JP3940708B2 - まくら木固定方法及び固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はまくら木の固定方法及び固定構造に関し、さらに詳細には、充填材を介してまくら木をスラブに固定するまくら木の固定方法及び固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
まくら木をスラブ上に直接的に敷設する場合においては、従来より、まくら木とスラブ上面の間に充填材を注入してまくら木を固定する方法が採用されている。図12に従来の方法によって固定されたスラブとまくら木の固定構造を示す。
即ち図12は従来技術のまくら木構造物の縦断面図で、断面は締結部材を含む幅方向の面である。従来の方法によれば、まず直方体のまくら木1の長手側面1bから10〜15mm程度の間隔Xをおいて型枠6を設置する。次に、まくら木1にレール(図示せず)が敷設された状態でレールごとまくら木を少し持ち上げて、スラブ5の上面5aとまくら木1の底面1cの間に25mm程度の隙間Yを作る。次に、まくら木1の一方の長手側面1bと型枠6の間の隙間Aからウレタン樹脂等の充填材7を流し込み、まくら木1の底面1cとスラブ5の上面5aとの間を充填材7で満たす。その後、充填材7が硬化するまでそのまま待ち、充填材7が硬化したら型枠6を取り除いて完了する。なお、充填材を流し込む際、スラブ5とまくら木1はTボルト2等の締結部材であらかじめ締結されており、Tボルト2の先端はスラブ5に設けられた係止部10に嵌められ、係合されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スラブ5の係止部10と係合されたTボルト2の先端部22の間には隙間が生じている。このため、図12に示すように、充填材7を流し込むとスラブ5の係止部10とTボルト2の先端部22の隙間にも充填材7が流れ込む。その結果、まくら木1が充填材7を介してスラブ5に固定される一方で、Tボルト2が充填材7によってスラブ5と固着されてしまう。そのため、将来、まくら木1を交換する際にTボルト2を抜くことが困難となり、まくら木1の交換作業に大きな支障をきたす。
【0004】
本発明の目的は、スラブ面にまくら木を敷設するにあたり、将来のまくら木交換が容易なまくら木の固定方法及び固定構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、充填材を介してまくら木をスラブに固定するまくら木固定方法であって、前記スラブには係止部が設けられ、前記係止部に係合する締結部材によって前記まくら木と前記スラブを締結し、前記まくら木と前記スラブの間を充填材で満たし、暫時経過後に充填材が硬化することによりまくら木をスラブに固定するまくら木固定方法において、前記まくら木と前記スラブの間に保護部材が設けられ、前記保護部材が前記締結部材と前記係止部の間に生じる隙間を閉塞していることを特徴とするまくら木固定方法である。
【0006】
本発明のまくら木固定方法においては、まくら木とスラブの間に保護部材が設けられている。そして、締結部材とスラブの係止部の間に生じる隙間を保護部材が閉塞している。そのため、スラブとまくら木の間に充填材を流し込んでも、締結部材とスラブの係止部の間に生じる隙間に充填材が流れ込むことがない。従って、締結部材が充填材によってスラブに固着されることはないので、将来、まくら木を交換する際に締結部材を過度の負担なく通常の操作で抜くことができる。
【0007】
ここで保護部材は、締結部材とスラブの係止部の間に生じる隙間を閉塞するために圧縮性が高い材質が好ましく、例えば弾性体等で製作することができる。また保護部材の形状としては、締結部材とスラブの係止部の間に生じる隙間をスラブ上面から閉塞するものであれば何でもよく、例えば、パイプ状、ドーナツ状等の円筒状、又は四角柱等の多角柱で中央部に穴を設けたもの等で締結部材を周囲から囲んで隙間を閉塞できるものが挙げられる。また本発明で使用される充填材としては、熱硬化性樹脂が好適であり、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0008】
本発明は、通常の木材で製された木まくら木、プレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete)で製されたPCまくら木、合成木材で製された合成まくら木のいずれにも適用可能である。また本発明は、並まくら木、分岐まくら木、橋まくら木等の種々の形態において適用可能である。
【0009】
また請求項2に記載の発明は、前記保護部材が弾性体からなることを特徴とする請求項1に記載のまくら木固定方法である。
【0010】
本発明のまくら木固定方法においては、保護部材が弾性体によって製作されている。そのため、隙間を確実に閉塞することができる。弾性体の例としては、ゴム、プラスチック、スポンジ等が挙げられ、圧縮性が高い材質および形状のものが隙間を閉塞するのに特に好適である。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、前記まくら木が合成まくら木であることを特徴とする請求項2に記載のまくら木固定方法である。
【0012】
本発明のまくら木固定方法においては、まくら木が合成木材で製された合成まくら木である。そのため、まくら木は軽量で敷設作業が容易で且つまくら木の寿命が長い。合成まくら木の材料である合成木材としては、例えば、ガラス長繊維で強化されたプラスチック発泡体を使用することができる。さらに、ガラス長繊維で強化されたプラスチック発泡体の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維等の無機質繊維、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維等を補強材として含み、マトリクスとして、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂等の発泡体が挙げられる。また、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、発泡樹脂中に炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレー等の無機充填剤、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材などの各種添加剤が添加されてもよい。これらの中でも、好適な材料としては硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体であり、例えば、商品名「エスロンネオランバーFFU」(積水化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0013】
また請求項4に記載の発明は、充填材を介してスラブに固定されたまくら木固定構造において、前記スラブには係止部が設けられ、前記まくら木と前記スラブの間には保護部材が設けられ、前記係止部に係合する締結部材によって前記まくら木と前記スラブが締結され、前記保護部材は前記締結部材と前記係止部の間に生じる隙間を閉塞し、前記まくら木と前記スラブの間が充填材で満たされていることを特徴とするまくら木固定構造である。
【0014】
本発明のまくら木固定構造においては、保護部材は締結部材とスラブの係止部の間に生じる隙間を閉塞しているので、充填材が係止部に入り込んでおらず、締結部材は充填材でスラブに固着されていない。従って、将来、まくら木を交換する際に締結部材を過度の負担なく通常の操作で抜くことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0016】
まず、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態のまくら木構造物の組み立て構造を説明する。本実施形態のまくら木1は合成まくら木であり、その材質はガラス長繊維で強化されたプラスチック発泡体(商品名「エスロンネオランバーFFU」積水化学工業株式会社製、比重0.74)が好適である。また、まくら木1のサイズはいわゆる標準サイズであり、幅230mm、高さ140mmであるが、これらのサイズは適宜変更が可能である。また、まくら木1の長手方向の長さはレール幅などにより適宜選択される。図1に示すように、まくら木1はTボルト2(締結部材)によってスラブ5と締結される。即ち、まくら木1は直方体であり、長手方向の両端部に上下に貫通する直方体状の貫通孔8が設けられている。貫通孔8の開口の平面形状はまくら木1の長手方向に長辺を有する長方形である。また、スラブ5の上面には係止部10が設けられている。係止部10は凹状でスラブ5の上面に開口を有し、開口の平面形状はまくら木1の長手方向に長辺を有する長方形である。Tボルト2は軸21と先端部22からなり、先端部22は係止部10に嵌められる。凹状の係止部10内には係合部(図示せず) があり、先端部22を90度回転させることによって係止部10内の係合部と先端部22が係合し、まくら木1はスラブ5に締結される。Tボルト2の上部は座金26とナット18によってまくら木1の上面に固定されている。
【0017】
まくら木1とスラブ5の間には円柱状の保護部材3が設けられている。図1に示すように保護部材3は円柱状であり、その中央部に上下方向に貫通する貫通孔20を有している。さらに、貫通孔20にはTボルト2の軸21が貫通している。保護部材3の貫通孔20の内径とTボルト2の軸21の外径は略同一であり、Tボルト2の軸21と保護部材3は隙間なく接している。また、保護部材3の外径は係止部10の開口を完全に閉塞できる大きさであり、Tボルト2の締結時には保護部材3の底面とスラブ5の上面が完全に密着して係止部10は閉塞される。保護部材3はスポンジ、軟質ゴム等の弾性体で製されている。
【0018】
次に、図2を参照しながら、スラブ5とまくら木1の間に充填材7を流し込み固定する手順、及びまくら木1の固定構造を説明する。図2は本実施形態におけるまくら木構造物の縦断面図で、断面はTボルト2を含む幅方向の面である。
【0019】
まず、まくら木1を固定する手順を説明する。まくら木1とスラブ5の間に保護部材3が設けられた状態でTボルト2を締め、まくら木1をスラブ5に締結する。このとき、保護部材3の下面とスラブ5の上面5aは密着構造となり、係止部10の開口は閉塞される。同様に、保護部材3の上面とまくら木1の底面1cの間も密着構造となる。次に、まくら木1の長手側面1b,1dから10〜15mm程度の間隔Xをおいて、型枠6を設置する。次に、まくら木1の一方の長手側面1bと型枠6の間の隙間Aからウレタン樹脂の充填材7を流し込み、まくら木1の底面1cとスラブ5の上面5aとの間を充填材7で満たす。このとき、保護部材3が係止部10を閉塞しているので、充填材7は係止部10に入り込むことはない。その後、充填材7が硬化するまでそのまま待ち、充填材7が硬化したら型枠6を取り除いて完了する。
【0020】
図2に示すように、本実施形態におけるまくら木固定構造においては、保護部材3がTボルト2の軸21を囲むように配されて係止部10の開口を閉塞しており、且つ保護部材3の周りに充填材7が満たされている。さらに、充填材7が係止部10に入り込んでいないので、Tボルト2の先端部22が係止部10内で固着していない。従って、本実施形態におけるまくら木固定構造においては、将来のまくら木交換工事の際に、Tボルト2を過度の負担なく通常の操作で抜くことができる。
【0021】
次に、図3を参照しながら本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では保護部材3の形状が第1実施形態と異なる。即ち、上記した第1実施形態においては保護部材3の形状は円柱状であったが、保護部材3は図3(a),図3(b)に示すような形状でもよい。図3(a)に示す保護部材3は直方体状であり、中央部に貫通孔20を有する。第1実施形態と同様に、貫通孔20は円柱状でその内径はTボルト2の軸21の直径と略同一である。また図3(b)に示す保護部材3は、第1実施形態と同様に円柱状であるが、貫通孔20が直方体状である。貫通孔20の開口の平面形状は、係止部10の開口の平面形状と略同一の長方形である。
【0022】
次に、使用されるまくら木1の底部の形状に特徴がある本発明の第3実施形態〜第10実施形態を、それぞれ図4〜図11を参照しながら説明する。図4〜図11はいずれもまくら木1を下から見た斜視図であり、まくら木1はすでに貫通孔8a,8bが設けられた状態である。
【0023】
まず図4を参照しながら本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態におけるまくら木1は合成まくら木であり、底部に2つの切り欠き部25a,25bを有している。そして、2つの切り欠き部25a,25bはそれぞれまくら木1の両方の長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しながら開放し、長手側面1b,1d上にそれぞれ長方形の開口35a,35bを形成している。開口35a,35bの縦(高さ方向)と横(長手方向)の長さは、縦がまくら木1の高さ方向の長さの3分の1から6分の1程度、横はまくら木1の長手方向全長から両端部分を除いた程度の長さである。
【0024】
本実施形態では、まくら木1の切り欠き部25a,25bが長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しているので、充填材7を流し込む際に充填材7がスムーズに流れ込み、且つ反対側の長手側面1d側に容易に回り込むことができ、充填材7は隅々まで容易に行き渡る。さらに、充填材7に泡が発生しても、切り欠き部25a,25bが上方に傾斜して開放しているので泡が浮上しやすく、泡は消えやすい。
【0025】
また本実施形態においては、まくら木1は下方(スラブ側)に向かってテーパ状となった構造である。従って、切り欠き部25a,25bによって楔効果が発揮され、まくら木1はより強固に充填材7を介してスラブ5に固定される。さらにまくら木1の底部を切り欠くことにより、直角三角形の4つの切り欠き部側面40a,40b,40c,40dが形成される。この切り欠き部側面40a,40b,40c,40dによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。
【0026】
次に、図5を参照しながら本発明の第4実施形態を説明する。図5は第4実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0027】
本実施形態におけるまくら木1は合成まくら木であり、第3実施形態のまくら木1と同様に、底部に2つの切り欠き部25a,25bを有し、2つの切り欠き部25a,25bはそれぞれまくら木1の両方の長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しながら開放し、長手側面1b,1d上にそれぞれ長方形の開口35a,35bを形成している。しかし、本実施形態では上記した第3実施形態と異なり、2つの切り欠き部25a,25bの間にまくら木1の底面1cの一部が残っている。本実施形態においても上記した第3実施形態と同様に、まくら木1の切り欠き部25a,25bが長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しているので、充填材7を流し込む際に充填材7がスムーズに流れ込み、且つ反対側の長手側面1d側に容易に回り込むことができ、充填材7は隅々まで容易に行き渡る。さらに、充填材7に泡が発生しても、切り欠き部25a,25bが上方に傾斜して開放しているので泡が浮上しやすく、泡は消えやすい。
【0028】
また本実施形態においては、まくら木1の底部を切り欠くことにより直角三角形の4つの切り欠き部側面40a,40b,40c,40dが形成され、この切り欠き部側面40a,40b,40c,40dによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。
【0029】
次に、図6を参照しながら本発明の第5実施形態を説明する。図6は第5実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0030】
本実施形態においては、まくら木1の長手側面1b,1d下部に切り欠き部25a〜25hを有し、切り欠き部の数は8個である。本実施形態では、まくら木1の切り欠き部25a〜25hが長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しているので、充填材7を流し込む際に充填材7がスムーズに流れ込み、且つ反対側の長手側面1d側に容易に回り込むことができ、充填材は隅々まで容易に行き渡る。さらに、充填材7に泡が発生しても、切り欠き部25a〜25hが上方に傾斜して開放しているので泡が浮上しやすく、泡は消えやすい。
【0031】
さらに本実施形態においては、まくら木1を切り欠くことにより直角三角形の16個の切り欠き部側面40a〜40pが形成され、これらの切り欠き部側面40a〜40pによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。なお、本実施形態では切り欠き部25の数は8個であるが、切り欠き部25の個数に特に限定はなく、7個以下あるいは9個以上であってもよい。
【0032】
次に、図7を参照しながら本発明の第6実施形態を説明する。図7は第6実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0033】
本実施形態においては、上記した第5実施形態と同様にまくら木1の長手側面1b,1d下部に切り欠き部25a〜25hを有し、切り欠き部の数は8個である。そして、本実施形態においては切り欠き部25a〜25hは底面から垂直に切り欠かれており、長方形の16個の切り欠き部側面40a〜40pが形成されている。本実施形態においては、切り欠き部側面40a〜40pによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。なお、本実施形態においても切り欠き部25の数は8個であるが、切り欠き部25の個数に特に限定はなく、7個以下あるいは9個以上であってもよい。
【0034】
次に、図8を参照しながら本発明の第7実施形態を説明する。図8は第7実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0035】
本実施形態におけるまくら木1は合成まくら木であり、直方体状の3つの切り欠き部25a,25b,25cを有し、まくら木1の両方の長手側面1b,1d間を連通している。即ち、本実施形態のまくら木1は、3つの切り欠き部25a,25b,25cと、まくら木1の長手側面1b,1d上に3つずつ、計6つの開口35a〜35fを有している。従って本実施形態では、3つの切り欠き部25a〜25cが長手側面1b,1dに向かって2方向に開放しているので、充填材7を流し込んだときに反対側の長手側面1d側への回り込みが容易であり、充填材7は容易に隅々まで行き渡る。さらに、充填材7に泡が発生した場合であっても、泡は3つの切り欠き部25a〜25cから2方向に浮上できるので、泡が消えやすい。
【0036】
また本実施形態においては、まくら木1を切り欠くことにより長方形の切り欠き部側面40a〜40fが6つ形成され、この切り欠き部側面40a〜40fによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。なお、本実施形態では切り欠き部25の数は3個であるが、切り欠き部25の個数に特に制限はなく、2個あるいは4個以上であってもよい。
【0037】
次に、図9を参照しながら本発明の第8実施形態を説明する。図9は第8実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0038】
本実施形態におけるまくら木1は合成まくら木であり、底面1cから長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しながら開放する6つの切り欠き部25a〜25fを有している。即ち、まくら木1は6つの切り欠き部25a〜25fと6つの開口35a〜35fを有している。従って本実施形態では、まくら木1の切り欠き部25a〜25fが長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しているので、充填材7を流し込む際に充填材7がスムーズに流れ込み、且つ反対側の長手側面1d側に容易に回り込むことができ、充填材7は隅々まで容易に行き渡る。さらに、充填材7に泡が発生しても、切り欠き部25a〜25fが上方に傾斜して開放しているので泡が浮上しやすく、泡は消えやすい。
【0039】
また本実施形態では、まくら木1は下方(スラブ5側)に向かってテーパ状となった構造である。従って、切り欠き部25a〜25fによって楔効果が発揮され、まくら木1はより強固に充填材7を介してスラブ5に固定される。さらに本実施形態においては、まくら木1を切り欠くことにより直角三角形の12個の切り欠き部側面40a〜40lが形成され、これらの切り欠き部側面40a〜40lによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。なお、本実施形態では切り欠き部25の数は6個であるが、切り欠き部25の個数に特に限定はなく、5個以下あるいは7個以上であってもよい。
【0040】
次に、図10を参照しながら本発明の第9実施形態を説明する。図10は第9実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0041】
本実施形態においては、まくら木1は合成まくら木で、2層構造になっている。即ち、本実施形態におけるまくら木1は、高さが異なる2つの直方体状体15,16が水平方向に接合された構造であり、且つ下部の直方体状体16が低比重材で製されている。具体的には、まくら木1の上部の約3分の2は合成木材(商品名「エスロンネオランバーFFU」積水化学工業株式会社製、比重0.74)からなる直方体状体15であり、下部の約3分の1はより低比重の合成木材(商品名「エスロンネオランバーFFU」積水化学工業株式会社製、比重0.3〜0.5)からなる直方体状体16である。さらに、本実施形態のまくら木1は上記した第8実施形態のまくら木1と同様の形状の8個の切り欠き部25a〜25hと8個の開口35a〜35hを有している。そして、これらの切り欠き部25a〜25hは全て低比重材からなる直方体状体16に設けられている。本実施形態では、低比重材が切削が容易であるので、切り欠き部25a〜25hの製作が容易である。さらに本実施形態のまくら木1においては、低比重材の直方体状体16の部分が軌道からの振動や衝撃を減衰させることができ、騒音の低減に好適である。
【0042】
また本実施形態では、まくら木1の切り欠き部25a〜25hが長手側面1b,1dに向かって上方に傾斜しているので、充填材7を流し込む際に充填材7がスムーズに流れ込み、且つ反対側の長手側面1d側に容易に回り込むことができ、充填材は隅々まで容易に行き渡る。さらに、充填材7に泡が発生しても、切り欠き部25a〜25hが上方に傾斜して開放しているので泡が浮上しやすく、泡は消えやすい。
【0043】
さらに本実施形態においても、まくら木1を切り欠くことにより直角三角形の16個の切り欠き部側面40a〜40pが形成され、これらの切り欠き部側面40a〜40pによって、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される
【0044】
次に、図11を参照しながら本発明の第10実施形態を説明する。図11は第10実施形態におけるまくら木の斜視図である。
【0045】
本実施形態における木1は、合成木材のまくら木本体23と2つの凸部11a,11bから成り、さらにまくら木本体23の上面にはクロロプレンゴム又はスチレンブタジエンゴム等で製された耐摩耗性材12が設けられている。即ち、まくら木本体23は第9実施形態のまくら木1と同様に、高さが異なる2つの直方体状体15,16が水平方向に接合された2層構造であり、且つ下部の直方体状体16が低比重材で製されている。さらに、ゴム等の弾性体からなる2つの直方体の部材がまくら木本体23の底面の両端部に貼付され、2つの凸部11a,11bを形成している。さらに、まくら木本体23の上面には弾性体からなる耐摩耗性材12が設けられている。本実施形態では、凸部11a,11bにより、まくら木1の長手方向へ向けてまくら木1に加わる力に対抗する充填材7の抗力が増大するので、まくら木1は長手方向にずれにくく、より安定してスラブ5に固定される。また、まくら木本体23の低比重材が軌道からの振動や衝撃を減衰させることができ、騒音の低減に好適である。さらに、まくら木本体23の上面に耐摩耗性材12が設けられているので、タイプレート等からの振動摩擦や衝撃力を緩和することができ、まくら木1の磨耗を低減することができる。なお、上記の凸部11a,11bは低比重材で製したものを貼付してもよく、低比重材のまくら木下部を切り欠いて凸部11a,11bを形成してもよい。
【0046】
なお、上記した全ての実施形態においては、さらに、まくら木1の底部に長手側面1b,1dに開放しない穴を1個又は複数個設けてもよい。穴を設けることによって、まくら木1に防振効果が付加される。
【0047】
また、上記した全ての実施形態においては、まくら木1は合成まくら木であったが、木まくら木、PCまくら木にも適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
請求項1に記載のまくら木固定方法によれば、締結部材が充填材によってスラブに固着されることはないので、将来、まくら木を交換する際に締結部材を過度の負担なく通常の操作で抜くことができる。
【0049】
請求項2に記載のまくら木固定方法によれば、締結部材とスラブの係止部の間に生じる隙間を確実に閉塞することができ、締結部材が充填材によってスラブに固着されることはない。
【0050】
請求項3に記載のまくら木固定方法によれば、まくら木が合成まくら木であるので、まくら木の敷設作業が容易で且つまくら木の寿命が長い。
【0051】
請求項4に記載のまくら木固定構造によれば、締結部材は充填材でスラブに固着されていないので、将来、まくら木を交換する際に締結部材を過度の負担なく通常の操作で抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態におけるまくら木構造物の組み立て構造を示す分解斜視図である。
【図2】 第1実施形態におけるまくら木構造物の縦断面図である。
【図3】 第2実施形態における保護部材を表す斜視図である。
【図4】 第3実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図5】 第4実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図6】 第5実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図7】 第6実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図8】 第7実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図9】 第8実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図10】 第9実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図11】 第10実施形態におけるまくら木を表す斜視図である。
【図12】 従来技術におけるまくら木構造物の縦断面図である。
【符号の説明】
1 まくら木
2 Tボルト(締結部材)
3 保護部材
5 スラブ
7 充填材
10 係止部
Claims (4)
- 充填材を介してまくら木をスラブに固定するまくら木固定方法であって、前記スラブには係止部が設けられ、前記係止部に係合する締結部材によって前記まくら木と前記スラブを締結し、前記まくら木と前記スラブの間を充填材で満たし、暫時経過後に充填材が硬化することによりまくら木をスラブに固定するまくら木固定方法において、前記まくら木と前記スラブの間に保護部材が設けられ、前記保護部材が前記締結部材と前記係止部の間に生じる隙間を閉塞していることを特徴とするまくら木固定方法。
- 前記保護部材が弾性体からなることを特徴とする請求項1に記載のまくら木固定方法。
- 前記まくら木が合成まくら木であることを特徴とする請求項2に記載のまくら木固定方法。
- 充填材を介してスラブに固定されたまくら木固定構造において、前記スラブには係止部が設けられ、前記まくら木と前記スラブの間には保護部材が設けられ、前記係止部に係合する締結部材によって前記まくら木と前記スラブが締結され、前記保護部材は前記締結部材と前記係止部の間に生じる隙間を閉塞し、前記まくら木と前記スラブの間が充填材で満たされていることを特徴とするまくら木固定構造。
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