JP5607354B2 - 高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物 - Google Patents

高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物 Download PDF

Info

Publication number
JP5607354B2
JP5607354B2 JP2009298465A JP2009298465A JP5607354B2 JP 5607354 B2 JP5607354 B2 JP 5607354B2 JP 2009298465 A JP2009298465 A JP 2009298465A JP 2009298465 A JP2009298465 A JP 2009298465A JP 5607354 B2 JP5607354 B2 JP 5607354B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
containing compound
fluorine
producing
purity
zeolite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009298465A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011136955A (ja
Inventor
修一 杉田
好広 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Union Showa KK
Original Assignee
Union Showa KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Union Showa KK filed Critical Union Showa KK
Priority to JP2009298465A priority Critical patent/JP5607354B2/ja
Publication of JP2011136955A publication Critical patent/JP2011136955A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5607354B2 publication Critical patent/JP5607354B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物に関する。さらに詳しくは、本発明は、半導体製造用エッチングガスや、冷凍サイクル用冷媒などとして用いられる含フッ素化合物中の各種不純物を効果的に除去することにより、装置の腐食や早期劣化を起こすことなく長期間にわたり上記含フッ素化合物を使用あるいは循環使用したり、さらには上記含フッ素化合物の再利用を可能とする高純度含フッ素化合物の製造方法、及びこの製造方法により得られた高純度含フッ素化合物に関するものである。
従来、含フッ素化合物は各種用途に用いられてきた。例えばテトラフルオロメタン(CF4)、ヘキサフルオロエタン(C26)などのパーフルオロカーボンは、半導体製造用エッチングガスとして用いられており、また、ペンタフルオロエタン(CF3CHF2)などのハイドロフルオロカーボンは、冷凍機用冷媒や、高純度が要求される半導体製造用エッチングガスとして用いられている。
しかしながら、これらのガスは、その地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)に比べて格段にその値が大きいことから、これらのガスを半導体製造の使用後においてそのまま大気に放出することは、地球温暖化に大きな悪影響を与えることとなる。
したがって、半導体製造用エッチングガスとして使用されたのちの排出ガスは、現時点では、一般に種々の原理の除害装置を用いて無害化処理が行われている。上記無害化処理としては、通常大気圧プラズマ装置が用いられているが、エッチングガスの消費量が膨大であるため、上記排出ガスの無害化処理の負荷が過大になっているのが現状である。
一方で、これらの排出ガスを回収する試みも行われている。回収されたこれらのガスは廃フロン処理施設で破壊処理されるが、これらのガスの製造プラントに戻されて精製され、再使用されている。さらには、不純物としてのハロゲン系ガス(例えば、HF、SiF4等)、酸素(O2)、水分(H2O)が1体積ppm未満となるまで除去され、回収・濃縮された濃度が80〜95体積%(残りはN2)とされたガスを、再使用可能な半導体製造装置に供給することが行なわれ始めてきた。
他方、冷凍機用冷媒として、従来クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などが主に使用されてきたが、環境問題の原因となる塩素を含む化合物であったことから、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などの塩素を含有しない代替冷媒が検討されるに至った。また、地球温暖化係数がより低く、現行カーエアコンシステムに使用できる冷媒として、例えば不飽和フッ化炭化水素化合物(例えば、特許文献1参照)、フッ化エーテル化合物(例えば、特許文献2参照)、フッ化アルコール化合物、フッ化ケトン化合物など分子中に特定の極性構造を有する冷媒が見出されている。
一般に、冷凍機は圧縮機、凝縮器、膨張機構、乾燥器及び蒸発器を必須とする構成からなる冷凍サイクルを有しており、そして上記乾燥器には、冷凍サイクル中の前述したフッ素系冷媒を吸収することなく、水分を除去するために、乾燥剤として、例えば天然ゼオライトや合成ゼオライトなどが充填されている。
さらに、ハイドロフルオロカーボンやハイドロフルオロエーテルは、電子機器、機械装置等の摺動部や表面に潤滑性を付与する潤滑性重合体の溶剤として、あるいはこれらの洗浄用溶剤として用いられるが、近年これらの小型化、高精度化に伴い、高耐久性、高信頼性が求められている。したがって、溶剤として用いられるこれらハイドロフルオロカーボンやハイドロフルオロエーテルは、高純度のものが要求される。
ところで、前記のフッ素化炭化水素を製造する方法としては、例えば、
(1)分子内に炭素−炭素二重結合を有する炭素原子に塩素原子が置換した不飽和炭化水素を、非プロトン性極性溶媒中、フッ化カリウム等のアルカリ金属フッ化物を作用させて、フッ素化不飽和炭化水素を製造する方法;
(2)フッ素化不飽和炭化水素を、水素化触媒の存在下に接触水素還元してハイドロフルオロカーボンを製造する方法;
(3)金属フッ化物存在下に酸フルオリドとアルキルハライドまたはアルキルスルホネートとを反応させる方法;
(4)分子内にフッ素置換可能な塩素原子等を有する飽和炭化水素(ハイドロカーボン)にフッ素化剤を作用させて、ハイドロフルオロカーボンを製造する方法;
などが挙げられる。
これらの製造方法により得られた目的物は、蒸留等により単離・精製されるが、得られる目的物には、微量のハロゲン化水素が含まれている場合が多い。ハロゲン化水素、中でもフッ化水素は腐食性に富み、微量含まれている場合であっても、ガラス製や金属製の製造設備、充填容器、使用設備等を腐食する性質がある。特に、水分が混入すると、さらに腐食されやすくなる環境におかれるため、フッ化水素を含有したままでは不都合を招く場合が多い。
また、水やフッ化水素が存在すると、特に含フッ素化合物が二重結合等の反応性部位を持っている等の理由で化学的に不安定な場合、含フッ素化合物の変質(分解や重合、異性化等)を引き起こし、更なる純度の低下を招くという悪循環に陥るおそれがある。
具体的には、ペンタフルオロエタンの場合は、(a)テトラクロロエチレン又はそのフッ化物を、フッ化水素でフッ素化する方法、(b)クロロペンタフルオロエタンを還元水素化する方法、(c)ハロゲン含有エチレンにフッ素ガスを反応させる方法などが知られている。このペンタフルオロエタンは、ヘキサフルオロエタンの原料でもある。このようにして得られるペンタフルオロエタンには、不純物として、例えばハイドロクロロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、さらにはフッ化水素などが含まれている。
また、ヘキサフルオロエタンの場合、(1)エタン及び/又はエチレンを原料とする電解フッ素化法、(2)四フッ化エチレンなどを熱分解する熱分解法、(3)アセチレン、エチレン及び/又はエタンなどを金属フッ化物によりフッ素化する方法、(4)ジクロロテトラフルオロエタンやクロロペンタフルオロエタンを、フッ化水素によりフッ素化する方法、(5)フッ素ガスにより、エタン、ハイドロフルオロカーボンなどを直接フッ素化する方法などが知られている。このようにして得られるヘキサフルオロエタンには、不純物として、例えばクロロトリフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化水素などが含まれている。
このように、含フッ素化合物には、その製造時に混入される中間体、異性体、副生成物(フッ化水素、ハイドロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、フルオロアルケン類など)、あるいはその使用時に混入される水分、フッ化水素、SiF4、異性体などが含まれている。
したがって、このような不純物を含む含フッ素化合物中の該不純物を除去する技術が種々開示されている。
例えば、不純物として分子内に炭素原子2個を含むハイドロフルオロカーボン類を主として含有するへキサフルオロエタンを平均細孔径が3.5Å〜11Å、シリカ/アルミニウム比が2.0以下であるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.5Å〜11Åである炭素質吸着剤からなる吸着剤と接触させることにより、前記ハイドロフルオロカーボン類を低減させることを特徴とするヘキサフルオロエタンの精製方法(例えば、特許文献3参照)、分子内に炭素原子1個を含むハイドロフルオロカーボン類、分子内に炭素原子1個を含むハイドロクロロフルオロカーボン類および分子内に炭素原子1個を含むハイドロクロロカーボン類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する粗ペンタフルオロエタンと、平均細孔径が3Å〜6Åであり、かつシリカ/アルミニウム比が2.0以下であるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.5Å〜6Åである炭素質吸着剤とからなる吸着剤を接触させ、粗ペンタフルオロエタン中に不純物として含まれる前記化合物の含有量を低減させることを特徴とするペンタフルオロエタンの精製方法(例えば、特許文献4参照)、フッ化水素を含む炭素数4〜8のフッ素化炭化水素を、フッ化水素除去材(好ましくは、ゼオライト、アルミナ、シリカ、活性炭及びイオン交換樹脂の中から選ばれる少なくとも1種)と接触させることを特徴とする炭素数4〜8のフッ化炭化水素の精製方法(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
特表2006−503961号公報 特表平7−507342号公報 特開平10−287595号公報 特開2004−35436号公報 特開2002−47218号公報
しかしながら、前記特許文献3〜5に記載の技術において用いるゼオライトは、いずれも特定の金属イオンにより、イオン交換可能なイオン数の所定量を交換してなる特定のゼオライトではなく、しかも除去する不純物が、特許文献3ではヘキサフルオロエタン中のハイドロフルオロカーボン類、特許文献4ではペンタフルオロエタン中のハイドロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類及びハイドロクロロカーボン類、特許文献5では炭素数4〜8のフッ素化炭化水素中のフッ化水素に限定されている。
本発明は、このような状況下になされたもので、半導体製造用エッチングガスや、冷凍サイクル用冷媒などとして用いられる含フッ素化合物、好ましくはパーフルオロオレフィン中の各種不純物を効果的に除去することにより、装置の腐食や早期劣化を起こすことなく長期間にわたり上記含フッ素化合物を使用あるいは循環使用したり、さらには上記含フッ素化合物の再利用を可能とする高純度含フッ素化合物の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、イオン交換可能なイオンが、ある値以上の割合で特定の金属イオンに交換されてなるゼオライトに、含フッ素化合物を接触させることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)ゼオライト中のイオン交換可能なイオン数の20%以上がカルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンに交換されたゼオライトに、含フッ素化合物を接触させて、該含フッ素化合物に含まれる不純物を除去する工程を有することを特徴とする高純度含フッ素化合物の製造方法、
(2)前記ゼオライトが、ゼオライト中のイオン交換可能なイオン数の50%以上がカルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンに交換されてなる上記(1)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(3)前記イオン交換されたゼオライトが、チャバサイト型ゼオライト、A型ゼオライト及びX型ゼオライトから選ばれる少なくとも一種である上記(1)または(2)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(4)前記含フッ素化合物が、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、ヘキサフルオロプロパン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタフルオロプロパン及びオクタフルオロシクロブタンから選ばれる少なくとも一種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(5)前記含フッ素化合物が、パーフルオロオレフィンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(6)前記パーフルオロオレフィンが、パーフルオロジエン化合物である上記(5)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(7)前記パーフルオロジエン化合物が、ヘキサフルオロブタジエン、オクタフルオロペンタジエン及びデカフルオロヘキサジエンから選ばれる少なくとも一種である上記(6)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(8)前記含フッ素化合物が、ヘキサフルオロ硫黄三フッ化窒素及びフッ化カルボニルから選ばれる少なくとも一種である上記(1)(3)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(9)前記含フッ素化合物と前記イオン交換されたゼオライトとを、質量比100:1〜1:10の割合で接触させる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(10)前記イオン交換されたゼオライトを充填した装置に、含フッ素化合物を流通させる上記(1)〜(9)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(11)前記不純物が、水及びフッ化水素の少なくともいずれかを含む上記(1)〜(10)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(12)前記不純物が、前記イオン交換されたゼオライトに接触させる含フッ素化合物の異性体を含む上記(1)〜(11)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(13)前記含フッ素化合物の異性体が、該含フッ素化合物の炭素−炭素二重結合の位置異性体または環状異性体である上記(12)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(14)不純物除去後の含フッ素化合物の純度が、99.00体積%以上である上記(1)〜(13)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(15)不純物除去後の含フッ素化合物の純度が、99.95体積%以上である上記(14)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(16)不純物除去後の含フッ素化合物に含まれる水分濃度が、50体積ppm以下である上記(1)〜(15)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、
(17)不純物除去後の含フッ素化合物に含まれる水分濃度が、10体積ppm以下である上記(16)に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法、及び
(18)上記(1)〜(17)のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法により製造されることを特徴とする高純度含フッ素化合物、
を提供するものである。
本発明によれば、半導体製造用エッチングガスや、冷凍サイクル用冷媒などとして用いられる含フッ素化合物、好ましくはパーフルオロオレフィン中の各種不純物を効果的に除去することにより、装置の腐食や早期劣化を起こすことなく長期間にわたり上記含フッ素化合物を使用あるいは循環使用したり、さらには上記含フッ素化合物の再利用を可能とする高純度含フッ素化合物の製造方法を提供することができる。
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法は、ゼオライト中のイオン交換可能なイオン数の20%以上がカルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンに交換されたゼオライトに、含フッ素化合物を接触させて、該含フッ素化合物に含まれる不純物を除去する工程を有することを特徴とする。
[イオン交換されたゼオライト]
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法においては、含フッ素化合物中の不純物を吸着除去するために、イオン交換されたゼオライトが用いられる。
本発明で用いるイオン交換されたゼオライトとしては、ゼオライト中のイオン交換可能なイオン数の20%以上が、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンに交換されたゼオライトが用いられる。
イオン交換率が、ゼオライト中のイオン交換可能なイオン数の20%未満であると、含フッ素化合物中の不純物に対する吸着除去効果が充分に発揮されない。好ましいイオン交換率は、イオン交換可能なイオン数の50%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。
交換される金属イオンは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン又はリチウムイオン、あるいは前記イオンの中から選ばれる2種の混合イオン、3種の混合イオン又は4種の混合イオンである。
(ゼオライトの種類)
ゼオライトは、ケイ酸塩の縮合酸の構造を有し、その基本単位は、ケイ素(Si)を中心として形成される4個の酸素(O)が頂点に配置されたSiO44面体と、このSiO44面体のケイ素の代わりにアルミニウム(Al)が置換したAlO44面体であり、これらと他の種々の基本構造の単位が三次元的に組み合わさり、無数の微細なチャンネル(通路)とケージ(空洞)が形成されたものである。このチャンネル、ケージは、分子吸着やイオン交換などの多様な特性を発現する。
ゼオライトの組成は、一価及び二価のカチオンを、それぞれM+、M2+で示すと、下記式(1)のように表すことができる。
(M+,M2+ 1/2m[AlmSin2(m+n)]・xH2O ・・・(1)
+=Li+,Na+,K+,Rb+,(CH34+,(C254+,(C374+,C816+
2+=Ca2+,Mg2+,Ba2+,Sr2+,C8182 2+
(式中、m及びnは整数でn≧mであり、xは1以上の数である。)
なお、前記C816+は、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,7−ジメチルアンモニウムイオンであり、前記C8182 2+は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジメチルアンモニウムイオンである。
合成ゼオライトでは、SiO2/Al23の比がほぼ1.8〜1.9のものをA型、比が2〜3のものをX型、比が3〜6のものをY型と呼んで区分している。また、一価および二価のカチオンの一部または全部を他の陽イオンと可逆的にイオン交換することができる。イオン交換可能なイオンの価数を考慮してカルシウム(Ca)のみまたはカルシウムを主として含むA型ゼオライトはCaA型と呼ばれ、ナトリウム(Na)のみまたはナトリウムを主として含むA型ゼオライトはNaA型と呼ばれている。
本発明において、含フッ素化合物中の不純物を吸着除去するのに用いるイオン交換されたゼオライトとしては、チャバサイト型ゼオライト、あるいはゼオライト中のイオン交換可能なカチオン数の20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上が、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンで交換されたA型ゼオライト又はX型ゼオライトが好適である。
前記チャバサイト型ゼオライトとしては、例えば単位格子組成が、下記式(2)
Ca2(Al4Si824)・13H2O ・・・(2)
で表される天然のチャバサイト型ゼオライトを用いることができる。
一方、ゼオライト中のイオン交換可能なカチオンが、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンで交換されたA型ゼオライト又はX型ゼオライトとしては、従来公知の方法、例えばNaA型ゼオライト又はNaX型ゼオライトと、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン及びリチウムイオンの中から選ばれる少なくとも一種のイオンを含む水溶液、アルコール溶液などの溶液とを接触させることにより、調製することができる。
なお、イオン交換はゼオライト粉末をイオン交換に供してもよいし、ゼオライトを成形体に成形した後に行ってもよく、特に制限されない。また、イオン交換の回数は、得られるゼオライト中のイオンの種類や含有量にもよるが、1回であっても、複数回反復して実施してもよい。イオン交換によりゼオライト中のイオン交換可能なカチオンを所望のイオンに交換した後、ゼオライトを通常の方法にて洗浄、乾燥する。
前記のNaA型ゼオライト及びNaX型ゼオライトとしては、例えば単位格子組成が、それぞれ下記式(3)及び式(4)
Na12(Al12Si1248)・27H2O ・・・(3)
Na86(Al86Si106384)・264H2O ・・・(4)
で表されるゼオライトを用いることができる。
なお、当該イオン交換されたゼオライトのイオン交換率は、下記の方法により測定することができる。
<イオン交換されたゼオライトのイオン交換率の測定>
本発明におけるゼオライト中のイオン交換率は、XFS(蛍光X線測定装置)またはICP(発光分析装置)を用いた測定により、当該カチオンの定量値をもとに算出することができる。
[含フッ素化合物]
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法が適用される含フッ素化合物としては、例えば(a)半導体製造用エッチングガスとして用いられる含フッ素化合物(以下、「エッチングガス用含フッ素化合物」と称することがある。)、(b)冷凍サイクル用冷媒に用いられる含フッ素化合物(以下、「冷凍機冷媒用含フッ素化合物」と称することがある。)、及び(c)電子機器、機械装置等の摺動部や表面に潤滑性を付与する潤滑性重合体の溶剤として用いられる含フッ素化合物(以下、「潤滑性重合体の溶剤用含フッ素化合物」と称することがある。)などを挙げることができる。
(エッチングガス用含フッ素化合物)
従来、半導体製造用エッチングガスとしては、例えばテトラフルオロメタン(CF4)、ヘキサフルオロエタン(C26)などのパーフルオロカーボン等が用いられてきたが、近年半導体装置の高集積化に伴い、小さい空間に多くの情報を入れるための超微細パターンの形成に必要なドライエッチング工程がULSI(極超高密度集積回路)の核心工程として重要な位置を占めるようになり、それに伴いドライエッチングガスとして、オクタフルオロシクロペンテンなどのパーフルオロモノエン化合物等のパーフルオロオレフィン類が注目を浴びている。このパーフルオロオレフィン類は、オレフィン結合があるために重合や異性化などの純度低下を生起しやすく、高純度化の難易度が高いので特にその効果的な製法が求められていた。また、高集積化、超微細パターン形成のために益々エッチングガスの高純度化が要求されてきている。また近年、地球温暖化問題から、より温暖化係数の小さなフッ素化合物が用いられる傾向がある。
なお、不純物として水やフッ化水素が存在すると、特に含フッ素化合物が二重結合等の反応性部位を持っている等の理由で化学的に不安定な場合、含フッ素化合物の変質(分解や重合、異性化等)を引き起こし、更なる純度の低下を招くという悪循環に陥るおそれがある。
(冷凍機冷媒用含フッ素化合物)
冷凍機冷媒用含フッ素化合物として、従来クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などが主に使用されてきたが、環境問題の原因となる塩素を含む化合物であったことから、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などの塩素を含有しない代替冷媒、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン(以下、それぞれR134a、R32、R125、R143aと称せられる。)に代表されるハイドロフルオロカーボンが注目されるようになり、例えばカーエアコンシステムにはR134aが使用されてきた。
また、地球温暖化係数がより低く、現行カーエアコンシステムに使用できる冷媒として、例えば不飽和フッ化炭化水素化合物、さらにはフッ化エーテル化合物、フッ化アルコール化合物、フッ化ケトン化合物など分子中に特定の極性構造を有する冷媒が見出されている。
なお、冷凍機冷媒用含フッ素化合物においては、後で説明するように、冷凍サイクル系内に蓄積する水分をできるだけ除去することが重要となる。
(潤滑性重合体の溶剤用含フッ素化合物)
電子機器、機械装置などの摺動物や表面に潤滑性を付与するために潤滑性重合体、例えばパーフルオロアルキルポリエーテル類などのフッ素系重合体の被膜を形成することが行われている。この場合、前記潤滑性重合体を溶解又は分散させてなる塗工液を調製し、この塗工液を電子機器や機械装置などの摺動部や表面に塗工し、潤滑性重合体の被膜を形成する。
前記塗工液の調製には、溶剤として炭素数4〜8のハイドロフルオロカーボン類やハイドロフルオロエーテル類が好ましく用いられるが、近年電子機器や機械装置などの小型化、高精度化に伴い、高耐久性、高信頼性が求められている。したがって、溶剤として用いられるこれらハイドロフルオロカーボン類やハイドロフルオロエーテル類は、フッ化水素等を極力除去することが必要となっている。
(含フッ素化合物中の不純物)
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法に適用される含フッ素化合物中には、その製造時に混入される各種不純物や、該含フッ素化合物を使用する際に混入される各種不純物が含まれている。
前記含フッ素化合物の製造時に混入される不純物としては、中間体、異性体、副生成物(例えば、フッ化水素、ハイドロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、フルオロアルケン類等)などが挙げられる。
また、前記含フッ素化合物の使用時に混入される不純物としては、例えば、半導体製造用エッチングガスとして使用する場合には、HF、SiF4、O2などが挙げられ、冷凍機冷媒用として使用する場合には、水分を挙げることができる。
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法に適用される含フッ素化合物においては、前述したゼオライトにより吸着除去される不純物としては、特に水を含むものや、フッ化水素を含むもの、当該ゼオライトに接触させる含フッ素化合物の異性体、例えば炭素−炭素二重結合の位置異性体、環状異性体等を含むものを挙げることができる。
不純物除去後の含フッ素化合物の純度は、99.00体積%以上であることが好ましく、99.95体積%以上であることがより好ましい。
また、不純物除去後の含フッ素化合物に含まれる水分濃度は、50体積ppm以下であることが好ましく、10体積ppm以下であることがより好ましい。
(含フッ素化合物の種類)
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法に適用される含フッ素化合物としては、例えばパーフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロオレフィン類、フッ化エーテル化合物、フッ化アルコール化合物、フッ化ケトン化合物などを挙げることができる。
<パーフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類>
パーフルオロカーボン類としては、例えばテトラフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、オクタフルオロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、ヘキサフルオロベンゼンなどが挙げられ、ハイドロフルオロカーボン類としては、例えばジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられるが、特にジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、ヘキサフルオロプロパン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタフルオロプロパン及びオクタフルオロシクロブタンの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
<パーフルオロオレフィン類>
パーフルオロオレフィン類としては、例えばヘキサフルオロプロピレン、オクタフルオロ−2−ブテン、デカフルオロ−2−ペンテン、ドデカフルオロ−2−ヘキセンなどの鎖状パーフルオロモノオレフィン化合物;ヘキサフルオロシクロブテン、オクタフルオロシクロペンテン、デカフルオロシクロヘキセンなどの脂環式パーフルオロモノオレフィン化合物;ヘキサフルオロブタジエン、オクタフルオロペンタジエン、デカフルオロヘキサジエン等のパーフルオロジエン化合物などが挙げられるが、本発明においては、前記パーフルオロジエン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。このパーフルオロジエン化合物は、半導体製造用エッチングガスなどの用途に好適に用いられる。
<フッ化エーテル化合物>
フッ化エーテル化合物としては、例えば1〜6個のフッ素原子が導入されたジメチルエーテル、1〜8個のフッ素原子が導入されたメチルエチルエーテル、1〜8個のフッ素原子が導入されたジメトキシメタン、1〜10個のフッ素原子が導入されたメチルプロピルエーテル、1〜12個のフッ素原子が導入されたメチルブチルエーテル、1〜12個のフッ素原子が導入されたエチルプロピルエーテル、1〜6個のフッ素原子が導入されたオキセタン、1〜6個のフッ素原子が導入された1,3−ジオキソラン、1〜8個のフッ素原子が導入されたテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このフッ化エーテル化合物は、地球温暖化係数の低い冷凍機冷媒用や、潤滑性重合体の溶剤用などとして用いられる。
<フッ化アルコール化合物>
フッ化アルコール化合物としては、例えば1〜3個のフッ素原子が導入されたメチルアルコール、1〜5個のフッ素原子が導入されたエチルアルコール、1〜7個のフッ素原子が導入されたプロピルアルコール、1〜9個のフッ素原子が導入されたブチルアルコール、1〜11個のフッ素原子が導入されたペンチルアルコール、1〜4個のフッ素原子が導入されたエチレングリコール、1〜6個のフッ素原子が導入されたプロピレングリコールなどを挙げることができる。これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このフッ化アルコール化合物は、地球温暖化係数の低い冷凍機冷媒用などとして用いられる。
<フッ化ケトン化合物>
フッ化ケトン化合物としては、例えば1〜6個のフッ素原子が導入されたアセトン、1〜8個のフッ素原子が導入されたメチルエチルケトン、1〜10個のフッ素原子が導入されたジエチルケトン、1〜10個のフッ素原子が導入されたメチルプロピルケトンなどが挙げられる。これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このフッ化ケトン化合物は、地球温暖化係数の低い冷凍機冷媒用などとして用いられる。
前述したフッ化エーテル化合物、フッ化アルコール化合物、フッ化ケトン化合物及びフッ化カルボニルは、地球温暖化係数が低いが、分子中に極性構造を有することから、吸湿しやすく、したがって、不純物として水分を吸着除去することが重要となる。
なお、本発明においては、含フッ素化合物としてヘキサフルオロ硫黄、三フッ化窒素及びフッ化カルボニルから選ばれる少なくとも一種を用いることもできる。
[不純物吸着除去材の使用形態]
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法においては、前述のイオン交換されたゼオライトを不純物吸着除去材として用い、これに含フッ素化合物を接触させることにより、該含フッ素化合物に含まれる不純物を除去する。
この場合、不純物を効果的に吸着除去するには、含フッ素化合物と、イオン交換されたゼオライトとを、質量比100:1〜1:10の割合で接触させることが好ましく、50:1〜1:5の割合で接触させることがより好ましく、10:1〜1:3の割合で接触させることがさらに好ましい。接触温度については特に制限はないが、当該含フッ素化合物の沸点等を勘案して決めればよい。一般には低温で接触させるほうが、接触時の異性化等の副反応が抑制されるので好ましい。好ましくは−50℃〜100℃の範囲だが、一般的には、常温で充分である。
不純物吸着除去材の使用形態に特に制限はないが、前述のイオン交換されたゼオライトを充填した装置に、含フッ素化合物を流通させることが好ましい。
この場合、イオン交換されたゼオライトは粉末状で用いてもよく、成形体として用いてもよいが、工業的には成形体として用いることが好ましい。成形体の形状に特に制限はないが、例えば直径0.5〜5mm程度、長さ1〜15mm程度の円柱状、あるいは直径0.5〜10mm程度の球状のものが好ましい。
成形体の製造方法に特に制限はなく、例えばバインダーとしてカオリン系粘土を用いる従来公知の方法を採用することができる。
本発明はまた、前述した本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法により製造されてなる、高純度含フッ素化合物をも提供する。
本発明の高純度含フッ素化合物は、純度を、通常99.00体積%以上、好ましくは99.95体積%以上とすることができ、また、水分濃度を、通常50体積ppm以下、好ましくは10体積ppm以下とすることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、諸特性の測定は、以下に示す方法に従って行った。
(1)チャバサイト型ゼオライト及び各製造例で得られたイオン交換ゼオライトのイオン交換率
明細書本文に記載の方法に従って、下記の測定装置及び測定条件により、イオン交換率を測定した。
・測定条件: 蛍光X線測定装置(島津製作所製XRF−1700)による定量分析。
・イオン交換率の計算:アルミニウム1原子あたりの交換される元素の原子数を、検量線を用いて定量した。
(2)実施例及び比較例における含フッ素化合物の純度及び水分濃度の測定
下記の測定装置及び測定条件により、純度を測定した。
・測定装置:ガスクロマトグラフィー(TCD検出器を使用)
・測定条件:カラム/Porapack Q 6m、カラム温度/100℃
・純度の計算:当該含フッ素化合物の標準ガスを用いた検量線により定量。
・水分濃度の計算:検量線により定量。
製造例1 MgA型ゼオライト粉末の製造
塩化マグネシウム30質量%濃度の水溶液200質量部中に、NaA型ゼオライト粉末[ユニオン昭和(株)製、商品名「ゼオライト4Aパウダー」]50質量部を投入し、70℃にて1時間イオン交換反応を行った。その後、固液分離し、十分に水洗したのち、120℃で乾燥し、さらに500℃の温度で1時間焼成処理してMgA型ゼオライト粉末を製造した。このMgA型ゼオライト粉末のMgイオン交換率は53%であった。
製造例2 BaA型ゼオライトペレットの製造
塩化バリウム30質量%濃度の水溶液200質量部に、製造例1で用いたものと同じNaA型ゼオライト粉末30質量部を投入し、70℃にて1時間イオン交換反応を行った。その後、固液分離し、十分に水洗したのち、120℃で乾燥し、さらに500℃の温度で 1時間焼成処理してBaA型ゼオライト粉末を製造した。このBaA型ゼオライト粉末のBaイオン交換率は45%であった。こうして得られたゼオライト粉末を直径1.6mm、長さ約4mmのペレットに成形した。
製造例3 LiX型ゼオライト粉末の製造
塩化リチウム45質量%濃度の水溶液200質量部中に、NaX型ゼオライト粉末[ ユニオン昭和(株)製、商品名「ゼオライト13Xパウダー」]100質量部を投入し、70℃にて30分イオン交換反応を行った。その後、固液分離し、十分に水洗したのち、120℃で乾燥し、さらに500℃の温度で30分焼成処理してLiX型ゼオライト粉末を製造した。このLiX型ゼオライト粉末のLiイオン交換率は60%であった。
製造例4 CaX型ゼオライトペレットの製造
塩化カルシウム50質量%濃度の水溶液200質量部中に、製造例3で用いたものと同じNaX型ゼオライト粉末50質量部を投入し、70℃にて1時間イオン交換反応を行った。その後、固液分離し、十分に水洗したのち、120℃で乾燥し、さらに500℃の温度で1時間焼成処理してCaX型ゼオライト粉末を製造した。このCaX型ゼオライト粉末のCaイオン交換率は51%であった。こうして得られたゼオライト粉末を直径1.6mm、長さ約4mmのペレットに成形した。
実施例1
チャバサイト型ゼオライトペレット[UOP社製、Caイオン交換率約35%、直径1.6mm、長さ約4mm]10gを充填した容量100mLのステンレス製シリンダーに、ガスクロマトグラフィーによる純度98.50体積%のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン50gを充填し、−10℃にて8時間保持した。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.96体積%、含有水分濃度は5体積ppmになった。
また、前記ガスクロマトグラフィーによる分析では、原料のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン中に含まれていた環状フルオロ化合物及びフッ化水素が除去されたことが確認された。
実施例2
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、製造例4で得たCaX型ゼオライトペレットを用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.95体積%、含有水分濃度は7体積ppmになった。
実施例3
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、製造例1で得たMgA型ゼオライト粉末を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.97体積%、含有水分濃度は3体積ppmになった。
実施例4
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、製造例2で得たBaA型ゼオライトペレットを用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.96体積%、含有水分濃度は6体積ppmになった。
実施例5
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、製造例3で得たLiX型ゼオライトペレットを用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.97体積%、含有水分濃度は2体積ppmになった。
実施例6
充填ガスをヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンから、ガスクロマトグラフィー純度98.80体積%のオクタフルオロ−1,3−ペンタジエンに変えた以外は、実施例1と同様に実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、オクタフルオロ−1,3−ペンタジエンの純度は99.96体積%、含有水分濃度は7体積ppmになった。
また、前記ガスクロマトグラフィーによる分析では、オクタフルオロ−1,3−ペンタジエン中のオクタフルオロ−1,4−ペンタジエン及びフッ化水素が生成していないことが確認された。
実施例7
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、製造例4で得たCaX型ゼオライトペレットを用いた以外は、実施例6と同様の実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、オクタフルオロ−1,3−ペンタジエンの純度は99.95体積%、含有水分濃度は10体積ppmになった。
また、前記ガスクロマトグラフィーによる分析では、オクタフルオロ−1,3−ペンタジエン中のオクタフルオロ−1,4−ペンタジエン及びフッ化水素が生成していないことが確認された。
比較例1
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、活性アルミナビーズ[UOP社製、商品名「D−201」、直径約2mm]を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は98.55体積%、含有水分濃度は33体積ppmになっており、少量の重合化合物が生成していることが確認された。
比較例2
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、NaA型ゼオライトである「ゼオライト4Aペレット」[ユニオン昭和(株)製、直径1.6mm、長さ約3mm]を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は98.95体積%、含有水分濃度は2.5体積ppmになっており、少量の重合化合物が生成していることが確認された。
比較例3
チャバサイト型ゼオライトペレットの代わりに、「ゼオライト4Aペレット」(前出)を用いた以外は、実施例6と同様に実験を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、オクタフルオロ−1,3−ペンタジエンの純度は98.77体積%、含有水分濃度は12体積ppmになっており、少量のオクタフルオロ−1,4−ペンタジエンが生成していることが確認された。
本発明の高純度含フッ素化合物の製造方法は、半導体製造用エッチングガスや、冷凍サイクル用冷媒などとして用いられる含フッ素化合物中の各種不純物を効果的に除去することにより、装置の腐食や早期劣化を起こすことなく長期間にわたり上記含フッ素化合物を使用あるいは循環使用したり、さらには上記含フッ素化合物の再利用を可能とする。

Claims (12)

  1. チャバサイト型ゼオライトに、パーフルオロオレフィンを接触させて、該パーフルオロオレフィンに含まれる不純物を除去する工程を有することを特徴とする高純度含フッ素化合物の製造方法。
  2. 前記パーフルオロオレフィンが、パーフルオロジエン化合物である請求項1に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  3. 前記パーフルオロジエン化合物が、ヘキサフルオロブタジエン、オクタフルオロペンタジエン及びデカフルオロヘキサジエンから選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  4. 前記パーフルオロオレフィンと前記チャバサイト型ゼオライトとを、質量比100:1〜1:10の割合で接触させる請求項1〜3のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  5. 前記チャバサイト型ゼオライトを充填した装置に、パーフルオロオレフィンを流通させる請求項1〜4のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  6. 前記不純物が、水及びフッ化水素の少なくともいずれかを含む請求項1〜5のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  7. 前記不純物が、前記チャバサイト型ゼオライトに接触させるパーフルオロオレフィンの異性体を含む請求項1〜6のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  8. 前記パーフルオロオレフィンの異性体が、該パーフルオロオレフィンの炭素−炭素二重結合の位置異性体または環状異性体である請求項7に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  9. 不純物除去後のパーフルオロオレフィンの純度が、99.00体積%以上である請求項1〜8のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  10. 不純物除去後のパーフルオロオレフィンの純度が、99.95体積%以上である請求項9に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  11. 不純物除去後のパーフルオロオレフィンに含まれる水分濃度が、50体積ppm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
  12. 不純物除去後のパーフルオロオレフィンに含まれる水分濃度が、10体積ppm以下である請求項11に記載の高純度含フッ素化合物の製造方法。
JP2009298465A 2009-12-28 2009-12-28 高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物 Expired - Fee Related JP5607354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009298465A JP5607354B2 (ja) 2009-12-28 2009-12-28 高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009298465A JP5607354B2 (ja) 2009-12-28 2009-12-28 高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011136955A JP2011136955A (ja) 2011-07-14
JP5607354B2 true JP5607354B2 (ja) 2014-10-15

Family

ID=44348755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009298465A Expired - Fee Related JP5607354B2 (ja) 2009-12-28 2009-12-28 高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5607354B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210107767A (ko) 2018-12-28 2021-09-01 다이킨 고교 가부시키가이샤 헥사플루오로부타디엔의 정제 방법

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105189423B (zh) * 2013-03-13 2018-12-11 阿科玛股份有限公司 用于纯化及稳定氢氟烯烃和氢氯氟烯烃的方法
CN105363407B (zh) * 2014-08-11 2018-02-02 浙江蓝天环保高科技股份有限公司 一种改性的吸附剂及其在超高纯一氟甲烷制备中的应用
CN105327676A (zh) * 2014-08-11 2016-02-17 浙江蓝天环保高科技股份有限公司 一种改性的吸附剂及其在超高纯六氟乙烷制备中的应用
JP2016107226A (ja) * 2014-12-09 2016-06-20 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 吸着材、および、これを用いた真空断熱材
JP2016155072A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 宇部興産株式会社 ハロゲン系ガスの処理剤及びハロゲン系ガスの処理方法
KR102074832B1 (ko) * 2015-09-25 2020-02-07 (주)원익머트리얼즈 테트라플루오르메탄의 고순도 정제방법
FR3049600B1 (fr) * 2016-04-04 2019-10-11 Arkema France Procede de fluoration de composes perchlores.
JPWO2021049605A1 (ja) * 2019-09-12 2021-03-18
WO2022059301A1 (ja) * 2020-09-17 2022-03-24 昭和電工株式会社 オクタフルオロシクロブタンの精製方法
KR20230067642A (ko) * 2020-10-15 2023-05-16 가부시끼가이샤 레조낙 플루오로-2-부텐의 보관 방법
CN114618429B (zh) * 2020-12-10 2024-04-16 浙江蓝天环保高科技股份有限公司 一种表面修饰改性zsm-5分子筛及其应用
KR102616155B1 (ko) * 2022-03-14 2023-12-20 (주)원익머트리얼즈 옥타플루오로시클로부탄(c4f8)의 정제방법

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4156598A (en) * 1978-06-08 1979-05-29 Air Products And Chemicals, Inc. Purification of nitrogen trifluoride atmospheres
JP2542394B2 (ja) * 1987-08-06 1996-10-09 イー・アイ・デユポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー ヘキサフロロプロピレンの精製方法
US4906796A (en) * 1989-03-08 1990-03-06 Allied Signal Inc. Process for purifying 1,1,1,2-tetrafluoroethane
GB9107087D0 (en) * 1991-04-04 1991-05-22 Ici Plc Purification process
GB9214449D0 (en) * 1992-07-08 1992-08-19 Ici Plc Purification of 1,1,1,2-tetrafluoroethane
JP3856408B2 (ja) * 1997-04-16 2006-12-13 昭和電工株式会社 ヘキサフルオロエタンの精製方法
US6544319B1 (en) * 2002-01-16 2003-04-08 Air Products And Chemicals, Inc. Purification of hexafluoro-1,3-butadiene
JP2004284834A (ja) * 2003-03-19 2004-10-14 Nippon Sanso Corp 六フッ化硫黄の精製方法及び装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210107767A (ko) 2018-12-28 2021-09-01 다이킨 고교 가부시키가이샤 헥사플루오로부타디엔의 정제 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011136955A (ja) 2011-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5607354B2 (ja) 高純度含フッ素化合物の製造方法及びその方法で得られた高純度含フッ素化合物
CN101578252B (zh) 1,2,3,3,3-五氟丙烯生产方法
US7687670B2 (en) Coproduction of hydrofluoroolefins
JP5965900B2 (ja) ヘキサフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロペン、及びフッ化水素の共沸混合物様の組成物
JP6107466B2 (ja) トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法
JP2015212385A (ja) 1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンまたは2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物
CN101479220A (zh) 高纯度六氟丙烯的制造方法及清洗气
EP3337778B1 (en) Methods for removing acidic impurities from halogenated propenes
TWI816959B (zh) 六氟丁二烯之純化方法
JP2018528223A (ja) ハイドロフルオロオレフィン流を精製および乾燥する方法
JP6544741B2 (ja) フルオロオレフィン化合物の製造方法
WO2018092780A1 (ja) 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法
CN112204003B (zh) 1-氯-2,3,3,4,4,5,5-七氟-1-戊烯的制造方法
KR20180065035A (ko) 1230xa 공정을 통한 1234yf 중 부산물인 무수 또는 수성 염산으로부터의 플루오르화 유기물의 제거 방법
WO2014185321A1 (ja) ジクロロメタンの精製方法およびそれを用いるジフルオロメタンの製造方法
US11952322B2 (en) Stabilization of 1-chloro-3,3,3-trifluoropropene
US11046630B2 (en) Method for producing 1-chloro-2,3,3,4,4,5,5-heptafluoro-1-pentene, and composition
TWI266759B (en) Process for the production of fluoroethane and use of the produced fluoroethane
TWI813184B (zh) 使用負載在吸附劑上的金屬氧化物選擇性吸附氟烴或氫氟烴中的含有Cl、Br和I的鹵烴雜質
JP2006306726A (ja) フッ素化エーテルの製造法
KR20040044484A (ko) 펜타플루오로에탄의 정제방법, 제조방법 및 그 용도
JPH07508980A (ja) 1,1,1,2−テトラフルオロエタンの精製
CN101130435A (zh) 用于提纯制冷剂的分子筛
JP2005053805A (ja) ペンタフルオロエタンの製造方法およびその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121015

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140828

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5607354

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees