JP5603188B2 - 織編物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐湿熱性、透け防止性、吸水拡散性に優れた織編物に関する。
従来、耐湿熱性能の向上を図るために、カルボキシル末端基量が25eq/ton以下であるポリエステル繊維を用いることによって高温洗濯や湿熱滅菌処理への優れた耐久性を有するポリエステル織編物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記のような方法では、医薬、医療、介護、食品などの分野で要求される湿熱滅菌処理に対する耐久性は向上するものの、それらの分野で多く使用される白色の織編物とした際に問題となる布帛の透け感や、ユニフォームとして用いた際に要求される吸水拡散性能が考慮されていないという問題があった。
また、透け防止性に優れた布帛を製造する方法として、芯成分に艶消剤、鞘成分に蛍光増白剤を導入し、芯成分の横断面を回転対照形である芯鞘複合糸で布帛を構成する方法(例えば、特許文献2参照)、二酸化チタンを1〜20質量%含有するポリエステルを芯成分とし、ポリエステルを鞘成分とした芯鞘型ポリエステル繊維で布帛を構成する方法(例えば、特許文献3)、繊維断面がW型であるポリエステル繊維で布帛を構成する方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
しかし、上記のような方法で得られる布帛では、医薬、医療、介護、食品などの分野で必要とされる湿熱滅菌処理に耐えうることができず、布帛の強度低下が起き、さらにはユニフォームなどに使用した際に必要とされる吸水拡散性能が考慮されていないため、該用途には不適切であるという問題があった。
さらに、吸水拡散性能に優れた布帛を製造する方法として、繊維断面が特定のW型であるポリエステル繊維で布帛を構成する方法(例えば、特許文献5参照)、繊維断面が特定のW型である溝状の微細孔を有するポリエステル繊維で布帛を構成する方法(例えば、特許文献6参照)が知られている。
しかし、上記のように繊維断面をW型とする方法では、布帛が嵩高となりユニフォーム用途などに使用した際に快適性が劣るという問題があった。
特開2005−194633号公報 特開平8−60485号公報 特開平11−107048号公報 特開昭61−231274号公報 特開2005−179810号公報 特開2009−144263号公報
本発明の目的は、耐湿熱性能に優れ、布帛を白色とした際の透け感がなく、なおかつ吸水拡散性能に秀でた織編物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、織編物を構成するポリエステル繊維のカルボキシル末端基量及び酸化チタン量を特定し、さらにポリエステル繊維断面形状を特定範囲に限定することで、優れた耐湿熱性、透け防止性及び吸水拡散性を備えた織編物が得られるという事実を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ポリエステル繊維を含む織編物において、下記(i)〜(iii)を満足するポリエステル繊維を20質量%以上含むことを特徴とする織編物。
(i)カルボキシル末端基量が25eq/ton以下
(ii)酸化チタン含有量が1.0〜5.0質量%
(iii)繊維断面が、扁平度2.0〜6.0の扁平形状である基幹部と前記基幹部 との厚さ比が0.5〜2.0である1個以上の凸部とからなる
(2)繰り返し工業洗濯100洗後の引裂き強力保持率が80%以上であることを特徴とする(1)記載の織編物。
(3)湿熱処理後の引裂き強力保持率が40%以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載の織編物。
(4)織編物の表裏いずれか一方の吸水拡散面積が10cm以上であることを特徴とする(1)〜(3)記載の織編物。
(5)CIELabの色差式より算出されたΔEが20以下であることを特徴とする(1)〜(4)記載の織編物。
本発明によれば、織編物を構成するポリエステル繊維のカルボキシル末端基量及び酸化チタン量を特定し、さらにポリエステル繊維断面形状を特定範囲に限定することで、優れた耐湿熱性能とともに、織編物の透け防止特性及び吸水拡散性能を相乗的に向上させるという顕著な効果を奏する。
本発明の織編物を構成するポリエステル繊維断面(矢印型)を示す概略図である。 本発明の織編物を構成するポリエステル繊維断面(片矢印型)を示す概略図である。 本発明の織編物を構成するポリエステル繊維断面(Y型)を示す概略図である。 本発明の織編物を構成するポリエステル繊維断面(四つ山扁平型)を示す概略図である。 本発明の織編物を構成するポリエステル繊維断面(ドッグボーン型)を示す概略図である。 本発明の織編物の比較例を構成するポリエステル繊維断面(扁平型)を示す概略図である。 本発明の織編物の比較例を構成するポリエステル繊維断面(扁平型)を示す概略図である。 本発明の織編物の比較例を構成するポリエステル繊維断面(W型)を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の織編物は、特定のポリエステル繊維を20質量%以上含む織編物である。
本発明におけるポリエステル繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどからなるポリエステル繊維が挙げられるが、汎用性の点から、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル繊維を使用することが好ましい。ポリエステルにはその特性を損なわない範囲で、第3成分としてイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、1、3−プロパンジオール、1、4―ブタンジオール、1、6―ヘキサンジオールまたはビスフェノール等が共重合されていてもよい。
本発明の織編物においては、後述するような特定のポリエステル繊維の占める割合が20質量%以上であることが必要であり、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がいっそう好ましい。当該ポリエステル繊維の占める割合が20質量%未満であると、織編物において、高温洗濯あるいは高温蒸気による滅菌処理に対する耐久性及び染色仕上げ後の力学的特性が劣るとともに、織編物の透け防止特性及び吸水拡散性能が劣ることとなり好ましくない。
本発明の織編物においては、特定のポリエステル繊維以外の繊維としては、特定のポリエステル繊維以外のポリエステル繊維、ポリアミド繊維、綿、レーヨン等が好ましく、この中でも、経済性の観点から、ポリエステル繊維が好ましい。当該ポリエステル繊維以外のポリエステル繊維としては、その特性は特に限定されず、丸断面形状のもの、酸化チタンを含有しないものでも好適に用いられる。
本発明の織編物においては、後述するように、織編物中に20質量%以上を占める特定のポリエステル繊維のカルボキシル末端基量、酸化チタン量及び断面形状を特定範囲に限定することで、優れた耐湿熱性能とともに、織編物の透け防止特性及び吸水拡散性能を相乗的に向上させるという顕著な効果を奏する。
本発明のポリエステル繊維を含む織編物において、織編物を構成する特定のポリエステル繊維のカルボキシル末端基量が25eq/ton以下であることが必要であり、20eq/ton以下が好ましい。カルボキシル末端基量が25eq/tonを超えると湿熱耐久性が著しく劣り、本発明の目的を達成できなくなる。なお、性能的にはカルボキシル末端基量は少ないほどよいが、コストを考慮すれば、その下限は10eq/ton程度が通常好ましい範囲である。
また、特定のポリエステル繊維以外のポリエステル繊維においては、前述のカルボキシル末端基量は限定されないが、織編物の耐湿熱性能の向上の観点から、例えば、60eq/ton以下が好ましく、45eq/ton以下がより好ましく、25eq/ton以下がいっそう好ましい。
さらに、本発明の織編物は、織編物を構成する特定のポリエステル繊維の相対粘度が1.33以上であることが好ましく、1.35以上がより好ましい。相対粘度が1.33未満であると、十分な強度を得るために製糸工程において過度の延伸が必要になり、そのため糸切れや毛羽が多発するので実用上使用することができない。また、ポリマーの熱劣化が進むために染色加工以降の工程で強度低下が起こるため好ましくない。
酸化チタンの含有量は、該特定のポリエステル繊維の質量に対して1.0〜5.0質量%が必要であり、好ましくは2.0〜5.0%である。ここで含有量が1.0質量%未満であれば、透け防止効果が不十分であり、5.0質量%を超えると、紡糸性、延伸性に支障をきたすので好ましくない。
ここで該ポリエステル繊維に酸化チタンを用いる方法としては、芯鞘型構造の芯部または鞘部あるいは全分散等、特に限定するものではなく、任意の構造でよい。
用いる酸化チタンの粒径は、紡糸性、延伸性などに支障がなければ特に限定されないが、透け防止効果を考慮すると、粒径は0.1〜2.0μmの範囲のものが好ましく、0.3〜1.0μmがより好ましい。
本発明の織編物を構成する特定のポリエステル繊維の横断面形状としては、基幹部が扁平度2.0〜6.0の扁平形状であることが必要であり、該扁平度は、3.0〜5.0が好ましい。ここで基幹部とは、繊維断面における基幹を為す部分であり、例えば、図1〜5においては、色付き部を指す。さらに、扁平度とは、図1に示すように、下記(式1)により得られる扁平形状の長辺を短辺で除した値をいう。
(式1) 扁平度=基幹部の長辺a/基幹部の短辺b
基幹部の扁平度が2.0未満であると、得られるポリエステル織編物が嵩高く、厚みができてしまうため、後述するように最終的に良好な透け防止効果及び吸水拡散効果を得ることができず好ましくない。扁平度が6.0を超える場合は、ポリエステル繊維の強度が不足する場合があり好ましくない。
さらに、本発明の織編物においては、前記ポリエステル繊維断面が該基幹部との厚さ比が0.5〜2.0の凸部を1個以上有することが必要であり、該厚さ比は、0.55〜1.0が好ましい。ここで、前記凸部とは、凸形状を有するものであれば特に限定はされないが、例えば、矢印型(図1)、片矢印型(図2)、Y字型(図3)、四つ山扁平型(図4)、扁平形状の断面の長径方向の両端が中央部より丸みを帯びたドッグボーン型(図5)などが挙げられる。前記凸部は、吸水拡散性等との観点から、2個〜10個がより好ましく、2〜8個がいっそう好ましい。
前記厚さ比とは、基幹部の短径に対する凸部の厚さ比であり、例えば図1に示すように、下記式(2)より導き出される基幹部と凸部の厚さの比をいう。
(式2) 凸部と扁平部の厚さの比=凸部の高さc/基幹部の短辺b
ここで、突起部の高さcとは図1に示すように、繊維断面の扁平部から突起している部分の最も高い部分の扁平部からの高さをいう。
この凸部と基幹部との厚さの比が0.5未満である場合は凸部の高さが低く、良好な透け防止効果、吸水拡散効果を得ることができず好ましくない。該厚さ比が2.0を超える場合は、凸部が高すぎるため、嵩高となるため、良好な透け防止効果及び吸水拡散効果を得ることができず好ましくない。
本発明のポリエステル織編物を構成する糸条の強度は実用性の観点から1〜6cN/dtexであることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜4.5cN/dtexである。ポリエステル織編物を構成する糸条の強度が1cN/dtex未満の場合は実使用に耐えうることができず、弱糸となる。また、6cN/dtex以上にする場合には、糸の繊度を太くする必要があり、得られた織編物が粗硬なものとなってしまい、好ましくない。
本発明の織編物においては、特定のポリエステル繊維中に酸化チタンを1.0〜5.0質量%配することによって織編物を白色とした際の透け防止効果が発現できる。さらに、本発明の織編物を構成するポリエステル繊維の単繊維の基幹部は扁平度が2.0〜6.0の扁平形状であるため、織編物において該単繊維が重なりあった際に嵩高になりにくい。加えて、該基幹部に厚さ比が0.5〜2.0の凸部を1個以上有するため、該織編物において単繊維が完全には重なり合わず単繊維間に微細な空隙を形成する為、透過する光の屈折が多くなり、透け防止効果が相乗的に高まる。また、得られる衣料製品は、上記微細な空隙への毛細管現象による良好な吸水拡散性能を保ったまま、例えば、衣料用途に用いた場合には、布帛が分厚くならずに体の動きにフィットするため、快適な織編物を得ることできる。
本発明の織編物にあっては、織編物の組織は特に限定されるものではなく、例えば、織物の場合には、平、ツイル、サテンまたは二重織、織物の場合には、天竺、鹿子またはインターロック等の組織が好適に用いられる。
得られた織編物の染色方法は任意の方法が適用可能であるが、例えば、常法により精練したのち、必要に応じてテンターにてプレセット後を行った後に染色し、再びテンターにて仕上げセットを行うことにより、本発明の織編物を得ることができる。なお、上記染色後に吸水加工を施しても良い。
一般的に、ポリエステル織編物を用いた用途においては、工業洗濯は約70℃の温度で行われ、該織編物は約100回程度繰りかえし使用されることから、本発明の織編物においては、繰り返し工業洗濯100洗後の引き裂き強力保持率が80%以上であることが好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上がいっそう好ましい。
ここで、本発明における繰り返し工業洗濯とは、JIS L1096F−3法において、1洗の洗濯条件を以下とし、25洗を1セットとし、4セット(100洗)行うことをいう。
〔工業洗濯条件〕
洗い:70℃×30分
すすぎ1:40℃×10分
すすぎ2:40℃×5分
さらに、本発明における繰り返し工業洗濯100洗後の引き裂き強力保持率は、上述の工業洗濯前後での織編物の引き裂き強力をJIS L−1096に準じて測定し、下記式(により計算した。
(式3) 引裂き強力保持率(%)=(処理後の引裂き強力/処理前の引裂き強力)×100
70℃での繰り返し工業洗濯処理後の引き裂き強力保持率が80%未満であると、本発明における織編物を衣料用ユニフォームなどに用いた場合に、繰り返し使用すると破れやすくなり、安全性などの観点から好ましくない。
また、本発明における織編物を病院や製薬関連の工場などのクリーンルーム等で例えば手術着として用いられる場合、滅菌温度120〜135℃、処理時間15〜5分で滅菌処理が行なわれるのが一般的である。しかしながら、通常のポリエステル繊維にて構成される織編物は、これらの条件で滅菌処理を行うと、80回程度の処理で加水分解に起因する著しい強度低下が発生し使用できなくなる。
これらの分野においても用いられるように、本発明のポリエステル織編物においては、120℃での湿熱処理の使用限界回数を約100回としたときの2倍にあたる200回の処理(15分を一回の処理時間としたとき50時間に相当)を行ったときのポリエステル織編物の引裂き強力保持率が40%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましい。
ここで、湿熱処理後の引裂き強力保持率とは、1回の処理を以下の条件とし、湿熱処理と乾燥をそれぞれ10時間行うことを1セットとし、計5セット(計50時間)行い、下記式で算出するものを言う。
〔湿熱処理条件〕
湿熱処理:120℃×15分
乾燥:80℃×15分
引裂き強力保持率(%)=(処理後の引裂き強力/処理前の引裂き強力)×100
また、湿熱滅菌処理は医療、製薬用途に不可欠の工程であるので湿熱滅菌処理後の引き裂き強力保持率が40%未満であると、通常の繰り返し使用が困難となるため、該用途には不適切となり製品展開の幅が狭くなり好ましくない。
本発明の織編物においては、織編物を構成する特定のポリエステル繊維のカルボキシル末端基量を25eq/ton以下とすることにより、繰り返し工業洗濯100洗後の引き裂き強力保持率を80%以上としたり、湿熱処理後の引き裂き強力保持率を40%以上とすることができる。
本発明の織編物においては、前述のカルボキシル末端基量等の特性は、ポリエステル原糸段階でも、織編物工程後でも、染色仕上げ後のいずれの段階でも良いが、ぞれぞれの段階におけるカルボキシル末端基量の増加などを考慮すると、特に染色仕上げ後の特性値が、本願規定値を満たしていることがより好ましい。
さらに、本発明の織編物は表裏いずれか一方の吸水拡散面積が10cm以上が好ましく、15cm以上がより好ましい。吸水拡散面積が10cm未満であると、織編物を衣料用として用いたときに汗や、その他の要因により衣服が濡れた際に織編物の一部分に吸水された水が拡散されぬまま保持されてしまい乾燥が遅く、着用者が不快感を感じる要因となりうる。
なお、吸水拡散面積は以下の要領で測定する。
10cm×10cmの織編物を用意し、該織編物を水平に静置したのち、該織編物から0.5cmの高さからスポイトにて100μlの純水を滴下する。滴下1分後の拡散面積S(cm)を求める。
さらに、本発明の織編物は透け防止効果を確保するためにCIELabの色差式より算出されたΔEが20以下であることが好ましく、15以下がより好ましい。ΔEが20を超える場合は、織編物を白色とし、良好な透け防止効果を得ることが出来ず、下着や肌が透けてしまうためである。
本発明の織編物においては、ポリエステル繊維中に酸化チタンを1.0〜5.0質量%配し、さらに、本発明の織編物を構成するポリエステル繊維の単繊維断面が扁平度2.0〜6.0の扁平形状である基幹部と該基幹部との厚さ比が0.5〜2.0である1個以上の凸部とからなることとするため、該織編物において単繊維が完全には重なり合わず単繊維間に微細な空隙を形成する為、透過する光の屈折が多くなり、透け防止効果が相乗的に高まる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。なお、実施例における織編物の処理方法及び性能測定方法を下記に示す。
(1)カルボキシル末端基量
織編物を裁断しポリエステル繊維を抜き取った後、抜き取られたポリエステル繊維0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、0.1Nの水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して、カルボキシル末端基量を求めた。
(2)繰り返し工業洗濯
2500cm(50cm×50cm)の織編物を用い、前述のように、25洗を1セットとし、計4セット(100洗)の工業洗濯を以下の条件で行った。
洗い:スガ試験機株式会社製ロータリーワッシャーを用いて、洗剤濃度1g /l、洗濯温度70℃、30分を1洗とした。
すすぎ:すすぎ温度40℃、10分のすすぎの後、排水して40℃、5分す すぎを行う操作を1洗とした。
(3)湿熱処理
2500cm(50cm×50cm)の織編物を用い、高圧蒸気滅菌器HV―50(平山製作所製)を使い120℃、圧力225kPaで10時間を1セットとし、計5セットの湿熱処理を行い、その後80℃での乾燥を10時間を1セットとし、5セット行なった。
(4)基幹部の扁平度
透過型顕微鏡(オリンパス社製 BH−2 UMA)を用い、織編物を構成するポリエステル繊維の断面の基幹部の扁平度を、前述の下記式を用いて計算した。なお、任意の10点の平均値とした。
扁平度=基幹部の長辺a/基幹部の短辺b
(5)凸部と基幹部の厚さの比
透過型顕微鏡(オリンパス社製 BH−2 UMA)を用い、織編物を構成するポリエステル繊維の断面の基幹部と凸部の厚さ比を、前述の下記式を用いて計算した。なお、任意の10点の平均値とした。
凸部と基幹部の厚さの比=凸部の高さc/基幹部の短辺b
(6)織物の引裂き強力
JIS L−1096法により測定した。さらに、引裂き強力保持率は、前述のように下記式によって算出した。
引裂き強力保持率(%)=(処理後の引裂き強力/処理前の引裂き強力)×100
(7)編物の引裂き強力
JIS L−1096法により測定した。さらに、引裂き強力保持率は、前述のように下記式によって算出した。
引裂き強力保持率(%)=(処理後の引裂き強力/処理前の引裂き強力)×100
(8)透け防止性
マクベス社製分光光度計CE−3100を用いて背景を黒にした状態と白にした状態での反射率をそれぞれ求め、CIELabの色差式よりΔEを算出した。数字が小さいほど、透け防止効果がある。
(9)ポリエステル繊維の相対粘度
織編物を構成するポリエステル繊維を取出し、溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)、濃度:0.5g/100ml、溶解温度:120℃、測定温度:20℃にて、ウベローデ型粘度計を用いて測定した。
(10)低嵩高性
10人のパネラーにより織編物の手触りを調べ、以下の3種の評価のうち最も該当する評価を嵩高性の評価とした。
◎:「嵩高くなく、衣料用途には最適である」と感じた。
○:「嵩高くなく、衣料用途に適する」と感じた
×:「嵩高く、衣料用途には不適切である」と感じた。
実施例1
1―ビス(β−ヒドロキシルエチル)テレフタレート及びその低重合体(BHET)に、テレフタル酸とエチレングリコールとのスラリー(テレフタル酸/エチレングリコール(モル比)=1/1.6)を連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、反応時間8時間にてエステル化反応を行い、エステル化反応率が95%のBHETを連続的に得た。このBHET50kgを重合槽に移送し、250℃に加熱し、触媒として三酸化アンチモンを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し1×10−4モルと、酢酸コバルトを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し0.5×10−4モルと、リン成分としてトリエチルフォスフォエートを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対し1.0×10−4モルと、酸化チタンを繊維全質量に対して2.0質量%添加した。その後徐々に減圧し270℃で最終的に0.9hPaの減圧下で3.5時間重縮合反応を行い、エステルチップを得た。
このポリエステルチップを、290℃にて紡糸を行い、速度3500m/分で巻取り190dtex/48fの半未延伸糸を得た。引き続いて得られた糸条を延伸装置に供給し、700m/分の速度で延伸し、110dtex/48fの図1に示す矢印型のポリエステル繊維を得た。この延伸糸を用い、ウォータージェットルームで経糸密度122本/2.54cm、緯糸密度80本/2.54cmでユニフォーム用2/2ツイル織物とし、引き続いて、常法により精練、プレセット、染色、仕上げセットを行い経糸密度130本/2.54cm、緯糸密度88本/2.54cmの本発明の織物を得た。
実施例2
繊維断面を図2に示す片矢印とした以外は、実施例1と同様にして本発明の織物を得た。
実施例3
繊維断面を図3に示すY型とした以外は、実施例1と同様にして本発明の織物を得た。
実施例4
繊維断面を図4に示す四つ山扁平型とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
実施例5
実施例1で用いた矢印型のポリエステル繊維を用いてクイーンズコード組織に製編し、引き続いて常法にて精練、染色、仕上げセットを行い、42ウェール/2.54cm、50コース/2.54cmの本発明の編地を得た。
実施例6
実施例1の織物において、緯糸の半分にレギュラーポリエステル繊維を用いた以外実施例1と同様に織物を得た。(矢印型のポリエステル繊維80質量%とレギュラーポリエステル繊維20質量%)。なお、レギュラーポリエステル繊維として、丸断面、110dtex/48f、カルボキシル末端基量40eq/ton、酸化チタン含有量0%のものを用いた。
実施例7
実施例1の織物において、緯糸の全てに実施例6で用いたレギュラーポリエステル繊維を用いた以外は実施例6と同様に織物を得た(矢印型のポリエステル繊維60質量%とレギュラーポリエステル繊維40質量%)。
実施例8
実施例1の織物において、緯糸の全てと経糸本数の30%に実施例6で用いたレギュラーポリエステル繊維を用いた以外は、実施例6と同様に織物を得た(矢印型のポリエステル繊維41質量%とレギュラーポリエステル繊維59質量%)。
実施例9
実施例1の織物において、緯糸の全てと経糸本数の65%に実施例6で用いたレギュラーポリエステル繊維を用いた以外は、実施例6と同様に織物を得た(矢印型のポリエステル繊維21質量%とレギュラーポリエステル繊維79質量%)。
実施例1〜9により得られた織編物の評価結果を表1に示す。
比較例1
重縮合反応の温度を285℃とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例2
酸化チタンを繊維全質量に対して0.5%とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例3
繊維断面を丸型とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例4
繊維断面を図6に示す扁平形状(扁平度=3.5)とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例5
繊維断面を図7に示す扁平形状(扁平度=7.5)とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例6
繊維断面を図8に示すW型とした以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例7
比較例1で紡糸した糸を使用する以外は、実施例5と同様にして編物を得た。
比較例8
実施例1の織物において、緯糸の全てと経糸本数の75%に実施例6で用いたレギュラーポリエステル繊維を用いた以外は、実施例6と同様に織物を得た(矢印型のポリエステル繊維15質量%とレギュラーポリエステル繊維85質量%)。
比較例1〜8により得られた織編物の評価結果を表2に示す。
表1より明らかなように、本発明の構成要件を満足する実施例1〜9の織編物は、優れた強力保持性、吸水拡散性、透け防止性を有していた。一方、比較例1、7の織編物はカルボキシル末端基量が本発明の要件を満たしておらず洗濯、湿熱処理の両方の引裂き強力保持率が低いものであった。比較例2の織物は酸化チタン量が少ない為、十分な透け防止効果が得られなかった。比較例3の織物は断面形状が丸型であるため吸水拡散性と透け防止性の点において満足のいく織物が得られなかった。比較例4及び5の織物は断面形状が扁平であるため、吸水拡散性と透け防止性の点において不十分なものとなり、さらに比較例5においては扁平度が高すぎるために織物の初期引裂強力及び洗濯、湿熱処理後の引裂強力が低いものとなった。比較例6においては断面形状がW型であるために得られた織物が嵩高となり、衣料用途に用いた場合には布帛が分厚くなり、体の動きにフィットせず、該用途には不適切である。比較例8は、織物中の本発明のポリエステル繊維量が15質量%であったので、該20質量%以上である本発明の織編物に比べ、耐湿熱性能、吸水拡散性、透け防止性のいずれにおいても劣り、満足のいく値とならなかった。
A:基幹部
a:長編
b:短辺
c:突起の高さ

Claims (3)

  1. 下記(1)〜(3)を満足するポリエステル繊維のみからなる織編物であって、前記織編物の表裏いずれか一方の吸水拡散面積が10cm 以上であり、且つ、CIELabの色差式より算出されたΔEが15以下であることを特徴とする織編物。
    (1)カルボキシル末端基量が25eq/ton以下。
    (2)酸化チタン含有量が1.0〜5.0質量%。
    (3)繊維断面が、扁平度2.0〜6.0の略直線扁平形状である基幹部と前記基幹部との厚さ比が0.5〜2.0である1個以上の凸部とからなる。
  2. 繰り返し工業洗濯100洗後の引裂き強力保持率が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の織編物。
  3. 湿熱処理後の引裂き強力保持率が40%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の織編物。
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