JP2008526218A - 粉乳 - Google Patents

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Abstract

粉乳の流動性及び/又は冷温での溶解性を改良する方法及び特に冷飲料を供給するための飲料販売機における調製粉末の使用。該方法は、10〜35%のブロックされたリジンの範囲でタンパク質の糖化を制御すること、及び乳糖の結晶化度を5〜50%に制御することを含む。
【選択図】 図3

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、室温以下での改良された流動性及び/又は改良された溶解性を有する粉乳、特に調製粉乳、並びにその使用及びその製造のための方法に関する。
[発明の背景]
脱脂粉乳及びバターミルク粉末などの粉乳は、菓子類、乳児用調乳、ベーカリー製品、ドライミックス(例えば、パンケーキミックス又はビスケットミックス、飲料ミックス)、スープ、発酵乳製品、アイスクリーム及び冷凍乳製品デザート、プロセスチーズ及び肉製品を含む幅広い種類の食料品に使用されている。さらに、脱脂粉乳は、特に生乳の貯蔵が困難である場所又は環境で、(水で)還元(reconstituted)するか、又は(水及び脂肪と)再結合した形態で使用されることが多い。
粉乳の2つの主要な成分は、乳タンパク質及び還元糖(reducing sugars)、主に乳糖である。乳タンパク質が還元糖の存在下で加熱されると、該タンパク質の遊離アミノ基が該糖と反応して、該タンパク質の糖化が起こる。かかる反応が無検査で進行してしまう場合には、その結果として、栄養価がかなり減少する可能性があり、多少の褐色変が見られることもある。発生し得る複雑な一連の反応は、まとめてメイラード反応として知られている。実際に、メイラード型の反応は、非常にゆっくりとではあるが、必要な化学基を含む食品において室温にて発生することがあるとさえ考えられている。メイラード反応は、一般に望ましくないと考えられており、それ故、当該食料品の加工処理中に、この反応を抑制する手段が講じられているが、乳タンパク質の糖化を慎重に制御すれば、該タンパク質の特性を種々の方法で操作する機会が得られる可能性があることが、ここ最近になって理解されてきている。
グリコシル基とタンパク質のα−又はε−アミノ基との非酵素的相互作用に起因する最初の不可逆的な生成物は、アマドリ化合物として知られている。
全てのアマドリ化合物は酸加水分解されるとフロシンを生成するので、フロシン生成物の測定に基づいて、乳タンパク質の糖化の進行をモニターする方法が考案された。この手段及びこれに続く質量分析手法の開発によって、メイラード反応の進行をモニターすることが理論的に可能となった。糖化は溶液中又は固体状態で行われる可能性がある。しかし、Morgan他(Modification of bovine beta−lactoglobulin by glycation in a powdered state or in an aqueous solution:immunochemical characterization,J Agric Food Chem (1999)47,4543〜8)によると、固体状態の方法を用いると、結果としてタンパク質分子の立体構造変化がより少なくなる。さらに、固体状態の方法はモニター及び制御をより行い易い。
国際公開第00/18249号パンフレットには、乳清タンパク質を含む粉末材料の固体状態での糖化方法であって、該粉末の水分活性を0.3〜0.8に調節すること、及び30〜75℃の温度で1時間〜80日間の間糖化を進行させることを含む方法について記載されている。得られた粉末は、増大した熱安定性、乳化活性、抗酸化活性及びエンテロトキシン結合能などの、強化された機能特性を有することが主張されている。
上述したような粉乳の広範囲の使用を考慮すれば、異なる特性を有する粉末は、特定の使用に関しては他のものよりも有効である可能性がある。
米国特許第6548099号明細書は、チョコレート製品を調製するための粉乳における非晶形の乳糖を結晶化させる方法に関する。該方法は、(a)粉乳を十分な量の水と接触させて結晶化を起こすこと、及び(b)粉末を熱処理し、粉乳が湿っている温度よりも高い温度にて力で剪断することを含む。剪断と熱との組合せにより、閉じ込められた脂肪の遊離が促進され、それ故、乳の流動学的な特性が改良され、チョコレートの製造における質感及び口あたりが改良される。
米国特許公開第2004/0208967号公報は、液体生成物を予冷しながら、自由に流れる粉末に変換するための方法及び系に関する。該方法は、液体生成物を熱交換器中で、該液体生成物中のいずれかの成分が結晶化する温度よりも高い温度に加熱すること、続いて加熱した液体から揮発性成分をフラッシュ分離してペースト濃縮物を得ること、次いで、ペースト濃縮物の画分を予冷すること、並びに予冷した濃縮物及び予冷していない濃縮物の組合せ物を乾燥することを含む。
粉乳の一般的な使用例は、自動販売機を通じて供給されるドライ飲料ミックスの成分としてである。これらの飲料は、温めて又は冷やして提供することができ、コーヒー、紅茶、チョコレート、スープなどを含むことができる。このために、粉乳は、粉末の固化のような問題を回避するための、特定の物理的性質を有することが所望されている。例えば、流動性が良好であると、粉末を正確に添加することができ、その結果、得られた飲料の味を最適にし、粉末の損失を最小限に抑えることができる。さらに、改良された溶解性を有する粉末によって、飲料をより速やかに提供することが可能になり、得られた飲料に含まれる溶解していない粉末の量が減少する。
冷飲料に対する需要が増すにつれて、低温での粉乳の溶解性も課題である。このことは、飲料販売機から冷飲料を製造することに対する障害である。粉乳の溶解性は、塩、湿潤剤又は界面活性剤などの添加剤を加えることによって改良されることができる。しかし、これらの物質は必ずしも十分に有効で望ましいとは限らない。したがって、添加剤がより少なく、又は優先的には含みもしない、冷水により良く、より速く溶解する粉乳が必要とされている。
本発明の目的の1つは、改良された流動性及び/又は冷水への改良された溶解性を有する調製粉乳を提供することである。
[発明の概要]
本発明は、乳糖の結晶化度が5〜50%である調製粉乳において、該粉末が、糖化タンパク質の制御された割合を含み、その結果、未調製粉末と比較して、冷水への予期せぬ改良された溶解性、及び/又は粉体流試験における減少した安息角によって判定される予期せぬ改良された流動性をもたらすことを特徴とする調製粉乳に関する。乳糖の結晶化度は下記のように制御することが可能であり、ガスキャピラリークロマトグラフィー分析によって測定することができる。粉乳は、バターミルク粉末、乳タンパク質濃縮物又は半脱脂粉乳であることができるが、好ましくは、粉乳は脱脂粉乳である。調製粉末は、糖化タンパク質を、好ましくは10〜35%のブロックされたリジンの範囲で含む。より好ましくは、糖化タンパク質は10〜25%のブロックされたリジンの範囲にある。未調製粉末と比較して、官能分析(味覚、香覚)において明らかな違いがないことが好ましい。
かかる調製粉末は、飲料販売機又は自動販売機、例えばインスタントコーヒー、スープなどを提供する機械などにおいて、並びに粉末が速やかに正確に添加されることが必要とされ、及び/又は粉末が速やかに溶解することが好ましい他の状況において使用するのに十分適している。この結果、得られた飲料の味が最適になり、損失を最小限に抑えることができる。調製粉末は、低温(例えば、10℃)での改良された溶解性を示すことが好ましいので、かかる粉末は、提供される飲料が冷飲料の場合に特に有用である。
好ましくは、乳糖の結晶化度は10〜40%である。
好ましい実施形態では、調製粉乳は、粉体流試験における安息角が45°未満、より好ましくは40°未満であり、及び/又は該粉末の15%未満がキャニスターに残存し、及び/又は添加量の50%を超える量がキャニスター排出試験中に規格範囲内であるような、改良された流動性を有する。他の好ましい実施形態では、調製粉乳は、2分後の最大粉末溶解量が95%を超えるような、20℃での水への改良された溶解性を有する。好ましくは、該粉末はまた、室温よりも低い温度、例えば10℃での改良された溶解性を示す。
さらに、本発明は、粉乳における乳糖の結晶化のための方法であって、
(a)該粉末の水分活性を0.15〜0.7に調節するステップと、
(b)25℃〜55℃の温度、好ましくは30℃〜45℃の温度、即ち該粉末のガラス転移温度(Tg)を超える温度で、10分〜6時間、より好ましくは6〜120分、最も好ましくは60分未満、該粉末を加熱し、5〜50%の乳糖の結晶化度を達成するステップと
を含み、
ステップ(a)と(b)とを組み合わせた効果が、初期の粉乳と比較して、冷水への改良された溶解性、及び/又は粉体流試験における減少した安息角によって判定される改良された流動性をもたらすものである方法に関する。
好ましい実施形態では、該方法はステップ(c):
(c)ステップ(b)の生成物を冷却及び/又は乾燥するステップ
をさらに含み、
ステップ(a)、(b)及び(c)とを組み合わせた効果は、初期の粉乳と比較して、室温での改良された溶解性、及び/又は粉体流試験における減少した安息角によって判定される改良された流動性をもたらすものである。
この方法において、該粉末は、脱脂粉乳、半脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物又はバターミルク粉末であることができ、好ましくは、得られた粉末が糖化されたタンパク質を含み、最も好ましくは10〜35%のブロックされたリジンの範囲で糖化されたタンパク質を含む。好ましくは、該タンパク質は、10〜25%のブロックされたリジンの範囲で糖化されている。実際に、熱で誘導されたタンパク質の糖化の割合が高いほど、それだけ多くのタンパク質が部分的に変性される。したがって、溶解性及び流動性をさらに改良することなく、これらの栄養価を損失する恐れがある。糖化方法は、固体状態での糖化方法であることが好ましい。
他の態様では、本発明は、飲料、特に自動販売機から提供される飲料などの食料品の製造における、上記の調製粉乳の使用を提供する。
さらに、本発明は、脱脂粉乳の製造方法であって、脱脂乳又は半脱脂乳を全固形分の45〜58%にまで濃縮するステップと、該濃縮物を乾燥塔で噴霧乾燥し、0.15〜0.7の水分活性を有する粉末を得るステップと、25〜55℃の温度、即ち該粉末のガラス転移温度を超える温度で、10分〜6時間、該粉末を加熱するステップとを含む方法に関する。最も好ましくは、該粉末のガラス転移温度を超える30〜45℃で該粉末を加熱することによって、所望の糖化反応が加速され、60分未満で生成できる。得られた生成物は冷却及び/又は乾燥されることが好ましい。この簡便で低費用の方法により、他の方法によって製造される脱脂粉乳と比較して、改良された流動性及び/又は冷水への改良された溶解性を有する脱脂粉乳が得られる。
[発明の詳細な説明]
本発明は、粉乳の、流動性及び/又は室温での溶解性を、該粉末における乳糖の結晶化を制御することによって増加させることができるという事実にある。結晶化した乳糖を含む、得られた粉末は、通常の粉末と同様の方法で使用することができる。乳糖の結晶化を引き起こすための、該粉末の処理中に、該粉末中のタンパク質と乳糖との縮合も生じる可能性がある。これは、よく知られているメイラード反応(糖化)の第1段階であり、その結果、ラクトシル化タンパク質が生成される。
メイラード反応は、加工処理(熱処理、濃縮、乾燥)及び貯蔵による乳タンパク質の主要な修飾の1つである。メイラード反応は、通常タンパク質由来のアミンと、カルボニル化合物、一般に糖、特にブドウ糖、果糖、麦芽糖又は乳糖との間に起こる複雑な一連の反応である。
初期段階(初期のメイラード反応又は糖化)は、還元糖と1級アミノ酸との間の反応を伴う。この分子から水が失われることによって、環化可能なイミンが生成し、その結果、N−グリコシド(NR基に結合された糖)が形成される。N−グリコシドのα及びβアノマーは、酸触媒異性化の結果として平衡状態(変旋光)で存在する。これは、開鎖インモニウムイオンによって進行する。インモニウムイオンの環化の代わりに、アマドリ転位が起こる可能性があり、これはアルカリ触媒異性化反応である。アマドリ生成物の酸化的開裂は、メイラード反応の程度について有用な指標を与える。
グリコシルアミン及びアマドリ生成物は、メイラード反応の進行中に形成される中間体である。これらの中間体の濃度は、反応条件(pH、温度及び時間)に依存し、それらは他の生成物の形成に関与するので、最終的に食品の色、味及び臭気に影響を与える。
場合によって、メイラード反応は望ましくない可能性があり、それ故、加工処理中及び貯蔵中に慎重に制御されることもある。しかし、メイラード反応は加工処理パラメータによって、香気生成などの特定の目標を達成することに活用できる。
乳及び乳製品において、ラクトシル化はメイラード反応の第1段階(初期のメイラード反応又は糖化)であり、乳糖(ブドウ糖部分)のα−ヒドロキシカルボニル基と、タンパク質のアミノ基(主にリジン残基及びN−末端アミノ酸)との縮合を伴う。可逆のシッフ塩基が形成され、続いて転位して、より安定なケトアミン(アマドリ化合物)を生成する。本発明による粉末は、このメイラード反応の初期段階に達するまで加工処理され、該粉末を冷却及び/又は乾燥することによって、初期のメイラード反応をいつでも停止することができることは理解されている。
本発明の出発物質は、脱脂粉乳、半脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物及びバターミルク粉末などの通常の粉乳である。これらは市販されている。かかる粉末には、28〜60%のタンパク質、60〜25%の乳糖の他に、無機質及び他の微量の元素が含まれることがある。通常、乳糖はかかる粉末において非晶形の状態で存在する。
粉乳中の主なタンパク質成分は、乳タンパク質カゼイン(CN)並びに2つの主要な乳清タンパク質、即ちβ−ラクトグロブリン(β−LG、A及びBの2つの変異体有り)及びα−ラクトアルブミン(α−LA)である。末端α−アミノ酸及びリジン残基のε−NHは、タンパク質骨格において乳糖が結合する主要部位となる可能性があることが知られている。それぞれの配列に基づいて、種々の乳タンパク質のリジン含量を下表1に報告する。
Figure 2008526218
本発明によると、乳糖の結晶化方法は粉乳に適用される。この方法は、調節されたA(0.150.7)を有するタンパク質/糖粉末の熱処理(50〜110℃)である。該方法は、固体状態での方法として行われることが好ましい。全体的な方法は、非常に簡便であり、既存の工業設備にうまく適合し、エネルギー費用が安い。
全体的な方法は、以下のステップ、即ち
(a)水分活性の調節(及び粉末のAの平衡);
(b)加湿粉末の熱処理;及び場合によって
(c)該粉末の冷却及び/又は乾燥
を含む。
この方法はまた、粉乳中のタンパク質の糖化をもたらす。初期のメイラード反応を経てタンパク質を修飾するための公表された手順と比較して、本発明の方法は非常に速く、日に対して時間、又は分の問題といってもよいくらいである。さらに、知られている他の手法に従って加工処理された粉末が、粘り気があり、又は糊のようになり、それ故加工処理を容易に行うことができないのに対して、本発明に従って加工処理された粉末は、粉末の形態のままである。
第1ステップ(即ち、水分活性の調節)は、粉乳の製造中に噴霧乾燥を経て、乾燥パラメータを調節することによって、及びアフタードライヤーの使用をさけることによって、理論的には直接得られる。粉末の好ましいAは、0.15〜0.7であり、より好ましくは0.2〜0.3である。実施した試験は、この手順によって、A0.3〜A0.4、及び最大として0.5を有する粉末を得ることができることを示している。高い水分を有する粉末は、粘性及び乾燥塔における固化の原因となる可能性があるため、より高いA値を有する粉末を製造するにはいくつかの技術的な限界がある。
水分の吸収及び平衡は、その他の知られている手法によって、例えば、粉末中に加湿空気の動的注入を使用することによって、又は空気の温度及び相対湿度が制御されているチャンバーに粉末を置くことなどによって、より急速に達成することができる。
例えば、飽和塩を有するチャンバーに粉末を置くことによって、Aを調節することも可能である。MgCl(最大A=0.33)、KCO(最大A=0.44)及びMgNO(最大A=0.53)などの塩を使用することができる。A及び水分取込みを、この段階中にモニターする必要がある。必要なAに達すると、該粉末を、例えばアルミニウムバッグなどの密封された不透明な袋に収集することができる。次いで該粉末を、基質内部の水分を平衡させるために、これらの密封袋の中で好ましくは少なくとも24時間貯蔵することができる。次いで、Aは、該粉末のさらなる処理の前に再度制御される。
第2のステップは、該粉末の熱処理である。これは、例えば、静的又は動的な条件で稼動する密封反応装置中の粉末の、バッチ式熱処理又はインライン式熱処理によって適用することができる。連続的な加工処理が所望される場合には、ポストドライヤー、脈動空気チャンバー(pulsed−air chamber)又は流動層(fluidised bed)などの装置を僅かに改造して使用してもよい。
適用される熱処理は、数分から数時間までの範囲の期間にわたる穏やかな加熱が好ましい。温度については、下限値は反応が適度な速度で進行することができるほど高く、上限値はタンパク質の変性及びメイラード反応の促進(タンパク質を含む粉末の褐変色を特徴とする)を避けることができるほど低いように選択される。特に、温度は50〜110℃、より好ましくは75〜95℃、好ましい実施形態では80℃である。加熱時間は10分〜6時間、好ましくは120分未満、より好ましくは20分〜60分である。第3の任意のステップは、加熱ステップ後の粉末の冷却及び/又は乾燥である。このステップにより、該粉末を冷却及び/又は乾燥することによって、初期のメイラード反応をいつでも停止することができ、該粉末の貯蔵に対する安定化が促進される。この手法は、従来の粉末加工処理において一般に使用されている。
この2ステップ又は3ステップの処理の目的は、該粉末における乳糖の結晶化度を10〜50%で得ることである。結晶化の程度(%CR)は、P.Wursch他(Milchwissenschaft(1984)39(10),579〜582)によって記載されているように、ガスキャピラリークロマトグラフィーによって測定することができ、乳糖結晶の外観と存在量は、偏光を使用する単純な顕微鏡分析によってモニターすることができる。また、結晶化の程度は、タンパク質の糖化の程度、例えば、フロシン測定(アミノ酸分析)による、及びLC−ESIMS(液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析)による化学モニタリングと併せてモニターすることができる。両方の方法は、糖化の程度を算出するために使用され、かかる程度は、可能な全反応部位(リジン及び末端アミノ酸)に対するラクトシル化部位の比に相当する。
図1は、3種の初期Aについて、60℃及び70℃に加熱した標準的な脱脂粉乳の糖化の速度論を示す。ブロックされたリジンの百分率によって表される糖化レベルは、フロシン分析に従ってアミノ酸分析器によって測定した。試料を、Finot他(1981):The extent of Maillard reaction during the processing of milk.Prog Food Nutr Sci 5,345に記載されている方法に従って、2組ずつ分析した。初期Aは、糖化速度において重要な役割を果たした。例として、初期Aを0.17に調節した粉末は、60℃で7.5時間の処理後に約7%の糖化の程度を示したのに対して、初期Aを0.33に調節した粉末は、同処理後約32%の糖化の程度を示した。さらに、固体状態での糖化に使用した温度は、糖化の速度及び程度に影響を及ぼした。例として、初期Aが0.27の時には、糖化の程度は60及び70℃で7.5時間の処理後に、それぞれ12.8%及び47.5%であった。その上、糖化の速度論は、温度によって異なるように思われた。即ち、60℃では反応期間(incubation period)中に糖化速度が線形であったのに対して、70℃では非線形曲線が見られた。
図2は、種々のAで、並びに60及び70℃にて処理した脱脂粉乳における、Aの発生(evolution)及び乳糖の結晶化度を示す。乳糖の結晶化度(%CR)は、ガスキャピラリークロマトグラフィー法を用いて測定すると、0〜50%の間に含まれた。
%CRは、加工処理条件を選択することによって、容易に制御することが可能である。例として、乳糖の結晶化度が30%である粉乳は、初期Aが0.33のものを用いて70℃にて1時間処理後、又は初期Aが0.37のものを用いて60℃にて2時間処理後のいずれかに得ることができる。
乳糖の結晶化の程度と、SMPのAの発生との間には明らかな相関関係がある。この2つの現象に関連性があるのは、水が乳糖の結晶化によって放出されるからである。乳糖の結晶化に起因する水は、基質中(密封管)に残存し、系の全Aを増加させる。SMPのAは、熱処理中に、並びに温度及び初期Aの特定の加工処理条件下で増加したが、水分含量は変化しなかった(密閉系における熱処理)。熱処理の一部又は全部を開放系で行う場合には、水分の損失(乾燥)によってAの減少が生じる。
さらなる実験では、標準的な脱脂粉乳を加湿加工処理した後、続いて本発明による低温での熱処理に供した。粉末の流動性及び溶解を最適化するために、加工処理条件(A及び加熱時間)を変化させた。加湿により粉末の水分活性(A)が増加し、その結果ガラス転移温度(Tg)が低下する。このステップは、熱処理中に、粉末がガラス状態からゴム状態へと転移するのを促進することになった。次いで、該粉末を60℃で熱処理し、乳糖の結晶化を引き起こさせた。これらの物理的変化の間に、初期のメイラード反応(糖化)も誘発された。物理的及び化学的修飾は両方とも、該粉末を単に乾燥及び冷却することによって、いつでも終了させることができる。
処理済試料及び未処理試料についての、粉末の流動性、溶解及び官能分析を、約20℃(溶解については10℃を含む)にて評価した。
方法:
Konolfingen Nestle工場によって提供された標準的な成分の脱脂粉乳(SMP)を、気候チャンバーCTS 10/200型中、2レベルの水分含量で加湿した。
RH=25℃で34%、及び
RH=25℃で38%
が増加するとTgが低下し、その結果としてT−Tgが増加することになる。加湿粉末を、動的及び密閉容器型Lodige M20R中、2〜6時間の範囲の種々の期間で60℃に加熱した。次いで、加熱装置を60℃にて1時間開けたままにすることにより、水分が損失し、Aが減少(乾燥)した。最後に、SMPを室温まで冷却することによって安定化させ、静かに篩にかけて、大きい塊(0.5mm)を除去した。さらなる物理化学的変化を避けるために、処理済試料を密封アルミニウムバッグ中15℃未満の温度で貯蔵した。
乳糖の結晶化の程度を50%以下に、及びブロックされたリジンの程度を30%以下に制限することを目標に、3種の異なる処理済粉末を下表2に示すように生成した。
Figure 2008526218
物理的及び化学的特性決定:
・水分活性(A)は、湿度計モデルDT機器(Rotronic、バッセルドルフ、ドイツ)を使用して25℃で測定した。Aのデータは全て、5種の標準飽和塩(A:0.111、0.225、0.328、0.432及び0.529)から得られた二次方程式を使用して補正した。
・SMPにおけるTg及び乳糖の結晶化の遅延は、示差走査熱量測定法によって、ASTM E1356−98規格を使用して、Seteram社(カリュイール フランス)のMicro−DSC IIIを使用して、0.1℃min−1にて測定した。
・ブロックされたリジンの百分率によって表される糖化レベルは、フロシン分析に従ってアミノ酸分析器によって測定した。試料を、Finot他(1981):The extent of Maillard reaction during the processing of milk.Prog Food Nutr Sci 5,345に記載されている方法に従って、2組ずつ分析した。酸加水分解物中のリジン及びフロシンを陽イオン交換クロマトグラフィーによって分離し、ニンヒドリンで誘導体化し、分光光度検出した後に定量化した。
・乳糖結晶の存在と存在量は、偏光下で双眼式システムを用いて、粉末の直接顕微鏡観察によって測定した。
・粉末のタップ密度は、固定した振動式体積計STAV2003上の粉末を揺すってならし、次いで前記一定の体積を占める粉末の重さを計量し、しかるべく密度を算出することによって測定した。
・骨格密度は、ヘリウムピクノメータ(MicromeriticsのAccupyc1330)を使用して測定した。
・粒度分析は、Gradis分散システムを備えたSympatec機器を使用して行った。
・微細構造の評価は、SMPの熱処理中に粒子構造の物理的変化を明らかにするために走査電子顕微鏡法(SEM)を用いて行った。
・官能セッションは、加工処理が粉乳に及ぼす官能的影響を評価するために、内部の審査員(6人)で組織された。熱処理済試料は、コーヒー飲料におけるクリーマーとして(4.2g/l00ml)、及び還元乳(水中10%w/w)としての両方において、未処理SMPと比較した。審査員は、香気及び味、並びにその種類及び強度を検証した。
粉末の流動性:
粉乳の流動性は、安息角によって、及びキャニスター排出能力によって表した。
・安息角は、表面上に流れる粉末によって形成される円錐の角度を測定することによって評価した。直径が既知である円筒型の平らな表面上に、粉末が漏斗から自然に流れるようにする。漏斗は出口を塞いで、粉末で半分満たし、平らな表面の上方に位置付ける。この時漏斗の脚は円柱の軸を含む線上にある。漏斗を開き、粉末を流出させる。必要ならば、粉末をかき混ぜて、粉末が円柱から離れるのを促進する。粉末は、円柱の表面上に自然に集まり、円錐形を形成する。粉末が円柱の表面を確実に覆っているようにした後、円錐の頂点と円柱が置かれている表面(例えば、研究室の作業台又はテーブル)との間の距離を測定し、円錐の高さを、測定した高さから円柱の厚みを差し引くことによって得る。安息角は、粉末によって形成される円錐の底角であり、測定される円錐の高さ及び円錐の半径(円柱の表面の半径に等しい)から算出される。角度が小さいほど、粉末の流動性は良好である。一般に、自由に流れる粉末は、40°以下の安息角を有するが、一方、50°以上(ISO4324)の安息角を有する粉末については流動性の問題に直面することがあり得る。
・キャニスター排出量は、自動販売機の条件をシミュレートするために、キャニスターに供給された粉末の挙動を測定する。添加量の一致性は、3つの主要なパラメータによって評価した。
・標準偏差
・規格内/規格外の添加量の%
・粉末がそれ以上流れなくなる時のキャニスターに残存している粉末の量
使用したキャニスターは、回転物を備えたRhea Lionessであった。
粉末の溶解及び還元:
粉乳が水に分散され、可溶化される能力は、「還元速度」及び「溶解速度」の2つの測定によって決定した。400mlの脱イオン水に10gの粉乳を所与の温度で加え、伝導率の増加を経時的に記録することによって、異なる速度論を測定した。この増加は、特定の較正によって、溶解した粉末の%に相関する。「還元」実験と「溶解」実験との間の違いは、異なる撹拌効率に依存する。
・「還元速度」は、
容器の底部での磁気撹拌子(250rpm)及び
液体の中央で稼動しているプロペラ回転子(2枚羽根、60rpm)
の両方を用いて得られる。
この組合せによって、粉末が液体中に静かに分散することができ、湿潤性及び溶解の両方が、観測される速度論に作用することが可能になる。
・「溶解速度」は、
磁気撹拌子の回転速度を500rpmに増すこと、及び、
ビーカーの表面で(僅かに中心を外して)、異なるプロペラ回転子(6枚羽根、100rpm)を使用すること
によって得られる。
これらの変更によって粉末を強引に速やかに分散させ、したがって観測される速度論は主に溶解によるものであり、粉末の湿潤性によるものではない。
予備実験を10℃及び20℃の両方の冷水を用いて行った(本発明の文脈において「冷水」とは6〜20℃の温度と見なされている)。しかし、還元及び溶解の速度において2つの温度間に違いは見られなかったので、さらなる実験は全て、20℃でのみ行った。
結果及び考察:
結果を以下の表3にまとめる。
Figure 2008526218
結晶化レベル:3種の処理済試料の各々が乳糖の強い結晶化を示した。これらの試料は、ブロックされたリジンが15.5、19.8及び21.6%という高い糖化レベルを有した。糖化のレベルはT−Tg及び加熱期間と相関する。
乳糖の結晶化は、粉末において一般に所望されているとは限らない現象であるが、これは、水分子を遊離させるので、前記粉末の貯蔵寿命が短くなり(例えば、脂質の酸化)、加工処理をすることができなくなる可能性(粘性、固化現象)があるためである。比較的高い脂肪量を含む全脂粉乳において、固体状態での処理は、脂肪を遊離させることになり、流動性を改良することが期待できない。驚いたことに、0.2〜0.6の初期Aを有する乳清タンパク質濃縮物(WPC)の60℃での処理中に(35、60又は80%のタンパク質を有するいずれにおいても)、乳糖の結晶化は生じなかった。NIRスペクトル(近赤外反射スペクトル)又はGCC(ガスキャピラリークロマトグラフィー)分析は、WPCにおけるいずれの結晶化事象も示さなかった。結果として、Aは60℃での熱処理中に変化しなかった。この挙動は、注目すべきものであり、また完全に予期せぬものであり、乳清タンパク質の存在が乳糖の結晶化を抑制したと考えられる。
これとは対照的に、本実験において処理された脱脂粉乳は、乳糖の強い結晶化を示した。結晶化速度は初期A及び加熱温度に依存するように思われた。驚いたことに、結晶化は期待された効果を有しなかった。その代わりに調製粉末は、以下に論じるように、未処理粉末と比較して、増大した溶解性及び改良された流動性を示した。
Figure 2008526218
粒度分布:処理済粉末は全て、かなり均質であった。x50%の範囲のデータは、148〜155μmであった。未処理SMPの粒度(x50%)は、171μmであると測定された。
タップ密度:試料N2728及び2930(高T−Tg差)は、下表5に示すように、他の試料に比べて僅かに高いタップ密度を示す。このことは、これら2種の粉末の粒度分布がより小さいことに相関する可能性がある。
骨格密度:試料N2728及び2930(高T−Tg差)は、より高い骨格密度を示すが、これは恐らく、乳糖の結晶化によって生じた、より高い「開孔性(open porosity)及びひび割れ」のためである(高い骨格密度は、より低い閉孔性(closed porosity)と相関し、したがってSEM画像及びより高い溶解性に完全に一致する)。
Figure 2008526218
SEM:SEM画像解析は、熱処理によって生じた微細構造の発生を示す(図6の画像を参照のこと)。まず、処理済SMPは、小さい球状粒子で組織化されており、未処理粉末に比べて凝集が少ない。処理済粉末の表面はまた、(乳糖の結晶が存在するため)より粗い表面を有し、これが粉体粒子における微小開孔及び微小ひび割れの形跡を示している。
官能分析:処理済SMP及び未処理SMPの官能分析は、明らかな違いを示さなかった。より高度に糖化された試料N2930及び3132は、より水性であり、僅かにより風味が豊かで、白みはより少なく、コーヒーにおいて苦味があると記述された。還元乳としては、これらの試料は、よりカラメル調及び甘味調を帯びた、僅かな金属光沢が見られた。一般に、加工処理は味及び香覚に影響を及ぼさない。さらに、加工処理中、いずれの試料においても肉眼で褐変色は見られなかった。
粉末の流動性:粉末の流動性は、安息角によって、及びキャニスター排出量によって測定した。結果を表6に示す。
Figure 2008526218
粉末N2728及び2930(より高いT−Tg)は、キャニスター中で、他の3種の試料よりも自由に流れているのが明らかであった。供給された粉末の55%を超えるものが、添加量規格の範囲内であり、粉乳の3〜4%しかキャニスターに残存しなかった。
粉末N3132(長い加熱で低T−Tg)は、良好な安息角を示したが、キャニスターにおける挙動はむしろ悪かった。粉末は流れているが負の圧密挙動を示す場合に、この状態が起こる。
これとは対照的に、未処理SMPは52°の角度値を有し、流れが悪かった。キャニスターには、粉末の25%以下しか規格の範囲内で供給されず、流れが停止した時にSMPの43%が箱の中に残存した。
粉末の溶解及び還元:これらの測定の2態様を考慮に入れた。第1の指標である速度論は、現象の速さを説明する。第2の指標は2分後の最大粉末溶解量である。結果を図3〜5に示す。
溶解速度論:溶解速度論の測定によって、試料を2つのグループに分類することができる。
1.試料N2728、2930及び3132は、速い溶解を示した。
2.未処理SMPは、遅い溶解を示した。
しかしこの方法では、流れが良かった試料間の見分けが付かなかった(図3)。これら3種の同粉末は、未処理SMPとは対照的に、非常に良好な自由流れ性能及び高い結晶化度を示したことにも留意されたい。
還元速度:還元速度はより特徴的である(図4)。
1.試料N2930(高T−Tg、長い加熱)は、最良の還元挙動を示す。
2.試料N2728(高T−Tg、短い加熱)は、僅かに遅い速度論を示すが、N2930に近い。
3.試料N3132(低T−Tg、長い加熱)は、初めの2つと同一のプロフィールで溶解を開始したが、次いで減速し、2分後には僅か78%という還元最大値に達した。
4.未処理SMPは、3種の処理済粉末と比較して、より遅い還元速度論を示し、2分後に76%の還元最大値に達する。
還元プロフィールの解析を完成するために、6、12、21、60及び120秒後に溶解した粉末の比率[%]を表示した(図5及び表7)。これは、5時点での還元の程度について示している。
Figure 2008526218
特定のAに調節した粉乳の穏やかな熱処理は、該粉乳の流動性及び低温での溶解を明らかに改良した。この改良は、第1にT−Tg(処理温度とガラス転移温度との間の差)によるものであり、第2に熱処理の期間によるものであるように思われた。SMPの場合には、加湿及び熱処理工程が微細構造を大きく変化させた。処理済粉末の粒子は、より小さいサイズであり、微小孔がある粗い表面を有していた。表面の粗さは微小孔と共に、恐らく、結晶化した乳糖によって生じた。加工処理はまた、粉乳の糖化を10〜30%のブロックされたリジンの範囲で引き起こした。
調製粉末は、通常の粉末と同様の方法で使用することができる。例えば、これらは液体飲料における材料として使用することができる。特に、改良された流動性及び溶解性のために、調製粉末は、ドライ飲料配合物、特に自動販売機などから提供されるものに使用するのに適している。かかる他の液体配合物には、例えば、乳児用調乳、高齢者あるいは、例えば、化学療法又は放射線療法を受けているか、又は該療法から回復中の人々、若しくは腸内吸収機能が低下している人々など、特別な栄養要求を有する患者のための栄養組成物が含まれる。糖化タンパク質は、損傷することなくUHT処理又は他の熱処理に供することができ、それ故、これらの優れた栄養特性及びアミノ酸プロフィールを保持することができる。
本発明の粉末は、家庭で還元する粉末として、単独で又は他の材料と共に使用することも可能である。
本発明の全体的な方法は、10〜50%の乳糖の結晶化度を有する粉末をもたらし、該粉末を工業規模で、粉末又は液体配合物のいずれにも加工処理することが可能である。
上記の説明は、本発明の範囲内に含まれる、いくつかの生成物及び同生成物を製造する方法を明らかにするものである。これらの生成物及び方法は、本発明を決して限定するためのものではない。本発明に関しては、変化及び変更が行われ得る。即ち、当業者は、これらの実施例における多くの改変例を認識されよう。かかる実施例は、種々の適用例に対して、本発明の化合物が自然に発生するレベルを合理的に調節するための、広範囲の配合物、材料、加工処理及び混合物を包含するためのものである。
図1は脱脂粉乳の60℃及び70℃における固体状態での処理中の、タンパク質の糖化のモニタリングを示す。 図2は3つの初期A値について、脱脂粉乳の60℃及び70℃における固体状態での熱処理中、乳糖の結晶化(CR%)及びAの発生を示す。 図3は調製及び未調製脱脂粉乳の20℃における水への溶解速度を示す。 図4は調製及び未調製脱脂粉乳の20℃における水への還元速度を示す。 図5はいくつかの還元時間での、調製及び未調製脱脂粉乳の20℃における冷水への還元レベルを示す。 図6は調製及び未調製脱脂粉乳の、熱処理によって生じた微細構造の発生のSEM画像解析を示す。

Claims (14)

  1. 乳糖の結晶化度が5〜50%であり、未調製粉末と比較して、冷水への改良された溶解性、及び/又は粉体流試験における減少した安息角によって判定される改良された流動性を有し、糖化タンパク質を10〜35%のブロックされたリジンの範囲で含む調製粉乳。
  2. 脱脂粉乳、半脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物又はバターミルク粉末である、請求項1に記載の調製粉乳。
  3. 粉体流試験における安息角が45°未満であり、及び/又は前記粉末の15%未満がキャニスターに残存し、及び/又は添加量の50%を超える量がキャニスター排出試験中に規格範囲内であるような、改良された流動性を有する、請求項1又は2に記載の調製粉乳。
  4. 2分後の最大粉末溶解量が95%を超えるような、20℃での水への改良された溶解性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の調製粉乳。
  5. 冷水への改良された溶解性も有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の調製粉乳。
  6. 粉乳の冷水への溶解性を改良し、及び/又は粉乳の流動性を改良するための方法であって、粉乳における乳糖の結晶化を伴い、
    (a)前記粉乳の水分活性を0.15〜0.7に調節するステップと、
    (b)前記粉乳のガラス転移温度を超える25℃〜55℃の温度で、10分〜6時間、前記粉乳を加熱し、5〜50%の乳糖の結晶化度を実現するステップと
    を含み、
    ステップ(a)と(b)とを組み合わせた効果が、10〜35%のブロックされたリジンの範囲でタンパク質の糖化をもたらすものである方法。
  7. (a)前記粉乳の水分活性を0.2〜0.3に調節するステップと、
    (b)前記粉乳のガラス転移温度を超える30℃〜45℃の温度で、60分未満、前記粉乳を加熱するステップと
    を含む、請求項6に記載の方法。
  8. ステップ(c)、即ち
    (c)ステップ(b)の生成物を冷却及び/又は乾燥するステップ
    をさらに含み、
    ステップ(a)、(b)及び(c)を組み合わせた効果が、初期の粉乳と比較して、冷水への改良された溶解性、及び粉体流試験における減少した安息角によって判定される改良された流動性をもたらすものである、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 前記粉乳が、脱脂粉乳、半脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物又はバターミルク粉末である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記得られた粉乳が、10〜35%のブロックされたリジンの範囲で糖化されたタンパク質を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記調製粉乳が飲料販売機の容器又はキャニスターから添加される、飲料の成分としての、請求項1〜5のいずれか一項に記載の調製粉乳の使用。
  12. 前記調製粉乳が冷飲料を製造するための冷水と混合される、冷飲料の成分としての、請求項1〜5のいずれか一項に記載の調製粉乳の使用。
  13. 脱脂粉乳又は半脱脂粉乳の製造方法であって、脱脂乳又は半脱脂乳を全固形分が45〜58%になるまで濃縮するステップと、その濃縮物を乾燥塔で噴霧乾燥し、0.15〜0.7の水分活性を有する粉末を得るステップと、前記粉末のガラス転移温度(Tg)を超える25〜55℃の温度で、10分〜6時間、前記粉末を加熱するステップとを含む方法。
  14. 前記加熱するステップ後に生成物を冷却及び/又は乾燥するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
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