JP5602527B2 - 固形描画材 - Google Patents

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Description

本発明は、固形描画材に関する。詳しくは、保存安定性に優れ、固形描画材中のマイクロカプセルが破壊されることなく描画可能なマイクロカプセルを含有する固形描画材に関するものである。
従来、香料やフォトクロミック、サーモクロミック材料等の機能性材料を用い、固形描画材に描画とは別の新たな機能を付与することが行われている。しかしながら、前記機能性材料をそのまま混合するだけでは、機能性材料が揮発して固形描画材中に該材料を留めておくことができず保存安定性が悪かったり、固形描画材中のワックス等、他の材料が機能発現を阻害したりする等、新たに付与した機能が失われてしまうことがあった。
これらの課題を解決するために、材料の揮発や機能発現を阻害する材料と直接接することを防ぐ等の目的で、機能性材料をマイクロカプセル中に内包し、固形描画材中に前記マイクロカプセルを含有して、これらの機能を付与することが行われている(例えば特許文献1〜3)。しかしながら、従来のマイクロカプセルを含有する固形描画材は、賦形材にポリエチレン等の樹脂やパラフィンワックス等を主成分とする、所謂クレヨンの様な構成の固形描画材であり、マイクロカプセルの壁膜によっては、固形描画材中のマイクロカプセルの破壊が起こる、壁膜が変質する等、機能性材料を固形描画材中に留めておくことができない等の課題があった。また、該固形描画材は、描画する際に書き味が硬く、高い描画圧を必要とする為、描画前は、マイクロカプセル中に内包した機能性材料を留めておくことができても、描画する際にマイクロカプセルがその描画圧により破壊されてしまう。この為、機能性材料の種類によっては、描画直後はその機能を発現することができるが、所望の期間マイクロカプセルに内包した機能を持続したり、一定期間後にマイクロカプセル中に内包した機能を発現させたりすることができなかった。
特開昭64−29478号公報 特公昭64−4556号公報 特許第2529317号公報
近藤保、小石真純共著 「マイクロカプセル−その製法・性質・応用−」三共出版(株) 1977年
本発明は、マイクロカプセル中に内包した機能性材料を安定的に保持することが可能であり、描画する際にマイクロカプセルが破壊されることなく描画することが可能な、保存安定性に優れ、書き味が滑らかな固形描画材を提供するものである。
本発明は、少なくともゲル形成剤と水でゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散されてなる固形描画材において、ゲル形成剤を特定の材料とし、マイクロカプセルの壁膜を特定の材料とすること、等により、上記課題が解決され、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
「1. 少なくともゲル形成剤と水でゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散されてなる固形描画材であって、前記ゲル形成剤が炭素数が12〜18個である脂肪族カルボン酸の金属塩であり、前記マイクロカプセルの壁膜が熱硬化性樹脂であり、該マイクロカプセル中に内包する材料が油性であり、固形描画材のpHが9以上であることを特徴とする固形描画材。
2.前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂、尿素−ホルムアルデヒド縮合樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする、第1項に記載の固形描画材。」に関する。
本発明によれば、ゲル形成剤を炭素数が8〜36個である脂肪族カルボン酸の金属塩とし、マイクロカプセルの壁膜を熱硬化性樹脂としたこと等により、賦形材中に分散されたマイクロカプセルが破壊されたり、マイクロカプセルの壁膜が変質したりすることがないため、固形描画材の保存安定性が向上する。また、描画する際に、固形描画材がチキソトロピック現象を発現し、低い描画圧での描画が可能となり、書き味が滑らかとなるばかりでなく、賦形材中に分散されたマイクロカプセルが破壊されることなく描画が可能となるため、固形描画材に付与した機能を失うことなく描画することができ、所望の時に機能を発現することが出来る等、優れた効果を奏するものである。
本発明の固形描画材は、少なくともゲル形成剤と水でゲル状態の賦形材を形成し、賦形材中にマイクロカプセルが分散された構成が最小の構成となる。前記構成とすることにより、描画する際に固形描画材がチキソトロピック現象を発現し、マイクロカプセルが破壊されることなく描画が可能となる。
また、本発明におけるチキソトロピック現象は、描画する際の描画圧や摩擦熱等により、ゲル状態の賦形材が、ゲル状態からゾル状態に変化するために、発現するのである。即ち、固形描画材が、見かけ状の固体状態から液体状態への変化をすることにより、発現するのである。
本発明に用いるゲル形成剤としては、炭素数が8〜36個である脂肪族カルボン酸の金属塩であり、水とゲル状態の賦形材を形成できるものである。この範囲より炭素数が少ないと、固形描画材の強度が弱くなり、この範囲より炭素数が多いと、固形描画材を製造する際に、複雑な工程が必要となるため好ましくない。炭素数が12〜18であると、固形描画材が、チキソトロピック現象を強く発現し、描画する際の描画圧が低くなり、書き味が滑らかとなるばかりでなく、マイクロカプセルにかかる圧力が低くなるため、マイクロカプセルを破壊することなく描画することができるため好ましい。好ましく用いられるゲル形成剤としては脂肪族カルボン酸のナトリウム塩であり、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明に用いるゲル形成剤は、単独または2種類以上を組み合わせて用いることができるが、その配合量は、固形描画材全質量に対して5〜60質量%が好ましい。この範囲より小さいと、ゲル状態の賦形材が形成しにくくなり、固形描画材の強度が低くなる傾向が見られ、この範囲より大きいとゲル状態の賦形材が硬くなり、固形描画材が、チキソトロピック現象を発現しにくくなり、描画する際の描画圧が高くなる傾向が見られ、描画する際に、マイクロカプセルが破壊される傾向になる。ゲル形成剤の配合割合を固形描画材全質量に対して、10〜40質量%とすると、固形描画材の強度とチキソトロピック現象の発現が最適となり、低い描画圧での描画が可能となり、書き味が滑らかとなるばかりでなく、賦形材中に分散されたマイクロカプセルが破壊されることなく描画が可能となるため、特に好ましい。
本発明に用いるゲル形成剤は、水とゲル状態の賦形材を形成するが、その際に、賦形材はアルカリ性を示す。少なくともゲル形成剤と水で形成するゲル状態の賦形材は、その液性がアルカリ性、つまりpHが7より大きいとき賦形材としてその機能を維持することができる。前記賦形材の液性が酸性、つまりpHが7より小さいとゲル状態を維持することができず、液体状態となる。
本発明の固形描画材は、少なくともゲル形成剤と水でゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散された構成となっているが、賦形材中にマイクロカプセルが分散された状態で、その液性が酸性となると、ゲル状態を維持することができず、固形描画材を得ることができなくなるのである。これとは反対に、前記賦形材にマイクロカプセルが分散された状態で、その液性がアルカリ性であると、ゲル状態を維持した状態となり、固形描画材を得ることができるのである。さらに、固形描画材のpHが9以上であると、賦形材のゲル強度が高くなり、固形描画材の機械的強度が十分となるため好ましい。
本発明の固形描画材は、ゲル状態の賦形材中にマイクロカプセルが分散された状態であるが、前記マイクロカプセルは、固形描画材中で、マイクロカプセル中に内包した機能材料を安定的に保持する必要があり、固形描画材中でマイクロカプセルが破壊されたり、マイクロカプセルの壁膜が変質したりしない必要がある。マイクロカプセルの壁膜としては、一般的に天然高分子、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が用いられるところ、本発明の固形描画材は前記ゲル形成剤を用いたことによりアルカリ性を示すことから、アルカリ性において高い耐性を持つ熱硬化性樹脂を壁膜に用いる。さらに熱硬化性樹脂の中でも二官能以上の官能基数を持つ材料を用いると、壁膜を形成する際に分子間に三次元構造を形成するため、マイクロカプセルの耐溶剤性、耐アルカリ性、強度等が向上し、マイクロカプセル中に内包した機能性材料を、安定的に保持することが可能となり、好ましい。
本発明に用いる熱硬化性樹脂としては、分子間に三次元構造を形成したものが好ましく、具体的には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂、尿素−ホルムアルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を用いると、マイクロカプセルの壁膜が緻密な網目構造となるため、香料等の揮発性の機能性材料等を内包した場合において、マイクロカプセル中から揮発せず、留めておくことが可能であるので好ましい。これらの中でも有害性物質であるホルムアルデヒドを含まないウレタン樹脂、エポキシ樹脂が特に好ましい。
マイクロカプセル中に内包する材料としては、各種機能性材料を用いることができる。固形描画材に機能を付与するためにマイクロカプセル中に内包する材料は、固体、液体、気体のどの様な状態のものでも良く、水性、油性のどちらの材料も用いることができる。機能性材料として具体的には、染料、顔料等の着色剤、フォトクロミック材料、液晶やロイコ染料等を材料に用いたサーモクロミック材料、帯電防止剤、ブタン等の加熱等により発泡する発泡剤、粘着剤、一液及び/または二液硬化型の接着剤、香料、感圧発色材料、農薬、医薬品、防虫剤、防臭剤、忌避剤、磁性剤、磁気記録材料等が挙げられ、固形描画材に付与したい機能に応じて、適宜選択出来る。
本発明に用いるマイクロカプセルの機能を発現させる方法としては、マイクロカプセル中にフォトクロミック材料やサーモクロミック材料等を内包し、当該マイクロカプセルをそのまま機能性材料として用いて機能を発現させる方法のほか、マイクロカプセル中に香料や粘着剤、接着剤、感圧発色材料等を内包し、描画後に任意の方法で当該マイクロカプセルを破壊して、マイクロカプセル中に内包した機能性材料をマイクロカプセル外に放出する等して機能を発現させる方法、等が挙げられる。
本発明に用いるマイクロカプセルの製造方法としては、例えば、非特許文献1(近藤保、小石真純共著、「マイクロカプセル−その製法・性質・応用−」三共出版(株)、1977年)に記載されているような一般的に知られている方法を用いることができる。具体的には、コアセルベート法、界面重合法、界面重縮合法、in−situ重合法、液中乾燥法、液中硬化法、懸濁重合法、乳化重合法、気中懸濁被覆法、スプレードライ法等が挙げられ、機能を付与するために内包する材料や、機能を発現させる方法、マイクロカプセルの強度により、適宜選択される。
本発明に用いるマイクロカプセルは、描画する際に破壊されることなく、描画した後にマイクロカプセル中に内包した機能性材料の機能を発現させる必要があるが、前記マイクロカプセルの平均粒子径としては、0.1μm〜1000μm程度のものを用いるのが好ましい。この範囲より大きいと製造工程や描画する際に一部のマイクロカプセルが破壊される傾向があり、発現する機能が十分でなくなる傾向があり、この範囲より小さいと、マイクロカプセルに内包する材料の量が少なくなるため、マイクロカプセルに十分な機能を付与することができなくなる傾向がある。前記マイクロカプセルの平均粒子径が7μm〜500μmであると、用いるマイクロカプセルの強度が十分にあり、製造工程や描画する際に破壊されることなく、マイクロカプセルに内包する材料の量が確保でき、機能性材料の機能を発現させることが出来るため、特に好ましい。
なお、本発明でいうマイクロカプセルの平均粒子径は、粒度分布計(マルバーン社製 マスターサイザー2000 Hydro 2000μP)を用いて測定したときの、D50の値を用いる。
本発明の固形描画材は、少なくともゲル形成剤と水とで形成されたゲル状態の賦形材中にマイクロカプセルが分散しているが、マイクロカプセル中に内包する材料としては、油性の材料であることが好ましい。油性の材料を内包したマイクロカプセルを製造する場合、簡便な方法としては、水層中に油性の材料を分散し、壁膜を形成して、マイクロカプセルとする方法がある。この方法により得られたマイクロカプセルは、水層中に分散された状態であり、ゲル形成剤と水とで形成される賦形材中に直接分散することが可能となるため、固形描画材の製造工程上簡便となる傾向がある。一方、水性の材料を内包したマイクロカプセルを製造する場合、簡便な方法としては、油層中に水性の材料を分散し、壁膜を形成して、マイクロカプセルとする方法がある。この方法により得られたマイクロカプセルは、油層中に分散された状態となっているため、前記賦形材に直接分散しにくい傾向があり、マイクロカプセルを粉体として取り出した後に、前記賦形材に分散することが必要となる場合があり、固形描画材の製造工程が煩雑になる傾向がある。この様に、固形描画材の製造工程上の観点から、マイクロカプセル中に内包する材料としては、油性の材料であることが好ましい。
本発明の固形描画材には、必要に応じて、溶剤、界面活性剤、消泡剤、着色剤、ワックスや樹脂、防腐剤、防黴剤等の、各種添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、賦形材中やマイクロカプセル中に配合することができる。
本発明の固形描画材の製造方法の一例を示す。ゲル形成剤と水を加熱混合し、ゾル状態の液状物とする。この液状物に、マイクロカプセルと各種添加剤を加え攪拌後、所定の型内に充填する。これを冷却することにより、ゾル状態の液状物が固化し、ゲル状態の賦形材が形成される。この際、マイクロカプセルは、賦形材中に分散した状態で存在する。この型内で固化した充填物を型から取り出すことにより、賦形材中にマイクロカプセルが分散した固形描画材が得られる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(マイクロカプセルの製造)
(製造例1)
グレープフルーツオイルNO.008465(高砂香料工業(株)社製、油性香料)を内包し、壁膜が熱硬化させたポリウレタン(熱硬化性樹脂)であるマイクロカプセルを、界面重合法により製造し、平均粒子径が7μmのマイクロカプセルを得た。
(製造例2〜6)
本発明に用いるマイクロカプセルの製造方法と、マイクロカプセルの壁膜、マイクロカプセルに内包する材料、マイクロカプセルの平均粒子径を(表1)に示す。
Figure 0005602527
(固形描画材の製造)
実施例1
製造例1で製造したマイクロカプセル 5質量部
パルミチン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 20質量部
グリセリン(保湿剤) 25質量部
イオン交換水 50質量部
上記各成分を75℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのパルミチン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが10であり、アルカリ性を示した。
実施例2
製造例2で製造したマイクロカプセル 6質量部
ステアリン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 10質量部
グリセリン(保湿剤) 23質量部
イオン交換水 61質量部
上記各成分を90℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのステアリン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが9.7であり、アルカリ性を示した。
実施例3
製造例3で製造したマイクロカプセル 7質量部
パルミチン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 10質量部
グリセリン(保湿剤) 25質量部
イオン交換水 58質量部
上記各成分を85℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのパルミチン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが10であり、アルカリ性を示した。
実施例4
製造例4で製造したマイクロカプセル 7質量部
パルミチン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 23質量部
グリセリン(保湿剤) 25質量部
イオン交換水 45質量部
上記各成分を85℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのパルミチン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが10であり、アルカリ性を示した。
比較例1
製造例5で製造したマイクロカプセル 5質量部
パルミチン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 10質量部
グリセリン(保湿剤) 23質量部
イオン交換水 62質量部
上記各成分を75℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのパルミチン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが9.2であり、アルカリ性を示した。
比較例2
製造例6で製造したマイクロカプセル 5質量部
パルミチン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 10質量部
グリセリン(保湿剤) 23質量部
イオン交換水 62質量部
上記各成分を75℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのパルミチン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが9.8であり、アルカリ性を示した。
比較例3
製造例5で製造したマイクロカプセル 5質量部
酸処理ゼラチン(ゲル形成剤) 10質量部
グリセリン(保湿剤) 23質量部
イオン交換水 62質量部
上記各成分を50℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmで長さ40mmの円筒状の型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのゼラチンとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を得た。この時、固形描画材のpHを測定したところ、pHが5.2であり、酸性を示した。
実施例1〜4及び、比較例1〜3の固形描画材について、固形描画材中でのマイクロカプセル状態、描画後の描画線中でのマイクロカプセルの状態、描画性、固形描画材に付与した機能を発現させることができるかの評価を初期及び経時後に行った。結果を(表2)に示した。
Figure 0005602527
評価方法:固形描画材中でのマイクロカプセルの状態及び描画後の描画線中でのマイクロカプセルの状態については、マイクロスコープ(250倍)にて観察をし、評価した。描画性、機能発現性評価については、以下記載の評価方法、評価基準により、評価をした。
描画性:固形描画材で、上質紙に手書きにより描画し,描画する際の書き味、描画性を官能評価した。
○:固形描画材がチキソトロピック現象を発現しており、書き味が滑らかであり、描画に強い力を必要としない。上質紙への描画性は良好。
×:固形描画材がチキソトロピック現象を十分に発現しておらず、描画に強い力を必要とし、書き味が重く滑らかでない。上質紙への描画性は悪く、描画線にムラがある。
初期機能発現性評価1:破壊により機能を発現するマイクロカプセルを含有する固形描画材を用いて上質紙に描画した描画線を、描画直後に指で擦過し、香料の香りがするか、直接香りをかぐ官能試験で評価した。
経時機能発現性評価1:初期機能発現性評価1と同じ方法で描画した描画線を、描画から室温で1週間経時した後に指で擦過し、香料の香りがするか、直接香りをかぐ官能試験で評価した。
○:初期同等に香る。
×:香らない。
経時機能発現性評価2:固形描画材を室温で1ヶ月保存した後、初期機能発現性評価1、経時機能発現性評価1を行った。
○:初期機能発現性評価1、経時機能発現性評価1と同等の性能を有し、固形描画材としての性能が初期とほとんど変化していない。
×:初期機能発現性評価1、経時機能発現性評価1の性能を有しておらず、固形描画材としての性能を維持できていない。
表2に示した通り、実施例1〜4の固形描画材は、製造直後も経時後も賦形材中にマイクロカプセルが破壊や変質等することなく分散しており、また、描画性も良好で、保存安定性等も良好であった。これに対し、比較例1、2の固形描画材は、製造直後から、マイクロカプセルの壁膜が膨潤しており、マイクロカプセルを製造した際の壁膜の状態を保っていなかった。経時後は、固形描画材中でマイクロカプセルの破壊等が起こり、マイクロカプセルとしての形状を保っておらず、保存安定性が悪かった。また、固形描画材としての描画性は良好であったが、描画する際に、マイクロカプセルの壁膜の影響で、マイクロカプセルが破壊され、描画後の描画線中でのマイクロカプセルは、破壊された状態で存在していた。
比較例3の固形描画材は、製造直後も経時後も賦形材中にマイクロカプセルが破壊や変質等することなく分散していたが、描画する際に書き味が重く、描画する際にマイクロカプセルの破壊が起こり、また、描画後の描画線にもムラがあった。
また、比較例1〜3の固形描画材は、描画線の機能を発現させることにおいても、初期は、香料の香りがして、機能を発現させることができたが、経時後には、香料の香りがせず、機能を維持させることができなかった。この様に、比較例1〜3の固形描画材は、本発明の固形描画材の機能を有していなかった。
本発明は、筆記具としての固形描画材の他、示温、感光、接着、粘着、芳香、インジゲータ等の機能を有する固形描画材等として利用可能である。

Claims (2)

  1. 少なくともゲル形成剤と水でゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散されてなる固形描画材であって、前記ゲル形成剤が炭素数が12〜18個である脂肪族カルボン酸の金属塩であり、前記マイクロカプセルの壁膜が熱硬化性樹脂であり、該マイクロカプセル中に内包する材料が油性であり、固形描画材のpHが9以上であることを特徴とする固形描画材。
  2. 前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂、尿素−ホルムアルデヒド縮合樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の固形描画材。
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