JP2011032346A - 樹脂組成物の製造方法及び成形体 - Google Patents

樹脂組成物の製造方法及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ乳酸系樹脂組成物を用いて引張伸び、耐衝撃性、及び耐熱性が良好な成形体を製造する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂(A)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(B)と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル系樹脂(C)と、不飽和結合を含有するカルボン酸でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂(D)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と、を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(B)と、を混練する第一の混練工程と、前記脂肪族ポリエステル系重合体(C)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と、を混練する第二の混練工程と、を有する樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法及び樹脂組成物を用いて得られる成形体に関するものである。
近年、石油資源の枯渇の問題から、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート等の植物由来の原料、あるいは植物由来となる可能性のある原料から製造される樹脂が注目されている。しかしながら、植物由来の樹脂の機械的強度は低いため、ポリオレフィン系樹脂とあわせて用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸と、ポリ乳酸以外の生分解性ポリマーとがブレンドされているポリ乳酸系樹脂組成物において、多官能イソシアナート化合物及び多価フェノール化合物の少なくとも一方が添加されているポリ乳酸系樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、脂肪族ポリエステル構造を主成分とするポリエステル樹脂(A)と、ポリオレフィン系樹脂(B)及びエステル形成性官能基を有するポリオレフィン系樹脂(C)樹脂からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3には、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂及び、(C)相溶化剤を配合してなる樹脂組成物が記載されている。
特開2008−38142号明細書 特開2007−326961号明細書 特開2004−346241号明細書
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性、引張伸び、及び、耐熱性については更なる改良が求められている。
以上の課題に鑑み、本発明では引張伸び、耐衝撃性、及び耐熱性が良好な成形体を製造することを目的とする。
本発明者らは、下記の構成を採用することにより上記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ポリ乳酸系樹脂(A)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(B)と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル系樹脂(C)と、不飽和結合を含有するカルボン酸でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂(D)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と、を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(B)と、を混練する第一の混練工程と、前記脂肪族ポリエステル系重合体(C)と、変性ポリオレフィン系樹脂(D)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と、を混練する第二の混練工程と、を有する樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、引張伸び、耐衝撃性、及び耐熱性が良好な成形体を製造することが可能となる。
本発明に係る樹脂組成物を製造する混練機の一例を示す図である。 本発明に係る樹脂組成物を製造する混練機の一例を示す図である。 本発明に係る樹脂組成物を製造する混練機の一例を示す図である。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明に係る樹脂組成物は、第一の混練工程及び第二の混練工程により製造される樹脂組成物であり、ポリ乳酸系樹脂(A)と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル系樹脂(C)と、ポリオレフィン系樹脂(E)と、を含む。
〔第一の混練工程〕
第一の混練工程では、ポリ乳酸系樹脂(A)(以下(A)成分ともいう)と、エポキシ基を有するエチレン系重合体(B)(以下(B)成分ともいう)を混練する。ポリ乳酸系樹脂と、エチレン系共重合体とを混練することにより、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相容性を向上させることが可能となる。
第一の混練工程の混練温度は、(A)成分と(B)成分のうちの融点が高い方の成分の融点温度以上であり、(当該融点プラス10℃)以上、(当該融点温度プラス150℃)以下である。好ましくは(当該融点プラス40℃)以上、(当該融点プラス100℃以下)である。混練温度をこのような温度範囲とすることにより、(A)成分と(B)成分との相容化や反応を十分に進行させることが可能となる。例えば、(A)成分にポリ乳酸系樹脂、(B)成分にエポキシ基を含有する化合物の重合体を用いた場合、第一の混練工程の混練温度は180℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましく、235℃以上であることがさらに好ましい。なお、混練温度は、混練機のシリンダに設けられている樹脂出口から押し出されて直ぐの溶融状態の樹脂に熱電対を接触させて測定した温度を用いる。
また、第一の混練工程の混練時間は、(A)成分及び(B)成分が熱劣化せず、かつ、両成分の反応がよりよく進行するように適宜決定すればよい。具体的には、1秒〜1800秒であり、2秒〜600秒であることが好ましく、3秒〜300秒であることがより好ましい。混練時間を1秒以上とすることにより、(A)成分と(B)成分との相容化や反応を十分に行うことが可能となる。これによって得られる成形体中の(A)成分の分散粒子径が大きくなり、機械的強度が低くなることを防止することが可能となる。混練時間を1800秒以下とすることにより、各成分が熱劣化してしまうことを防止することが可能となる。これによって、得られる成形体の機械的強度が低下したり、外観が悪化してしまうことを防止することが可能となる。
混練時間は、バッチ式混練機の場合には、溶融樹脂を混練している時間であり、連続式混練機の場合には、滞留時間分布のピーク時間である。ピーク時間を得る方法としては、(A)成分と(B)成分と同時に顔料を連続式混練機にホッパーから投入し、混練機の出口から押し出された溶融樹脂を一定時間毎にサンプリングし、着色度が最も高い時間を求める方法が挙げられる。
[第二の混練工程]
第二の混練工程では、脂肪族ポリエステル系重合体(C)(以下、(C)成分ともいう)と、変性ポリオレフィン系樹脂(D)と(以下、(D)成分ともいう)、変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と(以下、(E)成分ともいう)、を混練する。
第二の混練工程の混練温度としては(C)成分、(D)成分及び(E)成分のいずれかの成分のうちで、融点が最も高い成分の融点以上であって、(当該融点プラス10℃)以上、(当該融点プラス150℃)以下である。また、好ましくは(当該融点プラス40℃)以上、(当該融点プラス100℃)以下である。第二の混練工程の混練温度をこのような温度範囲とすることにより、(C)成分と(D)成分とを(E)成分中に十分に分散させることができ、また、(C)成分と(D)成分の反応を進行させることができる。例えば、(C)成分にポリブチレンサクシネート系樹脂、(D)成分に酸変性ポリオレフィン系重合体を用いた場合、第二の混練工程の混練温度は180℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましく、235℃以上であることがさらに好ましい。なお、混練温度は、第一の混練工程と同じ方法により測定することが可能である。
また、第二混練工程の混練時間は、(C)成分及び(D)成分が熱劣化せず、かつ、(C)成分が(D)成分中に十分に分散するように適宜決定すればよいが、1秒〜1800秒であり、2秒〜600秒であることが好ましく、3秒〜300秒であることがより好ましい。混練時間を1秒以上とすることにより、相容化や反応を十分に行うことが可能となる。これによって(C)成分の分散粒子径が大きくなり、機械的強度が低くなることを防止することが可能となる。混練時間を1800秒以下とすることにより、各成分が熱劣化してしまうことを防止することが可能となる。これによって、得られる成形体の機械的強度が低下したり、外観が悪化してしまうことを防止することが可能となる。なお、混練時間は第一の混練工程と同様の手順で測定することができる。
第一の混練工程と第二の混練工程は同じ混練設備で連続的に行ってもよいし、別々の混練設備で行ってもよいが、連続的に行うことが好ましい。連続的に混練を行う際は、連続式混練設備を用い、先に第一の混練工程を行ってから第二の混練工程を行うことが好ましい。その際、第一の混練工程で得られた混練物は、第二の混練工程で他の成分と一緒に混練されることとなる。
第一の混練工程及び第二の混練工程の混練設備としては、バッチ式混練設備や連続式混練設備等が挙げられる。バッチ式混練設備としてはバンバリーミキサーが挙げられる。連続式混練設備としては単軸混練機や二軸混練機が挙げられる。また、第二の混練工程として加工機(射出成形機、Tダイ押出機、ブロー成形機、フィルム成形機)も使用可能である。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法において、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の添加量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び、(E)成分の合計量を100質量%としたとき、(A)成分の添加量が1質量%〜67質量%であり、好ましくは10質量%〜55質量%であり、より好ましくは20質量%〜45質量%である。
また(B)成分の添加量は1質量%〜30質量%であり、好ましくは2質量%〜20質量%であり、より好ましくは3質量%〜10質量%である。
また(C)成分の添加量が1質量%〜67質量%であり、好ましくは2質量%〜30質量%であり、より好ましくは4質量%〜15質量%である。
また(D)成分の添加量は、1質量%〜30質量%であり、好ましく5質量%〜29質量%であり、より好ましくは10質量%〜28質量%である。
また(E)成分の添加量は30質量%〜96質量%であり、好ましくは40質量%〜80質量%であり、より好ましくは50質量%〜70質量%である。
(A)成分の添加量が過剰であると、分散粒子径が増大傾向になるので、成形体の耐衝撃強度が低下する傾向にある。また、(B)成分が過少であると、(A)成分の分散粒子径が増大するので、成形体の耐衝撃強度が低くなる傾向があり、過剰であると成形体表面にゲルが発生し、成形体の外観が悪化する傾向にある。また、(C)成分の添加量が過剰であると、分散粒子径が増大するので、成形体の耐衝撃強度が低下する傾向にある。また、(D)成分が過少であると、(B)成分の分散粒子径が増大するので、成形体の耐衝撃強度が低くなる傾向があり、過剰であると成形品表面にゲルが発生し、成形品の外観が悪化する傾向にある。また(E)成分が過少であると、成形体の耐衝撃強度が低くなることや、成形性が損なわれることにより、フローマークなどの外観不良が生じる傾向にある。
以下、本発明で使用する各成分について説明する。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
混練工程に用いられるポリ乳酸系樹脂(A)は、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位のみからなる重合体からなる樹脂、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位とL−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーに由来する繰り返し単位とからなる共重合体からなる樹脂、又はL−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位のみからなる重合体とL−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位とL−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーに由来する繰り返し単位とからなる共重合体の混合物からなる樹脂である。なお、L−乳酸に由来する繰り返し単位及びD−乳酸に由来する繰り返し単位を、それぞれ、L−乳酸由来繰り返し単位及びD−乳酸由来繰り返し単位と記すことがある。
前記L−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーとしては、グリコール酸等のヒドロキシカルボン酸、ブタンジオール等の脂肪族多価アルコール及びコハク酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。ポリ乳酸系樹脂(成分(A))は、
乳酸(L−乳酸、D−乳酸、又はL−乳酸とD−乳酸との混合物)、及び必要に応じて更に他のモノマーを脱水重縮合する方法、
・乳酸の環状二量体(すなわちラクチド)を開環重合させる方法、
・ラクチド及び乳酸と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸との環状2分子縮合体を開環重合させる方法、
・ラクチド及び/又は乳酸と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸との環状2分子縮合体、及び必要に応じて更に乳酸以外のヒドロキシカルボン酸の環状二量体(例えば、グリコリド)やヒドロキシカルボン酸由来の環状エステル(例えば、ε−カプロラクトン)を開環重合させる方法
により製造することができる。
ポリ乳酸系樹脂(成分(A))がL−乳酸由来繰り返し単位とD−乳酸由来繰り返し単位の両方を含む重合体を含有するとき、プロピレン系樹脂組成物の耐熱性の観点から、該重合体において、L−乳酸由来繰り返し単位の含有量及び/又はD−乳酸由来繰り返し単位の含有量は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、更に好ましくは95モル%以上である。
ポリ乳酸系樹脂(成分(A))の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1万以上100万以下であり、更に好ましくは5万以上50万以下である。また、ポリ乳酸系樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1以上4以下である。記号Mnは、数平均分子量を表す。なお、分子量Mw、Mn及び分子量分布は、GPCにより、標準ポリスチレンを分子量標準物質として測定される。
<エポキシ基を有するエチレン系重合体(B)>
(B)成分として用いられるエポキシ基を含有する化合物の重合体としては、エチレンに由来する単量体単位と、エポキシ基を有する単量体に由来する単量体単位と、を有する共重合体が挙げられる。エポキシ基を有する単量体としては、例えば、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート等のα,β−不飽和グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等のα,β−不飽和グリシジルエーテルを挙げることができ、好ましくはグリシジルメタアクリレートである。このような共重合体としては、具体的には、グリシジルメタアクリレート−エチレン共重合体(例えば、住友化学製 商品名ボンドファースト)等が挙げられる。
また、エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルメタアクリレート−スチレン共重合体やグリシジルメタアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体、グリシジルメタアクリルレート−プロピレン共重合体が挙げられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、水添又は非水添のスチレン−共役ジエン系等に、エポキシ基を有する単量体を、溶液若しくは溶融混練でグラフト重合させて得られたグラフト重合体を用いることも可能であるが、このグラフト重合体と上記エポキシ基を含有する化合物の重合体とを比較すると、エポキシ基を有する単量体の付加量をより多くすることができることから、エポキシ基を含有する化合物の重合体を用いることがより好ましい。
また、(B)成分として用いられるエポキシ基を含有する化合物の重合体は、エポキシ基を含有する化合物以外の他の単量体に由来する単量体単位を有していてもよい。このような単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和ビニルエステル等が挙げられる。
エポキシ基を含有する化合物の重合体において、エポキシ基を有する単量体に由来する単量体単位の含有量は、0.01質量%〜30質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜20質量%である(ただし、エポキシ基を有するエチレン系重合体中の全単量体単位の含有量を100質量%とする)。なお、エポキシ基を有する単量体に由来する単量体単位の含有量は、赤外法により測定される。
エポキシ基を含有する化合物の重合体のメルトフローレイトは、0.1g/10分〜300g/10分であり、好ましくは0.5g/10分〜80g/10分である。ここでいうメルトフローレイトとは、JIS K 7210(1995)に規定された方法によって、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定される。
エポキシ基を含有する化合物の重合体は、例えば、高圧ラジカル重合法、溶液重合法、乳化重合法等により、エポキシ基を有する単量体とエチレンと、必要に応じて他の単量体とを共重合する方法、エチレン系樹脂にエポキシ基を有する単量体をグラフト重合させる方法等により製造することができる。
<脂肪族ポリエステル系重合体(C)>
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル系重合体(C)は、上記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル系重合体である。具体的には、ヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル系樹脂や、ジオールとジカルボン酸からなるポリエステル系樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
ヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル系樹脂としては下記式(1)で示される3−ヒドロキシアルカノエートを繰り返し単位として有する重合体が挙げられる。
Figure 2011032346
〔式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である〕
ジオールとジカルボン酸からなるポリエステル系樹脂としてはポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート・δ−オキシカプロエート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアジペート・テレフタレート等が挙げられる。
前記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体は、当該繰り返し単位を二種以上含有する多元共重合体であってもよい。多元共重合体の繰り返し単位の配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式であってもよい。
中でも下記式(2)で示されるβ−ヒドロキシブチレート、又は式(3)で示されるβ−ヒドロキシヘキサノエートを繰り返し単位として有する共重合体であることが好ましい。
Figure 2011032346
Figure 2011032346
上記β−ヒドロキシブチレート及びβ−ヒドロキシヘキサノエートは、ランダムに結合していることが好ましい。β−ヒドロキシブチレート及びβ−ヒドロキシヘキサノエートの組成比は、剛性及び引張伸びのバランスに優れる成形体を得るという観点からβ−ヒドロキシブチレート/β−ヒドロキシヘキサノエート=99/1〜40/60(mol/mol)であることが好ましく、97/3〜75/25であることがより好ましく、95/5〜80/20であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル系重合体(C)としては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンアジペート・テレフタレートを用いることが好ましい。
脂肪族ポリエステル系重合体(C)の重量平均分子量は、1万〜50万であることが好ましく、5万〜40万であることがより好ましい。さらに好ましくは7万〜30万である。重量平均分子量を1万以上とすることにより、靭性及び引っ張り伸びに優れる成形体を得ることが可能となる。また、重量平均分子量を50万以下にすることにより、プロピレン系樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル系重合体(C)の分散性が良好となり、外観に優れる成形体を得ることが可能となる。
脂肪族ポリエステル系重合体(C)の製造方法は、特に限定されない。例えばポリエチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートは、特開平6−271656号公報に記載の方法により製造することができる。この方法では、(無水)コハク酸とエチレングリコール(又は1,4−ブタンジオール)とをエステル交換してオリゴマーを得、次いで得られたオリゴマーを重縮合する。
また、特開平4−189822号公報や特開平5−287068号公報に記載されているように、ポリエチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートを製造する際にジイソシアナート又はテトラカルボン酸二無水物を架橋剤として用いてもよい。
また、ポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンとエチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオールとを触媒の存在下で反応させて得られる。この反応において用いられる触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が挙げられる。これらの触媒を0.1ppm〜5000ppm添加し、100℃〜230℃好ましくは不活性気体中で単量体を重合させることによってポリカプロラクトンが得られる。これらの製法は、例えば、特公昭35−189号、特公昭35−497号、特公昭40−23917号、特公昭40−26557号、特公昭43−2473号、特公昭47−14739号、特開昭56−49720号、特開昭58−61119号等に開示されている。
また、特開平5−93049に記載されているように、ポリヒドロキシアルカノエートを製造するには、炭素源以外の栄養源の制限下で、アエロモナス属の微生物を、炭素数6以上の偶数個の脂肪酸若しくはその低級アルコールエステル又は天然油脂と、炭素数5以上の奇数個の脂肪酸又は4−ヒドロキシ酪酸若しくはγ−ブチロラクトンを炭素源として培養する方法が挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル系重合体(B)は、植物由来の原料から製造されたものが好適に用いられる。
<不飽和結合を含有するカルボン酸でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂(D)>
本発明で用いられる変性ポリオレフィン系樹脂(D)としては、不飽和カルボン酸をポリオレフィン系樹脂にグラフトさせたグラフト重合体や、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸三元共重合体(住友化学株式会社製 商標名ボンダイン)等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有カルボン酸をポリオレフィン系樹脂にグラフトさせたグラフト重合体とは具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、水添及び非水添のスチレン−共役ジエン系ブロックエラストマー等に、不飽和カルボン酸を溶液若しくは溶融混練でグラフト重合させた重合体をいう。
エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸三元共重合体とは、高圧ラジカル共重合によって製造される共重合体をいう。α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、炭素数が3個〜8個の不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルであって、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル等が挙げられる。これらのうちでも特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチルが好ましい。これらのコモノマーは単独又は二種以上組み合わせて用いることが可能である。なお、本発明におけるエチレン性不飽和結合含有カルボン酸には、その無水物や誘導体も含まれる。
変性ポリオレフィン樹脂(D)の重量平均分子量は、10万〜90万であることが好ましい。分子量を10万以上とすることにより、十分な耐衝撃性や引張伸びを有する成形体を得ることが可能である。また、得られた樹脂組成物を成形するときの成形性を考慮すると分子量を90万以下であることが好ましい。
<ポリオレフィン系樹脂(E)>
ポリオレフィン系樹脂(E)としては、オレフィンの単独重合体、二種以上のオレフィンの共重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂などが挙げられる。このうち、ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。これらのポリオレフィン樹脂(E)は、単独又は二種以上を併用してもよい。
ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。中でも、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分(以下、重合体成分(I)ともいう)と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分(以下、共重合体成分(II)ともいう)からなる共重合体等が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、単独で用いてもよく又は二種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン樹脂を構成するα−オレフィンは、炭素数4〜12のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。このうち1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。また、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
上記重合体成分(I)と、上記共重合体成分(II)とからなる共重合体の重合体成分(I)における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられる。また、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分(前記共重合体成分(II))としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。なお、上記共重合体成分(II)におけるエチレン及び/又はα−オレフィンの含有量は、10質量%〜70質量%である。
そして、前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなる共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(E)として用いられるポリプロピレン樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、又は、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂(E)の製造方法は、重合触媒を用いて、重合する方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒、チーグラー・ナッタ型触媒が挙げられる。また、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、又は、これらの触媒を無機粒子等に担持させた担持型触媒系等が挙げられる。なお、成分(E)は、JIS K6953に規定された方法に準拠して測定した生分解度が前記試験法に規定された期間(180日間)内で60%未満である。
また、重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、又はそれらを連続的に行う気相−気相重合法、液相−気相重合法等が挙げられ、これらの重合方法は、回分式(バッチ式)であってもよく、連続式であってもよい。また、ポリオレフィン樹脂(E)を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。
特に、上記重合体成分(I)と上記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体の製造方法として、好ましくは、前記重合体成分(I)を製造する段階と、前記共重合体成分(II)を製造する段階と、の少なくとも二段階の工程を有する多段階の製造方法が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(E)のメルトフローレート(以下、MFRともいう)は、0.01g/10分〜400g/10分である。MFRが400g/10分を超えた場合、機械的強度が低下する傾向にある。そして、成形体の機械的強度や、樹脂組成物を製造する際の生産安定性の観点から、1g/10分〜400g/10分であることが好ましく、5g/10分〜200g/10分であることがより好ましく、10g/10分〜150g/10分であることが更に好ましい。本発明におけるMFRは、JIS K 7210に従って、ポリプロピレンの場合には230℃、21.2N荷重で、ポリエチレンの場合には190℃、21.2N荷重で測定した値である。
本発明では上記の成分のほかに、本発明の特徴及び効果を損わない範囲で他の付加的成分を添加してもよい。例えば、エラストマー、酸化防止剤、耐候性改良剤、造核剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、各種着色剤、フィラー(タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、硫酸マグネシウムウィスカ等)等が挙げられる。
[混練機を用いた樹脂組成物の製造方法]
本発明に係る樹脂組成物の製造は、混練機を用いて連続的に行われることが好ましい。以下、混練機を用いて製造する方法について図を用いて詳細に説明する。なお、図中、同じ番号を有する符号は、同一ないし同様の構成要素を示す。
図1は本発明に係る樹脂組成物を製造する混練機を示す図である。混練機1Aは、シリンダ10aとスクリュ20aから構成されている。シリンダ10aは、上流側から下流側に向かって(図に向かって左側から右側)順に、上流側投入口31a、下流側投入口32a、真空ベント101aを備えており、この真空ベント101aの先の一端には樹脂出口40が設けられている。
一方、スクリュ20aは、第一混練部201a及び第二混練部202aを備えている。この第一混練部201aは上流側投入口31aと下流側投入口32aの間に、第二混連部202aは下流側投入口32aと真空ベント101aの間に位置するように設けられている。また混練部は、順フライト、逆フライト、Rニーディングディスク、Nニーディングディスク、Lニーディングディスク、ロータ等を組み合わせて使用される。なお、シリンダ10aは外部ヒータ(図示せず)により加熱可能であり、スクリュ20aの混練部以外には螺旋状の溝が刻まれた順フライトで主に構成されており外部モータ(図示せず)により駆動可能である。
上流側投入口31a及び/又は下流側投入口32aから投入された各成分は、シリンダ10a内で加熱され溶融する。溶融された各成分は、スクリュ20aに刻まれている螺旋状の溝とスクリュ20aの回転により樹脂出口40へ向かって移送される。真空ベント101aは、例えば水封式真空ポンプなどにより真空ベント内は減圧され、混練時に発生する分解成分や揮発成分を除去する。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法では、まず、上流側投入口31aに、(A)成分と、(B)成分を投入して混練する(第一の混練工程)。そして所定条件で混練した後に下流側投入口32aに(C)成分と(D)成分、(E)成分を投入し、第一の混練工程で得られた混練物と合わせて混練する(第二の混練工程)。なお、(E)成分については、得られる成形体の機械的強度が低下しない範囲の量を、上流側投入口31aから投入してもよい。
第一の混練工程のシリンダ温度は50℃〜300℃であることが好ましく、100℃〜250℃がより好ましい。シリンダ温度を50℃以上とすることにより、(A)成分と(B)成分との相容化や反応を十分に行うことが可能となる。これによって、成形体の衝撃強度を向上させることが可能となる。そしてシリンダ温度を300℃以下とすることにより、(A)成分や(B)成分が熱により劣化することを防止することが可能となる。
第二の混練工程のシリンダ温度は、50℃〜300℃であることが好ましく、100℃〜250℃がより好ましい。このような設定温度とすることにより、(D)成分に分散する(A)成分の分散粒子径をより小さくすることができ、また各成分が熱によって劣化してしまうのを防止することが可能となる。
また、第一の混練工程及び第二の混練工程の混練時間は、それぞれ1秒〜1800秒であり、2秒〜600秒であることが好ましく、3秒〜300秒であることがより好ましい。
(C)成分と(D)成分を投入するタイミングは、第一の混練工程終了直後、又は第一の混練工程で(A)成分と、(B)成分との混練を開始してから1秒〜1800秒であり、2秒〜600秒であることが好ましく、3秒〜300秒であることがより好ましい。混練時間が1秒未満であると剪断速度と混練時間の積である混練量が不足し、(A)成分の分散粒子径が大きくなり、機械的強度が低くなる傾向がある。混練時間が1800秒を超えると熱劣化により、機械的強度の低下や成形品外観が悪化する傾向にある。
(E)成分を投入するタイミングは、(C)成分と(D)成分の投入のタイミングと同時、又は下流側投入口32aから第一混練工程で(A)成分と、(B)成分との混練を行い、第二混練工程で(C)成分と(D)成分の混練を開始してから1秒〜1800秒であり、2秒〜600秒であることが好ましく、3秒〜300秒であることがより好ましい。混練時間が1秒未満であると剪断速度と混練時間の積である混練量が不足し、(A)成分の分散粒子径が大きくなり、機械的強度が低くなる傾向がある。混練時間が1800秒を超えると熱劣化により、機械的強度の低下や成形品外観が悪化する傾向にある。
本発明において、混練機は(E)成分を分割して投入するための投入口を備えていてもよい。図2に示した混練機1Bのシリンダ10bは、上流側投入口31bと下流側投入口32bの間に第三の投入口33を備えており、スクリュ20bは第一混練部201b、第二混練部202b、及び第三混練部203bを備えている。この混練機1Bを用いる場合、(A)成分と、(B)成分は上流側投入口31bから投入され第一混練部201bにより混練される。(C)成分と、(D)成分、(E)成分は任意の配合量と比率で投入口33と下流側投入口32bから投入され、第二混練部202b、及び第三混練部203bで混練される。
また、本発明において、混練機は、前述の上流側投入口と下流側投入口の代わりに単一の投入口を有していてもよい。図3に示す混練機1Cは、単一の投入口31cを有している混練機である。この混練機1Cを用いる場合、まず、(A)成分と、(B)成分、必要に応じて(E)成分を投入して混練し(第一の混練工程)、最後に(C)成分、(D)成分、及び残りの(E)成分を投入して混練する(第二の混練工程)、という順番で混練を行うことが好ましい。
また、本発明において、第一の混練工程と第二の混練工程それぞれ別個の混練機で行い、各工程で得られた混練物を合わせて混練してもよい。例えば、(C)成分と(D)成分及び(E)成分とを予め混練したものを、(A)成分と(B)成分の混練物に投入して混練してもよい。
混練機1A〜1Cとしては、ホッパーから混練機内に投入された原料をスクリュで混練機内を搬送させる能力、すなわち溶融混練の処理能力が高く、且つ、混練強度の観点から二軸混練機が好ましく、このような混練機としては、日本製鋼所製TEXシリーズ、東芝機械製TEMシリーズ、池貝製PCMシリーズ、ワーナー社製ZSKシリーズ、新神戸製作所製KTXシリーズなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物の成形方法としては、熱可塑性樹脂に一般に適用される成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、中空成形法等の成形法が挙げられる。本発明の樹脂組成物は、引張破断伸び、耐衝撃性及び光沢に優れることから、自動車、家電、産業分野等で広く用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
(1)メルトフローレイト
使用した各樹脂のメルトフローレイトは、JIS K 7210(1999)に規定された方法によって測定した。
(2)グリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量(単位:質量%)
(B)成分中のグリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位の含有量は、(B)成分のプレスシートの赤外吸収スペクトルを測定し、得られた赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を測定に使用したシートの厚さで補正して、得られた補正吸光度に基づいて検量線法によりグリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量を決定する方法で求めた。なお、グリシジルメタアクリレート特性吸収としては、910cm-1のピークを用いた。
(3)アイゾット衝撃強度(単位:kJ/m2
JIS K 7110(1984)に規定された方法に従って成形体のアイゾッド衝撃強度を測定した。この測定には射出成形により成形された、厚さ3.2mmで、成形の後にノッチ加工された試験片を用いた。測定は23℃及び−30℃の温度で行った。
(4)引張伸び(単位:%)
ASTM D638に規定された方法に従って成形体の引張伸びを測定した。射出成形によって成形された厚さ3.2mmの試験片を用いた。引張速度は20mm/分であり、破断時における標線間距離(初期値=50mm)の伸びを評価した。測定は23℃で行った。
(5)熱変形温度(単位:℃)
ASTM D648に規定された方法に従って成形体の熱変形温度を測定した。射出成形によって成形された厚さ6.4mmの試験片を用いた。試験荷重は、0.45MPaの荷重下で測定した。
実施例に使用した材料は、以下の通りである。
(A)乳酸系重合体((A)成分)
ユニチカ社製「テラマック(登録商標)TE−2000C」
(ポリ乳酸樹脂、MFR(230℃、21N)=41g/10分)
(B)エポキシ基を有するポリオレフィン系重合体((B)成分)
住友化学社製「ボンドファースト(登録商標)E」
(エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、MFR(190℃、21N)=3g/10分、グリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量=12質量%)
(C)脂肪族ポリエステル重合体((C)成分)
c1:昭和高分子社製 「ビオノーレ(登録商標)#1020」
(ポリブチレンサクシネート樹脂、MFR(230℃、21N)=55g/10分)
c2:昭和高分子社製 「ビオノーレ(登録商標)#3020」
(ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)樹脂、MFR(230℃、21N)=57g/10分)
c3:BASF社製「エコフレックス(登録商標) F BX 7011」
(ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)樹脂、
MFR(230℃、21N)=13g/10分)
c4:シグマ アルドリッチ ジャパン社製 ポリ(カプロラクトン)樹脂
(D)不飽和カルボン酸を含有するポリオレフィン系重合体((D)成分)
住友化学株式会社製「ノーブレン(登録商標) MPA101」(ポリプロピレンブロック共重合体、無水マレイン酸グラフト量=0.4質量% MFR(230℃)=119g/10分)
(E)ポリオレフィン系重合体((E)成分)
住友化学株式会社製「ノーブレン(登録商標) WPX5343」(ポリプロピレンブロック共重合体、MFR(230℃)=50g/10分)
(F)添加剤
上記(A)成分〜(E)成分の合計100質量部に対して、添加剤として光安定剤(三共株式会社製 商品名SANOL LS770)を0.05質量部、紫外線吸収剤(住友化学社製 商品名Sumisorb−400)0.03質量部、帯電防止剤(花王社製 商品名エレクトロンストリッパー TS−5)0.3質量部をそれぞれ用いた。
[実施例1〜5及び比較例1〜8]
実施例及び比較例の樹脂組成物を次の方法で製造した。シリンダ内径50mmの二軸混練押出機(東芝機械社製TEM50A、図2参照)を用い、表1に示す混合割合、混練方法で混練を行った。シリンダ温度は190℃に設定し、押出量50kg/hr、スクリュ回転数200rpmで、樹脂組成物のペレットを得た。
物性評価用試験片は、次の射出成形条件下で作製した。上記で得られた樹脂組成物のペレットを住友重機械社製サイキャップ110/50型射出成形機を用いて、成形温度200℃、金型冷却温度35℃、射出時間25秒、冷却時間28秒で射出成形を行った。得られた射出成形体のアイゾット衝撃強度、引張伸び、曲げ弾性率、熱変形温度、ロックウエル硬度を測定した。その結果を表1に示す。



























Figure 2011032346











Figure 2011032346
1A、1B、1C 混練機
10a、10b、10c シリンダ
101a、101b、101c 真空ベント
20a、20b、20c スクリュ
201a、201b、201c 第一混練部
202a、202b 第二混練部
203b 第三混練部
31a、31b 上流側投入口
31c 投入口
32a、32b 下流側投入口
33 投入口
40 樹脂出口

Claims (5)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(B)と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル系樹脂(C)と、不飽和結合を含有するカルボン酸でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂(D)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と、を含む樹脂組成物の製造方法であって、
    前記ポリ乳酸系樹脂(A)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(B)と、を混練する第一の混練工程と、
    前記脂肪族ポリエステル系重合体(C)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)と、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)と、を混練する第二の混練工程と、
    を有する樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記第二の混練工程は、前記第一の混練工程の後に連続して行われ、前記第一の混練工程により得られる混練物を更に添加して混練する工程である請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(C)は、ジオールとジカルボン酸の重縮合体、及び/又は、ヒドロキシカルボン酸の重合体を含有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記第一の混練工程Aにおける前記ポリ乳酸系樹脂(A)の添加量は1〜67質量%であり、前記エチレン系共重合体(B)の添加量は1〜30質量%であり、
    前記第二の混練工程における前記脂肪族ポリエステル系樹脂(C)の添加量は1〜67質量%であり、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)の含有量は1〜30質量%であり、前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)以外のポリオレフィン系樹脂(E)の含有量は、30〜96質量%である請求項1から3いずれかに記載の樹脂組成物の製造方法(但し、上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計量を100質量%とする)。
  5. 請求項1から4いずれかに記載の方法により得られる樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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