説明したように、本発明の濃淡燃焼バーナによれば、第2連通孔と第3連通孔との両者間に遮るものなく前記濃混合気導入通路内の空間のみを介して第2連通孔と第3連通孔とを互いに対面した状態に配置しているため、第2連通孔と第3連通孔との両者間に遮るものが存在する場合に生じるおそれのある不都合発生を確実に回避することができるようになる。すなわち、第2連通孔と第3連通孔との両者間に遮るものが存在する場合には、濃混合気導入通路の通路空間が第2連通孔と第3連通孔との間で略仕切られた状態となるため、濃混合気導入通路を通して流れてくる濃混合気が十分に混合される前の段階で分断された状態で第2,第3連通孔まで至り、分断されて混合が不十分なままの濃混合気がそれぞれ第2,第3連通孔に流入してしまうおそれがある。そして、混合が不十分なままであると、外側の両濃炎孔に供給される濃混合気濃度が左右で不均一になったり、あるいは、濃混合気量が左右で不均一になったり、するという不都合発生を招くことに繋がる。かかる不都合発生のおそれを本発明では確実に回避して、第2連通孔及び第3連通孔の間に存在する濃混合気導入通路の共通空間に存する共通の濃混合気、つまり同一の混合状態の濃混合気を第2,第3連通孔の双方に分流させることができるようになる。これにより、両外側位置の濃炎孔に供給される濃混合気の混合状態及び供給量を共に均一化することができることになる。
特に、請求項2によれば、濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の下端部に、第1連通孔が形成された突出部以外の部位であって、第2連通孔及び第3連通孔が対面状態で配置される部位に切欠凹部を形成することで、濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材の配置等の如何に拘わらず、切欠凹部によって、第2連通孔及び第3連通孔の両者間に遮るものなく濃混合気導入通路内の空間のみを介して第2連通孔と第3連通孔とを互いに対面した状態に確実に配置することができるようになる。
又、請求項3によれば、濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材として、展開状態において折り曲げ線位置を間に挟んで両側位置に濃混合気供給通路を区画形成するためのプレート部がそれぞれ配置されてなる1枚物のプレート素材が、折り曲げ線位置に折り曲げられて前記一対のプレート部が相対向するように形成されたものとし、かつ、折り曲げ後の折り曲げ線位置に沿った下端部の前端側部分を濃混合気導入通路内に突出する突出部として設定するとともに、その突出部に隣接した部分に切欠凹部が形成されるように展開状態において折り曲げ線を挟んで切欠開口を予め形成してなるようにすることで、次の効果を得ることができる。すなわち、形成部材の下端部として、折り曲げ線位置に沿った折り曲げ後の下端部により構成して、確実にシール性を担保した状態にすることができるようになると同時に、切欠開口に基づく切欠凹部の形成によって、第2連通孔及び第3連通孔を間に空間のみを介して対面した状態に確実に配置することができるようになる。
さらに、請求項4によれば、2列の淡炎孔に対し共通の淡混合気導入通路から導入された淡混合気が分流されて供給されるように構成し、1枚物のプレート素材が折り曲げられて形成されてなる形成部材の下端部の後端側部分を、淡混合気導入通路の分流位置の通路空間を横切るように配設させ、かつ、淡混合気の下流側に向けて斜め上向きに傾斜するように配設させることで、次の効果を得ることができる。すなわち、形成部材の内部に区画形成されることになる濃混合気供給通路と、外部の淡混合気導入通路との間を確実に遮断して高度のシール性を発揮した状態に維持することができるとともに、特に、形成部材の下端部の後端側部分を淡混合気の下流側に向けて斜め上向きに傾斜するように配設させることで、淡混合気導入通路内で淡混合気が混合される距離をより長くして淡混合気の混合度合を高めることができ、これにより、混合度合を高めた状態の淡混合気を淡炎孔に供給することができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る濃淡燃焼バーナを適用した燃焼装置2を示す。この燃焼装置2は、缶体21内において、所定数の濃淡燃焼バーナ3,3,…を横に隣接させて並べた状態のバーナセットが固定されたものである。缶体21の上部空間は燃焼空間22とされ、下部空間23に送風ファン24からの燃焼用空気が供給される一方、各濃淡燃焼バーナ3の一側にガスマニホールド25(図1(b)にのみ示す)が配設され、このガスマニホールド25から濃淡燃焼バーナ3毎に2つのガスノズル26,27が突出されている。一方(下段)のガスノズル26は濃淡燃焼バーナ3の第1供給口31に向けて、他方(上段)のガスノズル27は濃淡燃焼バーナ3の第2供給口32に向けて、それぞれ燃料ガスを噴出させ得るようになっている。そして、下部空間23からの空気を各ガスノズル2627の周囲から送風ファン24の吐出圧により押し込んで、燃料ガス及び空気の双方を第1及び第2供給口31,32に供給し得るようになっている。この際、第1供給口31は第2供給口32よりもかなり大径に設定されて、より多くの空気を押し込むようにされる一方、第2供給口32は比較的小径に設定されて、押し込む空気の量が絞られるようにされている。このようにして、第1供給口31からは供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも大きい所定の空気比となる量の空気が内部に供給される一方、第2供給口32からは同様に供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも小さい所定の空気比となる量の空気が内部に供給されるようになっている。なお、下部空間23と濃淡燃焼バーナ3,3,…とを仕切るように配設された整流板28(図1(b)参照)には多数の小孔が開けられ、この小孔を通して相隣接する濃淡燃焼バーナ3,3間に二次空気が供給されるようになっている。
濃淡燃焼バーナ3は、図2に示すように、金属板素材を用いてプレス加工及び折り曲げ加工を経て所定形状に加工されたものである。すなわち、濃淡燃焼バーナ3は、1列の濃炎孔列33からなる中央濃バーナ部3aと、2列の淡炎孔列34,34からなる淡バーナ部3bと、2列の濃炎孔列35,35からなる外側濃バーナ部3cとを備えて全体として扁平形状に形成されたものであり、これらが3種類のプレート部材4,4、5,5、6と、一対の炎孔形成部材7,7とを用いて形成されたものである。図3の上下方向を長手方向(前後方向)、図3の左右方向を短手方向(左右幅方向)というとすれば、長手方向一側(図2の左側)において下側位置に第1供給口31が開口し、上側位置に第1供給口31よりも小径の第2供給口32が開口され、上端面に燃焼火炎が形成される炎孔列が図3に示すように長手方向に延びるように形成されている。炎孔列としては、図3(a),(b)に示すように、短手方向中央位置において狭幅の1列の濃炎孔列33が長手方向全長に延び、この濃炎孔列33の短手方向両側位置のそれぞれにおいて比較的広幅の淡炎孔列34が長手方向全長に延び、両側の淡炎孔列34,34のさらに外側位置においてそれぞれ狭幅の濃炎孔列35が長手方向全長に延びている。そして、淡炎孔列34,34の各淡炎孔341には第1供給口31(図2参照)から供給されて混合された淡混合気が導かれ、この淡混合気により淡火炎が形成され、中心位置の濃炎孔列33の各濃炎孔331と、両外側位置の2列の濃炎孔列35,35の各濃炎孔351とには第2供給口32(図2参照)から供給されて混合された濃混合気が導かれ、この濃混合気により濃火炎が形成されるようになっている。
このような濃淡燃焼バーナ3は、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、図4に示すように、3種類のプレート部材4,4、5,5、6と、一対の炎孔形成部材7,7とを用いて構成する。第3プレート部材6(図5参照)は、薄板素材に対し相対向する一側面になるプレート部65と、他側面になるプレート部65とが、折り曲げ線Tを挟んで線対称配置に配置された状態になるように一枚物のプレート素材6aとしてプレス成形され、成形後に、折り曲げ線Tを中心にして両側のプレート部65,65を共に内向き(一点鎖線の矢印の向き)に相対向させるように折り曲げて、後端縁651,651同士や前端縁652,652同士を互いに密着させることで形成されている。折り曲げ後の状態では、折り曲げ線Tに沿った折り曲げ部位が下端部60a,60bとなり、この下端部60a,60bから上方に延びる両側のプレート部65,65が所定の狭い間隔で相対向し、その内面間に濃混合気の供給通路が形成されて上端面の濃炎孔列33に連通されるようになっている(図4も併せて参照)。又、前記の折り曲げ線Tに沿って前端側位置の下端部60aにおいて両側のプレート部65,65に第1連通孔61がそれぞれ貫通形成されるとともに、前記の展開状態のプレート素材6a(図5参照)において略菱形の切欠開口601が第1連通孔61,61の後側位置において折り曲げ線Tを挟んで予め形成され、折り曲げられた状態で切欠凹部60c(図4も併せて参照)が形成されるようになっている。つまり、略菱形の切欠開口601が、その対角線を前記折り曲げ線T上に配置した状態で形成され、折り曲げ後に切欠凹部60cが形成されるようにされている。このようにして第3プレート部材6により中央濃バーナ部3aが形成されることになる。なお、切欠凹部60cを形成するための切欠開口としては、略菱形の他に矩形又は円形,長円形、あるいは多角形等の形状を採用し得る。
そして、この中央濃バーナ部3a(図4参照)を上から一対の第1プレート部材4,4間の内部に差し込むことで、中央濃バーナ部3aを間に挟み込んだ状態で短手方向両側から一対の第1プレート部材4,4が相対向するように配置され、両側の第1プレート部材4,4と中央濃バーナ部3aとの間の2つの上端開口内にそれぞれ炎孔形成部材7が介装されることになる。これにより、中央濃バーナ部3aの濃炎孔列33を短手方向両側から囲んで上端面の2列の淡炎孔列34,34(図3も併せて参照)に淡火炎を形成する淡バーナ部3bが形成されることになる。そして、淡バーナ部3bの第1プレート部材4,4の外側に第2プレート部材5,5が被せられて、上端側に外側の濃炎孔列35,35(図3参照)が形成されるとともに、各第2プレート部材5の内面と相対向する第1プレート部材4の外面との間に濃混合気が各濃炎孔列35まで供給される供給通路が区画形成され、これにより、外側濃バーナ部3c(図2,図3参照)が形成されることになる。
次に、図6,図7を参照しつつ淡混合気及び濃混合気の供給構造部分について説明する。なお、図6,図7において、メッシュ状のハッチングを付した部分は接合面であり、密接又は圧接により互いに密着され、加えて線状の溶着又は点付け溶接等も付加されて、密着状態が維持されている。前記の淡バーナ部3bにおいて、一側に開口する第1供給口31から供給された燃料ガスと空気とが筒部36内で混合されて淡混合気となり、この淡混合気が筒部36(図8,図9の点線の矢印を参照)を通して他側に送られ、他側から上側に向きを変え、一対の第1プレート部材4,4間の空間が第3プレート部材6の下端部60bによって区画形成(分割)された2つの内部空間37,37(図10参照)を通して、上端の各淡炎孔列34まで供給されるようになっている。前記の筒部36と内部空間37,37とにより淡混合気を2列の淡炎孔列34,34まで供給する淡混合気供給通路が構成される他、筒部36は第1供給口31から供給される燃料ガスと空気との混合室及び導入通路(淡混合気導入通路)の役割をも果たすようになっている。前記の第3プレート部材6が後述の第1濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材を構成し、この第3プレート部材6によって、前記の淡混合気導入通路の下流側が二分(2つに分断)されて2つの淡混合気供給通路(内部空間37,37)が区画形成されるようになっている。
又、濃混合気については、上流端側である第2供給口32に供給される燃料ガスと空気とが筒部38内で混合されて濃混合気となり、この濃混合気が筒部38を通して下流端側である奥方(後方)の閉塞端381側まで導かれる間にさらに混合されることになる。そして、この濃混合気が中央濃バーナ部3a及び左右両側の外側濃バーナ部3c(図6のみ示す)のそれぞれに供給されるようになっている。すなわち、筒部38内には、中央濃バーナ部3aの前端側の下端部60aが上から差し込まれて筒部38内で宙に浮いた状態(図11も併せて参照)に突出した突出部として配設され、この突出部(下端部60a)において第1連通孔61,61が筒部38の内部空間である混合室の上方寄り位置(上側位置)で開口して、混合室と中央濃バーナ部3aの内部空間62とが連通されるようになっている。これにより、筒部38(図11及び図8参照)内の濃混合気は、両第1連通孔61,61及び内部空間62を通して濃炎孔列33に供給されることになる。
加えて、前記の両第1連通孔61,61の開口位置よりも下流側(閉塞端381側)位置において、図9及び図12に示すように、筒部38を構成する一対の第1プレート部材4,4に第2,第3連通孔41,41が貫通形成されており、一側(図9又は図12の右側)の第2連通孔41により筒部38内の前記混合室が一側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間51と連通され、他側(図9又は図12の左側)の第3連通孔41により筒部38内の前記混合室が他側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間52と連通されている。これにより、筒部38内の濃混合気が第2連通孔41及び内部空間51を通して一側の濃炎孔列35に供給される一方、同様に筒部38内の濃混合気が他側の第3連通孔41及び内部空間52を通して他側の濃炎孔列35に供給されるようになっている。加えて、第2連通孔41及び第3連通孔41は第3プレート部材6の切欠凹部60c(図7参照)に臨む位置において短手方向に相対向して開口するように設定され、これにより、一対の第2,第3連通孔41,41が短手方向(左右幅方向)において何も遮ることのない筒部38内の空間を通して相対向するようになっている(図12参照)。
なお、前記の筒部38は第2供給口32から供給される燃料ガスと空気とを混合するための混合室、及び、混合された濃混合気を導入するための濃混合気導入通路を構成する一方、前記の内部空間51,52,62は濃混合気を対応する濃炎孔列35,33,35に供給するための濃混合気供給通路を構成する役割をも果たすようになっている。つまり第2連通孔41に連通する内部空間51が第2濃混合気供給通路を構成し、第3連通孔41に連通する内部空間52が第3濃混合気供給通路を構成し、第1連通孔61,61に連通する内部空間62が第1濃混合気供給通路を構成する。そして、前記の突出部を構成する下端部60aは第1連通孔61,61が筒部38内の空間と連通するよう突出しているだけであり、下端部60aの下端縁と筒部38の内底面とは互いに非接触とされ、それらの上下間は短手方向(図8又は図11の左右幅方向)に遮られることなく短手方向に連通した状態に残されている。
又、一対の第1連通孔61,61の合計開口面積が、第2連通孔41又は第3連通孔41の各開口面積と互いに等しくなるように設定されている。具体的には、1つの第1連通孔61が、第2連通孔41又は第3連通孔41の開口面積の半分に相当する開口面積を有するように小孔に設定されている。これは、中央濃バーナ部3aの濃炎孔列33の合計開口面積と、外側濃バーナ3cの片側の濃炎孔列35の合計開口面積と等しくなるように設定されていることに基づくものである。すなわち、中央位置と、外側の各位置との濃炎孔(濃炎孔列33,35)の開口面積比に等しくなるように、一対の第1連通孔61,61の合計開口面積と、第2連通孔41又は第3連通孔41の各開口面積との比が設定されている。これにより、共通の筒部38の空間から第1連通孔61,61、第2連通孔41及び第3連通孔41に分流されて濃炎孔33,35,35に供給される濃混合気の供給量が互いに均等になるようにされている。
ここで、濃混合気の空気に含まれることのある塵埃対策について説明する。各第1連通孔61は前記の如く筒部(濃混合気導入通路)38の空間において上方寄り位置(上側位置)で開口するように形成されている。つまり、筒部38内に突出している下端部60aの部分の上側位置で開口するように各連通孔61は形成されている。これは、濃混合気を構成する空気とともに侵入した塵・埃が濃混合気導入通路内に残留し堆積したとしても、濃混合気導入通路である筒部38内の上方寄り位置に各第1連通孔61を形成することにより、各第1連通孔61が閉塞されてしまう可能性を低くするためである。さらに、第1連通孔61,61は、第2供給口32から閉塞端381まで前後方向に延びる筒部(濃混合気導入通路)38内において、濃混合気の流れ方向に対し第2連通孔41及び第3連通孔41よりも上流側位置で開口するように位置設定されている。これにより、第2供給口32から流入する濃混合気を構成する空気とともに塵埃が筒部(濃混合気導入通路)38内に侵入したとしても、第1連通孔61,61の前を素通りして下流側(閉塞端381側)に流れ易くすることができる。これにより、第1連通孔61,61が第2又は第3連通孔41よりも小さい開口面積しか有していなくても、塵埃が付着したり堆積したりすることを可及的に回避することができるようになる。特に、第1連通孔61,61が濃混合気の流れ方向に対し直交する方向に臨んで開口されているため、前記の素通りを効果的に実現させることができる。
その上に、下流側位置の第2及び第3連通孔41,41のさらに下流側位置に、塵埃を溜めるための内部空間部としてポケット部382(図6,図7又は図13参照)を残すようにされている。つまり、濃混合気導入通路である筒部38内において、第2及び第3連通孔41,41よりも下流側であって閉塞端381までの間の筒部38内に前記の内部空間部が存在することになるように筒部38を形成しているのである。これにより、筒部38内の濃混合気にたとえ塵埃が含まれていたとしても、その塵埃をポケット部382に溜めて捕集し、塵埃が各連通孔41から内部空間51,52に流入することを抑制することができるようになる。なお、図13中の符号383は第2供給口32から筒部38内の第1連通孔61,61に至るまでの間に形成された狭窄部であり、この狭窄部383を濃混合気が通過して流れが乱されることで、その濃混合気を構成する燃焼ガスと空気との混合促進が図られるようになっている。
加えて、第3プレート部材6の両プレート部65,65には部分的に短手方向の外側方に膨出する膨出部653(図4,図5又は図6参照))がそれぞれ形成されており、短手方向に相対向する一対の膨出部653,653の間に第1膨出空間621(図10,図14参照)が区画形成されるようになっている。これにより、濃混合気供給通路である内部空間62の途中位置に他よりも大空間の第1膨出空間621が介在するようにされ、第1連通孔61,61から内部空間62内に流入して濃炎孔列33まで流される濃混合気の流れの勢いを緩和させることができるようになる。このため、第1連通孔61,61を通過して内部空間62内に入り込んでしまった塵埃を沈降・堆積させることができ、濃炎孔列33の各濃炎孔331が塵埃により目詰まり状態に陥ることを防止することができるようになる。
さらに、これと同様に、各第1プレート部材4にも、部分的に短手方向の内側方に膨出する膨出部42(図4参照)が形成されており、各第1プレート部材4の膨出部42と短手方向に相対向する第2プレート部材5との間に第2膨出空間511,第3膨出空間521(図10,図14参照)が区画形成されるようになっている。これにより、濃混合気供給通路である内部空間51,52の途中位置に他よりも大空間の第2,第3膨出空間511,521が介在するようにされ、第2,第3連通孔41,41から内部空間51,52内に流入して濃炎孔列35,35まで流される濃混合気の勢いを緩和させることができるようになる。このため、第2,第3連通孔41,41を通過して内部空間51,52内に入り込んでしまった塵埃を沈降させることができ、外側の濃炎孔列35の各濃炎孔351が塵埃により目詰まり状態に陥ることを防止することができるようになる。特に、筒部38の閉塞端381までのポケット部382の空間に塵埃が溜まって溢れてしまい、それが第2,第3連通孔41,41から内部空間51,52に流入したとしても、濃炎孔列35の各濃炎孔351に到達する前に、第2,第3膨出空間511,521に沈降・堆積させることができ、塵埃に起因する各濃炎孔351の目詰まり発生を確実に防止することができるようになる。
次に、第2,第3連通孔41,41で分流されて両外側の濃炎孔列35,35に供給される濃混合気の混合状態の改善対策について説明する。前述の如く、第2,第3連通孔41,41は、切欠凹部60c(例えば図7参照)が位置する筒部38内の空間において短手方向に相対向して開口されている。つまり、第2,第3連通孔41,41(例えば図12参照)が間に何も遮ることがなく筒部38内の全空間のみが存在する状態で開口しているのである。このため、前記の切欠凹部60cが例えば無くて、代わりに第3プレート部材6の下端部が前端側の符号60aから後端側の符号60bまで一直線状に延びている場合(図7、図12又は図13の符号60′及び二点鎖線参照)と比べ、前記の下端部60′により第2,第3連通孔41,41の相対向間が遮られることに起因して生じるおそれのある不都合の発生を、本実施形態の場合には防止することができるようになる。すなわち、前記の下端部60′が存在すると、筒部38の通路空間が短手方向(左右方向)に略仕切られた状態となるため、筒部38を通して流れてくる濃混合気が十分に混合される前の段階で短手方向(左右方向)両側に分断された状態で第2,第3連通孔41,41まで至り、分断されて混合が不十分なままの濃混合気がそれぞれ第2,第3連通孔41,41に流入してしまうおそれがある。混合が不十分なままであると、外側の両濃炎孔列35,35に供給される濃混合気濃度が左右で不均一になったり、あるいは、前記の下端部60′の組み付け位置誤差があると、それに起因して両濃炎孔列35,35に供給される濃混合気量が左右で不均一になったり、するという不都合発生を招くことに繋がる。かかる不都合発生のおそれを本実施形態では回避することができ、相対向間に存在する筒部38の共通空間に存する共通の濃混合気、つまり同一の混合状態の濃混合気を第2,第3連通孔41,41の双方に分流させることができるようになる。
併せて、筒部36を通して供給された後、2つの淡混合気供給通路である内部空間37,37に分流される淡混合気についての混合状態の改善対策やシール対策について説明すると、前述の如く、筒部36の一側の第1供給口31から他側に向けて流された後、他側で淡混合気は上側に向きを変えて第3プレート部材6の下端部60b(例えば図10参照)によって2つの内部空間37,37に分流されることになる。この際、前記の下端部60bは後方に向けて斜め上向きに傾斜(図7参照)されているため、濃炎孔列33と平行に延びるような、例えば符号60″及び三点鎖線の仮想線で示す如き下端部により、2つの内部空間37,37に分流される場合と比べると、筒部36を通過する距離をより長くすることができる。これにより、筒部36内での淡混合気の混合度合をより高くすることができ、混合度合を高めた状態の淡混合気を淡炎孔列34,34に供給することができるようになる。一方、筒部36の上方に屈曲する部位の空間に露出して淡混合気を2つの内部空間37,37に分流させることになる、中央濃バーナ部3aの下端部60bは、1枚のプレート部材6a(図5参照)を折り曲げることで形成された第3プレート部材6の折り曲げ線Tに相当する部分であるため、筒部36側の淡バーナ部3bと中央濃バーナ部3a側の内部空間62との間を確実に遮断して高度のシール性を発揮した状態に維持することができる。これにより、濃混合気と淡混合気との相互間の混入の発生を確実に防止することができるようになる。
そして、以上の濃淡燃焼バーナ3の場合、2列の淡炎孔列34,34のそれぞれを濃炎孔列35,33、又は、濃炎孔列33,35によって両側から挟み込んでいるため、両淡炎孔列34,34に形成される各淡火炎を両側から濃火炎により囲むことができるようになる。つまり、短手方向における火炎の構成を、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列順にすることができる。これにより、淡炎孔列34を2列にして淡炎孔列の面積を増大させるようにしても、淡火炎の火炎長が長くなることを回避して燃焼室22(図1参照)の燃焼室高さを低く抑えることができ、燃焼室高さを低く抑えつつも、淡炎孔の面積(比率)を増大させることによりさらなる低NOx化を図ることができ、又、燃焼のより安定化を図ることができるようになる。又、1つの淡炎孔列を両側から濃炎孔列により挟み込んで1つのバーナを構成した場合と比べ、同じ淡炎孔面積を実現する上で効率よくバーナの軽量化を図ることができるようになる。さらに、1つの燃料ガス及び空気の供給口(第2供給口32)から筒部38内に導入されて混合された濃混合気を、筒部38の閉塞端側の領域とそれぞれ連通して開口された中央濃バーナ部3aの第1連通孔61,61、一側の外側濃バーナ部35の第2連通孔41、又は、他側の外側濃バーナ35の第3連通孔41を通して対応する内部空間62,51,52に対し分流(分岐供給)させることができる。これにより、中央及び両外側に3つの濃炎孔列35,33,35を形成する場合であっても、濃混合気を簡単な構造でスムースかつ確実に分流させてそれぞれの濃炎孔列35,33,35に供給させることができる。以上より、中央濃バーナ部3aとして短手方向の厚みを比較的薄いもので実現して、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列を実現する濃淡燃焼バーナとしてコンパクトなもので実現することができるようになる。
<他の実施形態>
前記実施形態では、中央濃バーナ部3aの下端部側に切欠凹部60cを形成することで、第2,第3連通孔41,41が短手方向において何も遮るものが無い状態で筒部38の空間のみを介して相対向して開口するようにしているが、これに限らず、前記の切欠凹部60cを形成することは必須ではない。例えば図15に示すように、中央濃バーナ部を構成する第3プレート部材6dの下端部60dを一直線状に延びるように形成したとしても、その下端部60dの前端部60eを筒部38d内に突出させて第1連通孔61を筒部38d内に臨んで開口させつつ、第2,第3連通孔41(図15には片側のみ示す)の相対向間を下端部60dが遮ることなく第2,第3連通孔41が筒部38d内の空間のみを介して相対向した状態にすることができる。すなわち、筒部38dを前端側(図15の左側)から後端側(同図の右側)に向けて斜め下り勾配となるように傾斜させる一方、前記の下端部60dをその前端側(図15の左側)から後端側(同図の右側)に向けて斜め上り勾配となるように逆向きに傾斜させるようにするのである。なお、同図には淡混合気導入通路である筒部36も、濃混合気導入通路である筒部38dと同様に傾斜させた状態を図示しているが、これは傾斜させても水平に延びるようにしてもいずれでもよい。
又、前記実施形態では、第2,第3連通孔41,41を短手方向に相対向するように配置しているが、これに限らず、正確に短手方向に相対向する必要はなく、又、正確に相対向配置になっている必要もない。第2,第3連通孔の間に遮るものが存在しない状態で対面した状態に、第2,第3連通孔が配置されていればよい。
さらに、前記実施形態では、第3プレート部材6の下端部60bとして傾斜状態に形成しているが、これに限らず、第3プレート部材自体を第2プレート部材の内部において斜めに配置することで、その下端部が筒部36により構成される淡混合気導入通路に対し斜め状態(例えば図7参照)に位置付けられるようにしてもよい。