JP5616074B2 - ポリエステル樹脂及び樹脂組成物、並びにこれらを用いた成型体 - Google Patents

ポリエステル樹脂及び樹脂組成物、並びにこれらを用いた成型体 Download PDF

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Description

本発明は、機械的物性及び耐熱性に優れたポリエステル樹脂、並びに樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、ポリ乳酸単位及びポリエステル単位を含み、ポリ乳酸単位の一部又は全部がステレオコンプレックスであるポリエステル樹脂、及び樹脂組成物に関する。
近年、生分解性を有する樹脂やバイオマス由来の原料を用いた樹脂が医療材料或は環境配慮型材料として開発され、実用化されている。しかしながら、これらの樹脂は、製造コスト、機械的物性、熱的性質が従来の汎用樹脂、エンジニアリングプラスチックスに比較して劣っているのが現状である。
中でも古くから知られており最も広く応用されているポリL−乳酸は、生体内で非酵素的に加水分解され、その分解産物は代謝経路に入り最終的には体外へ放出されるため縫合糸やドラッグデリバリーシステム(DDS)の薬物徐放材料などの医療用材料として用いられてきた。また、近年ではその原料が植物由来であることから地球温暖化ガス抑制効果がある材料として注目されている。しかし、汎用樹脂と物性を比較すると耐熱性が低い、機械的強度が脆く破壊しやすいなどの点で用途が限られてきた。
ポリ乳酸のこのような欠点を克服するためこれまでに様々な解決手段が検討されてきた。例えばポリL−乳酸とポリD−乳酸を混合することによりポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶を形成すると融点が顕著に向上する(特許文献1及び非特許文献1、2)。そこで、ポリ乳酸のステレオコンプレックスについて、繊維や医療用材料などへの応用の可能性が開示されている。(特許文献2,特許文献3)
また、ポリ乳酸にポリエーテルのようなソフトセグメントを共重合することにより機械的物性を改良する方法(特許文献4)、或はポリ乳酸にジカルボン酸とジオールから誘導される脂肪族ポリエステル単位をブロック共重合により導入する方法などが提案されている(特許文献5)。またポリ乳酸にポリエステル単位を共重合した高分子耐衝撃性付与剤を混合する方法なども開示されている(特許文献6)。
特開昭61−36321号公報 特開2007−23393号公報 国際公開第2007/116646号パンフレット 特開平11−255873号公報 特開2004−250663号公報 特開2001−335623号公報
Macromolecules,24巻,5651頁,1991年 「生分解性高分子」筏義人著、株式会社アイピーシー発行(平成11年9月30日初版)
しかしながら、上述したポリL−乳酸ホモポリマー及びポリD−乳酸ホモポリマーのステレオコンプレックスでは、融点が向上し、耐熱性が改善されるものの、ポリ乳酸が本来有する脆性的性質のため機械的物性が不十分であることが多く、実用化するには課題があった。またさらに、高分子量化や共重合によりその物性を改良しようとするとステレオコンプレックスが得られないとういう課題があった。
また、上述のポリ乳酸にソフトセグメントを共重合させたポリマーでは、機械的物性は改良されるものの、耐熱性が低下し、また共重合によりポリ乳酸の結晶性が低下するため、ポリ乳酸の融点が低下する。さらに共重合比によっては結晶化しなくなるためポリ乳酸の融点以下のポリ乳酸のガラス転移温度以上でポリマーが溶融してしまうという課題があった。また機械的物性を向上させるためソフトセグメントを多く共重合するほどガラス転移温度は低下の割合が大きく、耐熱性が大幅に低下するという課題があり、実用上、使用に耐えない場合があった。
さらに、ポリ乳酸の種々の物性を改良する目的でポリ乳酸のランダム共重合体、ブロック共重合体等が多数報告されてきたが、ポリ乳酸ホモポリマーより高い耐熱性を有する柔軟な乳酸系ポリマーの例は無く、ポリ乳酸共重合体はポリ乳酸ホモポリマーに比べ従来の方法では耐熱性が低下することが常識であった。
以上のことを鑑み、本発明の目的は、耐熱性に優れ、機械的物性に優れた、ポリ乳酸単位を含むポリエステル樹脂や、樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸にソフトセグメントとしてポリエステル単位を共重合することによりポリ乳酸の機械的物性を向上させることが可能であることを見出した。また、ポリ乳酸単位とポリエステル単位との共重合をブロック共重合とすることにより、ポリ乳酸部分で、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とのステレオコンプレックスとすることができ、耐熱性に優れ、機械的物性に優れたポリエステル樹脂とすることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、下記に存する。
(1)ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)であり、ステレオコンプレックスであることを特徴とする、ポリエステル樹脂。
(2)該ポリエステル樹脂のステレオコンプレックスに由来する融点が、180℃以上であることを特徴とする、(1)に記載のポリエステル樹脂。
(3)該ブロック共重合体(I)が、トリブロック共重合体であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のポリエステル樹脂。
(4)該ブロック共重合体(I)が、ペンタブロック共重合体であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のポリエステル樹脂。
(5)該ポリエステル単位(b)が、脂肪族ポリエステル単位であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
(6)該ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
(7)ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)であるポリエステル樹脂を2種以上含有し、ステレオコンプレックスであることを特徴とする、樹脂組成物。
(8)該樹脂組成物のステレオコンプレックスに由来する融点が、180℃以上であることを特徴とする、(7)に記載の樹脂組成物。
(9)該ブロック共重合体(I)が、トリブロック共重合体であることを特徴とする、(7)又は(8)に記載の樹脂組成物。
(10)該ブロック共重合体(I)が、ペンタブロック共重合体であることを特徴とする、(7)又は(8)に記載の樹脂組成物。
(11)該ポリエステル単位(b)が、脂肪族ポリエステル単位であることを特徴とする、(7)〜(10)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(12)該ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなる
ことを特徴とする、(7)〜(11)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(13)(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエステル樹脂、又は(7)〜(12)のいずれかに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、成型体。
本発明によれば高融点で且つ柔軟性及び機械的物性に優れたポリエステル樹脂(ポリ乳酸系共重合体)及び樹脂組成物を提供することができる。
実施例6〜8の樹脂組成物のX線回折図を示す。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の態様に限定されるものではない。
A.ポリエステル樹脂
本発明のポリエステル樹脂について説明する。本発明のポリエステル樹脂は、ポリ乳酸単位(a)及び、ポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)であり、ステレオコンプレックスであることを特徴とするものである。
本発明でいう、ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)とは、ブロック共重合体(I)におけるポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)の総量が、ブロック共重合体(I)の重量に対して50重量%以上であるブロック共重合体(I)をいうこととする。
また、ポリエステル樹脂がステレオコンプレックスであるとは、ポリ乳酸単位の一部又は全部がステレオコンプレックスであることをいう。
一般的に、ポリ乳酸のステレオコンプレックスは、例えば上述の非特許文献2に記載されているように、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを溶液中もしくは溶融状態で混合することにより形成され、ステレオコンプレックスとすることにより、ホモポリマーより高融点を示す。また特許文献1に記載されているように、X線回折でホモポリL−乳酸又はホモポリD−乳酸は2θ=16°付近にピークが観測され、ステレオコンプレックスポリ乳酸には2θ=12°付近にピークが観測される。
本発明においては、ポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))中に、ポリL−乳酸単位及びポリD−乳酸単位を含有させることにより、ポリL−乳酸単位及びポリD−乳酸単位の一部又は全部がステレオコンプレックスであるポリエステル樹脂とすることができる。ポリエステル樹脂が、ステレオコンプレックスであることの確認は、上記X線回折や、後述の融点測定等により行なうことができる。
本発明においては、ポリ乳酸部分がステレオコンプレックスとなっていることから、ポリエステル樹脂の耐熱性を高いものとすることができる。
また、ポリエステル単位(b)をソフトセグメントとしてブロック共重合していることから、ポリ乳酸単位のみを用いた場合と比較して、機械的物性を向上させることができ、ポリエステル樹脂全体の機械的物性を良好なものとすることが可能である。
<ポリ乳酸単位(a)>
本発明でいうポリ乳酸単位とは、乳酸、ラクチド、もしくはこれらの誘導体を単量体として重縮合又は開環重合された乳酸重合体構造を有する構成成分であり、上記単量体由来の構造が80重量%以上である単位をいうこととする。単量体として用いられる乳酸はL−乳酸及びその誘導体、D−乳酸及びその誘導体が挙げられ、ラクチドはL−ラクチド、D−ラクチドが挙げられる。上記の中でも重合性の点から、単量体としてL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましく用いられる。
ポリ乳酸単位(a)には乳酸またはラクチド以外の少量の他の共重合成分が重合されていても良いが、好ましくはL−乳酸、L−ラクチド、D−乳酸、D−ラクチド、もしくはこれらの誘導体のうちの1つ、もしくは2つ以上が単量体として用いられ、その純度としては好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。純度が上記値より小さい場合には、ステレオコンプレックスの形成が困難となり、耐熱性が低下する可能性がある。
ポリ乳酸単位のH−NMRから算出される数平均分子量は、通常1,000以上500,000以下である。数平均分子量の下限は、好ましくは2,000、より好ましくは5,000、さらに好ましくは10,000、特に好ましくは20,000である。数平均分子量の上限は、好ましくは200,000、より好ましくは100,000、さらに好ましくは50,000、特に好ましくは30,000である。ポリ乳酸単位の数平均分子量が上記下限値より小さい場合には、ポリ乳酸のステレオコンプレックスに由来する融点が低下する傾向がある。また、上記上限値より大きい場合には、ステレオコンプレックスの形成が困難となったり、ポリエステル樹脂の成型が困難となる可能性がある。
<ポリエステル単位(b)>
ポリエステル単位(b)としては、例えば、脂肪族ポリエステル単位、芳香族ポリエステル単位、及び脂肪族芳香族ポリエステル単位等が主成分となっているポリエステル単位が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。ここで、主成分とは、上記脂肪族ポリエステル単位、芳香族ポリエステル単位、及び脂肪族芳香族ポリエステル単位の総量が、ポリエステル単位(b)の重量に対して、50重量%以上であることをいう。
また、ポリエステル単位(b)は、乳酸単量体由来の構造が、通常40重量%以下とされ、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。なお、乳酸単量体とは、L−乳酸、L−ラクチド、D−乳酸、D−ラクチド、もしくはこれらの誘導体をいうこととする。また、ポリエステル単位(b)中の、乳酸単量体由来の構造の量は、NMRにより測定可能である。
また、ポリエステル単位(b)は、液体もしくはゴム状もしくは単独で引っ張り試験を行なった際の伸び率が100%以上であるものが好ましく、好ましくは200%以上であるものが好ましく、さらに好ましくは300%以上である。引っ張り試験は、実施例で具体的に示す方法により行なわれる。
上記芳香族ポリエステル単位とは通常芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなるポリエステル単位であり、ポリエチレンテレフタレート単位、ポリブチレンテレフタレート単位、ポリトリメチレンテレフタレート単位等が挙げられる。
また、上記脂肪族芳香族ポリエステル単位とは、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなるポリエステル単位、又は芳香族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とからなるポリエステル単位を意味する。
上記脂肪族ポリエステル単位とは脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ポリエステルとからなるポリエステル単位、もしくは乳酸以外の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主成分とするポリエステル単位である。
上記の中でも、機械的物性の改良効果、及び生分解性の点、さらにはトリブロック共重合体及びペンタブロック共重合体を合成しやすいという点から脂肪族ポリエステル単位が特に好ましい。
また、ポリエステル単位(b)は、トリブロック共重合体及びペンタブロック共重合体が製造しやすいという理由から両末端がヒドロキシ基を有することが好ましい。
両末端がヒドロキシ基であるポリエステル単位(b)の製造方法は特に限定されないが、例えばジカルボン酸単量体のモル数に対してジオール単量体のモル数を多く仕込んで合成する方法が用いられる。ジオール単量体とジカルボン酸の単量体の仕込み比は、得ようとするポリエステル単位(b)の分子量によって最適値が異なるが、仕込み比におけるジオール単量体のモル数は、カルボン酸単量体のモル数に対し、通常1%以上、100%以下過剰にする。ジオール単位の過剰量の好ましい下限は5%であり、より好ましくは10%である。過剰量の上限は好ましくは50%、より好ましくは30%である。
ポリエステル単位(b)のH−NMRから算出される数平均分子量は、通常3,000以上500,000以下である。数平均分子量の下限は、好ましくは5,000であり、より好ましくは10,000、さらに好ましくは15,000、特に好ましくは20,000である。数平均分子量の上限は、好ましくは300,000、より好ましくは100,000、さらに好ましくは60,000、特に好ましくは50,000である。数平均分子量の下限を上記範囲とすることにより、機械物性が良好であり成型性のよいポリエステル樹脂とすることができる。数平均分子量は高いほど機械物性が良好となるが、公知の方法で製造可能な数平均分子量は通常50,000以下である。
ポリエステル単位(b)には上記ジカルボン酸や上記ジオール等の共重合成分以外の、少量の他の共重合成分が重合されていても良いが、脂肪族ポリエステル単位、芳香族ポリエステル単位、及び脂肪族芳香族ポリエステル単位の総量が、ポリエステル単位(b)の重量に対して好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。純度が上記値より小さい場合には、ポリエステル単位(b)の特性の発揮が困難となる可能性がある。
・脂肪族ジカルボン酸
ポリエステル単位(b)の合成に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数が通常2以上の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、炭素数は好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上である。また炭素数は通常20以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、へプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
上記誘導体としては例えばカルボン酸のアルキルエステル、酸塩化物、酸無水物等が挙げられ、中でも反応性の点でカルボン酸のメチルエステルが好ましい。
また上記の中でも、物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸またはこれらの混合物がより好ましく、コハク酸は生体内のクレブス回路で生成する物質であるため生体材料として使用する場合が特に好ましい。
・脂肪族ジオール
ポリエステル単位(b)の合成に用いられる脂肪族ジオールとしては、炭素数が通常2以上の脂肪族ジオールが挙げられ、炭素数はより好ましくは3以上である。特に好ましくは4以上である。また炭素数は通常20以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中で、得られるブロック共重合体の物性の面及び重合性の点から、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール及び3−メチル−1,5ペンタンジオールが好ましく、特に1,4−ブタンジオール及び/又は3−メチル−1,5ペンタンジオールが好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
<他の共重合成分>
本発明のポリエステル樹脂は、ポリ乳酸単位(a)及び、ポリエステル単位(b)を主成分とするが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸単位(a)或はポリエステル単位(b)或はその両方の単位に他の成分を共重合させても良い。共重合可能な成分の原料としては、脂肪族ヒドロキシ化合物、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、芳香族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノール、脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ジアミン、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。上記の中でも脂肪族ジオール、脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸及びそのエステル、芳香族ジカルボン酸及びそのエステルが好ましく、さらに好ましくは脂肪族ジオールである。
共重合可能な脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカン二酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらは酸無水物であっても良い。また、脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸の誘導体としては、これらの脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。これらの中で、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、ダイマー酸及びドデカン二酸、またそれらの低級アルキル(例えば炭素数1〜4のアルキル)エステル誘導体が好ましく、特にはコハク酸及びコハク酸の低級アルキルエステル誘導体、又はその混合物が好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
共重合可能な芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらは酸無水物であっても良い。また、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、これらの芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。これらの中で、テレフタル酸及びイソフタル酸、またそれらの低級アルキル(例えば炭素数1〜4のアルキル)エステル誘導体が好ましく、特にテレフタル酸及びテレフタル酸のメチルエステル誘導体、又はその混合物が好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
共重合可能な脂肪族及び/又は脂環式ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルバイド等が挙げられる。これらの中でも物性の面から、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール及び1,3−プロパンジオールが好ましく、特に1,4−ブタンジオール及び/又はエチレングリコールが好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
共重合可能なヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸誘導体としては、分子中に1個の水酸基とカルボキシル基を有する化合物又はその誘導体であれば特に限定されるものではない。ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、マンデル酸、サリチル酸、及びこれらのエステル、酸塩化物、酸無水物等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
また、これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでも良い。
<ポリ乳酸単位(a)とポリエステル単位(b)との共重合比>
ポリ乳酸単位(a)とポリエステル単位(b)との共重合比は、目的の用途に応じて任意に設定することができる。ポリ乳酸単位(a)の共重合量は、ブロック共重合体(I)全体の通常1重量%以上99重量%以下である。ポリ乳酸単位(a)の共重合量の下限は、好ましくは5重量%、より好ましくは10重量%、さらに好ましくは20重量%、特に好ましくは30重量%である。ポリ乳酸単位(a)の共重合量の上限は、好ましくは95重量%、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは80重量%、特に好ましくは75重量%である。ポリ乳酸単位(a)が上記下限値より少ないとステレオコンプレックスを形成することが困難となり耐熱性が低下する傾向がある。またポリ乳酸単位(a)が上記上限値より多いと機械的物性が低下し脆くなる傾向がある。
また、ポリエステル単位(b)の共重合量は、ブロック共重合体(I)全体の通常5重量%以上95重量%以下である。ポリエステル単位(b)の共重合量の下限は、好ましくは10重量%、より好ましくは15重量%、さらに好ましくは20重量%、特に好ましくは30重量%である。ポリエステル単位(b)の共重合量の上限は、好ましくは90重量%、より好ましくは85重量%、さらに好ましくは80重量%、特に好ましくは70重量%である。ポリエステル単位(b)を上記範囲とすることにより、ポリエステル単位(b)由来の性質を発揮することが可能となる。
本発明のポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))は、上記ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするものであり、上述したように、ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)の総量は、ブロック共重合体(I)の50重量%以上であり、70重量%以上がより好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。これらの残部が、他の共重合成分等の総量となる。
<ブロック共重合体(I)の結合形式>
ブロック共重合体(I)中の、ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)の数は特に制限はないが、ステレオコンプレックスの形成しやすさ、及び製造のしやすさの観点から、トリブロック共重合体及びペンタブロック共重合体が好ましい。
トリブロック共重合体は、ポリL−乳酸単位をA、ポリD−乳酸単位をB、ポリ乳酸単位以外のポリエステル単位をCとすると、通常、結合形式としてA―C―A、B−C−B、A−C−B、C−A−B、C−A−C、C−B−Cなどが挙げられるが、ステレオコンプレックスとなるためには、同一の分子中にAとBの両方が含まれていることが必要である。したがって、本発明のポリエステル樹脂がトリブロック共重合体である場合には、結合形式はA−C−B、C−A−BまたはA−B−Cとされる。
また、本発明のポリエステル樹脂をペンタブロック共重合体とする場合、ポリL−乳酸単位をA、ポリD−乳酸単位をB、ポリエステル単位をCとすると、結合形式は、A―B―C―B−A、B―A−C−A−B、B−A−C−B―A、B−C−A−C―B、A−C−B−C―A等が挙げられる。上記の中でも製造のしやすさの点から好ましくは、A―B―C―B−A、B―A−C−A−Bである。
<ポリエステル樹脂の分子量及びその測定方法>
本発明のポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))の数平均分子量(Mn)は、H−NMRスペクトルの末端基定量分析値から算出することができる。また数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はSEC(Size Exclusion Chromatography)法によっても測定することができる。具体的には、ポリスチレン又はポリメタクリル酸メチルなどの分子量の異なる単分散の標準サンプルから作成した検量線を基にしてMn及びMwをSEC曲線を解析することにより決定することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))の上記SECにより算出される数平均分子量は、用途により好適な値が選択されるが、通常は5,000以上500,000以下である。数平均分子量の下限は、好ましくは10,000、より好ましくは20,000、さらに好ましくは40,000、特に好ましくは60,000である。数平均分子量の上限は、好ましくは400,000、より好ましくは300,000、さらに好ましくは200,000、特に好ましくは150,000である。数平均分子量が上記下限値より低いと機械的物性及び融点が低下する可能性がある。また上記上限値より多い場合には成型が困難となる可能性がある。
<ステレオコンプレックス由来の融点>
本発明のポリエステル樹脂は、ステレオコンプレックス由来の融点が、180℃以上であることが好ましく、より好ましくは190℃以上であり、さらに好ましくは200℃以上である。融点が180℃より低いと耐熱性が低下し、耐熱性が必要な用途には適応不可能となり用途範囲が狭くなる。融点の上限は特に無いが、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。融点が熱分解温度に近いと、溶融成型時に高温で成型する必要が有り、樹脂が成型時に分解する可能性がある。
上記ステレオコンプレックス由来の融点は、DSC熱分析装置で−50℃から240℃まで20℃/分で昇温した時の吸熱ピークにより検出される温度である。融点が複数ある場合は、各ブロック共重合単位ごとの融点との比較等を行なうこと及びX線回折のピーク等により、ステレオコンプレックス由来の融点が決定可能である。
<その他の成分>
本発明のポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))は、上記重合成分以外に、適宜、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば架橋成分、鎖延長剤、末端封止剤等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
・架橋成分
ポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))は少量の架橋成分を含有していても良い。架橋成分としては、例えば3官能以上のエステル形成性基を有する構成単位、アミド結合形成性基を有する構成単位、ウレタン結合形成性基を有する構成単位、炭素−炭素結合による構成単位等が挙げられるが、反応性の点からエステル形成性基を有する構成単位、及びウレタン結合形成性基を有する3官能化合物が好ましく用いられる。
架橋成分の割合はブロック共重合体(I)全体の構成成分の合計モル数に対して通常0.01モル%以上30モル%以下であるが、下限は好ましくは0.05モル%、より好ましくは0.1モル%、さらに好ましくは0.5モル%である。上限は好ましくは10モル%、より好ましくは8モル%、さらに好ましくは5モル%である。架橋成分が少なすぎると、架橋の効果が低下する傾向があり、多すぎると成型が困難となる傾向がある。
3官能以上のエステル形成性基を有する構成単位の化合物としては、例えば3官能以上の多価アルコール;3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物、酸塩化物、エステル;及び3官能以上のヒドロキシカルボン酸又はその無水物、酸塩化物、エステル;からなる群から選ばれる少なくとも1種の3官能以上の多官能化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
3官能以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、例えば、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
3官能以上のヒドロキシカルボン酸としては、例えば、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
これらのうち、特に、入手のし易さから、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が好ましい。
・鎖延長剤及び末端封止剤
ブロック共重合体(I)の製造に際し、例えばジイソシアネート、ジフェニルカーボネート、ジオキサゾリン、珪酸エステルなどの鎖延長剤を使用しても良い。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。特に、ジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物を使用する場合は、これらのカーボネート化合物をブロック共重合体(I)の全構成成分に対して、20モル%以下、好ましくは10モル%以下混合することが好ましい。
この場合、カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物も使用可能である。
また、ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネート等が例示できる。
珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が例示できる。
また、溶融テンションを高めるために、少量のパーオキサイドを混合しても良い。
これらはいずれも1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
また、本発明においては、ブロック共重合体(I)のポリエステル末端基をカルボジイミド、エポキシ化合物、単官能性のアルコール又はカルボン酸で封止しても良い。
この場合、末端封止剤のカルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)が挙げられ、具体的には、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が例示される。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
B.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)であるポリエステル樹脂を2種以上含有し、ステレオコンプレックスであることを特徴とする。
ここで、ステレオコンプレックスであるとは、ポリエステル樹脂中のポリ乳酸単位の一部又は全部がステレオコンプレックスであることをいう。
本発明においては、ポリL−乳酸単位を含むポリエステル樹脂と、ポリD−乳酸単位を含むポリエステル樹脂が、ステレオコンプレックスとなっていてもよく、またポリエステル樹脂内にポリL−乳酸単位及びポリD−乳酸単位を含んでおり、これらがステレオコンプレックスとなっていてもよい。樹脂組成物中のポリエステル樹脂が、ステレオコンプレックスであることの確認は、上述のポリエステル樹脂の場合と同様に、X線回折や融点測定等により行なうことができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸単位の一部又は全部がステレオコンプレックスであるポリエステル樹脂を含むことから、耐熱性を高いものとすることができ、この耐熱性を利用して、種々の用途に用いられる樹脂組成物とすることができる。
また、ポリエステル樹脂中に、ポリエステル単位(b)をソフトセグメントとしてブロック共重合していることから、ポリ乳酸単位(a)のみを用いた場合と比較して、ポリエステル樹脂の機械的物性を向上させることができる。したがって、機械的物性が必要とされる用途にも、樹脂組成物を用いることが可能となる。
<ポリエステル樹脂>
本発明の樹脂組成物に含まれる、ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)であるポリエステル樹脂であれば、特に制限はないが、製造効率等の面から、ブロック共重合体(I)が、トリブロック共重合体、及びペンタブロック共重合体であることが好ましい。
このようなポリエステル樹脂の一例としては、「A.ポリエステル樹脂」の項で説明したポリエステル樹脂が挙げられる。また、樹脂組成物中に含有されるポリエステル樹脂は、必ずしもブロック共重合体(I)中に、ポリL−乳酸単位及びポリD−乳酸単位を含む必要がない。したがって、例えばブロック共重合体(I)が、トリブロック共重合体である場合に、ポリL−乳酸単位をA、ポリD−乳酸単位をB、ポリエステル単位をCとしたときの結合形式が、A―C―A、B−C−B、C−A−C、C−B−Cであるものも含まれる。特に、製造上の面からは、A−C−A又はB−C−Bを用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂における、ポリ乳酸単位(a)、ポリエステル単位(b)、他の共重合成分、及びその他の成分、好ましい融点等については、上記「A.ポリエステル樹脂」の項で説明したものと同様とすることができる。
<ポリエステル樹脂の含有量>
樹脂組成物中には、ポリエステル樹脂を2種以上含み、発明の本質を損なわない範囲であれば、その数に特に制限はないが、特に2種類とすることが好ましい。
含有するポリエステル樹脂の種類は、樹脂組成物の用途等に応じて適宜選択される。
各ポリエステル樹脂は、樹脂組成物中に、それぞれ25重量%以上含有されることが好ましく、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは45重量%以上である。また通常75重量%以下、さらに60重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。このような範囲とすることにより、各ポリエステル樹脂の機能を発揮させることができる。
また、樹脂組成物に含有されるポリエステル樹脂の総量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。また通常100重量%以下、好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下である。このような範囲内とすることにより、ポリエステル樹脂の特性を発揮するものとすることができ、種々の用途に好適となる。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、上記2種以上のポリエステル樹脂以外に、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において、添加剤、結晶核剤、フィラー、上記ポリエステル樹脂以外の樹脂等を含有していてもよい。
・添加剤
樹脂組成物には、その特性が損なわれない範囲において、各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤等を混合しても良い。
これらの添加剤は、ポリエステル樹脂の重合反応前に反応装置に混合しても良いし、重合反応開始から重合反応終了の前に搬送装置等に混合しても良いし、重合反応終了後、生成物の抜出前に混合しても良い。また、抜出後の生成物に混合しても良い。
・結晶核剤
樹脂組成物には結晶核剤を混合しても良い、結晶核剤としては、タルク、窒化ホウ素、シリカ、層状ケイ酸塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが好ましく、さらには、タルク、ポリエチレンワックスが好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
ポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))に、結晶核剤を混合する場合には、ブロック共重合体(I)に対して0.001重量%以上含むことが好ましい。
結晶核剤が無機材料の場合、核剤効果としてはその粒径が小さいほど好ましい。好ましい結晶核剤の平均粒径は5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。なお、結晶核剤の平均粒径の下限については0.1μmである。
結晶核剤の好ましい混合量は、ブロック共重合体(I)に対して、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。また、結晶核剤の混合量の上限は30重量%、より好ましくは10重量%、さらに好ましくは5重量%、特に好ましくは1重量%である。結晶核剤の混合量が上記下限より少ないと、結晶核剤を混合したことによる結晶化促進の効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと機械的物性が低下し、しなやかさが損なわれる傾向がある。
なお、核剤としての機能を目的として混合しない場合でも、他の効果の目的、例えばポリエステル樹脂の剛性改良のため混合する無機フィラー、熱安定剤として混合する有機安定剤なども核剤として作用したり、ポリエステル樹脂の製造過程、或いは成形加工過程で混入する無機物或いは有機物の異物等も結晶核剤となり得る。従って、本発明でいう結晶核剤とは常温で固体であるすべての無機物、有機物が該当する。
・フィラー
樹脂組成物の成形時には、上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、窒化ホウ素、CaCO、TiO、シリカ、層状ケイ酸塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の結晶核剤、強化剤、増量剤等を混合して成形しても良い。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、樹脂組成物には、また、各種無機系又は有機系フィラーを混合しても良い。
無機系フィラーとしては、無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
無機系フィラーを含む樹脂組成物とする場合、全体の組成物中これらの無機系フィラーの含有量は、通常1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。また通常80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
有機系フィラーとしては、生澱粉、加工澱粉、パルプ、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、竹粉末、樹皮粉末、ケナフや藁等の粉末などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
有機系フィラーを含む樹脂組成物とする場合、樹脂組成物中のこれらの有機系フィラーの含有量は、通常0.1重量%以上であり、好ましくは1重量%以上である。また通常70重量%以下であり、好ましくは50重量%以下である。
無機系フィラー、有機系フィラーの含有量が上記下限値より少ないと、フィラー混合量が少ない為、その混合効果を十分に得ることができない可能性があり、上記上限値より多いと引張り伸び率、耐衝撃性が低下するなど機械的物性が低下する傾向がある。
C.ポリエステル樹脂、及び樹脂組成物の製造方法
<ポリエステル樹脂の製造方法>
上述のポリエステル樹脂の製造方法は、上述のポリエステル樹脂が製造可能な方法であれば特に制限はない。例えばポリエステルブロック共重合体の製造に関する公知の方法が採用できる。特に公知のポリ乳酸ジブロック共重合体やトリブロック共重合体の製造方法が好適に採用できる。
ポリエステル樹脂の製造方法の具体例としては、ポリエステル単位(b)を合成した後、該ポリエステル単位(b)の片方の末端、もしくは両末端にポリ乳酸単位(a)を重合させる方法や、ポリ乳酸単位(a)を合成した後、このポリ乳酸単位(a)の片方の末端、もしくは両方の末端にポリエステル単位(b)を重合させる方法等とすることができる。以下、ポリエルテル単位(b)を製造した後、このポリエステル単位にポリ乳酸単位(a)を重合する方法を説明するが、これに限定されるものではない。
・ポリエステル単位(b)の合成方法
上記ポリエステル樹脂におけるポリエステル単位(b)の合成方法は、ポリエステルの製造に関する公知の方法が採用できる。
具体的な製造方法の例としては、溶液重合、溶融重合、界面重縮合等が挙げられるが、効率の点で溶融重合が好ましい。
溶融重合は、通常原料を仕込んだ後に、反応容器を加熱し、減圧することによりエステル化反応および重縮合反応を行う。エステル化反応は通常、原料の融点以上で常圧又は窒素気流下で行い、重縮合反応は原料及び生成ポリマーの融点以上の温度で減圧条件下で行う。この際の重合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
例えば、ポリエステル単位(b)が脂肪族ポリエステル単位である場合には、好ましくは、前述の脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを有する成分及び共重合成分、その他、鎖延長剤や末端封止剤を用いて触媒の存在下で製造する。
重合工程の具体的な手順・条件等は特に限定されるものではなく、公知のポリエステルの製法手順・条件等をそのまま適用することができる。
(i)触媒:
重合工程は、通常は触媒の存在下で実施される。
触媒の種類は特に制限されず、ポリエステルの製造に使用可能な、任意の触媒を選択することが可能であるが、通常は金属触媒が用いられる。
金属触媒の例としては、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、鉛、セシウム、マンガン、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、カドミウム等の金属化合物が挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
中でも、金属触媒としては、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、鉛化合物が好ましく、スズ化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物がより好ましく、スズ化合物が特に好ましい。
スズ化合物の好適な具体例としては、オクチル酸スズ、塩化スズ、酸化スズ等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、高活性という点で、塩化スズ及びオクチル酸スズが好ましく、塩化スズが特に好ましい。
チタン化合物の好適な具体例としては、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラヒドロキシエチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタンなどの有機チタン化合物が挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、価格や入手の容易さ等の点から、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートが好ましく、テトラブチルチタネートが特に好ましい。
マグネシウム化合物の好適な具体例としては、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、n−酪酸マグネシウム、n−吉草酸マグネシウム、n−カプロン酸マグネシウム、n−カプリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウムが好ましく、酢酸マグネシウムが特に好ましい。
中でも、触媒活性が高いという点から、テトラアルコシキチタンとマグネシウム化合物との組み合わせが好ましく、テトラブチルチタネートと酢酸マグネシウムとの組み合わせが特に好ましい。
触媒の使用量は、全原料の合計重量に対する触媒中の金属換算の重量比で、通常0.1ppm以上、好ましくは10ppm以上、より好ましくは100ppm以上、特に好ましくは500ppm以上が用いられる。また、触媒の使用量は、通常30,000ppm以下、好ましくは20,000ppm以下、より好ましくは10,000ppm以下、特に好ましくは5,000ppm以下である。触媒の使用量が少な過ぎると、重合反応の反応速度が遅くなり過ぎてしまい、製造上好ましくない場合がある。一方、触媒の使用量が多過ぎると、製造したポリエステル単位(b)が着色することがありまた製造コストが高くなり過ぎてしまう可能性がある。また、触媒残渣が得られるポリエステル単位(b)の安定性に影響を及ぼす場合があり、さらに医療用材料として用いる場合には生体内での安全性に問題が生じる場合がある。
(ii)溶媒の有無:
重合工程は、溶媒の存在下で行なってもよく、溶媒の非存在下で行なってもよいが、実質的に溶媒が存在しない条件下で溶融重合により行なう方が、重合反応後に溶媒を除去する工程が省略でき、効率的に製造できるため好ましい。ここで「実質的に溶媒が存在しない条件下」とは、原料に対する溶媒の使用量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。但し、この場合でも、重合反応時において触媒や添加剤等を仕込む際に少量の溶媒を使用してもよい。
(iii)反応の方式:
重合工程の反応方式は特に制限されず、バッチ設備でも連続設備でも実施することが可能である。例えば、バッチ設備で反応を行なう場合、内部の温度及び圧力を制御可能な反応器を用いて、原料を仕込み、更に、反応器内の温度及び圧力を調整することにより、重合工程を実施すればよい。
重合工程における触媒、添加剤等の仕込み時機は特に制限されない。原料と同時に仕込んでもよく、原料の仕込みの前又は後に仕込んでもよい。
(iv)重合条件:
重合工程の条件は、以下の通りである。
重合温度は、通常130℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下である。重合温度が低過ぎると、重合反応の反応速度が遅くなり、ポリエステル単位(b)の製造効率が低下する場合がある。また、重合温度が高過ぎると、分子量分布が広くなったり、重合中にポリエステル樹脂が分解したり、着色を生じたりする場合がある。
重合時の圧力は特に制限されず、常圧条件下でも、加圧条件下でも、減圧条件下でもよいが、通常は減圧条件下で行なう。
重合時間は、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、また、通常100時間以下、好ましくは80時間以下、より好ましくは50時間以下、更に好ましくは40時間以下である。製造効率等を考慮の上、上記範囲の中から選択することが好ましい。
なお、重合反応時に、必要に応じて適宜、攪拌等を加えてもよい。
(v)その他:
重合工程の実施後、得られたポリエステル単位(b)は、そのまま利用してもよいが、必要に応じて後処理を施してもよい。後処理としては、溶媒を用いた場合における溶媒の除去処理、得られたポリエステル単位(b)の単離・精製処理、ポリエステル単位(b)の修飾処理等が挙げられる。製造工程の効率化のため、得られたポリエステル単位(b)はそのまま後処理を行わずに利用することが好ましい。
・ポリ乳酸単位(a)の重合方法
上記ポリエステル単位(b)にポリ乳酸単位(a)を重合する方法の例としては、溶液重合、溶融重合、界面重縮合等が挙げられるが、効率の点で溶融重合が好ましい。
ポリ乳酸単位(a)の製造には、通常ラクチドの開環重合が用いられる。例えばポリ乳酸単位(a)を製造する場合、原料として両末端或は片末端ヒドロキシル基含有ポリエステル単位(b)と、L−(又はD−)ラクチドとを仕込み、触媒を仕込んだ後、反応容器を加熱することにより開環重合反応を行う。この際の重合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
さらに、他のポリ乳酸単位(a)やポリエステル単位(b)を重合させる場合には、同様の重合工程を繰り返すことにより、ブロック共重合体(I)が得られる。
重合工程の具体的な手順・条件等は特に限定されるものではなく、公知のポリ乳酸系ブロック共重合体の製法手順・条件等をそのまま適用することができる。重合時間は、通常10分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、更に好ましくは3時間以下である。製造効率等を考慮の上、上記範囲の中から選択することが好ましい。なお、重合時に用いられる触媒、溶媒の有無、反応の方式、その他の事項については、上記ポリエステル単位の製造方法で記載したものと同様とすることができる。
なお、最終的に得られたブロック共重合体(I)をステレオコンプレックスとする場合には、例えば溶融成型或は一度有機溶媒に溶解させた溶液から溶媒を留去する等の処理によりステレオコンプレックスとすることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物は、2種類の上述したポリエステル樹脂(ブロック共重合体(I))を、必要に応じて上記添加剤やフィラー等を加えて、公知の方法によりブレンドする方法等により製造することができる。例えば、(ポリL−乳酸)―(脂肪族ポリエステル)−(ポリL−乳酸)トリブロック共重合体と(ポリD−乳酸)−(脂肪族ポリエステル)−(ポリD−乳酸)トリブロック共重合体とを公知の方法によりブレンドする方法等とすることができる。樹脂組成物を、2種類のブロック共重合体(I)を含有するものとする場合には、例えば、同一の有機溶媒中に2種類のブロック共重合体を溶解させた均一の溶液とした後、キャストフィルムを作製する方法や、同一の有機溶媒中に2種類のブロック共重合体を溶解させ、均一の溶液とした後、両方のブロック共重合体が溶解しない大過剰の溶媒中に混合溶液を投入した後、析出固体を回収する方法、2種類のブロック共重合体を両方の共重合体の融点より高い温度に加熱して溶融状態で機械的に混合する方法などが挙げられる。均一の溶液として混合する方法がステレオコンプレックスを形成させるためには好適である。
D.ポリエステル樹脂及び樹脂組成物の機械的物性
本発明のポリエステル樹脂、又は樹脂組成物の機械的物性は、引っ張り試験、耐衝撃性試験、圧縮強度試験、引き裂き強度試験などの公知の方法によって評価することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂、又は樹脂組成物の引張弾性率は、通常1MPa以上3000MPa以下である。用途により好適な範囲が異なるが、10MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは500MPa以上、特に好ましくは1000MPa以上である。引張弾性率が下限値より小さいと十分な剛性、硬度を得ることができない可能性がある。
本発明のポリエステル樹脂、又は樹脂組成物の引張破断強度は1MPa以上が好ましく、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは20MPa以上、特に好ましくは30MPa以上である。引張破断強度が下限値より小さいと、実用的材料として十分な強度を得ることができず、実使用に耐えない可能性がある。
本発明のポリエステル樹脂、又は樹脂組成物の引張伸び率は5%以上が好ましく、より好ましくは10%以上、更に好ましくは100%以上、特に好ましくは400%以上である。引張伸び率が下限値より小さいと、実用的材料として十分な強度を得ることができず、実使用に耐えない可能性がある。
なお、ポリエステル樹脂、又は樹脂組成物の引張弾性率、引張破断強度、引張伸び率は、ポリエステル樹脂や、樹脂組成物を成形して得られたサンプルフィルムの引張試験における破断時の応力であり、詳しくは、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
E.用途
本発明のポリエステル樹脂、及び樹脂成型体の用途としては、例えば成型体が挙げられる。
<成型体>
本発明のポリエステル樹脂及び樹脂組成物は、フィルム、シート、繊維、発泡体、射出成形品、押出成型品、不織布、多孔体、コーディング層、等の任意の形態に成型することができる。成型体を製造する場合、例えば、他の脂肪族ポリエステル樹脂や他の汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック樹脂等)と混合して用いてもよい。
ポリエステル樹脂及び樹脂組成物の好適な成型形態はフィルムである。フィルムの厚さは、通常0.001μm以上10mmであり、厚さの下限は、好ましくは0.01μm、さらに好ましくは0.1μm、より好ましくは1μm、特に好ましくは10μmである。厚さの上限は、5mmが好ましく、さらに好ましくは1mm、より好ましくは500μm、特に好ましくは300μmである。
<成型方法>
本発明のポリエステル樹脂、又は樹脂組成物は、汎用プラスチック、機能性樹脂材料に適用される各種成形法により成形に供することが出来る。
その成形法としては例えば、キャスト成型、圧縮溶融成型(熱プレス成型)、ディップ塗布成型、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、紡糸成型(溶融紡糸法、電解紡糸法)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂及び樹脂組成物は、特に射出成形体、キャスト成型、圧縮溶融成型(熱プレス成型)、ディップ塗布成型、の成型法の適用が好ましい。
また、これらの成形品には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、各種合目的的二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。
<成型体の用途>
本発明の成型体の具体的な用途の例としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレーやファーストフード等の容器、野外レジャー製品など)、押出成形品(フィルム、シート等、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シートなど)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、ペングリップ、歯ブラシグリップ、ボタン、ゴーグルガスケットなどの日用雑貨、食品包装フィルム、食品包装容器などの食品関連材料、自動車内装材、自動車外装材、エアバックカバー、ドアクラッチ、サイドモールエンドキャップ、ドアミラーなどの自動車部品、筐体、筐体衝撃吸収材、携帯電話コネクタキャップ、グリップ、タッチパネル、キーボードなどの電子電気部品、土木シート、ケーブル、ホース、パッキンなどの土木工業材料、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、不織布、医療用として手術糸、縫合糸、癒着防止膜、ステント、ステントコーティング材、人工血管、人工骨、人工軟骨、骨ピン、骨補修材、人工股関節、人工膝関節、脊髄損傷補修材、人工靭帯、人工皮膚、マイクロカプセルなどのDDS(Drug Delivery System)、創傷被覆材、歯科材料、コンタクトレンズ、細胞培養容器、細胞培養運搬器具、細胞の足場材等が挙げられる。
更に、トナーバインダー、熱転写用インキバインダー等の情報電子材料、電気製品筐体、インパネ、シート、ピラー等の自動車内装部品、バンパー、フロントグリル、ホイールカバー等自動車外装構造材料等の自動車部品等にも使用できる。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、各種物性測定及びポリマーの合成は次のように行った。
<構造決定>
ポリマーの構造解析は、Bruker ARX スペクトロメーター H−NMR分析装置を用い、ケミカルシフト内部標準物質テトラメチルシランを含有させた重クロロホルム溶液で、測定した。
<分子量>
数平均分子量Mnは前記H−NMR分析装置により末端基定量法により算出した。また、数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、SEC分析装置(LC−10ADvポンプ、RID−10A RI検出器、C−R7Aクロマトデータ解析装置を備えた島津株式会社製分析システム)により測定した。コハク酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールのポリエステル単位(b)(以下、「Soft1」ともいう。)を有するトリブロックポリマー(実施例1及び2、比較例1及び2)については、SEC分析装置(LC−10ADvポンプ、RID−10A RI検出器、C−R7Aクロマトデータ解析装置を備えた島津株式会社製分析システム)により測定した。具体的には、1,3−ジオキソランを溶離液として45℃で東ソー株式会社製TSKgel GMHHR−M カラムを2本用いてポリスチレンを分子量標準物質とした検量線により数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
Soft1を有するペンタブロックポリマー(実施例6〜8)については、SEC分析装置(LC−10ADvポンプ、RID−10A RI検出器、C−R7Aクロマトデータ解析装置を備えた島津株式会社製分析システム)により測定した。具体的には、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶離液として40℃で昭和電工株式会社製Shodex HFIP−806M カラムを用いてPMMAを分子量標準物質とした検量線により数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
コハク酸と1,4−ブタンジオールのポリエステル単位(b)(以下、「Soft2」ともいう。)を有するポリマー(実施例3〜5、9、及び10)、およびPDLA(ポリD−乳酸)(比較例3)、PLLA(ポリL−乳酸)(比較例4)については、LC−20AD pump、RID−10A RI 検出器、クロロホルムを溶離液として40℃で東ソー株式会社製TSKgelSuperHZM−Nカラムを2本用いて、ポリスチレンを分子量標準物質とした検量線により数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
<熱物性>
Soft1を有する共重合体においては融点、ガラス転移温度は、Perkin Elmer Diamond DSC熱分析装置により、α−アルミナをレファレンスとして窒素下で測定した。サンプルを−50℃から240℃に昇温速度20℃/分で昇温(1回目昇温)の後、240℃から−50℃に1〜2分でインタークーラーを用いてクエンチすることにより急冷した。次に−50℃から240℃に20℃/分で昇温(2回目昇温)した。最後に240℃から20℃まで10℃/分で降温(冷却過程)を行った。このときの2回目昇温の時の吸熱ピークによる融点、変曲点によるガラス転移温度、吸熱ピークの面積により融解熱を測定した。
Soft2を有する共重合体においては融点、ガラス転移温度は、SEIKO INSTRUMENT SSC/5200 DSC熱分析装置により、α−アルミナをレファレンスとして窒素下で測定した。サンプルを25℃から240℃に昇温速度10℃/分で昇温(1回目昇温)の後、240℃から−60℃の液体窒素中に静置することにより急冷した。次に−50℃から240℃に10℃/分で昇温(2回目昇温)した。最後に240℃から20℃まで10℃/分で降温(冷却過程)を行った。このときの2回目昇温の時の吸熱ピークによる融点、変曲点によるガラス転移温度、吸熱ピークの面積により融解熱を測定した。
<引張試験>
実施例及び比較例で得られたポリエステル樹脂、又は樹脂組成物のフィルムの機械的物性は引張試験により測定した。引張試験機はオリエンテック株式会社製STA−1150装置によって、室温で標線間距離20mm、クロスヘッド速度50mm/分の条件で測定した。厚さ100μmのフィルムの引張り試験を行い、繰り返しサンプル数n=5以上の平均値により引張り強度、引張り弾性率、引張り伸び率の測定値とした。
<結晶解析>
広角X線回折(WAXS)はRigaku2000FSL X線回折システム(Rigaku RINT2000X線発生装置 40kV−50mA ニッケルフィルターCu−Kα照射、λ=0.1542nm、2θ=5−40℃、スキャン速度2°/分)を用いて行った。
<ソフトセグメント=ポリエステル単位(b)の合成>
フラスコにコハク酸(SA)59.1g(0.501モル)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)70.9g(0.601モル)を仕込み、150℃にフラスコを加熱し、フラスコの内圧を30Torrに減圧し3時間反応させた。その結果、SA/MPDオリゴマー(重合度1〜3)が85%の収率で得られた。得られたSA/MPDオリゴマー(50g)をSnCl・2HO(0.15g)及びp−トルエンスルホン酸(0.15g)を190℃、内圧5Torrで36時間重合反応を行い数平均分子量Mn=20,000のポリエステルSA/MPDを得た。ポリマーの数平均分子量及び構造はH−NMRにより確認した。以下に帰属を示す。
δ(ppm)=0.95 (OCH2CH2CH(CH 3 )CH2CH2O),
1.49 (OCH2CH 2 CH(CH3)CH 2 CH2O),
1.68 (OCH2CH2CH(CH3)CH2CH2O),
2.61 (COOCH 2 CH 2 COO),
3.68 (OCH2CH2CH(CH3)CH2CH 2 OH),
4.13 (OCH 2 CH2CH(CH3)CH2CH 2 O)
<トリブロック共重合体の合成>
数平均分子量20,000のポリエステルSA/MPDを反応容器に仕込み、次にL−ラクチドとオクチル酸スズ(L−ラクチドに対して1.78×10−5mol%)を窒素下で仕込んだ。ポリエステルSA/MPDとL−ラクチドの仕込み重量比は、合成するトリブロック共重合体のポリ乳酸単位(ラクチド)とポリエステル単位(SA/MPD)の共重合比と等しくなるように決定した。反応容器を180℃1時間で重合反応を行った。得られた(ポリL−乳酸)−(ポリエステルSA/MPD)−(ポリL−乳酸)トリブロック共重合体をジクロロメタンに溶解させ大過剰のメタノール中に析出させ、濾過、乾燥した。ポリマーの数平均分子量及び構造はH−NMRにより確認した。
<ペンタブロック共重合体の合成>
前記方法により得られたトリブロック共重合体(ポリL−乳酸)−(ポリエステルSA/MPD)−(ポリL−乳酸)とD−ラクチド及びオクチル酸スズ(D−ラクチドに対して1.78×10−5mol%)を反応容器に仕込んだ。トリブロック共重合体とD−ラクチドの仕込み重量比は、合成するペンタブロック共重合体の共重合組成比に従って決定した。反応容器を190℃で1時間加熱して重合反応を行った。得られたポリマーをジクロロメタン/1,1,1,3,3,3,−ペンタフルオロ−2−プロパノール(90/10 vol%)に溶解させ大過剰のメタノール中に析出させ、濾過、乾燥し、(ポリD−乳酸)−(ポリL−乳酸)−(ポリエステルSA/MPD)−(ポリL−乳酸)−(ポリD−乳酸)のペンタブロック共重合体を得た。ポリマーの数平均分子量及び構造はH−NMRにより確認した。
<フィルム作製方法>
得られた共重合体をジクロロメタン或はジクロロメタン/1,1,1,3,3,3,−ペンタフルオロ−2−プロパノール(90/10 vol%)に5g/dL溶解させ、ガラス基板上でキャストフィルムを作製した。
[実施例1]
前記<トリブロック共重合体の合成>の方法において、L−ラクチドとソフトセグメント(SA/MPD)の仕込み重量比を25:20にしてポリL−乳酸(12.5k)−Soft1(ポリエステルSA/MPD)(20k)−ポリL−乳酸(12.5k)のトリブロック共重合を得た。(上記カッコ内の数字は、仕込み比から計算した理論分子量であり、例えば20kとは理論分子量が20,000であることを表す。)
またこのL−ラクチドをD−ラクチドに変えることにより、L−ラクチドをD−ラクチドに変えた以外は同様の方法により、ポリD−乳酸(12.5k)−Soft1(ポリエステルSA/MPD)(20k)−ポリD−乳酸(12.5k)トリブロック共重合体を得た。これら2種類のトリブロック共重合体を等量、溶液中でブレンドして前記<フィルム作製方法>記載の方法により本発明の樹脂組成物からなるキャストフィルムを作製した。このキャストフィルムを用いて引張り試験、熱分析を行った。ブレンドしたキャストフィルムは203℃にステレオコンプレックスに由来する融点を示した。引っ張り試験では200%以上の引張り伸び率を示した。結果を表1に示した。また、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示す。
[実施例2]
トリブロック共重合体の共重合組成比を表1に示すように変えてブレンドし、実施例1と同様に引っ張り試験、熱分析を行った。ブレンドしたキャストフィルムは200℃付近にステレオコンプレックスに由来する融点を示した。引っ張り伸び率は20%以上を示し、機械的物性に優れた柔軟なフィルムが得られた。表1に、各物性を示し、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。
[実施例3]
<ソフトセグメント=ポリエステル単位(b)の合成>において、MPDを1,4−ブタンジオール(BD)に変え、p−トルエンスルホン酸を用いなかった以外は前述の<ソフトセグメント=ポリエステル単位(b)の合成>と同様の方法により、Soft2(ポリエステルSA/BD)を得た。構造確認及び数平均分子量Mn測定をH−NMRにより行った。15時間重合反応を行うことによりMn=22,000のポリエステルが得られた。このSoft2のポリエステル単位(b)を用いて前記<ペンタブロック共重合体の合成>に記載の方法と同様の方法により、(ポリL−乳酸)−(ポリD−乳酸)−Soft2(ポリエステルSA/BD)−(ポリD−乳酸)−(ポリL−乳酸)のペンタブロック共重合体(本発明のポリエステル樹脂)を得た。このペンタブロック共重合体について、H−NMRにより分子量及び構造を確認した。SEC測定によるMnは73,000、Mwは101,000であった。熱分析の結果を表1に示した。209℃にステレオコンプレックスに由来する融点を示した。また、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。
参考例1、2
実施例3で用いたSoft2(ポリエステル単位(b))を用い、<ペンタブロック共重合体の合成>に記載の方法と同様の方法により、仕込み組成比を表1の参考例1又はに示す組成に変えた以外は実施例3と同様にペンタブロック共重合体の合成を行い、(ポリL−乳酸)−(ポリD−乳酸)−Soft2(ポリエステルSA/BD)−(ポリD−乳酸)−(ポリL−乳酸)のペンタブロック共重合体(本発明のポリエステル樹脂)を得た。SEC測定によるMnは参考例1が93,000であり、参考例2が110,000であった。またMwは参考例1が168,000、参考例2が200,000であった。熱分析の結果を表1に示した。また、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。ステレオコンプレックスに由来する融点を200℃付近で示し耐熱性が良好であることがわかった。
[実施例6、7、参考例3
<ソフトセグメント=ポリエステル単位(b)の合成>の方法により合成したMn=20,000のポリエステルSA/MPDを用いて<ペンタブロック共重合体の合成>に記載の方法により、仕込み組成比を表1の実施例6、7、参考例3の共重合組成比となるようにしてペンタブロック共重合体(本発明のポリエステル樹脂)を合成した。SECで測定したMnは実施例6が54,000、実施例7が71,000、参考例3が90,000であり、Mwは実施例6が150,000、実施例7が215,000、参考例3が322,000であった。熱分析及び引張り試験の結果を表1に示した。キャストフィルムは190℃付近にステレオコンプレックスに由来する融点を示した。引っ張り試験では弾性率と強度及び引張り伸び率のバランスが良好であった。表1に、各物性を示し、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。図1に実施例6、7、参考例3の樹脂組成物のX線回折図を示す。2θ=12°にステレオコンプレックスに由来するピークが観測された。
参考例4、5
実施例3と同様の方法で重合時間のみ35時間にした以外は実施例3と同様の方法により、Mn=22,000のSoft2(ポリエステルSA/BD)を得た。実施例3と同様にして表1の参考例4、5の組成比のペンタブロック共重合体(本発明のポリエステル樹脂)を得た。構造確認及び数平均分子量Mn測定をH−NMRにより行った。SEC測定によるMnは参考例4が68,000、参考例5が107,000であり、Mwは参考例4が147,000、参考例5が133,000であった。熱分析及の結果を表1に示した。また、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。ステレオコンプレックスに由来する200℃以上の融点を示した。
[比較例1、2]
実施例1に記載の方法と同様にして、仕込み組成比を表1の比較例1、2の共重合組成比になるように合わせて、トリブロック共重合体を得た。これらトリブロック共重合体単独の熱分析及び引張り試験の結果を表1に示した。また、数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。融点はいずれも170℃以下であった。
[比較例3]
ポリD−乳酸単独の熱分析及び引張り試験結果を表1に示した。融点は170℃以下であり、キャストにより作成したフィルムは、引張り伸びが小さく脆いフィルムであった。結果を表1に示す。SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。
[比較例4]
L−乳酸ホモポリマー(数平均分子量123,000)とD−乳酸ホモポリマー(数平均分子量118,000)を用いて実施例1と同様の方法によりフィルムを作成し物性測定を行った。結果を表1に示す。また、SECにより測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを表2に示した。フィルムは脆く引っ張り試験における伸びが小さかった。
Figure 0005616074
Figure 0005616074
表1に示すように、本発明によれば、耐熱性が高く、機械的物性に優れたポリエステル及びポリエステル組成物を提供することができる。具体的には、実施例1の本発明の樹脂組成物(ステレオコンプレックス)と、ポリ乳酸がL体のみのポリエステル樹脂を用いた比較例2のステレオコンプレックスではないポリエステル樹脂とを比較すると、引っ張り伸び等の機械的物性で実施例1の樹脂組成物の方が優れていることが明らかである。
本発明のポリエステル樹脂、及び樹脂組成物は、高融点で且つ柔軟性、及び機械的物性に優れている。したがって、これらは環境配慮型材料として、例えば繊維や医療用材料、さらには種々の分野に適用可能な産業上利用価値の高いものである。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸単位(a)及びポリエステル単位(b)を主成分とするブロック共重合体(I)であり、前記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなり、前記ポリエステル単位(b)の共重合量がブロック共重合体(I)全体の15重量%以上であり、厚さ100μmのフィルムの室温での引張り伸び率が20%以上であってステレオコンプレックスであることを特徴とする、ポリエステル樹脂。
  2. 上記ポリエステル樹脂のステレオコンプレックスに由来する融点が、180℃以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 上記ブロック共重合体(I)が、ペンタブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
  4. 上記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ポリエステル単位であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、成型体。
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