JP5625131B1 - スリップリング及びスリップリングの製造方法 - Google Patents

スリップリング及びスリップリングの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電層の分断を行うことなしに環状電極を小型化、高密度化することが可能なスリップリングとそのスリップリングの製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るスリップリング80及びスリップリングの製造方法は、環状電極32と導電層39とを繋ぐランド電極33を、他方の環状電極32側のスルーホール周縁部38aを越えないように形成する。そして、このスルーホール周縁部38aを絶縁被膜35で被覆する。これにより、環状電極32の間隔を狭めても両環状電極32間の絶縁を十分に確保することができる。そして、導電層39の分断を行うことなしに環状電極32を小型化、高密度化することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、回転機構における配線接続手段として使用するスリップリング及びそのスリップリングの製造方法に関するものである。
産業用ロボット、搬送装置、遊技機、監視カメラの雲台など、回転機構を有する機械機器が数多く使用されている。これら回転機構を有する機械機器では、固定部側と回転部側との間で電力供給や信号伝達を行う場合が多い。そして、特に回転部が連続回転動作等を行う場合には、固定部側と回転部側との配線接続をスリップリングを用いて行うことが一般的である。このスリップリングを用いた配線接続では両側からの電気配線を摺動子の接触導通を用いて接続する。このため回転部分におけるケーブルの取り回しが不要となり、極めて自由度の高い回転動作が可能となる。
そして、これらスリップリングに対しても他の電子部品と同様、更なる小型化が要求されている。また、スリップリングの環状電極には導電性と耐摩耗性に優れた金メッキを用いることが多い。しかしながら、近年の金価格の高騰により、この金メッキの量がスリップリングの材料コストを増大させる一つの要因となっている。従って、環状電極を小型化することは金メッキの使用量の削減に繋がり、材料コストの低減の観点からも好ましい。
これらのスリップリングの小型化の要求に対し、本願発明者らは下記[特許文献1]に記載の発明を行った。この[特許文献1]に記載の発明では、スリップリングの環状電極を裏面の引出し電極に導通させるスルーホールを、内外の環状電極にかかるように形成する。そして、このスルーホール内壁の導電層を両側の環状電極の間で分断し、この分断した導電層を介して両側の環状電極と対応する引出し電極とをそれぞれ導通させる。これにより、環状電極の間隔を狭めスリップリングの更なる小型化、高密度化を実現することができる。
特許第5279960号公報
上記のように[特許文献1]に記載の発明では、スルーホール内壁の導電層を2つに分断する。そして、この導電層の分断はエンドミルによる切削加工機により行われる。しかしながら、スルーホール内壁の導電層の分断には、スルーホール径(直径0.5mm〜0.6mm)よりも細いエンドミルを使用する必要がある。このような、極めて細いエンドミルは高価であることに加え加工時の摩耗が激しく、製造コストの増大を招くという問題点がある。
また、従来のスリップリングにおける摺動子の固定は、樹脂製のロータに固定突起を設け、この固定突起に摺動子の固定孔を嵌入した上でかしめることで行われてきた。この摺動子の固定方法は、ある程度の大きさのスリップリングに対しては有効である。しかしながらスリップリングを小型化した場合、樹脂成型では固定突起を高い位置精度で形成することが難しく、摺動子が環状電極からズレて固定されてしまう場合があり、これがスリップリングの小型化、高密度化を妨げる一つの要因となっていた。また、この手法による摺動子の固定は細かな作業を要するため作業効率が悪く、製造コストが増大するという問題点があった。
さらに、スリップリング等の部品を遊戯機器に使用する場合、各パーツ毎に警察の承認が必要となる。これは、単にケーブルの長さを変えた場合でも再承認が必要とされるため、従来のケーブルが固定されたスリップリングでは、承認後にケーブル長を変えることができないという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、導電層の分断を行うことなしに環状電極を小型化、高密度化することが可能なスリップリングとそのスリップリングの製造方法を提供することを目的とする。また、摺動子を高精度且つ容易に取り付けることが可能なスリップリングとそのスリップリングの製造方法を提供することを目的とする。さらに、ロータにケーブルを着脱可能とし、ロータとケーブルとを別部材としたスリップリングとそのスリップリングの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)回転機構の回転軸が嵌入する軸孔44を備えたロータ40と、
前記ロータ40を回転可能に収容するケース部20と、
ロータ側の面に前記軸孔44と略同心円状で径の異なる複数の環状電極32を有し、他方の面に前記環状電極32と一対一対応する引出し電極34を有するベース基板30と、
前記ベース基板30の前記環状電極32間に穿孔され、前記環状電極32の一方と前記引出し電極34とを内壁に形成された導電層39を介して導通させるスルーホール38と、
前記環状電極32に形成され前記導電層39と前記一方の環状電極32(32a)とを導通させるランド電極33と、
前記ロータ40に設置され前記環状電極32と接触導通する摺動子50と、を備えたスリップリング80において、
前記ランド電極33は、前記スルーホール38の周縁部のうち、前記一方の環状電極32(32a)から遠い側のスルーホール周縁部38aを越えないよう形成され、さらに前記スルーホール周縁部38aを覆う絶縁被膜35を備え
さらに、ロータ40が、ロータ基板40aと前記ロータ基板40aを保持するロータホルダ部40bと、を有し、
前記ロータ基板40aは、前記摺動子50と導通する摺動子接続電極(60a、60b、60c)と、前記摺動子50の固定時に位置決めを行う基板側位置決め孔60dと、を有し、
前記摺動子50は前記基板側位置決め孔60dと対応する摺動子側位置決め孔50cを有することを特徴とするスリップリング80を提供することにより、上記課題を解決する。
)ロータ基板40aが摺動子接続電極と導通するケーブルコネクタ46を備え、
ロータホルダ部40bが前記ケーブルコネクタ46を裏面側に露出させるコネクタ開口部47を有し、
ケース部20は前記ケーブルコネクタ46が回転可能な大きさの開口部(ロータ受22の開口部)を備え、
摺動子50が前記ケーブルコネクタ46に着脱可能に接続したロータケーブルを介して回転機構の回転部と電気的に接続することを特徴とする上記()記載のスリップリング80を提供することにより、上記課題を解決する。
ケース部20側に設置されるベース基板30を製造する工程として、
両面に導電金属箔5a、5bを有する基板3にスルーホール38を穿孔する工程と、
前記スルーホール38の内壁に導電層39を形成する工程と、
前記導電層39の形成されたスルーホール38に穴埋樹脂7を充填する工程と、
前記基板3の一面側の導電金属箔5aに前記スルーホール38を挟み且つ略同心円状で径の異なる複数の環状電極32のレジストパターン6aと、前記環状電極32のレジストパターン6aの一方と前記導電層39とを繋ぐランド電極33のレジストパターン6a’と、を形成する工程と、
前記レジストパターン6a、6a’から露出した導電金属箔5a、5bを除去する工程と、
前記レジストパターン6a、6a’と前記穴埋樹脂7とを除去する工程と、
前記スルーホール周縁部38aを覆う絶縁被膜35を形成する工程と、を有し、
前記ランド電極33のレジストパターン6a’は、前記スルーホール38の周縁部のうち、前記一方の環状電極32(32a)のレジストパターンから遠い側のスルーホール周縁部38aを越えないよう形成し、
ロータ40側に設置されるロータ基板40aを製造する工程として、
ロータ基板40aの所定の位置に基板側位置決め孔60dを穿孔する工程と、
摺動子側位置決め孔50cを有する摺動子50を作製する工程と、
ロータ基板40a上に摺動子50を固定する工程と、を有し、
ロータ基板40a上に摺動子50を固定する工程は、所定の位置に複数配列した位置決めピン9に前記ロータ基板40aの基板側位置決め孔60dを挿入して保持し、次いで前記位置決めピン9に前記摺動子50の摺動子側位置決め孔50cを挿入することで前記摺動子50を前記ロータ基板40a上の所定の位置に保持し、この状態を維持したまま前記摺動子50を前記ロータ基板40a上に形成された摺動子接続電極にハンダ付けして固定する手順を有することを特徴とするスリップリングの製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明に係るスリップリング及びスリップリングの製造方法によれば、導電層の分断を行うことなしに、環状電極の間隔を狭めることが可能となる。これにより、スリップリングを小型化、高密度化することができる。また、スリップリングの環状電極を小型化、高密度化することで、環状電極に施す金メッキの量を低減することができる。これにより、金メッキに係る材料コストを低減することができる。
また、本発明に係るスリップリング及びスリップリングの製造方法によれば、摺動子をロータ基板を介して固定することで摺動子を高精度且つ容易に取り付けることができる。これにより、スリップリングの環状電極を小型化、高密度化することができる。また、摺動子の固定に関する製造コストを低減することができる。
また、本発明に係るスリップリング及びスリップリングの製造方法によれば、ロータにケーブルコネクタを設置し、このケーブルコネクタにロータケーブルを着脱可能に接続する。これにより、ロータケーブルとスリップリングとを別部品とすることができ、遊戯機器に使用する場合の承認をロータケーブルを除いたスリップリング本体部分で得ることができる。これにより、ロータケーブルの長さ変更を比較的容易に行うことができる。
本発明に係るスリップリングを示す図である。 本発明に係るスリップリングのベース基板を示す図である。 本発明に係るスリップリングの環状電極のスルーホール部の拡大図である。 本発明に係るスリップリングのベース基板の製造方法の工程フローチャートである。 本発明に係るスリップリングのベース基板の製造方法を説明する図である。 本発明に係るスリップリングのベース基板の製造方法を説明する図である。 本発明に係るスリップリングのロータ基板を示す図である。 本発明に係るスリップリングの摺動子の固定方法を説明する図である。
本発明に係るスリップリング80及びスリップリングの製造方法の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1(a)は本発明に係るスリップリング80をベース基板30側から見た図である。また、図1(b)は本発明に係るスリップリング80をケース部20側から見た図である。また、図1(c)はベース基板30を外した状態のスリップリング80の内部を示す図である。また、図1(d)はスリップリング80の模式断面図である。尚、ここでは6極のスリップリングを例に説明を行うが、スリップリングの極数に特に限定は無く、本発明は如何なる極数のスリップリングに対しても適用が可能である。
本発明に係るスリップリング80は、回転機構の回転軸が嵌入する軸孔44を備えたロータ40と、ロータ40を回転可能に収容するケース部20と、複数の環状電極32が形成されたベース基板30と、ロータ40に設置されベース基板30の環状電極32と接触導通する摺動子50と、を有している。
ケース部20は例えば合成樹脂製でモールド成型等により製造され、内側にロータ収容部21を有している。そして、ロータ収容部21の一面側にはベース基板30が設置され、他面側にはロータ40の径よりも小径のロータ受22が形成される。このロータ受22の開口部はロータ40に設置されたケーブルコネクタ46及びこのケーブルコネクタ46に接続したロータケーブルが無理なく回転できる十分な大きさを有している。
また、ロータ40はロータ基板40aと、このロータ基板40aを保持するロータホルダ部40bとで構成される。ロータホルダ部40bは例えば合成樹脂製でモールド成型等により製造され、中心部には軸孔44を有する軸孔部42が双方に突出して形成されている。また、ロータホルダ部40bの一方の面にはロータ基板40aを固定するロータ基板設置面が形成され、他方の面にはロータ受22に回転可能に嵌入する環状壁43が形成されている。また、ロータホルダ部40bにはロータ基板40aに設置されたケーブルコネクタ46を裏面側に露出させるコネクタ開口部47が形成されている。
摺動子50は、弾性を有する金属薄板で形成されており、ロータ基板40aに環状電極32と同数設置される。また、摺動子50は摺動部50aと固定部50bとで主に構成され、摺動部50aと固定部50bとは所定の角度で屈曲している。そして、摺動部50aはこの屈曲部の弾性力によりベース基板30側に付勢される。また、摺動子50の固定部50bにはロータ基板40aへの固定時の位置決めに用いられる摺動子側位置決め孔50cが複数形成されている。
次に、本発明に係るスリップリング80のベース基板30を図2を用いて説明する。ここで、図2(a)はベース基板30のロータ40側の面(ロータ面)を示す図であり、図2(b)はその裏面である外面側を示す図である。尚、図2(a)においては、後述の絶縁被膜35の図示は省略する。
ベース基板30は、図2に示すように、中央部にロータ40の軸孔部42が回転可能に嵌入するロータ孔36を有し、ロータ面にロータ孔36(軸孔44)と略同心円状で径の異なる複数の環状電極32がスリップリング80の極数(本例では6つ)形成されている。また、ベース基板30の外面側には環状電極32と一対一対応する引出し電極34が環状電極32と同数形成されている。そして、環状電極32の間には環状電極32と引出し電極34とを接続するスルーホール38が穿孔されている。尚、本例ではスルーホール38を一つの環状電極32に対して3個ずつ形成する例を示しているが、このスルーホール38の個数に特に限定は無く、如何なる個数としても良い。スルーホール38の個数を多くした場合、導通に寄与する導電層の体積が増大するため電気抵抗が減少し、損失の低減と許容電流の向上とを図ることができる。ただし、スルーホール38の個数が過剰な場合には基板強度の低下の要因となるため、その個数は2個から6個程度が好ましい。また、本例ではロータ面側にコネクタ12を接続する例を示している。よって、外面側の引出し電極34はスルーホール38’を介して再度ロータ面側の引出し電極34’に引き出され、この引出し電極34’にコネクタ12を接続している。
ここで、ベース基板30のスルーホール部分の拡大図を図3に示す。尚、図3(a)はロータ面側(環状電極側)から見たスルーホール部分の拡大図であり、図3(b)は外面側(引出し電極側)から見たスルーホール部分の拡大図である。また、図3(a)においては2本の環状電極32a、32bを図面の上方向から順に図示し、図3(b)においては図3(a)中の環状電極32aと導通する引出し電極34を図示した。
図3に示すように、スルーホール38は隣り合う2本の環状電極32a、32bの間に位置し、スルーホール38の内壁には導電層39が形成されている。そして、スルーホール38の導電層39はランド電極33を介して一方の環状電極32aと導通する。また、スルーホール38の導電層39は裏面側で引出し電極34と導通する。これにより、環状電極32aと引出し電極34とは、ランド電極33、導電層39を介して導通する。尚、ランド電極33は、一方の環状電極32aと導通するとともに、スルーホール38を挟んで環状電極32aの逆側に位置する他方の環状電極32bから離間して形成され、環状電極32bとは絶縁状態にある。
そして、本発明に係るスリップリング80のランド電極33は、スルーホール38の周縁部のうち、図3に示すように、導通する側の環状電極32aから遠い側のスルーホール周縁部38aを越えて他方の環状電極32b側にはみ出さないように形成する。尚、図3の例ではランド電極33の縁がスルーホール周縁部38aに接するように形成した例を示しているが、ランド電極33の縁をスルーホール周縁部38aよりも環状電極32a側にして、ランド電極33の縁がスルーホール38を横切るように形成しても良い。
また、ランド電極33上にはスルーホール周縁部38aを少なくとも覆う絶縁被膜35が形成される。この絶縁被膜35は、ランド電極33と他方の環状電極32bとの間の絶縁を向上させる機能を有する。そして、このランド電極33の位置・形状と絶縁被膜35の存在により、環状電極32a、32b間の絶縁は十分な値に維持される。これにより、例えばスルーホール周縁部38aから環状電極32bまでの距離を0.2mmとすることが可能となり、0.3mm径のスルーホール38を用いた場合、環状電極32a、32bの間隔を0.5mmとすることができる。これにより、導電層39の分断を行うことなしに環状電極32の小型化、高密度化を行うことができる。
次に、本発明に係るスリップリング80のベース基板30の製造方法を図4の工程フローチャート及び図5、図6を用いて説明する。尚、図5、図6の左側の各図は基板の環状電極形成面を図示したものであり、図5、図6の右側の各図はこれと対応した基板部分の模式断面図である。また、ここでは個別に切断される前の板状基板を単に基板と記述する。
先ず、図5(a)に示すように、両面に銅等の導電金属箔5a、5bを有する基板3の所定の位置にスルーホール38を穿孔する(ステップS100:穿孔工程)。スルーホール38の穿孔はドリル等の周知の穿孔手段を用いることができる。
次に、図5(b)に示すように、スルーホール38の内壁に銅等の導電金属で導電層39を形成する(ステップS102:導電層形成工程)。導電層39の形成は、例えばメッキ等の周知の製膜方法を用いることができる。
次に、図5(c)に示すように、導電層39の形成されたスルーホール38に穴埋樹脂7を充填し、導電層39を穴埋樹脂7で被覆する(ステップS103:穴埋工程)。尚、穴埋樹脂7は後述のレジストパターン形成時に使用する樹脂と同等の樹脂を用いることができる。
次に、図5(d)に示すように、基板3のロータ面側となる導電金属箔5a上に環状電極32(32a、32b)を形成するためのレジストパターン6aを周知の手法により形成する。また、ランド電極33を形成するためのレジストパターン6a’を周知の手法により形成する。さらに、外面側となる導電金属箔5b上に引出し電極34を形成するためのレジストパターン6bを周知の手法により形成する(ステップS104:レジスト工程)。尚、このときランド電極33のレジストパターン6a’は、他方の環状電極32b側のスルーホール周縁部38aを越えて他方の環状電極32b側にはみ出ないように形成する。
次に、図6(a)に示すように、例えば化学エッチング等の周知の手法を用い、レジストパターン6a、6a’、6bから露出した導電金属箔5a、5bを除去する(ステップS106:エッチング工程)。この際、導電層39は穴埋樹脂7で被覆されているため、ランド電極33のレジストパターン6a’がスルーホール38を完全に覆っていない状態でもエッチング液はスルーホール38内には浸入せず、よって導電層39が溶出することもない。
次に、周知の手法によりレジストパターンを除去する(ステップS108:レジスト除去工程)。このとき、スルーホール38に充填された穴埋樹脂7も同時に除去される。これにより、図6(b)に示すように、基板のロータ面側にランド電極33と環状電極32(32a、32b)が形成される。また、裏側に引出し電極34が形成される。
上記のようにして形成された環状電極32、引出し電極34上には、周知の手法により耐摩耗性の導電メッキ層(図示せず)が形成される。耐摩耗性導電メッキ層の材質としては、金、銀、パラジウム、ニッケル等が用いられ、中でも特に金が用いられる。
次に、図6(c)に示すように、スルーホール周縁部38aを少なくとも覆う絶縁被膜35を形成する(ステップS110:絶縁被膜形成工程)。この絶縁被膜35の形成は、周知の印刷法等により行うことができる。
次に、周知の切削手段により基板をベース基板30の形状に切り出す(ステップS112:切出し工程)。これにより、スリップリング80のベース基板30が完成する。このようにして作製されたベース基板30にはコネクタ12等の付属部品が周知の手法によりハンダ付けされる。
次に、本発明に係るロータ基板40aを図7を用いて説明する。ここで、図7(a)はロータ基板40aのベース基板30側の面を示す図であり、図7(b)は、この裏面を示す図である。また、図7(c)はロータ基板40aに摺動子50を設置した状態を示す図である。
ロータ基板40aは、図7に示すように、中央部にロータホルダ部40bの軸孔部42が嵌入するロータ孔36’を有し、ベース基板30側の面に摺動子50と導通する摺動子接続電極が環状電極32と同数形成されている。そして、摺動子接続電極は、接合部60aと位置決め部60bと引出し電極部60cとで主に構成され、位置決め部60bは摺動子50の固定時の位置決めに用いる基板側位置決め孔60dを有している。そして、摺動子50は、図7(a)、(c)に示すように、摺動子接続電極の位置決め部60bに摺動子50の固定部50bが配置され、摺動子接続電極の接合部60aと摺動子50の固定部50bの端部とがハンダ11で接合されることでロータ基板40a上に固定される。尚、摺動子接続電極の引出し電極部60cはスルーホール38’’を介して裏面(ロータホルダ部40b側の面)の引出し電極60c’と導通し、この引出し電極60c’にケーブルコネクタ46が設置される。
次に、ロータ基板40aの製造方法を説明する。先ず、ベース基板30の製造方法と同様に、両面に銅等の導電金属箔を有する基板の所定の位置にスルーホール38’’を穿孔する(穿孔工程)。次に、スルーホール38’’の内壁にメッキ等の周知の製膜方法により、導電金属の導電層を形成する(導電層形成工程)。次に、ベース基板30側の面に摺動子接続電極を形成するためのレジストパターンを周知の手法により形成する。また、ロータホルダ部40b側の面に引出し電極60c’を形成するためのレジストパターンを周知の手法により形成する(レジスト工程)。次に、例えば化学エッチング等の周知の手法を用い、レジストパターンから露出した導電金属箔を除去する(エッチング工程)。次に、周知の手法によりレジストパターンを除去する(レジスト除去工程)。これにより、ベース基板30側の面に摺動子接続電極が形成される。また、ロータホルダ部40b側の面に引出し電極60c’が形成される。
次に、基板両面に周知の手法を用いて保護被膜を形成する。このとき、接合部60a、スルーホール38’’及び、ケーブルコネクタ46の接続端子を除いて保護被膜を形成する(保護被膜形成工程)。次に、基板両面にハンダメッキを施す(ハンダメッキ形成工程)。これにより、保護被膜から露出した、接合部60a、スルーホール38’’の導電層、及びケーブルコネクタ46の接続端子に、ハンダ層が形成される。次に、周知の切削手段により基板をロータ基板40aの形状に切り出す(切出し工程)。この際、摺動子接続電極の位置決め部60bに基板側位置決め孔60dを穿孔する(基板側位置決め孔穿孔工程)。これにより、ロータ基板40aが完成する。尚、基板側位置決め孔60dの穿孔は、この切出し工程で行うのが好適であるが、特にこの工程で行う必要はなく、他の工程で行っても良い。
また、これと並行して所定の金属薄板をプレス等で打ち抜き成形して摺動子50を作製する。この際、摺動子50の固定部50bに摺動子側位置決め孔50cを形成する(摺動子作製工程)。
次に、ロータ基板40aに摺動子50を固定する(摺動子固定工程)。ロータ基板40aへの摺動子50の固定は図8に示す方法により行う。尚、図8においては、摺動子接続電極の引出し電極部60cの図示は省略する。
先ず、図8(a)はロータ基板40aのベース基板30側の面を示した斜視図である。このロータ基板40aには、前述したように摺動子接続電極の位置決め部60bに基板側位置決め孔60dが穿孔されている。次に、図8(b)に示すように、この基板側位置決め孔60dに摺動子固定治具の位置決めピン9を挿入しロータ基板40aを保持する。尚、摺動子固定治具には、位置決めピン9が基板側位置決め孔60bと対応するように複数配列して設置されている。
次に、図8(c)に示すように、摺動子50の摺動子側位置決め孔50cを位置決めピン9に挿入し保持する。これにより、摺動子50の固定部50bは摺動子接続電極の位置決め部60b上に保持される。
次に、図示しない押圧ピンで摺動子50を押圧固定し、摺動子50の浮き上がりを防止する。そして、この状態を維持したまま、図8(d)に示すように、摺動子接続電極の接合部60aと摺動子50の固定部50bの端部とをハンダ11により接合する。これにより、ロータ基板40aに摺動子50が固定される。
次に、押圧ピンによる押圧を解除し、ロータ基板40aを位置決めピン9から取り外す。これにより、ロータ基板40aへの摺動子50の固定が完了する。摺動子50の固定されたロータ基板40aは、引出し電極60c’にケーブルコネクタ46が周知の手法によりハンダ付けされる。これによりロータ基板40aが完成する。
このようにして作製されたロータ基板40aは、ロータ孔36’をロータホルダ部40bの軸孔部42に嵌入する形でロータ基板設置面に配置され、かしめ等の手法により固定される。このとき、ロータ基板40aに設置されたケーブルコネクタ46の端子面は、ロータホルダ部40bのコネクタ開口部47を通して裏面側に露出する。これによりスリップリング80のロータ40が完成する。
このようにして作製されたロータ40は、ロータ40の環状壁43をケース部20のロータ受22に回転自在な状態で嵌入することでロータ収容部21内に収容される。そして、ロータ40の軸孔部42をベース基板30のロータ孔36に回転自在な状態で嵌入しながらロータ収容部21をベース基板30で閉塞することで、ロータ40はケース部20内で回転自在に軸支される。またこのとき、摺動子50の摺動部50aは所定の弾性力で対応する環状電極32側に押圧され、環状電極32と摺動子50とは接触導通する。
上記のようにして作製されたスリップリング80の軸孔44には、例えばモータ等の回転機構の回転軸がベース基板30側から嵌入する。そして、軸孔44を貫通した回転軸はロータ40側で機器の回転部と固定される。また、固定部側の電気配線はコネクタ12に接続される。また、回転部側の電気配線はロータケーブルとして引き出され、ロータ基板40aのケーブルコネクタ46に接続される。これにより、固定部側の電気配線は、コネクタ12、引出し電極34(引出し電極34’、スルーホール38’)、スルーホール38、環状電極32、摺動子50、摺動子接続電極、引出し電極部60c(スルーホール38’’、引出し電極60c’)、ケーブルコネクタ46、ロータケーブルを介して回転部側の電気配線と導通する。
ここで、回転機構が回転動作すると回転軸に固定された機器の回転部が回転する。また、この回転動作は軸孔44を介してロータ40に伝達しロータ40がケース部20内で回転する。このとき、ロータ40に設置された摺動子50は環状電極32上を接触導通を維持しながら摺動する。よって、固定部側の電気配線と回転部側の電気配線との導通は回転機構が回転動作しても常に良好に維持される。
また、ケース部20に形成されたロータ受22の開口部は、ロータ40のケーブルコネクタ46及びこのケーブルコネクタ46に接続したロータケーブルが無理なく回転できる十分な大きさを有している。このため、ケーブルコネクタ46及びロータケーブルがロータ40の回転によって回転しても、ケース部20がこれらの回転を阻害することはない。そして、スリップリング80を遊戯機器に使用する際には、ロータケーブルを除いたスリップリング80の本体で警察の承認を得ることで、ロータケーブルの長さに変更が生じた場合でもスリップリング80に対する再承認は不要となる。これにより、ロータケーブルの長さ変更を比較的容易に行うことができる。
以上のように、本発明に係るスリップリング80及びスリップリングの製造方法は、環状電極32と導電層39とを繋ぐランド電極33を、他方の環状電極32側のスルーホール周縁部38aを越えないように形成する。そして、このスルーホール周縁部38aを絶縁被膜35で被覆する。これにより、環状電極32の間隔を狭めても両環状電極32間の絶縁を十分に確保することができる。そして、導電層39の分断を行うことなしに環状電極32を小型化、高密度化することができる。また、環状電極32を小型化、高密度化することで環状電極32に施す金メッキの量を低減することができる。これにより、金メッキに係る材料コストを低減することができる。
また、本発明に係るスリップリング80及びスリップリングの製造方法は、摺動子50に摺動子側位置決め孔50cを形成し、ロータ基板40aに基板側位置決め孔60b形成し、摺動子側位置決め孔50cと基板側位置決め孔60bとに位置決めピン9を挿入して、両者の位置を高精度に一致させた状態でハンダ付けによる固定を行う。そして、この基板側位置決め孔60bの形成は樹脂成型よりも加工精度の高いロータ基板40aへの穿孔により行われるため、摺動子50を高い位置精度でロータ基板40aに固定することができる。これにより、スリップリング80の更なる小型化、高密度化を図ることができる。また、位置決めピン9を挿入した状態でロータ基板40aと摺動子50との固定を行うため、摺動子50にリード線をハンダ付けし、この摺動子50をロータにかしめ固定する従来の方法よりも簡単に摺動子50の固定を行うことができる。これにより、摺動子50の固定作業が効率化し、摺動子50の固定に関する製造コストを低減することができる。
またさらに、本発明に係るスリップリング80及びスリップリングの製造方法は、回転部側のロータケーブルも着脱式としているため、ロータケーブルを含めないスリップリング80の本体で警察の承認を得ることができる。これにより、ケーブルの長さに変更が生じた場合でも、ロータケーブルの長さ変更を比較的容易に行うことができる。
尚、本例で示したスリップリング80及びスリップリングの製造方法は一例であり、スリップリング80を構成する各部の形状、寸法、機構、材質、及び製造方法の工程内容は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。また、スリップリングの製造方法では、必要に応じて必要な工程を適宜挿入可能である。
3 基板
7 穴埋樹脂
5a、5b 導電金属箔
6a (環状電極の)レジストパターン
6a’ (ランド電極の)レジストパターン
9 位置決めピン
20 ケース部
30 ベース基板
32 環状電極
33 ランド電極
34 引出し電極
35 絶縁被膜
38 スルーホール
38a スルーホール周縁部
39 導電層
40 ロータ
40a ロータ基板
40b ロータホルダ部
44 軸孔
46 ケーブルコネクタ
47 コネクタ開口部
50 摺動子
50c 摺動子側位置決め孔
60d 基板側位置決め孔
80 スリップリング

Claims (3)

  1. 回転機構の回転軸が嵌入する軸孔を備えたロータと、
    前記ロータを回転可能に収容するケース部と、
    ロータ側の面に前記軸孔と略同心円状で径の異なる複数の環状電極を有し、他方の面に前記環状電極と一対一対応する引出し電極を有するベース基板と、
    前記ベース基板の前記環状電極間に穿孔され、前記環状電極の一方と前記引出し電極とを内壁に形成された導電層を介して導通させるスルーホールと、
    前記環状電極に形成され、前記導電層と前記一方の環状電極とを導通させるランド電極と、
    前記ロータに設置され前記環状電極と接触導通する摺動子と、を備えたスリップリングにおいて、
    前記ランド電極は、前記スルーホールの周縁部のうち、前記一方の環状電極から遠い側のスルーホール周縁部を越えないよう形成され、さらに前記スルーホール周縁部を覆う絶縁被膜を備え
    さらに、前記ロータが、ロータ基板と前記ロータ基板を保持するロータホルダ部と、を有し、
    前記ロータ基板は、前記摺動子と導通する摺動子接続電極と、前記摺動子の固定時に位置決めを行う基板側位置決め孔と、を有し、
    前記摺動子は前記基板側位置決め孔と対応する摺動子側位置決め孔を有することを特徴とすスリップリング。
  2. ロータ基板が摺動子接続電極と導通するケーブルコネクタを備え、
    ロータホルダ部が前記ケーブルコネクタを裏面側に露出させるコネクタ開口部を有し、
    ケース部は前記ケーブルコネクタが回転可能な大きさの開口部を備え、
    摺動子が前記ケーブルコネクタに着脱可能に接続したロータケーブルを介して回転機構の回転部と電気的に接続することを特徴とする請求項記載のスリップリング。
  3. ケース部側に設置されるベース基板を製造する工程として、
    両面に導電金属箔を有する基板にスルーホールを穿孔する工程と、
    前記スルーホールの内壁に導電層を形成する工程と、
    前記導電層の形成されたスルーホールに穴埋樹脂を充填する工程と、
    前記基板の一面側の導電金属箔に前記スルーホールを挟み且つ略同心円状で径の異なる複数の環状電極のレジストパターンと、前記環状電極のレジストパターンの一方と前記導電層とを繋ぐランド電極のレジストパターンと、を形成する工程と、
    前記レジストパターンから露出した導電金属箔を除去する工程と、
    前記レジストパターンと前記穴埋樹脂とを除去する工程と、
    スルーホール周縁部を覆う絶縁被膜を形成する工程と、を有し、
    前記ランド電極のレジストパターンは、前記スルーホールの周縁部のうち、前記一方の環状電極のレジストパターンから遠い側のスルーホール周縁部を越えないよう形成し、
    ロータ側に設置されるロータ基板を製造する工程として、
    ロータ基板の所定の位置に基板側位置決め孔を穿孔する工程と、
    摺動子側位置決め孔を有する摺動子を作製する工程と、
    ロータ基板上に摺動子を固定する工程と、を有し、
    ロータ基板上に摺動子を固定する工程は、所定の位置に複数配列した位置決めピンに前記ロータ基板の基板側位置決め孔を挿入して保持し、次いで前記位置決めピンに前記摺動子の摺動子側位置決め孔を挿入することで前記摺動子を前記ロータ基板上の所定の位置に保持し、この状態を維持したまま前記摺動子を前記ロータ基板上に形成された摺動子接続電極にハンダ付けして固定する手順を有することを特徴とすスリップリングの製造方法。
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