JP5613444B2 - 自動二輪車の車体フレーム - Google Patents

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Description

本発明は、自動二輪車の車体フレームの改良技術に関する。
プレス成形された金属部材を突き合わせることにより形成した中空フレームにラバー製の防振部材を介在させた自動二輪車の車体フレームが知られている(例えば、特許文献1(図4)参照。)。
特許文献1の図4に示されるように、メインフレーム(41)(括弧付き数字は、特許文献1記載の符号を示す。以下同じ。)は、アッパメンバ(51)とロアメンバ(52)とを上下に突き合わせた中空フレームである。このメインフレーム(41)の下側を構成するロアメンバ(52)に、高さ調整部材(68)を取付け、この高さ調整部材(68)に防振ブロック(46)を取付け、この防振ブロック(46)の上方からアッパメンバ(51)を取付けた。このとき、防振ブロック(46)は、アッパメンバ(51)とロアメンバ(52)との間に圧縮された状態で設けられている。
防振ブロック(46)は、高い防振性能を有するが、ロアメンバ(52)に、高さ調整部材(68)を介して取付けられている。防振ブロック(46)を取付けるには、高さ調整部材(68)が必須な部材となっているため、部品点数の増加が避けられなかった。
車両のコストダウンが要求される中、部品点数を減らし、車両のコストを抑えつつ所定位置に防振部材を固定する技術が望まれる。
特許第4367872号公報
本発明は、車両のコストを抑えつつ車体フレームの所定位置に防振部材を固定する技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、プレス成形された金属板材からなり、中空フレームからなる自動二輪車の車体フレームにおいて、中空フレームの内部に、パイプが渡され、このパイプの両端が接触する部位で、中空フレームにパイプの軸直角方向の位置決めをなすパイプ位置決め部が設けられ、パイプ位置決め部は、パイプの内径に対応する径で且つ車幅中心側へ突出する凹部であり、中空フレームは、ヘッドパイプから斜め下へ延びるダウンフレームであり、このダウンフレームは、断面視で、車幅方向に延びる前面部と、この前面部の一端から車両後方へ延びる左側面部と、この左側面部の後端から車幅中心へ延びる左後面部と、この左後面部から車両後方へ延びる左フランジ部と、前面部の他端から車両後方へ延びる右側面部と、この右側面部の後端から車幅中心へ延びる右後面部と、この右後面部から車両後方へ延びる右フランジ部とからなる、略矩形断面の中空フレームであり、パイプの長手方向と左右のフランジ部同士を接合するときの加圧方向とが一致するようにしたことを特徴とする。
請求項に係る発明では、ダウンフレームは、上端部がヘッドパイプ及びメインフレームに接続され、このメインフレームに向かって幅広になる幅広部を、ダウンフレームの上部に備えており、パイプ位置決め部は幅広部に設けられていることを特徴とする。
請求項に係る発明では、パイプは、抵抗溶接により中空フレームに接合されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、前面部と左右側面部とが交わる部位に現れる折り曲げ線は、略直線であり、左右側面部に、折り曲げ線にほぼ沿って延びる補強突条部が形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、中空フレームの内部にパイプが渡されている。パイプを金属部材とすれば、通常利用されているラバー部材に較べて、コストを低減させながら、中空フレームに生ずる振動を抑え、且つ、中空フレームの剛性を高めることができる。
加えて、中空フレームに、パイプの両端が接触する部位にて、パイプ位置決め部が設けられている。
従来、中空フレームに、中空フレームに生ずる振動を抑制するラバー製の防振ブロックを配置する場合、この防振ブロックを中空フレームに止める部材を用いていた。このため、部品点数が増え、車体フレームのコストアップにつながっていた。
この点、本発明では、中空フレームのパイプの両端が接触する部位に、パイプ位置決め部が設けられているので、パイプの位置決め作業が容易に行えるようになり、パイプの位置決めに係る作業性を高めることができる。
また、パイプ位置決め部は、車幅中心側へ突出する凹部である。中空フレームに穴を開け、この穴にパイプ部材を挿入し、ミグ溶接等によりパイプ部材の両端を中空フレームに固定する場合に較べて、ミグ溶接等は不要になるため、表面に溶接痕が残ることがない。表面に溶接痕が残らないので、中空フレームの外観性を高めることができる。
さらに、ダウンフレームは、断面略矩形断面の中空フレームであり、この中空フレームの中空部に渡したパイプの長手方向と左右のフランジ部同士を接合するときの加圧方向とを一致させたので、溶接ガンの向きを変える動作が不要となり、その分、溶接時間を短縮することができる。
請求項に係る発明では、車両側面視で、幅狭に形成され、振動が発生し難いダウンフレームの下部に較べて振動が起き易いダウンフレームの幅広部には、防振用のパイプが位置するパイプ位置決め部が設けられている。したがって、ダウンフレームに振動が起き難くなる。
請求項に係る発明では、パイプは、抵抗溶接により中空フレームに接合されているので、ミグ溶接等に較べると溶接時間が短くなる。溶接時間が短くなるので、溶接費用を低減させることができる。
本発明に係る自動二輪車の左側面図である。 自動二輪車の車体フレームの斜視図である。 自動二輪車の車体フレームの左側面図である。 図3の4−4線断面図である。 本発明に係るダウンフレームの製造方法を説明する図である。 図3の6−6線断面図である。 シートレール及びその製造工程を説明する図である。 図7のシートレールをメインフレームの開口部に挿入することを説明する図である。 図7のシートレールをメインフレームの開口部に挿入し固着した状態を説明する図である。 図3の10−10線断面図である。 図3の11−11線断面図である。 図3の12−12線断面図である。 図3の13−13線断面図である。 図2の14−14線断面図である。 図7の変形例を説明する図である。 図15のシートレールをメインフレームの開口部に挿入する及び挿入後固着した状態を説明する図である。 図7の別実施例を説明する図である。 図17のシートレールをメインフレームの開口部に挿入する及び挿入後固着した状態を説明する図である。 図4の第1変形例を説明する図である。 図4の第2変形例を説明する図である。 図4の第3変形例を説明する図である。 本発明に係る車体フレームの分解斜視図及び比較例に係る車体フレームの分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中及び実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、自動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されているように、自動二輪車10に、車体フレーム11と、この車体フレーム11の前端部に取付けられているヘッドパイプ12に操舵自在に取付けたフロントフォーク13及びこのフロントフォーク13の下端に取付けた前輪14と、フロントフォーク13の上部に取付けたハンドル15と、車体フレーム11の前部上部に取付けた燃料タンク16と、この燃料タンク16の下方に配置したエンジン17及び変速機18を有するパワーユニット21と、が備えられている。
また、自動二輪車10に、車体フレーム11の後部上部に取付けたシート22と、車体フレーム11の下部にスイング自在に取付けたスイングアーム23と、このスイングアーム23の後端に取付けた後輪24と、スイングアーム23の後部及び車体フレーム11の後部のそれぞれの間に渡したリヤクッションユニット25と、が備えられている。
ヘッドパイプ12の前方にヘッドランプ27が配置され、フロントフォーク13に前輪14の上部を覆いフロントフォーク13に取付けられるフロントフェンダ28が設けられている。エンジン17の後上部にスロットルボディ31が設けられている。シート22の後方にテールランプ32が配置され、このテールランプ32の下方に後輪24の上部を覆うリヤフェンダ33が設けられている。なお、スロットルボディ31はキャブレタでも良い。
次に、車体フレームの構造について説明する。
図2に示されているように、自動二輪車の車体フレーム11は、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から車両後方へ延びた後に下へ延びるメインフレーム41と、このメインフレーム41の下端部に設けられピボット軸42を有し断面視略コ字状のピボットプレート43と、ヘッドパイプ12から車両後方且つ下方へ斜めに延びるダウンフレーム44と、からなる。
メインフレーム41からシート(図1、符号22)を支えるシートレール46が延び、シートレール46とピボットプレート43とにサポートフレーム47が渡されている。シートレール46とサポートフレーム47とで、車両側面視で略Y字状を呈する。車体フレーム11の各構成要素は、いずれも、プレス成形された金属板材からなり、中空フレームである。
シートレール46は、左レール部材46Lと右レール部材46Rとからなる。左レール部材46Lと右レール部材46Rとの間には、左レール部材46Lと右レール部材46Rの間を連結するクロスメンバ50が設けられている。
クロスメンバ50は、車両前から後へ、各々、車幅方向に延ばされている第1〜第4クロスメンバ51〜54を構成要素とする。
図1に戻って、ダウンフレーム44は、メインフレーム41の下端及びヘッドパイプ12から斜め後方へ延設されている部材であり、ダウンフレーム44の下端部にエンジン17を取付けるエンジンハンガ49が取り付けられている。
図3に示されているように、メインフレーム41は、ヘッドパイプ12から車両後方へ延びるメインフレーム前半部55と、このメインフレーム前半部55から下へ延びるメインフレーム後半部56とからなる。メインフレーム前半部55に、車幅方向外方へ膨出し燃料タンク16を保持するボルトを有する凸部57が一体的に設けられている。
パイプ位置決め部61は、メインフレーム前半部55及びダウンフレーム44に設けられている。詳細な構造については後述する。
次に、ダウンフレームの断面構造について説明する。
図4に示されているように、ダウンフレーム44は、一端に左フランジ部63を有し他端に右フランジ部64を有する金属板を筒形に折り曲げ、左右フランジ部63、64同士が溶接された中空フレームであり、左右フランジ部63、64が車両後方を向くように配置されている。
次に、ダウンフレームの製造方法について説明する。
図5(a)に示すように、ブランク材と呼ばれる金属板66を準備する。
図5(b)〜図5(c)に、塑性加工工程が示されている。
図5(b)に示すように、金属板66を所定の形状に板取りして、小凸部67が形成されるように成形し、次に縁を切断する(第1フォーム工程、トリム工程)。
図5(c)に示すように、図5(b)で加工された金属板66を金型68にセットし、矢印c、c方向に筒形に折り曲げる(第2フォーム工程)。
図5(d)示すように、図5(c)で加工された金属板66の左右フランジ部63、64同士を溶接する(溶接工程)。溶接工程での溶接は、スポット溶接が好適である。
次に、メインフレームの構造等について説明する。
図6に示されているように、メインフレーム41は、左半体71と右半体81とを合わせてなる中空フレームであり、左半体71は、車体中心側が開放される左コ字断面部72と、この左コ字断面部72から上下に延びる左上フランジ部73及び左下フランジ部74とを有する金属板のプレス成形品である。同様に、右半体81は、車体中心側が開放される右コ字断面部82と、この右コ字断面部82から上下に延びる右上フランジ部83及び右下フランジ部84とを有する金属板のプレス成形品である。そして、左右上フランジ部73、83同士が溶接され、前記左右下フランジ部74、84同士が溶接されている。
図中、Gは溶接ガンの先端、Eはアースである。
次に、シートレールの構造等について詳しく説明する。
図7(a)に示すように、シートレール46の右側を構成する右レール部材46Rは、車体中心側に開く右コ字断面レール部101と、この右コ字断面レール部101に車体中心側から当てて溶接した右蓋部材102とからなる中空断面部材である。右蓋部材102を右コ字断面レール部101に図矢印aの如く合わせスポット溶接し、図7(b)に示されている右レール部材46Rを得る。
右レール部材46Rと同様、左レール部材46Lは、車体中心側に開く左コ字断面レール部91と、この左コ字断面レール部91に車体中心側から当てて溶接した左蓋部材92とからなる中空断面部材である。左レール部材46Lの製造方法は、右レール部材と同様なものであり説明を省略する。
図7(c)に示すように、右レール部材46Rの前部に左レール部材46Lの前部を図矢印cの如く合わせる。
図8(a)に示されているように、メインフレーム41に開口部111が設けられ、この開口部111に、左右蓋部材92、102の先端同士が合わさるようにして左レール部材46Lの先端及び右レール部材46Rの先端が挿入可能に構成されている。
図8(b)は図8(a)の8(b)−8(b)線断面図であり、メインフレーム41の断面が示されている。
図9に示すように、左右蓋部材92、102の先端同士が合わさるようにして左レール部材46Lの先端及び前記右レール部材46Rの先端を挿入し、メインフレーム41と左右レール部材46L、46Rの先端とを溶接167することで、メインフレーム41にシートレール46が連結されている。
図10に示すように、メインフレーム41に開けた開口部111に左右のレール部材46L、46Rが挿入され、左右上サブフランジ93、103の前端部及び左右下サブフランジ94、104の前端部が開口部111を臨んでいる。
図11に示すように、開口部111の内部におけるシートレール46が挿入されており、図10とは異なり、開口部111の内側に、左右上サブフランジ93、103及び左右下サブフランジ94、104は挿入されていない。
図7〜図9を参照して、左コ字断面レール部91は、先端を除く部位に上下に延びる左上下サブフランジ部93、94を有し、前記右コ字断面レール部101は、先端を除く部位に上下に延びる右上下サブフランジ部103、104を有し、左上サブフランジ部93の前端及び右上サブフランジ部103の前端が前記開口部の縁111f又は前記左右上下フランジ部73、83、74、84の後端に当接している。
次に、図12〜13に基づいて、メインフレームとダウンフレームに、各々、中空フレームの対向する壁面の間に渡した防振部材としてのパイプ及びその周辺部の構造等について説明する。
図6、図12に示すように、メインフレーム41は、左半体71と右半体81とを合わせてなる中空フレームであり、左半体71は、車体中心側が開放される左コ字断面部72と、この左コ字断面部72から上下に延びる左上フランジ部73及び左下フランジ部74とを有する金属板のプレス品であり、右半体81は、車体中心側が開放される右コ字断面部82と、この右コ字断面部82から上下に延びる右上フランジ部83及び右下フランジ部84とを有する金属板のプレス品であり、左右上フランジ部73、83同士が溶接され、左右下フランジ部74、84同士が溶接されている。
図13に示されているように、車体フレーム11の構成要素としてのダウンフレーム44は、断面視で、車幅方向に延びる前面部131と、この前面部131の一端から車両後方へ延びる左側面部132と、この左側面部132の後端から車幅中心へ延びる左後面部133と、この左後面部133から車両後方へ延びる前記左フランジ部63と、前面部131の他端から車両後方へ延びる右側面部142と、この右側面部142の後端から車幅中心へ延びる右後面部143と、この右後面部143から車両後方へ延びる前記右フランジ部64とからなる略矩形断面の中空フレームである。
左側面部132と右側面部142には、対向位置に、一対のパイプ位置決め部61が形成され、パイプ位置決め部61は、パイプ11の内径(Db)に対応する径で且つ車幅中心側へ突出する凹部124、124である。パイプ11は、スポット溶接部118、118により中空フレームを構成する左側面部132及び右側面部142に接合されている。パイプ114の長手方向と左右のフランジ部63、64同士を接合するときの加圧方向とが一致するようにした。
すなわち、中空フレームとしてのダウンフレーム44の内部に、パイプ114が渡され、このパイプ114の両端が接触する部位で、ダウンフレーム44にパイプ114の軸直角方向の位置決めをなすパイプ位置決め部61が設けられている。
次に、リヤクッションユニット上端部が取付けられる部材について説明する。
図14に示されているように、左右のレール部材46L、46Rの間に、クロスメンバの構成要素としての第2クロスメンバ52が渡され、この第2クロスメンバ52は、左右レール部材46L、46Rから車幅方向左右に突出した突出部151、151を有し、これらの突出部151、151はリヤクッションユニット(図1、符号25)(リヤクッション25)を連結することができるリヤクッションステー152を兼ねている。
左右レール部材46L、46Rに各々リブ部159L、159Rが形成されており、リブ部159L、159Rが形成されていない場合に較べて、左右レール部材46L、46Rの剛性が上がり、左右レール部材46L、46Rの変形が抑えられる。
次に、変形例に係るレール部材の構造について説明する。
図15に示されているように、シートレール46の右側を構成する右レール部材46Rは、車体中心側に開く右コ字断面レール部101と、この右コ字断面レール部101に車体中心側から当てて溶接した右蓋部材102とからなる中空断面部材である。右蓋部材102を右コ字断面レール部101に図矢印aの如く合わせ抵抗溶接(スポット溶接)を施し、図15(b)に示されている右レール部材46Rを得る。
図7と大きく異なる点として、右蓋部材102は、右上下サブフランジ部103、104に後方から前方に向け当てられた後、右蓋部材102の先端部が車幅方向外側へ折り曲げられ、右コ字断面レール部101の内側面101uに複数の溶接点168にて固着されている点にあり、その他、大きく異なるところはない。
右レール部材46Rと同様、左レール部材46Lは、車体中心側に開く左コ字断面レール部91と、この左コ字断面レール部91に車体中心側から当てて溶接した左蓋部材92とからなる中空断面部材である。左レール部材46Lの構造及び製造方法は、右レール部材と同様なものであり説明を省略する。
図15(c)に示されているように、右レール部材46Rの前部に左レール部材46Lの前部を図矢印cの如く合わせる。
図16(a)に示されているように、メインフレーム41に開口部111が設けられ、この開口部111に、左右蓋部材92、102の先端同士が合わさるようにして左レール部材46Lの先端及び右レール部材46Rの先端が挿入可能に構成されている。
図16(b)に示されているように、左右蓋部材92、102の先端同士が合わさるようにして左レール部材46Lの先端及び前記右レール部材46Rの先端を挿入し、メインフレーム41と左右レール部材46L、46Rの先端とを溶接することで、メインフレーム41にシートレール46が連結されている。
次に、別実施例に係るレール部材の構造について説明する。
図17(a)に示されているように、右レール部材46Rは、車体中心側に開く右コ字断面レール部101と、右蓋部材102とからなる中空断面部材である。
図17(b)に示されているように、右コ字断面レール部101に車体中心側から右蓋部材102を当てて溶接する。なお、左レール部材46Lの構造及びその製造方法は、右レール部材と同様なものであり説明を省略する。
図17(c)に示されているように、右レール部材46Rの前部に左レール部材46Lの前部を図矢印cの如く合わせる。
図18(a)に示されているように、左レール部材46Lの先端46Laと右レール部材46Rの先端46Raとが、メインフレーム41の左右コ字断面部の外側面82sに沿うように屈曲形成されており、このような左レール部材46Lと右レール部材46Rとの先端がメインフレーム41の左右コ字断面部82の外側面82sに当てられ複数の溶接点にて溶接されている。
左レール部材46Lと右レール部材46Rとの先端には、左右上フランジ部83及び前記左右下フランジ部を収納するフランジ収納部154が折り曲げ形成され、このフランジ収納部154にメインフレームの左右の上フランジ部73、83が係合している。
次に、断面略8角形を呈するダウンフレームの変形例について説明する。
図19に示されているように、左右側面部132、142に、図3の符号155に折り曲げ線155で示されている補強突条部156、156が形成されている。
前面部131の一端と左側面部132とは前左斜面部135を介して繋がり、前面部131の他端と右側面部142とは前右斜面部145を介して繋がっており、左側面部132と左後面部133とは後左斜面部136を介して繋がり、右側面部142と右後面部143とは後右左斜面部146を介して繋がっている略八角形断面の筒型フレームである。
図3を併せて参照し、補強突条部156、156は、前面部131と前記左右側面部132、142とが交わる部位に現れる折り曲げ線155、155(図左側の符号155のみ示す。)となってあらわれ、この折り曲げ線155、155は、車両側面視で略直線である。
次に、断面略矩形を呈するダウンフレームの変形例について説明する。
図20に示されているように、ダウンフレーム44は、断面視で、車幅方向に延びる前面部131と、この前面部131の一端から車両後方へ延びる左側面部132と、この左側面部132の後端から車幅中心へ延びる左後面部133と、この左後面部133から車両後方へ延びる前記左フランジ部63と、前記前面部131の他端から車両後方へ延びる右側面部142と、この右側面部142の後端から車幅中心へ延びる右後面部143と、この右後面部143から車両後方へ延びる前記右フランジ部64とからなる、略矩形断面の中空フレームである。
次に、断面略六角形を呈するダウンフレームの変形例について説明する。
図21に示されているように、ダウンフレームは、車幅方向長さの小さな前面部131の一端と左側面部132とは前左斜面部135(左前斜面部135)を介して繋がり、前面部の他端と右側面部とは前右斜面部145(右前斜面部145)を介して繋がっており、ダウンフレーム44は、略六角形断面の中空フレームである。
なお、ダウンフレーム44の断面形状は、任意の形状で良いものとする。例えば、五角形、7角形、9角形などでも差し支えないものとする。
図22(a)に示されている実施例では、メインフレーム41は、左半体71と右半体81とを合わせてなる中空フレームであり、シートレール46は、左レール部材46Lと右レール部材46Rとからなる。左レール部材46Lは、左コ字断面レール部91と、左蓋部材92とから構成し、右レール部材46Rは、右コ字断面レール部101と、右蓋部材102とから構成した。そして、メインフレーム41に開口部111が設けられ、この開口部111に、左右蓋部材92、102の先端同士が合わさるようにして左レール部材46Lの先端及び右レール部材46Rの先端を矢印αの向きに挿入し、メインフレーム41と左右レール部材46L、46Rの先端とを溶接することで、メインフレーム41にシートレール46を連結させた。
図22(b)に示されている比較例では、メインフレーム41Mは、上半体161と下半体162とを合わせてなる中空フレームであり、このメインフレーム41は車両後方へ延ばされシートレールを兼ねている。
以上の構成からなる自動二輪車のフレーム構造の作用を次に説明する。
第1に、図4に示すとおりに、ダウンフレーム44は、左右フランジ部63、64同士が溶接された中空フレームであり、左右フランジ部63、64が車両後方を向くように配置されている。
溶接部となるダウンフレームの左右のフランジ部同士が車両前方を向けて配置されていると、溶接部が目立つため、車両の外観性を損なう場合があったが、本発明では、車両正面視で溶接部が見えなくなるので、車両の外観性を高めることができる。
また、ダウンフレーム44は、左右フランジ部63、64を有する金属板を筒形に折り曲げて形成したので、左部材と右部材を別部材としダウンフレームを構成した場合に較べて、部品点数を減らすことができる。加えて、1枚の金属板を折り曲げた後、左右フランジ部63、64同士を溶接するだけなので、溶接長さが短くなり溶接コストを低減することができる。
したがって、本発明によれば、車両の外観性を高め、部品点数を減らし、且つ溶接コストを低減することができる自動二輪車の車体フレーム11が提供される。
第2に、図20に示すとおりに、ダウンフレーム44は、断面視で略矩形断面の中空フレームである。
ダウンフレームを断面視で矩形以外の、例えば、8角形状断面とすると、矩形断面に較べて金型成形面の形状が複雑になり金型費用が嵩む可能性がある。
この点、本発明では、ダウンフレーム44は、断面視で略矩形断面の中空フレームとしたので、成形面の形状が簡単になり、金型費用を低く抑えることができる。
第3に、図3に示すとおりに、折り曲げ線153は、車両側面視で略直線となるように形成されているので、金型成形面の形状が簡単になり金型費用の低減が図れる。
第4に、図6に示すとおりに、ダウンフレーム44の左右の先端部は、メインフレーム41の左右のコ字断面部の外面に固定されているので、ダウンフレーム44の左右の先端部が、左右下フランジに固定されている場合に較べて、左右の先端部間の間隔を長くとることが可能となり、左右の先端部間の間隔が長くなれば、接続部のねじれ剛性を高めることができる。
第5に、図6に示すとおりに、メインフレーム41において、剛性が高い部位である下部コーナ部近傍に、ダウンフレームの左右上端部139、149が溶接されているので、ダウンフレーム44の取付剛性を一層高めることができる。
第6に、図2に示すとおりに、ダウンフレーム44の左右上端部には、逃げ部が形成されているので、メインフレーム41に凸部57が形成されている場合であっても、十分な溶接長さが確保される。このため、凸部57が形成されていても、ダウンフレーム44の取付剛性が低下する心配はない。
第7に、図21に示すとおりに、ダウンフレーム44は、略六角形断面の中空フレームとした。略六角形断面の中空フレームであれば、略矩形断面の中空フレームに較べて、走行風がダウンフレーム44に当たったとき、走行風をダウンフレーム44の左右に円滑に流すことができる。したがって、車両の空力性能を向上させることができる。
第8に、図4に示すとおりに、ダウンフレーム44は、略八角形断面の中空フレームとした。略八角形断面の中空フレームであれば、略六角形断面の中空フレームに較べて、走行風がダウンフレームに当たり、走行風が側方を流れ、ダウンフレーム44の後方で渦が発生し難くなり、走行風を後方へ円滑に流すことができる。したがって、車両の空力性能を一層向上させることができる。
第9に、図3及び図19に示すとおりに、ダウンフレームの左右側面部132、142に、補強突条部156が形成されているので、補強突条部156が形成されていない場合に較べてダウンフレーム44の剛性を高めることができる。
第10に、溶接は、スポット溶接であるので、ミグ溶接等に較べると溶接時間が短縮され、溶接費用を低減させることができる。
第11に、図5に示すとおりに、塑性加工工程では、ダウンフレーム44は、1枚の金属板を筒形に折り曲げた部材としたので、2枚の金属板を加工する場合に較べて、生産性を高め易い。加えて、溶接工程では、左右のフランジ部63、64同士を溶接するだけでダウンフレーム44が形成されるので、溶接費用を低減させることができる。
第12に、図5に示すとおりに、溶接は、スポット溶接にしたので、ミグ溶接等に較べると溶接時間が短縮される。溶接時間が短縮されるので、溶接費用を低減させることができる。
第13に、図〜9に示すとおりに、メインフレーム41は、左半体71と右半体81とを合わせてなる中空フレームであり、シートレール46は、左レール部材46Lと右レール部材46Rとからなる。左レール部材46Lは、左コ字断面レール部91と、左蓋部材92とから構成し、右レール部材46Rは、右コ字断面レール部101と、右蓋部材102とから構成した。
そして、メインフレーム41に開口部111が設けられ、この開口部111に、左右蓋部材92、102の先端同士が合わさるようにして左レール部材46Lの先端及び右レール部材46Rの先端を挿入し、メインフレーム41と左右レール部材46L、46Rの先端とを溶接することで、メインフレーム41にシートレール46を連結させた。
従来、金属製のプレス成形品で車体フレームを構成する場合に、例えば、断面コ字状のメンバを車両幅方向中心を向くように突き合わせた後接合したメインフレームでは、荷重負担が大きな部位に合わせて断面構造が設定されていた。このため、メインフレームの剛性は十分確保されるが、車体フレームの重量増加につながり易いという問題があった。
この点、本発明では、メインフレーム41及びシートレール46を各々別部材で構成した中空断面部材とした。上記メインフレーム41及び左右のシートレール46であれば、荷重負担の大きな部位の断面を大きなものとし、荷重の小さな部分の断面を小さなものとする等により、車体フレーム11の軽量化を図ることができる。
また、メインフレーム41に開けた開口部111には、左右のレール部材46L、46Rの先端部が挿入され溶接されている。シートレール46は、メインフレーム41の開口部111の壁部に沿って溶接されるので、溶接長さを短くでき、メインフレーム41とシートレール46との間の連結部に所定の剛性を付与することができる。
したがって、本発明によれば、車体フレーム11の軽量化を図ることが可能になる。
第14に、図〜9に示すとおりに、左右のコ字断面レール部の先端には、左右のサブフランジ部93、103、94、104が設けられていない。
メインフレーム41の開口部111に左右のレール部材46L、46Rを挿入したときに、左右のコ字断面レール部91、101の先端はメインフレーム41内に位置し、左右の上サブフランジ部93、103の前端が開口部の縁111f又は左右上下フランジ部73、83、74、84の後端に当てたので、メインフレーム41にシートレール46を挿入するときに、位置決め作業を容易に行うことができる。
第15に、図7、図15〜16に示すとおりに、左右の蓋部材92、102は、各々、左右の上下サブフランジ部93、103、94、104に当てられた後、先端部が車幅方向外側へ折り曲げられ、左右コ字断面レール部1、101の内側面に固着されている。左右の蓋部材92、102の前端部は、各々、左右のコ字断面レール部91、101に固着されているので、左右のレール部材46L、46Rの前部の剛性を高めることができる。
第16に、図3、図17〜18に示すとおりに、左レール部材46Lと右レール部材46Rとからなるシートレール46の前端は、メインフレームの左右コ字断面部72、82の外側面に沿うように屈曲形成されており、このような左レール部材46Lと右レール部材46Rとの先端がメインフレーム41の左右コ字断面部72、82の外側面に挟むようにして当てられ溶接されている。シートレール46の前端で車両後方からメインフレーム41を挟むようにして溶接したので、単に、シートレール46の前端をメインフレームに溶接する場合に較べて、溶接長をかせぐことができる。溶接長がかせげるので、シートレール46とメインフレーム41間の接合強度を高めることができる。
第17に、図3及び図18に示すとおりに、シートレール46をメインフレーム41に取付けるときに、左レール部材46Lの先端と右レール部材46Rの先端との間に形成されているフランジ収納部154を、メインフレーム41側に設けられている左右上フランジ部73、83及び左右下フランジ部74、84に合わせるようにした。したがって、メインフレーム41にシートレール46を位置決めする作業を容易に行うことができる。
第18に、図2に示すとおりに、左レール部材46Lと右レール部材46Rとの間にクロスメンバ50が設けられているので、車体フレーム11の剛性を高めることができる。
第19に、図14に示すとおりに、クロスメンバ50は、リヤクッションステー152を兼ねているので、部品点数を減らすことができる。
第20に、図13に示すとおりに、中空フレーム(ダウンフレーム44)の内部にパイプ11が渡されている。パイプ11を金属部材とすれば、通常利用されているラバー部材に較べて、コストを低減させながら、中空フレームに生ずる振動を抑え、且つ、中空フレームの剛性を高めることができる。
加えて、中空フレームに、パイプ11の両端が接触する部位にて、パイプ位置決め部61、61が設けられている。
従来、中空フレームに、中空フレームに生ずる振動を抑制するラバー製の防振ブロックを配置する場合、この防振ブロックを中空フレームに止める部材を用いていた。このため、車体フレームのコストアップにつながっていた。
この点、本発明では、中空フレーム(ダウンフレーム44)のパイプ11の両端が接触する部位に、パイプ位置決め部61が設けられているので、パイプ11の位置決め作業が容易に行えるようになり、パイプ11の位置決めに係る作業性を高めることができる。
第2に、図13に示すとおりに、パイプ位置決め部61は、車幅中心側へ突出する凹部124、124である。
従来の中空フレームに穴を開け、この穴にパイプ部材を挿入し、ミグ溶接等によりパイプ部材の両端を中空フレームに固定する場合に較べて、ミグ溶接等は不要になるため、表面に溶接痕が残ることがない。表面に溶接痕が残らないので、中空フレームの外観性を高めることができる。
第2に、図13に示すとおりに、ダウンフレーム44は、断面略矩形断面の中空フレームであり、この中空フレームの中空部に渡したパイプ11の長手方向と左右のフランジ部63、64同士を接合するときの加圧方向とを一致させたので、溶接ガンの向きを変える動作が不要となり、その分、溶接時間を短縮することができる。
第2に、図3及び図12に示すとおりに、振動が発生し難いメインフレーム後半部56に較べて振動が発生し易い平坦面を有するメインフレーム前半部55に防振用のパイプが配置されるパイプ位置決め部61が設けられている。したがって、メインフレーム41に振動が起き難くなる。
第2に、図3及び図13に示すとおりに、車両側面視で、幅狭に形成され、振動が発生し難いダウンフレーム44の下部に較べて振動が起き易いダウンフレームの幅広部には、防振用のパイプが位置するパイプ位置決め部61が設けられている。したがって、ダウンフレーム44に振動が起き難くなる。
第2に、パイプ11は、スポット溶接により中空フレームに接合されているので、ミグ溶接等に較べると溶接時間が短くなる。溶接時間が短くなるので、溶接費用を低減させることができる。
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、鞍乗り型車両としての不整地走行車(三輪バギー、四輪バギー)等にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
10…自動二輪車、11…車体フレーム、12…ヘッドパイプ、25…リヤクッション、41…メインフレーム、44…ダウンフレーム(中空フレーム)、46…シートレール(中空フレーム)、46L…左レール部材(中空フレーム)、46R…右レール部材(中空フレーム)、55…メインフレーム前半部、56…メインフレーム後半部、61…パイプ位置決め部、63…左フランジ部、64…右フランジ部、71…左半体、72…左コ字断面部、73…左上フランジ部、74…左下フランジ部、81…右半体、82…右コ字断面部、83…右上フランジ部、84…右下フランジ部、91…左コ字断面レール部、92…左蓋部材、93…左上サブフランジ部、94…左下サブフランジ部、101…右コ字断面レール部、102…右蓋部材、103…右上サブフランジ部、104…右下サブフランジ部、111…開口部、111f…開口部の縁、113…パイプ、114…パイプ、123…凸部、124…凹部、131…前面部、132…左側面部、133…左後面部、139…左上端部、142…右側面部、143…右後面部、149…右上端部、152…リヤクッションステー、15…折り曲げ線、166…幅広部。

Claims (4)

  1. プレス成形された金属板材からなり、中空フレームからなる自動二輪車の車体フレーム(11)において、
    前記中空フレームの内部に、パイプ(114)が渡され、このパイプ(114)の両端が接触する部位で、前記中空フレームに前記パイプ(114)の軸直角方向の位置決めをなすパイプ位置決め部(61)が設けられ、
    前記パイプ位置決め部(61)は、前記パイプ(114)の内径に対応する径で且つ車幅中心側へ突出する凹部(124)であり、
    前記中空フレームは、ヘッドパイプ(12)から斜め下へ延びるダウンフレーム(44)であり、
    このダウンフレーム(44)は、断面視で、車幅方向に延びる前面部(131)と、この前面部(131)の一端から車両後方へ延びる左側面部(132)と、この左側面部(132)の後端から車幅中心へ延びる左後面部(133)と、この左後面部(133)から車両後方へ延びる左フランジ部(63)と、前面部(131)の他端から車両後方へ延びる右側面部(142)と、この右側面部(142)の後端から車幅中心へ延びる右後面部(143)と、この右後面部(143)から車両後方へ延びる右フランジ部(64)とからなる、略矩形断面の中空フレームであり、
    前記パイプ(114)の長手方向と前記左右のフランジ部(63、64)同士を接合するときの加圧方向とが一致するようにしたことを特徴とする自動二輪車の車体フレーム。
  2. 前記ダウンフレーム(44)は、上端部が前記ヘッドパイプ(12)及びメインフレーム(41)に接続され、このメインフレーム(41)に向かって幅広になる幅広部(166)を、前記ダウンフレーム(44)の上部に備えており、
    前記パイプ位置決め部(61)は前記幅広部(166)に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の車体フレーム。
  3. 前記パイプ(114)は、抵抗溶接により前記中空フレームに接合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車の車体フレーム。
  4. 前記前面部(131)と前記左右側面部(132、142)とが交わる部位に現れる折り曲げ線(155、155)は、略直線であり、前記左右側面部(132、142)に、前記折り曲げ線(155、155)にほぼ沿って延びる補強突条部(156、156)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の自動二輪車の車体フレーム。
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