JP6128718B1 - スリップリング - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波信号の伝達が可能なスリップリングを提供する。【解決手段】このスリップリング80は、略円錐形状に凹んだピン受70aにピン接点72の半球状の先端部を所定の圧力で押圧付勢して接触させ、さらにこれら受接点70、ピン接点72をロータ40の回転軸に一直線に位置させる。これにより、ロータ回転時でも受接点70とピン接点72との接触状態が極めて安定しており、低損失な信号伝達が可能となる。これにより、スリップリング80を用いた高周波信号の伝達が可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、高周波信号の伝達を可能としたスリップリングに関するものである。
産業用ロボット、搬送装置、遊技機、監視カメラの雲台など、回転機構を有する機械機器が数多く使用されている。これら回転機構を有する機械機器では、固定部側と回転部側との間で電力供給や信号伝達を行う場合が多い。そして、特に回転部が連続回転動作等を行う場合には、固定部側と回転部側との電気的接続をスリップリングを用いて行うことが一般的である。このスリップリングを用いた接続では両側からの電気配線を摺動子の接触導通を用いて接続する。このため回転部分におけるケーブルの取り回しが不要となり、極めて自由度の高い回転動作が可能となる。そして、本願発明者らは小型化を可能としたスリップリング及びこのスリップリングの製造方法に関する下記[特許文献1]に記載の発明を行った。
特許第5625131号公報
ただし、近年、監視カメラ等の高精細化が進んでおり、HD-SDI規格、3G−SDI規格を用いたフルハイビジョンクラスの高画質の監視カメラも商品化されている。そして、このHD-SDI規格、3G−SDI規格では信号伝達に高周波信号が用いられる。特に3G−SDI規格では3GHz前後の高周波信号の伝達が要求される。しかしながら、環状電極上を摺動子が接触しながら滑る従来のスリップリングの伝送方式では損失が大きく、これらの高周波信号を伝達することが難しい。このため、特に3G−SDI規格を採用した監視カメラではスリップリングによる信号伝達ができず、360°回転し続ける監視カメラの実現は困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高周波信号の伝達が可能なスリップリングを提供することを目的とする。
本発明は、
(1)ロータ40と、前記ロータ40を回転可能に収容するケース部20と、ロータ40側の面に前記ロータ40の回転軸と同心円の環状電極32を有するベース基板30と、前記ロータ40に設置され前記環状電極32と接触導通する摺動子50と、を備えたスリップリングにおいて、
前記ロータ40に設けられ前記ロータ40の回転軸として機能する軸筒42と、
前記軸筒42の一端側に位置する受接点70と、
前記軸筒42の他端側から挿入され先端部を前記受接点70側に付勢するピン接点72と、
中心導体92aが前記ピン接点72と導通した第1の同軸ケーブル90aと、
前記ピン接点72を保持する円筒状で絶縁性のピン保持体74aと、
前記ピン保持体74aが嵌入するとともに前記軸筒42内に挿入され、さらに前記第1の同軸ケーブル90aの外導体94aと導通する円筒状のパイプシャフト76と、
中心導体92bが受接点70と導通した第2の同軸ケーブル90bと、
前記受接点70を保持するとともに前記パイプシャフト76内に挿入され、略円筒状で絶縁性の受接点保持体74bと、
前記受接点保持体74bを保持するとともに前記パイプシャフト76と導通し、さらに前記第2の同軸ケーブル90bの外導体94bと導通する保持キャップ79と、を有し、前記受接点70と前記ピン接点72との接触導通により高周波信号を伝達することを特徴とするスリップリング80を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)ピン接点72がコンタクトプローブであることを特徴とする上記(1)記載のスリップリング80を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明に係るスリップリングは高周波信号の伝達が可能なため、高周波信号を用いた機器にスリップリングを使用することが可能となる。
本発明に係るスリップリングを示す図である。 高周波伝送部分を除いた状態のスリップリングを示す図である。 本発明に係るスリップリングのベース基板及びロータを説明する図である。 本発明に係るスリップリングの高周波伝送部分を説明する図である。 本発明に係るスリップリングのピン接点を示す図である。 本発明に係るスリップリングの動作を説明する図である。 本発明に係るスリップリングの高周波測定結果のグラフである。
本発明に係るスリップリング80の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1(a)は本発明に係るスリップリング80をベース基板30側から見た図である。また、図1(b)はスリップリング80をロータ40側から見た図である。また、図1(c)はスリップリング80の側面図である。また、図2(a)はスリップリング80の高周波伝送部分を除いた部分をロータ40側から見た図である。また、図2(b)は高周波伝送部分を除いた部分の模式的な断面図である。また、図3(a)はベース基板30のロータ40側の面を示す図である。また、図3(b)はベース基板30を除いた状態のスリップリング80のロータ40側を示す図である。尚、ここでは本発明を8極のスリップリングに適用した例を説明するが、摺動子50を用いた従来の信号伝達部の極数に関しては特に限定は無く、如何なる極数のスリップリングに対しても適用が可能である。また、本例では従来の信号伝達部と機器側との電気的接続をコネクタ12、46及び配線ケーブル52a、52bを介して行う例を示している。この構成ではスリップリング80の本体部分を共通化し、配線ケーブル52a、52bの長さを機器側の要求に応じて選択して設置することが可能となる。
先ず、本発明に係るスリップリング80の従来部分の構成を説明する。本発明に係るスリップリング80は、ロータ40と、このロータ40を回転可能に収容するケース部20と、このロータ40の回転軸と同心円状の環状電極32を有するベース基板30と、ロータ40に設置されベース基板30の環状電極32と接触導通する摺動子50と、を有している。
スリップリング80を構成するケース部20は、図2(b)に示すように、例えば合成樹脂製でモールド成型等により製造され、内側にロータ収容部21を有している。そして、ロータ収容部21の一面側にはベース基板30が設置され、他面側はロータ40の径よりも小径のロータ受となっている。
また、ロータ40は、ロータ基板40aと、このロータ基板40aを保持するロータホルダ部40bとで構成される。ロータホルダ部40bは例えば合成樹脂製でモールド成型等により製造され、中心部には軸孔44を有する軸筒42が双方に突出して形成されている。そして、この軸筒42はロータ40の回転軸として機能するとともにベース基板30を貫通し、少なくとも軸孔44がベース基板30から露出する。尚、ロータホルダ部40bにはロータ基板40aに設置されたコネクタ46を裏面側に露出させるコネクタ開口部47が形成されている。また、ロータ基板40aは、図3(b)に示すように、中央部に軸筒42が貫入するとともに、ベース基板30側に摺動子50が環状電極32と一対一対応するように固定されている。そして、摺動子50は引出し電極60にハンダ付けされるとともに、スルーホール38’’を介して裏面側に引き出されコネクタ46の各端子にそれぞれ接続する。
また、摺動子50は弾性を有する金属薄板で形成されており、ロータ基板40aに環状電極32と同数設置される。また、摺動子50は摺動部50aと固定部50bとで主に構成され、摺動部50aと固定部50bとは所定の角度で屈曲している。そして、摺動部50aはこの屈曲部の弾性力によりベース基板30側に付勢される。
また、ベース基板30は、図3(a)に示すように、中央部にロータ40の軸筒42が回転可能に嵌入するロータ孔36を有し、ロータ40側の面にロータ孔36(軸孔44)と略同心円状で径の異なる複数の環状電極32がスリップリング80の極数(本例では8つ)形成されている。また、ベース基板30の表側の面には、図1(a)に示すように、環状電極32と一対一対応する引出し電極34が形成されている。そして、環状電極32の間には環状電極32と引出し電極34とを接続するスルーホール38が穿孔され、このスルーホール38を介して環状電極32と引出し電極34とは導通する。また、引出し電極34はスルーホール38’を介して再度ロータ面側に引き出されコネクタ12の各端子にそれぞれ接続する。
そして、ロータ40をケース部20のロータ収容部21内に回転自在な状態で収容し、ベース基板30で閉塞する。このとき、ロータ40の軸筒42をベース基板30のロータ孔36に回転自在な状態で嵌入する。これにより、ロータ40はケース部20内で回転自在に軸支される。またこのとき、摺動子50の摺動部50aは所定の弾性力で対応する環状電極32側に押圧され、環状電極32と摺動子50とは接触導通する。
次に、本発明の大きな特徴である高周波伝送部分に関する構成を説明する。ここで、図4は軸筒42の内部を主に示す模式断面図である。尚、図4では第1の同軸ケーブル90a、第2の同軸ケーブル90bを非接続の状態で示す。
先ず、本発明に係るスリップリング80の高周波伝送部分は、軸筒42の一端側に位置する受接点70と、軸筒42の他端側から挿入されるピン接点72と、を有している。尚、本例ではベース基板30側に受接点70を位置させ、ロータ40側にピン接点72を位置させる例を示しているが、これは逆でも構わない。そして、ピン接点72は第1の同軸ケーブル90aの中心導体92aと導通し、受接点70は第2の同軸ケーブル90bの中心導体92bと導通する。尚、ピン接点72と中心導体92aとの接続は、導電性で管状のレセプタプル77を用い、このレセプタプル77の一端から中心導体92aを挿入するとともに中間部を潰して固定し、他端に後述のピン接点72のシリンダ部72bを嵌入することで行うことが好ましい。
また、ピン接点72は、図5に示すように、半球状の先端部を備えたプランジャ部72aと、このプランジャ部72aの一端が挿入したシリンダ部72bと、このシリンダ部72b内に位置しプランジャ部72aを外方向に付勢する図示しないスプリングと、を備えている。尚、ピン接点72としてはこれらの構成を備えた周知のコンタクトプローブを用いることが好適である。
また、受接点70は一端が略円錐形状に凹んだピン受70aを有している。そして、ピン受70aとピン接点72の先端部が接触し、さらにシリンダ部72b内のスプリングがピン接点72の先端部をピン受70a側に所定の圧力で押圧付勢する。これにより、受接点70とピン接点72とが導通し、第1の同軸ケーブル90aの中心導体92aと第2の同軸ケーブル90bの中心導体92bとがピン接点72と受接点70とを介して導通する。
また、ピン接点72は円筒状で絶縁性を有するピン保持体74a内に挿入されて保持される。また、ピン保持体74aは円筒状のパイプシャフト76内に嵌入され、このパイプシャフト76が軸筒42内に挿入される。尚、パイプシャフト76の外径は軸筒42の内径と略同等に形成され、ピン保持体74aの外径はパイプシャフト76の内径と略同等に形成され、さらに、ピン保持体74aの内径はピン接点72のシリンダ部72bの外径と略同等に形成される。これにより、ピン接点72は軸筒42の軸心に位置し、ロータ40の回転に伴って軸線上で回転する。また、パイプシャフト76の外端側には第1の同軸ケーブル90aが挿入され、内部にてピン接点72と中心導体92aとが前述のレセプタプル77等により固定される。また、パイプシャフト76は導電性を有する黄銅等の金属で形成され、第1の同軸ケーブル90aの外導体94aはパイプシャフト76にハンダ付けされて導通する。
尚、パイプシャフト76の外端側には刷り割り溝76aを設け、この刷り割り溝76aに後述の接続ピン95を差し入れることで機器側に設置された回転手段5の回転力を伝達し、ロータ40及びこれに付随する構成を軸筒42の軸心を中心に回転させることが好ましい。またこの際、第1の同軸ケーブル90aは刷り割り溝76aから適宜引き出すことが好ましい。
また、受接点70は略円筒状で絶縁性を有する受接点保持体74b内に挿入されて保持される。尚、受接点保持体74bの外径はパイプシャフト76の内径よりも若干小さく形成され、受接点保持体74bの内径は受接点70の外径と略同等に形成される。そして、受接点70は受接点保持体74bとともにパイプシャフト76内に挿入される。これにより、受接点70はパイプシャフト76の軸線、即ち軸筒42の軸心に保持され、受接点70とピン接点72とは軸心上に一直線に並んだ状態で接触する。また、ロータ40の回転時には、受接点70のピン受70a内でピン接点72の先端部が摺動するとともに、受接点保持体74bの周面をパイプシャフト76の内面が摺動する。
また、受接点保持体74bの外端は保持キャップ79によって保持される。この保持キャップ79はパイプシャフト76の外径よりも若干大きな内径を有する軸受部79aを備えており、この軸受部79aに受接点保持体74bをパイプシャフト76ごと収容することで受接点保持体74bをパイプシャフト76とともに保持する。このとき、軸受部79aの底面と受接点保持体74bの間には、外径が受接点保持体74bよりも大きい合成樹脂製のスペーサ74cもしくは鍔部を有していても良い。この構成によれば、パイプシャフト76の端面が保持キャップ79や後述の同軸ケーブル接続金具78と接触せず、この部位に生じる摩擦と摩耗とを低減することが可能となる。尚、ピン保持体74a、受接点保持体74b、及びスペーサ74cは低誘電率で高周波特性に優れ、且つ摩擦係数の小さいPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂を用いることが好ましい。
また、パイプシャフト76には全周に亘って溝76aが形成され、この溝76aには保持キャップ79が支持する例えばU字の抜け止めピン79bが挿入される。これにより、パイプシャフト76は保持キャップ79内の所定の位置に回転可能に保持されるとともに、ピン接点72の先端部は所定の圧力で受接点70に付勢され両者の導通状態が良好に維持される。また、保持キャップ79は導電性を有する黄銅等の金属で形成され、その外端には同軸ケーブル接続金具78を介して第2の同軸ケーブル90bが固定する。このとき、第2の同軸ケーブル90bの外導体94bは同軸ケーブル接続金具78を介して保持キャップ79と導通する。また、保持キャップ79は軸受部79aの内周や抜け止めピン79bを介してパイプシャフト76と接触導通し、これにより、第2の同軸ケーブル90bの外導体94bと第1の同軸ケーブル90aの外導体94aとが導通する。尚、受接点保持体74b、スペーサ74cは保持キャップ79に固定しても良いし回転可能としても良い。また、パイプシャフト76は軸筒42に固定しても良いし固定しなくとも良い。
次に、本発明に係るスリップリング80の動作を図6を用いて説明する。尚、図6に示すスリップリング80の接続構成は本発明に好適な一例であるから、特にこの構成に限定されるわけではなく、周知の接続構成を用いることができる。例えば、回転筒97と回転手段5との接続構成は歯車機構の他にベルトやチェーン等の周知の伝達機構を用いても良い。また、パイプシャフト76、回転筒97、回転手段5、その他の機械要素の結合はカップリング等を用いて行っても良い。
先ず、スリップリング80を設置する機器は、本体側の固定部1と監視カメラ等の回転部3とを有している。そして、スリップリング80は固定部1側に固定される。また、固定部1の外部ケースはベアリング軸受8等を設えた軸孔を有しており、この軸孔には一端に回転テーブル3aを備え、基側の周面にギア7bを備えた回転筒97が回転可能に挿入する。そして、回転テーブル3aに回転部3が固定する。また、回転筒97の軸心とスリップリング80のロータ40(軸筒42)の軸心とは一致するとともに、回転筒97の他端側にはスリップリング80のパイプシャフト76が固定する。尚、パイプシャフト76と回転筒97との固定には、接続ピン95を刷り割り溝76aに嵌入することで行うことが好ましい。
また、第2の同軸ケーブル90bを固定部1側の図示しない高周波信号端子と接続する。また、ベース基板30のコネクタ12に所定の長さの配線ケーブル52bを接続し、この配線ケーブル52bの他端を固定部1側の図示しない配線コネクタと接続する。また、ロータ40側の第1の同軸ケーブル90aは回転筒97の内部を通して回転部3内に引き込まれ、回転部3側の図示しない高周波信号端子と接続する。これにより、回転部3側の高周波信号端子と固定部1側の高周波信号端子とはスリップリング80を介して電気的に接続する。またさらに、ロータ40のコネクタ46には所定の長さの配線ケーブル52aが接続するとともに、この配線ケーブル52aは回転筒97の内部を通して回転部3内に引き込まれ、回転部3側の図示しない配線コネクタと接続する。これにより、回転部3側の配線コネクタの電気配線と固定部1側の配線コネクタの電気配線とがスリップリング80を介して電気的に接続する。
また、固定部1はモータ等の回転手段5と、この回転手段5と接続したギア7aと、を有している。そして、ギア7aと回転筒97のギア7bとは噛合する。そして、回転手段5が回転動作すると、この回転手段5の回転力はギア7a、ギア7bによって回転筒97に伝達する。これにより回転筒97が回転し、機器の回転部3が回転する。また、回転筒97の回転はパイプシャフト76に伝達してスリップリング80のロータ40を軸筒42を回転軸に回転させる。このとき、ロータ40に設置された摺動子50は環状電極32との接触導通を維持しながら摺動する。これにより、配線ケーブル52a、52b間の電気的接続は回転部3が回転動作しても常に良好に維持される。
また、パイプシャフト76及びロータ40の回転に伴ってピン保持体74a、ピン接点72、第1の同軸ケーブル90aも軸筒42を軸に回転する。これに対し、受接点70側は固定状態に維持される。これにより、ピン接点72はピン受70aと接触したまま回転する。このとき、ピン接点72と受接点70とはロータ40の回転軸の軸線上にあり、且つピン接点72の先端部はスプリングによってピン受70a側に所定の圧力で付勢されているため、ピン接点72と受接点70との接触導通は回転時においても常に安定しており、その接続は低損失で良好に維持される。
ここで、図7(a)にロータ回転時における第1の同軸ケーブル90a、第2の同軸ケーブル90b間の挿入損失のグラフを示す。また、図7(b)に反射損失のグラフを示す。尚、測定はキーサイトテクノロジー社のネットワークアナライザE5063Aを用いて行った。
図7(a)から、本発明に係るスリップリング80の回転時の挿入損失は測定範囲内(100kHz〜5GHz)で1dB以下と極めて小さな値を示すことが判る。また、図7(b)から、本発明に係るスリップリング80の回転時の反射損失は1.5GHzで約22dBを示し、また3GHzで約12dBを示し、HD-SDI規格(1.5GHz以下で15dB以上)、3G−SDI規格(1.5GHz〜3GHzで10dB以上)をいずれも満たすことが判る。これにより、本発明に係るスリップリング80の高周波伝送部はロータ40の回転時においてもHD-SDI規格、3G−SDI規格を十分に満たし、高周波信号の伝達が可能なことが判る。
以上のように、本発明に係るスリップリング80は、略円錐形状に凹んだピン受70aにピン接点72の半球状の先端部を所定の圧力で押圧付勢して接触させ、さらにこれら受接点70、ピン接点72をロータ40の回転軸に一直線に位置させる。これにより、ロータ回転時でも受接点70とピン接点72との接触状態が極めて安定しており、低損失な信号伝達が可能となる。これにより、スリップリング80を用いた高周波信号の伝達が可能となる。そして、例えば監視カメラの雲台に本発明に係るスリップリング80を適用することで、監視カメラ(回転部3)を360°連続的に回転しながら、3G−SDI規格の高精細な監視映像を固定部1側に伝送し、記録及び表示等を行うことができる。
尚、本例で示したスリップリング80は一例であり、スリップリング80、高周波伝送部、パイプシャフト76、回転筒97等を構成する各部の形状、寸法、機構、材質、配線パターンを含む配線経路、回転手段5との接続構成等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
20 ケース部
30 ベース基板
32 環状電極
40 ロータ
42 軸筒
50 摺動子
52a 配線ケーブル
70 受接点
72 ピン接点
74a ピン保持体
74b 受接点保持体
79 保持キャップ
76 パイプシャフト
80 スリップリング
90a 第1の同軸ケーブル
90b 第2の同軸ケーブル
92a、92b 中心導体
94a、94b 外導体

Claims (2)

  1. ロータと、前記ロータを回転可能に収容するケース部と、ロータ側の面に前記ロータの回転軸と同心円の環状電極を有するベース基板と、前記ロータに設置され前記環状電極と接触導通する摺動子と、を備えたスリップリングにおいて、
    前記ロータに設けられ前記ロータの回転軸として機能する軸筒と、
    前記軸筒の一端側に位置する受接点と、
    前記軸筒の他端側から挿入され先端部を前記受接点側に付勢するピン接点と、
    中心導体が前記ピン接点と導通した第1の同軸ケーブルと、
    前記ピン接点を保持する円筒状で絶縁性のピン保持体と、
    前記ピン保持体が嵌入するとともに前記軸筒内に挿入され、さらに前記第1の同軸ケーブルの外導体と導通する円筒状のパイプシャフトと、
    中心導体が前記受接点と導通した第2の同軸ケーブルと、
    前記受接点を保持するとともに前記パイプシャフト内に挿入され、略円筒状で絶縁性の受接点保持体と、
    前記受接点保持体を保持するとともに前記パイプシャフトと導通し、さらに前記第2の同軸ケーブルの外導体と導通する保持キャップと、を有し、
    前記受接点と前記ピン接点との接触導通により高周波信号を伝達することを特徴とするスリップリング。
  2. ピン接点がコンタクトプローブであることを特徴とする請求項1記載のスリップリング。
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