JP5619477B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、ASSY品(組み付け品)、例えばエアコン用のコンプレッサー本体とアキュムレーターとから成るASSY品の場合には、本体内部にはモーターのステータやローターなどの鉄系部材が詰まっているため、本体側の熱容量は大きく、その中でもステータに接触する部分は特に熱容量が大きくなっているが、アキュムレーターは内部が空洞になっているため、アキュムレーター側の熱容量は小さくなっている。そのため、塗装品質を確保するためには、熱容量の大小に合わせた乾燥時間と温度設定が必要になる。
また、現在の加熱能力では、ステータと接触している部分まで十分に加熱するためには40分以上加熱し続けることが必要であり、コンベア速度が2m/分ならば乾燥炉の全長は80m必要である。
このため、焼付け装乾燥で使用するエネルギー量は必要以上に多く、CO2排出量も多い。また、乾燥炉を設置するためには、広いスペースが必要である。
特許文献1では、ガイドレール等の長物を対象としており、ASSY品ではない。特許文献1の誘導加熱装置でASSY品を一定の送り速度で順次搬送して連続的に加熱すると、熱容量の小さい部位が急激に過熱されてしまい、塗装品質が確保できない。一方、ASSY品を間欠的に搬送して加熱したり、バッチ式に加熱したりしたのでは、処理効率が悪い。
それ故、本発明は、上記課題を解決するために、コイル体の形状を被加熱物、例えばASSY品に合わせ、高周波電流の出力を調整することで、被加熱物が熱容量の異なる複数の部位を有するものであっても、連続処理方式で塗装品質を確保できるように、部位毎の温度差を極力小さくしながら加熱できる誘導加熱装置を提供することを、その目的とする。
従って、外部加熱方式を利用せずに済み、消費エネルギーやCO2排出量を削減でき、設置スパースも広く取らずに済む。
この実施の形態では、図1に示すように、ハンガーHが誘導加熱装置1の一対のコイルケース37(後で詳述)の間を移動するようになっている。
ワークWは、図2に示すように、エアコンのコンプレッサー本体w1とアキュムレーターw2とから成るASSY品である。本体w1は内部にモーターのステータやローターなどの鉄系部材が詰まって熱容量は大きくなっており、その中でもステータは熱容量が特に大きい。一方、アキュムレーターw2は内部が空洞になっているため、熱容量は小さくなっている。ワークWは、前工程で電着塗装が行われた後、図1に示すハンガーHにアキュムレーターw2が先行し、本体w1が後行する並設状態で吊下げられて、矢印に示す方向に一定の送り速度で搬送されるようになっている。
誘導加熱装置1には、図2、図3に示すように、コイル体3が備えられている。
コイル体3には複数本のパイプ部5a、5b、5c、5d、5a’、5b’、5c’、5d’が備えられており、これらのパイプ部5a、5b、5c、5d、5a’、5b’、5c’、5d’が複数の可とう性通電冷却ホース6で連結されて一続きになっている。すなわち、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5a、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5a’、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5b、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5b’、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5c、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5c’、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5d、可とう性通電冷却ホース6、パイプ部5d’ 可とう性通電冷却ホース6と接続されて一続きになっている。コイル体3は、全体として長円形のらせん状をなしており、図3に示すように、上下方向から見ると、一方のパイプ部群5a、5b、5c、5dと他方のパイプ部群5a’、5b’、5c’、5d’が略平行に対向している。また、図2に示すように、横方向から見ると、パイプ部群5a、5b、5c、5dが上下方向に四段で並列された状態となっており、横方向両端側に位置する可とう性通電冷却ホース6は自重により下がっている。なお、パイプ部群5a’、5b’、5c’、5d’も同様に構成されている。
したがって、対向する加熱壁どうしの対向間隔が広い領域と、中間の傾斜領域と、狭い領域とが周期的に形成されている。以下、説明の便宜のために、パイプ部5a、5b、5c、5a’、5b’、5c’を基準として、凹底部を狭い領域X、凸頂部を広い領域Yと規定する。狭い領域Xと広い領域Yとの間には、傾斜した移行領域が存在する。狭い領域Xの搬送方向の長さは本体w1の搬送方向の長さと略同じ程度になっており、広い領域Yの搬送方向の長さはワークW全体の搬送方向の長さと略同じ程度になっている。
因みに、パイプ部5d、5d’の凹凸を変えて狭い領域Xを延ばしているが、これは、図2に示す本体w1の下部に熱容量の特に大きいステータが収容されており、この部位を特に強く加熱する必要があるからである。なお、アキュムレーターw2は本体w1より短いのでパイプ部5d、5d’には対向していない。
コイル体3には高周波電源7が接続されており、パイプ部5a〜5dには一律に同じ高周波電流が供給されるようになっている。この高周波電源7には、出力をON/OFFする出力調整手段が内蔵されている。
符号9は支持ベースを示し、この矩形の支持ベース9の四隅には支柱11がそれぞれ水平回転自在に立設支持されている。各支柱11は昇降モーター13とベルト14を介して動力が伝達されるようになっている。また、各支柱11のネジ部にはナット部材15が螺合している。符号17は下方に向かって開口した箱状の取付部を示し、この取付部17に上記したナット部材15が取り付けられている。従って、昇降モーター13の駆動により支柱11が回転すると、取付部17がナット部材15と一緒に昇降、すなわち上下移動する。
符号21、21は一対の板状ナットを示し、各板状ナット21の底面側にはスライドブロック23が取り付けられている。スライドブロック23は取付部17の上面に設けられたガイドレール(図示省略)に摺動自在に係合しており、一対の板状ナット21、21は離間した状態で立設されている。また、板状ナット21、21は互いに逆ネジの関係を為すように形成されている。
支持部29の上面に設置された軸受には開閉ネジ31が支持されており、この開閉ネジ31は上記した板状ナット21、21と螺合している。
符号33は開閉モーターを示し、この開閉モーター33は支持部29の下面側に取り付けられている。開閉モーター33はベルト34を介して上記した開閉ネジ31に動力が伝達されるようになっている。
各コイルケース37は対向面が開口している。各コイルケース37に取付部17上のコイル体3などが収容されている。
また、中心移動モーター25が駆動されると、支持部29が取付部17の開口内を移動し、支持部29上の開閉ネジ31も同期して移動する。従って、対向するパイプ部5、5の間の中心軸cが移動することになる。このように、横方向移動手段が設けられている。
また、昇降モーター13の駆動により、対向するパイプ部5、5が上下に移動することになる。このように、上下移動手段が設けられている。
ワークWの品種や吊下げ位置に対応して、横方向移動手段や上下方向移動手段により、パイプ部5の位置を予め調整しておく。
図5において、後行の本体w1全体が狭い領域Xに完全に入り込む直前(実線で示す位置にきたとき)に高周波電源7をONにし、先行のアキュムレーターw2の先端が狭い領域Xに入り始める直前(点線で示す位置にきたとき)にOFFにする。本体w1全体が狭い領域に完全に入り込む直前(実線で示す位置にきたとき)に先行のアキュムレーターw2の後端は狭い領域Xから殆ど抜け出す位置にある。このように、OFFからONへの切り替えは、本体w1、ONからOFFへの切り替えは、アキュムレーターw2の位置を基準とする。なお、図5ではON/OFF切り替えタイミングの理解の便宜のために、本体w1の位置を基準としてタイムチャートが作成されており、本体w1が実線の位置にきたときに、ONになり、点線の位置にきたときにOFFになっている。
したがって、本体w1とアキュムレーターw2にある程度熱容量の差があっても、本体w1はアキュムレーターw2よりも強く加熱されるので、誘導加熱装置1から出てきた後には、本体w1とアキュムレーターw2の温度差は製品として許容できる程度に収まっている。
この実施の形態では、第1の実施の形態に係る構成の誘導加熱装置1を2連並設状態に配置しており、1つの高周波電源7からの高周波電流が、切替え手段41により択一的に供給される。すなわち、一方のコイル体3でONするときには、他方のコイル体ではOFFにする。
このように構成すると、一つの高周波電源7の設置で済むので消費エネルギーの削減、さらには省スペース化及びコストの低減も図れる。
例えば、金属塗装品の焼き付け乾燥だけでなく、ロー付け、焼き嵌め等にも利用できる。
また、第1の実施の形態では、高周波電源の出力をON/OFF切り替えで調整しているが、出力を高低に分け、高ON/低OFF切り替えで調整してもよい。被加熱物の種類によってその部位間の熱容量の差は変わるが、熱容量の大小の差が比較的大きい場合にはON/OFF切り替えで、比較的小さい場合には高ON/低OFF切り替えと使い分けことで対応することができる。
設置にスペースを取らず、消費エネルギーやCO2排出量も少なくて済む。
5a〜5d、5a’〜5d’‥‥パイプ部
6‥‥可とう性通電冷却ホース 7‥‥高周波電源
9‥‥支持ベース 11‥‥支柱
13‥‥昇降モーター 14‥‥ベルト
15‥‥ナット部材 17‥‥取付部
21‥‥板状ナット 23‥‥スライドブロック
25‥‥中心移動モーター 27‥‥移動ネジ
29‥‥支持部 31‥‥開閉ネジ
33‥‥開閉モーター 34‥‥ベルト
35‥‥コイル支持シャフト 37‥‥コイルケース
39a、b‥‥隔板体
41‥‥切替え手段(第2の実施の形態)
W‥‥ワーク w1‥‥本体 w2‥‥アキュムレーター
H‥‥ハンガー
c‥‥中心軸
Claims (3)
- 熱容量の異なる複数の部位を有する被加熱物を、一定の間隔で順次搬送しながら連続的に誘導加熱する誘導加熱装置において、
搬送されてくる被加熱物を挟んで対向するよう配置され、対向間隔が狭い領域と対向間隔が広い領域とが交互に形成されている一つのコイル体と、
前記コイル体に高周波電流を供給する高周波電源と、
前記被加熱物と前記コイル体との位置関係に基づいて前記高周波電源の出力を増減またはON/OFFする出力調整手段とを備え、
前記出力調整手段は、熱容量の大きい部位全体が狭い領域に入り込む直前から完全に入り込むまでの間で出力を増大またはONし、熱容量の小さい部位が狭い領域に入り始める直前に出力を減少またはOFFする構成になっており、
被加熱物の熱容量の大きい部位と小さい部位とを搬送方向に対して並列状態にして搬送させ、前記高周波電源は熱容量の大きい部位は狭い領域を通過する際に主に加熱され、熱容量の小さい部位は広い領域を通過する際に主に加熱されるよう調整する構成になっていることを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1に記載した誘導加熱装置において、
2つのコイル体が並設されており、出力調整手段は、単一の高周波電源からの高周波電流を切替えにより前記2つのコイル体に択一に高周波電流を供給するものであることを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1または2に記載した誘導加熱装置において、
被加熱物を挟んで対向するコイル体を横方向に移動させる横方向移動手段と、前記コイル体を上下方向に移動させる上下方向移動手段を備えることを特徴とする誘導加熱装置。
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