ところで、特許文献1や特許文献2で提案のものの如く一列の淡炎孔の両側に濃炎孔をそれぞれ配置して淡炎孔を単に両側から挟んだだけの濃淡燃焼バーナではなくて、さらに淡炎孔の中心線上に延びるように一列の濃炎孔を追加することで短手方向(幅方向)において例えば濃−淡−濃−淡−濃というような配列で濃炎孔と淡炎孔とが交互に並ぶ構成の濃淡燃焼バーナの開発を本出願人において進めている。この場合の組立法として、図20に例示するように各種の形成部材を互いに組み付けることで濃淡燃焼バーナを組み立てるようにする方向で開発を進めている。すなわち、金属板素材を用いてプレス加工及び折り曲げ加工を経て所定形状に加工された4種類の形成部材を用いて組み立てるようにする。例えば、一対のものを相対向させて接合することで上端に細長く開口し相対向間に淡混合気の通路や等を区画形成した第1形成部材400,400と、互いに接合させた第1形成部材400,400の両外側からさらに被せることで間に両外側位置に濃混合気の通路や上端にスリット状の濃炎孔を区画形成する一対の第2形成部材500,500と、1枚ものを折り曲げて接合することで相対向間に濃混合気の通路やスリット状の濃炎孔が区画形成され、前記第1形成部材400,400の上端開口の幅方向中心位置に上から装入することで中央位置の濃炎孔を形成する第3形成部材600と、前記第1形成部材400,400の上端開口に対し第3形成部材600の両外側位置に上から装入することで中央の濃炎孔を挟んで両側位置に淡炎孔を形成するための第4形成部材700,700とを用いるのである。以上により、幅方向中央位置において第3形成部材600により中央の濃炎孔を有する中央濃バーナ部が形成され、第1形成部材400,400及び第4形成部材700,700により両側位置に淡炎孔を有する淡バーナ部が形成され、さらに第2形成部材500,500により両外側位置の濃炎孔を有する外側濃バーナ部が形成されることになる。
しかしながら、図20に示す例の組立法では特に第4形成部材700の組み付けにおいて次のような不都合の発生が考えられる。すなわち、互いに接合された状態の第1形成部材400,400の上端開口内であって、その幅方向中央位置に第3形成部材600を装入して区画される幅方向両側の細長い隙間に対し、それぞれ第4形成部材700を上から装入して組み付ける際に、特に不都合が発生すると考えられる。かかる一対の第4形成部材700,700は淡炎孔を形成するための部材であるが、互いに同じ形状ではあるものの、第3形成部材600の幅方向両側位置に対し装入する際には相対向した向きの状態で入れて組み付ける必要があるため、つまり方向性があるため、かかる組み付けの際に人為的間違いが生じ易くなったり、作業性が低下し易くなったりする。
又、第1形成部材400,400、第2形成部材500,500及び第3形成部材600は、それぞれの前後方向端縁同士を挟み付けた状態で組み付けるのに対し、第4形成部材700は上端開口に対し上から装入することで組み付けるものであるため、第3形成部材600の中央濃炎孔及び両外側の第2形成部材500,500による外側濃炎孔とに対する幅方向、前後方向及び上下方向の各方向の相対位置関係において、特に狂いや誤差が生じ易くなる。このような狂いや取付位置に誤差が生じると、濃炎孔と淡炎孔との間の相対位置関係が本来意図するものからずれてしまい、この結果、淡火炎を濃火炎により保炎するという所定の機能を発揮し得なくなるおそれがある。さらに、各第4形成部材700の両側面を、第3形成部材600及び第1形成部材400とに対し密着状態に組み付けることで、各第4形成部材700より形成される淡炎孔からの淡火炎と、幅方向両側で隣接する濃炎孔からの濃火炎との基部境界位置には何も流さないようにすべきところ、前記の狂いや取付位置に誤差に起因して密着性が阻害されて隙間が生じると、保炎性を損ねる結果を招くことに繋がる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に中央位置の濃炎孔を挟んで両側に淡炎孔が配列され、さらに淡炎孔の両外側にそれぞれ濃炎孔が配列されるよう各種の形成部材が組み立てられてなる濃淡燃焼バーナにおいて、2列の淡炎孔を形成するための部材の組み付けの容易化・確実化を図りつつも、その形成部材を他の形成部材との相対位置関係において左右,前後,上下の各方向に対し正確に組立し得る濃淡燃焼バーナを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、短手方向中央位置において長手方向に延びるように配列された中央濃炎孔と、この中央濃炎孔を短手方向両側から挟むように配列された2列の淡炎孔と、この両側の淡炎孔をさらに外側から挟むように配列された2列の外側濃炎孔とを備えてなる濃淡燃焼バーナを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記中央濃炎孔を形成する部材に対し上から装入されることで組み付けられる、前記2列の淡炎孔を形成するための炎孔形成部材を備えることとした。そして、前記炎孔形成部材として、各列の淡炎孔を形成するための一対の炎孔形成部と、この一対の炎孔形成部の上端側又は側端側の部位同士を互いに連結する少なくとも1つの架橋部とを備えたものとし、前記架橋部によって、前記一対の炎孔形成部が前記中央濃炎孔を形成するための部材を短手方向両側から挟み付けるよう短手方向に所定の間隔で相対向した状態に、予め一体に保持されてなるものとした(請求項1)。
本発明の場合、一対の炎孔形成部を架橋部により互いに連結して予め一体化した炎孔形成部材を用い、これを、中央濃炎孔を形成する部材に対し上から装入することで組み付けられるようにしたため、炎孔形成部が互いに独立して形成されて別部材とされ、前記中央濃炎孔を形成する部材に対する組み付けも独立して個別に行うようにする場合と比べ、上下逆に組み付けようとしたり、中央濃炎孔の形成部材に対する向きを取り違えたりするという組み付け時の間違いを無くし、それに起因する組み付け作業性の低下を招くことを回避し得る。さらに一対の炎孔形成部を1回の組み付け作業により同時に組み付けることが可能となり、前記の組み付け作業性をより一層向上させ得ることになる。その上に、一対の炎孔形成部の相対間隔が予め確実に所定のものに維持された状態に保持されているため、中央濃炎孔を形成するための部材を挟み付けて組み付けた状態が、炎孔形成部が独立かつ個別に形成されている場合に比して、より均質なものとなる。このため、中央濃炎孔を形成するための部材と、これを両側から挟む各炎孔形成部材との間の互いの密着性をより均一かつ確実なものにすることが可能となる。これにより、混合気の漏出防止等のためのシール性の確実化が図られ、濃淡燃焼状態における保炎性を良好なものに維持することが可能となる上に、特に短手方向における位置決めの容易化及び確実化のみならず、短手方向に対しより正確な位置に組み付けることが可能となる。
本発明の濃淡燃焼バーナにおける架橋部として、前記一対の炎孔形成部の上端側部位において長手方向に間隔を開けて複数位置にそれぞれ形成することができる(請求項2)。このようにすることにより、一対の炎孔形成部を、中央濃炎孔を形成する部材に対し、より安定した状態で組み付けることが可能となる。
又、本発明の濃淡燃焼バーナにおける架橋部として、前記中央濃炎孔を形成するための部材に対し、この形成部材の上端縁を上から跨った状態で当接するように形成することができる(請求項3)。このようにすることにより、一対の炎孔形成部により形成される淡炎孔を、中央濃炎孔に対し、確実に所定の上下方向相対位置に位置付けることが可能となる。
本発明の濃淡燃焼バーナにおける架橋部として短手方向に延びる帯板状に形成し、前記中央濃炎孔を形成するための部材の上端縁に対し前記架橋部が上から内嵌するための嵌合溝を形成し、この嵌合溝に前記架橋部が内嵌することにより前記炎孔形成部材が長手方向への移動を規制された状態に組み付けられたものとすることができる(請求項4)。このようにすることにより、炎孔形成部材の組み付けに際し、長手方向における位置決めの容易化及び確実化が共に図られる上に、長手方向に対する位置ずれの発生が確実に阻止された状態で組み立て得ることになる。
本発明の濃淡燃焼バーナにおける架橋部として、その上面が上下方向に対し前記中央濃炎孔の上面と同じか下側に位置付けられたものとすることができる(請求項5)。このようにすることにより、濃淡燃焼バーナの燃焼作動時における架橋部自体の焼け現象の発生が回避され、焼け現象の発生に起因する濃淡燃焼状態の保炎性の悪化を回避し得るようになる。
さらに、本発明の濃淡燃焼バーナにおいて、炎孔形成部材として、架橋部を挟んで両側に前記炎孔形成部を形成するための少なくとも2つの帯状プレート部が部分的に連結された展開状態の1枚物の炎孔形成素材を用い、この炎孔形成素材を前記架橋部及び帯状プレート部の連結位置において折り曲げて、一体に形成することができる(請求項6)。このようにすることにより、本発明の炎孔形成部材を量産体制にて容易かつ確実に製造し得ることとなり、本発明の作用をより容易に得られるようになる。
以上、説明したように、本発明の濃淡燃焼バーナによれば、炎孔形成部が互いに独立して形成されて別部材とされ、前記中央濃炎孔を形成する部材に対する組み付けも独立して個別に行うようにする場合と比べ、上下逆に組み付けようとしたり、中央濃炎孔の形成部材に対する向きを取り違えたりするという組み付け時の間違いを無くすことができ、それに起因する組み付け作業性の低下を招くことを回避することができる。さらに一対の炎孔形成部を1回の組み付け作業により同時に組み付けることができ、前記の組み付け作業性をより一層向上させることができる。その上に、架橋部によって一対の炎孔形成部の相対間隔を予め確実に所定のものに維持された状態に保持させているため、中央濃炎孔を形成するための部材を挟み付けて組み付けた状態を、炎孔形成部が独立かつ個別に形成されている場合に比して、より均質なものとすることができる。このため、中央濃炎孔を形成するための部材と、これを両側から挟む各炎孔形成部材との間の互いの密着性をより均一かつ確実なものにすることができる。このことにより、混合気の漏出防止等のためのシール性の確実化(メタルシール)を図ることができ、濃淡燃焼状態における保炎性を良好なものに維持することができる上に、特に短手方向における位置決めの容易化及び確実化のみならず、短手方向に対しより正確な位置に組み付けることができるようになる。
特に、請求項2によれば、架橋部として、一対の炎孔形成部の上端側部位において長手方向に間隔を開けて複数位置にそれぞれ形成することで、一対の炎孔形成部を、中央濃炎孔を形成する部材に対し、より安定した状態で組み付けることができるようになる。
又、請求項3によれば、架橋部として、中央濃炎孔を形成するための部材に対し、この形成部材の上端縁を上から跨った状態で当接するように形成することで、一対の炎孔形成部により形成される淡炎孔を、中央濃炎孔に対し、確実に所定の上下方向相対位置に位置付けることができるようになる。
請求項4によれば、架橋部として短手方向に延びる帯板状に形成し、中央濃炎孔を形成するための部材の上端縁に対し前記架橋部が上から内嵌するための嵌合溝を形成し、この嵌合溝に前記架橋部が内嵌することにより前記炎孔形成部材が長手方向への移動を規制された状態に組み付けられるようにすることで、炎孔形成部材の組み付けに際し、長手方向における位置決めの容易化及び確実化を共に図ることができる上に、特に長手方向に対する位置ずれの発生を確実に阻止された状態に組み立てることができるようになる。
請求項5によれば、架橋部として、その上面が上下方向に対し前記中央濃炎孔の上面と同じか下側に位置付けられるようにすることで、濃淡燃焼バーナの燃焼作動時における架橋部自体の焼け現象の発生を回避することができ、焼け現象の発生に起因する濃淡燃焼状態の保炎性の悪化を回避することができるようになる。
さらに、請求項6によれば、炎孔形成部材として、架橋部を挟んで両側に炎孔形成部を形成するための少なくとも2つの帯状プレート部が部分的に連結された展開状態の1枚物の炎孔形成素材を用い、この炎孔形成素材を前記架橋部及び帯状プレート部の連結位置において折り曲げて、一体に形成することで、本発明の炎孔形成部材を量産体制にて容易かつ確実に製造することができるようになり、本発明の以上の効果をより容易に得ることができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る濃淡燃焼バーナを適用した燃焼装置2を示す。この燃焼装置2は、缶体21内において、所定数の濃淡燃焼バーナ3,3,…を横に隣接させて並べた状態のバーナセットが固定されたものである。缶体21の上部空間は燃焼空間22とされ、下部空間23に送風ファン24からの燃焼用空気が供給される一方、各濃淡燃焼バーナ3の一側にガスマニホールド25(図1(b)にのみ示す)が配設され、このガスマニホールド25から濃淡燃焼バーナ3毎に2つのガスノズル26,27が突出されている。一方(下段)のガスノズル26は濃淡燃焼バーナ3の第1供給口31に向けて、他方(上段)のガスノズル27は濃淡燃焼バーナ3の第2供給口32に向けて、それぞれ燃料ガスを噴出させ得るようになっている。そして、下部空間23からの空気を各ガスノズル26,27の周囲から送風ファン24の吐出圧により押し込んで、燃料ガス及び空気の双方を第1及び第2供給口31,32に供給し得るようになっている。この際、第1供給口31は第2供給口32よりもかなり大径に設定されて、より多くの空気を押し込むようにされる一方、第2供給口32は比較的小径に設定されて、押し込む空気の量が絞られるようにされている。このようにして、第1供給口31からは供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも大きい所定の空気比となる量の空気が内部に供給される一方、第2供給口32からは同様に供給される燃料ガスに加え、その燃料ガス量に比して1.0倍よりも小さい所定の空気比となる量の空気が内部に供給されるようになっている。なお、下部空間23と濃淡燃焼バーナ3,3,…とを仕切るように配設された整流板28(図1(b)参照)には多数の小孔が開けられ、この小孔を通して相隣接する濃淡燃焼バーナ3,3間に二次空気が供給されるようになっている。
濃淡燃焼バーナ3は、図2に示すように、金属板素材を用いてプレス加工及び折り曲げ加工を経て所定形状に加工されたものである。すなわち、濃淡燃焼バーナ3は、1列の濃炎孔列33からなる中央濃バーナ部3aと、2列の淡炎孔列34,34からなる淡バーナ部3bと、2列の濃炎孔列35,35からなる外側濃バーナ部3cとを備えて全体として扁平形状に形成されたものであり、これらが3種類のプレート部材4,4、5,5、6と、炎孔形成部材7とを用いて形成されたものである。図3の上下方向を長手方向(前後方向)、図3の左右方向を短手方向(幅方向)というとすれば、長手方向一側(図2の左側)において下側位置に第1供給口31が開口し、上側位置に第1供給口31よりも小径の第2供給口32が開口され、上端面に燃焼火炎が形成される複数の炎孔列が図3に示すように長手方向に延びるように形成されている。炎孔列としては、図3(a),(b)に示すように、短手方向中央位置において狭幅の1列の濃炎孔列33が長手方向全長に延び、この濃炎孔列33の短手方向両側位置のそれぞれにおいて比較的広幅の淡炎孔列34が長手方向全長に延び、両側の淡炎孔列34,34のさらに外側位置においてそれぞれ狭幅の濃炎孔列35が長手方向全長に延びている。そして、淡炎孔列34,34の各淡炎孔341には第1供給口31(図2参照)から供給されて混合された淡混合気が導かれ、この淡混合気によりそれぞれ淡火炎が形成され、中心位置の濃炎孔列33の各濃炎孔331と、両外側位置の2列の濃炎孔列35,35の各濃炎孔351とには第2供給口32(図2参照)から供給されて混合された濃混合気が導かれ、この濃混合気によりそれぞれ濃火炎が形成されるようになっている。
このような濃淡燃焼バーナ3は、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、図4及び図5に示すように、3種類のプレート部材4,4、5,5、6と、一対の炎孔形成部71,71が少なくとも1つ(図例では2つ)の架橋部72,72により一体に連結された炎孔形成部材7とを用いて構成する。第3プレート部材6(図6参照)は、金属板素材に対し相対向する一側面になるプレート部65と、他側面になるプレート部65とが、折り曲げ線Tを挟んで線対称配置に配置された状態になるように一枚物のプレート素材6aとしてプレス成形され、成形後に、折り曲げ線Tを中心にして両側のプレート部65,65を共に内向き(一点鎖線の矢印の向き)に相対向させるように折り曲げて、後端縁651,651同士や前端縁652,652同士を互いに密着させることで形成されている。折り曲げ後の状態では、折り曲げ線Tに沿った折り曲げ部位が下端部60a,60bとなり、この下端部60a,60bから上方に延びる両側のプレート部65,65が所定の狭い間隔で相対向し、その内面間に濃混合気の供給通路が形成されて上端面の濃炎孔列33に連通されるようになっている(図4も併せて参照)。又、前記の折り曲げ線Tに沿って前端側位置の下端部60aにおいて両側のプレート部65,65に第1連通孔61がそれぞれ貫通形成されるとともに、前記の展開状態のプレート素材6a(図6参照)において略菱形の切欠開口601が第1連通孔61,61の後側位置において折り曲げ線Tを挟んで予め形成され、折り曲げられた状態で切欠凹部60c(図4も併せて参照)が形成されるようになっている。このようにして第3プレート部材6により中央濃バーナ部3aが形成されることになる。
そして、この中央濃バーナ部3aを一対の第1プレート部材4,4間の上端開口から内部に下方に差し込むことで、一対の第1プレート部材4,4の短手方向の相対向間の中央位置に中央濃バーナ部3aが配置され(図7参照)、第1プレート部材4,4の上端開口が中央濃バーナ部3aにより2つに区画された状態になる。そして、この2つに区画された上端開口内に炎孔形成部材7が下方に装入され、炎孔形成部材7を構成する一対の炎孔形成部71,71が中央濃バーナ部3aの濃炎孔列33を短手方向両側から囲んだ状態に組み付けられる。この組み付けの際、炎孔形成部材7の架橋部72,72を第3プレート部材6の濃炎孔列33に形成された凹状の嵌合溝332,332に内嵌させる。これにより、一対の炎孔形成部71,71の上端面に2列の淡炎孔列34,34(図3も併せて参照)が形成されて、淡バーナ部3bが形成されることになる。なお、炎孔形成部材7の製造方法及び組み付け構造等の詳細については後述する。第2プレート部材5,5は、淡バーナ部3bの第1プレート部材4,4の外側に被せられて(例えば図5参照)、上端側に外側の濃炎孔列35,35(図3参照)が形成されるとともに、各第2プレート部材5の内面と相対向する第1プレート部材4の外面との間に濃混合気が各濃炎孔列35まで供給される供給通路が区画形成され、これにより、外側濃バーナ部3c(図2,図3参照)が形成されることになる。
次に、図8,図9を参照しつつ淡混合気及び濃混合気の供給構造部分について説明する。なお、図8,図9において、メッシュ状のハッチングを付した部分は接合面であり、密接又は圧接により互いに密着され、加えて線状の溶着又は点付け溶接等も付加されて、密着状態が維持されている。前記の淡バーナ部3bにおいて、一側に開口する第1供給口31から供給された燃料ガスと空気とが筒部36内で混合されて淡混合気となり、この淡混合気が筒部36(図10,図11の点線の矢印を参照)を通して他側に送られ、他側から上側に向きを変え(図12の点線の矢印を参照)、一対の第1プレート部材4,4間の空間が第3プレート部材6の下端部60bによって区画形成(分割)された2つの内部空間37,37を通して、上端の各淡炎孔列34まで供給されるようになっている。前記の筒部36と内部空間37,37とにより淡混合気を2列の淡炎孔列34,34まで供給する淡混合気供給通路が構成される他、筒部36は第1供給口31から供給される燃料ガスと空気との混合室及び導入通路(淡混合気導入通路)の役割をも果たすようになっている。前記の第3プレート部材6が後述の第1濃混合気供給通路を区画形成するための形成部材を構成し、この第3プレート部材6によって、前記の淡混合気導入通路の下流側が二分(2つに分断)されて2つの淡混合気供給通路(内部空間37,37)が区画形成されるようになっている。
又、濃混合気については、上流端側である第2供給口32に供給される燃料ガスと空気とが筒部38内で混合されて濃混合気となり、この濃混合気が筒部38(図13も併せて参照)を通して下流端側である奥方(後方)の閉塞端381側まで導かれる間にさらに混合されることになる。そして、この濃混合気が中央濃バーナ部3a及び左右両側の外側濃バーナ部3c(図8のみ示す)のそれぞれに供給されるようになっている。すなわち、筒部38内には、中央濃バーナ部3aの前端側の下端部60aが上から差し込まれて筒部38内で宙に浮いた状態(図10又は図14も併せて参照)に突出した突出部として配設され、この突出部(下端部60a)において第1連通孔61,61が筒部38の内部空間である混合室の上方寄り位置(上側位置)で開口して、混合室と中央濃バーナ部3aの内部空間62とが連通されるようになっている。これにより、筒部38内の濃混合気は、両第1連通孔61,61及び内部空間62を通して濃炎孔列33に供給されることになる。
加えて、前記の両第1連通孔61,61の開口位置よりも下流側(閉塞端381側)位置において、筒部38を構成する一対の第1プレート部材4,4に第2,第3連通孔41,41(図11も併せて参照)が貫通形成されており、一側(図11の右側)の第2連通孔41により筒部38内の前記混合室が一側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間51と連通され、他側(図11の左側)の第3連通孔41により筒部38内の前記混合室が他側の第1プレート部材4と同じ側の第2プレート部材5との間の内部空間52と連通されている。これにより、筒部38内の濃混合気が第2連通孔41及び内部空間51を通して一側の濃炎孔列35に供給される一方、同様に筒部38内の濃混合気が他側の第3連通孔41及び内部空間52を通して他側の濃炎孔列35に供給されるようになっている。加えて、第2連通孔41及び第3連通孔41は第3プレート部材6の切欠凹部60c(図9参照)に臨む位置において短手方向に相対向して開口するように設定され、これにより、一対の第2,第3連通孔41,41が短手方向(幅方向)において何も遮ることのない筒部38内の空間を介して相対向して開口するようになっている(図11又は図13参照)。
なお、前記の筒部38は第2供給口32から供給される燃料ガスと空気とを混合するための混合室、及び、混合された濃混合気を導入するための濃混合気導入通路を構成する一方、前記の内部空間51,52,62は濃混合気を対応する濃炎孔列35,33,35に供給するための濃混合気供給通路を構成する役割をも果たすようになっている。つまり第2連通孔41に連通する内部空間51が第2濃混合気供給通路を構成し、第3連通孔41に連通する内部空間52が第3濃混合気供給通路を構成し、第1連通孔61,61に連通する内部空間62が第1濃混合気供給通路を構成する。
次に、図15及び図16を参照しつつ、炎孔形成部材7について詳細に説明する。炎孔形成部材7は、前述の如く、それぞれが1列の淡炎孔列34を構成する一対の炎孔形成部71,71が少なくとも1つ(図例では2つ)の架橋部72,72により両者の上端位置で橋渡しするように互いに連結されて一体化され、これにより、側面から見た形状又は横断面形状が一対の炎孔形成部71,71の間に所定の内幅の隙間Sを有し下方に開放した門形に形成されたものである。各炎孔形成部71は、プレス成形により所定の凹凸形状に成形された少なくとも2枚(図例では4枚)の帯状プレート部73,74,75,76が互いに重ね合わされて接合され、それらの相対向面間に前記凹凸形状に基づき濃混合気の通路が区画形成されるとともに、上端面に濃炎孔341(図15にのみ表れる)が開口するように形成されたものである。
前記の隙間Sの内幅は、第3プレート部材6により形成される中央濃バーナ部3aの短手方向の幅寸法に合致するように設定され、又、一対の炎孔形成部71,71の両側の外表面間の外幅が第1プレート部材4,4の短手方向の内幅(内面間隔)に合致するように設定されている。これにより、炎孔形成部材7の一対の炎孔形成部71,71を、第3プレート部材6と両側の第1プレート部材4,4との間の空間に対し上から装入すれば、各炎孔形成部71の最外側の表面(帯状プレート部73の外表面)710が第1プレート部材4の内面と密接する一方、各炎孔形成部71の最内側の表面(帯状プレート部76の外表面)711が第3プレート部材6の外面と密接し、互いの間を混合気が通り抜けないようにメタルシールされるとともに、一対の炎孔形成部71,71を第3プレート部材6を挟んで短手方向に対し確実に対称位置に位置決めされて、第3プレート部材6や第1プレート部材4,4に対し確実に所定位置に組み付け得るようになっている。
この点につき、さらに詳述すると、第3プレート部材6にはその各プレート部65の上端寄り位置の外側面に短手方向外側に膨出するリブ状の膨出部654(図4,図5も併せて参照)が長手方向全長に延びるように形成され、この膨出部654に前記の各炎孔形成部71の最内側の表面711が密接することになる。一方、第1プレート部材4にも短手方向内側に向けて膨出するリブ状の膨出部44が長手方向全長に延びるように形成され、この膨出部44に前記の各炎孔形成部71の最外側の表面710が密接することになる。これにより、前記のメタルシールが行われるとともに、各淡炎孔列34に形成される淡火炎と、これを挟んで中央濃炎孔列33及び外側濃炎孔35に形成される2列の濃火炎との間に、膨出部654,44の膨出量の相当する僅かな短手方向寸法分だけ、混合気の非噴出域を形成することができる。
又、前記の炎孔形成部材7の架橋部72,72を第3プレート部材6の中央濃炎孔列33が形成されている上端縁に上から跨るように当接させて組み付けることで、一対の炎孔形成部71,71を確実に所定の上下方向位置に組み付けることができるようになる。この点につき、本実施形態では、以下に説明するように、架橋部72,72の第3プレート部材6への当接によって、上下方向のみならず、長手方向に対する位置決めや、位置ずれを阻止した形態を採用している。すなわち、図17に詳細を示すように、前記の第3プレート部材6の中央濃炎孔列33には、前記炎孔形成部材7の各架橋部72の長手方向形成位置に対応する長手方向各位置に、各架橋部72の帯幅に対応する長手方向長さと、所定の深さを有する嵌合溝332(図4も併せて参照)が形成されており、この嵌合溝332に架橋部72を上から内嵌させることで、一対の炎孔形成部71,71を、第3プレート部材6や第1プレート部材4,4に対し、長手方向に対して位置ずれしないように保持された状態で、確実に所定の長手方向位置に組み付け得るようになっている。なお、前記の各嵌合溝332の深さを、架橋部72の肉厚と同等又はそれ以上に設定しており、架橋部72を内嵌させた状態では、架橋部72の上面が濃炎孔列33,35の各濃炎孔331,351と同一平面上又は下側位置に位置付けられるようになっている。これにより、濃淡燃焼バーナの燃焼作動時における架橋部72自体の焼け現象の発生を回避することができ、焼け現象の発生に起因する濃淡燃焼状態の保炎性の悪化を回避することができる。なお、図示を省略するが、架橋部72を、その上面が、各炎孔形成部71の上端面(帯状プレート部73〜76の上端面により形成される中央濃炎孔列33の各濃炎孔331の上端面)よりも下側位置になるように形成することで、前記の濃淡燃焼バーナの燃焼作動時における架橋部72自体の焼け現象の発生を、より一層確実に回避することができる。
さらに、第3プレート部材6の各プレート部65の上端寄り位置には、例えば図4又は図5に示すように、短手方向外側に突出する適宜数(図例では2つ)の突起655,655が形成されている。そして、前記の炎孔形成部材7の各炎孔形成部71が前記の如く上から装入されて架橋部72,72が前記の嵌合溝332,332に内嵌して組み付けられた状態で、前記の突起655,655(図16参照)が各炎孔形成部71の最内側の表面711に形成された凹部に嵌り込んで、各炎孔形成部71が上方に抜け出ないように抜け止めを果たすようになっている。
次に、以上のような構成の炎孔形成部材7の製造方法について説明する。図18は炎孔形成部材7の製造方法の例を示している。この例では、1枚物の金属板素材に対しプレス成形により所定の凹凸形状の形成や切断を行うことにより展開状態の炎孔形成素材7aを成型し、これをアコーディオン状に折り曲げることで炎孔形成部材7を形成するようにしている。すなわち、架橋部72,72を挟んで両側に炎孔形成部71,71となる成形部71a,71aが互いに対称配置で架橋部72,72により一体に接続されているように成形する。各成形部71aは、所定の凹凸形状を有する前記の帯状プレート部73〜76が細帯状の適宜数の連結部77,78,79により一体に接続されているように成形される。そして、架橋部72,72を挟んで両側の各成形部71aに対し互いに平行に設定された所定の折り曲げ線b1,b2,b3,b4位置でアコーディオン状に互い違いに折り曲げてゆき(図19も併せて参照)、隣接する帯状プレート部73,74、74,75、75,76同士を互いに接合することで、炎孔形成部材7を形成する。
そして、以上の濃淡燃焼バーナ3の場合、2列の淡炎孔列34,34のそれぞれを濃炎孔列35,33、又は、濃炎孔列33,35によって両側から挟み込んでいるため、両淡炎孔列34,34に形成される各淡火炎を両側から濃火炎により囲むことができるようになる。つまり、短手方向における火炎の構成を、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列順にすることができる。これにより、淡炎孔列34を2列にして淡炎孔列の面積を増大させるようにしても、淡火炎の火炎長が長くなることを回避して燃焼室22(図1参照)の燃焼室高さを低く抑えることができ、燃焼室高さを低く抑えつつも、淡炎孔の面積(比率)を増大させることによりさらなる低NOx化を図ることができ、又、燃焼のより安定化を図ることができるようになる。又、1つの淡炎孔列を両側から濃炎孔列により挟み込んで1つのバーナを構成した場合と比べ、同じ淡炎孔面積を実現する上で効率よくバーナの軽量化を図ることができるようになる。さらに、1つの燃料ガス及び空気の供給口(第2供給口32)から筒部38内に導入されて混合された濃混合気を、筒部38の閉塞端側の領域とそれぞれ連通して開口された中央濃バーナ部3aの第1連通孔61,61、一側の外側濃バーナ部35の第2連通孔41、又は、他側の外側濃バーナ35の第3連通孔41を通して対応する内部空間62,51,52に対し分流(分岐供給)させることができる。これにより、中央及び両外側に3つの濃炎孔列35,33,35を形成する場合であっても、濃混合気を簡単な構造でスムースかつ確実に分流させてそれぞれの濃炎孔列35,33,35に供給させることができる。以上より、中央濃バーナ部3aとして短手方向の厚みを比較的薄いもので実現して、濃火炎−淡火炎−濃火炎−淡火炎−濃火炎の配列を実現する濃淡燃焼バーナとしてコンパクトなもので実現することができるようになる。
さらに、以上の前提となる効果に加え、本実施形態では、炎孔形成部材7の構成及びその組み付け構造に基づいて、次のような効果を得ることができる。すなわち、一対の炎孔形成部71,71を架橋部72,72により互いに連結して予め一体化した炎孔形成部材7を用い、これを第3プレート部材6や第1プレート部材4,4に対し組み付けるようにしたため、炎孔形成部71,71が互いに独立して形成されて別部材とされ、第3プレート部材6や第1プレート部材4,4に対する組み付けも独立して個別に行うようにする場合(例えば図20に示す場合)と比べ、上下逆に組み付けようとしたり、第3プレート部材6の側に向けるべき面を取り違えたりするという組み付け時の間違いを無くすことができ、組み付け作業性の低下を招くことを回避することができる。さらに一対の炎孔形成部71,71を1回の組み付け作業により同時に組み付けることができめため、前記の組み付け作業性をより一層向上させることができる。
又、一対の炎孔形成部71,71を短手方向に延びる架橋部72,72によって予め一体化した炎孔形成部材7を用いているため、一対の炎孔形成部71,71の相対間隔を予め確実に所定のものに維持させた状態にすることができる。このため、第3プレート部材6や第1プレート部材4,4に対する組み付け後の状態も、より均質なものにすることができ、各炎孔形成部材71と、これを挟む第3プレート部材6や第1プレート部材4との間の互いの密着性をより均一かつ確実なものにすることができる。これにより、混合気の漏出防止等のためのシール性の確実化(メタルシール)を図り濃淡燃焼状態における保炎性を良好なものに維持することができる上に、特に短手方向(幅方向)における位置決めの容易化及び確実化を共に図ることができる。
さらに、架橋部72,72を第3プレート部材6に対し上から跨るように当接させることで、第3プレート部材6の中央濃炎孔列33に対する炎孔形成部材7による一対の淡炎孔列34,34の上下方向位置を確実に所定のものに位置付けることができる。その上に、各架橋部72を第3プレート部材6の嵌合溝332に対し内嵌させて組み付けることで、長手方向(前後方向)における位置決めの容易化及び確実化を共に図ることができる上に、長手方向に対する位置ずれの発生を確実に阻止された状態で組み立てることができる。以上により、濃淡燃焼バーナの量産ラインにおいても、それぞれ淡炎孔列34を形成する一対の炎孔形成部71,71からなる炎孔形成部材7を、中央濃炎孔列33を形成する第3プレート部材等の他の形成部材との相対位置関係において、短手方向(左右の幅方向),長手方向(前後方向),上下方向の各方向に対し正確な位置に組み立てることができる。
<他の実施形態>
前記実施形態では、架橋部72を一対の炎孔形成部71,71の上端位置に配置しているが、これに限らず、上端位置の架橋部72,72に代えて、例えば、一対の炎孔形成部71,71の長手方向両側端位置に架橋部を配置するようにすることができる。
又、中央濃炎孔331からなる中央濃炎孔列33と、これを短手方向両側から挟むそれぞれ淡炎孔341からなる一対の淡炎孔列34,34と、さらに、各淡炎孔列34を外側から挟むように配列された外側濃炎孔351からなる外側濃炎孔列35とを備えた濃淡燃焼バーナであれば、前記実施形態で示した炎孔形成部材7を、炎孔形成部材7に関係する構成を除き、前記実施形態以外の構造の濃淡燃焼バーナに対し適用することができる。