JP5618164B2 - 外来種由来のグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性を獲得したコリネバクテリウム属のl−リシン生産方法 - Google Patents

外来種由来のグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性を獲得したコリネバクテリウム属のl−リシン生産方法 Download PDF

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Description

本発明は、NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性を有し、L−リシン生産能力が向上したコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株及びそれを用いたL−リシンの生産方法に関するものである。
コリネ型細菌は、伝統的にアミノ酸と核酸関連物質の生産に最も広く利用される産業用微生物であって、主にL−リシン(lysine)、L−スレオニン(threonine)、L−アルギニン(arginine) 及びグルタミン酸などのアミノ酸及び各種核酸を含んだ飼料、医薬品及び食品などの分野で多様な用途を有する化学物質を生産するのに利用されるグラム陽性細菌であり、生育にビオチンを要求する。代表的な菌種としては、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)を含んだコリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)を含んだブレビバクテリウム属、アルスロバクター種(Athrobacter sp.)、及びミクロバクテリウム種(Microbacterium sp.)などがある。
L−リシンは、L−アミノ酸の1つであって、その他のアミノ酸の吸収を増加させることによって、飼料の質を向上させ得る能力により動物飼料補充物として商業的に使用されてあり、人体医学では、特に注入用溶液剤の成分として使用され、製薬産業にも使用されている。従って、リシンを産業的に生産することは経済的に重要な産業工程である。
リシンの生産効率を改善させるための方法として、リシン生合成経路上の遺伝子を増幅させるとか遺伝子のプロモーターを変形させて、生合成経路上の酵素活性を増大させる方法が利用されて来た。また、外部の他のバクテリア由来の遺伝子を導入する場合もあって、[日本特許公報第(平)7−121228号]には、エシェリキア・コリ由来のクエン酸シンターゼ を暗号化する遺伝子を導入する方法が記述されている。
一方、リシン生産性を向上させるために生体内中央炭素代謝過程に変形を加えることができる。中央炭素代謝過程に関与する酵素であるグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase)は、コリネバックテリアではNADを助酵素として用いてグリセルアルデヒド−3−ホスフェート(glyceraldehyde−3−phosphate)をグリセリン酸−1、3−ビスホスフェート(glycerate−1,3−bisphosphate)に転換させる酵素であるgapAの形態で存在し、グリセリン酸−1、3−ビスホスフェート(glycerate−1,3−bisphosphate)は、pgk遺伝子によって3−ホスホグリセリン酸(3−phosphoglycerate)に転換される2つの段階の過程を経る一方に、ストレプトコッカス及びバシラスでは、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート(glyceraldehyde−3−phosphate)の助酵素であるNADPを用いて3−ホスホグリセリン酸(3−phosphoglycerate)に転換させる非リン酸化NADP依存的GAPDH(nonphosphorylation NADP−dependent glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase,以下、gapN)酵素として存在し、NADPHを生産しながら該当過程で重要な役割を果たし、NADPH/NADP割合によって影響を受け、一段階の過程からなる(Iddar, Aなど, Protein Expr Purif. 25(3):519−26(2002))。
コリネバクテリウムには、gapN遺伝子がないと報告されてあり、gapNを暗号化する遺伝子をコリネバクテリウム細菌の育種に利用することも公知されていない。しかし、gapN遺伝子を導入してアミノ酸生産を増加した先行文献として、大韓民国特許出願10−2004−011699号及び米国特許出願11/722,820号では、大膓菌でgapNを発現させてリシン生産量を増加させた例があるが、コリネバクテリウムに対してはその実施例がなかった。よって、gapNの効果を見るために、コリネバクテリウムのリシン生産菌株でクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)のgapN発現実験を行ってみたところ、その効果が微小だった。これに、論文探索を介して(Abdelaziz Soukri et al. INTERNATIONAL MICROBIOLOGY (2005) 8:251−258)外来種の細菌に存在する3種のgapN遺伝子を見出した。
本発明者らは、NADを助酵素として利用する代りにNADPを利用するようにgapNを発現させてNADPHの量を増やしてリシン生合成過程でエネルギー源である還元力として使用してコリネバクテリウム属菌株のL−リシン生産力が向上できるということを見出して発明を完成した。
本発明の目的は、NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性を有し、L−リシン生産能力が向上したコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株及びそれを用いたL−リシンの生産方法を提供するためのものである。
本発明は、ストレプトコッカス属及びバシラス属由来のgapNを暗号化する遺伝子を導入することによってL−リシン生産能力を有し、gapN活性を有するコリネバクテリウム菌株を用いて還元力を増加させてリシン生産に必要なエネルギーを供給受けてリシン生産能力が向上したL−リシン製造法を提供した。
図1は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)由来のグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(gapN)発現プラスミドpECCG122−Pcj7−gapNの開裂地図を示したものである。 図2は、染色体挿入用ベクターでgapA遺伝子を破壊するためのベクターPDZ−gapAの開裂地図を示したものである。
一態様として、本発明はNADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性を有し、L−リシン生産能力が向上したコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株を提供する。
本発明のL−リシン生産能が向上したコリネバクテリウム属菌株は、内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(gapA)をコードする遺伝子を不活性化させ、外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ポスペイトデ−ハイドロジナゼをコードする遺伝子(gapN)を導入して得られることができる。
本発明において、前記外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート(glyceraldehyde−3−phosphate)を基質とし、助酵素であるNADPを用いて3−ホスホグリセリン酸(3−phosphoglycerate)に転換する活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドならいずれも含まれる。
前記外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の例には、動物、植物、及びバクテリアから由来したNADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子が含まれる。好ましくは、バクテリアから由来したNADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子であり、最も好ましくは、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、またはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)から由来するNADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子である。より具体的に、前記ストレプトコッカス・ミュータンス由来遺伝子、ストレプトコッカス・アガラクチア由来遺伝子及びバチルス・セレウス由来遺伝子は、それぞれ配列番号11(ジーンバンク登録番号:NC_004350)、12(ジーンバンク登録番号:NC_004116)、及び13(ジーンバンク登録番号:NC_004722.1)のヌクレオチド配列を有するものであり得る。
外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、当業界の公知の通常的な方法によってコリネ型細菌内に導入することができる。
具体的に、前記外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子をベクター内に導入してNADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ発現用組換えベクターを製造し、前記ベクターを内在したグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子が不活性化されたコリネ型細菌内に導入して形質転換されたコリネ型細菌を生産することによって達成できる。
前記NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ発現用組換えベクターは、通常的な方法、すなわち、適切なベクターに制限酵素を使用して外来NADP依存的グルリセルアルデヒド−3−ホスフェートデ−ヒドロゲナゼ遺伝子の塩基配列をライゲーション(ligation)させることによって製造することができる。本発明において、前記ベクターは、図1の開裂地図を有するベクターであり得る。本発明の具体的な例でストレプトコッカス・ミュータンス由来遺伝子、ストレプトコッカス・アガラクチア由来遺伝子及びバチルス・セレウス由来遺伝子を導入するためのベクターは、それぞれpECCG122−Pcj7−gapN1、pECCG122−Pcj7−gapN2、及びpECCG122−Pcj7−gapN3である。
前記内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、コリネバクテリアウム種菌株でNADを助酵素として用いてグリセルアルデヒド−3−ホスフェート(glyceraldehyde−3−phosphate)を基質としてグリセリン酸−1、3−ビスホスフェート(glycerate−1、3−bisphosphate)に転換させる酵素をコードする遺伝子をいい、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列(NCBI登録番号NC_003450、NCgl1526)を有する遺伝子である。
また、前記内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化するために、コリネバクテリウム属菌株が天然の状態で有しているgapA遺伝子を欠失、置換または挿入させる遺伝子操作を加えることができ、好ましくは、gapA遺伝子の一部を含む組換えベクターでコリネ型バクテリアを形質転換することができ、一例として、図2の開裂地図を有するベクターを導入させることによってgapA活性が不活性化された菌株を製作することができる。本発明の具体的な例において染色体挿入用ベクターは、内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子断片の2つの片が連続的にクローニングされたpDZ−gapA組換えベクターを使用した。このような染色体挿入用ベクターを形質転換するコリネ型バクテリアは、好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC−10881があるが、これに制限されない。本発明の具体的な実施例によれば、内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊されたコリネ型バクテリアは、コリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0096(受託番号KCCM11012P)であり得る。
本願明細書において使用された用語“形質転換”は、DNAを宿主として導入してDNAが染色体外因子としてまたは染色体統合完成によって複製可能になることを意味する。本願明細書において使用された用語“形質感染”は、任意のコード配列が実際に発現されてもされなくても発現ベクターが宿主細胞によって収容されることを意味する。本願明細書において使用された用語“形質感染された宿主”及び“形質転換された宿主”は、DNAの細胞への導入を意味する。その細胞は、“宿主細胞”と呼ばれ、原核または真核生物細胞であり得る。典型的な原核宿主細胞は、エシェリキア・コリの各種菌株を含む。用語“ベクター”は、適した宿主内でDNAの発現を行うことができる適した調節配列に作動可能に連結されたDNA配列を含有するDNA製造物を意味する。このような調節配列は、転写を行うためのプロモーター、このような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボゾーム結合部位をコードする配列、及び転写並びに翻訳の終結を調節する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または簡単に潜在的ゲノム挿入物であり得る。適当な宿主に形質転換されれば、ベクターは宿主ゲノムと無関係に複製して機能することができるとか、または一部の場合にゲノムその自体に統合され得る。プラスミドが現在、ベクターの最も通常的に使用される形態であるので、本発明の明細書において、“プラスミド”及び“ベクター”は、時々相互交換的に使用される。用語“調節配列”という表現は、特定の宿主生物で作動可能に連結されたコード配列の発現に必須なDNA配列を意味する。例えば、原核生物に適した調節配列は、プロモーター、任意にオペレーター配列及びリボゾーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することと知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的関係で配置される時“作動可能に連結”になる。これは、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が調節配列(など)に結合される時、遺伝子発現を可能にする方式で連結された遺伝子及び調節配列(など)であり得る。例えば、全配列または分泌リーダー(leader)に対するDNAは、ポリペプチドの分泌に参加する全タンパク質として発現される場合、ポリペプチドに対するDNAに作動可能に連結され;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されるとか;またはリボゾーム結合部位は、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されるとか;またはリボゾーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置される場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、“作動可能に連結された”は、連結されたDNA配列が接触し、また分泌リーダーの場合、接触してリーディング上内に存在することを意味する。しかし、エンハンサーは接触する必要がない。連結は便利な制限酵素部位でライゲーション(連結)によって行われる。そのような部位が存在しない場合、通常の方法による合成オリゴヌクレオチドアダプダーまたはリンカーを使用する。
本願明細書において使用された用語“ベクター”は、異種DNAの断片が挿入された組換えキャリアであって、一般に二重鎖のDNA断片を意味する。ここで、異種DNAは、宿主細胞で天然的に発見されないDNAである異形DNAとして定義される。発現ベクターは、一応宿主細胞内にあれば、宿主染色体DNAと無関係に複製することができ、ベクターの数個のコピー及びその挿入された(異種)DNAが生成され得る。
当業界に周知されたように、宿主細胞で形質感染遺伝子の発現水準を高めるためには、該当遺伝子が、選択された発現宿主内で機能を発揮する転写及び翻訳発現調節配列に作動可能に連結されなければならない。好ましくは、発現調節配列及び該当遺伝子は、細菌選択マーカー及び複製オリジンを更に含む1つの発現ベクター内に含まれるようになる。発現宿主が真核細胞である場合には、発現ベクターは真核発現宿主内で有用な発現マーカーを更に含まなければならない。
本発明の組換えベクター製造の時に使用可能なベクターとしては、コリネ型バクテリアで自律的に増殖できるベクターから由来したものであり得る。例えば、ファージベクターまたはプラスミドベクターから由来することができる。ファージベクターまたはコスミドベクターとしては、例えば、pWE15、M13、λEMBL3、λEMBL4、λFIXII、λDASHII、λZAPII、λgt10、λgt11、Charon4A、Charon21Aなどが挙げられ、プラスミドベクターとしては、例えば、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pET系、pMal系、pQE系などが挙げられる。
また、本発明において使用するコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)は、コリネバクテリウム属に属し、L−リシン生産能を有するものならばいずれも含まれる。前記コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)の例としては、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、及びブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(Brevibacterium fermentum)がある。
本発明のコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)には、野生型菌株だけではなく、L−リシン生産能が改善した変異株も含まれる。例えば、メチオニン要求性、スレオニン類似体(AHV:α−アミノ−β−ヒドロキシ吉草酸)に対する耐性、リシン類似体(AEC:S−(2−アミノエチル)−L−システイン)に対する耐性、イソロイシン類似体(α−アミノ酪酸)に対する耐性、メチオニンの類似体(エチオニン)に対する耐性などの特性を有した菌株などになり得る。また、L−リシン生産能を向上させるために、導入された遺伝子のコピー数を増加させるとか遺伝子調節配列を操作することによって、L−リシン生産能が改善した菌株に変異されることもできる。好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC13032、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(thermoaminogenes)FERMBP−1539、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)ATCC14067、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(lactofermentum)ATCC13869、及びそれらから製造されたL−アミノ酸生産突然変異体または菌株、例えば、コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC11001が含まれることができる。最も好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC10881である。しかし、これに限定されるのではない。
本発明の具体的な例では、それぞれストレプトコッカス・ミュータンス由来遺伝子、ストレプトコッカス・アガラクチア由来遺伝子、及びバチルス・セレウス由来遺伝子を内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子が不活性化されたコリネバクテリウム・グルタミクムKFCC10881に導入して生産されたコリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0565(受託番号KCCM11013P)、コリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0566(受託番号KCCM11014P)、及びコリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0567(受託番号KCCM11015P)であるコリネバクテリウム属菌株を提供する。前記菌株などは、KCCM(Korean Culture Center of Microorganisms, 大韓民国ソウル市西大門区弘済1洞ユリムビル361−221)に2009年7月2日付けで寄託した。
L−リシン生産能力の向上は、NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性化によって増加された還元力に起因する。内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの代りに外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコリネバクテリウムL−リシン生産菌株に導入して、NADを助酵素として用いる代りにNADPを用いるようにNADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼを活性化させ、これを介してNADPHの量を増やしてL−リシン生合成過程においてエネルギー源である還元力として使用することができる。
他の態様として、本発明は、前記NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性を有し、L−リシン生産能力が向上したコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株を培養する段階、及び前記培養された細胞または細胞培養物からリシンを回収する段階を含む、L−リシンを生産する方法を提供する。
本発明によって使用されるコリネバクテリウム属菌株は、バッチ工程 (batch process)または注入バッチまたは繰り返し注入バッチ工程(fed batch or repeated fed batch process)で連続式または回分式で培養することができる。これらの公知された培養方法は、文献[Chmiel,(Bioprozesstechnik 1. Einfuhrung in die Bioverfahrenstechnik (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991);及びStorhas(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen(Vieweg Verlag, Braunschweig/Wiesbaden, 1994)]に記述されている。
使用される培養バッジは、適切な方式で特定菌株の要件を満たさなければならない。コリネバクテリウム属菌株に対する培養バッジは、文献[“Manual of Methods for General Bacteriology”by the American Society for Bacteriology (Washington D.C., USA, 1981)]で調べてみることができる。使用され得る糖原としては、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、澱粉、セルロースのような糖、及び炭水化物;大豆油、ヒマワリ種子油、ヒマシ油、ヤシ油などのようなオイル及び脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸のような脂肪酸;グリセロール、エタノールのようなアルコール;酢酸のような有機酸が含まれる。これらの物質は、個別的にまたは混合物として使用され得る。使用され得る窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、肉汁、麦芽エキス、トウモロコシ浸漬液、大豆粕及び尿素または無機化合物、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムが含まれる。窒素源も個別的にまたは混合物として使用できる。使用され得るリン源としては、リン酸水素二カリウムまたはリン酸二水素カリウムまたは相応するナトリウム含有塩が含まれる。また、培養培地は、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含有しなければならない。最後に、前記物質に加えて、アミノ酸及びビタミンのような必須成長物質が使用され得る。また、培養培地に適切な前駆体などが使用され得る。前記の原料などは、培養過程で培養物に適切な方式によって回分式にまたは連続式で添加され得る。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアのような基礎化合物、またはリン酸または硫酸のような酸化合物を適切な方式で使用して培養物のpHを調節することができる。また、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使用して気泡生成を抑制することができる。好気状態を維持するために培養物内へ酸素または酸素−含有気体(例えば、空気)を注入する。培養物の温度は、普通20℃〜45℃、好ましくは、25℃〜40℃である。培養は、所望のL−アミノ酸の生成量が最大で得られるまで続く。このような目的で普通10〜160時間で達成される。
L−アミノ酸は、陰イオン交換クロマトグラフィー及び後続でニンヒドリン誘導体によって分析することができる(Spackman et al. (Analytical Chemistry, 30, (1958), 1190)。
本発明は、下記実施例を介してより具体的に説明される。しかし、これらの実施例によって本発明が限定されてはいけない。
実施例1.ストレプトコッカス・ミュータンス由来gapN遺伝子検索及びクローニング
ストレプトコッカス由来のgapN遺伝子の塩基配列は、既に明らかになって公開されている。アメリカ国立保健院ジーンバンク(NIH GenBank)からストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のgapN遺伝子情報(登録番号NC_004350)を確保した。報告された塩基配列に基づいて下記表1で記載された1対のプライマーを合成し、ストレプトコッカス・ミュータンスATCC25175菌株の染色体DNAを鋳型にして連鎖重合法(PCR法)[Sambrook et al, Molecular Cloning, a Laboratory Manual (1989), Cold Spring Harbor Laboratories](PCR条件:変性=94℃、30秒/アニーリング=50℃、30秒/重合反応=72℃、1分30秒、30回)によって1428塩基対のgapN遺伝子を増幅した後、TOPO Cloning Kit(Invitrogen)を用いて大膓菌プラスミドpCR2.1にクローニングしてpCR−gapN1プラスミドを得た。
プライマー
Figure 0005618164
実施例2.gapN遺伝子発現ベクター製造
実施例1で得たgapN遺伝子が含まれたベクターpCR−gapN1をそれぞれ、制限酵素NdeIとXbaIに切断してgapNを暗号化する遺伝子断片のみを分離した後、大膓菌とコリネバクテリウムシャトルベクターであるpECCG122(参照;大韓民国特許公開番号1992−0000933に公知される)に発現プロモーターであるPcj7(参照;大韓民国特許公開番号2006−0068505に公知される)を接合してpECCG122−Pcj7−gapN1を製作した(図1)。
実施例3.ストレプトコッカス・アガラクチア由来gapN遺伝子検索及びクローニング
ストレプトコッカス由来のgapN遺伝子の塩基配列は、既に明らかになって公開されている。アメリカ国立保健院ジーンバンク(NIH GenBank)からストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)のgapN遺伝子情報(登録番号NC_004116)を確保した。報告された塩基配列に基づいて下記表2で記載された1対のプライマーを合成し、ストレプトコッカス・アガラクチアATCCBAA−611菌株の染色体DNAを鋳型にして連鎖重合法(PCR法)[Sambrook et al, Molecular Cloning, a Laboratory Manual (1989), Cold Spring Harbor Laboratories](PCR条件:変性=94℃、30秒/アニーリング=50℃、30秒/重合反応=72℃、1分30秒、30回)によって1428塩基対のgapN遺伝子を増幅した後、TOPO Cloning Kit(Invitrogen)を用いて大膓菌プラスミドpCR2.1にクローニングしてpCR−gapN2プラスミドを得た。
プライマー
Figure 0005618164
実施例4.gapN遺伝子発現ベクター製造
実施例3で得たgapN遺伝子が含まれたベクターpCR−gapN2をそれぞれ制限酵素NdeIとXbaIに切断してgapNを暗号化する遺伝子断片のみを分離した後、大膓菌とコリネバクテリウムシャトルベクターであるpECCG122(参照;大韓民国特許公開番号1992−0000933に公知される)に発現プロモーターであるPcj7(参照;大韓民国特許公開番号2006−0068505に公知される)を接合してpECCG122−Pcj7−gapN2を製作した(図1)。
実施例5.バチルス・セレウス由来gapN遺伝子検索及びクローニング
バチルス由来のgapN遺伝子の塩基配列は既に明らかになって公開されている。アメリカ国立保健院ジーンバンク(NIH GenBank)からバチルス・セレウス(Bacillus cereus)のgapN遺伝子情報(登録番号NC_004722.1)を確保した。報告された塩基配列に基づいて下記表3で記載された1対のプライマーを合成し、バチルス・セレウスATCC14579菌株の染色体DNAを鋳型にして連鎖重合法(PCR法)[Sambrook et al, Molecular Cloning, a Laboratory Manual (1989), Cold Spring Harbor Laboratories](PCR条件:変性=94℃、30秒/アニーリング=50℃、30秒/重合反応=72℃、1分30秒、30回)によって1428塩基対のgapN遺伝子を増幅した後、TOPO Cloning Kit(Invitrogen)を用いて大膓菌プラスミドpCR2.1にクローニングしてpCR−gapN3プラスミドを得た。
プライマー
Figure 0005618164
実施例6.gapN遺伝子発現ベクター製造
実施例5で得たgapN遺伝子が含まれたベクターpCR−gapN3をそれぞれ制限酵素NdeIとXbaIに切断してgapNを暗号化する遺伝子断片のみを分離した後、大膓菌とコリネバクテリウムシャトルベクターであるpECCG122に発現プロモーターであるPcj7を接合してpECCG122−Pcj7−gapN3を製作した(図1)。
実施例7.人工変異法によるコリネバクテリウム・グルタミクムリシン生産菌株(KFCC−10881)製造
リシン生合成経路の複数個の遺伝子を挿入する菌株は、人工変異法によって製作されたS−(2−アミノエチル)システイン(S−(2−aminoethyl)cysteine、以下、AEC)に対する耐性及びホモセリン漏出(homoserine leaky)の特徴を有するコリネバクテリウム・グルタミクム(KFCC−10881)を用いた。
前記の変異株KFCC−10881は、コリネバクテリウム・グルタミクム野生株(ATCC13032)を母菌株として突然変異誘発原であるN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(N−methyl−N’−nitro−N−nitrosoguanidine:以下、NTG)を細胞10〜10/mlに対して30℃で最終濃度500μg/mlで30分間処理し、AECを5g/Lの濃度で含有した複合平板培地で成長する菌株を分離することによって得ることができた。前記の1次変異株に対するAEC耐性度とリシン生産能を確認した後、NTGによる2次人工変異を誘導した後獲得した多数のコロニーをホモセリン(100mg/L)を含有した最小培地及びホモセリンが添加されない最小培地に接種(tooth picking)してホモセリンが添加されない最小培地で成長できないホモセリン要求性菌株(2次変異株)を分離した。これから再びホモセリン漏出型菌株を分離しようとして3次人工変異を誘導した後、ホモセリン10mg/Lが含有された最小培地で成長する菌株を分離してリシン生産能を確認した(表4)。最終に、AEC耐性及びホモセリン漏出型特徴を有するリシン生産株を獲得し、これを社団法人韓国種菌協会に寄託し、寄託番号第KFCC−10881号を受けた。
KFCC−10881のリシン生産能
Figure 0005618164
最小培地(pH7.0)
ブドウ糖10g、(NHSO5g、尿素2g、KHPO1g、KHPO2g、MgSO7HO0.4g、ビオチン200μg、チアミン塩酸塩3000μg、パントテン酸カルシウム1000μg、ニコチンアミド5000μg、NaCl0.5g(蒸溜水1リットル基準)
種培地(pH7.0)
ブドウ糖20g、ペプトン10g、酵母抽出物10g、尿素5g、KHPO4g、KHPO8g、MgSO7HO0.5g、ビオチン100μg、チアミンHCl1000μg(工程水1リットル基準)
生産培地(pH7.0)
ブドウ糖100g、(NHSO40g、大豆タンパク質(Soy Protein)2.5g、トウモロコシ浸漬固形分(Corn Steep Solids)5g、尿素3g、KHPO1g、MgSO7HO0.5g、ビオチン100μg、チアミン塩酸塩1000μg、CaCO30g(蒸溜水1リットル基準)
実施例8.リシン生産菌株コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC−10881由来gapA遺伝子クローニング及び組換えベクター(pDZ−gapA)製作、gapA破壊菌株開発
本実施例では、実施例7で製作されたリシン生産菌株コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC10881の染色体DNAを鋳型にしたPCRを介して、リシン生合成経路のgapA遺伝子を確保した。アメリカ国立保健院の遺伝子銀行(NIH GenBank)を基にしてgapA遺伝子の塩基配列情報(NCBI登録番号NC_003450、NCgl1526)を確保し、これに基づいて2対のプライマー(表5、配列番号7〜10)を合成した。
コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)KFCC10881の染色体DNAを鋳型にし、前記配列番号7〜10のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行った。重合酵素は、PfuUltraTM高信頼DNAポリメラーゼ(Stratagene)を使用し、PCR条件は、変性96℃、30秒;アニーリング53℃、30秒;及び重合反応72℃、30秒を30回繰り返した。その結果、600bpのgapA遺伝子断片2対(gapA−A、gapA−B)を得た。gapA−Aは、配列番号5と6をプライマーとして使用して増幅されたものであり、gapA−Bは、配列番号7と8をプライマーとして使用して増幅されたものである。前記増幅産物をTOPO Cloning Kit(Invitrogen)を用いて大膓菌ベクターpCR2.1にクローニングしてpCR−gapA−AとpCR−gapA−Bベクターを得た。
プライマー
Figure 0005618164
前記pCRベクターにgapA−AとgapA−Bとの各末端に含まれた制限酵素(gapA−A:SalI、XbaI、gapA−B:XbaI)を処理して、前記pCRベクターからそれぞれのgapA遺伝子を分離した。次に、制限酵素SalIとXbaIとが処理されたpDZベクター(参照:大韓民国特許公開番号10−2008−0025355に公知される)に3片接合(3−piece ligation)を介してクローニングし、最終に、gapA断片2つの片が連続的にクローニングされたpDZ−gapA組換えベクターを製作した。図2は、コリネバクテリウム染色体挿入用ベクターpDZ−gapAを示す図面である。
製作されたpDZ−gapAベクターを実施例5で製作されたリシン生産菌株コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC−10881に形質転換し、2次交差過程を経って染色体上でgapA遺伝子にgapA遺伝子中間部位300塩基対除去されたベクターを挿入してgapA遺伝子が不活性化されたリシン生産株コリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0096(受託番号KCCM11012P)を得た。破壊されたgapA遺伝子は、野生型gapAより300塩基対が減ったことを配列番号7と10のプライマーを用いたPCRを介して最終確認した。
実施例9.CA01−0096からgapN遺伝子発現誘導
実施例2、4、6で得たpECCG122−Pcj7−gapN1〜3ベクターをCA01−0096に導入した。gapA遺伝子が破壊されると、一般的なコリネバクテリウム・グルタミクムが育つ培地である最小培地では成長できない特徴があることと知られている(参照論文; Hideaki Yukawaら J Mol Microbiol Biotechnol 2004; 8:91−103 )
pECCG122−Pcj7−gapN1〜3ベクターをCA01−0096内へ電気パルス法を用いて形質転換した菌株(菌株番号CA01−0565、CA01−0566、CA01−0567)を製作してgapNが発現されると、最小培地で育つことができる特性を用いてコリネバクテリウム・グルタミクムからgapNの発現を誘導した。前記CA01−0565、CA01−0566、CA01−0567は、それぞれ2009年7月2日にKCCM(Korean Culture Center of Microorganisms, 大韓民国ソウル市西大門区弘済1洞ユリムビル361−221)に受託番号KCCM−11013P、KCCM−11014P及びKCCM−11015Pで寄託した。
実施例10.リシン生産菌株でgapN活性確認
炭素源を、ブドウ糖を用いて製作した最小培地で成長可否を測定した結果、gapAが破壊された菌株は成長しなかったし、gapNが発現された菌株では成長が回復した。
成長可否
Figure 0005618164
実施例11.リシン生産菌株でgapN活性確認
gapN発現ベクターから細胞内へgapNが発現されて活性があるかどうかをgapN発現量を測定して確認した。gapAが破壊された菌株の中にpECCG122−Pcj7−gapN1、2、3ベクターを導入した菌株CA01−0565、CA01−0566、CA01−0567とgapAが破壊された菌株CA01−0096、gapAが存在する菌株KFCC−10881をそれぞれ種培地で一日ほど培養した後、O.D600=0.2で同一に希釈してO.D600=10から25ml細胞を回収した。A.Soukriら Protein Expression and Purification;25; (2002) 519−529に記載されている方法を用いてgapNの活性を測定した結果、gapN1が1unit、gapN2が0.64unit、gapN3が0.09unitの活性を有していた(表7)。
ASSAY結果
Figure 0005618164
単位;nmol/mg.min=unit
実施例12.gapN遺伝子発現菌株のリシン生産能
菌株CA01−0565、CA01−0566、CA01−0567をL−リシン生産能確認のために下記のような方法で培養した。種培地25mlを含有する250mlコーナーバッフルフラスコにコリネバクテリウム・グルタミクムKFCC−10881、CA01−0096、CA01−0565、CA01−0566、CA01−0567を接種し、35℃で20時間振盪培養(220rpm)した。生産培地25mlを含有する250mlコーナーバッフルフラスコに1mlの種培養液を接種し、35℃で96時間振盪培養(220rpm)する。培養終了後、HPLCによってL−リシンの生産量を測定する。コリネバクテリウム・グルタミクムKFCC−10881、CA01−0096、CA01−0565、CA01−0566、CA01−0567に対する培養物中のL−リシンは、下記表8の通りである。その結果、gapAが破壊された菌株では、リシン生産が全然出来なかったし、gapAが破壊された菌株に導入したgapNによってリシンが生産され、その生産量も母菌株であるKFCC−10881に比べて16〜17%上昇した結果を示した(表8)。
フラスコ培養結果
Figure 0005618164
国際様式
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国際寄託機関によって規則7.1に基づいて発行された原寄託に対する受託証
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大韓民国 ソウル チュン−グ ナムデムンロ 5−ガ 500 CJビル
Figure 0005618164
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前記翻訳は原文の内容と相違ないことを証明する。
2010年05月28日
弁理士 孫敏
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前記翻訳は原文の内容と相違ないことを証明する。
2010年05月28日
弁理士 孫敏

Claims (6)

  1. L−リシン生産能力を有するコリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株であって、内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(gapA)が不活性化され、外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(gapN)が導入されることによって、親株と比較して向上したL−リシン生産能力を有し、前記外来NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans:ATCC25175)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactie:ATCCBAA−611)、またはバチルス・セレウス(Bacillus cereus:ATCC14579)由来であることを特徴とする、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)菌株。
  2. 前記ストレプトコッカス・ミュータンス由来遺伝子、ストレプトコッカス・アガラクチア由来遺伝子及びバチルス・セレウス由来遺伝子は、それぞれ配列番号11、12、及び13のヌクレオチド配列を有するものである請求項に記載のコリネバクテリウム属菌株。
  3. 前記内在的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、配列番号14のヌクレオチド配列である請求項に記載のコリネバクテリウム属菌株。
  4. 前記コリネバクテリウム属菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0565(受託番号KCCM11013P)、コリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0566(受託番号KCCM11014P)、またはコリネバクテリウム・グルタミクムCA01−0567(受託番号KCCM11015P)である請求項1に記載のコリネバクテリウム属菌株。
  5. 前記L−リシン生産能は、NADP依存的グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの活性化によって増加された還元力で得られることを特徴にする請求項1に記載のコリネバクテリウム属菌株。
  6. 請求項1〜5のうち、いずれか一項によるコリネバクテリウム属菌株を培養する段階;及び前記培養された細胞または細胞培養物からリシンを回収する段階を含む、L−リシンを生産する方法。
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