JP5622951B2 - コードレス電話システムおよび安全管理装置 - Google Patents
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Description
本発明は、幼児や高齢者等の要管理者が、要管理者を管理する管理者の近辺から所定の距離だけ離れたことを検出して報知する安全管理機能を備えたコードレス電話システムおよび安全管理装置に関するものである。
年々日本人のセキュリティ意識が向上しており、例えば認知症患者の徘徊の検出や、幼児の誘拐防止等(以降、安全管理と呼称する。また安全管理処理とは、安全管理を具現化するため処理をいう)に対する関心が高まっている。このような安全管理処理として、例えば、徘徊センサを核とする安全管理システムが知られている。この安全管理システムでは、例えば病院内において、送信タグを持った人が一定のゾーンに入ったことを受信機で検出し、受信機は送信タグに書き込まれたID情報等を管理機器に送信することで、徘徊をリアルタイムに報知することが可能とされている。
このようなシステムの他の例として、要管理者である児童に発信器を装着し、要管理者が施設内の特定のエリアおよびそれ以外の隔壁エリアにいることを複数のアンテナで検知し、このアンテナからの検知情報を基に、要管理者の存在位置を把握し、要管理者の数および危険度を無線通信式サーバで判定する安全管理システムが開示されている(特許文献1)。
また、上述した安全管理に関連する技術として、ノートPC等の端末装置が盗難された場合(即ち、本来あるべき場所に存在しない場合)に、端末装置の起動時にGPS(Global Positioning System)から緯度・経度を取得し、これが端末装置の使用が許可されているエリアから外れる場合は、セキュリティ監視センタへの通知処理を実行するセキュリティ監視システムが開示されている(特許文献2)。
しかしながら、徘徊センサを用いた安全管理システムでは、例えば、病院内の廊下や病室等複数の場所に多数のセンサを設けると共に、センサ出力を集約する管理機器や、場合によっては企業が運営するセンタ装置に管理機器を接続する回線が必要となる。このように配線工事費用の発生や機器の設置が大がかりとなって、コストアップにつながってしまう。
また、特許文献1に開示された技術も、複数のアンテナや無線通信式サーバを備える大規模な構成となっており、通常は極めて高価なシステムとなり、個人ユーザが簡易に導入できるものではない。
また、特許文献2に開示された技術も、盗難された端末装置をネットワークに接続したときに管理装置との間でやりとりされるデータや、GPS等の位置情報を利用しており、これも個人ユーザが簡易に導入できるものではない。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、その主な目的は、コードレス電話システムを構成する子機に徘徊検知等を目的とする特殊なセンサを別途設けることなく、非常に簡易な構成で、徘徊等を確実に検出することが可能なコードレス電話システムを提供することにある。
本発明のコードレス電話システムは、電話回線に接続された親機と、前記親機との間で無線回線を通じて電波を送受信する子機とを備えるコードレス電話システムであって、前記子機は、前記親機によって送信された電波を受信した際の電波強度を計測する強度計測手段と、前記強度計測手段の計測結果に基づいて前記親機と前記子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備えるようにしたものである。
本発明によれば、上述の構成によって、コードレス電話システムを構成する子機に徘徊検知等を目的とする特殊なセンサを別途設けることなく、非常に簡易な構成で、親機と子機との離間距離を計測し、徘徊等を確実に検出することが可能となる。
前記課題を解決するためになされた本発明は、電話回線に接続された親機と、前記親機との間で無線回線を通じて電波を送受信する子機とを備えるコードレス電話システムであって、前記子機は、前記親機によって送信された電波を受信した際の電波強度を計測する強度計測手段と、前記強度計測手段の計測結果に基づいて前記親機と前記子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備えるものである。
これによって、コードレス電話システムを構成する子機に徘徊検知等を目的とする特殊なセンサを別途設けることなく、非常に簡易な構成で、親機と子機との離間距離を計測し、徘徊等を確実に検出することが可能となる。
また、本発明は、前記親機および前記子機は、時分割多元接続によって送受信を実行し、前記制御手段は、前記親機から送信された制御データを受信した際に前記電波強度を計測するようにしたものである。
これによって、時分割多元接続における1フレームの制御スロット期間に、親機から送信される制御データを子機で受信し、この際の信号強度を計測して監視を実行するため、監視を目的として専用のスロットを割り当てる必要がなく、電波の有効利用が可能となる。
また、本発明は、親機と第1子機と第2子機とを備えるコードレス電話システムであって、前記親機と前記第1子機とは無線回線を通じて互いに電波を送受信し、前記親機と前記第2子機とは前記無線回線を通じて互いに電波を送受信し、前記第2子機は、前記親機によって送信された電波を受信した際の電波強度を計測する強度計測手段と、前記強度計測手段の計測結果に基づいて前記親機と前記第2子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記親機に第1の報知を送信し、前記第1の報知を受信した前記親機は前記第1子機に第2の報知を送信するようにしたものである。
これによって、コードレス電話システムを構成する子機に徘徊検知等を目的とする特殊なセンサを別途設けることなく、非常に簡易な構成で、親機と第2子機とのおよその離間距離を計測し、徘徊等を確実に検出するとともに、第2子機で異常が検出された場合、親機を経由して第1子機に報知することが可能となる。
また、本発明は、前記親機と前記第2子機とは、時分割多元接続によって送受信を実行し、前記制御手段は、前記親機から送信された制御データを受信した際に前記電波強度を計測するようにしたものである。
これによって、時分割多元接続における1フレームの制御スロット期間に、親機から送信される制御データを子機で受信し、この際の信号強度を計測して監視を実行するため、監視を目的として専用のスロットを割り当てる必要がなく、電波の有効利用が可能となる。
また、本発明は、親機と第1子機と第2子機とを備えるコードレス電話システムであって、前記第1子機と前記第2子機とは無線回線を通じて互いに電波を送受信し、前記第2子機は、前記第1子機によって送信された電波を受信した際の電波強度を計測する強度計測手段と、前記強度計測手段の計測結果に基づいて前記第1子機と前記第2子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1子機に第1の報知を送信するようにしたものである。
これによって、子機は可搬性に優れることから、見守り等の対象となる要管理者に第2子機を携帯させておけば、親機との通信圏外であっても、第1子機と第2子機とを用いて簡易かつ確実に監視(見守り)を行うことが可能となる。
また、本発明は、親機と第1子機と第2子機とを備えるコードレス電話システムであって、前記親機と前記第1子機とは無線回線を通じて互いに電波を送受信し、前記第1子機と前記第2子機とは前記無線回線を通じて互いに電波を送受信し、前記第2子機は、前記第1子機によって送信された電波を受信した際の電波強度を計測する強度計測手段と、前記強度計測手段の計測結果に基づいて前記第1子機と前記第2子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1子機に第1の報知を送信し、前記第1の報知を受信した前記第1子機は前記親機に第2の報知を送信するようにしたものである。
これによって、異常を検出した旨は第2子機から第1子機に送信され、その後第1子機から親機にバケツリレー方式で送信される。このように親機と第2子機とを接続する中継機として第1子機を利用することで、監視を行う範囲を拡張することが可能となる。
また、本発明は、前記第1子機と前記第2子機とは、時分割多元接続によって送受信を実行し、前記制御手段は、前記第1子機から送信された制御データを受信した際に前記電波強度を計測するようにしたものである。
これによって、時分割多元接続における1フレームの制御スロット期間に、第1子機から送信される制御データを第2子機で受信し、この際の信号強度を計測して監視を実行するため、監視専用のスロットを割り当てる必要がなく、電波の有効利用が可能となる。
また、本発明は、前記子機は、更に、応答ボタンを備え、前記制御手段は、前記応答ボタンの操作に基づいて、前記親機との間で通話処理を実行するようにしたものである。
これによって、親機と子機との離間距離が予め定めた距離よりも大きくなって、子機が異常と判断した場合に、親機と子機との間で通話処理を実行することで、徘徊の防止等を行うことが可能となる。
また、本発明は、前記第2子機は、更に、応答ボタンを備え、前記制御手段は、前記応答ボタンの操作に基づいて、前記親機または前記第1子機との間で通話処理を実行するようにしたものである。
これによって、第1子機と第2子機(親機と第2子機)との離間距離が予め定めた距離よりも大きくなって、第2子機が異常と判断した場合に、第1子機(親機)と第2子機との間で通話処理を実行することで、徘徊の防止等を行うことが可能となる。
また、本発明は、前記所定の安全管理処理は、鳴動音による警報、所定のメッセージの再生、予め定められた通報先への発呼、前記無線回線を介した報知の少なくとも1つを含むようにしたものである。
これによって、例えば徘徊する者への注意喚起や、不審者に対する警告、警備会社への通報等を的確に実行するとともに、子機で異常を検出した場合に、親機や他の子機によっても警告等を発することが可能となる。
また、本発明は、電波を送出する送信手段と、要管理者によって所持されて、前記送信手段によって送出された電波を受信する受信手段と、を備え、前記受信手段は、受信した電波強度を計測する強度計測手段と、前記強度計測手段の計測結果に基づいて前記送信手段と前記受信手段との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備えることを特徴とする安全管理装置である。
これによって、安全管理装置を構成する受信手段に徘徊検知等を目的とする特殊なセンサを別途設けることなく、非常に簡易な構成で、送信手段と受信手段との離間距離を計測し、徘徊等を確実に検出することが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態のコードレス電話システムにおける親機100と第1子機201と第2子機202との関係を示す説明図である。図1に示すように、コードレス電話システムは1台の親機100と例えば2台の子機200(第1子機201および第2子機202。以降、子機200をそれぞれ区別して扱わない場合は、子機200と呼称する)とで構成される。子機200の個数は2台に制限されず、例えば3台以上でコードレス電話システムを構成してもよい。
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態のコードレス電話システムにおける親機100と第1子機201と第2子機202との関係を示す説明図である。図1に示すように、コードレス電話システムは1台の親機100と例えば2台の子機200(第1子機201および第2子機202。以降、子機200をそれぞれ区別して扱わない場合は、子機200と呼称する)とで構成される。子機200の個数は2台に制限されず、例えば3台以上でコードレス電話システムを構成してもよい。
親機100は電話回線1aによって図示しない公衆回線に接続されており、公衆回線を介して他の電話機との間で音声データをやりとりする。
親機100は無線回線を介して第1子機201と通信を行い、親機100と第1子機201との間で音声データ等の送受信を行う。これによって、第1子機201は親機100を経由して公衆回線にアクセスすることができる。一方、第2子機202は、高齢者の徘徊検出や、親等から幼児が所定距離だけ離間したことを検出する安全管理(いわゆる「見守り」)に利用される。更に、第1子機201と第2子機202とは音声データの送受信が可能となっており、親機100を経由して、あるいは直接的に音声データをやりとりすることで相互に通話が可能となっている。また、親機100と第2子機202との間でも通話が可能である。以降、見守りを行う主体を「管理者」と、見守られる対象を「要管理者」と呼称することがある。
図2(a)は、第1実施形態のコードレス電話システムの親機100の全体斜視図、(b)は、第1子機201の全体斜視図、(c)は、第2子機202の全体斜視図である。以降、図2(a)、(b)、(c)を用いて、第1実施形態に係るコードレス電話システムの親機100および第1子機201、第2子機202の概要について説明する。
第1実施形態では、主にDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式に準拠したディジタルコードレス電話システムを例示して説明する。DECTは2011年に策定されたディジタルコードレス電話機の標準規格であり、1.9GHz帯(1,895,616Hz〜1,902,528Hz)の周波数を使用し、通信方式はTDMA−WB(時分割多元接続方式)を採用している。DECTでは他機器との電波干渉による通信障害を低減できることや、使用する周波数帯である1.9GHzは無線LANや電子レンジと干渉しないので、ファクスや電話による通話品質を維持できるとされている。またDECTは、広帯域の音声データ等を通信できる方式として知られ、周波数チャネルの使用状況を常時モニタリングし、装置自身が最適なチャネルを選択することで効率良く周波数帯域を利用できる。
なお、後述する電波強度の計測に基づく管理者と要管理者とが所定距離より大きく離間したことの検出(以降、単に「監視」と呼称する)は、DECT方式のみならず、コードレス電話システムとして親機100と子機200、あるいは第1子機201と第2子機202とを備えることが可能な、例えばPHS(Personal Handy-phone System)やsPHS(Super PHS)にも応用することができる。
図2(a)に示すように、ユーザは通常の固定電話と同様に、親機100の表示部6と操作部7とを使って通話する相手方の電話番号の呼び出しやキー入力を行い、公衆回線と接続された他の電話機との間で音声データをやりとりする。親機100には話者の音声を入力するマイクロフォン8と通話する相手の声を再生するスピーカ9とが設けられており、ユーザはハンズフリーの状態で相手方と会話をすることができる。このように、親機100にはいわゆるハンドセットが設けられていないが、有線あるいは無線でハンドセットを備えていてもよい。また、親機100には監視指示ボタン7aが設けられ、ユーザが監視指示ボタン7aを押下すると監視が開始される。監視の開始を指示した後、再度監視指示ボタン7aが押下されると、監視が終了する。なお、親機100の監視指示ボタン7aは、親機100と第2子機202とを用いて監視を行う場合に用いられる。
図2(b)に示すように、第1子機201においても、ユーザは表示部14と操作部15とを使って通話する相手方の電話番号をキー入力等する。第1子機201にも送信すべき音声を取得するマイクロフォン16と、受信信号を復調した音声を出力する通話用スピーカ17と、リンガ用スピーカ18とが設けられている。ユーザは親機100を経由して音声データを送受信する。また、第1子機201にも親機100と同様に監視指示ボタン15aが設けられ、ユーザが監視指示ボタン15aを押下すると監視が開始される。そして再度の押下で監視が終了する。なお、第1子機201の監視指示ボタン15aは、第1子機201と第2子機202とを用いて監視を行う場合に用いられる。
図2(c)に示すように、第2子機202は、アンテナ(第2子機アンテナ)53と、応答ボタン55と、マイクロフォン56と、通話用スピーカ57と、スイッチ58とを備える。第2子機202は見守りを行う際に要管理者によって携帯されるものであり、第1子機201のように表示部や操作部を持たず、要管理者が容易に持ち歩けるよう特に小型に構成されている。スイッチ58を押下すると第2子機202が起動して監視が開始される。後述するように、監視は親機100や第1子機201から送出される電波を第2子機202のアンテナ53で受信し、受信した電波の強度を計測することで実行される。そして第2子機202は、その計測結果から例えば親機100と第2子機202との離間距離を計測し、予め定めた距離(以降、この値を「見守り距離」と呼称する)より離間距離が大きいときは、例えば鳴動等、所定の安全管理処理を実行する。
親機100はアンテナ(親機アンテナ)5を有し、第1子機201に備えられたアンテナ(第1子機アンテナ)13または第2子機202に備えられたアンテナ(第2子機アンテナ)53との間で、所定の周波数の搬送波に重畳したディジタル音声データを相互に送受信する。これによって、親機100と第1子機201または第2子機202との間においてワイヤレスで通話を行う。なお、上述した第1子機201と第2子機202との間においても、同様にディジタル音声データがやりとりされる。
図3は、コードレス電話システムの親機100の概略を示すブロック構成図である。親機100は既に説明したアンテナ5、ユーザインタフェースとしての表示部6、操作部7、監視指示ボタン7a、マイクロフォン8、スピーカ9の他に、外部インタフェースとして電話回線インタフェース1を備えており、親機100は電話回線インタフェース1および電話回線1aを介して公衆回線と接続する。また、親機100にはフラッシュメモリ等で構成された記憶部3が設けられ、例えば、使用頻度の高い接続先の電話番号や、親機100を留守番電話として使用する際に、相手方から送信された音声データをディジタル化して記憶する。また、記憶部3には、監視が開始された後において親機100等と第2子機202との距離が「見守り距離」より大きくなった際(以降、単に「異常時」と呼称する。また、異常時でない状況を「平常時」と呼称する。また両者の距離が「見守り距離」より大きくなったのを検出したことを「異常を検出した」のように表現することがある)にスピーカ9から再現される警報音(アラーム)や音声データが記憶されている。
また、親機100には信号処理部(制御手段)10が設けられ、信号処理部10はアナログマルチプレクサ10a、コーデック10b、CPUブロック10f、符号化/復号化部10d、フレーム処理部10e、CPUブロック10fに搭載されたディジタルスピーチプロセッサ(音声処理装置)10c、アンプモジュール25で構成される。なお、信号処理部10は制御手段として親機100の全体を制御しており、例えば上述した監視指示ボタン7aが押下された否かは信号処理部10(CPUブロック10f)によってポーリングされ、押下の有無が認識される。以降、信号処理部10の構成要素について説明する。
アナログマルチプレクサ10aは、電話回線インタフェース1を介して入力された音声信号、マイクロフォン8で受信した音声信号、スピーカ9へ出力される音声信号(音声信号はいずれもアナログ信号)の入出力チャネルから1つのチャネルを選択する。
コーデック10bは、いわゆるオーディオコーデックであり、具体的にはディジタル信号とアナログ信号とを相互に変換するDA変換器およびAD変換器で構成される。コーデック10bによって、電話回線インタフェース1を介して親機100に入力されたアナログ音声信号およびマイクロフォン8で取得されたアナログ音声信号は、AD変換器によってディジタル音声信号に変換される。他方、後に説明するディジタルスピーチプロセッサ10cでディジタル処理を施されたディジタル音声信号は、コーデック10bでDA変換器によってアナログ音声信号に変換され、このアナログ音声信号がスピーカ9から出力される。
CPUブロック10fは図示しないCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ワークメモリとしてのRAM(read only memory)、これらを結合するバス等で構成され、親機100全体の動作を制御する。そして、CPUブロック10fには音声信号処理を実行するディジタルスピーチプロセッサ10cが搭載されている。ディジタルスピーチプロセッサ10cはコーデック10bによってAD変換されたディジタル音声信号、または後述の符号化/復号化部10dによって復号されたディジタル音声信号に対して、ノイズやエコーのキャンセルや、特定音声周波数の強調処理、暗号化/復号化等を実行する。
なお、これらの音声信号処理は、一般的には畳み込み演算によるフィルタリング処理を基本とすることが多く、これらの信号処理に特化したDSP(Digital Signal Processor)等で処理を行ってもよく、もちろん図示しないCPUとディジタルスピーチプロセッサ10cとを1つのプロセッサで構成してもよい。また、信号処理部10全体を1つのDSPで構成しても構わない。
符号化/復号化部10dは、ディジタルスピーチプロセッサ10cの出力のうちアンテナ5を介して無線通信(送信)に供されるディジタル信号を符号化し、他方、アンテナ5を介して受信した信号(ここでは、既にディジタル化されている)を復号化する。符号化/復号化部10dは、例えばADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)方式を採用している。
フレーム処理部10eは、図示しないTDD/TDMA(Time Division Duplex/Time Division Multiple Access)プロセッサを備えている。TDD/TDMAプロセッサは、周期的に設けられたフレーム内をスロット(チャネル)と呼ばれる単位に分割して、同一周波数において複数の通信を可能にする(時分割多元接続)。このように同一周波数を共有して、ごく短い間にデータ送受信を行うため、実質的に送信と受信とを同時に実行しているかのように見せることができる。更に、TDMAでは、周波数帯域を分割するFDMA(Frequency Division Multiple Access:周波数分割多元接続)を併用することにより、多数のチャンネルを確保し、かつ周波数の干渉を避けることができる。このようにフレーム処理部10eは、短時間のうちに送信(Tx)と受信(Rx)とを周期的に切り替えている。なお、DECTで用いられるフレームの構造については、後に説明する。
なお、送信と受信との切り替えは、無線部12に含まれる図示しない増幅器の電源供給を制御することで実現してもよいし、各増幅器の入出力段のいずれかにゲート回路を設ける等の構成としてもよい。
また、フレーム処理部10eには図示しないDA変換器とAD変換器とが内蔵されている。フレーム処理部10eは、ディジタルスピーチプロセッサ10cから符号化/復号化部10dを介して入力されたディジタル信号(送信信号)をDA変換器によってアナログ信号に変換してアンプモジュール25に出力し、他方、無線部12のLNA36からアンプモジュール25を介して入力されたアナログ信号(受信信号)をAD変換器によってディジタル信号に変換して符号化/復号化部10dに出力する。このように、フレーム処理部10eと無線部12との間には、アンプモジュール25を含むアナログ信号のインタフェースが構成されている。
無線部12では、アンプモジュール25が出力した送信信号(アナログ信号)を図示しない送信回路を介してアンテナ5から放出し、他方、アンテナ5によって受信された受信信号(アナログ信号)を図示しない受信回路を介してアンプモジュール25に出力する。
図4は、コードレス電話システムの第1子機201の概略を示すブロック構成図である。第1子機201は、着呼した際の相手先番号や発呼の際のダイヤル入力を確認する表示部14と、ダイヤル入力等を行う操作部15、監視の開始を指示する監視指示ボタン15aと、話者の音声を入力するマイクロフォン16と、通話する相手の声を再生する通話用スピーカ17と、短縮ダイヤル情報、音声ガイド、異常を検出した際に通話用スピーカ17から再現される警報音や音声データを記憶した記憶部11と、リンガ用スピーカ18、親機100や他の子機200(第2子機202)との間で電波を送受するアンテナ13、信号処理部10、無線部12とで構成されている。
第1子機201は一般的に可搬性を持たせるため小型に設計されるが、基本的な機能は図3を用いて説明した親機100と同等である。即ち、第1子機201の信号処理部10および無線部12の構成および機能は、親機100で説明した信号処理部10と無線部12とで実質的に同じである。よって第1子機201におけるこれらの詳細な説明は省略する。
ただし、第1子機201の信号処理部10のフレーム処理部10eには、同期制御部10sが設けられている。同期制御部10sは、親機100の送信タイミングおよび第1子機201の受信タイミングを整合させる。即ち、例えば電源投入当初において、第1子機201は自律的に所定のタイミングで受信動作を行うが、その際に、同期制御部10sが親機100の同期要求(同期がとれたタイミングからどれだけずれているかの相対値がデータとして含まれる)を受信すると、そのずれを補正するように受信タイミングを決定し、フレーム処理部10eは、この補正された受信タイミングに応じて信号処理のハードウェアの調停等を行う。これによって、親機100が第1子機201を特定して送信する1フレーム期間中のスロットの送信タイミングに合わせて第1子機201の受信タイミングが計られる。更に、第1子機201の無線部12には、電波強度計測部20が設けられている。電波強度計測部20については後に詳細に説明する。
図5は、コードレス電話システムの第2子機202の概略を示すブロック構成図である。第2子機201は、マイクロフォン56と、通話用スピーカ57と、記憶部11と、無線部12と、応答ボタン55と、アンテナ53と、スイッチ58と、電源部59と、タイマ部60と、第1クロック61と、第2クロック62と、信号処理部10と、無線部12とから構成されている。第2子機202の信号処理部10および無線部12の構成は第1子機201と同様である。
電源部59は図示しない充電式のバッテリで構成され、スイッチ58を介して電源電圧が第2子機202に供給される。第2子機202では、通話時は第2クロック62が出力するクロック信号によって、信号処理部10を構成するハードウェアの動作タイミングが図られる。一方、スイッチ58をONにした直後等の待機時には、クロック信号として第1クロック61が用いられる。この第1クロック61は第2クロック62通話時に用いられる第2クロック62より低周波数(低速クロック)である。更に待機時においては、信号処理部10からタイマ部60に分周レートが設定され、第1クロック61またはこれを分周したクロック信号が信号処理部10に出力される。このようにクロック信号の周波数を低くすることで、第2子機202はバッテリの消耗を極力低減している。また、後述するように、待機時における第2子機202の受信期間は通話時よりも間欠的に行われ、これによっても消費電力の低減を図っている。なお、第2子機202の無線部12には第1子機201と同様に電波強度計測部(強度計測手段)20が設けられている。
図6は、電波強度計測部20の構成を示す構成図である。図6に示すように、第1実施形態の電波強度計測部20は、リミッタアンプ部21とV−I変換部22と、カレントミラー回路23と、ディジタルRSSI信号生成部24とで構成されている。
リミッタアンプ部21は、振幅制限と整流を行なう3段のリミッタアンプ21a,21b,21cで構成される。リミッタアンプ21aに入力された受信信号(例えば、検波後のシングルエンド信号)は、各リミッタアンプ21a,21b,21cで段階的に増幅される。そして、各リミッタアンプ21a,21b,21cから出力される整流電圧信号Vol1、Vol2、Vol3は、V−I変換部22を構成し、各整流電圧信号に対応したV−I変換器22a,22b,22cによって電流信号I1,I2,I3に変換される。
電流信号I1,I2,I3を合成した総電流信号は、第1電流源23aと、これに対になって設けられてカレントミラー回路23を構成する第2電流源23bと、第2電流源23bに接続された抵抗23dとによってアナログ電圧信号に変換され、受信電力RSSI信号(以降、単に「RSSI信号」と呼称する)が得られる。
ここでRSSI(Received Signal Strength Indicator)とは、コードレス電話システム等の無線通信機器が受信する信号の強度を測定するための回路または信号のことであり、ここでは受信した電波の強度を示す指標として用いる。RSSI信号は、1mWを0dBとして、電力の大きさをdB表示したものであり一般にdBmで表される。
ディジタルRSSI信号生成部24は、増幅器24gとAD変換器24iとで構成されている。RSSI信号は、増幅器24gによって増幅された後にAD変換器24iに入力され、AD変換器24iは例えば10〜16bit程度に量子化されたディジタルRSSI信号を出力する。このディジタルRSSI信号は信号処理部10に入力され、例えば親機100の表示部6や第1子機201の表示部14に、電波強度を示す表示が行われ、更に、以降説明する監視に用いられる。
図7(a)、(b)、(c)は、コードレス電話システムを用いた安全管理の具体的態様を説明する説明図である。
図7(a)は、親機100に対して第1子機201および第2子機202が共に通信圏内にある(更に、親機100に対して第2子機202は「見守り距離」の範囲内にある)状況を示している。これは例えば、家屋内に第2子機202を身に着けた要管理者(例えば認知症患者)が居り、これを管理者(例えば他の同居者)が徘徊を監視するような局面を想定したものである。第2子機202は親機100から送信される電波(送受信タイミング等については後述する)を受信し、上述した電波強度計測部20で電波強度を計測する。その計測結果から第2子機202は、親機100との間の離間距離を計測する。そして、計測した距離が予め定めた値(見守り距離)よりも大きいとき、異常が検出されたとして第2子機202は安全管理処理を実行する。即ち、異常を検出した旨は、第2子機202から親機100に送信され、親機100は鳴動などの安全管理処理を実行する。そして親機100は第1子機201にも安全管理処理を実行するように所定のコマンドを送信し、第1子機201でも鳴動等の安全管理処理が実行される。
図7(b)は、親機100に対して第1子機201および第2子機202が共に通信圏外にあり、一方、第1子機201に対して第2子機202は「見守り距離」の範囲にある(当然、通信圏内である)状況を示している。これは例えば、第1子機201を携帯した管理者(例えば親)が第2子機202を携帯した要管理者(例えば幼児)とともに外出しており、要管理者が所定の範囲外に出ないよう、管理者が要管理者を監視する(見守る)局面を想定したものである。第2子機202は第1子機201から送信される電波を受信し、上述した電波強度計測部20で電波強度を計測する。その計測結果から第2子機202は、第1子機201との間の距離を計測する。そして、計測した距離が「見守り距離」よりも大きいとき、異常が検出されたとして第2子機202は安全管理処理を実行する。即ち、異常を検出した旨は、第2子機202から第1子機201に送信され、第1子機201は鳴動などの安全管理処理を実行する。
図7(c)は、親機100に対して第1子機201は通信圏内だが第2子機202は通信圏外であり、一方、第1子機201に対して第2子機202は「見守り距離」の範囲にある(当然、通信圏内である)状況を示している。第2子機202は第1子機201から送信される電波を受信し、上述した電波強度計測部20で電波強度を計測する。その計測結果から第2子機202は、第1子機201との間の距離を計測する。そして、計測した距離が「見守り距離」よりも大きいとき、異常が検出されたとして第2子機202は安全管理処理を実行する。即ち、異常を検出した旨は、第2子機202から第1子機201に送信され、第1子機201は鳴動などの安全管理処理を実行する。そして第1子機201は、第2子機202によって異常が検出された旨を通信圏内にある親機100に報知する。これによって、親機100も鳴動等の安全管理処理を実行する。これによって、親機100が固定的に設置された場所において、間接的に監視を実行することができ、結果的に「見守り距離」が延長される。
なお、図7(a)の場合、親機100は相手先を第2子機202として発呼することができ、図7(b)、(c)の場合、第1子機201は相手方を第2子機202として発呼することができる。そして、着呼した第2子機202では、応答ボタン55を押下することで、親機100または第1子機201と通話することができる。また、第2子機202は親機100または第1子機201に対して、応答ボタン55を押下して発呼することができる。ここで、親機100(第1子機201)と第2子機202とは「見守り距離」より大きく離れたとしても、通話を行うことができる。逆に表現すれば、親機100(第1子機201)と第2子機202とが通信可能な距離よりも、「見守り距離」は小さく設定されている。
図8は、親機100と子機200との送受信間距離とRSSI信号との関係を示すグラフである。図8のグラフは、送信手段としての親機100がアンテナ5から電波を送出し、受信手段としての第1子機201(または第2子機202)がアンテナ13(アンテナ53)で電波を受信した状態において、子機200に設けられた電波強度計測部20が出力したRSSI信号をプロットしたものである。なお、図8のグラフにおいて、横軸の1目盛は1mに相当し、縦軸はRSSI信号の信号強度[dBm]を表す。
図8に示すように、送受信間距離が離れるほどRSSI信号は減衰していく。親機100のアンテナ5から放出される電力をP、RSSI信号(受信電力)をPrとし、送信側である親機100と受信側である子機200との距離をr、受信側のアンテナ13の有効開口面積をAeとするとき、これらの間には、
Pr=P/4πr2・Ae・・・(式1)
の関係がある。即ち、受信電力Prは、電波密度(P/4πr2)に有効開口面積Aeを乗じたものであり、距離の2乗に反比例する。
Pr=P/4πr2・Ae・・・(式1)
の関係がある。即ち、受信電力Prは、電波密度(P/4πr2)に有効開口面積Aeを乗じたものであり、距離の2乗に反比例する。
具体的には、図8に実線で示すように、親機100と第2子機202との間(または第1子機201と第2子機202との間)が、1m離間するとRSSI信号は−10dBm程度の値となり、3m離間すると同−20dBm程度、9m程度離間すると同−30dBm程度、27m離間すると同−40dBm程度、81m離間すると同−50dBm、243m離間すると同−60dBm程度になる。このRSSI信号と距離との関係は、LUT(Lookup table)として子機200を構成する記憶部11に格納されており(図4、図5参照)、信号処理部10は、このLUTを参照することで、ディジタルRSSI信号から両者の離間距離を計測する。
一般に親機100と子機200(第1子機201と第2子機202)とが通話可能な距離(通信圏内)は100m程度である(障害物がない等の条件が整えば〜200m程度まで通話可能)。「見守り距離」は第1実施形態では〜50mとしている。即ち、第1実施形態ではRSSI信号がおよそ−45dBmよりも小さくなった場合に、要管理者が管理者から50m以上離れたとされ、監視結果として異常が検出される。「見守り距離」は通話可能な距離よりも小さく設定してあるため、異常時であっても、例えば親機100と第2子機202との通話は確保されることになり、例えば幼児が「見守り距離」を越えて親元から離れても、親は幼児と通話して無事を確認することができる。
なお、上述の例では、第2子機202が「見守り距離」よりも大きく離れた場合に、親第1子機201等は鳴動等を行うが、後述するように距離の計測は10ms周期で行われ、更に第2子機202は距離を計測した結果を第1子機201等に送信できるため、第1子機201等は、第2子機202との間の離間距離をほぼリアルタイムに把握できる。従って、第1子機201等の表示部14(図4参照)に、距離を計測した結果を逐次表示するようにしてもよい。これによってより的確に監視を行うことが可能となる。
図9は、安全管理処理を実行するフローを示すフローチャートである。第1実施形態のコードレス電話システムでは、異常を検出すると所定の安全管理処理を実行する。以降、図9に図3、図5、図6を併用して、安全管理処理に至る過程について説明する。なお、図7(a)に示す状況に基づいて説明を行う。
コードレス電話システムの電源が投入されると、親機100と2つの子機200では信号処理部10によって初期化動作が実行される(ST01)。そして、親機100によって制御データが送信される期間である制御スロット(詳細は後述する)に対して、2つの子機200は受信タイミングを同期させて通常待ち受け状態となる(ST02)。
通常待ち受け状態において、親機100の信号処理部10(CPUブロック10f)は監視指示ボタン7aの押下の有無を検出し、監視開始が指示されたか否かを判断する(ST03)。ここで、ユーザが親機100の監視指示ボタン7aを押下すると、信号処理部10は監視開始の指示が発生したと認識し(ST03でYes)、以降、監視が実行される。
なお、以降の説明において、単に信号処理部10、無線部12、電波強度計測部20と称するときはいずれも子機200に設けられている構成要素を指すものとする。親機100に設けられた信号処理部10等について言及するときは、「親機100の信号処理部10」のように明示して説明する。
監視を開始するにあたって、親機100は第2子機202に対して制御スロットにおいて「監視の実行を指示する指示コマンド」(以降、「監視モード信号」と呼称する)を送出する(ST04)。無線部12は「監視モード信号」を受信すると、信号処理部10に対して、「監視モード信号」を受信した旨を通知する。これを受けた信号処理部10は、無線部12に設けられた電波強度計測部20からAD変換器24i(図6参照)のディジタルRSSI信号を得て、親機100と第2子機202との離間距離の計測を開始する(ST05)。
なお、現実にはコードレス電話システムを構成する親機100や子機200の感度にはばらつきが存在するため、親機100と子機200との距離に対するディジタルRSSI信号の値もばらつきを有する。これらの関係は製品出荷時に調整されて記憶部11(図5参照)にLUTとして格納されているが、後にユーザがキャリブレーション(校正)することも可能となっている。即ち、ユーザは親機100と子機200とを予め決められた距離(例えば50cm)だけ離間させておき、親機100の操作部7(図3参照)に所定のコマンドを入力することで、LUTの内容が更新される。
離間距離の計測値(距離の次元を持つ)は信号処理部10に渡され、時系列にフィルタリングが実行される。フィルタリングは単純なローパスフィルタ(例えば平均値の取得。移動平均を取得してもよい)を用いてもよく、注目データと他のデータとの間に重み付けを施してもよく、メディアンフィルタを適用して中央値を取得してもよい。メディアンフィルタは例えば画像処理分野では降雪除去等に用いられており、時間軸方向で発生する突発的な事象を有効に除去することができる。
フィルタリングの後、信号処理部10は、離間距離の計測値を予め定めておいた閾値(上述した「見守り距離」)と比較する(ST06)。なお、ユーザは、「見守り距離」を例えば、10m,20m,30m...のように複数段階に設定可能となっている。なお、この「見守り距離」の指定は、例えば親機100の操作部7(図3参照)によって設定される。そして、指定された「見守り距離」は、上述したLUTとともに親機100から第2子機202に対して無線回線を介して送信される。
次に、離間距離の計測値が「見守り距離」より大きくなった場合(即ち、計測した電波強度が所定値より小さい場合)(ST06でYes)、第2子機202は異常時であることを認識して安全管理処理を開始する。この安全管理処理として、まず第2子機202は異常を検出した旨を親機100に対して通知する(第1の報知。ST07)。他方、離間距離の計測値が「見守り距離」以下である場合(ST07でNo)、処理はST17に移る。
第2子機202から「異常を検出した旨」を報知された親機100は、まず自らも安全管理処理を実行し、例えば鳴動音等を発する。そして、第1子機201および第2子機202に対して一斉報知を実行する(第2の報知。ST08)。この一斉報知は第1子機201および第2子機202の双方で受信され、結果的に、親機100、第1子機201、第2子機202の全てが鳴動し始める(ST09)。なお、鳴動音の代わりに何らかの意味を持つメッセージを用いてもよい。また、第2子機202を鳴動させるか否かは、例えば親機100で設定することができる。
次に、信号処理部10によって、離間距離の計測値が「見守り距離」以下になったか否か、即ち電波強度が復帰したか否かが再度チェックされる(ST10)。そして、電波強度が復帰していれば(ST10でYes)、第2子機202は、親機100に復帰通知を送信する(ST11)。他方、離間距離の計測値が「見守り距離」より大きい、即ち、電波強度が復帰していなければ、処理はST13に移る。
この復帰通知を受信した親機100は、まず自らの安全管理処理を停止するとともに、安全管理処理の解除を第1子機201および第2子機202に対して一斉報知する。これによって、例えば第1子機201や第2子機202で行われていた鳴動音が停止する(ST12)。
次に、信号処理部10は、第2子機202の応答ボタン55が押下されているか否かをチェックする(ST13)。応答ボタン55が押下されていれば(ST13でYes)、親機100は第2子機202に対して接続要求を行い、後述するDECTフレームの情報データフィールド33に音声データを含む送受信を行い、両者の間で通話処理が開始される(ST14)。そして、通話が開始されると、親機100は、安全管理処理の解除を第1子機201および第2子機202に対して一斉報知する(ST15)。これによって、親機100および第1子機201、第2子機202では通話の妨げとなる鳴動音等が停止される。その後、通話が完了すると終話処理が行われ、親機100と第2子機201との間で、情報データフィールド33には音声データを含む送受信が行われなくなる(ST16)。なお、DECTのフレーム構造においては、音声データと「監視モード信号」が格納されるフィールドは異なっており、第2子機202は監視と通話を同時に行うことができる。これによって、異常が検出された要管理者に対して、管理者は両者のおよその離間距離を確認しつつ通話をして、要管理者を誘導等することが可能となる。このような用途において、例えば安全管理処理として、鳴動に替えて両者の離間距離を示すLEDを点灯させれば、通話は阻害されない。
次に、信号処理部10によって、監視の終了操作がされたか否かが確認される(ST17)。監視指示ボタン7aが再度押下されたことを親機100の信号処理部10が検出すると、監視の終了指示があったと認識される。親機100の信号処理部10は、これに基づき「監視モード信号」の送信を停止する(周期的に発生する制御スロットにおいて制御データの送信は停止されないが、制御データから「監視モード信号」のビット列がOFFにされる)。そして、第2子機202は監視の終了を認識すると(ST17でYes)、上述した離間距離の計測値と「見守り距離」の比較を停止し、処理をST18に移す。
一方、監視終了操作がなされない場合(ST17でNo)、処理はST06に移り、上述してきた監視を繰り返し行う。
次に信号処理部10は、例えば第2子機202の電源スイッチOFFを検出する等を行って処理終了を確認する(ST18)。電源スイッチOFF等の場合(ST18でYes)、第2子機202はプログラムを終了する。処理終了でない場合(ST18でNo)、処理はST02に戻る。
以上、安全管理処理として鳴動音の再生について言及したが、安全管理処理は鳴動や音声の再生に限定されない。例えば、予め第2子機202の記憶部11に登録された警備会社等の電話番号に対して発呼処理を実行してもよい。そして、先方が応答した場合は、第2子機202の通話用スピーカ57とマイクロフォン56(図5参照)とを駆動して、いわゆるスピーカーフォンによる通話処理を実行してもよい。更に、まずは鳴動等の警報を発したのち、それでも所定期間にわたって異常が継続して検出された場合に警備会社への通報を行うように、処理を段階的にしてもよい。このようにすることで、誤検出を有効に防止し、警備会社等への無用な通報を避けることができる。
また、安全管理処理は無線回線を介した報知処理であってもよい。ここでいう「無線回線を介した報知」とは、上述した第2子機202から親機100への通報や、子機間の通報であり、親機100は第2子機202から異常を検出したことを報知されると、親機100自らが警備会社等への発呼処理等を実行してもよい。また、第2子機202は親機100から制御スロットで送信された制御データに応答して、上述したディジタルRSSI信号の値を親機100に送信してもよい。そして、このような送信処理も全て安全管理処理に含まれる。また、安全管理処理には異常が発生したことを、光やバイブレーションで報知するような処理が含まれる。具体的には、例えば検出した離間距離に応じて所定のLEDを点灯あるいは点滅するように構成、または離間距離に応じてバイブレーションの振動パターンを変更するとよい。安全管理処理は上述したいずれかの処理を含んでいればよく、複数の処理を組み合わせて実行してもよい。
図10は、DECTのフレーム構成を説明する説明図である。DECTでは10ms周期の1フレームに24スロット(アップリンク用に12スロット、ダウンリンク用に12スロット)を含んで構成される。通常は、スロット1(S1)〜スロット12(S12)は親機100から子機200への通信に使用され、スロット13(S13)〜スロット24(S24)は子機200から親機100への通信に使用される。親機100と子機200との間の通信では、スロット1(S1)およびスロット13(S13)、スロット2(S2)およびスロット14(S14)のように5ms離れた位置関係にあるスロットを組み合わせて(ペアスロット)、1つの通信チャネルとして使用する。
そして、親機100から子機200へ送信が行われる12スロットの中の少なくとも1つのスロット(例えばスロット1(S1))は制御データを送るための制御スロットとされている。制御データは、フレーム内の1つのスロットで親機100から常時(周期的に)送信される。なお、親機100から子機200への制御通信中に電波干渉が発生したときなどに備えて、遊休中のスロット(例えば、スロット1(S1)を制御スロットとして使用している場合は、スロット2(S2)〜スロット12(S12))について、そのスロットが他機器により使用されているか否かを検出し、実際にスロット1(S1)で電波干渉等が発生した場合は、制御スロットをスロット2(S2)に移してもよい。そして、これと連動して、制御スロットに対する応答スロット(制御スロットに対する応答に用いられるスロット。子機200から親機100へのデータ送信の際に使用する)はスロット14(S14)に設定される。このように制御スロットとしてどのスロットを利用するかは、親機100と子機200とのネゴシエーションによって決定される。
各スロットはそれぞれ416.67μs(=10ms/24)幅で規定され、各スロットでは同期信号フィールド30と、制御データフィールド31と、CRC1フィールド32と、情報データフィールド33と、CRC2フィールド34とが規定されている。
同期信号フィールド30は、ビット同期を取るためのデータ列とスロット同期を取るためのデータ列とから構成される固定データを含んでいる。CRC1フィールド32には、制御データフィールド31のデータ列に基づいて算出されたCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)符号が書き込まれ、制御データフィールド31の伝送誤りを検出する。CRC2フィールド34は、同様にして情報データフィールド33の伝送誤りを検出する。CRCによって誤りが検出された場合、子機200は親機100に再送要求を行うことができる。
制御データフィールド31(A−fieldと呼称されることがある)は、親機100から子機200に制御データを渡すためのフィールドであり、発呼・着呼時および待ち受け時等に必要な制御データをやりとりする。具体的には、制御データには識別情報(いわゆるID)、機器能力、通信品質、呼設定や切断、伝送誤りが検出された際の再送制御データなどが含まれる。そして、制御データには、上述した「監視モード信号」が含まれている。従って、子機200は制御スロットにおいて受信したデータのうち制御データフィールド31を参照することで制御データを取得し、監視が指示されたことを認識する。
一方、情報データフィールド33(B−fieldと呼称されることがある)は、音声データ、画像データのパケットを格納するフィールドである。
親機100と子機200との間で音声データを送受信する際は、情報データフィールド33に音声データが書き込まれるが、制御スロットにおいては同期信号フィールド30、制御データフィールド31、CRC1フィールド32が有効であって、情報データフィールド33およびCRC2フィールド34は使用されない。逆に言えば、コードレス電話システムが着信していなくても(待ち受け状態であっても)、親機100は子機200に対してフレーム期間毎の制御スロットにおいて制御データを送信し、子機200は当該制御データを受信している。そして、子機200は親機100に対して必要に応じて、当該制御スロットに対応した応答スロットを用いて親機100にデータを送信する。これを利用することで、子機200は、上述した安全管理処理に利用するデータ(例えば、ディジタルRSSI信号や、これをLUTで距離情報に変換した値)を親機100に送信することができる。
図11は、第1実施形態のコードレス電話システムにおいて、安全管理処理を実行する過程で、親機100と第1子機201と第2子機202とが利用するスロットの状態を示す説明図である。図11では、親機100および第1子機201が通常待ち受け状態にあり、図9のST03において、親機100の監視指示ボタン7aが押下され、監視が開始された後の過程を示している。なお、図10を用いて説明したように、実際のペアスロットは5ms離間しているが、図11では、これを簡略化して記載している(第2実施形態以降も同じ)。
監視中において親機100と第1子機201および第2子機202との間では、送受信の同期がとられ、親機100は各フレーム(10ms)内の期間TxPo(n)(n=1,2,3...。第2実施形態以降も含め、以下同様)として設定した制御スロットにおいて制御データを送信し、第1子機201および第2子機202は期間TxPo(n)と同期した期間RxC1o(n)および期間RxC2o(n)において制御データを受信している。この「待ち受け/レベル監視(同期)」の期間において、制御データには上述した「監視モード信号」が含まれ、第2子機202はディジタルRSSI信号、即ち電波強度を監視して、親機100と第2子機202との離間距離を計測している。
このように第1実施形態では、親機100と子機200との同期を維持等するために設けられた制御スロットを、監視を行うために(即ちRSSI信号を計測するために)利用する。これによって、親機100は監視を実行する際に特別なスロットを割り当てることなく、単に制御データ(制御データフィールド31)に「監視モード信号」を含ませるだけで、子機200によってRSSI信号が計測されて、監視が実行される。また、制御データを送信する期間である制御スロットは各フレーム期間(10ms周期)に設けられ、結果的に親機100と子機200との間の距離の測定は10ms毎に行われる。
そして監視の結果、期間TxPo(4)の制御データを受信した期間RxC2o(4)において、第2子機202で異常が検出されると、第2子機202は図9のST07で説明した安全管理処理を実行する。即ち、第2子機202は期間TxPo(4)で送信された制御データを期間RxC2o(4)で受信し、これに対する応答スロットである期間TxC2o(1)に親機100に応答データを送信し(第1の報知)、応答データは期間RxPo(3)において親機100に受信される(厳密には期間RxPo(3)の全期間で受信される訳ではなく、制御スロットから5ms遅延するスロットが選択される)。この応答データにも制御データフィールド31が含まれており、異常を検出した旨を第2子機202が当該制御データフィールド31に書き込んでおくことで、親機100は制御データフィールド31を解析することで、第2子機202で異常が検出されたことを認識する(図9のST07の処理を参照)。
更に、親機100は期間TxPo(5)において安全管理処理の実行を指示するコマンドを含む制御データを一斉報知(第2の報知)する(図9のST08の処理を参照)。この制御データは期間TxPo(5)と同期した期間RxC2o(5)に第2子機202によって受信され、他方、期間RxC1o(5)に第1子機201によって受信される(期間RxC2o(5)と期間RxC1o(5)とは同一タイミングである)。第1子機201および第2子機202はコマンドの到達を検知すると、それぞれ「アラーム/音声鳴動」と例示した期間に、上述した安全管理処理を実行する。そして、親機100も同様に安全管理処理を実行する(図9のST09の処理を参照)。
その後、期間TxPo(10)において親機100が送信した制御データを、第2子機202が期間RxC2o(10)において受信し、その際に第2子機202が親機100との離間距離が「見守り距離」より小さいことを検出すると、第2子機202は電波強度が復帰したと判断する。そして、その旨を応答データの制御データフィールド31に書き込んで、期間TxC2o(2)に親機100に送信する。他方、上述した監視終了操作があった場合も監視が中止され、図11に示す「レベル復帰or鳴動停止操作で待ち受けへ」の期間となる。
なお、上述の説明では、親機100と第2子機202との間で監視を行っているが、第2子機202および第1子機201の基本的な構成は同一であり、両者ともに電波強度計測部20を備えている。よって、親機100と第1子機201とを用いて監視を行うようにしてもよく、そのとき要管理者は第2子機202に替えて第1子機201を携帯することになる。監視に第1子機201または第2子機202のいずれを用いるかは、例えば親機100の操作部7によって指定することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
第1実施形態では、親機100と第2子機202との間で監視を行っているが、第2実施形態では、第1子機201と第2子機202との間で送受信される電波を用いて監視が行われる。具体的には第1子機201と第2子機202との間で設定された制御スロットで、第1子機201から送信した制御データを第2子機202で受信し、第2子機202が監視用データを受信した際のRSSI信号を計測することで、第2子機202が異常を検出する構成となっている。なお、第2実施形態は、図7(b)の状況を想定したものであり、第1実施形態で説明した親機100の役割を第1子機201が実行する。
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
第1実施形態では、親機100と第2子機202との間で監視を行っているが、第2実施形態では、第1子機201と第2子機202との間で送受信される電波を用いて監視が行われる。具体的には第1子機201と第2子機202との間で設定された制御スロットで、第1子機201から送信した制御データを第2子機202で受信し、第2子機202が監視用データを受信した際のRSSI信号を計測することで、第2子機202が異常を検出する構成となっている。なお、第2実施形態は、図7(b)の状況を想定したものであり、第1実施形態で説明した親機100の役割を第1子機201が実行する。
図12は、第2実施形態のコードレス電話システムにおいて、安全管理処理を実行する過程で、第1子機201と第2子機202とが利用するスロットの状態を示す説明図である。図12では、第1子機201および第2子機202は、親機100から制御データを受信できない、いわゆる通信圏外に設置されている状況を想定している(ただし、通信圏内であっても構わない)。
初期状態において、第1子機201と第2子機202とは同期がとれておらず、いわゆる非同期の状態となっている。更に、第2子機202は電力消費を低減するために、電源が投入された後の非同期期間では、長周期の間欠受信を行っている。この間欠受信は、図5を用いて説明したタイマ部60が発生するパルス信号をイベントとして実行され、図12に示す待機中における期間RxC2s(1),期間RxC2s(2),期間RxC2s(3)の周期は例えば2秒に設定されている。
この状況下で第1子機201の監視指示ボタン15aが押下されると、第1子機201は第2子機202の呼び出しを開始する。この呼び出しは、少なくとも第2子機202の間欠受信周期を超える期間にわたって行われる(即ち、本例では少なくとも2秒間)。呼び出し期間TxC1s(1)において、第1子機201は、1フレームを構成する全てのスロットに第1子機201が設定する制御スロットとの相対時間差の情報(補正値)を書き込んで、制御データの送信を行う。なお、この制御データには上述した「監視モード信号」が包含されている。
この制御データは、第2子機202によって期間RxC2s(3)に受信され、第1子機201が設定した応答期間RxC1s(1)内の期間TxC2s(1)に第2子機202は応答を行う。この応答はいわゆるACK信号であり、以降、第1子機201と第2子機202との間で同期が確立する。更に、第2子機202は「監視モード信号」を受信することで、第1子機201と第2子機202との離間距離の計測を開始する。このようにして「待ち受け/レベル監視(同期)」期間が開始する。
「待ち受け/レベル監視(同期)」期間において、第1子機201と第2子機202との間では、送受信の同期がとられ、第1子機201は各フレーム(10ms)内の期間TxC1o(n)に設定された制御スロットにおいて制御データを送信し、第2子機202は期間TxC1o(n)と同期した期間RxC2o(n)において制御データを受信している。制御データには上述した「監視モード信号」が継続して含まれ、第2子機202は第1子機201と第2子機202との離間距離の計測を継続する。
このように第2実施形態では、第1子機201と第2子機202との同期を維持等するために設けられた制御スロットを、監視を行うために(即ちRSSI信号を計測するために)利用する。これによって、第2子機201は監視を実行する際に特別なスロットを割り当てることなく、単に制御データ(制御データフィールド31)に「監視モード信号」を含ませるだけで、第2子機202によってRSSI信号が計測されて、監視が実行される。
そして監視の結果、期間TxC1o(3)の制御データを受信した期間RxC2o(3)において、第2子機202で異常が検出されると、第2子機202は図9のST07で説明した安全管理処理を実行する。ただし第2実施形態では、親機100は監視に関与しておらず、ST07の通知は第2子機202から第1子機201へとなされる。即ち、第2子機202は期間Tx1o(3)で送信された制御データを期間RxC2o(3)で受信し、これに対する応答スロットである期間TxC2o(1)に第1子機201に応答データを送信する(第1の報知)。この応答データは期間RxPo(3)において第1子機201に受信される。この応答データにも制御データフィールド31が含まれており、異常を検出した旨を第2子機202が当該制御データフィールド31に書き込んでおくことで、第1子機201は制御データフィールド31を解析して、第2子機202で異常が検出されたことを認識する。そして第1子機201は例えば鳴動音を発する等の安全管理処理を実行する。そしてこのとき、第1実施形態で説明したように、第2子機201の応答ボタン55を押下することで、第1子機201と第2子機202とは通話が可能となる。
その後、期間TxC1o(8)において第1子機201が送信した制御データを、第2子機202が期間RxC2o(8)において受信し、その際に第2子機202が第1子機201との離間距離が「見守り距離」より小さいことを検出すると、第2子機202は電波強度が復帰したと判断する。そして、その旨を応答データの制御データフィールド31に書き込んで、期間TxC2o(2)に第1子機201に送信する。これによって、第1子機201および第2子機202による安全管理処理は中止され、通常待ち受け状態に戻る。
なお、第2実施形態では「待ち受け/レベル監視(同期)」期間において、フレーム周期は10msとしているが、これを例えば20msあるいはそれより長く設定してもよい。これによって、特に第2子機202の電力消費を低減することが可能となる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。
第2実施形態では第1子機201と第2子機202とを用いて監視を行う場合を想定していた。即ち、第1子機201は制御スロットで制御データを第2子機202に送信し、この制御データを受信した際に第2子機202が異常を検出すると、その旨は第1子機201に送信されていた。第3実施形態ではRSSI信号を計測する第2子機202で異常を検出するとともに、異常を検出した旨は一旦第2子機202から第1子機201に通知され、その後、第1子機201から親機100に送信される構成となっている。
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。
第2実施形態では第1子機201と第2子機202とを用いて監視を行う場合を想定していた。即ち、第1子機201は制御スロットで制御データを第2子機202に送信し、この制御データを受信した際に第2子機202が異常を検出すると、その旨は第1子機201に送信されていた。第3実施形態ではRSSI信号を計測する第2子機202で異常を検出するとともに、異常を検出した旨は一旦第2子機202から第1子機201に通知され、その後、第1子機201から親機100に送信される構成となっている。
図13は、第3実施形態のコードレス電話システムにおいて、安全管理処理を実行する過程で、親機100と第1子機201と第2子機202とが利用するスロットの状態を示す説明図である。ただし、図13では、第2実施形態で説明した、第1子機201と第2子機202との間で同期が確立される過程の図示は省略されており、既に「待ち受け/レベル監視(同期)」が開始された状態を示している。なお、第3実施形態は、図7(c)の状況を想定したものである。
親機100の監視指示ボタン7aまたは第1子機201の監視指示ボタン15aが押下されると、既に第2実施形態で説明した手順で第1子機201と第2子機202との間で同期が確立されて、「待ち受け/レベル監視(同期)」期間となる。この期間において、親機100と第1子機201との間は第1制御スロットとしての期間TxPo(n)と期間RxC1o(n)とで同期が確立しており、他方、第1子機201と第2子機202との間は第2制御スロットとしての期間TxC1o(n)と期間RxC2o(n)とで同期が確立している。
ここで、親機100の監視指示ボタン7aが押下された場合は、第1制御スロットにおいて第1子機201に送信される第1制御データに「監視モード信号」が含まれ、これを受信した第1子機201は、第2制御スロットにおいて第2子機202に送信される第2制御データに「監視モード信号」を追加して送信する。一方、第1子機201の監視指示ボタン15aが押下された場合は、第1子機201から第2子機202に対して直接「監視モード信号」を包含する第2制御データが送信される。そして、「監視モード信号」を包含する第2制御データは、「待ち受け/レベル監視(同期)」期間中、第1子機201から第2子機202に対して継続して送信される。
第2子機202は「監視モード信号」を包含する第2制御データを受信すると監視を開始し、その後異常を検出すると安全管理処理を実行する。即ち、第1子機201が第2制御スロットとしての期間TxC1o(7)に送信した第2制御データを、第2子機202が受信した際に異常を検出したとすると、第2子機202は応答スロットである期間TxC2e(1)において、第1子機201に対して異常を検出した旨の応答データを送信する(第1の報知)。第1子機201はこれを期間RxV(7)で受信し、応答データを解析することで、第2子機202によって異常が検出されたことを認識する。そして第1子機201おいても鳴動等の安全管理処理が実行される。更に、第1子機201は、期間TxC1o(8)において、「第2子機202が異常を検出したこと」を親機100に通報する(第2の報知。このとき期間TxC1o(8)は、親機100と第2子機202の双方で受信され、いわゆるマルチキャストの状態を構成する)。これによって親機100は、第2子機202によって検出された異常を間接的に認識することができる。そして親機100においても鳴動等の安全管理処理が実行される。そしてこのとき、第1実施形態で説明したように、第2子機201の応答ボタン55を押下することで、第1子機201と第2子機202とは通話が可能となる。
このように第3実施形態では、第2子機202で検出された異常である旨は、第2子機202から第1子機201へ送信され、その次のフレームにおいて第1子機201から親機100へと、いわゆるバケツリレー方式で送信される。即ち、第1子機201を親機100と第2子機202とを接続する中継機のような態様で利用して、より広範囲で監視を行う。図8を用いて説明したように、通信可能な距離(通信圏内)は「見守り距離」よりも大きいため、第1子機201と第2子機202とを用いて検出された異常である旨を、より遠方まで通知することが可能となる。具体的には、例えば母親が幼児を連れて家屋から100m程度離れた公園に出向き、幼児に第2子機202を携帯させ、自らは第1子機201を携帯するようなケースにおいて、幼児が母親から「見守り距離」を越えて離れると、母親が携帯する第1子機201に対して報知がなされ、更に遠隔にある家屋に置かれた親機100に対しても報知がなされる。つまり、本来は家屋に置かれた親機100では、第2子機202を用いた監視はできないが、間に第1子機201を介在させることで、より遠隔の監視が可能となるのである。
以上、本発明に係るコードレス電話システムおよび安全管理装置について特定の実施形態に基づいて詳細に説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、第1実施形態では、ディジタルRSSI信号を一旦距離情報に変換し、この距離情報に基づいて安全管理処理を実行するようにしたが、距離情報への変換を省略してディジタルRSSI信号を参照して、直接的に安全管理処理を実行するように構成しても構わない。なお、上述した実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本発明に係るコードレス電話システムは、コードレス電話システムを構成する子機に徘徊検知等を目的とする特殊なセンサを別途設けることなく、非常に簡易な構成で、親機と子機との離間距離を計測し、徘徊等を確実に検出することが可能であることから、DECT、PHS、sPHS等を採用するコードレス電話システムおよびこれを応用した安全管理装置において好適に利用することができる。
7a 監視指示ボタン
8 マイクロフォン
10 信号処理部(制御手段)
10e フレーム処理部
10f CPUブロック
10s 同期制御部
11 記憶部
12 無線部
15a 監視指示ボタン
20 電波強度計測部(強度計測手段)
21 リミッタアンプ部
22 V−I変換部
23 カレントミラー回路
24 ディジタルRSSI信号生成部
24i AD変換器
31 制御データフィールド
33 情報データフィールド
55 応答ボタン
56 マイクロフォン
57 通話用スピーカ
100 親機
200 子機
201 第1子機
202 第2子機
8 マイクロフォン
10 信号処理部(制御手段)
10e フレーム処理部
10f CPUブロック
10s 同期制御部
11 記憶部
12 無線部
15a 監視指示ボタン
20 電波強度計測部(強度計測手段)
21 リミッタアンプ部
22 V−I変換部
23 カレントミラー回路
24 ディジタルRSSI信号生成部
24i AD変換器
31 制御データフィールド
33 情報データフィールド
55 応答ボタン
56 マイクロフォン
57 通話用スピーカ
100 親機
200 子機
201 第1子機
202 第2子機
Claims (6)
- 親機と第1子機と第2子機とを備えるコードレス電話システムであって、
前記親機と前記第1子機とは無線回線を通じて互いに電波を送受信し、
前記親機と前記第2子機とは前記無線回線を通じて互いに電波を送受信し、
前記第2子機は、
前記親機によって送信された制御データを受信した際の電波強度に基づいて前記親機と前記第2子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記親機から受信する前記制御データに前記計測を行う旨のコマンドが含まれていれば前記計測を行い、前記計測した離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、前記安全管理処理のうちの一つである前記親機への第1の報知を行い、前記第1の報知を受信した前記親機は前記第1子機に第2の報知を行うことを特徴とするコードレス電話システム。 - 親機と第1子機と第2子機とを備えるコードレス電話システムであって、
前記第1子機と前記第2子機とは無線回線を通じて互いに電波を送受信し、
前記第2子機は、
前記第1子機によって送信された制御データを受信した際の電波強度に基づいて前記第1子機と前記第2子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1子機から受信する前記制御データに前記計測を行う旨のコマンドが含まれていれば前記計測を行い、前記計測した離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、前記安全管理処理のうちの一つである前記第1子機への第1の報知を行うことを特徴とするコードレス電話システム。 - 親機と第1子機と第2子機とを備えるコードレス電話システムであって、
前記親機と前記第1子機とは無線回線を通じて互いに電波を送受信し、
前記第1子機と前記第2子機とは前記無線回線を通じて互いに電波を送受信し、
前記第2子機は、
前記第1子機によって送信された制御データを受信した際の電波強度に基づいて前記第1子機と前記第2子機との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1子機から受信する前記制御データに前記計測を行う旨のコマンドが含まれていれば前記計測を行い、前記計測した離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、前記安全管理処理のうちの一つである前記第1子機への第1の報知を行い、前記第1の報知を受信した前記第1子機は前記親機に第2の報知を行うことを特徴とするコードレス電話システム。 - 前記第2子機は、
更に、応答ボタンを備え、
前記制御手段は、前記応答ボタンの操作に基づいて、前記親機または前記第1子機との間で通話処理を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコードレス電話システム。 - 前記安全管理処理は、鳴動音による警報、所定のメッセージの再生、予め定められた通報先への発呼、前記無線回線を介した報知の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコードレス電話システム。
- 電波を送出する送信手段と、
前記送信手段によって送出された電波を受信する第1の受信手段と、
要管理者によって所持されて、前記送信手段によって送出された電波を受信する第2の受信手段と、を備え、
前記第2の受信手段は、
前記送信手段によって送出された制御データを受信した際の電波強度に基づいて前記送信手段と前記第2の受信手段との間の離間距離を計測し、前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、所定の安全管理処理を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記送信手段から受信する前記制御データに前記計測を行う旨のコマンドが含まれていれば前記計測を行い、前記計測した前記離間距離が予め定めた値よりも大きくなった場合に、前記安全管理処理のうちの一つである前記送信手段への第1の報知を行い、前記第1の報知を受信した前記送信手段は第1の受信手段に第2の報知を行うことを特徴とする安全管理装置。
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