JP5623072B2 - 軸肥大加工方法及び軸肥大加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属棒材からなるワークの一部に拡径した肥大部を成形する軸肥大加工方法及び軸肥大加工装置に関するものである。
軸径の太い肥大部を有する軸部品を製造する際、軸肥大加工法が有効であるとして研究開発されている。この軸肥大加工法は、軸圧縮応力下にある軸材に対して回転曲げによる引張、圧縮の交番力を作用させることにより、常温に軸材の一部分を肥大変形させる塑性加工法である。この軸肥大加工法は、従来の塑性加工法等と比較して、小さな投入エネルギーであるにもかかわらず、短時間で大きな塑性変形を生じさせることができる。また、エネルギー効率がよく、加工時の温度上昇がほとんどない。
このような軸肥大加工法を行うための軸肥大加工装置が特許文献1に開示されている。この軸肥大加工装置は、長尺なワークに対しても肥大加工を行うことができ、しかも、ワークのセット及び取り外し時、装置自体へのワークの衝突をも避けることができることとしている。そのために、可動側のホルダユニットを旋回手段により旋回させ、一対のホルダユニット間の離間距離がワークの長さよりも短くても、一方のホルダユニットの保持部に対し、他方のホルダユニットを避けてワークを保持できるものとしている。
しかしながら、特許文献1は、長尺丸棒材への軸圧縮力の影響による座屈現象に起因した塑性変形考慮ていない。長尺の丸棒材からなるワークに対する軸肥大加工法では、両端から圧縮するため、ワークが曲がり、これがある程度まで曲がると塑性変形してしまうことが問題点として掲げられる。
特開2008−200696号公報
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、軸圧縮応力でワークが永久塑性変形を起こすことがない軸肥大加工方法及び軸肥大加工装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、金属棒材のワークを基準線に配置し、前記ワークを両端から覆う一対のホルダユニットにその両端をそれぞれクリアランスを生じさせて挿入し、前記ホルダユニットを前記基準線に沿って互いに近接する方向に加圧し、加圧された状態で前記ホルダユニットを前記基準線回りに回転させ、前記ホルダユニットを前記曲げ中心から傾動し、前記曲げ中心に肥大部を形成する軸肥大加工方法であって、前記ホルダユニットを加圧するに当たって、前記クリアランスに基づいて、前記ワークが前記基準線に沿った軸圧縮力でたわむ数である座屈モードを決定するとともに、前記ワークの曲げ頂点部での前記クリアランスにおける曲げ応力が臨界座屈応力に重畳して生じ、前記ワークを永久塑性変形させないための指標となる基準化最大臨界座屈応力を以下の式(数4)で求め、当該基準化最大臨界座屈応力が1以下となるように前記加圧を行うことを特徴とする軸肥大加工方法を提供する。
Figure 0005623072
ただし、
σ'cr+σ'bmax:基準化最大臨界座屈応力(「'」は「^」を示す)
δ:クリアランス
σy:降伏強度
n:座屈モード
l:ホルダユニットに収まっているワークの長さ
k:ワーク断面の回転半径
E:ヤング率
p(l/k)は以下の(数5)の式で表わされる。
Figure 0005623072
また、請求項2の発明では、請求項1に記載の軸肥大加工方法に用いる軸肥大加工装置であって、金属棒材のワークが配置されるべき基準線と、前記基準線に沿って離間して配置され、前記基準線上の前記ワークを両端から覆い、前記基準線に沿って互いに接離可能な一対のホルダユニットと、前記一対のホルダユニットを前記基準線に沿い互いに近接する方向に相対的に加圧する加圧手段と、該加圧手段で加圧した状態で、前記ワークを前記ホルダユニットとともに前記基準線回りに回転させる駆動手段と、前記基準線上に曲げ中心を有し、一方の前記ホルダユニットを前記ワークとともに前記曲げ中心から傾斜させるべく対応する側のホルダユニットを傾動させる傾動手段とを具備し、前記一対のホルダユニットの間におけるワークの部位に拡径させた肥大部を成形する軸肥大加工装置であって、
前記ホルダユニットが該ホルダユニットの内壁面と前記ワークの外周面との間にクリアランスを確保し
前記加圧手段が前記クリアランスに基づいて、前記数4により前記座屈モードを決定する一方、前記基準化最大臨界座屈応力を求め、前記基準化最大臨界応力が1以下となるように前記ホルダユニットを加圧することを特徴とする軸肥大加工装置を提供する。
請求項1,2の発明によれば、所定のクリアランスがある場合に、最適な座屈モードを決定し、これらに基づいて基準化最大臨界座屈応力を求めることができる。したがって、クリアランスと座屈モードに基づいて容易にワークが座屈による塑性変形を起こさない応力を算出することができ、長尺のワークを軸肥大加工する際に特に好適に利用できる。
請求項2の発明によれば、ホルダユニットの内壁面と前記ワークの外周面との間にクリアランスが確保されていても、予めワークを保持するための保持機構が不要となる。すなわち、軸肥大加工法を実施するにあたって、ワークをホルダユニットに挿入したときはワークを保持するものは何もなく、加圧手段で加圧されて初めてワークがホルダユニットに保持される。したがって、外部からワークを保持している際に滑ってワークを落としたり、あるいはワークにバリが発生することを防止できる。また、長尺のワークであると、加圧してすぐにたわみ、曲げ頂点部の曲げ応力が所定値を超えてしまうと塑性変形してしまうが、これを生じさせないようにクリアランスが設定できるため、確実かつ効率よく軸肥大加工を行うことができる。
本発明に係る軸肥大加工装置の概略図である。 各座屈モードでのワークのたわみ曲線を示す概略図である。 基準化座屈応力σ'crとl/kとの関係を各座屈モードごとに数1で求めたグラフである。 曲げ応力の重畳も考慮してσ'cr+σ'bmaxとl/kとの関係についてδを変化させて求めたグラフである。 l/k=248の場合の軸圧縮応力の増大によるモード及び最大応力の変化を数1と数5を用いて計算した結果を示すグラフである。
図1に示すように、本発明に係る軸肥大加工装置1は、基準線2に配置されたワーク3と、一対のホルダユニット4,4'と、加圧手段5と、駆動手段6と、傾動手段7とを有する。ワーク3は長尺の金属棒材である。一対のホルダユニット4,4'は基準線2に沿って離間して配置され、基準線2上のワーク3を両端から覆い、基準線2に沿って互いに接離可能である一対のホルダユニット4,4'は、一方の端部が閉塞された筒状部品である。加圧手段5は一対のホルダユニット4,4'を基準線2に沿い互いに近接する方向に相対的に加圧するものである。駆動手段6はワーク3を両端側から加圧手段5で加圧した状態で、ワーク3を一対のホルダユニット4,4'とともに基準線2回りに回転させるものである。傾動手段7は基準線2上に曲げ中心を有し、一方のホルダユニット4'をワーク3とともに曲げ中心から傾斜させるべく傾動させるものである。これにより、一対のホルダユニット4,4'間におけるワーク3の部位に拡径させた肥大部8が成形される。
より詳しく軸肥大加工を説明すると、まず、基準線2上に対向する一対のホルダユニット4,4'内にワーク3を挿入する。このとき、一対のホルダユニット4,4'で覆われていないワーク3の部分、すなわちワーク3の露出部分が被加工部(肥大部8となるべき部分)となる。それゆえ、一対のホルダユニット4,4'には要求される肥大直径と肥大幅とに応じて適当な掴み間隔を持たせておく。次に、一方のホルダユニット4'がモータ等を用いた駆動手段6により回転され、この際、他方のホルダユニット4を油圧シリンダ等の加圧手段により前進させるとワーク3の両方の軸端面側から軸圧縮力が加わり、一対のホルダユニット4,4'の内面との接触圧による摩擦力によって、ワーク3も一対のホルダユニット4,4'とともに矢印γ方向に回転する。これと同時に一方のホルダユニット4'を傾動手段6にて矢印β方向に傾動させることで、被加工部には軸圧縮応力と同時に回転曲げによる引張、圧縮の交番応力が作用する。この回転曲げによる繰り返し剪断応力がメカニカルラチェット現象の駆動力として、圧縮応力による軸肥大変形の促進に大きく寄与する。
被加工部が肥大変形していく初期段階において、一対のホルダユニット4,4'内のワーク3もまた、前記剪断応力の影響を受けて同時に肥大していき、ワークがホルダユニット4に強力に嵌合する。このような軸肥大加工法では、ワーク3を積極的につかむ必要がなく、加工の初期段階において一対のホルダユニット4,4'自体が自動チャッキング機能を発揮する(保持機構)。それゆえ、自動チャッキング過程では、ワーク3への軸圧縮力の伝達は軸(ワーク)端面からの経路と、一対のホルダユニット4,4'に対するワーク3との嵌合部(ワーク3が肥大して一対のホルダユニット4,4'の開口部近辺の内壁面と接しているワーク3の部分)からの経路とに分岐し、最終的には、嵌合部からの経路が支配的となる。
このような軸肥大加工工程は、一対のホルダユニット4,4'にワーク3完全に嵌合されるまでの前段階として自動チャッキング過程と、後段階としての肥大加工過程とに分かれる。自動チャッキング過程では、ホルダユニット4内での座屈現象に起因したワーク3の曲げ塑性変形の発生を防止する必要があり、軸圧縮力と座屈荷重との関係を明らかにしておくことが不可欠である。肥大加工過程では、ワーク3が一対のホルダユニット4,4'に完全に嵌合し軸圧縮力が嵌合部からワーク3に直接伝達されるので、軸圧縮力によワークの座屈現象はなくなる。それ故、ワーク3のホルダユニット4に対する着脱性も考慮し、ワークの軸径に対して適当なクリアランスを有する単純な筒型形状スリーブ(ホルダユニット4)を用いてワーク3を把持し、また、軸肥大過程における嵌合力及び軸圧縮力の除荷後におけるワーク3の抜き出し力を明らかにしておけば一対のホルダユニット4,4'からワーク3を容易に取り出せ、しかも、ワーク3への掴み傷の発生を回避できる。
上述の座屈現象によるワークの永久塑性変形を防止するために、一対のホルダユニット4,4'の内壁面とワーク3の外周面との間にクリアランス9を設ける一方、このクリアランス9に基づき、加圧手段5による加圧ワーク3が一対のホルダユニット4,4'内で曲げ塑性変形を生じさせないように制御される。このクリアランス9の設定及び加圧制御については、後述する。
これを実現するため、ワーク3の挿入長さが長い方のホルダユニット4はワーク3が嵌合されるべき保持部4aと、延長スピンドルとしてワーク3の長さや径に合わせたスリーブ部材4bとからなる分割構造とし、保持部4aにスリーブ部材4bを装着する機構としてもよい。それゆえ、スリーブ部材4bの長さを適宜変更したホルダユニット4が用意される。ワーク3の加圧は、保持部4aの外側に突出しているフランジ4cを公知の加圧手段5を利用して矢印α方向に加圧することで行われる。
実際に行った実験をもとに、本発明に係る軸肥大加工装置を説明する。なお、実験に際しては以下の表1及び表2に示す数値で行った。なお、ワークには構造用炭素鋼S45Cの圧延材を用いた。また、自動チャッキング過程での軸圧縮応力は425MPa、肥大加工過程での軸圧縮応力は585MPaである。
Figure 0005623072
Figure 0005623072
軸肥大加工において、長尺のワークへの軸圧縮力の負荷機構を検討する際、ワークの座屈現象に対する考慮が重要である。上述したように、座屈が懸念されるのはホルダユニットにワークが完全に嵌合するまでの自動チャッキング過程である。したがって、以下に自動チャッキング過程におけるワークの長尺部での座屈現象について検討する。ワークの両端に軸圧縮力が作用する場合、各座屈モードでのワークのたわみ曲線を図2のようにモデル化すると、軸圧縮力が座屈荷重に達するまでの上界値(座屈臨界値)Pcr及びそのときの圧縮応力、すなわち、臨界座屈応力σcrはσcr<σyの範囲において次式で与えられる。
cr=nπEI/l
σcr=nπEI/lA=nπE/(l/k)
ここで、lはワークにおけるホルダユニットに収まる長さ、すなわちワークの長尺部長さである。また、Aはワークの断面積、Iは断面2次モーメント、kはルート(I/A)で表わされる断面の回転半径である。また、l/kは細長比である。
なお、上述した座屈モードについて、軸材たるワーク長尺部の座屈モードは、ホルダユニットで覆われていなければ、通常、モード1しかない。すなわち、一回曲がるだけである。しかしながら、ワーク3の長尺部がホルダユニットで覆われているので、軸圧縮力をかければかけるほど、長尺部はホルダユニットの内壁面に当たって座屈モードが変化していく。座屈モードに関し、モード1は、1つ曲げられた状態、モード2は、2つ曲げられた状態、その後、モードの数に応じて曲げられる個所の数が決まる。
図2に示す座屈たわみwの分布は次式で表わされる。
w=δsin(nπx/l)
ワークに対する軸肥大加工中、ワーク3の長尺部の前記臨界座屈応力σcrその長尺部の細長比に依存する。そこで、降伏強度σyも考慮してジョンソンの式を適用すると、臨界座屈応力σcrを降伏強度σyで基準化した基準が座屈応力σ'crは、細長比の関数として次式で表わすことができる。なお、次式中の「^」は「'」を示す。
Figure 0005623072
ここで、p(l/k)は数5で表わされる。なお、式中の〈〉は特異関数を表し、〈〉内の値が正のとき〈〉は()に置き換え可能であり、負のとき分子は0となる。
図3はワークの軸端での拘束条件回転自由とし、基準化座屈応力σ'crとl/kとの関係を各座屈モードごとに数1で求めたグラフである。このグラフは、細長比が横軸、圧縮応力比が縦軸で示されている。例えば、細長比が100のところで80%の力をかけるとモード2のようにワーク3の長尺部がたわむことを表している。ワーク3の軸圧縮応力σcが各座屈モード基準化座屈応力σ'crを超えたときに生じるn次モードの最大たわみを延長スピンドル(スリーブ部材4b)内に挿入しコマによりδに抑えていれば、長尺部のたわみ頂点部には最大座屈たわみδでの曲げ応力σbmaxが臨界座屈応力σcrに重畳し、よって、数4で示される基準化最大臨界座屈応力σ'cr+σ'bmaxが瞬時に生じることになる。
図4は曲げ応力の重畳も考慮してσ'cr+σ'bmaxとl/kとの関係についてδを変化させて求めたグラフである。
この図4は、ワークに対してどのような曲げ応力がかかっているかを示すものである。グラフの縦軸における1.0を超えるとワークが塑性変形をおこす。逆をいえば、1.0を超えなければ、ワークの弾性範囲内であるということである。この範囲で軸圧縮力をかければ、ワークが塑性変形することはない。
図2と図3から加工初期の軸圧縮応力でワークの長尺部がどのように座屈するかを推定することができる。通常、軸圧縮応力がモード1の座屈応力に達すると最大座屈たわみが無限大となるので、それ以降の座屈モードが起こることはないが、今回の場合、長尺丸棒材からなるワークの最大座屈たわみが延長スピンドル(スリーブ部材4b)内のコマとのクリアランス、つまり、δに制限されるので、その状態のまま軸圧縮応力が増大して次のモードの座屈応力に到達すれば、その座屈モードに移行すると考えられる。任意の細長比l/kの場合での軸圧縮応力の増大によるモードの変化は数1の変形により導かれる次式で推定できる。
Figure 0005623072
Figure 0005623072
図5は本実験におけるl/k=248の場合の軸圧縮応力の増大によるモード及び最大応力の変化を数1と前記数5を用いて計算した結果を示すグラフである。
軸圧縮応力が各臨界座屈応力値に達すると、曲げ応力が瞬時に増大し、重畳する。さらに軸圧縮応力が増大すると次のモードの座屈現象が生じることを示している。このグラフは左縦軸が図4と同様であるので、1.0を超えたらワークが塑性変形することを示している。横軸は軸力を何%かけるかを示している。右縦軸は座屈モード(Buckling mode)を示している。グラフにおいて、1st loadingは自動チャッキングの前の初期の加圧力、すなわちワークに軸圧縮力がかかるときを示している。2nd loadingは自動チャッキングが完了したときを示している。図では、δ=5、すなわち5mmのクリアランスを持たせると、約85%の軸圧縮力で永久塑性変形が起こってしまっている。このとき、まだ自動チャッキングが完了していないので、自動チャッキング前にワークが永久塑性変形をおこしたことになり、失敗したことを示している。逆に、クリアランス1では自動チャッキングまでに永久塑性変形をおこしていないので、細長比248では、クリアランスは1mmとして設定すればうまくいくことがわかる。
本実験における自動チャッキング過程での基準化軸圧縮応力はσc/σy=0.65であるので、図5より曲げ応力の重畳する最大応力でも(σ' cr +σ' bmax )/σ y <0.7であり、軸材(ワーク)の降伏強度以下である。つまり、長尺部のたわみ頂点部での塑性変形が生じることはないと推定できる。すなわち、このときワークは弾性座屈状態であり、座屈たわみは加工終了時に軸圧縮力を除荷した際に弾性復元するので曲がりが発生することがない。自動チャッキング過程が完了すると、基準化軸圧縮応力はσc/σy=0.89まで上昇するがワーク3の長尺部の軸圧縮応力はσc/σy=0.65に一定保持されるので軸肥大加工中に長尺部の座屈による塑性変形は生じないことになる。したがって、自動チャッキング過程での基準化軸圧縮応力をσc/σy<0.84に設定すると、コマとのクリアランスがδ<5mmの範囲内では座屈による塑性変形を回避できることが理論的に明らかである。
以上の実験から得られたことで、以下のことがわかった。
軸圧縮応力の増大による長尺部の座屈モードの変化と曲げ発生応力の挙動が推定可能になった。
曲げ角度と軸圧縮応力の適当な組み合わせにより等価な加工負荷条件が得られるので、チャッキング過程での長尺部の座屈による塑性曲がりの生じない軸圧縮力を決定できる。
チャッキング完了後、長尺部の軸圧縮応力は一定に保持されるので、その後の重畳応力の増大はない。
本実験でのチャッキング過程の負荷条件では、長尺丸棒材の軸肥大加工中に座屈による曲げ変形の発生はない。
チャッキング過程の負荷条件としては、本実験における長尺丸棒材からなるワークとコマとのクリアランスδ<5mmを考慮すると、σ/σ<0.84の軸圧縮力を許容できる。
以上より、本発明に係る軸肥大加工方法及び軸肥大加工装置では、上述したクリアランスδを設けることで、どれくらいの軸圧縮力をかければワークが永久塑性変形しないかどうかを見極めることができる。すなわち、最適なクリアランスを設定しておけば、強い力をかけても塑性領域に入らないような座屈モードの中に納めこむことができる。ワークの弾性範囲内で圧縮力をかければ、軸肥大加工後、ワークは元通りの直線状となるので、効率よく軸肥大加工を行うことができる。このクリアランスは小さければ小さいほど、ここに重畳する曲げ応力が小さくなる。したがって、より強い軸圧縮力に対応できる。このクリアランスは、ワークの形状及び最大応力を前提として決めることができる。具体的には、数4のδを求めることで、最適なクリアランスを設定できる。
換言すれば、このクリアランスは、ホルダユニット4の内壁面とワーク3の外周面との間に、加圧手段5による加圧でワーク3がたわみ、ホルダユニット4内でワーク3が座屈現象を起こして曲げ塑性変形を生じさせないために設けられるものである。
これにより、予めワークを保持する必要がなくなり、したがってそのための保持機構が不要となる。すなわち、軸肥大加工法をするにあたって、ワークをホルダユニットに挿入したときはワークを保持するものは何もなく、加圧手段で加圧されて初めてワークが保持される。したがって、外部からワークを保持している際に滑ってワークを落としたり、あるいはワークにバリが発生することを防止できる。また、長尺のワークであると、加圧してすぐにたわみ、曲げ頂点部の曲げ応力が所定値を超えてしまうと塑性変形してしまうが、これを生じさせないようにクリアランスが設定されるため、確実かつ効率よく軸肥大加工を行うことができる。
1 軸肥大加工装置
2 基準線
3 ワーク
4 ホルダユニット
4a 保持部
4b スリーブ部材
4c フランジ
5 加圧手段
6 傾動手段
7 駆動手段
8 肥大部
9 クリアランス

Claims (2)

  1. 金属棒材のワークを基準線に配置し、
    前記ワークを両端から覆う一対のホルダユニットにそれぞれクリアランス生じさせて挿入し、
    前記ホルダユニットを前記基準線に沿って互いに近接する方向に加圧し、
    加圧された状態で前記ホルダユニットを前記基準線回りに回転させ、
    前記ホルダユニットを前記曲げ中心から傾動し、
    前記曲げ中心に肥大部を形成する軸肥大加工方法であって、
    前記ホルダユニットを加圧するに当たって、
    前記クリアランスに基づいて、前記ワークが前記基準線に沿った軸圧縮力でたわむ数である座屈モードを決定するとともに、前記ワークの曲げ頂点部での前記クリアランスにおける曲げ応力が臨界座屈応力に重畳して生じ、前記ワークを永久塑性変形させないための指標となる基準化最大臨界座屈応力を以下の式(数4)で求め、当該基準化最大臨界座屈応力が1以下となるように前記加圧を行うことを特徴とする軸肥大加工方法。
    Figure 0005623072
    ただし、
    σ'cr+σ'bmax:基準化最大臨界座屈応力(「'」は「^」を示す)
    δ:クリアランス
    σy:降伏強度
    n:座屈モード
    l:ホルダユニットに収まっているワークの長さ
    k:ワーク断面の回転半径
    E:ヤング率
    p(l/k)は以下の式(数5)で表わされる。
    Figure 0005623072
  2. 請求項1に記載の軸肥大加工方法を行うための軸肥大加工装置であって、
    金属棒材のワークが配置されるべき基準線と、
    前記基準線に沿って離間して配置され、前記基準線上の前記ワークを両端から覆い、前記基準線に沿って互いに接離可能な一対のホルダユニットと、
    前記一対のホルダユニットを前記基準線に沿い互いに近接する方向に相対的に加圧する加圧手段と、
    該加圧手段で加圧した状態で、前記ワークを前記ホルダユニットとともに前記基準線回りに回転させる駆動手段と、
    前記基準線上に曲げ中心を有し、一方の前記ホルダユニットを前記ワークとともに前記曲げ中心から傾斜させるべく対応する側のホルダユニットを傾動させる傾動手段とを具備し、
    前記一対のホルダユニットの間におけるワークの部位に拡径させた肥大部を成形する軸肥大加工装置であって、
    前記ホルダユニットが該ホルダユニットの内壁面と前記ワークの外周面との間にクリアランスを確保し
    前記加圧手段が前記クリアランスに基づいて、前記数4により前記座屈モードを決定する一方、前記基準化最大臨界座屈応力を求め、前記基準化最大臨界応力が1以下となるように前記ホルダユニットを加圧することを特徴とする軸肥大加工装置。
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