JP6041550B2 - ポリ乳酸系樹脂組成物及びそれを用いたフィルム又はシート - Google Patents

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本発明は、ポリ乳酸系樹脂組成物、より詳しくは、ポリ乳酸系フィルム又はシートの製造に適したポリ乳酸系樹脂組成物に関する。
また、本発明は、ポリ乳酸系フィルム又はシート、より詳しくは、製造時や加工時に破断や裂けが生じないポリ乳酸系フィルム又はシートに関する。
また、本発明は、粘着テープ又はシート、より詳しくは、製造時や加工時に破断や裂けが生じないポリ乳酸系フィルム又はシートを基材とする粘着テープ又はシートに関する。
また、本発明は、ポリ乳酸系フィルム又はシート、より詳しくは、耐熱性に優れるとともに、製造時や加工時に破断や裂けが生じないポリ乳酸系フィルム又はシートに関する。
また、本発明は、粘着テープ又はシート、より詳しくは、耐熱性に優れるとともに、製造時や加工時に破断や裂けが生じない、ポリ乳酸系フィルム又はシートを基材とする粘着テープ又はシートに関する。
ポリ乳酸は植物由来のバイオマスポリマーであり、石油由来のポリマーに替わる樹脂として注目されている。ポリ乳酸は高弾性、高強度のポリマーであるが、結晶化速度が遅く、通常の成膜方法では、ほとんど結晶化しない。その結晶性の低いフィルムであっても、耐引裂き性が低いことが課題である。また、その結晶性の低いフィルムを無延伸の状態で結晶化させると、さらに脆くなってしまい、耐衝撃性、耐引裂き性が著しく低下する。また、ポリ乳酸は、成膜後に一軸又は二軸の延伸をして、延伸結晶化させることにより、透明で、高い結晶化度のフィルムを得ることができる。しかし、融点が170℃でありながら、高温下に置くと熱収縮が起こり、形状を維持できず、70℃程度から収縮が起こることが確認されている。
そこで、従来、ポリ乳酸系樹脂フィルムのこれらの課題を改善するため、いくつかの方法が提案されている。
これらの対策として、ポリ乳酸に、結晶性の脂肪族ポリエステルを添加する方法が提案されている(特許文献1、2)。また、ポリ乳酸に脂肪族ポリエステル/コアシェル型ゴムを添加し、一軸、あるいは二軸伸長させる方法が提案されている(特許文献3)。これらの方法によって、耐衝撃性/耐熱性の両立が可能となった。また、ポリ乳酸フィルムに柔軟性及び耐熱性を付与させる技術として、ポリ乳酸と可塑剤と結晶核剤とを含む樹脂組成物を、フィルム成形後に設けられた熱処理工程で、結晶化を促進することが提案されている(特許文献4)。
特開平8−283557号公報 特許3753254号公報 特開2009−173715号公報 特許4699180号公報
しかし、特許文献1、2記載の方法では、ポリ乳酸を結晶化させない場合でも透明性が得られにくく、また、結晶化させた場合は、多量に添加しないと耐引裂き性を改善することができないという問題があった。また、特許文献1〜3記載の方法では、石油由来のポリマー、添加剤を多量にブレンドしているために、植物由来成分比率(バイオマス度)が著しく低下するという問題があった。
また、特許文献4記載の方法では、可塑剤を添加させるためにブリードアウトが生じる恐れがあり、また、柔軟性の改良効果は得られるものの、耐引裂性の改良効果は乏しいという問題があった。また、このようなフィルム又はシートを粘着テープ等の基材として用いると、粘着テープ等の製造時や加工時に粘着テープ等に破断や裂けが生じる場合があるという問題があった。
そのため、ポリ乳酸の高弾性の特徴を損ねることなく、耐引裂き性を付与したポリ乳酸系フィルム又はシートを、フィルム又はシートの製造時や加工時、ロール状に巻回する際等に破断や裂けが無い引裂強度を有し、フィルム又はシートを効率良く製造できるポリ乳酸系樹脂組成物が求められている。
従って、本発明の目的は、バイオマス度が高く、透明性、弾性が良好で、外観も優れたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、耐熱性が不要な用途では極めて優れた引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシート、耐熱性が必要な用途では120℃を超える高温においても融解や変形が無い耐熱性と十分な引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシートを製造できるポリ乳酸系樹脂組成物を提供することにある。
そこで、本発明者らが、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリ乳酸に、特定の非晶性ポリエステル、及び/又は、非晶性ポリエステルの両端にポリ乳酸を重合してなるトリブロック共重合体を添加したポリ乳酸系樹脂組成物を用いることにより、フィルム又はシートとして、引裂強度が一定値以上であるポリ乳酸系樹脂フィルム又はシートを製造でき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
ポリ乳酸(A)と、
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)、及び、
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)から選択された少なくとも1種とを含み、
ポリ乳酸セグメントと非晶性ポリエステルセグメントとの重量比(前者:後者)が、98:2〜51:49であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。
ポリ乳酸(A0)の重量平均分子量は6000〜100000であることが好ましい。
ポリ乳酸(A)の乳酸成分とポリ乳酸(A0)の乳酸成分との光学異性体種は同一であることが好ましい。
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)は、ポリプロピレンサクシネートであることが好ましい。
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)は、ポリプロピレンサクシネートであることが好ましい。
前記ポリ乳酸系樹脂組成物は、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)をさらに含むことが好ましい。
また、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の含有量は、ポリ乳酸(A)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)との総量100重量部に対し、0.1〜10重量部であることが好ましい。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の酸価は10〜70mgKOH/gであることが好ましい。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の重量平均分子量は10000〜80000であることが好ましい。
前記ポリ乳酸系樹脂組成物は、フッ素系ポリマー(E)をさらに含むことが好ましい。
また、フッ素系ポリマー(E)の含有量は、ポリ乳酸(A)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)との総量100重量部に対し、0.5〜15重量部であることが好ましい。
フッ素系ポリマー(E)はテトラフルオロエチレン系ポリマーであることが好ましい。
また、本発明は、
前記ポリ乳酸系樹脂組成物を用いて形成されたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、
下記式(1)で求められる成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′が30J/g未満であり、且つ、
引裂強度(JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠)が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに160N/mm以上である、
ポリ乳酸系フィルム又はシートを提供する。
ΔHc′=ΔHm−ΔHc (1)
[式中、ΔHcは、DSCにて測定される、成膜後のポリ乳酸系フィルム又はシートの昇温過程での結晶化に伴う発熱量(J/g)であり、ΔHmは、一度融解させた後に、降温過程で結晶化させ、その後、再昇温させたときの融解に伴う吸熱量(J/g)である。なお、降温過程で結晶化可能領域は全て結晶化しており、再昇温過程では再結晶化に伴う発熱はないものとする]
上記ポリ乳酸系フィルム又はシートを、以下単にポリ乳酸系フィルム又はシート(P)と称する場合がある。
また、本発明は、
ポリ乳酸(A)と、
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)、及び、
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)から選択された少なくとも1種とを含み、
ポリ乳酸セグメントと非晶性ポリエステルセグメントとの重量比(前者:後者)が、98:2〜80:20であるポリ乳酸系樹脂組成物を用いて形成されたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、
上記式(1)で求められる成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′が30J/g以上であり、且つ、
引裂強度(JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠)が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに120N/mm以上であることを特徴とする、
ポリ乳酸系フィルム又はシートを提供する。
上記ポリ乳酸系フィルム又はシートを、以下単にポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)と称する場合がある。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)において、ポリ乳酸(A0)の重量平均分子量は6000〜100000であることが好ましい。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)において、ポリ乳酸(A)の乳酸成分とポリ乳酸(A0)の乳酸成分との光学異性体種が同一であることが好ましい。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)において、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)が、ポリプロピレンサクシネートであることが好ましい。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)において、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)が、ポリプロピレンサクシネートであることが好ましい。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)は、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)をさらに含むことが好ましい。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の含有量は、ポリ乳酸(A)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)との総量100重量部に対し、0.1〜10重量部であることが好ましい。また、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の酸価は10〜70mgKOH/gであることが好ましい。また、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の重量平均分子量は10000〜80000であることが好ましい。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)は、フッ素系ポリマー(E)をさらに含むことが好ましい。フッ素系ポリマー(E)の含量は、ポリ乳酸(A)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)と、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)との総量100重量部に対し、0.5〜15重量部であることが好ましい。また、フッ素系ポリマー(E)はテトラフルオロエチレン系ポリマーであることが好ましい。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(P)及びポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)の何れも、溶融成膜法により成膜されたものであることが好ましい。
また、本発明は、ポリ乳酸系フィルム又はシート(P)又はポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)を基材とする粘着テープ又はシートを提供する。
なお、「ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)」を、以下、単に「非晶性ポリエステル(B)」と称することがある。また、「ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)」を、以下、単に「非晶性ポリエステル(B0)」と称することがある。さらに、「ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)」を、以下、単に「トリブロック共重合体(C)」と称することがある。
また、本明細書におけるポリ乳酸セグメントとは、ポリ乳酸系樹脂組成物におけるポリ乳酸構造部(ポリ乳酸(A)及びポリ乳酸(A0))を意味するものとし、ポリ乳酸(A)がホモポリマーの場合には、ポリ乳酸セグメントはポリ乳酸(A)全体を含むものとする。
また、本明細書における非晶性ポリエステルセグメントとは、ポリ乳酸系樹脂組成物における非晶性ポリエステル構造部(非晶性ポリエステル(B)及び非晶性ポリエステル(B0))を意味するものとし、非晶性ポリエステル(B)がホモポリマーの場合には、非晶性ポリエステルセグメントは非晶性ポリエステル(B)全体を含むものとする。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物によれば、バイオマス度が高く、透明性、弾性が良好で、外観も優れたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、耐熱性が不要な用途では極めて優れた引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシート、耐熱性が必要な用途では120℃を超える高温においても融解や変形が無い耐熱性と十分な引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシートを製造できる。
本発明のポリ乳酸系フィルム又はシートは、バイオマス度が高く、透明性、弾性が良好で、外観も優れており、耐熱性が不要な用途では極めて優れた引裂強度を有し、耐熱性が必要な用途では120℃を超える高温においても融解や変形が無い耐熱性と十分な引裂強度を有する。
[ポリ乳酸系樹脂組成物]
本願発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、
ポリ乳酸(A)と、
非晶性ポリエステル(B)及びトリブロック共重合体(C)から選択された少なくとも1種とを含み、
ポリ乳酸セグメントと非晶性ポリエステルセグメントとの重量比(前者:後者)が、98:2〜51:49であることを特徴とするが、上記以外の点では、特に制限されない。
ポリ乳酸系樹脂組成物において、前述のように、ポリ乳酸セグメントと、非晶性ポリエステルセグメントとの重量比(前者:後者)は、形状維持の観点から98:2〜51:49であるが、ポリ乳酸の持つ高弾性の維持、経済性の観点からすると、非晶性ポリエステルセグメントの添加量は少ないほうが良いため、前記重量比は97:3〜65:35であることが好ましく、96:4〜80:20であることがより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂組成物は、引裂強度の改善効果の観点から、非晶性ポリエステル(B)及びトリブロック共重合体(C)の双方を含むことが好ましい。この場合、非晶性ポリエステル(B)とトリブロック共重合体(C)との重量比(前者:後者)は、10:2〜10:8であることがより好ましい。
[ポリ乳酸(A)]
本発明の粘着テープ又はシートの基材として用いられるポリ乳酸系フィルム又はシートは、ポリ乳酸(A)を含む樹脂フィルム又はシートである。ポリ乳酸の原料モノマーである乳酸は、不斉炭素原子を有するため、光学異性体のL体とD体が存在する。本発明で使用するポリ乳酸(A)は、どちらも使用できる。L体の乳酸を主成分とした場合、製造時に不純物として混入するD体の乳酸の含有量が少ないものほど、高結晶性で高融点の重合体となるため、できるだけL体純度の高いものを用いるのが好ましく、L体純度が95%以上のものを用いるのがより好ましい。D体の乳酸を主成分とした場合は、その反対で、D体純度が95%以上のものを用いるのが好ましい。
また、ポリ乳酸(A)は、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。前記他の共重合成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA等のポリオール化合物;シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の多価カルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸;プロピオラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オン等のラクトン等が挙げられる。これらの共重合成分は、ポリ乳酸(A)を構成する全モノマー成分に対し、0〜30モル%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜10モル%である。
ポリ乳酸(A)の重量平均分子量は、例えば、1万〜40万、好ましくは5万〜30万、さらに好ましくは8万〜20万である。また、ポリ乳酸(A)の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート[JIS K−7210(試験条件4)]は、例えば、0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜10g/10分、特に好ましくは1〜7g/10分である。前記メルトフローレートの値が高すぎると、成膜して得られるフィルム又はシートの機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。また、前記メルトフローレートの値が低すぎると、成膜時の負荷が高くなりすぎる場合がある。
なお、本発明において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるもの(ポリスチレン換算)をいう。GPCの測定条件は下記の通りである。
カラム:TSKgel SuperHZM−H/HZ2000/HZ1000
カラムサイズ:4.6mmI.D.×150mm
溶離液:クロロホルム
流量:0.3ml/min
検出器:RI
カラム温度:40℃
注入量:10μl
ポリ乳酸の製造方法としては特に制限はないが、代表的な製造方法として、ラクチド法、直接重合法等が挙げられる。ラクチド法は、乳酸を加熱脱水縮合して低分子量のポリ乳酸とし、これを減圧下加熱分解することにより乳酸の環状二量体であるラクチドを得、このラクチドをオクタン酸スズ(II)等の金属塩触媒存在下で開環重合することにより、高分子量のポリ乳酸を得る方法である。また、直接重合法は、乳酸をジフェニルエーテル等の溶媒中で減圧下に加熱し、加水分解を抑制するため水分を除去しながら重合させることにより直接的にポリ乳酸を得る方法である。
ポリ乳酸(A)としては、市販品を使用できる。市販品として、例えば、商品名「レイシアH−400」、「レイシアH−100」(以上、三井化学社製)、商品名「テラマックTP−4000」、「テラマックTE−4000」(以上、ユニチカ社製)等が挙げられる。もちろん、ポリ乳酸(A)としては、公知乃至慣用の重合方法(例えば、乳化重合法、溶液重合法等)により製造したものを用いてもよい。
ポリ乳酸系樹脂組成物におけるポリ乳酸(A)の含有量は、バイオマス度を高める観点から、通常、60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。また、前記ポリ乳酸(A)の含有量の上限は、例えば、97重量%、好ましくは95重量%、さらに好ましくは93重量%である。ここでバイオマス度とは、フィルム又はシートの乾燥重量に対する使用したバイオマスの乾燥重量の割合のことである。また、バイオマスとは再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものである。
[非晶性ポリエステル(B)]
非晶性ポリエステル(B)は、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000であれば良く、その他の点では特に制限されない。
非晶性ポリエステル(B)を製造する際に使用できるジオールとしては、脂肪族ジオールや芳香族ジオールが挙げられ、なかでも脂肪族ジオールを使用することが好ましい。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール等を使用することができる。中でも特に、植物由来のダイマージオール、また、近年、植物由来で製造が可能となってきた、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等は、地球環境にやさしい等の観点から、好ましい。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記ジオールとしては、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ダイマージオール等の分岐したアルキル基を有するジオールを使用することで、ジカルボン酸との組み合わせにもよるが、非晶性ポリエステルを容易に得ることができ、また、柔軟性を一層向上させるため好ましい。
また、前記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を使用することができる。例えば、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水コハク酸、フマル酸、コハク酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等や、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。中でも特に、植物由来で、地球環境にやさしい等の観点から、セバシン酸、コハク酸、ダイマー酸が好ましい。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記ジカルボン酸と前記ジオールのモル比(前者:後者)は、1:1.05〜1:1.60であることが好ましく、1:1.07〜1:1.50がより好ましく、1:1.10〜1:1.40が更に好ましい。前記モル比が1:1.05より小さくなると、得られるポリエステルの分子量は大きくなるが、分子量の制御が難しく、また、作業性も悪くなるため、好ましくない。一方、前記モル比が、1:1.60を超えると、所望の分子量より小さなポリエステルしか得られない傾向にあり、ポリ乳酸へ添加しても、改質効果が得られにくくなるため、好ましくない。
非晶性ポリエステル(B)は、重量平均分子量が30000〜600000であるが、好ましくは35000〜580000であり、より好ましくは40000〜550000である。重量平均分子量が30000未満の場合は、ポリマーの凝集力が低いため、ポリ乳酸(A)に添加しても、逆に引裂強度を低下させる恐れがある。高分子量であるほど、凝集性が高まり、ポリ乳酸(A)の耐引裂き性の改質効果は大きくなるが、重量平均分子量が600000を超えると、ポリ乳酸(A)への分散性が低下するため、フィルムの物性・外観を損ねる恐れがあり、好ましくない。
本発明において、前記ジカルボン酸と前記ジオールとの重合(縮合重合)反応は、溶剤を使用して行ってもよいし、減圧下、無溶剤で行ってもよく、従来公知の方法が使用できる。
前記重合(縮合重合)反応で生成する水を除去する方法としては、トルエンやキシレンを用いて共沸脱水させる方法や、反応系内に不活性ガスを吹き込み、不活性ガスと共に、生成した水や、モノアルコールを反応系外に排出する方法、減圧下で溜出する方法等が挙げられる。
前記重合(縮合重合)反応に用いられる重合触媒としては、通常のポリエステルの重合触媒に用いられるものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属や、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物や、p−トルエンスルホン酸や硫酸等の強酸化合物を用いることができる。
また、前記重合触媒の使用量は、通常、前記ジオールとジカルボン酸との反応を制御でき、且つ色相等の良好なものが得られる量であればよく、一般的にジオールとジカルボン酸等との合計量に対し、10〜1000ppmの範囲であることが好ましく、20〜800ppmの範囲であることがより好ましく、30〜500ppmの範囲であることが、重合物の着色を抑制する観点から特に好ましい。
非晶性ポリエステル(B)を高分子量化する手法として、鎖延長させても良い。重量平均分子量が10000〜40000程度のポリマーを用い、これにジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等を添加して、所望の分子量の非晶性ポリエステル(B)を得ても良い。すなわち、非晶性ポリエステル(B)には、ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られるポリマーを鎖延長させたものも含まれる。
非晶性ポリエステル(B)のガラス転移温度は、特に制限されないが、例えば−50℃〜25℃であり、好ましくは−45℃〜15℃、より好ましくは−40℃〜5℃である。ガラス転移温度が25℃を超えると、室温付近でガラス化してしまい、柔軟性、耐引裂き性が低下する原因となる。ガラス転移温度が−50℃よりも低いと、ポリマーの粘着性が高くなるため、取扱いが悪くなる恐れがある。
非晶性ポリエステル(B)は、適度な柔軟性と透明性を有する点から、脂肪族ジアルコールと脂肪族ジカルボン酸とのコポリマーが好ましく、ポリアルキレンサクシネートがより好ましく、ポリプロピレンサクシネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)サクシネート、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン)サクシネート等が特に好ましい。さらに、ジオール、ジカルボン酸が共に植物由来である点から、ポリプロピレンサクシネートが、一層好ましい。
ポリ乳酸系樹脂組成物が、トリブロック共重合体(C)を含まない場合の非晶性ポリエステル(B)の含有量は、耐引き裂き性向上と形状維持の観点から、通常、ポリ乳酸(A)と非晶性ポリエステル(B)との総量100重量部に対して、2重量部以上であり、好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは4重量部以上であり、非晶性ポリエステル(B)の含有量の上限は、例えば、49重量部、好ましくは35重量部、さらに好ましくは20重量部である。
[トリブロック共重合体(C)]
本発明のトリブロック共重合体(C)は、例えば、非晶性ポリエステル(B0)の両末端の水酸基を起点に、ラクチドを開環重合させることによって得られる。
開環重合の際に使用する触媒は、特に限定はされず、既知のものを使用できる。前記開環重合触媒としては、例えば、Sn、Ti、Zr、Zn、Ge、Co、Fe、Al、Mn、Hf等の金属又は有機金属化合物を好ましく使用することができる。これらの中でも、スズ粉末、オクタン酸スズ、2−エチルヘキシル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、テトライソプロピルチタネート、テトラブトキシチタン、チタンオキシアセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)エトキサイド、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムアセチルアセトナートは、反応に対する活性作用が高いため好ましい。
前記開環重合触媒の使用量は、例えば、非晶性ポリエステル(B0)とラクチドとの合計量に対して10〜500ppmの範囲が好ましく、20〜400ppmの範囲がより好ましく、30〜300ppmの範囲が特に好ましい。開環重合触媒の使用量がかかる範囲であれば、トリブロック共重合体(C)の分子量低下を抑制するとともに、良好な色相を有するトリブロック共重合体(C)を得ることができる。
本発明において、前記非晶性ポリエステル(B0)とラクチドとの開環重合は、溶剤を使用して行ってもよい。使用可能な溶媒としては、例えば、トルエン等の不活性な溶媒を使用することができる。
ラクチドは不斉炭素原子を有するため、光学異性体のL体とD体が存在する。ポリ乳酸(A0)で使用するラクチドは、ポリ乳酸(A)で使用するラクチドと同じ光学異性体であることが好ましい。また、ポリ乳酸(A)の乳酸成分とポリ乳酸(A0)の乳酸成分との光学異性体種が同一であることが好ましい。
トリブロック共重合体(C)における、ポリ乳酸(A0)部の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば6000〜100000であり、好ましくは8000〜90000であり、より好ましくは10000〜80000である。重量平均分子量が6000未満の場合は、トリブロック共重合体(C)をポリ乳酸(A)に添加したときに十分な絡み合い効果が得られない恐れがある。また、重量平均分子量が100000を超えると、ポリ乳酸(A)への分散性が悪くなり、外観不良の原因となり、好ましくない。
ポリ乳酸系樹脂組成物が、非晶性ポリエステル(B)及びトリブロック共重合体(C)の双方を含む場合、トリブロック共重合体(C)が、非晶性ポリエステル(B)のドメインとポリ乳酸(A)のマトリックスの間に存在し、相容化剤的に働くことにより、引裂強度をより向上させる観点から、ポリ乳酸(A0)の含有量は、ポリ乳酸(A)部100重量部に対して、通常0.3〜20重量部、好ましくは0.4〜10重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
ポリ乳酸(A0)についての他の好ましい特質としては、ポリ乳酸(A)について上述したことと同様である。
トリブロック共重合体(C)における、非晶性ポリエステル(B0)部の重量平均分子量は10000〜120000であるが、好ましくは12000〜115000であり、さらに好ましくは15000〜110000である。重量平均分子量が10000未満の場合は、ポリマーの凝集力が低いため、ポリ乳酸に添加しても、逆に引裂強度を低下させる恐れがある。また、重量平均分子量が120000を超えると、ラクチドとの反応性が低下して、ポリ乳酸が単独で重合する恐れがあり、好ましくない。
ポリ乳酸系樹脂組成物が、非晶性ポリエステル(B)及びトリブロック共重合体(C)の両方を含む場合、トリブロック共重合体(C)が、前述のように相容化剤的に働くことにより、引裂強度を向上させる観点から、非晶性ポリエステル(B0)の含有量は、非晶性ポリエステル(B)部100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部である。
非晶性ポリエステル(B0)についての他の好ましい特質としては、非晶性ポリエステル(B)について上述したことと同様である。
トリブロック共重合体(C)は、重量平均分子量が22000〜320000であり、好ましくは50000〜250000であり、より好ましくは100000〜200000である。重量平均分子量が22000未満の場合は、凝集力不足で引き裂き強度が逆に低下するという問題が生じる場合がある。一方、重量平均分子量が320000を超えると、ポリ乳酸(A)や非晶性ポリエステル(B)との分散性が悪くなるという問題が生じる場合がある。
トリブロック共重合体(C)のガラス転移温度は、特に制限されないが、例えば−50℃〜25℃であり、好ましくは−45℃〜15℃、より好ましくは−40℃〜5℃である。ガラス転移温度が25℃を超えると、室温付近でガラス化してしまい、柔軟性、耐引裂き性が低下する原因となる。ガラス転移温度が−50℃よりも低いと、ポリマーの粘着性が高くなるため、取扱いが悪くなる恐れがある。
[酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)]
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記の成分のほか、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)を含んでいてもよい。ポリ乳酸系樹脂組成物として、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)を配合したものを用いることにより、ロール滑性を付与できる。このため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物をカレンダー成膜機等により溶融状態にし、金属ロール間の空隙を通過させて成膜させる際に、フィルム又はシートが金属ロールの表面から容易に剥離し、円滑に成膜することができる。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基又はその誘導体基等が挙げられる。カルボキシル基の誘導体基とは、カルボキシル基から化学的に誘導されるものであって、例えば、カルボン酸の酸無水物基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基等が挙げられる。これらのなかでも、カルボン酸無水物基が好ましい。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)は、例えば、未変性ポリオレフィン系重合体に、上記の「酸性官能基」を含有する不飽和化合物(以下、「酸性官能基含有不飽和化合物」と略記する場合がある)をグラフトして得られる。
未変性ポリオレフィン系重合体としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレンとα−オレフィンの共重合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体等のポリオレフィン類又はそれらのオリゴマー類;エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、低結晶性エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムのブレンド等のポリオレフィン系エラストマー類;及びこれらの二種以上の混和物等が挙げられる。これらのなかでも、好ましくは、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、低密度ポリエチレン及びそれらのオリゴマー類であり、特に好ましくはポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体及びそれらのオリゴマー類である。上記「オリゴマー類」としては、対応するポリマーから、熱分解による分子量減成法によって得られるもの等が挙げられる。オリゴマー類は、重合法によっても得ることができる。
酸性官能基含有不飽和化合物としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基の誘導体基含有不飽和化合物等が挙げられる。カルボキシル基含有不飽和化合物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、クロロイタコン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、カルボキシル基の誘導体基含有不飽和化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のカルボン酸無水物基含有不飽和化合物;メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、マレイミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらのなかでも、カルボキシル基含有不飽和化合物、カルボン酸無水物基含有不飽和化合物が好ましく、さらに好ましくは酸無水物基含有不飽和化合物であり、特に好ましくは無水マレイン酸である。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば10000〜80000であり、好ましくは15000〜70000、より好ましくは20000〜60000である。この重量平均分子量が10000未満では、フィルム又はシート成形後のブリードアウトの原因になりやすく、80000を超えると、ロール混練中に、ポリ乳酸系樹脂組成物と分離する場合が生じる。ここで、ブリードアウトとはフィルム又はシート成形後に、時間経過により低分子量成分がフィルム又はシート表面に出てくる現象をいう。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)中の酸性官能基は、オレフィン系ポリマーのどの位置に結合していてもよく、その変性割合は特に制限されないが、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の酸価は、通常10〜70mgKOH/gであり、好ましくは20〜60mgKOH/gである。該酸価が10mgKOH/g未満では、ロール滑性の向上効果が得られず、70mgKOH/gを超えると、ロールへのプレートアウトを引き起こしやすくなる。ここで、ロールへのプレートアウトとは、金属ロールを用いて樹脂組成物を溶融成膜する際に、樹脂組成物に配合される成分又はその酸化、分解、化合若しくは劣化した生成物等が金属ロールの表面に付着又は堆積することをいう。なお、本発明において、「酸価」とは、JIS K0070−1992の中和滴定法に準拠して測定されるものをいう。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)は、未変性ポリオレフィン系重合体と酸性官能基含有不飽和化合物とを有機過酸化物の存在下で反応させることによって得られる。有機過酸化物としては、一般にラジカル重合において開始剤として用いられているものが使用できる。かかる反応は、溶液法、溶融法の何れの方法によっても行うことができる。溶液法では、未変性ポリオレフィン系重合体及び酸性官能基含有不飽和化合物の混合物を有機過酸化物とともに有機溶媒に溶解し、加熱することにより、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)を得ることができる。反応温度は、好ましくは110〜170℃程度である。
溶融法では、未変性ポリオレフィン系重合体及び酸性官能基含有不飽和化合物の混合物を有機過酸化物と混合し、溶融混合して反応させることによって、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)を得ることができる。溶融混合は、押し出し機、プラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー等の各種混合機で行うことができ、混練温度は通常、未変性ポリオレフィン系重合体の融点〜300℃の温度範囲である。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)は、好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)としては、市販品を用いることができ、例えば、三洋化成工業社製の商品名「ユーメックス1010」(無水マレイン酸基変性ポリプロピレン、酸価:52mgKOH/g、重量平均分子量:32000、変性割合:10重量%)、「ユーメックス1001」(無水マレイン酸基変性ポリプロピレン、酸価:26mgKOH/g、重量平均分子量:49000、変性割合:5重量%)、「ユーメックス2000」(無水マレイン酸基含有変性ポリエチレン、酸価:30mgKOH/g、重量平均分子量:20000、変性割合:5重量%)等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物における酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の含有量は特に制限されず、ポリ乳酸(A)と非晶性ポリエステル(B)とトリブロック共重合体(C)との総量100重量部に対して、ロールへのプレートアウトがないロール滑性効果の持続性とバイオマス度維持の観点から、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の含有量が0.1重量部未満では、ロール滑性向上効果が得がたく、10重量部を超えると、添加量に応じた効果が得られず、またバイオマス度の低下が問題となる。
[フッ素系ポリマー(E)]
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、フッ素系ポリマー(E)を含んでいてもよい。フッ素系ポリマー(E)は、例えば、溶融張力調整剤や、結晶化促進剤として利用される。フッ素系ポリマー(E)としては、例えば、テトラフルオロエチレン系ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等が挙げられる。フッ素系ポリマー(E)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。フッ素系ポリマー(E)としては、特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)を好適に用いることができる。
前記テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)は、テトラフルオロエチレンの単独重合体であってもよく、テトラフルオロエチレンと他の単量体との共重合体であってもよい。テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
フッ素系ポリマー(E)は、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融張力を向上させ、例えば、溶融成膜過程の流動場での配向結晶化を可能にすることで、ポリ乳酸セグメントの結晶化を促進させる。また、フッ素系ポリマー(E)を、ポリ乳酸系樹脂組成物に配合すると、溶融張力が向上するとともに、溶融粘度も上昇するので、例えばカレンダーロールを用いて成膜する場合において、成膜された樹脂組成物がロールから離れる際の伸びや剥離不良割れや裂けの発生を防止できる。また、特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)等のフッ素系ポリマーは、ポリ乳酸セグメントの結晶核剤としての働きも持ち合わせることから、成膜直後の樹脂組成物の温度を結晶化温度付近に設定することで、ポリ乳酸セグメントの結晶化をさらに促進させることができる。このように、フッ素系ポリマー(E)[特にテトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)]の配合によってポリ乳酸セグメントの結晶化を促進でき、それによりポリ乳酸系フィルム又はシートのΔHc′を高めることができる。
テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)のポリ乳酸セグメントに対する結晶核剤としての働きは、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の結晶構造に依存していると考えられる。広角X線回折を行ったところ、ポリ乳酸の結晶格子の面間隔が4.8オングストロームであるのに対して、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の面間隔は4.9オングストロームであった。このことより、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)がエピタキシー的作用を有することにより、ポリ乳酸セグメントの結晶核剤として働きうるものと考えられる。ここで、エピタキシー的作用とは、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の表面でポリ乳酸セグメントが結晶成長し、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の結晶表面の結晶面にそろえてポリ乳酸セグメントが配列する成長の様式をいう。
テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の面間隔は、テトラフルオロエチレンと他の単量体との共重合体であっても、テトラフルオロエチレン部の結晶形態に支配されるため、面間隔は何れも同じである。従って、ポリテトラフルオロエチレンの結晶形態が維持でき、物性が大きく変わらない程度であれば、共重合体の他の単量体成分の量は特に限定されないが、通常、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)中の他の単量体成分の割合は5重量%以下であることが望ましい。
テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)としては、いかなる重合方法で得られたものであってもよいが、乳化重合で得られたものが特に好ましい。乳化重合で得られたテトラフルオロエチレン系ポリマーは、繊維化しやすいため、ポリ乳酸系樹脂組成物中でネットワーク構造をとりやすくなり、前記樹脂組成物の溶融張力を向上させ、溶融成膜過程の流動場でのポリ乳酸の結晶化促進に効果的に作用するものと考えられる。
また、ポリ乳酸系樹脂組成物中に均一に分散させるために、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の粒子を、例えば(メタ)アクリル酸エステル系重合体のようなポリ乳酸(A)との親和性が良好なポリマーで変性したものを用いてもよい。このようなテトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)として、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
フッ素系ポリマー(E)[テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)等]の重量平均分子量は、特に制限されないが、通常100万〜1000万、好ましくは200万〜800万である。
フッ素系ポリマー(E)[テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)等]としては、市販品を用いてもよい。例えば、ポリテトラフルオロエチレンの市販品として、旭硝子社製の商品名「フルオンCD−014」、「フルオンCD−1」、「フルオンCD−145」等が挙げられる。アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製の商品名「メタブレンA−3000」、「メタブレンA−3800」等のメタブレンAシリーズが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂組成物におけるフッ素系ポリマー(E)の含有量[特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の含有量]は、ポリ乳酸(A)と非晶性ポリエステル(B)とトリブロック共重合体(C)との総量100重量部に対して、溶融張力向上効果、バイオマス度の維持、及び良好な面状態を得るという観点から、通常0.5〜15重量部、好ましくは0.7〜10重量部、さらに好ましくは0.8〜5重量部である。上記フッ素系ポリマー(E)の含有量[特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)の含有量]が0.5重量部未満では、溶融張力向上の効果が得がたく、15重量部を超えると、添加量に応じた効果が得られず、またバイオマス度の低下が問題となる。
[その他]
結晶化促進剤としては、上記フッ素系ポリマー(E)のうち結晶化促進剤として利用可能なフッ素系ポリマー[例えば、テトラフルオロエチレン系ポリマー(E′)等]以外のものを用いることもできる。このような結晶化促進剤[結晶化促進剤と称する場合がある]としては、結晶化促進の効果が認められるものであれば、特に限定されないが、ポリ乳酸セグメントの結晶格子の面間隔に近い面間隔を持つ結晶構造を有する物質を選択することが望ましい。結晶格子の面間隔がポリ乳酸セグメントの結晶格子の面間隔に近い物質ほど、ポリ乳酸セグメントの結晶核剤としての効果が高いからである。そのような結晶化促進剤としては、例えば、有機系物質であるポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート、フェニルホスホン酸亜鉛、フェニルホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸マグネシウム、無機系物質のタルク、クレー等が挙げられる。なかでも、最も面間隔がポリ乳酸セグメントの面間隔に近似し、良好な結晶化促進効果が得られるフェニルホスホン酸亜鉛が好ましい。結晶化促進剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(白色顔料等)、ドリップ防止剤、難燃剤、加水分解防止剤、発泡剤、充填剤、等が挙げられる。
[ポリ乳酸系フィルム又はシート]
本願発明のポリ乳酸系フィルム又はシートのうち、
ポリ乳酸系フィルム又はシート(P)は、
本願発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いて形成されたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、
下記式(1)で求められる成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′が30J/g未満であり、且つ、
引裂強度(JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠)が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに160N/mm以上であるが、上記以外の点では、特に制限されない。
ΔHc′=ΔHm−ΔHc (1)
[式中、ΔHcは、DSCにて測定される、成膜後のポリ乳酸系フィルム又はシートの昇温過程での結晶化に伴う発熱量(J/g)であり、ΔHmは、一度融解させた後に、降温過程で結晶化させ、その後、再昇温させたときの融解に伴う吸熱量(J/g)である。なお、降温過程で結晶化可能領域は全て結晶化しており、再昇温過程では再結晶化に伴う発熱はないものとする]
ポリ乳酸系フィルム又はシート(P)は、前記引裂強度が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに160N/mm以上であるが、さらに引裂強度を向上させる観点から、前記引裂強度は、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに、好ましくは170N/mm以上であり、より好ましくは180N/mm以上である。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(P)は、成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′が30J/g未満であるが、ある程度の耐熱性を確保する観点から、成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′は、好ましくは10J/g以上であり、より好ましくは15J/g以上である。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(P)において、初期弾性率は、特に制限されないが、ある程度の弾性を確保する観点から、例えば、1200MPa以上であり、好ましくは1400MPa以上であり、より好ましくは1600MPa以上である。
本願発明のポリ乳酸系フィルム又はシートのうち、
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)は、
ポリ乳酸(A)と、
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)、及び、
ジオールとジカルボン酸とを反応させることによって得られ、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)から選択された少なくとも1種とを含み、
ポリ乳酸セグメントと非晶性ポリエステルセグメントとの重量比(前者:後者)が、98:2〜80:20であるポリ乳酸系樹脂組成物を用いて形成されたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、
上記式(1)で求められる成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′が30J/g以上であり、且つ、
引裂強度(JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠)が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに120N/mm以上であるが、上記以外の点では、特に制限されない。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)における、ポリ乳酸(A)、非晶性ポリエステル(B)、トリブロック共重合体(C)、ポリ乳酸(A0)、及び非晶性ポリエステル(B0)については、それぞれ、本願発明のポリ乳酸系樹脂組成物におけるポリ乳酸(A)、非晶性ポリエステル(B)、トリブロック共重合体(C)、ポリ乳酸(A0)、及び非晶性ポリエステル(B0)と同様に考えることができる。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)は、前記引裂強度が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに120N/mm以上であるが、さらに引裂強度を向上させる観点から、前記引裂強度は、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに、好ましくは130N/mm以上であり、より好ましくは140N/mm以上である。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)は、成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′が30J/g以上であるが、さらに耐熱性を向上させる観点から、成膜時結晶化部の融解吸熱量ΔHc′は、好ましくは32J/g以上であり、より好ましくは35J/g以上である。
ポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)において、初期弾性率は、特に制限されないが、ある程度の弾性を確保する観点から、例えば、1200MPa以上であり、好ましくは1400MPa以上であり、より好ましくは1600MPa以上である。
[ポリ乳酸系フィルム又はシートの製造方法]
本願発明のポリ乳酸系フィルム又はシートの製造方法としては、特に制限されないが、例えば、二軸押出機等による連続溶融混練機、又は加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ロール混練機等のバッチ式溶融混練機により、各成分を均一分散させた樹脂組成物を調製し、これを、例えば、溶融成膜法、例えば、プレス成型法、又は、Tダイ法、インフレーション法等の押出法、さらに又はカレンダー法、ポリッシング法等により成膜、冷却固化すること等により製造することができるが、溶融成膜法により成膜されたものであることが、使用材料の自由度、生産性、経済性の観点から好ましい。
さらに耐熱性が必要な場合は、任意の方法を用いて、結晶化させても良い。
特にポリ乳酸系フィルム又はシート(Q)の場合は、より高温で使用可能とするために、結晶化させることが好ましい。
結晶化の具体的な方法としては、特に制限されないが、例えば、
(1)溶融成膜して冷却させる過程で、結晶化温度の工程を施すことにより結晶化させる方法、
(2)溶融成膜して冷却させた後に、結晶化温度の工程を施すことにより結晶化させる方法、及び、
(3)溶融成膜して冷却させた後に、一軸あるいは二軸の延伸を行うことにより延伸結晶化させる方法等がある。
前記方法のうち、特に好ましいのは、
(1)溶融成膜して冷却させる過程で、結晶化温度の工程を施すことにより結晶化させる方法、である。
この方法であれば、成膜時の残留応力によるひずみの影響を受けにくく、高温下でも熱収縮の影響の少ないポリ乳酸系フィルム又はシートを得ることができる。
溶融成膜時の温度は、特に制限されないが、作業性、ポリマー劣化の観点から、例えば、170〜230℃であり、好ましくは180〜220℃である。
結晶化温度は、特に制限されないが、ポリ乳酸の結晶化温度が120℃程度であることから、例えば、110〜140℃であり、好ましくは120〜135℃である。結晶化処理の時間は、所定の結晶化熱量が得られていれば、特に制限されないが、生産性、経済性の観点から、できるだけ短時間のほうがよく、例えば、0.5〜10分であり、好ましくは1〜7分である。
冷却時の温度は、ポリ乳酸のガラス転移温度60℃程度より低い温度であれば、特に制限されないが、例えば、0〜50℃である。
[粘着テープ又はシート]
本願発明の粘着テープ又はシートは、
本願発明のポリ乳酸系フィルム又はシートを基材とする粘着テープ又はシートであって、上記以外の点では、特に制限されない。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例等における各方法、各評価は下記のようにして行った。
[非晶性ポリエステル(B)の重合方法]
<B1の重合例>
プロピレングリコール(PG)300gとコハク酸(SA)233gを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で、150℃のオイルバス中700Torrの条件で混合した。その後、生成する水を除去しながら7hかけて300Torrまで徐々に減圧し、脱水反応を行った。その後、生成物の重量に対し0.2wt%量のチタンテトラノルマルブトキシドを加え、窒素雰囲気下、150℃のオイルバス中で混合した。そして30Torrまで徐々に減圧後、1h毎に10℃昇温して行き、180℃になるまで加熱し、その温度で84h反応させた。この反応により得られた非晶性ポリエステルB1のNMRより求めた数平均分子量Mn(NMR)は9200であった。そのGPCによる数平均分子量Mn(GPC)は15900、重量平均分子量Mw(GPC)は27000であった。
<B2の重合例>
B1と同様の方法で数平均分子量Mn(NMR)が11500、Mn(GPC)が20000、重量平均分子量Mwが36000のポリプロピレンサクシネート(PPS)を合成した。得られたPPS 30gを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150℃のオイルバス中で30分間、加熱攪拌した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をPPSの水酸基に対し、モル比で0.7mol%となる量を加え、20min反応させた。得られたB2のGPCRより求めた数平均分子量Mn(GPC)は59100、重量平均分子量Mw(GPC)は142000であった。
B2に対するHDIの仕込み比と反応条件を変えて同様の反応を行いB3−B5の非晶性ポリエステルを得た。その結果は下表に示すとおりであった。
Figure 0006041550
[トリブロック共重合体(C)の重合方法]
<C1の重合例>
数平均分子量Mn(NMR)が18700のポリプロピレンサクシネート(PPS)21.7g、及びL−ラクチド28.3gを反応容器に仕込み、高真空下(0.5Torr以下)、40℃のオイルバス中で5h攪拌し、乾燥させた。その後、L−ラクチドに対し9.0×10-3mol%量のオクチル酸スズを加え、40℃で2h、及び90℃で1h乾燥を行った。その後、混合物を180℃で30min加熱して、重合を行った。重合生成物をジクロロメタンに溶解させた後、大過剰のメタノール中に投入して析出させ、濾過、乾燥した。得られたトリブロック共重合体CのNMRより求めた数平均分子量Mn(NMR)は49200であった。そのGPCによる数平均分子量Mn(GPC)は59100、重量平均分子量Mw(GPC)は142000であった。
[非晶性ポリエステル(B)及びトリブロック共重合体(C)の物性確認]
<NMRによる構造解析>
ポリマーの構造解析は、600MHz 1H−NMR分析装置を用い、以下の条件で測定した。
装置:Brucker UltraSheld Plus spectrometer
溶媒:重クロロホルム
基準物質:テトラメチルシラン(TMS) 0.03vol%
試料濃度:30g/L
ポリマーの数平均分子量Mn(NMR)及び構造は1H−NMRにより確認した。以下に帰属を示す。
非晶性ポリエステル(B)
δ = 1.20 (-OCH2CH(CH 3 )-OH),
1.23 (-OCH(CH 3 )CH2-OH),
1.25 (-OCH2(CH 3 )CH-O-:PG繰り返し部),
2.64 (-CH 2 -:SA繰り返し部) ,
3.59, 3.68 (-OCH(CH3)CH 2 -OH),
3.97, 4.13 (-OCH 2 CH(CH3)-OH),
4.04 (-OCH2CH(CH3)-OH),
4.09, 4.18 (-OCH 2 (CH3)CH-O-:PG繰り返し部),
5.03 (-OCH(CH3)CH2-OH),
5.15 ppm (-OCH2(CH3)CH-O-:PG繰り返し部).
トリブロック共重合体(C)
δ = 1.25 (-OCH2(CH 3 )CH-O-:PPS繰り返し部),
1.49 (CH 3 :ポリ乳酸末端部),
1.52 (CH 3 :PLA-PPS(一級水酸基末端側)結合部のPPS部),
1.58 (CH 3 :ポリ乳酸繰り返し部),
2.64 (-CH 2 -:PPS繰り返し部のSA部),
4.09, 4.18 (-OCH 2 (CH3)CH-O-:PPS繰り返し部),
4.14, 4.25 (-OCH(CH3)CH 2 -O-:PPS-PLA結合部のPPS部),
4.35 (CH:ポリ乳酸末端),
5.15 (-OCH2(CH3)CH-O-:PPS繰り返し部),
5.17 (CH:ポリ乳酸繰り返し部).
Mn(NMR)は末端基のシグナルと主鎖のシグナルの積分比から重合度を計算して求めた。
<GPC>
数平均分子量Mn(GPC)及び重量平均分子量Mw(GPC)は島津製作所製SEC分析装置(LC-20ADポンプ、RID-10A RI検出器から成る)を用いて、以下の測定条件で測定した。
カラム:TOSOH TSK gel Super HZM-N/Super HZ-H columns
溶離液:クロロホルム
流量:0.25mL/min
検出器:RI
カラム温度:40℃
注入量:10μl
なお、トリブロック共重合体(C)の非晶性ポリエステル部とポリ乳酸部の重量平均分子量は、NMR測定により得られた非晶性ポリエステル重量比率と、GPC測定により得られた重量平均分子量Mwから算出した。
<熱物性>
ガラス転移温度及び融点は、Perkin Elmer Diamond DSC熱分析装置により、α−アルミナをレファレンスとして窒素下で測定した。サンプルを−40℃から200℃に昇温速度20℃/分で昇温(1回目昇温)の後、200℃から−40℃にインタークーラーを用いてクエンチすることにより急冷した。次に−40℃から200℃に20℃/分で昇温(2回目昇温)した。この2回目昇温の時の変曲点によるガラス転移温度及び融点測定した。以下に測定条件を示す。
装置:Perkin Elmer Diamond DSC thermal analyzer
条件:測定温度域−40℃→200℃→quench→−40℃→200℃
昇温速度:20℃/min
測定雰囲気:窒素雰囲気下
実施例等で用いた材料を下記に示す。
<ポリ乳酸(A)>
A1:ポリ(L)乳酸、
(重量平均分子量165000、ガラス転移温度63.6℃、融点169.7℃
商品名「テラマックTP−4000」、ユニチカ社製)、
<非晶性ポリエステル(B)>
B1:ポリプロピレンサクシネート、重量平均分子量27000、
ガラス転移温度−10.4℃、融点なし
B2:ポリプロピレンサクシネート、重量平均分子量142000、
ガラス転移温度 −6.8℃、融点なし
B3:ポリプロピレンサクシネート、重量平均分子量233000、
ガラス転移温度 −6.5℃、融点なし
B4:ポリプロピレンサクシネート、重量平均分子量528000、
ガラス転移温度 −6.2℃、融点なし
B5:ポリプロピレンサクシネート、重量平均分子量612000、
ガラス転移温度 −6.2℃、融点なし
<トリブロック共重合体(C)>
C1:ポリ(L)乳酸−ポリプロピレンサクシネート−ポリ(L)乳酸、
重量平均分子量39000−66000−39000、
ガラス転移温度14.1℃、融点142.0℃
C2:ポリ(L)乳酸−ポリプロピレンサクシネート−ポリ(L)乳酸、
重量平均分子量48000−41000−48000、
ガラス転移温度26.2℃、融点157.0℃
C3:ポリ(L)乳酸−ポリプロピレンサクシネート−ポリ(L)乳酸、
重量平均分子量38700−106700−38700、
ガラス転移温度11.6℃、融点145.1℃
<酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)>
D1:無水マレイン酸基含有変性ポリプロピレン
(重量平均分子量32000、酸価52mgKOH/g、
商品名「ユーメックス1010」、三洋化成工業社製)
<フッ素系ポリマー(E)>
E1:アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン
(商品名「メタブレンA−3000」、三菱レイヨン社製)
<成膜方法(急冷法)>
下記表2に示す配合割合で樹脂組成物を調製し、ミキシングロールにて溶融混練を行った後、200℃で5分間、厚さ100μmになるようにプレス成型を行い、その後、プレス機から取り出し、すぐさま水中浸漬することで、フィルムを得た。
<成膜方法(結晶化法)>
下記表3に示す配合割合で樹脂組成物を調製し、ミキシングロールにて溶融混練を行った後、200℃で5分間、厚さ100μmになるようにプレス成型を行い、そのまま130℃まで冷却し、5分間の等温結晶化を行った。その後、プレス機から取り出し、すぐさま水中浸漬することで、フィルムを得た。
<結晶化の確認>
下記式(1)によって得られるΔHc′が、30J/g以上であれば、120℃以上に加熱しても、フィルム形状は維持可能である。
ΔHc′=ΔHm−ΔHc (1)
[式中、ΔHc′は、DSCにて測定される、成膜後のフィルムの昇温過程での結晶化に伴う発熱量(J/g)であり、ΔHmは、一度融解させた後に、降温過程で結晶化させ、その後、再昇温させたときの融解に伴う吸熱量(J/g)である。なお、降温過程で結晶化可能領域は全て結晶化しており、再昇温過程では再結晶化に伴う発熱はないものとする。]
測定で使用したDSC及び測定条件は、以下の通りである。
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 DSC6220
条件:測定温度域:20℃→220℃→20℃→220℃
昇温/降温速度:2℃/min
測定雰囲気:窒素雰囲気下(200ml/min)
<引裂強度(N/mm)>
JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準じ測定した。使用した測定装置及び測定条件は、以下の通りである。
装置:引張試験機(オートグラフAG−20kNG、島津製作所製)
試料サイズ:JIS規格に基づいた試験片形状
条件:引張速度200mm/min
引裂強度算出方法:以下の式(2)を用い算出した。
T=(F/d) (2)
T:引裂強度(N/mm)
F:最大引張荷重(N)
d:試験片の厚さ(mm)
(合否判定) DSC測定におけるΔHc′が30J/g未満の場合は、160N/mm以上を合格とした。また、ΔHc′が30J/g以上の場合は、120N/mm以上を合格とした。
<耐熱性試験>
厚さ0.1mm×幅100mm×長さ100mmに切り出したサンプルを、120℃のオーブン中に3分間投入する。その後、取り出したときに元の形状を保てたものを「○」(良好)、元の形状が保てなかったものを「×」(不良)と判定した。
<外観>
混練時の分散状態、成膜時の表面状態、さらには成膜後のフィルムの表面状態を目視で確認し、外観上、問題が無いものを「○」(良好)、問題があるものを「×」(不良)と判断した。外観上の問題とは、具体的には、ロール混練時に混和物表面の艶がなく、メルトフラクチャーが発生している(ロール間を通過するときのシェアに混和物が耐えられずにスリップなどを起こしている)場合、成膜後の状態として均一分散がされておらずフィルム外観にむらがある場合等が考えられる。このような症状が出たものは、連続成形を行うのは困難である。
<初期弾性率(MPa)>(参考)
JIS K 7161のプラスチック−引張特性の試験方法に準じて測定した。
使用した測定装置及び測定条件は、以下の通りである。
装置:引張試験機(オートグラフAG−20kNG、島津製作所製)
試料サイズ:厚さ0.1mm×幅10mm×長さ100mm
(なお、長さ方向に平行な方向がフィルム成膜時の流れ方向(MD)
となるように切り出した)
測定条件:チャック間距離:50mm
引張速度:300mm/min
Figure 0006041550
(尚、実施例1、2は参考例とする)
Figure 0006041550
(尚、実施例7は参考例とする)
表2に示すように、分子量の小さい非晶性ポリエステル(B1)を添加した比較例2は、ポリ乳酸単体の比較例1よりも引裂強度が低下してしまった。これは、分子量が小さいため、凝集力が不足したことが原因であると思われる。これに対して、分子量の大きい非晶性ポリエステル(B5)を添加した比較例3は、耐引裂き性の改善効果は高いものの、ポリ乳酸との分散性が悪く、溶融混練時及び成膜時の面状態が悪くなってしまった。その他の実施例については、何れも良好な改善効果が得られている。特に、非晶性ポリエステル(B)と、トリブロック共重合体(C)とを併用した実施例4は、非晶性ポリエステル(B)を同量添加した実施例1よりも引裂強度の改善効果は大きい。これは、トリブロック共重合体(C)が、非晶性ポリエステル(B)のドメインとポリ乳酸(A)のマトリックスの間に存在し、相容化剤的に働いたものと推測している。
表3に示すように、この条件では、ポリ乳酸セグメントの結晶化領域がほぼ100%結晶化しているため、何れも耐熱性は十分にある。しかし、ポリ乳酸単体(比較例4)の引裂強度は、比較例1と比べても非常に小さくなっている。分子量の小さい非晶性ポリエステル(B1)を添加した比較例5は、ポリ乳酸単体の比較例4よりも引裂強度が低下してしまった。これは、比較例2と同様に、分子量が小さいため、凝集力不足が原因であると思われる。分子量の大きい非晶性ポリエステル(B5)を添加した比較例6も、比較例3と同様で、溶融混練時及び成膜時の面状態が悪くなってしまった。その他の実施例については、何れも良好な改善効果が得られている。特に、非晶性ポリエステル(B)と、トリブロック共重合体(C)とを併用した実施例11及び12の引裂強度の改善効果は大きい。これは、実施例4と同様にトリブロック共重合体(C)が相容化剤的に働いたためと考えられる。
また、引裂強度を改善でき、さらにポリ乳酸を高結晶化して120℃以上の耐熱性を付与できる。これにより、ポリ乳酸の高強度、高弾性の特徴を損ねることなく、耐熱性と耐引裂き性を付与したポリ乳酸系フィルム又はシートを提供することが可能となった。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物によれば、透明性、弾性が良好で、外観も優れたポリ乳酸系フィルム又はシートであって、耐熱性が不要な用途では極めて優れた引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシート、耐熱性が必要な用途では120℃を超える高温においても融解や変形が無い耐熱性と十分な引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシートを製造できるため、特に粘着テープ又はシートの基材として有用である。

Claims (11)

  1. ポリ乳酸(A)と、
    ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、重量平均分子量が6000〜100000であるポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)とを含むポリ乳酸系樹脂組成物であって、
    前記ポリ乳酸(A)の乳酸成分と前記ポリ乳酸(A 0 )の乳酸成分との光学異性体種が同一であり、
    当該ポリ乳酸系樹脂組成物における、ポリ乳酸構成部と非晶性ポリエステル構成部との重量比(前者:後者)が、98:2〜51:49であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)をさらに含む、請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)が、ポリプロピレンサクシネートである、請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)が、ポリプロピレンサクシネートである、請求項1〜の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  5. 酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)をさらに含む、請求項1〜の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  6. ポリ乳酸(A)と、ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)との総量(さらに、ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)を含む場合は、前記(A)と前記(C)と前記(B)との総量)100重量部に対し、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)を0.1〜10重量部含む、請求項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  7. 酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の酸価が10〜70mgKOH/gである、請求項又はに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  8. 酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(D)の重量平均分子量が10000〜80000である、請求項の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  9. フッ素系ポリマー(E)をさらに含む、請求項1〜の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  10. ポリ乳酸(A)と、ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が10000〜120000である非晶性ポリエステル(B0)の両端に、ポリ乳酸(A0)を重合してなるトリブロック共重合体(C)との総量(さらに、ジオールとジカルボン酸とのコポリマーであって、重量平均分子量が30000〜600000である非晶性ポリエステル(B)を含む場合は、前記(A)と前記(C)と前記(B)との総量)100重量部に対し、フッ素系ポリマー(E)を0.5〜15重量部含む、請求項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  11. フッ素系ポリマー(E)がテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項又は10に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
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