JP2016107226A - 吸着材、および、これを用いた真空断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空断熱材に適用されるために活性化処理や特別な製造設備を必要とすることなく、真空断熱材中で継続して水分吸着性能を発揮することができる吸着材の提供。【解決手段】酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中のいずれか1種以上であるアルカリ土類金属酸化物と、陽イオンが、1族、2族の陽イオン、または、アンモニアイオンであるシリカとアルミナの含有比(Si/Al)が5.5以上である疎水性ゼオライトと、を有効成分として含有する吸着材。【選択図】図3

Description

本発明は、吸着材、および、ガス吸着材を用いた真空断熱材に関するものである。吸着材、真空保持、希ガス中の微量ガスの除去、蛍光灯中のガスの除去等様々な分野で用いられている。
最近では、省エネルギーを推進する動きが活発化し、家電製品や設備機器で優れた断熱効果を有する真空断熱材が求められている。真空断熱材として、グラスウールやシリカ粉末などの微細空隙を有する芯材を、ガスバリア性を有する外装材で覆い、外装材の内部を減圧密封したものが知られている。
前記芯材としてのガラス繊維やシリカ粉末などは、芯材自身が微細空隙を有する多孔体であるため、その比表面積が大きく吸湿性が高い。さらに、芯材材料が親水性官能基をもつ有機ポリマーの場合は、より一層吸湿性が高くなる。そのため、真空封止される直前まで、これら芯材を高温でベーキングし、乾燥させることが行われている。しかし、ベーキングで除ききれない水分や耐熱性の低い有機ポリマーなどベーキングのできない芯材を用いた場合、汎用の真空排気装置では芯材表面に付着した表面吸着水を完全に除去することは容易ではない。そのため、芯材が真空封止された後、表面吸着水の一部が気化することによって、真空断熱材の内圧が上昇し、所望の断熱性能が得られないことがあった。
一方、時間が経過すると、外装材を透過して水分やガスが真空断熱材内部に侵入してくる。これによっても、真空断熱材の内圧が上昇し、断熱性能が低下する。
そこで、芯材など内部環境から発生する水分と外装材を透過して侵入してくる水分やガスによる断熱性能の劣化を抑制するために、吸着材(吸着剤)が利用されている。真空断熱材に使用される水分吸着材として、アルカリ土類金属の酸化物を開示した従来例(例えば、特開2006−38122号公報)が存在する。また、特開平09−210290号公報は、ガスバリア容器内のガス吸着材としてのゲッタ材にゼオライトを使用することを開示している。さらに、特開平09−303674号公報は、真空断熱材製造装置に吸着材誘導装置を付加することを開示している。
特開2006−38122号公報 特開平09−210290号公報 特開平09−303674号公報
吸着材の一つとして、既述のとおり水分吸着材があり、水分吸着材には、化学吸着材と物理吸着材の2種類がある。化学吸着材は、吸着材自身が水分と化学反応して化合物を形成するため、反応は非可逆的である。そのため、真空断熱材の内部に投入しても、一旦、吸湿された水分は真空状態でも吸着材から漏えいすることはない。化学吸着材としてアルカリ土類金属酸化物、特に、酸化カルシウムがよく用いられている。しかしながら、酸化カルシウムはその純度や粒子径などの物性値の違いにより水分吸着能力が大きく異なり、その結果、真空断熱材中での水分吸着能が安定しない。
特開2006−38122号公報には、真空断熱材に好適であるとして、比表面積の大きな酸化カルシウムを使用する事が記載されているが、比表面積が10m2/g以上の酸化カルシウムは、大気中の水分とも即座に反応するため、大気中での放置時間が限られることから真空断熱材の製造工程における取り扱い性に難があり実用的でない。
一方、物理吸着材であるゼオライトやシリカゲルは、水分子をその多孔化した表面に分子間力で固定化することが可能である。しかし、その吸着は可逆的で、物理吸着材を加熱下または低圧下に置いた際、せっかく吸湿した水分が再放出される場合がある。真空断熱材のような低圧の環境で使用されるものでは、大気圧下で吸着した水分を再放出する可能性があるため、初期に吸着している水分をベーキングすることで取り除く再生処理が必要になる。
再生処理したゼオライトは、化学吸着材に比べ水分吸着速度が極端に速く、真空断熱材に設置するまでの放置時間で大気中の水分を再吸収し再生処理が無意味になる。特平09-210290号公報のように、ゼオライトを真空断熱材製造装置内の断熱材に収納された状態で、ゼオライトを加熱し活性化することで、大気に触れることなく真空断熱材にゼオライトを設置する方法もあるが、ゼオライトを効率よく短時間で活性化処理するためには、200℃以上の加熱が必要となる。しかしながら、プラスチック素材を有する断熱材の外装材が溶融する可能性があるため、現実的ではない。外装材が溶融しない150℃以下の活性化書では、十分な活性化処理が行えない、さらに、活性化処理に長時間を要するため製造時間が長くなるなどの課題がある。
特開平09−303674号公報は、真空断熱材製造装置に吸着材誘導装置を付加することで、活性化処理した吸着材を大気に触れることなく直接投入できるシステムを開示しているが、製造装置および工程が複雑になるという課題がある。
本発明は、既述の課題を解決するために、真空断熱材に適用されるために活性化処理や特別な製造設備を必要とすることなく、真空断熱材中で継続して水分吸着性能を発揮することができる吸着材、及び、この吸着材を用いた真空断熱材を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、アルカリ土類金属酸化物と、疎水性ゼオライトと、を有効成分として含有する吸着材であることを特徴とする。さらに、他の発明は、内部環境を減圧状態にし、熱伝導領域に置かれることによって、断熱効果を発揮する真空断熱材であって、外装材と、芯材と、吸着材と、を備え、前記吸着材は、アルカリ土類金属酸化物と、疎水性ゼオライトと、を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明によれば、真空断熱材に適用されるために活性化処理や特別な製造設備を必要とすることなく、真空断熱材中で継続して水分吸着性能を発揮することができる吸着材、及び、この吸着材を用いた真空断熱材を提供することができる。
本発明の真空断熱材の一例を示す模式断面図である。 親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトの水分吸着特性の相違を示す特性図である。 実施例1で示したZSM-5の添加量を変更した際の真空断熱材の熱伝導率の変化を示す。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の吸着材が適用される真空断熱材は、グラスウールやシリカ粉末などの微細空隙を有する芯材を、ガスバリア性を有する外装材で覆い、外装材の内部を減圧密封したものが知られており、冷蔵庫、冷凍庫、給湯容器、自動車用断熱材、建造物用断熱材、自動販売機、保冷箱、保温庫、保冷車等に使用されている。
図1は、真空断熱材1の一例を示す模式断面図である。図1に示されるように、本発明に係る真空断熱材1は、芯材6および吸着材7を2枚の外装材で挟むように内包、密閉するように構成されている。
2枚の外装材2の周囲は、開口端を残して3方が封止(例えば、ヒートシール)されて全体として袋状の形態を成し、これに芯材6および吸着材7を収容した後内部を減圧し開口部を封止(例えば、ヒートシール)する。符号8は、開口部が封止された接合部である。以下、本発明の真空断熱材の各部材について説明する。
本発明における外装材2に、ガスバリア性を有し、気体侵入を抑止可能な種々の材料および複合材料であれば、従来の如何なるものも利用できる。通常、外装材は、熱可塑性樹脂や金属箔やプラスチックフィルム等をラミネート加工することでバリア性を付与したものであり、芯材を空気や水分から隔離する役割を果たす。
好ましい形態によれば、図1に示すように、外装材2に使用できるラミネートフィルムは、最内層を熱溶融層(熱溶融フィルム)5とし、中間層にはガスバリア層(ガスバリアフィルム)4として金属箔あるいは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層(表面保護フィルム)3を有する形態を備えている。
熱溶着フィルム5は、外装材2の熱溶着層が熱と圧力により溶融した後に固化したものであり、外装材2を所定の形状に保持する役割を果たすものである。また、ガスや水蒸気が外装材2の端部から真空断熱材1内へ侵入することを抑える役割を果たすものである。
熱溶着フィルム5は、通常のシール法(例えば、ヒートシール)によって接着できるものであれば特に限定されない。熱溶着フィルムを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種類以上の混合物であってもよい。また、熱溶着フィルム5は、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。
熱溶着フィルム5の厚みは、特に制限されず、公知の厚みと同様の厚みでありうる。具体的には、熱溶着フィルム5の厚みは、好ましくは10〜100μmである。10μmより薄い場合、ヒートシール時に十分な密着強度を得ることができない虞があり、100μmより厚い場合、屈曲性等の加工性が悪くなる虞がある。なお、熱溶着フィルムが2層以上の積層構造を有する場合には、熱溶着フィルムの厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは、同じであってもまたは異なっていてもよい。
ガスバリアフィルムとしては、特に制限されず、アルミニウム箔や銅箔などの金属箔や、ポリエチレンテレフタレートフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体へアルミニウムや銅等の金属原子や、アルミナやシリカ等の金属酸化物を蒸着したフィルム等が使用できる。ガスバリアフィルムの厚みは、特に制限されず、公知の厚みと同様の厚みでありうる。
表面保護フィルム3は、特に制限されず、外装材の表面保護フィルムとして通常使用されるのと同様の材料が使用できる。表面保護フィルムを構成する材料としては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(ナイロン)(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルニトリル樹脂(PAN)などが挙げられる。
表面保護フィルム3の厚みは、特に制限されず、公知の厚みと同様の厚みでありうる。具体的には、表面保護フィルム3の厚みは、好ましくは10〜100μmである。10μmより薄い場合、バリア層の保護が十分でない虞がある。また100μmより厚い場合、熱溶着フィルムと同様に屈曲性等の加工性が悪くなる虞がある。なお、表面保護フィルム3が2層以上の積層構造を有する場合には、上記厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは、同じであってもまたは異なっていてもよい。
また、これらのフィルムは周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていてもよい。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。また、表面保護フィルムは、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。
外装材2の厚みは、特に制限されない。具体的には、好ましくは1〜100μmである。上記したような薄さの外装材であれば、ヒートブリッジをより有効に抑制・防止して断熱性能が向上でき、また、ガスバリア性および加工性にも優れる。
また、別の好ましい形態によれば、ガスバリア性フィルムからなる外装材2は、金属箔を積層したラミネートフィルムからなる面と、金属箔を積層しないラミネートフィルムからなる面の少なくとも2面で構成され、金属箔を積層しないラミネートフィルムからなる面には、少なくとも内層側にアルミニウム蒸着を施したエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物からなるフィルム層、もしくは内層側にアルミニウム蒸着を施したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなるフィルム層のいずれかを有する。
また、本発明による外装材2は、上記のようなラミネートフィルムでなくてもよく、例えば、金属容器やガラス容器、樹脂と金属の積層されたガスバリア容器のようなものであってもよい。そのようなプラスチックラミネートフィルム容器としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、金属蒸着フィルムなどの一種または二種以上のフィルムをラミネートした容器などが使用できる。
図1に示すように、芯材6は、外装材の内部に配置されている。本発明で使用できる芯材は、真空断熱材の骨格となり、真空空間を形成する。ここで、芯材6の材質としては、特に限定されず、公知の材料を使用できる。具体的には、グラスウール、ロックウール、アルミナ繊維、熱伝導率の低い金属からなる金属繊維等の無機繊維;ポリエステルやポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、アラミドなどの合成繊維や木材パルプから製造されるセルロース、コットン、麻、ウール、シルクなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維等の有機繊維などが挙げられる。上記芯材材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。これらのうち、グラスウールが好ましい。これらの材料からなる芯材は、繊維自体の弾性が高く、また繊維自体の熱伝導率が低く、なおかつ工業的に安価である。
図1の吸着材7は、本発明の水分吸着材を紛体または圧縮成型体にした状態でガス透過性開放部を有するハードケース、或いは、ガス透過性フィルム内に収納した構成である。また、本発明の水分吸着材にその他の吸着材の成分として、酸素、窒素やその他ガス成分を吸着することが可能な成分を含有していても構わない。
本発明に係る水分吸着材は、アルカリ土類金属酸化物と疎水性ゼオライトとを有効成分として含有することを特徴とする。表1及び図2に示すように疎水性ゼオライト(Y−type5.5)を親水性ゼオライト(A4−type1)とを比較すると、両者水分の保有率が異なる。疎水性ゼオライトの方が低圧での水分放出量が多いため、低圧時に放出された水分をアルカリ土類金属酸化物に吸収させることができ、高温での活性化を行わなくても、疎水性ゼオライト自身が脱水状態になる。すなわち、本発明の水分吸着材によれば、ゼオライトのベーキングによる活性化処理を必要とせず、かつアルカリ土類金属の酸化物またはゼオライトを単独で使用した時よりも、水分吸着能を向上することができる。
本発明に係る水分吸着材に使用されるアルカリ土類金属化合物は、比表面積が10m2/g以上の高比表面積を有するタイプ以外の中低比表面積タイプのものである。高比表面積タイプのものは、大気中の水分と即座に反応するため、大気中での放置時間が限られることから真空断熱材の製造工程における取り扱い性が低下する。具体的には、比表面積が10m2/g以下、好ましくは、5m2/g以下の範囲のものが好適である。
中低比表面積タイプのアルカリ土類金属酸化物は、真空断熱材中での水分吸着性能が高比表面積タイプのものに比較して低下するおそれがあるが、疎水性ゼオライトはアルカリ土類金属酸化物の水分吸着能を高めるように作用する。疎水性ゼオライトは、比表面積が大きく、ガス吸着のドライブフォースが強いものの減圧下での水分保持性能は弱いために、中低比表面積のアルカリ土類金属酸化物に加えられることで、アルカリ土類金属酸化物の水分の吸着速度を向上させて、環境圧力を低く維持することが可能となる。
アルカリ土類金属酸化物は、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中のいずれか1種以上である。
本発明の水分吸着材に適用されるゼオライトは疎水性のものである。ゼオライトのシリカSiO2とアルミナAl2O3の比率(Si/Al)が高いほどゼオライトは疎水性となり、比率が低い程ゼオライトは親水性となる。疎水性ゼオライトとしては、(Si/Al)が5.5以上のものが好適である。
疎水性ゼオライトとしては、例えば、その陽イオンが、1族、2族の陽イオン、または、アンモニアイオンのものである。ゼオライトの形態は、粉末状であることが好ましい。疎水性ゼオライトには、加熱による活性化処理が必要とされない。疎水性ゼオライトは、アルカリ土類金属酸化物に対して1重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは10重量%以上含有する。
本発明の水分吸着材を真空断熱材などの減圧環境に含ませることによって、減圧環境下に残存する水分や、減圧環境に大気から侵入する水分を長期に渡り吸収して、減圧環境の低熱伝導率を維持することができる。「減圧環境」とは、大気圧に比較して小さい圧力環境であることを意味し、真空断熱環境を実現するために、例えば、100Pa以下、好ましくは10Pa以下、さらに、好ましくは、0.01Pa程度である。なお、本発明の水分吸着材は、冷蔵庫に使用され得ることから、水分吸着性能は、低温環境(摂氏マイナス30度前後)でも、維持されることが好ましい。
(実施例1)
吸着材の調整
Si/Al比が40で、陽イオンとしてアンモニウムイオンを有する粉末状ZSM−5型ゼオライト(東ソー製)0.5gに粉末状の酸化カルシウム4.0g(吉澤石灰製)を混合して水分吸着材を製造し、これを通気性のある不織布(70mm×70mm、山中産業製)に収納し、4方シールすることで水分吸着材(水分吸収剤の成形体)を得た。
真空断熱材の作製
真空断熱材の外装材として、延伸ナイロン(25μm)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、アルミ箔(7μm)、高密度ポリエチレンフィルム(50μm)をドライラミネートして貼り合わせたラミネートフィルムを利用し、芯材として平均繊維径約4μmの短繊維グラスウールの積層体を利用した。図1,2ように水分吸着材を内部に収納した真空断熱材を作製し、熱伝導率をHFM436(ネッチジャパン製)を用いて評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において水分吸着材として用いたゼオライトを酸化カルシウムと混合する前に、500℃10分間加熱することで再生処理させたこと以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(実施例3)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が40でアンモニウムイオンを有する粉末状ベータ型ゼオライト(東ソー製)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(実施例4)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が27でアンモニウムイオンを有する粉末状ベータ型ゼオライト(東ソー製)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(実施例5)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が23でアンモニウムイオンを有する粉末状ZSM−5型ゼオライト(東ソー製)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(実施例6)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が5.5で陽イオンとしてナトリウムイオンを有するある粉末状Y型ゼオライト(東ソー製)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(実施例7)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が18で陽イオンとしてカリウムイオンを有するある粉末状フェリエライト型ゼオライト(東ソー製)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(比較例1)
水分吸着材として、酸化カルシウム4.0gのみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。その結果を表3に示す。
(比較例2)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が1.0である粉末状4Aゼオライト(東ソー製)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
(比較例3)
水分吸着材に用いるゼオライトとしてSi/Al比が1.0である粉末状4Aゼオライト(東ソー製)0.5gを実施例2と同様に500℃10分間加熱することで再生処理させたこと以外は、実施例1と同様の方法で、真空断熱材を作製し熱伝導率を評価した。
実施例及び比較例の結果によれば、酸化カルシウムと疎水性ゼオライトを併用した水分吸着材によれば、酸化カルシウムの単独使用(比較例1)、酸化カルシウムと親水性ゼオライト(活性化処理無)の併用(比較例2)、親水性ゼオライト(活性化処理あり)の単独使用(比較例3)よりも、熱電伝導率が高く真空断熱材中で十分に水分が吸着されていないことが確認できた。
次に酸化カルシウムに対する疎水性ゼオライトの適正な割合について検討した。その結果を、図4に示す。図3は、CaO4gに対して実施例1で示したZSM-5の添加量を変更した際の真空断熱材の熱伝導率の変化を示す。ZSM-5の添加量が0.4−1gの範囲で熱伝導率の値が好適であった。

Claims (6)

  1. アルカリ土類金属酸化物と、
    シリカとアルミナの含有比(Si/Al)が5.5以上である疎水性ゼオライトと、
    を有効成分として含有する吸着材。
  2. 前記ゼオライトの陽イオンが、1族、2族の陽イオン、または、アンモニアイオンである、請求項1記載の吸着材。
  3. 前記ゼオライトが粉末状である、請求項1又は2に記載の吸着材。
  4. 前記アルカリ土類金属酸化物が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中のいずれか1種以上である、請求項1乃至3の何れか1項記載の吸着材。
  5. 前記ゼオライトに加熱処理を必要としない請求項1乃至4の何れか1項記載の吸着材。
  6. 内部環境を減圧状態にし、熱伝導領域に置かれることによって、断熱効果を発揮する真空断熱材であって、
    外装材と、芯材と、吸着材と、を備え、
    前記吸着材は、アルカリ土類金属酸化物と、疎水性ゼオライトと、を有効成分として含有する真空断熱材。
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