JP5615881B2 - 無電解めっき方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂の表面に金属膜を形成する無電解めっき方法に関する。
無電解めっきは、電気伝導性を有しない樹脂の表面に、金属膜を形成する方法として広く用いられている。例えば、電子材料分野では配線板の多層配線を行うときに、層間接続を行うためのスルホール/ビアホールに導電性を付与する方法として、不可欠な技術となっている。また、電子機器等から発生する電磁波を遮蔽する目的で、プラスチックなどで成型された電子機器の筐体の内面などへの金属膜の形成にも無電解めっきが用いられている。
更に、無電解めっきは複雑な形状のプラスチック成型物に対して金属光沢のある外観を付与することができ、装飾用途などに広く利用されている。例えば、自動車等の様々な工業製品において、従来は金属を使用していた部品が、軽量化及び低コスト化するなどの目的でプラスチックに置き換えられており、プラスチック部品に高級感を付与するため、無電解めっきが用いられている。
無電解めっきでは、電気伝導性を有しない基体の表面に、無電解めっき反応を促進する触媒を基体に付着する触媒工程の後に、基体がめっき液に浸漬される。
触媒工程における触媒の付着方法として各種の方法が用いられている。例えば、触媒としてパラジウム(Pd)を用いる場合には、Pd/Sn混合触媒溶液を用いる混合コロイド法、Sn溶液とPd溶液とを順に用いる2液法、Pd溶液を用いるイオン吸着法等が用いられていた。
また、発明者は、特開2008−214706号公報において、パラジウム(Pd)触媒に替えて、安価な銅(Cu)触媒を用いる触媒工程を開示している。
ここで、無電解めっきでは、めっき膜と基体との密着性を確保することが重要である。従来は、クロムやマンガンを含む酸化性の液でプラスチック表面を粗化する方法が一般的であった。これに対して、発明者は、特開2008−94923号公報等において、樹脂基体の表面に紫外線を照射し表面改質することで、表面を大きく粗化することなく、密着性のよい無電解めっき膜の成膜が可能なことを開示している。
しかし、基体によっては密着性を確保することは容易ではなかった。また、摺動部材の表面に成膜される無電解めっき膜に対しては、より高い密着強度が要求されることがあった。
特開2008−214706号公報 特開2008−94923号公報
本発明の実施形態は、密着性のよい無電解めっき膜が成膜可能な無電解めっき方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の無電解めっき方法は、直径が0.3μm〜3.0μmのガラス繊維を含む樹脂からなる基体を、フッ酸含有溶液によりエッチングし、一部の前記ガラス繊維を選択的に除去するエッチング工程と、前記基体に紫外線を照射する工程と、前記基体にPd及びSnを含有するPd/Snコロイド溶液を用いる混合コロイド法により、触媒として金属Pdを付着する第1の触媒工程と、前記基体にPdを含む溶液を用いるイオン吸着法により、触媒としてPdイオンを付着する第2の触媒工程と、前記基体に、無電解めっきを行う工程と、を順に具備する。
本発明の実施形態によれば、密着性のよい無電解めっき膜が成膜可能な無電解めっき方法を提供することができる。
実施形態の無電解めっき方法を説明するためのフローチャートである。 実施形態の無電解めっき方法を説明するための断面模式図である。 実施形態の無電解めっき方法におけるUV処理を説明するための側面図である。
<第1実施形態>
以下、図1に示すフローチャートに沿って、第1実施形態の無電解めっき方法について説明する。なお、工程間の水洗工程については説明を省略する。
<ステップS11>基体準備工程
図2(A)に示すように、ガラス繊維12を含むポリカーボネート(PC)樹脂11からなる基体10が準備された。PC樹脂11は、透明性・耐熱性・難燃性などにおいて、高い物性を示すエンジニアリングプラスチックであり、航空機・自動車などの輸送機器、電気電子機器、光学機器、及び医療機器などに広く用いられている。
しかし、PC樹脂11に密着性のよい無電解めっき膜を成膜するには、物理的又は化学的に表面を粗化する必要があった。また、PC樹脂11は強い衝撃を受けると、ひびが入ることがあり、機械的強度は強いとは言えない。
本実施形態では、PC樹脂11にガラス繊維12を含ませて繊維強化プラスチックとすることで、機械的強度を高めた基体10を用いる。例えば、直径0.3μm〜3.0μmのガラス繊維12が、20重量%〜30重量%混合されたPC樹脂11を基体10として好ましく用いることができる。
なお、図2(A)に示すように、基体10は、ガラス繊維12が基体の主面垂直方向に整列している強化プラスチックであるが、繊維が平行方向に整列していている基体もよいし、整列方向が直交する層が積層された基体でもよいし、細かく切断された繊維が均一に分散している基体でもよい。
<ステップS12>エッチング工程
基体10が、フッ酸含有溶液、例えば、バッファードフッ酸溶液によりエッチングされた。基体10の母材であるPC樹脂11はフッ酸含有溶液に対して安定であるため、エッチングされない。一方、基体10に含まれているガラス繊維12はフッ酸含有溶液により溶解される。すなわち、図2(B)に示すように、基体10の表面に一部が露出しているガラス繊維が選択的に溶解されて、基体10にガラス繊維12と同じ径の細長い穴(凹部)13が形成される。
すなわち、樹脂をエッチングした場合には、大きな凹凸のある表面となるが、ガラス繊維強化樹脂においてガラス繊維を選択的にエッチングした場合には、凸部のない凹部がある表面となる。凸部のない表面の外観は、凹部があっても、未処理の基板と外観は大きくは変化しない。
なお、特定のエッチング溶液により選択的に溶解するフィラーを樹脂に混合したフィラー含有樹脂であれば、繊維強化樹脂と同様に基体として好ましく用いることができる。
<ステップS13>UV処理工程
UV処理工程は、基体10に有酸素雰囲気下で紫外線を照射し、表面改質する工程である。UV処理工程で用いる紫外線の主波長は、例えば、180〜400nmが好ましく、照射強度(紫外線の基体10の表面における強度)は、1〜500mW/cmが好ましい。照射強度が前記範囲以上であれば、生産効率がよく、前記範囲以下であれば内部にまで変質が及び基体10の全体が脆くなるおそれがない。
紫外線の主波長が前記範囲以上であれば、一般的な光源が使用可能であり、前記範囲以下であれば光線透過率が小さいため、改質効果が得られやすい。より好ましい波長範囲は200〜300nmであり、更に好ましい波長範囲は250〜280nmである。
照射時間は照射強度との関係を考慮し決定されるが、0.5分〜60分が好ましい。前記範囲以上では制御が容易であり、前記範囲以下では量産性に問題が生じない。
例えば、図3に示すように、低圧水銀ランプ21を備えたUV照射装置20(主波長:253.7nm及び184.9nm、江東電気社製、KOL1−300)を用い、照射距離D:30mm、照射強度:60mW/cmで、10分間、基体10に紫外線を照射した。
図2(C)に示すように、UV処理により、PC樹脂を構成する高分子材料の、C−H結合が、−OH基又は−C=O基等に転化された表面改質層14が形成される。−OH基等により、触媒(めっき膜)の密着が向上する。
更に、UV処理により主鎖から切断された低分子成分は基体10から脱離するため、図示しないが非常に微細な凹部が表面に蝕刻される。
なお、窒素雰囲気又はアンモニア雰囲気など、有機高分子を構成する元素を含有する雰囲気下でUV処理を行うことで、N等を取り込んだ構造に改質することも可能である。
また、ステップS12(エッチング工程)は、ステップS13(UV処理工程)の後に行われても良い。
<ステップS14>アルカリ処理工程
UV処理後の基体10が、アルカリ溶液(50g/L、NaOH溶液、60℃)に2分間浸漬された。アルカリ処理により、改質部の末端がNaとなるため、より親水性となり、触媒工程における触媒の吸着量が増加する。なお、アルカリ処理工程は、必須の工程ではない。
<ステップS15>第1の触媒工程
触媒工程では、無電解めっき反応の触媒が基体10の表面に付与される。本実施形態の無電解めっき方法では、従来の無電解めっき方法と異なり、2回の触媒付与工程が行われた。そして、第1の触媒工程と第2の触媒工程とは異なる方法により行われた。
なお、以下の各工程の処理方法、処理条件等については、公知の方法に従えばよいが、例えば、常温、処理時間は1分間程度である。また、基体10を各種溶液と接触するには、浸積法に限られるものではなく、スプレー法等も用いることができる。
第1の触媒工程では、Pd/Sn混合触媒溶液を用いる混合コロイド法が用いられた。
最初に、界面活性剤を含むコンディショニング剤によるコンディショニング処理が行われた。コンディショニング剤としては、例えば、カチオン系界面活性剤を含む市販のコンディショニング剤等を用いることができる。コンディショニング剤の界面活性剤としては、カチオン系に限られるものではなく、アニオン系又はノニオン系でもよい。コンディショニング処理において、界面活性剤の疎水基が基体10の表面に吸着し、触媒工程では基体10に吸着した界面活性剤の親水基にPdイオンが吸着する。
コンディショニング処理の後に、更にプレディップ処理が行われた。プレディップ処理では、例えば、塩化ナトリウム水溶液に浸漬することで、基体10の親水基及びコンディショニング処理で表面に吸着した界面活性剤の親水基、にナトリウムイオン及び塩素イオンが吸着する。このため、表面電位等が、より平準化し、触媒が、より均一に付与する。
なお、コンディショニング処理及びプレディップ処理は必須の処理ではない。
そして、混合コロイド法では、Pd/Sn混合触媒溶液に浸漬するキャタリスト処理の後、アクセレーター溶液に浸漬する活性化処理(アクセレーター処理)が行われる。すなわち、第1の触媒処理は、キャタリスト−アクセレーター法と呼ばれる方法であり、スズ化合物及びパラジウム化合物を含有する酸性混合コロイド溶液(キャタリスト液)に浸漬し、Pd/Snコロイドを基体に付着する処理を行った後、酸性溶液であるアクセレーター溶液によってPd/SnコロイドからSnを除去する活性化処理を行う方法である。
Pd/Sn混合触媒溶液は、パラジウム塩と第一スズ塩とを含有する溶液を、好ましくは、熟成させることで作製される。パラジウム塩としては、水溶液中で解離し、パラジウムイオンを放出する、例えば、塩化パラジウム、硫酸パラジウム等が挙げられる。 また、第一スズ塩としても水溶液中で容易に解離し、第一スズイオンとなる、例えば塩化第一スズ、硫酸第一スズ等が挙げられる。また、触媒溶液は、コロイド安定化のために、飽和量のハロゲン塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を含んでいてもよい。
例えば、Pd/Sn混合触媒溶液として、塩化パラジウムを0.005〜0.6g/L、塩化第一スズを1〜50g/L、35%塩酸を100〜400ml/L含む溶液を用いる。
アクセレーター溶液としては、Snを溶解させるがPdを溶解しない酸溶液から選択され、例えば、10%塩酸、10%硫酸等を用いることができる。
(D)に示すように、アクセレーター溶液により基体10に吸着したPd/Snコロイドが分解され、コロイド状態を解かれたパラジウムと第一スズの酸化還元反応によって、金属パラジウム15が生じる。
ここで、混合コロイドは大きさが大きいため微細な凹部の内部には進入し難い。しかし、混合コロイドは比較的強く基体10に吸着する。図2(D)では模式的に穴13の内部には混合コロイドが進入できないように示しているが、穴の大きさが大きければ混合コロイドは穴13の内部にも進入し吸着する。しかし、混合コロイドがUV処理により蝕刻された微細な凹部の内部にまで進入することは容易ではない。
<ステップS16>第2の触媒工程
従来の無電解めっき方法では、混合コロイド法による触媒工程の後に、無電解めっき処理が行われる。しかし、実施形態の無電解めっき方法では、更に第2の触媒工程が行われる。
第2の触媒工程は、第1の触媒を付着する第1の触媒工程とは異なる方法により、基体に第2の触媒を付着する。なお本実施形態では第1の触媒も第2の触媒も金属Pdである。
第2の触媒工程は、Pdイオンを含む溶液を用いるイオン吸着法である。イオン吸着法は、Pdイオンの基体への吸着反応を利用する触媒付与方法である。第2の触媒溶液には、酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが添加されている溶液であってもよい。また、Pdイオンが安定に存在する溶液であれば、例えば界面活性剤等を含むアルカリ性溶液でもよい。
溶液中のPdイオンの濃度は、その塩として0.01〜2g/Lが好ましくは、より好ましくは0.1〜1g/Lである。
例えば、0.3g/Lの塩化Pd溶液に基体10が浸漬された。第2の触媒溶液としては、ネオガント834(アトテック社製)、又はOPC−50(奥野製薬工業社製)等の市販のアルカリイオンキャタリスト溶液を用いてもよい。
イオン吸着法におけるPdイオンの基体10への吸着力は混合コロイドの吸着力ほどは強くない。しかし、Pdイオンは、混合コロイドより小さいため、微細な凹部の内部にも容易に進入する。このため、図2(E)に示すように、第1の触媒工程においてコロイドが吸着しなかった微細な凹部の内部にも第2の触媒工程においてPd触媒16が吸着する。
なお、第2の触媒工程において、基体10に吸着したのは触媒活性のないPdイオンである。このため、更に還元剤含有溶液に基体10を浸漬し、吸着したPdイオンを触媒活性のある金属Pdに還元する還元(レデューサー)工程を行っても良い。還元剤としては、次亜リン酸、DMAB、又はホルマリン等の公知の水溶性化合物を用いることができる。
ただし、本実施形態においては、第2の触媒工程の後に、無電解めっき工程が行われる。無電解めっき液に含まれる次亜リン酸等の還元剤はPdイオンの還元にも有効である。このため、還元工程は省略することができる。
なお、第2の触媒工程として、Sn溶液とPd溶液とを順に用いる2液法を用いてもよい。2液法では、第一スズイオン溶液によるセンシタイジング処理(感受性化処理)と、Pdイオン溶液によるアクチベーション処理(活性化処理)とが順に行われる。
比較のため、触媒工程として、第1の触媒工程のみ行ったサンプル(比較例1)、第2の触媒工程のみ行ったサンプル(比較例2)、第1の触媒工程を2回繰り返して行ったサンプル(比較例3)、2液法を3回繰り返し行ったサンプル(比較例4)も作製した。
<ステップS15>導電化工程
導電化工程における無電解めっき膜の成膜には、以下の無電解NiPめっき浴を用いた。
<無電解NiPめっき浴>
硫酸ニッケル・六水和物 0.10mol/dm
クエン酸 0.20mol/dm
塩化アンモニウム 0.75mol/dm
次亜リン酸ナトリウム1水和物 0.20mol/dm
チオ尿素 2.0mg/dm
pH調整剤 水酸化ナトリウム、硫酸
pH: 9.0
浴温: 45℃
析出速度: 1μm/hr
図2(F)に示すように、以上の工程により、PC基体10に、厚さ0.3μmμmの無電解ニッケル膜が成膜された。
無電解めっき浴としては、無電解NiPめっき浴に限られるものではなく、無電解NiBめっき浴、無電解Cuめっき浴等の公知の浴を用いることができる。ただし、密着強度の高い膜を得るためには、析出速度は、3μm/hr以下とすることが好ましい。
<ステップS16>熱処理工程
80℃、30min.の熱処理が行われた。
熱処理工程後の、無電解めっき膜の密着強度が、ピール試験器を用いて測定された。
第1の触媒工程と第2の触媒工程とを行った実施形態のめっき膜の密着強度は、0.5kN/mと高い値であった。これに対して、比較例1〜3のめっき膜の密着強度は、いずれも0.1kN/m以下と実用不適な値であった。
更に、電子顕微鏡により表面を観察したところ、実施形態のめっき膜はピンホールが殆ど認められなかったが、比較例4のめっき膜には多数のピンホールが確認された。
ここで、触媒処理後のPd吸着量(mg/dm)を、基体10を王水に浸漬しPdを溶解させ、原子吸光分析装置(Thermo Fisher inc.製、Solaar S4)で測定した。
実施形態のめっき膜のPd吸着量は、0.71mg/dmであった。これに対して、比較例1では、0.48mg/dm、比較例2では、0.166mg/dmであった。
以上の結果から、実施形態のめっき膜が高い密着強度を示す理由は以下のように考察される。
同じ方法で2回の触媒処理を繰り返しても、Pdが吸着可能なサイトの大部分には最初の処理でPdが吸着済みのため、2回目の処理で吸着するPdは少ない。
これに対して実施形態のめっき方法では、第1の触媒工程と第2の触媒工程とでPdの吸着サイトが異なるため、より多くのPdが吸着するため、ピンホールのない密着性の高いめっき膜が成膜可能である。また、無電解めっき浴の安定性及び経済性においても、UV処理後に2種類の触媒処理を行う実施形態のめっき方法は従来のめっき方法よりも優れていた。
そして、2種類の方法として、混合コロイド法とイオン吸着法とを用いる場合には、第1の触媒工程に吸着体が大きい混合コロイド法を用い、第2の触媒工程に吸着体が小さいイオン吸着法を用いることが特に効果的である。
また、ガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂のガラス繊維をフッ酸含有溶液により選択的に除去することにより最表面の平坦度を維持しながら深い凹部を形成することでアンカー効果により、密着性が改善している。
更に、UV処理による表面改質による触媒吸着量の増加及び微細な凹部の蝕刻により密着性が改善している。特に微細な凹部13の内部にPd触媒を吸着するにはイオン吸着法が効果的である。
以上の説明のように、従来は密着性のよい無電解めっき膜の成膜が困難であったPC樹脂に高い密着性のめっき膜が成膜できたのは、UV処理による蝕刻と2種類の触媒工程とが大きな要因であると考えている。
すなわち、吸着力の強い混合コロイドが最初に基体に吸着し、次に、Pdイオンがコロイドが吸着していない、UV処理により蝕刻された基体10の微細な凹部にも吸着したことにより、密着性の高い無電解めっき膜が成膜された。
一方、基体が、ガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂であり、エッチング工程において、一部のガラス繊維がフッ酸含有溶液により選択的に除去されたことも、密着強度改善に寄与している。しかし、ガラス繊維を含まないポリカーボネート樹脂を基体としエッチング工程を省略しても、めっき膜の密着強度は、0.45kN/mと実用上、問題のないレベルであった。
更に、基体として、ガラス繊維を含むポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を用いて同様の工程条件で試作を行ったところ、ガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂と略同等の結果が得られた。
基体としては、ガラス繊維を含む樹脂であれば、PC又はPPSに替えて各種の樹脂、例えば、シクロオレフィンポリマ(COP)、ナイロン、アクリロニトリルーブタジエンースチレン(ABS)、ポリイミド、エポキシ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又はポリスチレン(PS)等を用いることができる。
<第2実施形態及び第3実施形態>
次に第2実施形態及び第3実施形態の無電解めっき方法について説明する。第2実施形態及び第3実施形態の方法は、第1実施形態の方法と類似しているので異なる点についてのみ説明する。
第1実施形態の基体は、繊維強化PC樹脂であったが、第2実施形態のステップS11で準備される基体はシクロオレフィンポリマ(COP)からなる。シクロオレフィンポリマは、高周波特性が良好であるため、高周波信号処理回路用基体として好適である。
本実施形態のめっき方法では、エッチング工程(S12)は省略された。すなわち、ガラス繊維等を含まない樹脂を、めっき密着強度改善効果が顕著になるまでエッチング処理すると表面粗さが大きくなり、高周波回路基体として不適となる。
他の工程は、第1実施形態のめっき方法と略同じである。
第2実施形態のめっき方法により成膜された、めっき膜の密着強度は、0.5kN/mと実用上、問題のないレベルであった。
次に、第3実施形態の無電解めっき方法では、銅張りプリント配線板にスルホールを形成した基体を用いた。そして、スルホール内に無電解銅めっき膜を成膜した。
第3実施形態では、エッチング工程(S12)、UV処理工程(S13)及びアルカリ処理工程(S14)が省略された。更に、第1の触媒として銅(Cu)触媒を、第2の触媒としてパラジウム(Pd)触媒を用いた。
銅(Cu)触媒を基体に付着させるためには、例えば、第一銅イオン、次亜リン酸イオン及び塩素イオンを含み、pHが6.0〜8.5である銅イオン触媒溶液に基体が浸漬される。
銅イオン触媒溶液は、第一銅イオンの濃度が0.5g/L〜100g/L、次亜リン酸イオンの濃度が、次亜リン酸ナトリウム(NaPH)として10g/L〜100g/L、塩素イオンの濃度が5g/L〜200g/L、が好ましい。
また、次亜リン酸イオンの濃度と第一銅イオンの濃度との比[(次亜リン酸イオン濃度)/(第一銅イオン濃度)]の値が1〜20、が好ましい。
還元剤としては、無機還元剤及び有機還元剤から選択される1種又は2種以上であり、還元剤の合計還元基当量と第一銅イオン当量との比[(合計還元基当量)/(第一銅イオン当量)]の値が1〜10が好ましい。
還元剤としては、次亜リン酸、L−アスコルビン酸、アミンボラン、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素、ギ酸、ホルムアルデヒド、ハイドロキノンから選択される1種以上が好ましい。
なお、銅触媒溶液としては、1価の銅イオンと2価のスズイオンとを含んでいるCu/Snコロイド溶液であってもよい。
第2の触媒工程におけるPd触媒の付着方法としてすでに説明した各種の方法が用いる。例えば、Pd/Sn混合触媒溶液を用いる混合コロイド法、Sn溶液とPd溶液とを順に用いる2液法、Pd溶液を用いるイオン吸着法等を用いる。
ステップS15の導電化工程における無電解めっき膜の成膜には、以下の無電解Cuめっき浴を用いた。
<無電解Cuめっき浴>
硫酸銅(6水和物) 5〜10g/l
クエン酸ナトリウム(2水和物) 10〜20g/l
次亜リン酸ナトリウム(1水和物) 40〜70g/l
ホウ酸 20〜40g/l
pH:8〜11
第1の触媒工程において、Cu触媒が基体に吸着する。そして、第2の触媒工程ではCu触媒が吸着していないサイトにPd触媒が吸着する。Cu触媒はPd触媒よりも安価である。しかし、Cu触媒の触媒活性はPd触媒よりも低い。このため、第1の触媒工程だけの触媒処理では、無電解めっき反応の開始まで時間を要する。
これに対して第2の触媒工程においてPd触媒を吸着することで、Cu触媒の触媒活性の低さを補うことができる。
例えば、触媒工程として第1の触媒工程だけを行った場合、基体を無電解Cuめっき浴に浸漬してから無電解めっき膜の成膜が開始するまで45秒を要したが、第2の触媒工程を行った場合には10秒であった。このため、実施形態のめっき方法は生産性に優れている。
更に、基体表面の触媒吸着サイトの多くは第1の触媒工程においてCu触媒が吸着しているので、第2の触媒工程におけるPd触媒の吸着量は僅かである。このため、実施形態のめっき方法は経済的でもある。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
10…基体
11…樹脂
12…ガラス繊維
13…穴
14…表面改質層
15…Pd触媒
16…Pd触媒
17…無電解めっき膜
20…照射装置
21…低圧水銀ランプ

Claims (3)

  1. 直径が0.3μm〜3.0μmのガラス繊維を含む樹脂からなる基体を、フッ酸含有溶液によりエッチングし、一部の前記ガラス繊維を選択的に除去するエッチング工程と、
    前記基体に紫外線を照射する工程と、
    前記基体にPd及びSnを含有するPd/Snコロイド溶液を用いる混合コロイド法により、触媒として金属Pdを付着する第1の触媒工程と、
    前記基体にPdを含む溶液を用いるイオン吸着法により、触媒としてPdイオンを付着する第2の触媒工程と、
    前記基体に、無電解めっきを行う工程と、を順に具備することを特徴とする無電解めっき方法。
  2. 還元剤含有溶液に前記基体を浸漬し、前記Pdイオンを金属Pdに還元する還元工程を前記第2の触媒工程の後に、具備することを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき方法。
  3. 前記基体の前記樹脂が、ポリカーボネート樹脂又はポリフェニレンサルファイド樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無電解めっき方法。
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