JP5623851B2 - まくら木 - Google Patents

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Description

本発明は、レールを支持するまくら木に関するもので、特には、複数のまくら木本体を連結したまくら木に関するものである。
従来より、レールを支持するまくら木には、木製やコンクリート製のものが広く用いられている。最近では、繊維強化硬質樹脂発泡体を素材として成形された樹脂製のまくら木が開発されており、高い耐久性を備えたまくら木が提供されている。
ところで、従来のまくら木は、長尺状の単体のまくら木本体をまくら木(以下、単体まくら木と言う)と呼んでおり、それぞれ個々の単体まくら木が、レールから伝わる列車の荷重や振動を道床に分散する役割を果たしている。
なお、道床にはバラスト(砕石等)やコンクリートを用いた構成があるが、以下の説明ではバラストを採用した構成で説明する。
ところで、レールの継ぎ目や分岐点(以下、継ぎ目等とも言う)に配されたまくら木は、他の箇所より列車の荷重や振動の影響を受け易いことが知られている。これにより、レールの継ぎ目等に配されたまくら木は、列車の荷重や振動の影響によりまくら木の上面に摩擦が生じ、その上面に極端なへこみが形成されたり、さらに、そのまくら木の直下では、バラストの圧密化により道床に空間が形成されたり、砕石自体が摩滅減少して道床に大きな空隙を形成する現象が起こる場合がある。これにより、列車の通過時に軌道が沈下したり、横ずれを起こすといった所謂「あおり現象」が発生する問題があった。
そこで、従来より、複数の単体まくら木を連結して一体化させて、列車の荷重や振動をより分散させて、上記問題を抑制する方策がとられてきた。
例えば、特許文献1では、断面形状がほぼ「T」字型の連結部材を用いて、まくら木本体同士を一体的に連結したまくら木が開示されている。
特許第3569108号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、列車の荷重や振動の影響で、連結部材とまくら木本体の接合状態が崩壊してしまうという不満があった。即ち、連結部材は、まくら木本体の上面側に位置する上面連結材と、まくら木本体の下面側に位置する下面連結材と、上面連結材と下面連結材とを積層方向に繋ぐ中間連結材とを備えたもので、主にまくら木本体を上面連結材と下面連結材とで上下方向から挟み込んで接着剤等で両者を接合させる構成であるため、列車の荷重や振動により連結部材が撓み、接合面に剪断力等が生じてまくら木本体と連結部材との接合状態を崩壊させる問題があった。
そこで、本発明者らは、図16に示すように、まくら木本体102及び連結部材103を上下方向に積層される3層(上部側層、中間層、下部側層)構造とし、まくら木本体102の各層と、連結部材103の各層が互いに接合し合う構成のまくら木101を試作した。具体的には、試作したまくら木101は、連結部材103の上部側層がまくら木本体102の上部側層の幅方向に貫通するように配され、連結部材103の中間層がまくら木本体102の中間層の幅方向に貫通するように配され、連結部材103の下部側層がまくら木本体102の下部側層の幅方向に貫通するように配されており、連結部材103とまくら木本体102は積層方向上下だけでなく、積層方向中間部においても一体化された構成とされている。
これにより、従来技術と比べて、まくら木本体102と連結部材103との一体性が高まるため、連結部材103は列車の荷重や振動により生じる撓みが抑制され、結果的にまくら木本体102と連結部材103との一体性が崩壊することが防止される。
ところが、試作したまくら木は、まくら木本体102における連結部材103が配される位置の強度が低下する不満があった。即ち、試作したまくら木101においては、連結部材103が配される位置のまくら木本体102は、連結部材103の接合部で断面の一部が不連続となるため、曲げ応力に対抗できる有効断面が部分的に欠落してしまい、まくら木本体102全体の曲げ剛性は低減してしまう。
従って、試作したまくら木101は、繰り返し生じる列車の荷重や振動により、まくら木本体102と連結部材103の接合部で曲げ破壊を起こしたような現象(接合の崩壊)が生じることが考えられ、結果的にまくら木本体102と連結部材103との一体性を破壊してしまう懸念がある。なお、曲げ破壊の他に剪断破壊も考えられるが、一般的には曲げ破壊が剪断破壊より先行するため、曲げ破壊を起こす数値を基準に設計される。
そこで、本発明では、上述した従来技術の問題に鑑み、まくら木本体と連結部材との高い一体性を確保しつつ、まくら木本体の曲げ剛性を十分確保したまくら木を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結し、接着剤によって接合して一体化されたまくら木であって、前記連結部材は、長尺状の芯層部材と、当該芯層部材を補強する芯補強部材とを有し、前記まくら木本体は、少なくとも中間層と、当該中間層よりも上方に位置する上部側まくら木部材と、下方に位置する下部側まくら木部材とを有し、中間層は、複数のまくら木小片を有し、上部側まくら木部材及び下部側まくら木部材は、長尺状であって、長手方向長さがまくら木本体の全長に渡る長さであると共に、長手側側面には長手方向に直交するように一部切り欠いた嵌合部が設けられ、芯補強部材の端部側が、上部側まくら木部材及び下部側まくら木部材の嵌合部に嵌入されると共に、芯層部材の端部側が、中間層のまくら木小片同士の間に嵌入されていることを特徴とするまくら木である。
本発明のまくら木は、複数のまくら木本体を連結部材で一体的に連結する構造であり、複数層を備えた連結部材と、同じく複数層を備えたまくら木本体とが、積層方向上下だけでなく、積層方向中間部においても一体的に連結された構成を有する。例えば、連結部材とまくら木本体が共に3層構造(連結部材は芯層部材の上部及び下部に芯補強部材を配する)であれば、上部側まくら木部材と芯層部材の上部に位置する芯補強部材とを一体化でき、下部側まくら木部材と芯層部材の下部に位置する芯補強部材とを一体化でき、中間層と芯層部材とを一体化できるため、まくら木全体としては、まくら木本体が積層方向上下だけでなく、中間部においても連結部材と一体的に接合される。これにより、まくら木本体と連結部材との一体性が強化されるため、列車の荷重や振動により、両者の接合が崩壊してしまうことが抑制される。即ち、本発明のまくら木によれば、列車の荷重や振動により、軌道が「あおり現象」を生じることが殆どない。
また、本発明のまくら木では、上部側まくら木部材の長手側側面と下部側まくら木部材の長手側側面に、幅方向(長手方向に直交する方向)に切り欠いた嵌合部が設けられており、この嵌合部に連結部材の芯補強部材の端部側を嵌入すると共に、中間層のまくら木小片同士の間に芯層部材を嵌入して、まくら木本体と連結部材とを一体的に接合している。具体的には、本発明では、上部側まくら木部材及び下部側まくら木部材に設けられた嵌合部は、先に説明した試作したまくら木のように、幅方向に貫通した構成とされておらず、幅方向に一部だけ切り欠いた構成とされているため、上部側まくら木部材及び下部側まくら木部材の曲げ応力に対抗できる有効断面を大きく確保することができる。これにより、まくら木本体が有効断面を欠落しない構成とすることができるため、まくら木本体自体に列車の荷重や振動による曲げ応力に対抗できる曲げ剛性を備えることができる。即ち、本発明のまくら木は、まくら木本体が繰り返し受ける列車の荷重や振動により、まくら木本体と連結部材の接合部が曲げ破壊を起こしたような状態(接合の崩壊)になりにくい構成であるため、曲げ応力による一体性の崩壊は起こりにくい。
従って、本発明のまくら木によれば、まくら木本体と連結部材との高い一体性を確保しつつ、まくら木本体自体の曲げ剛性を十分確保できる。
請求項2に記載の発明は、前記嵌合部におけるまくら木本体の長手方向に直交する長さが、まくら木本体における長手方向に直交する長さの1/7〜1/3であることを特徴とする請求項1に記載のまくら木である。
かかる構成によれば、連結部材とまくら木本体を確実に接続しつつ、まくら木本体が曲げ応力に対抗し得る有効断面を最大限に確保させることができる。
請求項3に記載の発明は、少なくとも上部側まくら木部材の嵌合部は、有底状の切り欠きであり、当該上部側まくら木部材に嵌入される芯補強部材は、長手方向の断面形状がほぼT字型であり、当該芯補強部材の両端に張り出した張出部が上部側まくら木部材の嵌合部に嵌入して、一体的に接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載のまくら木である。
かかる構成によれば、少なくとも上部側まくら木部材の嵌合部を有底状の切り欠きとしたため、必要以上にまくら木本体の有効断面が小さくならない。即ち、本発明によれば、同じ厚さのまくら木本体であっても、曲げ応力に対応できる有効断面をより大きく確保することができる。これにより、この構成のまくら木本体であれば、まくら木自体の全厚を大きくしなくても、まくら木本体の有効断面を十分確保できる。換言すると、まくら木自体の全厚を大きくしなくても一定以上の強度を確保できるため、道床の厚みに余裕がない場合であっても、敷設可能である。
請求項4に記載の発明は、まくら木本体及び/又は連結部材には、表面の一部又は全部に繊維強化プラスチックにより形成された被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、まくら木本体や連結部材の表面に繊維強化プラスチックの被覆層が設けられているため、まくら木本体や連結部材に木材やコンクリート等を採用した場合であっても各部材の強度を向上させることができる。また、まくら木本体や連結部材に繊維強化硬質樹脂発泡体を用いた場合であっても、さらなる強度の向上を図ることができる。なお、繊維強化プラスチックには、GFRP(Grass Fiber Reinforced Plastics)が推奨される。
請求項5に記載の発明は、まくら木は、底面材を有し、底面材は、連結部材の底面側及びまくら木本体における当該連結部材の長手方向延長上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、まくら木の底面に連結部材に沿って底面材が設けられているため、連結部材とまくら木本体の接合部の強化を図ることができる。即ち、底面材を嵌合部を覆うほどの長さに設定すれば、容易に連結部材とまくら木本体の一体性を強化することができる。また、底面材は、まくら木の底面から突出するため、道床に敷設した際に、底面材が道床のバラストなどに引っ掛かり、ストッパーの役割を果たし、まくら木が横滑りする等の「あおり現象」をより確実に防止することができる。
請求項6に記載の発明は、前記芯層部材と芯補強部材の各側面が並ぶ集合側面には、当該各側面に跨るように連結補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、連結補強部材が、芯層部材と芯補強部材の各側面が並ぶ集合側面に設けられているため、連結部材に生じる撓みを小さくできる。即ち、連結部材の撓みが原因で起こるまくら木本体と連結部材との接合状態の崩壊をより確実に防止することができる。
ここで、まくら木の取り替え作業においては、作業前後における軌道の調節が非常に重要であることが知られている。特に、連結部材を用いてまくら木本体同士を連結した場合、連結部材とまくら木本体との上面の位置がずれていると高度な軌道調節が必要な場合がある。このような作業は、安全の面から見ると非常に重要であるが、作業時間を要する非常に厄介な作業であるため、夜間の短い時間の中で行う作業としては不向きである。
そこで、請求項7に記載の発明は、上部側まくら木部材の上面と、芯補強部材の上面とがほぼ同一の平面を形成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、上部側まくら木部材の上面と芯補強部材の上面とがほぼ同一の平面を形成しているため、まくら木の取替作業時において、高度な軌道調節を必要としない。即ち、夜間などの限られた短い時間の中であっても、長距離に渡って効率的に作業を行うことができる。
請求項8に記載の発明は、少なくとも前記上部側まくら木部材と下部側まくら木部材は、耐摩耗性を備えた部材であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、上部側まくら木部材と下部側まくら木部材とが、耐摩耗性を備えた部材であるため、繰り返し受ける列車の荷重や振動により生じる摩擦で形成されるへこみなどが抑制できる。これにより、レールとまくら木本体との接続部に生じる不具合や、道床とまくら木本体との間に空間ができるなどの不具合の発生を防止することができる。
前記耐摩耗性を備えた部材は、長手方向に長繊維が配向する繊維強化樹脂で形成された樹脂板であることが望ましい。(請求項9)
請求項10に記載の発明は、まくら木は、高摩擦性を備えた滑り止め部材を有し、滑り止め部材がまくら木本体及び連結部材の底面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、まくら木本体及び連結部材の底面に高摩擦性を備えた滑り止め部材が設けられているため、まくら木全体が道床に対して滑りずれることを抑制することができる。
請求項11に記載の発明は、まくら木は、防振機能を果たす防振部材を有し、防振部材は、少なくとも長繊維強化樹脂を備えており、まくら木本体及び連結部材の底面に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のまくら木である。
かかる構成によれば、まくら木本体及び連結部材の底面に、防振部材が設けられているため、列車の通過により発生する振動を抑制できる。即ち、防振効果により振動による騒音を抑制できる。従って、本発明によれば、街中に敷設されたとしても、住宅環境を乱すことがない。
一般的に、レールはまくら木本体に支持されるため、当該まくら木本体間のレールは宙に浮いた状態となり、列車の荷重等により撓む。しかしながら、このようなレールの撓みは、まくら木に過負荷を与えるため、まくら木の耐久性を低下させる可能性がある。
また、列車が通過する度に、レールやまくら木は振動するため、まくら木本体とレールが宙に浮いた状態であれば、振動により発生する騒音が顕著となることが懸念される。
そこで、請求項12に記載の発明は、まくら木は、レールを配した際に、当該レールの底面と連結部材及び/又はまくら木本体の上面との間に形成される間隔を埋めることが可能な空間充填材を有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、空間充填材によりレール底面と連結部材上面との間や、レール底面とまくら木本体との間を埋めることができるため、レールがまくら木本体同士の間で下方に撓むことを防止できる。即ち、本発明のまくら木は、レールの撓みによる過負荷が生じなくなるため、耐久性が加速度的に低下することがなく、長期にわたって使用することができる。
また、空間充填材として、例えば、防振機能を備えた部材を採用することで、列車の通過により発生する振動音を低減することができる。
ところで、コンクリート道床では、排水等を目的とした溝が、平行に並んだレールを横断するように形成されている場合がある。特に、その溝が、レールに対して直交していない場合で、まくら木がその溝の上部に位置する場合は、列車の荷重や振動により、まくら木の固定状態が不安定となり、まくら木の「あおり現象」が解消されない懸念があった。そこで、そのような場所には、短いまくら木を単独で敷設する方策が考えられるが、列車の荷重や振動による影響が大きく、「あおり現象」が解消できない。
そこで、請求項13に記載の発明は、平行状態に連結されたまくら木本体のうち、少なくとも1つのまくら木本体が他のまくら木本体より長手方向に短い短まくら木本体であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のまくら木である。
かかる構成によれば、短まくら木本体はまくら木本体と一体的に連結されたまくら木であるため、単体の「短まくら木」よりも列車の荷重や振動による影響が小さい。
また、コンクリート道床に形成された排水等を目的とした溝が、レールに対して交差する(直交を含まない)ように形成された場所があったとしても、まくら木がその溝の上部に敷設されることがなくなる。
具体的には、例えば、連結される2つのまくら木本体が同じ長さであれば、一方のまくら木本体がコンクリート道床の溝上部に敷設されるが、その一方のまくら木本体が溝を横断しない程度の長さの短まくら木本体であれば、溝の上部にまくら木本体が載置されることが防止できる。従って、本発明のまくら木によれば、溝が形成されたコンクリート道床にまくら木を敷設する状況であっても、「あおり現象」を阻止することができる。
本発明のまくら木は、まくら木本体と連結部材を積層構造とし、両者を積層方向上下からだけでなく、積層方向中間部においても連結した構造としたため、まくら木本体と連結部材の一体性を強固なものとすることができる。これにより、列車の荷重や振動により、まくら木本体と連結部材の一体性の崩壊が防止できる。また、まくら木本体の嵌合部は、まくら木本体の長手方向に直交する方向に一部だけ切り欠いた構成であるため、まくら木本体の高い曲げ剛性を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係るまくら木を示す斜視図である。 図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第1段階) 図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第2段階) 図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第3段階) 図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第4段階) 図1のまくら木を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、側面図である。 第2実施形態のまくら木を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、側面図である。 第3実施形態のまくら木を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、側面図である。 第4実施形態のまくら木を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、側面図である。 第5実施形態のまくら木を示す断面図である。 図10のまくら木の変形例を示す断面図である。 図10のまくら木の別の変形例を示す断面図である。 第6実施形態のまくら木を示す(a)は、平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、側面図である。 空間充填材と防振部材の双方を備えたまくら木を示す断面図である。 図14のまくら木の変形例を示す断面図である。 試作したまくら木を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、側面図である。 短まくら木本体を採用したまくら木の平面図である。 図13のまくら木を敷設した状態を示す概念図である。 芯層部材の長手方向長さを短くした変形例のまくら木を示す断面図である。
次に、本発明の第1実施形態のまくら木1について説明する。なお、以下の説明では、上下左右の位置関係は、特に断りがない限り通常の設置状態を基準として説明する。
本実施形態のまくら木1は、図1に示すように、平行に並べられた2組のまくら木本体2と、それらを一体的に連結する2組の連結部材3とで構成されたものである。本実施形態では、まくら木本体2及び連結部材3にガラス長繊維で強化されたポリウレタン樹脂製の発泡成形体(ガラス長繊維強化プラスチック発泡体:Fiber reinforced Foamed Urethane)が用いられている。なお、このポリウレタン樹脂性の発泡成形体は、まくら木に通常用いられる木材等と比べると耐摩耗性や耐久性に優れた部材である。
まくら木本体2は、3層の積層構造であり、上下層はそれぞれ長尺状の板部材で形成された上部側まくら木部材5、下部側まくら木部材6で構成され、中間層4は小片状の板部材で形成された3つのまくら木小片7で構成されている。即ち、まくら木本体2は、上部から下方に向かって順番に、上部側まくら木部材5、中間層4、下部側まくら木部材6が積層されている。なお、各層を構成するガラス長繊維の配向方向は、全て同方向であり、具体的には上下層の長手方向に向かって配向している。なお、上部側まくら木部材5と下部側まくら木部材6は、天地逆という配置の違いがあるが、構成はほぼ同じであるため、一方を説明して他方の説明を省略する。
上部側まくら木部材5には、図4(下部側まくら木部材6は図2)に示すように、長手方向に直交する方向(幅方向)に一部だけ切り欠いた2つの上部側嵌合部8(下部側まくら木部材6では下部側嵌合部9)と、厚み方向(積層方向)に貫通した12個の貫通孔10が設けられている。
2つの上部側嵌合部8は共に、上部側まくら木部材5における一方の長手側側面に設けられており、1つの嵌合底面8aと、互いに隣接する3つの嵌合側面8bにより形成されている(下部側嵌合部9は、1つの嵌合上面9aと、互いに隣接する3つの嵌合側面9bにより形成)。即ち、上部側嵌合部8の深さは、上部側まくら木部材5の厚みより浅い。また、上部側嵌合部8は、後述する連結部材3の上部芯補強部材13の端部側が嵌り込む程度の大きさを備えている。即ち、上部側嵌合部8における幅方向(上部側まくら木部材5における長手方向)の長さは、上部芯補強部材13の幅とほぼ等しい。また、本実施形態のまくら木1では、上部側嵌合部8の奥行き(上部側まくら木部材5における幅方向の長さ)は、上部側まくら木部材5の全幅に対して1/7〜2/5(好ましくは1/5〜1/3)を乗じた長さに設定されている。逆を言えば、連結部における上部側まくら木部材5の断面積は、上部側まくら木部材5の全幅に対して少なくとも2/3〜4/5を乗じた長さを有した断面積である。即ち、本実施形態のまくら木1では、まくら木本体2自体に列車の荷重や振動による曲げ応力に対抗できる曲げ剛性を備えることができる。即ち、本実施形態のまくら木1は、まくら木本体2が繰り返し受ける列車の荷重や振動により、曲げ破壊しにくい構成であるため、曲げ応力による一体性の崩壊は起こりにくい。
貫通孔10は、図4に示すように、断面形状がほぼ円形の孔であり、ほぼ同径の接続ピン11が挿通され、各まくら木本体2における層同士や、まくら木本体2と連結部材3とを接合するためのものである。なお、貫通孔10は、まくら木1を仮組した後に電動ドリルなどを用いて所定の位置に形成される。また、接続ピン11(図1,5)は、まくら木本体2と同じ材質であるポリウレタン樹脂製ものが好ましい。
中間層4は、図3に示すように、3つのまくら木小片7を有し、そのまくら木小片7は、まくら木本体2の長手方向端部側に位置する2つの端部小片16と、その端部小片16との間に配される1つの中間小片17で構成されている。また、この3つのまくら木小片7は、隙間なく連続して長尺状に並べると、上部側まくら木部材5や下部側まくら木部材6の長手方向長さより短い。即ち、中間層4は、2つの端部小片16の間に挟まれるように中間小片17が位置すると共に、その中間小片17と端部小片16とを一定の間隔を空けて配し、さらにその間隔に芯層部材12の端部側を嵌入して隙間が埋められて、上部側まくら木部材5や下部側まくら木部材6とほぼ同じ長尺長さとされる。即ち、中間小片17と端部小片16との間隔は、芯層部材12の幅とほぼ同じに設定されている。
なお、端部小片16には2個、中間小片17には4個の貫通孔10が設けられている(まくら木小片7には合計8個の貫通孔10)。
連結部材3は、まくら木本体2と同様、3層の積層構造であり、長尺状の板部材で形成さた芯層部材12と、芯層部材12を積層方向上下から補強する上部芯補強部材13、下部芯補強部材15で構成されている。即ち、連結部材3は、上部から下方に向かって順番に、上部芯補強部材13、芯補強部材12、下部芯補強部材15が積層されている。なお、各層を構成するガラス長繊維の配向方向は、全て同方向であり、具体的には芯層部材12の長手方向に向かって配向している。なお、上部芯補強部材13と下部補強部材15は、天地逆という配置の違いがあるが、構成はほぼ同じであるため、一方を説明して他方の説明を省略する。
芯層部材12は、前記したように、端部側がまくら木本体2の芯部材連結空間18に嵌入されて中間層4の一部を形成するもので、上部芯補強部材13や下部芯補強部材15よりも長手方向長さが長い。また、図3に示すように、芯層部材12には、厚み方向(積層方向)に貫通した7個の貫通孔20が設けられている。貫通孔20は、図3に示すように、断面形状がほぼ円形の孔であり、ほぼ同径の接続ピン11(図1,5)が挿通され、各連結部材3における層同士やまくら木本体2と連結部材3とを接合するためのものである。なお、貫通孔20も、前記貫通孔10同様、まくら木1を仮組した後に電動ドリルなどを用いて所定の位置に形成される。
上部芯補強部材13は、図4(下部芯補強部材15は図2)に示すように、長手方向の断面形状がほぼ「T」字型であり、長手方向両端に張り出した張出部13aと、芯層部材12側(図4の下側)に突出した突出部13bとを有する。即ち、まくら木本体2同士を連結させる際には、上部芯補強部材13は、張出部13aが上部側まくら木部材5の上部嵌合部8(下部芯補強部材15であれば下部側まくら木部材6の下部嵌合部9)に嵌入され、突出部13bが芯層部材12に当接するように配置される。このとき、張出部13aの底面と上部嵌合部8の嵌合底面8a(下部芯補強部材15であれば張出部15aの上面と下部嵌合部9の嵌合上面9a)は当接状態となる。即ち、上部芯補強部材13の長手方向長さ(一方の張出部13aの端部から他方の張出部13aの端部までの長さ)は芯層部材12の長手方向長さより短く、上部芯補強部材13における突出部13bの厚みは、上部側まくら木部材13の全体の厚みから上部嵌合部8の深さを除いた長さにほぼ等しい。さらに、上部側まくら木部材5と上部芯補強部材13は隙間なく接合されるため、上部芯補強部材13における突出部13bの長手方向長さは、接合するまくら木本体2同士の間隔にほぼ等しい。
また、上部芯補強部材13には、厚み方向に貫通した5個の貫通孔20と、側面に3つの固定穴23が設けられている。なお、固定穴23は、後述する連結補強部材21を固定する接続ピン22が挿通される穴である。
また、本実施形態のまくら木1では、連結部材3の剛性をより強化するために、連結補強部材21が設けられている。連結補強部材21は、図5に示すように、連結部材3の各層の側面が集合する集合側面に配され、各層に跨るように接合されている。これにより、連結部材3は、列車の荷重や振動により生じる撓みが小さくなるため、連結部材3の撓みが原因で起こるまくら木本体2と連結部材3との接合状態の崩壊をより確実に防止することができる。
また、連結補強部材21は、厚み方向に貫通した6つの貫通孔22が設けられており、その貫通孔22に接続ピン25が挿通されて連結部材3に固定される。
次に、第1実施形態に係るまくら木1の組み立て方について説明する。
本実施形態1のまくら木1は、図1に示すように、平行に並べられた2組のまくら木本体2が2組の連結部材3を用いて一体的に接合されて井桁構造とされるものである。
具体的には、本実施形態のまくら木1は、下部側又は上部側から各部材を積層しながら組み立てて接合する構造である。即ち、図2に示すように、2本の下部側まくら木部材6を一定の間隔を空けて配置し、底面側に下部嵌合部9が向くように配する。このとき、下部側まくら木部材6同士は、2組の下部嵌合部9が互いに向き合うように配される。そして、下部芯補強部材15の張出部15aを各下部嵌合部9に嵌入して嵌合状態すると共に、下部芯補強部材15の突出部15bの短手側側面を下部側まくら木部材6の長手側側面に当接するように配置する。なお、このとき、下部側まくら木部材6と下部芯補強部材15の重なった箇所では、貫通孔10と貫通孔20が連通した状態となる。
そして、図3に示すように、芯層部材12が下部芯補強部材15に重なるように配置され、まくら木小片7が下部側まくら木部材6に重なるように配置される。具体的には、まくら木小片7は、下部側まくら木部材6の端部側に端部小片16が配置され、下部側まくら木部材6の両端に配置された端部小片16から一定距離(下部芯補強部材15の幅程度)離された位置に中間小片17が配置されている。これにより、まくら木本体2の中間層4が、まくら木小片7と芯層部材12の端部とにより隙間なく形成される。このとき、下部芯補強部材15の突出部15bの突端面が、芯層部材12の下面に当接すると共に、芯層部材12の貫通孔20は、下部補強部材15の貫通孔20及び下部側まくら木部材6の貫通孔10と連通した状態となり、まくら木小片7の貫通孔10は、下部側まくら木部材6の貫通孔10と連通した状態となる。
そして、図4に示すように、上部側まくら木部材5が中間層4に重なるように配置され、上部嵌合部8同士が互いに向き合った配置とされる。そして、その向き合った上部嵌合部13同士の間に上部芯補強部材13が配され、上部芯補強部材13の張出部13aが上部嵌合部8に嵌入されて嵌合状態となる。このとき、上部芯補強部材13の突出部13bの短手側側面が、上部側まくら木部材6の長手側側面に当接すると共に、上部芯補強部材13の突出部13bの突端面が、芯層部材12の上面と当接している。さらに、このとき、上部芯補強部材13の貫通孔20が、芯層部材12の貫通孔20及び上部側まくら木部材5の貫通孔10と連通した状態となる。
そして、この状態において、それぞれの連通した貫通孔10,20に対して接続ピン11が挿通されて、まくら木本体2と連結部材3とが一体的に接合される。
また、本実施形態では、連結部材3における各層の側面が積層した全ての集合側面に各層に跨るように連結補強部材21が配される。このとき、連結補強部材21の貫通孔22は、連結部材3の固定穴23と連通した状態となる。そして、この連通状態の貫通孔22と固定穴23に対して接続ピン25が挿通されて、連結補強部材21と連結部材3とが一体的に接合される。
なお、本実施形態のまくら木1では、接続ピン11,25に加えて、接着剤が用いられ、前記した組み立ての過程に各部材間に塗布されて接合されている。即ち、本実施形態のまくら木1は、接続ピン11,25と接着剤とにより強固に接合されている。
本発明における接続ピン11,25は、接続強度の確保と安定化が目的であり、図示した本数に限定されるものではない。
さらに本実施形態では、組み立てられたまくら木1の表面を被覆するガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Grass Fiber Reinforced Plastics)による被覆層が設けられている。これにより、各部材の強度が強化されると共に、各部材の一体性が強化される。
従って、本実施形態のまくら木1では、まくら木本体2と連結部材3を共に3層構造とし、まくら木本体2と連結部材3とを積層方向上下からだけでなく、中間部においても連結した構造としたため、両者の一体性が強い。即ち、列車の荷重や振動により、両者の接合が崩壊してしまうことが抑制される。即ち、本実施形態のまくら木1によれば、列車の荷重や振動により、軌道が「あおり現象」を生じることが殆どない。
また、本実施形態のまくら木1では、連結部材3が接続されるまくら木本体2の上部嵌合部8、下部嵌合部9がまくら木本体2の幅方向に一部だけ切り欠いた構成であるため、まくら木本体2の接合部において、列車の荷重や振動に対抗できる有効断面を有する。即ち、まくら木本体2の接合部において、列車の荷重や振動に対抗できる曲げ剛性を備えた構成と言えるため、まくら木本体2自体が曲げ応力に対抗できる。これにより、まくら木本体2又はまくら木本体2と連結部材3との接合部で、曲げ破壊が起きる可能性が低減されるため、結果的にまくら木本体2と連結部材3との一体性の崩壊が防止される。
上記した実施形態では、上部芯補強部材13及び下部芯補強部材15における長手方向の断面がほぼ「T」字型の構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、図7に示すように、上部芯補強部材33及び下部芯補強部材35が単に長尺状の板部材であっても構わない(第2実施形態のまくら木31)。この場合、上部側まくら木部材32や下部側まくら木部材34に設けられる嵌合部36を、幅方向に一部切り欠いた形状にすると共に、底部を有さない形状にする。これにより、本実施形態におけるまくら木本体は、いずれの箇所においても曲げ応力に対抗できる有効断面を備えた構成となるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
上記した実施形態では、まくら木1の上下面において、まくら木本体2と連結部材3とがほぼ同一の平面に位置するような構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図8に示すように、下部芯補強部材43の底部側を下部側まくら木部材44よりも下方に突出させた構成であっても構わない(第3実施形態のまくら木41)。具体的には、下部芯補強部材43の厚みを下部側まくら木部材44の厚みより大きくし、下部芯補強部材43の底部が下部側まくら木部材44の厚みを超えた箇所から下部側まくら木部材44の幅方向に延びた張出形状とする。この張出部43aは、嵌合部が覆われる程度の長さより大きく、まくら木本体の領域を超えない範囲であれば、いかなる長さでも構わない。なお、この下部芯補強部材43の張出部43aにも、上記したように貫通孔20を設けて、まくら木本体と接合することが望ましい。これにより、連結部材とまくら木本体の一体性がより強化される。また、本実施形態のまくら木41は、道床に敷設した際に、下部側まくら木部材44よりも下方に突出した下部芯補強部材43が、ストッパーの役割を果たすため、「あおり現象」が抑制される。
第3実施形態では、下部芯補強部材43の下部に張出部43aを設けて、まくら木本体と連結部材との一体性のさらなる強化を図った構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示すように、下部芯補強部材53に張出部を設けず、下部芯補強部材53に沿って、耐摩耗性を備えた底面板38を設けた構成であっても構わない(第4実施形態のまくら木51)。これにより、まくら木51は、第3実施形態のまくら木41とほぼ同様の作用効果を得ることができる。なお、底面板38には、ガラス長繊維で強化されたポリウレタン樹脂製の発泡成形体が用いられることが望ましい。
また、本発明のまくら木では、図10に示すように、上部芯補強部材の上部とレールとの隙間に充填可能な耐摩耗性や防振性を備えた空間充填材39を設けても構わない(第5実施形態のまくら木55)。即ち、空間充填材39を上部芯補強部材の上部に配した際に、その空間充填材39の厚みが、レールを固定するタイプレート49の高さとほぼ同じ大きさとなるようにされている。これにより、列車の荷重や振動によるレールの撓みが軽減されるため、まくら木に対して過負荷が掛からず、より長期に渡って使用することができると共に、列車の振動による影響が低減されるため、レール等の振動音が抑制される。
また、本実施形態における空間充填材39は、まくら木本体に用いられたガラス長繊維強化プラスチック発泡体よりも比較的軟質な発泡成形体(以下、軟質FFUとも称す)のみの構成でも構わないし、この部材の上面であってレールと当接する部位に弾性を備えたゴムなどを配した構成でも構わない。
なお、軟質FFUは、まくら木本体に用いられたガラス長繊維強化プラスチック発泡体と比較すると、ポリオールの水酸基価や官能基数が変更されて軟質にされた部材である。そして、本実施形態における軟質FFUは、軟質にしたことで低下する強度を補強するために、まくら木本体に用いられたガラス長繊維強化プラスチック発泡体よりガラス繊維の密度が密にされている。具体的には、まくら木本体の比重が0.74程度であるのに対して、軟質FFUは比重が0.90〜2.00程度に設計されるものであって、より好ましくは比重が0.93〜0.97の範囲で設計されている。これにより、本実施形態で使用される軟質FFUは、軟質な性質を備えながら、一定の強度を維持している。
また、図11、12に示すように、本発明のまくら木では、上部芯補強部材の上部に加えて、上部側まくら木部材とレールとの間に空間充填材39を設けても構わない。また、上部芯補強部材の上部に設けられた空間充填材39は、図12に示すように、複数に分割したものを採用してもよい。
また、この空間充填材39は、連結材と固定しても良いが、連結材に対して脱着可能に取り付けた構成であっても構わない。空間充填材39を脱着可能とした場合、レール締結装置の厚さや、列車重量の変更等に対応できるため、汎用性を高めることができる。
本発明のまくら木では、図13に示すように、まくら木の底面に高摩擦性を備えた滑り止め部材40を設けた構成であっても構わない(第6実施形態のまくら木57)。これにより、まくら木57は、道床に対して大きな摩擦力を備えることになるため、まくら木57に生じ得るあおり現象等がより確実に抑制される。
また、本発明のまくら木では、まくら木の底面に、滑り止め部材40に替えて、列車の通過の際に発生する振動を抑制する防振部材46を設けた構成であってもよい。防振部材46は、軟質FFUが採用されている。これにより、まくら木57は、列車の走行による振動が低減されるため、振動音が抑制される。
また、本発明のまくら木は、列車の振動を低減するため、図14、15に示すように、空間充填材39と防振部材46の双方を設けた構成であってもよい。これにより、より一層、列車の振動による騒音を抑制することが可能となる。従って、空間充填材39や防振部材46を採用することで、街中に列車が通過するような状況であっても、振動音により、住宅環境を乱すことがない。
上記実施形態では、連結部材3の全ての集合側面に連結補強材21を接合した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、連結補強材21を全く設けない構成であっても、一部の集合側面に連結部材21を設ける構成であっても構わない。
上記実施形態では、組み立てられたまくら木の表面を被覆する被覆層を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば被覆層を設けない構成であっても、被覆層をまくら木本体と連結部材のいずれか一方に設ける構成であっても構わない。
上記実施形態では、まくら木本体及び連結部材にガラス長繊維で強化されたポリウレタン樹脂製の発泡成形体を用いた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、まくら木として通常用いられる木材やコンクリートを用いた構成であっても構わない。この場合、まくら木全体に被覆層を設けて、各部材の強度を強化したり、一体性を高めることが望ましい。
上記実施形態では、3層構造のまくら木本体及び連結部材を示した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、一方又は双方が4層以上の構造であっても構わない。
上記実施形態では、長手方向が同じ長さのまくら木本体同士を連結した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、図17に示すように、連結するまくら木本体のうちの少なくとも1つは長手方向の長さが短い短まくら木本体63を用いてまくら木61を構成しても構わない。なお、まくら木61の断面構成は、上記実施形態とほぼ同じである。
ここで、図18に示すように、コンクリート道床には、排水等を目的とした溝64がレールに対して斜めに交差するように形成されている場合がある。そのため、まくら木をレールの延伸方向にほぼ等間隔に配置していくと、その溝64を横断するようにまくら木本体が敷設される場合がある。この場合、コンクリート道床に対するまくら木の固定が不安定となり、列車の荷重や振動により、まくら木が「あおり現象」を発生する懸念があった。
そこで、本発明では、溝64を横断することがない程度の長さの短まくら木本体63と、上記したまくら木本体2とを組み合わせたまくら木61を敷設することとした。これにより、まくら木61における短まくら木本体63とまくら木本体2との一体性を維持しつつ、コンクリート道床に対するまくら木61の固定状態が安定するため、「あおり現象」を防止できる。
また、図18に示すように、短まくら木本体63同士を向かい合わせて敷設することで、まくら木同士の間隔をほぼ一定に維持することができるため、レールの撓みによるまくら木への過負荷が低減される。
また、本発明において、連結部材3の芯層部材12の長手方向長さは、少なくともまくら木本体2における幅方向の外側面まで延設される長さとされている。しかし、図19に示すように、この芯層部材12の長手方向長さを、まくら木本体2における幅方向外側面に至らない程度に短くして、この芯層部材12の長手方向端面から当該外側面までの空間に中間層4を充填する構成とすることで、まくら木全体の接合強度をより向上させることができる。なお、このときの芯層部材12の長手方向端部とまくら木本体2の幅方向外側面までの間隔は、まくら木本体2の幅に対して2/3を乗じた程度の長さが好ましい。
1、31、41、51、55 まくら木
2 まくら木本体
3 連結部材
4 中間層
5、32、42 上部側まくら木部材
6、34、44 下部側まくら木部材
7 まくら木片
8 上部嵌合部(嵌合部)
9 下部嵌合部(嵌合部)
12 芯層部材
13、33、43 上部芯補強部材(補強部材)
15、35、53 下部芯補強部材(補強部材)
38 底面板
39 空間充填材
40 滑り止め部材
46 防振部材

Claims (13)

  1. 複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結し、接着剤によって接合して一体化されたまくら木であって、
    前記連結部材は、長尺状の芯層部材と、当該芯層部材を補強する芯補強部材とを有し、
    前記まくら木本体は、少なくとも中間層と、当該中間層よりも上方に位置する上部側まくら木部材と、下方に位置する下部側まくら木部材とを有し、
    中間層は、複数のまくら木小片を有し、
    上部側まくら木部材及び下部側まくら木部材は、長尺状であって、長手方向長さがまくら木本体の全長に渡る長さであると共に、長手側側面には長手方向に直交するように一部切り欠いた嵌合部が設けられ、
    芯補強部材の端部側が、上部側まくら木部材及び下部側まくら木部材の嵌合部に嵌入されると共に、芯層部材の端部側が、中間層のまくら木小片同士の間に嵌入されていることを特徴とするまくら木。
  2. 前記嵌合部におけるまくら木本体の長手方向に直交する長さが、まくら木本体における長手方向に直交する長さの1/7〜1/3であることを特徴とする請求項1に記載のまくら木。
  3. 少なくとも上部側まくら木部材の嵌合部は、有底状の切り欠きであり、
    当該上部側まくら木部材に嵌入される芯補強部材は、長手方向の断面形状がほぼT字型であり、
    当該芯補強部材の両端に張り出した張出部が上部側まくら木部材の嵌合部に嵌入して、一体的に接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載のまくら木。
  4. まくら木本体及び/又は連結部材には、表面の一部又は全部に繊維強化プラスチックにより形成された被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のまくら木。
  5. まくら木は、底面材を有し、
    底面材は、連結部材の底面側及びまくら木本体における当該連結部材の長手方向延長上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のまくら木。
  6. 前記芯層部材と芯補強部材の各側面が並ぶ集合側面には、当該各側面に跨るように連結補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のまくら木。
  7. 上部側まくら木部材の上面と、芯補強部材の上面とがほぼ同一の平面を形成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のまくら木。
  8. 少なくとも前記上部側まくら木部材と下部側まくら木部材は、耐摩耗性を備えた部材であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のまくら木。
  9. 前記耐摩耗性を備えた部材は、長手方向に長繊維が配向する繊維強化樹脂で形成された樹脂板であることを特徴とする請求項8に記載のまくら木。
  10. まくら木は、高摩擦性を備えた滑り止め部材を有し、
    滑り止め部材がまくら木本体及び連結部材の底面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のまくら木。
  11. まくら木は、防振機能を果たす防振部材を有し、
    防振部材は、少なくとも長繊維強化樹脂を備えており、まくら木本体及び連結部材の底面に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のまくら木。
  12. まくら木は、レールを配した際に、当該レールの底面と連結部材及び/又はまくら木本体の上面との間に形成される間隔を埋めることが可能な空間充填材を有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のまくら木。
  13. 平行状態に連結されたまくら木本体のうち、少なくとも1つのまくら木本体が他のまくら木本体より長手方向に短い短まくら木本体であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のまくら木。
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