JP5617917B2 - チョコレート様食品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

関連出願
この出願は、平成22年3月31日に日本国特許庁に出願された出願番号2010−81287号の優先権の利益を主張する。優先権基礎出願はその全体について、出典明示により本明細書の一部とする。
本発明は、チョコレート様食品、その製造方法、およびその輸送・保管方法に関する。より詳しくは、チョコレート様食品、特に乳類を含有するチョコレート様食品の結晶乳糖の割合を高め、融解状態で輸送および保管できるようにしたチョコレート様食品、その製造方法、およびその輸送・保管方法に関する。
チョコレートに代表されるチョコレート様食品は、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、植物油脂、乳類(全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダーなど)、糖類(砂糖、乳糖、麦芽糖、果糖など)を主原料として製造される。一般的なチョコレート様食品では含まれるココアバターや植物油脂の影響から常温では固体〜半固体状態を呈する。
原料チョコレート類製造業者で製造されたチョコレート様食品は、パン製造業者や菓子類製造業者等へ納入され、これらの工場において加温融解された上、パン等にコーティングしたり、型に流し込んで成型したりして最終商品へと仕上げられる場合が多い。
このため、原料チョコレート類製造業者と、パン製造業者や菓子類製造業者との間の取引においては、チョコレート様食品は使用の際に融解して使いやすいように碁石状の形状に成型した上で箱詰めされたり、湯煎で融解できるように缶詰めされたりして、10〜20kg程度の包装単位にて納入される場合が多い。
チョコレート様食品を利用した食品、即ちチョコレート様食品でコーティングしたビスケットや、チョコレート様食品でコーティングしたアイスクリームバー、或いはチョコレート様食品でコーティングしたパンのような製品を大規模に製造するに当たっては、大量のチョコレート様食品が必要となる。このため、大口のパン製造業者や菓子類製造業者では、大掛かりな融解装置が必要であったり、作業負担が大きかったり、大量の廃容器が出るといったことが問題となる場合がある。
この問題を解決する方法として、1〜10t程度のチョコレート様食品をタンクローリー車や1tボックス等につめて融解状態で一度に輸送し、タンク等にそのまま受け入れ、貯蔵および使用する方法がある。このような方法には、原料チョコレート類製造業者ではチョコレート様食品の成型、充填、包装の手間が大幅に省略でき、且つ、大口のパン製造業者や菓子類製造業者においても融解の煩雑さがなくなる、廃容器がほとんどなくなるといった利点がある。
このような輸送、保存方法は、スイートチョコレート様食品のような乳類を含有しない或いは数%しか含有しないチョコレート様食品では好適な場合もある。しかし、ミルクチョコレート様食品やホワイトチョコレート様食品のような、乳類を多く含有するチョコレート様食品は一般的に品質変化が早い場合があり、融解状態での輸送、保管には向いていない場合もある。この場合、1〜2日以内という非常に短い期間で大量のチョコレート様食品を使い切ることのできる、極めて限られた条件でのみ融解状態での輸送、保存が可能であり、そうでない場合は箱や缶などの容器に詰めて固体状態で流通されている場合が多い。
これまでに、チョコレート様食品、特に乳類を多く含有するチョコレート様食品の融解状態での長時間の輸送、保管を可能にする技術は確立されていない。
特許文献1には、本発明に関連する技術として、全粉乳に加水して加熱しながらせん断力をかけたものをチョコレート様食品に使用する方法が記載されている。このような処理をした全粉乳では、全粉乳中に含まれる非結晶の乳糖が結晶化し、乳糖や乳タンパクに固定化された乳脂肪が遊離することが記載されている。そして、これをチョコレートの原料として用いると、遊離した乳脂肪がチョコレートを美味しくすることが記載されている。しかし、その処理には特殊で高価な装置が必要となり、操作は煩雑である。また特許文献1には、このような処理が、チョコレート様食品を融解状態で輸送・保管した場合に与える影響についての開示はない。
米国特許第6548099号
本発明の目的は、融解状態で輸送・保管しても、品質が安定しているチョコレート様食品を提供することである。
本発明者は、通常は固体状態で流通するチョコレート様食品を融解状態で保管、流通した場合の問題点の検討を行った。その結果、乳類、特に粉乳類を一定量以上含む製品において、融解状態で保管、流通させた場合、経時的に粘度の変化、特に粘度の上昇が見られることが明らかとなった。
チョコレート様食品を利用した製品を製造する際には、上記融解したチョコレート様食品を、機械的に秤量し、型に流し込む等の操作を行うが、この際、粘度が経時的に変化すると、泡がみによって外観を損ねたり、正確な量を秤量することが困難となる場合がある。
また、冷菓、パン、菓子類へのチョコレートの被覆を行なう際には、上記融解したチョコレート様食品を手付け、ないしはエンローバー等の被覆装置により加工を行なうが、この際、粘度が経時的に変化すると被覆の量、外観、歩留まりに影響して均一な品質を保つ事が困難となる場合がある。また、チョコレート様食品を融解状態で容器内に保管すると、増粘を起こす事があり、例えばタンク内に充填されたチョコレート様食品が抜出し困難となる場合もある。よって、経時的な粘度の変化を抑えることが重要であるとの認識を持った。
このような粘度の経時的な変化を抑制する方法を、本発明者は鋭意検討した。その結果、当該チョコレート様食品に含まれる乳糖において、非結晶乳糖の割合が多い場合に、経時的な粘度の変化が顕著であることを見出した。すなわち、チョコレート様食品の非結晶乳糖の割合が低ければ、融解状態での輸送、保管に耐えることを見出した。
さらに、簡易な方法で、このようなチョコレート様食品を製造することができないか検討を行った。その結果、チョコレート様食品の製造工程において、微粒化工程が終了するまでに一定量の水分を含有させた上で一定の加熱を行うことで、チョコレート様食品に含まれる乳糖の一部を結晶乳糖とすることができ、乳類を多く含むチョコレート様食品においても、融解状態で輸送、保管できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1)無脂乳固形分を7〜23重量%含有し、かつ、含有する乳糖中の非結晶乳糖の割合が85重量%以下である、融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品、
(2)無脂乳固形分を7〜23重量%含有し、かつ、含有する乳糖中の非結晶乳糖の割合が85重量%以下であるチョコレート様食品を調製し、該チョコレート様食品を融解状態で輸送・保管することを特徴とする融解状態のチョコレート様食品の経時的粘度変化を抑制する方法、
(3)最終チョコレート様食品に対する水分が0.9〜2.7重量%となるように原料配合を調整し、その後55〜90℃で1時間以上6時間未満の加熱処理を微粒化工程が終了するまでに行うことを特徴とする、(1)に記載の、融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
(4)最終チョコレート様食品が、乳類を乾燥重量で9〜50重量%含有する、(3)記載の、融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
(5)最終チョコレート様食品が、カカオ脂以外の植物油脂を10〜75重量%含有する、(4)に記載の、融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
(6)融解状態での72時間以上の輸送・保管用である、(5)に記載の、融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
(7)全乳糖に対する非結晶乳糖の割合が85重量%以下である粉乳類を調製し、該粉乳類を原料として使用することを特徴とする、(1)記載の融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
(8)粉乳類に水を加えて55〜90℃で加熱、混合し得られた、全乳糖に対する非結晶乳糖の割合が85重量%以下である粉乳類を用いる、(7)記載の融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
(9)糖として別途添加される乳糖が、チョコレート様食品中5重量%未満である、(1)、(3)〜(8)いずれかに記載の、融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法、
に関するものである。
本発明により、融解状態で輸送および保管しても品質変化の極めて少ない、特に粘度の変化が抑制されたチョコレート様食品を得ることができる。
X線回折法による、乳糖のβ型結晶の検量線である。 X線回折法による、乳糖のα−1水和物型結晶の検量線である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明でいうチョコレート様食品とは、一例を挙げると、チョコレート類が該当する。また、ここで言うチョコレート類とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、チョコレート利用食品だけでなく、油脂類を必須成分とし、必要により糖類、粉乳類、カカオ原料(カカオマス、ココア、ココアバター)、果汁粉末、果実粉末、呈味材、乳化剤、香料、着色料等の副原料を任意の割合で配合したものを言う。なお、チョコレート類の風味は、カカオ原料、粉乳類、糖類が主成分であるスイートチョコレート類、ミルクチョコレート類、ホワイトチョコレート類に限らず、コーヒー風味、キャラメル風味、抹茶風味、果実風味、野菜風味、塩味系風味などの風味バラエティー品も、当然その範囲に入る。
本発明でいう融解状態とは、チョコレート様食品に流動性があり、液状を呈している状態のことであり、通常は35〜65℃、より好ましくは40〜55℃での状態である。
本発明でいう乳類は、原材料として使用することのできる、乳に由来する各種の製品を含む。具体的には、全脂粉乳、脱脂粉乳、ハイファット全粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインなどが挙げられる。また、水分量から使用量を限定される場合もあるが、無糖練乳や加糖練乳、クリーム類も使用することが出来る。本発明でいう粉乳類とは、これら乳類のうち、粉末状であるものをいう。
本発明で使用される乳類は、水分が好ましくは0〜7重量%、更に好ましくは0〜6重量%であり、脂肪分が好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜35重量%であり、糖質が好ましくは20〜99重量%、より好ましくは25〜97重量%、更に好ましくは30〜95重量%であり、タンパク質が好ましくは0〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%であることが好ましい。
本発明の効果をより発揮するために、最終チョコレート様食品が、乳類を乾燥重量として合計9重量%以上含有することが好ましい。乳類の含有量の総和が9重量%を下回る場合には、融解状態で輸送および保管しても品質変化が短期間の内に起こらない場合もあるが、もちろん本発明の融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品としても構わない。また、より乳感豊かで美味しいミルクチョコレート類あるいはホワイトチョコレート類とする為には、より多くの乳類を含有させる方が良く、乳類を乾燥重量として合計12〜50重量%、より好ましくは14〜50重量%、更に好ましくは16〜50重量%、最も好ましくは20〜50重量%含有させることが好ましい。
本発明でいう無脂乳固形分とは、乳に含まれる、水と乳脂以外の成分をいう。本発明においては、カゼインナトリウムやホエイパウダー、ホエー蛋白も、その水と乳脂以外の成分は無脂乳固形分に該当する。なお、「糖として別途添加される乳糖」は乳に由来するものではあるが、当業者はこのような乳糖を無脂乳固形分ではなく糖とみなすので、本発明においても、無脂乳固形分とはみなさない。
本発明のチョコレート様食品は、無脂乳固形分を7〜23重量%、より好ましくは8〜21重量%、さらに好ましくは8.5〜15重量%含有する。チョコレート様食品の無脂乳固形分の含量が少なすぎると、乳風味が感じにくくなる場合がある。また、無脂乳固形分の量が多すぎると、チョコレート様食品の物性に影響が出る場合がある。
本発明における非結晶乳糖とは、結晶になっていない乳糖をいい、アモルファス状態であると考えられる。通常、スプレードライヤーなどで噴霧乾燥され生産された粉乳に含まれる乳糖はほぼ非結晶乳糖である。
非結晶乳糖は結晶乳糖に比べ、質量あたりの表面積が大きく、その表面に低融点の油脂などを保持することで、チョコレート様食品全体としての粘度を増加させる要因の一つになっていると想定される。よって、本発明のチョコレート様食品における非結晶乳糖の含有量は、粉乳類由来の乳糖中の85重量%以下、好ましくは84重量%以下、さらに好ましくは83重量%以下である。非結晶乳糖の量が多すぎると、粘度変化抑制効果が低下する場合がある。
非結晶乳糖の量は、チョコレート様食品に含まれる全乳糖量から、結晶乳糖の量を引いて求めることが出来る。チョコレート様食品に含まれる全乳糖量は、配合から求めることも出来るし、HPLCや酵素法等により実測することも出来る。具体的には、酵素法による測定が、共存物からの影響を最小限に抑えられ、好適である。
結晶乳糖の量は、例えば、X線回折法による測定により求めることが出来る。また、示差走査熱量計(DSC)のヒートフローのパターンにより非結晶乳糖を直接求める事も出来る。DSCによる場合はモジュレイテッドDSCなどの転移と油脂融解のヒートフローシグナルを分離して測定できる方法が有益である。
具体的にX線回折による方法では、そのまま、あるいは溶剤脱脂した粉体をサンプルセルにセットし、下記の装置、および測定条件にて測定を行う。β型結晶であれば、2θが10.5°近傍に特徴的な回折ピークが確認できる。また、α−1水和物型結晶であれば、2θが19.9°、19.0°近傍に特徴的な回折ピークが確認できる。これらの回折ピークのピーク面積を装置に付属の解析ソフト等で求め、以下に示す条件で作成した、図1、2に示す検量線から定量化を行なった。
X線回折装置:Miniflex II((株)リガク製)
管球:銅管球
走査速度:1°/1分
走査角度:2θ=7°〜30°
α−1水和物乳糖(キシダ製)、β乳糖(シグマ製)
本発明における「糖として別途添加される乳糖」とは、チョコレート様食品の原料の一つとして添加される乳糖であり、全脂粉乳等の乳類に由来する乳糖とは異なるものである。本発明においては、この量は5重量%未満が好ましく、より好ましくは4重量%未満であり、更に好ましくは3重量%未満である。なお、原料として市販される乳糖は、そのほとんどが結晶乳糖である。
本発明においては、チョコレート様食品に含まれる乳糖に対する非結晶乳糖の割合を下げることで、発明の効果を発現させることができる。特に、無脂乳固形分に由来する乳糖における、非結晶乳糖の割合を下げることで、顕著に効果が現れる。
本発明のチョコレート様食品が、融解状態での輸送・保管用としての機能を発揮するための指標として、X線回折法等による非結晶乳糖割合の測定値を用いることができる。ただし、「糖として別途添加される乳糖」の量が多いと、この指標では十分に判別し得ない場合がある。よって、調製したチョコレート様食品が、融解状態での輸送・保管用としての機能を発揮することを製造段階で知るために、「糖として別途添加される乳糖」は、その影響が少ない、5重量%未満とすることが好ましい。
本発明のチョコレート様食品に使用できるカカオ脂以外の植物油脂には、従来のチョコレート様食品に用いられているいずれの植物由来の油脂も含まれる。カカオ脂以外の植物油脂の例として、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂を挙げることができ、上記油脂類の単独又は混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂類を挙げることができる。
融解状態で輸送および保管した際に起こる品質変化を効果的に抑制するためには、最終チョコレート様食品がカカオ脂以外の植物油脂を10〜75重量%、より好ましくは13〜70重量%、更に好ましくは16〜65重量%、最も好ましくは20〜60重量%含有することが好ましい。
カカオ脂以外の植物油脂を75重量%より多く含有するようなチョコレート様食品は、脂肪分が高いため、脂肪分以外の固形物粒子がまばらに油中に分散する状態となる。このため、品質変化の原因となる固形分粒子同士の接触、反応が少なく、品質変化が起こりにくいため本発明を使用する必要がない場合もある。カカオ脂以外の植物油脂の含量が10重量%を下回るようなチョコレート様食品は、植物油脂がカカオ脂のみから構成される所謂ピュアチョコレートと同様の極めて繊細な風味精度が求められる。このため、わずかながらではあるが徐々に風味が変化し続ける融解状態での輸送および保管に適していない場合もある。また、脂肪分の低いチョコレート様食品では、粉末状の乳類や糖類、カカオ固形分などの固体粒子が密に油中に存在する状態となる。このため、品質変化の原因となる固体粒子同士の接触、反応が多く、品質変化が起こりやすいため本発明を使用しても十分な効果が得にくくなる場合もある。一例を挙げるとチョコレート様食品中の脂肪分が33%以下、粘度が120p(東機産業株式会社製BM型粘度計、4号ローター、12rpm、45℃)以上となるようなチョコレート様食品で徐々にこのような傾向が現れてくる場合がある。もちろん、これらのチョコレート様食品を本発明の融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品としても構わない。
本発明のチョコレート様食品には上記原料のほかにも、従来のチョコレート様食品で用いられている乳化剤や着色料、保存料、酸化防止剤といった添加物等を本発明の効果を妨げない限度において、任意に配合できる。
本発明は融解状態での輸送・保管用チョコレート様食品の製造方法にも関する。本発明の製造方法の第一の態様は、原料として、乳糖の一部を結晶化させた乳類を原料として使用する方法である。
現在最も頻度高く使用され、風味も良好な全脂粉乳や脱脂粉乳はスプレードライヤーにより生産される場合が多く、それらに含まれる乳糖は、原則非結晶乳糖である。これらの全脂粉乳や脱脂粉乳に水を加えて55〜90℃で加熱、混合した後粉砕することにより、含まれる乳糖を結晶化させることができる。このような方法により、非結晶乳糖の割合が低下した粉乳類を得ることができる。上記の方法で得られる粉乳類は、非結晶乳糖の含有量が85重量%以下、好ましくは84重量%以下、より好ましくは83重量%以下である。
本発明のチョコレート様食品は、上記の方法で得られた粉乳類を原料として、自体公知の方法で製造することができる。例えば、原料をミキサーで混合し、ロールリファイナーによる微粒化を行いコンチェによって仕上げること等で製造することができる。
本発明の製造方法の第二の態様は、チョコレート様食品の製造工程において、一定量の水分をチョコレート様食品原料の混合物に含有させた上で一定の加熱を微粒化工程が終了するまでに行う方法である。この態様によれば、市販の全脂粉乳や脱脂粉乳をそのまま利用できる。
本発明でいう微粒化工程とは、チョコレート様食品の原料であるカカオマスやココアパウダー、糖類、粉乳類といった脂肪分以外の固形分の粗粒子を、マイクロメーターによって測定した時の粒子径が10〜35μmになるまで微細化する工程のことである。具体的には、ロールリファイナーやアトライター、マッキンタイヤなどの微粒化装置を用いて行われる工程のことである。
この態様において、微粒化工程終了時点でのチョコレート様食品原料の混合物の水分含量を調整する方法は特に限定されないが、水分を含む原材料、特に15.0%以上の水分を含む素材を原材料として使用するのが簡便で好ましい。このような原材料としては、水、天然のクリーム類、牛乳や脱脂濃縮乳などの乳類、動植物性油脂などを使用したクリーム類、バター、マーガリン類、ブドウ糖液糖あるいは還元水飴等の液糖類、蜂蜜、酒類、果汁類、コーヒー、茶およびこれらの混合物などの含水食品が挙げられるが、水により調整することが最も簡便で好ましい。水分を含む原材料を使用して、微粒化工程終了時点での水分を最終チョコレート様食品の全重量に対して0.9〜2.7重量%となるように調整した上で適正な加熱処理を行うことで、融解状態で輸送および保管した時の品質変化が少ない、乳類を含有するチョコレート様食品を得ることができる。
微粒化工程終了時点での水分は、最終チョコレート様食品全量に対し、0.9〜2.7重量%であり、好ましくは1〜2.5重量%、例えば1.1〜2.5重量%などであり、より好ましくは1.1〜2.3重量%、例えば1.1〜1.7重量%、1.3〜2.3重量%などであり、さらに好ましくは1.2〜2.1重量%、例えば1.2〜1.6重量%、1.3〜1.5重量%、1.6〜2.0重量%、1.7〜1.9重量%などである。水分が少なすぎる場合には、融解状態で輸送および保管した時の品質変化が大きくなる場合がある。また、水分が多すぎる場合には、ボテと呼ばれるチョコレート様食品の物性不良、ダマと呼ばれる固形分の凝集による組織不良、適正な粘度範囲からの逸脱が起こることがある。
この態様におけるチョコレート様食品の加熱処理は、上記の水分含量に調整した上で微粒化工程終了までにチョコレート様食品原料の混合物の温度で55℃〜90℃、且つ、1時間以上6時間未満の熱履歴を加える必要がある。適正な加熱処理を行うことで、乳類を多く含有するチョコレート様食品であって、経時的な粘度の変化を一定の範囲に抑えた中で、融解状態で輸送および保管できるものが得られる。すなわち、上記工程により、チョコレート様食品の原料に含まれる非結晶性乳糖の一部が結晶化していると想定される。
この態様における、チョコレート様食品原料の混合物に対する加熱温度は、55〜90℃であり、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜80℃、更に好ましくは60〜75℃、最も好ましくは65〜70℃である。加熱時間は1時間以上6時間未満であり、好ましくは1〜5.5時間、例えば1.5〜5.5時間、2〜5.5時間、2〜4時間、3〜5.5時間、3〜5時間、4〜5時間などであり、より好ましくは2〜5時間であり、更に好ましくは3〜4時間である。
加熱温度が低すぎる場合や加熱時間が短すぎる場合には、チョコレート様食品を融解状態で輸送および保管した時の品質変化が大きくなる場合がある。また、加熱温度が高すぎる場合や加熱時間が長すぎる場合には、溶融状態で輸送および保管した時の品質変化は抑えられるが、キャラメル様の風味が出てきたりコゲが発生したりする場合がある。
この態様におけるチョコレート様食品の製造方法では、微粒化工程が終了するまでに規定の加熱処理を行えれば、どのような製法でも良い。例えば、原料をミキサーにて混合しながら生地を加熱処理した後に、ロールリファイナーによる微粒化を行いコンチェによって仕上げる製法や、アトライターにより混合と微粒化を行いながらその微粒化処理時間の間に加熱処理を同時に行い、続いてミキサーによって仕上げる製法などが挙げられる。アトライターを使用する製法は、やや高めの温度管理と一定の微粒化処理時間の確保を行う以外は通常と同様の製法で実施可能であり、非常に簡便で実施が容易い。
なお、微粒化工程終了後の加熱処理や水分の添加は、融解状態で輸送および保管した時の品質変化を抑えることができない上、ダマと呼ばれる固形分の凝集によるチョコレートの組織不良が起こりやすく、商品価値を大きく損なう結果となる場合が多い。
本発明はまた、本発明のチョコレート様食品の融解状態での輸送・保管用の使用に関する。具体的には、本発明のチョコレート様食品を、融解状態での輸送・保管用に使用することである。「融解状態での輸送・保管用」のチョコレート様食品とは、溶解状態で保管しても、粘度の変化が抑制され、風味も含め、使用可能である状態を維持するチョコレート様食品を意味する。従って、本発明は、チョコレート様食品の融解状態での輸送・保管時の粘度の変化の抑制方法にも関する。具体的には、本発明のチョコレート様食品を調製し、該チョコレート様食品を、融解状態で輸送・保管することで、融解状態を維持しながら粘度の変化を抑制する方法である。
本発明によれば、72時間以上の融解状態での輸送・保管が可能となる。経時的な粘度の変化は、同じ温度で測定した場合に、調製時点(0日目)の値に対して、7日目、および14日目の段階で、好ましくは21日目の段階でも±30%の範囲におさまることが望ましく、より望ましくは±20%の範囲内である。経時的な粘度の変化が大きいと、使用の際の定量性に影響が出る場合がある。
本発明においては、50℃溶解状態で9日間(216時間)以上保管した後の粘度を測定することにより、それ以降の粘度変化の傾向を予測できる。すなわち、50℃溶解状態での保存9日目(216時間)以降の段階での粘度が、調製時点(0日目)の値に対して、±30%の範囲に収まれば、調製時点から1000時間、少なくとも500時間までの溶解状態での輸送・保管が可能であるとみなすことができる。
以下に実施例を記載する。なお、例中、%および部は、特に明記されていない限り、いずれも重量基準を意味する。非結晶乳糖の割合はX線回折法で測定した。
実施例1〜3および比較例1〜3
無脂乳固形分配合量と、融解状態での保管における増粘の試験
まず、全脂粉乳の結晶化処理を行なった。60℃に温調したニーダーに全脂粉乳1kgを投入し、水を50g添加した。そのまま2時間加熱、混合を行ってミキサーで粉砕し、乳糖の一部が結晶化された全脂粉乳を得た。このときの全乳糖に対する非結晶乳糖の割合は83.4重量%であった。また、ここでの結晶は全てβ型であった。一方、結晶化処理を行わない全脂粉乳における、全乳糖に対する非結晶乳糖の割合は100重量%であった。なお、全脂粉乳中の全乳糖量は、「五訂増補食品成分表2007」(女子栄養大学出版部)の数値を使用した。
次に、上記の乳糖が一部結晶化された全脂粉乳を用い、表1の配合に従ってホワイトチョコレート様食品を試作した(実施例1〜3)。定法のとおり原料を混合、ロール粉砕し、コンチングを55℃で2時間行なった。その後、調製当日での粘度を測定した後、ローヤル缶に約600gを封入して、50℃のインキュベーターで保管した。また、未処理の全粉乳を用いて同様に試作した(比較例1〜3)。実施例1〜3、比較例1〜3のホワイトチョコレート様食品を、10日まで経時で粘度を測定して評価を行なった。粘度の測定は、下記の方法にて行なった。
粘度計:BM型粘度計(東機産業株式会社製)
ローター:3号または4号
ローター回転数:12rpm
測定温度:50℃
Figure 0005617917
(使用した全脂粉乳中の無脂乳固形分は70.8重量%であった。)
表1における実施例1〜3の乳糖中の非結晶乳糖の割合を、調製されたチョコレート様食品を被検物質として上記「X線回折法」により測定したところ、それぞれ79.9重量%、81.2重量%、80.5重量%であった。同様に、比較例1〜3においては、非結晶乳糖の割合は全て100重量%であった。
上記の通り、実施例1〜3で使用した全脂粉乳における全乳糖量に対する非結晶乳糖の割合は83.4重量%であったので、チョコレート様食品を被検物質としたX線回折法により、その非結晶乳糖の割合をほぼ正確に測定できることが明らかとなった。
実施例1〜3、比較例1〜3のチョコレート様食品を50℃にて保存した結果を表2に示す。
Figure 0005617917
未処理の全脂粉乳を用いた比較例1〜3では、3日以内に大きな増粘を示すのに対し、乳糖を一部結晶化した全脂粉乳を使用した実施例1〜3では、10日保存でもあまり増粘せず、更にはほぼ一定の粘度を保つ事ができた。従って、全脂粉乳を乳糖の結晶化処理をすることによって、未処理の場合よりも加熱/融解状態でおこる増粘を良好に抑制できた。
なお官能検査によって風味を評価したところ、9日目ないし10日目の時点で、全て良好であった。
実施例4
カカオマス(製品名:フジカカオマス100、不二製油株式会社製)11.5部、全脂粉乳(製品名:よつば全脂粉乳、よつば乳業株式会社製)16.0部、ホエイパウダー3.0部(製品名:製菓原粉I、雪印乳業株式会社製)、砂糖13.5部、パーム分別低融点油(融点10℃、製品名:パームエース10、不二製油株式会社製)4.0部、蒸留水0.5部、大豆レシチン(商品名:SLP−ペースト 辻製油株式会社 大豆由来)0.1部を、ミキサーを使用して撹拌混合しながら、オイルバスにて容器外周を加熱し、ふたをした状態で生地温度60℃にて3時間加熱処理を行った。続いて、この生地をロールリファイナーによって微粒化処理し、コンチェにてヤシ油(製品名:精製ヤシ油、不二製油株式会社製)20.0部、パーム分別低融点油31.0部、大豆レシチン0.4部と混合して、ミルクチョコレート様食品を調製した。
得られたミルクチョコレート様食品について、風味・色調・組織について評価した。更に、キャップ付き缶に詰めて40℃および50℃の恒温器内でそれぞれ保管し、0日後、3日後、7日後、14日後、21日後の粘度および風味について評価した。評価結果は表3のようになった。
比較例4
微粒化工程前の加熱処理時間を0.5時間と変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表3のようになった。
比較例5
微粒化工程前の加熱処理時間を6時間と変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表3のようになった。
比較例6
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合するパーム分別低融点油を4.5部に、蒸留水を0部に変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表3のようになった。
比較例7
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合する砂糖を11.5部に、蒸留水を2.5部に変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を作成し、同様の評価を行った。評価結果は表3のようになった。
Figure 0005617917
実施例4、比較例4、6において調製したチョコレート様食品における、非結晶乳糖の全乳糖に対する割合はそれぞれ82.9重量%、100重量%、100重量%であった。
調製したチョコレート様食品の評価方法
製造時および保存時の風味評価:以下の基準にもとづき試食評価を行った。
「5:風味極めて良好」
「4:僅かに異味あるが良好」
「3:異味あるが商品価値有」
「2:異味明らかで商品価値無し」
「1:耐えられない異味」
色調評価:以下の基準にもとづき目視にて評価を行った。
「○:色調極めて良好」
「△:違和感ある色調だが商品価値有」
「×:色調がおかしく商品価値無し」
組織評価:以下の基準にもとづき目視にて評価を行った。
「○:組織極めて良好」
「△:ややザラつきのある組織だが商品価値有」
「×:ザラつき激しく商品価値無し」
保存時の粘度評価:保存したチョコレート様食品を、BM型粘度計(東機産業株式会社製)30rpm、45℃にて、適宜最適なローターを選択して測定を行った。表中の単位はcP。
実施例5
加熱温度を80℃に変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を作成し、同様の評価を行った。評価結果は表4のようになった。
比較例8
加熱温度を95℃に変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を作成し、同様の評価を行った。評価結果は表4のようになった。
実施例6
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合するカカオマスを14.6部、全脂粉乳を22.2部、ホエイパウダーを0部、砂糖を44.2部、ココアバターを13部、パーム分別低融点油を0部とし、コンチェにて混合するココアバターを5部、精製ヤシ油を0部、パーム分別低融点油を0部に変えた以外は実施例4と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表4のようになった。
参考例2
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合する全脂粉乳を6部、砂糖を30部、パーム分別低融点油を7部、蒸留水を0部とし、コンチェにて混合する精製ヤシ油を19部、パーム分別低融点油を26部に変えた以外は比較例5と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表4のようになった。
Figure 0005617917
実施例4では、初期の風味、色調、組織に何ら問題なく、且つ保存時の粘度変化および風味変化が少なかった。したがって、融解状態での輸送、保管に十分な保存性があると言えるものであった。
実施例4に対し、微粒化工程前の加熱処理時間を0.5時間と変えた比較例4では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時に粘度の変化が激しく、商品価値を損なうものであった。
実施例4に対し、微粒化工程前の加熱処理時間を6時間と変えた比較例5では、キャラメル様の風味が発現しており、製造時の風味評価がやや劣る結果となった。また、融解状態(40℃および50℃)で保存した時の風味劣化が早く、商品価値のやや低いものであった。
水分を添加せず、原料中の水分含量が0.87%であった比較例6では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時に粘度の変化が激しく、商品価値を損なうものであった。
水分を2.5%添加し、原料中の水分含量を3.30%とした比較例7では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時の風味劣化がやや早く、且つ、チョコレート様食品の組織がザラザラしたものとなり、商品価値を損なうものであった。
加熱温度を80℃と変えた実施例5では、初期の風味は実施例4に比較してやや劣るものの、色調、組織に何ら問題なく、且つ保存時の粘度変化および風味変化が少なかった。したがって、融解状態での輸送、保管に十分な保存性があると言えるものであった。
加熱温度を95℃と変えた比較例8では、焦げが発生し、初期の風味、色調、組織が劣るものであった。
実施例4と同様の条件で得た、植物油脂分が少ない実施例6では、水分添加および加熱処理を行っているにも関わらず、日が経つ毎に粘度が上昇していく傾向があり、商品価値のやや低いものであった。
比較例4と同様の条件で得た、乳類の配合量の少ない参考例2では、水分量および加熱時間が不十分であるにも関わらず、溶融状態での輸送、保管に十分な保存性があった。
実施例7
全脂粉乳6.0部、脱脂粉乳(製品名:よつば脱脂粉乳、よつば乳業株式会社製)7.0部、砂糖30.0部、パーム分別低融点油16.5部、生クリーム1.5部(製品名:十勝フレッシュクリーム47、明治乳業株式会社製)、大豆レシチン0.1部を、ミキサーを使用して撹拌混合しながら、オイルバスにて容器外周を加熱し、ふたをして生地温度60℃にて3時間加熱処理を行った。続いて、この生地をロールリファイナーによって微粒化処理し、コンチェにてココアバター10.0部、大豆油(製品名:大豆白締油、不二製油株式会社製)10.0部、パーム分別低融点油18.5部、大豆レシチン0.4部と混合して、ホワイトチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表5のようになった。
比較例9
微粒化工程前の加熱処理時間を0.5時間と変えた以外は実施例4と同様にしてホワイトチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表5のようになった。
比較例10
微粒化工程前の加熱処理時間を6時間と変えた以外は実施例4と同様にしてホワイトチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表5のようになった。
比較例11
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合するパーム分別低融点油を18.0部、生クリームを0部に変えた以外は実施例4と同様にしてホワイトチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表5のようになった。
比較例12
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合する砂糖を28部、パーム分別低融点油を15.0部、生クリームを5部に変えた以外は実施例4と同様にしてホワイトチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表5のようになった。
Figure 0005617917
実施例7では、初期の風味色調組織に何ら問題なく、且つ保存時の粘度変化および風味変化が少なかった。したがって、融解状態での輸送、保管に十分な保存性があると言えるものであった。
実施例7に対し、微粒化工程前の加熱処理時間を0.5時間と変えた比較例9では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時に粘度の変化が激しく、商品価値を損なうものであった。
実施例7に対し、微粒化工程前の加熱処理時間を6時間と変えた比較例10では、色調がやや黄色味がかっておりやや不自然であった。また、キャラメル様の風味が発現しており、製造時の風味評価がやや劣る結果となった。融解状態(40℃および50℃)で保存した時の風味劣化も早く、融解状態での輸送、保管には十分な保存性とは呼べず、商品価値の低いものであった。
水分を添加せず、原料中の水分含量が0.60%であった比較例11では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時に粘度の変化が激しく、商品価値を損なうものであった。
生クリームを5.0%(水分で2.4%相当)添加し、原料中の水分含量を3.02%とした比較例12では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時の風味劣化がやや早く、且つ、チョコレート様食品の組織がザラザラしたものとなり、商品価値を損なうものであった。
実施例8
カカオマス7.5部、ココアパウダー(製品名:アステカココアパウダーN12、明治製菓株式会社製)2.5部、全脂粉乳12.0部、砂糖35.5部、乳糖8.0部、硬化パーム核油(融点38℃、製品名:ニューメラリン38、不二製油株式会社製)12.5部、無塩バター6.0部(製品名:全農バター(食塩不使用)、筑波乳業株式会社製)、大豆レシチン0.1部を、ミキサーを使用して撹拌混合しながら、オイルバスにて容器外周を加熱し、生地温度55℃にて4時間加熱処理を行った。続いて、この生地をロールリファイナーによって微粒化処理し、コンチェにて硬化パーム核油10.5部、パーム分別低融点油5.0部、大豆レシチン0.4部と混合して、ミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表6のようになった。
比較例13
微粒化工程前の加熱処理時間を0.5時間と変えた以外は実施例8と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表6のようになった。
比較例14
微粒化工程前の加熱処理時間を6時間と変えた以外は実施例8と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表6のようになった。
比較例15
ミキサーを使用して撹拌混合する際に配合する無塩バターを0部、パーム分別低融点油を6部に変えた以外は実施例8と同様にしてミルクチョコレート様食品を調製し、同様の評価を行った。評価結果は表6のようになった。
Figure 0005617917
実施例8では、初期の風味色調組織に何ら問題なく、且つ保存時の粘度変化および風味変化が少なかった。したがって、融解状態での輸送、保管に十分な保存性があると言えるものであった。
実施例8に対し、微粒化工程前の加熱処理時間を0.5時間と変えた比較例13では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時に粘度の変化が大きく、商品価値を損なうものであった。
実施例8に対し、微粒化工程前の加熱処理時間を6時間と変えた比較例14では、キャラメル様の風味が発現しており、製造時の風味評価がやや劣る結果となった。融解状態(40℃および50℃)で保存した時の風味劣化も早く、商品価値のやや低いものであった。
バターを添加せず、原料中の水分含量が0.83%であった比較例15では、融解状態(40℃および50℃)で保存した時に粘度の変化がやや大きく、商品価値のやや低いものであった。
本発明は、簡便な方法で、チョコレート様食品、特に乳類を多く含有するチョコレート様食品の融解状態での輸送、保管を可能とするものであり、製菓および食品等の分野で利用できる。

Claims (1)

  1. 最終チョコレート様食品に対する水分が0.9〜2.7重量%となるように原料配合を調整し、その後55〜90℃で1時間以上6時間未満の加熱処理を微粒化工程が終了するまでに行うことを特徴とする、無脂乳固形分を7〜23重量%含有し、かつ、含有する乳糖中の非結晶乳糖の割合が85重量%以下である、融解状態での輸送及び/又は保管用チョコレート様食品の製造方法。
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