JP2000279087A - 乾燥練乳粉末 - Google Patents
乾燥練乳粉末Info
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Abstract
充填密度が高い乾燥練乳粉末を提供する。 【解決手段】 結晶化乳糖を含有し、球状の粒子からな
る乾燥練乳粉末を得る。前記乾燥練乳粉末は、練乳に乳
糖を添加して乳糖を結晶化させた後、エアー圧で微粒化
して噴霧乾燥して得ることが好ましい。前記乾燥練乳粉
末は、加温した練乳を高圧ポンプで微粒化して噴霧乾燥
した後、結晶化乳糖を添加して得ることが好ましい。
Description
ート等の製菓や食品の原料として用いられる乾燥練乳粉
末に関する。
等の製菓や食品の原料として広く用いられる。従来よ
り、練乳は全脂加糖練乳が用いられてきたが、チョコレ
ート製造工程では水分を極力避ける必要があるため、乾
燥練乳粉末の開発が行われている。練乳の粉末化の方法
としては、高圧ポンプで微粒化する噴霧乾燥、凍結乾
燥、真空乾燥等が挙げられる。
ポンプで微粒化して噴霧乾燥を行なう場合、低温では練
乳の粘度が高く原料供給装置に供することが困難なた
め、高温にして低粘化させ、ノズルから噴出する液滴を
微粒化し、水分蒸発がスムーズに行われるようにする必
要がある。しかし、練乳中には蔗糖や乳糖等の糖分が含
まれているため、練乳を高温にすると、糖の溶融が起こ
り、噴霧乾燥時間が1時間以上になると噴霧乾燥中に乾
燥機内壁に粉が付着し、それが長時間内壁に滞留する
と、褐変現象が生じるなどの問題があった。さらに、得
られた練乳粉末は微粉であるため、溶解時に「ままこ」
になりやすい等の欠点があり、ユーザーが使用する上
で、溶解作業等のハンドリング面で問題があった。
高いという問題がある。さらに、真空乾燥は、その乾燥
工程において、原料中の水分が蒸発し膨化するため、得
られる乾燥粉末は、多孔質で鱗片状の粒子形状のものと
なる。したがって、得られる乾燥粉末は、軽いものとな
り、しかも、粉砕の程度によって粒子径の大きさが異な
ることから、粉末が溶解せずに粒子が浮遊するという問
題が生じる。
の従来技術の問題を解決し、噴霧乾燥機の内壁へ付着せ
ず、微粉を含んでいても、流動性、溶解性に優れた乾燥
練乳粉末を提供することを目的とする。さらに、充填適
性に優れ、充填密度が高く、輸送コスト、包材費等を低
減できるような乾燥練乳粉末を提供することを目的とす
る。
題を解決するために鋭意検討した結果、結晶化乳糖を含
有し、球状の粒子からなる乾燥練乳粉末が、上記の課題
を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。さら
に、本発明者らは、練乳に乳糖を添加して乳糖を結晶化
させた後、前記練乳をエアー圧で微粒化して噴霧乾燥す
ることにより、及び練乳を高圧ポンプで微粒化して噴霧
乾燥した後、結晶化乳糖を添加することにより、上記の
結晶化乳糖を含有し、球状の粒子からなる乾燥練乳粉末
を得ることができることを見出し、本発明を完成させ
た。
し、球状の粒子からなることを特徴とする乾燥練乳粉
末、練乳に乳糖を添加して乳糖を結晶化させた後、エア
ー圧で微粒化して噴霧乾燥することにより得られる前記
乾燥練乳粉末、及び練乳を高圧ポンプで微粒化して噴霧
乾燥した後、結晶化乳糖を添加することにより得られる
前記乾燥練乳粉末である。
本発明の乾燥練乳粉末は、結晶化乳糖を含有し、球状の
粒子からなることを特徴とするものである。本発明の乾
燥練乳粉末の電子写真顕微鏡写真(倍率75倍)は、図
2に示す通りであり、粒子が球状であることが明らかで
ある。従来の全脂練乳粉の乾燥練乳粉末の電子顕微鏡写
真は、図3((a)は倍率30倍、(b)は倍率180
倍)に示す通り、粒子が鱗片状をなしており、本発明の
乾燥練乳粉末とは、粒子の形状が全く異なる。また、本
発明の乾燥練乳粉末の偏光顕微鏡写真(倍率100倍)
は、図1に示す通りである。
球、楕円球、またはそれらに近い形状のものを言い、図
3に示すような従来の乾燥練乳粉末のような鱗片状のも
のとは明確に区別できるものである。本発明の乾燥練乳
粉末は、このように、粒子が球状であるため、緩密度や
密密度が高く、輸送コスト、包材費等を低減できるとい
う利点を有する。
1)〜2)の方法で製造することができる: 1)練乳に乳糖を添加して乳糖を結晶化させた後、エア
ー圧で微粒化して噴霧乾燥する方法。 2)練乳を高圧ポンプで微粒化して噴霧乾燥した後、結
晶化乳糖を添加する方法。
熱空気を乾燥室に送入し、同時に練乳を撒水型噴霧ノズ
ルや圧力ノズルで霧状に噴霧して蒸発面積を急激に増大
させ、ほとんど瞬間的に乾燥させて粉末とするものであ
る。本発明における噴霧乾燥は、加熱空気による熱風乾
燥とパルス燃焼による熱風乾燥の両方を含むものであ
る。尚、上記1)のエアー圧で微粒化して噴霧乾燥する
方法は、パルス燃焼乾燥する方法を含むものである。以
下、上記1)〜2)の方法を説明する。
化させた後、エアー圧で微粒化して、パルス燃焼乾燥す
る方法。本発明において、パルス燃焼とは、燃焼室内で
空気とLPG等の燃料からなる混合気を燃焼させ、その
膨張圧力で排気した後、圧力差によって、新たに混合気
を吸入し、再度燃焼させるというサイクルを繰り返す燃
焼方式である。エアー圧による微粒化は、孔径が3mm
程度の大きいノズルを使用し、結晶化乳糖が詰まること
がないようにし、さらに、エアー圧力を前記ノズルの横
側から吹き込むことができる形状のノズルを用いて、練
乳を微粒化して、上記のパルス燃焼により噴霧乾燥する
ものである。このエアーの吹き込みができるノズルを用
いて噴霧乾燥することにより、従来の真空乾燥あるいは
高圧ポンプによる圧力を用いて微粒化し噴霧乾燥した場
合には得られなかった、結晶化乳糖を含有する球状の粒
子からなる乾燥練乳粉末を得ることができる。また、噴
霧乾燥時の温度は、概ね160〜180℃とすることが
好ましい。
力で微粒化し噴霧乾燥しても、結晶化乳糖を含有する球
状の粒子からなる乾燥練乳粉末が得られないのは、練乳
を噴霧乾燥すると、60〜80℃の昇温により乳糖が溶
けてしまうからである。また、80℃以上に昇温する
と、メイラード反応により褐変化するので好ましくな
い。すなわち、練乳を60〜80℃に昇温しないで、高
圧ポンプによる噴霧乾燥をすると、高圧ポンプの圧力式
ノズルの構造が、オリフィスとコアから構成されている
ので、また高圧ポンプの圧力式ノズルの孔径は3mm以
下であるので、コアの溝を結晶化乳糖を含んだ練乳が通
る際に、溝の細い間隙を溶解した結晶化乳糖が塞ぎ、噴
霧できなくなるようになるからである。
前に、練乳に乳糖を添加して、結晶化しておくことが好
ましい。この結晶化の方法は、練乳に加水して、温度を
70℃程度に上昇させて、練乳に含まれる乳糖を溶解し
た後、温度を20〜25℃程度に下げ、練乳に対して3
〜5重量%の乳糖を添加してシーディングを行い、その
後練乳を5℃程度に冷却、保持して乳糖を結晶化させる
ことが好ましい。
化させた後、エアー圧で微粒化して噴霧乾燥する方法。
この場合は、上記1−a)の場合と同じ形状のノズル及
び装置を用いて、噴霧乾燥することにより、本発明の乾
燥練乳粉末を得る。噴霧乾燥時の温度は、概ね160〜
180℃とすることが好ましい。また、乳糖の結晶化
は、上記1−a)の場合と同じ方法により行なうことが
好ましい。
燥した後、結晶化乳糖を添加する方法。この方法におい
ては、練乳に乳糖を添加せずに、約60℃に加温して、
高圧ポンプを用いて、噴霧圧力約200kg/cm2の
条件で、噴霧乾燥することが好ましい。次いで、得られ
た乾燥練乳粉末に、市販の結晶化乳糖を添加することに
より、本発明の結晶化乳糖を含有し、球状の粒子からな
る乾燥練乳粉末を得ることができる。この方法によれ
ば、乳糖が昇温により溶けて、この溶けた結晶化乳糖が
コアの溝を塞ぎ、噴霧できなくなるようなこともない。
噴霧乾燥の温度は、概ね160〜180℃とすることが
好ましい。この方法により得られる乾燥練乳粉末の充填
適性は、上記の2)の方法により得られる乾燥練乳粉末
と同様に優れている。ただし、圧力ポンプで噴霧乾燥を
行い得られた乾燥練乳粉末より、平均粒子径は大きい。
これは、結晶化した乳糖粉末を添加、混合しているため
であり、みかけ上の平均粒子径は100μm〜200μ
mである。
明品、市販の真空乾燥に得られた真空乾燥品、及び高圧
ポンプによる圧力により得られた噴霧乾燥品の3つの乾
燥練乳粉末の物性を表1に示す。
度、平均粒子径の違いにより充填適性が明らかに異なっ
ており、本発明品は、真空乾燥品よりも充填密度が高
く、平均粒子径も小さい。従って、同体積内に充填可能
な重量は、本発明品の方が明らかに高く、輸送コストの
低減や包材費の削減などのメリットも大きい。また、高
圧ポンプにより圧力を用いた噴霧乾燥品は充填適性は高
いものの、平均粒子径が小さく、微粉を多く含み、ユー
ザーが使用する際に、粉立ちなどのハンドリングの面で
欠点がある。
詳しく説明する。なお、実施例、比較例、試験例におい
て、%は全て、重量%を意味するものとする。 (実施例1)市販の練乳25kgに対して、10〜20
%の水を加え、70℃まで加温して練乳中の乳糖を溶解
させ、次いで、温度を20〜25℃まで下げ、練乳に対
して3〜5%(0.75〜1.25kg)の乳糖を添加し
てシーディングした。この練乳溶液を5℃で一昼夜、攪
拌保持し、練乳中の乳糖を結晶化させた。この乳糖結晶
化練乳を、定量ポンプを用いて流量3.8〜5.4L/時
で噴霧ノズルへ送液した。ノズル孔径3mmのノズル
(ニイクラ社製:狭角60°フラット撒水型1/4EX
675M)を使用し、その横側からエアー圧力5.8k
g/cm2の吹き込みが可能な形状を有するノズルを使
用し、練乳を微粒化させて、パルス燃焼により噴霧乾燥
を行った。パルス燃焼の条件は、燃焼用の空気量を64
〜80m3/時(20℃)、LPG量を1.6〜2.4
m3/時とし、ノズルが位置する熱風の温度を180℃
として、パルス燃焼させて、乾燥練乳粉末を得た。得ら
れた乾燥練乳粉末を偏光顕微鏡で観察したところ、図1
に示すように、結晶化乳糖の存在を確認することができ
た。また、得られた乾燥練乳粉末を、電子顕微鏡写真で
観察したところ、図2に示すように、結晶化乳糖を含有
する球状の粒子からなる乾燥練乳粉末を確認することが
できた。得られた乾燥練乳粉末の平均粒子径は、100
〜200μmであった。また、得られた乾燥練乳粉末の
充填適性は、緩密度、密密度共に、真空乾燥品の2倍以
上の値を示し、また噴霧乾燥品との比較においても、ほ
ぼ同値であり、優れたものであった。
の真空乾燥品(コンデンスミルクパウダー:日研フード
社製)を電子顕微鏡で観察した結果を図3に示すが、球
状のものではなく、多孔質かつ鱗片状の粒子形状を有す
るものであった。
粉末、比較例1の市販の真空乾燥品、及び比較例2とし
て、高圧ポンプの圧力により得られた噴霧乾燥品の3つ
の乾燥練乳粉末の溶解性を試験した。 ・試験方法 200ml容ビーカーに入れた24℃の水100ml中
に、乾燥練乳粉末20gを全量一気に投入し、スパチュ
ラを用いて1分間に100回転程度の速さで20秒間攪
拌し、100メッシュのふるいを通し、アスピレーター
で吸引し、透過ろ液の全固形分より溶解性を求めた。溶
解性は、下記式に従って算出した。結果を表2に示す。
解時の全固形分)}×100(%)
練乳粉末は、真空乾燥品(比較例1)と同等以上で、噴
霧乾燥品(比較例2)より高い溶解性を有するものであ
ることがわかった。
まで加温し、高圧ポンプの噴霧圧力200kg/cm2
の条件で、そのまま噴霧乾燥した。圧力ノズルは、スプ
レーイングシステム社製のSX76−16を使用した。
この噴霧乾燥時間は1時間以内である。得られた乾燥練
乳粉末に、市販の結晶化した乳糖粉末を1〜3%添加、
混合した。得られた乾燥練乳粉末は、結晶化乳糖粉末を
含有した実施例1の乾燥練乳粉末と同様の球状の粒子か
らなる乾燥練乳粉末であり、充填適性は実施例1と同様
に優れていた。また、結晶化した乳糖粉末を添加、混合
しているため、みかけ上の粒子径は100〜200μm
であり、溶解性は実施例1の発明品と同等の溶解性を有
していた。
20%の水を加え、70℃まで加温して練乳中の乳糖を
溶解した後、再度温度を20〜25℃まで下げ、練乳に
対して3〜5%(0.75〜1.25kg)の乳糖を添加
してシーディングした。この練乳溶液を5℃で一昼夜、
攪拌保持し、練乳中の乳糖を結晶化させた。この乳糖結
晶化練乳を定量ポンプで流量3.8〜5.4L/時で送液
すると同時に、エアー圧力5.8kg/cm2で吹き込
み、ノズル径3mmのノズル(ニイクラ社製:狭角60
°フラット撒水型1/4EX675M)を使用し、その
横側からエアー圧力5.8kg/cm2で吹き込み可能
な形状のノズルを使用し、練乳を微粒化させて、熱風温
度を180℃として噴霧乾燥を行った。得られた乾燥練
乳粉末を偏光顕微鏡で観察した結果、結晶化乳糖を含有
する球状の粒子からなる乾燥練乳粉末であることを確認
した。得られた乾燥練乳粉末の平均粒子径は、100〜
200μmであった。また、選ばれた乾燥練乳粉末の充
填適性は、緩密度、密密度共に真空乾燥品の2倍以上の
値を示し、また噴霧乾燥品との比較においてもほぼ同値
であり、優れたものであった。
な結晶化乳糖を含有する乾燥練乳粉末が得られる。本発
明の乾燥練乳粉末は、流動性が良好であるため、充填適
性に優れており、しかも、充填密度が高いため、輸送コ
ストを低減し、包装費を削減することができる。本発明
の乾燥練乳粉末は、ホワイトチョコレート等の菓子また
は食品の原材料として広範に利用することができる。
100倍)である。
75倍)である。
(a)は倍率が30倍、(b)は倍率180倍の写真で
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 結晶化乳糖を含有し、球状の粒子からな
ることを特徴とする乾燥練乳粉末。 - 【請求項2】 練乳に乳糖を添加して乳糖を結晶化させ
た後、エアー圧で微粒化して噴霧乾燥することにより得
られる請求項1記載の乾燥練乳粉末。 - 【請求項3】 練乳を高圧ポンプで微粒化して噴霧乾燥
した後、結晶化乳糖を添加することにより得られる請求
項1記載の乾燥練乳粉末。
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